説明

熱可塑性材料用のヒドロフルオロプロペン発泡剤

本発明は、不飽和ハロゲン化ヒドロオレフィン、3、3,3−トリフルオロプロペン(HFO1243zf)および主に3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO1243zf)を含む組み合わせを含む発泡剤組成物に関する。この発泡剤組成物は、向上したKファクターを有する低密度断熱性熱可塑性発泡体の製造を可能にするのに十分な可塑化を提供するという点から有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単独で、および熱可塑性発泡体組成の製造で使用される相溶性材料と併せて、不飽和ハロゲン化ヒドロオレフィン、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO1243zfまたはTFP)を含む発泡剤組成物に関する。HFO1243zf発泡剤組成物は、向上したKファクターを有する低密度断熱性発泡体の製造を可能にするのに十分な可塑化を提供するという点から有用である。
【背景技術】
【0002】
非オゾン破壊化合物であるHFCは、熱可塑性発泡体の製造においてクロロフルオロカーボン(CFC)およびヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の代替発泡剤として認められている。しかしながら、CFC材料またはHCFC材料よりもHFC材料で発泡された熱可塑性発泡体を加工するほうが難しいことが分かった。例えば、押出し成形ポリスチレン(XPS)発泡体の製造において、HFC−134a(テトラフルオロエタン)およびHFC−125(ペンタフルオロエタン)は、CFC−12(ジクロロジフルオロメタン)またはHCFC−142b(1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン)よりも、熱可塑性樹脂における溶解性に限界があり、ガス抜き圧力が高い。このため、発泡剤を溶解状態で維持し、かつダイから出す前のガス抜きが不十分になるのを防ぐために、発泡体押出し成形システムをより高い圧力で操作する必要がある。ガス抜き圧力が高くなると、発泡を制御するのが難しくなり、操作圧力が高くなると、一部の押出し成形システムには高すぎる場合がある。
【0003】
HFCは成層圏のオゾンを破壊しないが、多くのHFCは、二酸化炭素(CO2)および窒素(N2)などの大気ガスと比較して、比較的高い地球温暖化係数(GWP)を有する。
【0004】
発泡剤組成物において一般的なヒドロフルオロオレフィンの使用が、米国特許出願公開第2004089839号明細書、米国特許出願公開第2004119047号明細書、国際公開第2004/037913号パンフレット、および米国特許出願公開第2007100010号明細書などの参考文献において開示されている。しかしながら、熱可塑性樹脂における発泡剤としてTFPを使用する具体的な利点および利益については開示されていない。これらの参考文献において、ヒドロフルオロオレフィンについて示されている一般式で列挙される化合物の一部は、低密度熱可塑性発泡体を製造するための発泡剤組成物において有効であり得るが、他の化合物はそうではないことが発見された。当業者には、熱可塑性樹脂にかなりの溶解性を有するほとんどすべての揮発性材料が、いくらかの発泡剤活性を付与し、熱可塑性樹脂製品の密度を下げ得ることを理解されよう。しかしながら、有用な特性を有する発泡製品を製造することができる発泡剤を見つけ出すのが難しいことは当業者には理解されよう。本発明は、TFPがポリスチレン押出発泡体などの熱可塑性発泡体に特に有効な発泡剤であるという発見に関する。TFP発泡剤によって、断熱性発泡体として有用な制御可能な気泡サイズを有する、低密度の独立気泡熱可塑性発泡体を製造することができる。
【0005】
国際公開第2004/037913号パンフレットおよび米国特許出願公開第2004119047号明細書には、TFPを含むHFOの一般式が開示されているが、更なるフッ素を含有するフルオプロペン、特にテトラフルオロプロペンおよびペンタフルオロプロペンが好ましく、HFO−1234ze、HFO−1234yf、およびHFO−1225ye、およびそのあらゆる立体異性体がさらに好ましいことが教示されている。TFPを使用する利点については全く開示されていない。本発明の発明者らは、HFO−1234ze、HFO−1234yf、およびHFO−1225yeはTFPよりもポリスチレン樹脂への溶解性が低く、したがって、ポリスチレンの効率的な発泡剤として期待されないことを発見した。熱可塑性樹脂における発泡剤の溶解性は、低密度発泡体の製造で使用するための、その可能性を決定するのに重要であることが知られている。溶解性によって、樹脂に組み込むことができる発泡剤の量が決定され、次にその量は、達成可能な密度減少の程度を決定するのに重要である。これらの参考文献には、TFPは引火性であるために、多くの用途に適していないことも開示されている。しかしながら、本発明の発明者らは、特にポリスチレンの熱可塑性材料発泡用途にTFPが適していることを見出した。
【0006】
米国特許出願公開第2007100010号明細書には、不飽和ヒドロフルオロカーボンの更なるリストと併せて、不飽和ヒドロフルオロカーボンまたはヒドロフルオロオレフィンの一般式からの成分を含む発泡剤組成物が開示されている。しかしながら、熱可塑性樹脂およびポリスチレン発泡体における発泡剤としての、これらの配合物の使用を実証している例は、当業者に公知の発泡体押出し成形プロセスの一般的な操作条件を示しているだけである。ヒドロフルオロオレフィンを使用した押出し発泡の実際の例は挙げられていない。さらに、使用される具体的な発泡剤についても言及されていない。示されている発泡の実際の例は、ポリウレタンまたはポリイソシアネートなどの熱硬化性発泡体に限定されており、1,1,1,4,4,5,5,5−オクタフルオロ−2−ペンテン(HFO−1438mzz)および1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(Z−HFO−1336mzz)など、その不飽和結合が末端の炭素上にない長鎖HFOの使用が実証されている。ポリウレタン発泡系の有効な発泡剤は、熱可塑性発泡系において必ずしも有効ではないことは当業者には理解されよう。
【0007】
米国特許出願公開第2006243944号明細書には、TFPと、多くのHFCおよび炭化水素などの具体的なリストから選択される少なくとも1種類の他の化合物との組み合わせを含む材料の組み合わせを含有する多くの組成物が開示されている。その組み合わせは、発泡剤としての用途を含む様々な用途に有用であると記述されている。熱可塑性材料を発泡するためのTFPの使用については具体的に開示されておらず、開示されている発泡剤配合物におけるTFPの例も挙げられていない。さらに、発泡性樹脂組成物を製造するための配合物は開示されておらず、発泡に有用な発泡剤組成物も開示されていない。広範な開示内容によって包含される多くの組成物は、低密度の独立気泡発泡体の製造に適していない。
【0008】
米国特許第6,858,571号明細書および国際公開第2004/037742号パンフレットには、ペンタフルオロプロペン(HFO−1225)と、3,3,3−トリフルオロプロペン(「HFO−1243zf」)、1,1−ジフルオロエタン(「HFC−152a」)、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(「HFO−1234ze」)、およびその2種類以上の組み合わせからなる群から選択される第2液体と、を含有する共沸混合物状組成物が開示されている。発泡剤としてのこれらの共沸混合物の使用が言及されている。しかしながら、これらの参考文献には、熱可塑性材料の発泡に好ましい組成物は教示されておらず、開示されている組成物の多くは、HFO−1225含有率が高いため、特にポリスチレンの発泡剤として有用ではなく、本発明の発明者らは、ポリスチレンに対して特に優れた発泡剤ではないことを見出した。これらの参考文献には、溶解性に関して、したがってより低い発泡体密度を達成する能力に関して、発泡剤としてのTFPの特定の価値も、HFO−1225を超えるTFPの利益も開示されていない。さらに、この参考文献は、HFO−1225を含む組成物に特定的であることから、HFO−1225の非存在下でTFPが発泡剤として有用であろうことは開示されておらず、本発明において、TFPはそれ自体で、または他の共発泡剤および共溶媒と組み合わせて、熱可塑性発泡体の特に有用な発泡剤であることが発見された。
【0009】
米国特許第5,205,956号明細書には、CFC−11および/またはCFC−12に代わる、発泡剤配合物における式CH2=CH−Cn−F(2n+1)(nは1〜6の整数である)のビニルフルオロアルカンの使用が開示されている。CFC−11およびCFC−113の代わりには、nは好ましくは3〜6であり、CFC−12の代わりには、nは好ましくは1〜3である。実施例には、ポリウレタン発泡に使用される発泡剤配合物における長鎖の高沸点ビニルフルオロアルカン、例えばパーフルオロ−n−ブタンおよびビニルパーフルオロ−n−ヘキサンが開示されている。ポリスチレンにおけるCFC−12の代わりとなる、開示されている好ましいビニルフルオロアルカン(すなわち、n=2および3である場合)は、ポリスチレン樹脂への溶解性が非常に低く、したがって、ポリスチレンの有効な発泡剤であるとは予測されないことを見出した。TFPが開示されている他のビニルフルオロアルカンよりもかなり低い沸点を有し、したがって樹脂への低い溶解性を有すると予想されることから、このことは意外である。さらに、Sanchez and Rogers(1990)「Solubility of gases in Polymers」Pure Appl Chem 62(11):2107−2114によって説明されているように、アルカンなどの同族列の気体において、サイズまたは長さが増加するに従って、その溶解性が高くなることが予想される。記載のように、本発明者らは、試験されたビニルフルオロアルカンの中でTFPは、これに当てはまらないことを発見した。
【0010】
この特許における例は、ポリウレタン発泡体の製造に限定されている。熱可塑性発泡体の製造の例は挙げられていない。
【0011】
米国特許第4,085,073号明細書には、単独で、または発泡剤として少量の他のハロゲン含有炭素化合物と併せて、クロロフルオロメタン、ブロモクロロジフルオロメタン、およびそれらの混合物を含有する発泡剤組成物が開示されている。この特許では、可能な希釈剤としての他のハロゲン化化合物のリストと共に、TFPについて言及されている。発泡剤自体としての、または発泡剤配合物の重要な成分としての、TFPの使用は開示されていない。
【0012】
GB950,876号明細書には、ポリウレタン発泡体の製造方法が開示されている。沸点150℃未満、好ましくは50℃未満を有する適切なハロゲン化飽和または不飽和炭化水素を発泡剤として使用することができることが記述されている。TFPは、挙げられているハロゲン化炭化水素の中にあるが、例ではすべて、発泡剤としてCFC−11が用いられている。熱可塑性材料の発泡のための発泡剤に関連する開示内容はない。
【0013】
従来、CFC−12(ジフルオロジクロロメタン)およびCFC−11(トリクロロフルオロメタン)などのクロロフルオロカーボン(CFC)化合物、HCFC−22、(クロロジフルオロメタン)、HCFC−141b(1、1−クロロ−1−フルオロエタン)、およびHCFC−142b(1−クロロ−1、1−ジフルオロエタン)などのヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)化合物は、ポリスチレン(XPS)押出発泡体などの熱可塑性発泡体の製造に好ましい発泡剤であった。しかしながら、オゾン層破壊化合物の問題のため、および成層圏のオゾン層を保護するためのモントリオール議定書の採択で、オゾン層を破壊するCFCおよびHCFC発泡剤の代わりとなる非オゾン層破壊化合物を特定することが必要とされていた。熱可塑性材料の発泡のための発泡剤組成物におけるHFC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、HFC−32(ジフルオロメタン)、またはHFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)などの新規な代替物の開発にフルオロカーボン産業は成功を収めた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004089839号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004119047号明細書
【特許文献3】国際公開第2004/037913号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2007100010号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2006243944号明細書
【特許文献6】米国特許第6,858,571号明細書
【特許文献7】国際公開第2004/037742号パンフレット
【特許文献8】米国特許第5,205,956号明細書
【特許文献9】米国特許第4,085,073号明細書
【特許文献10】GB950,876号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Sanchez and Rogers(1990)「Solubility of gases in Polymers」Pure Appl Chem 62(11):2107−2114
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
HFCは成層圏のオゾンを破壊しないが、一般に高い地球温暖化係数(GWP)を有する。気候変動および地球温暖化についての問題が、熱可塑性材料の発泡のための発泡剤組成物において有用な低GWP、非オゾン破壊化合物の開発の重要性を高めている。
【0017】
さらに、断熱性発泡体の製造において、高い、長期間のR値(断熱値)を維持する低密度発泡製品を有することが望まれている。HFC−134aは長期間のR値を提供することができるが、HCFC−142bまたはCFC−12を使用した場合と同じ低密度に、発泡体製品を製造するのにはポリスチレンへの可溶性が十分ではない。HFC−134aも非常に高い造核密度を有し、その結果、HFC−134aで製造された発泡体は非常に細かい気泡構造を有する傾向がある。HFC−152aおよびHFC−32を使用して、HFC−134aの場合よりも大きな気泡サイズを有する低密度発泡体を製造することができるが、ポリスチレンにおけるその拡散係数が高い結果、老化が早く、かつ同じ長期間のR値を保持しない発泡体が形成される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、不飽和ハロゲン化ヒドロオレフィン、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO1243zfまたはTFP)をベースとする、オゾン破壊がごくわずかであり、かつGWPが低い発泡剤の使用、特に、重要な成分を含有する、または主にTFPである発泡剤の組み合わせの使用に関する。本発明では、断熱性発泡体として使用することができる、低減された密度および向上したKファクターを有する発泡体の製造に有用な発泡剤および発泡性樹脂組成物を開示し、その発泡剤組成物は、使用可能な発泡体の製造に必要とされる適切な可塑化度を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい実施形態は、単独での、または組み合わせでの、主に不飽和ハロゲン化ヒドロオレフィン、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO1243zfまたはTFP)の発泡剤組成物である。樹脂に対して発泡剤組成物約1pph〜約100pph(樹脂に対するpph(parts per hundred))、好ましくは約2pph〜約40pph、さらに好ましくは約3pph〜約25pph、またさらに好ましくは約4pph〜約15pphの量で、発泡体へと形成される熱可塑性樹脂に主に3、3,3−トリフルオロプロペン発泡剤を添加する。
【0020】
本発明者らは、3,3,3−トリフルオロプロペン(TFPまたはHFO−1243zf)が、熱可塑性樹脂、特にポリスチレンに対して意外にも優れた発泡剤であることを発見した。TFPは、ごくわずかなODPおよびGWP、優れた予備毒性プロファイル、および発泡に望ましいエアロゾル特性を有する。TFPはポリスチレンへの意外に高い溶解性および低い拡散係数を有し、そのためポリスチレン押出発泡体の製造に特に魅力的な発泡剤となることが発見された。さらに、ポリスチレン発泡に使用される場合、TFPはHFC−134aよりもかなり低い造核密度(nucleating density)を有することが発見された。これにより、発泡剤としてTFPを使用する場合に、タルクなどの使用される核剤のレベルを調節することによって、発泡体セル構造を制御することが可能となる。
【0021】
ポリマー発泡に使用されるその可能性の決定に、物理的発泡剤の溶解性の重要性はよく知られており、特に:Daigneault LEら(1998)「Solubility of Blowing Agents HCFC−142b,HFC 134a,HFC 125 and Isopropanol in Polystyrene」J Cell Plast 34:219−230.Vachon C(2005)「Research on Alternative Blowing Agents」in Thermoplastic Foam Processing:Principles and Development.R Gendron,ed.CRC Press.Gorski RAら(1986)「Physical Properties of Blowing Agent Polymer Systems−I.Solubility of Fluorocarbon Blowing Agents in Thermoplastic Resins」J Cell Plast 22:21−52などの文献に述べられている。発泡剤は、目的の発泡体密度を達成するのに十分な量で樹脂に組み込むために、加工温度および加工圧力にて樹脂に十分可溶性でなければならない。
【0022】
発泡剤およびポリマーの物理的性質が発泡剤の溶解性を左右し、発泡剤とポリマーの相互作用が二次的な役割を果たしていることも示されている。異なる発泡剤の樹脂への溶解性は通常、純粋成分の発泡剤の沸点に合わせて、または純粋成分の蒸気圧と逆に傾くことが示されている(蒸気圧は、標準沸点が高くなるに従って減少する傾向があるため)。参考文献例としては:Daigneault LEら(1998)「Solubility of Blowing Agents HCFC−142b,HFC134a,HFC125 and Isopropanol in Polystyrene」J Cell Plast 34:219−230.Vachon C(2005)「Research on Alternative Blowing Agents」in Thermoplastic Foam Processing:Principles and Development.R Gendron,ed.CRC Press.Sato Yら(2000)「Solubility of Hydrofluorocarbon(HFC−134a,HFC−152a)and Hydrochlorofluorocarbon(HCFC−142b)Blowing Agents in Polystyrene」Polym Eng Sci 40:1369−1375が挙げられる。TFPは、他の関連する化合物、すなわちフッ化プロペン、例えばHFO−1225yeおよびHFO−1234zeおよび高沸点ビニルフルオロアルカンと比較して、ポリスチレンとの意外に高い溶解性および優れた起泡性を有することが分かった。
【0023】
熱可塑性樹脂における発泡剤の拡散係数は、発泡プロセスにおいて一役割を担うだけでなく、発泡製品がどのように老化するのかに関しても極めて重要である。独立気泡の断熱性発泡体については、気泡内に気体を留まらせて長期間の断熱性能を得るために、発泡剤がポリマーにおいて非常に低い拡散係数を有することが重要である。発泡体からの発泡剤の浸透率が高い(いわゆる、「一時的な」発泡剤)場合、発泡体は、急速に老化し、その断熱性能を失うだろう。これは、断熱性ポリスチレン発泡体の製造に、HFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)、HCFC−22(クロロジフルオロメタン)、または二酸化炭素が使用される欠点である(Vo C(2004)「An Evaluation of the Thermal Conductivity of Extruded Polystyrene Foam Blown with HFC−134a or HCFC−142b」J Cell Plast 40:205−228参照)。TFPは、HCFC−142bまたはHFC−134aに類似のポリスチレンにおける熱伝導率および拡散係数を有することが分かり、したがって、長期間の優れた断熱性能を有する低密度の独立気泡発泡体の製造に有用であるはずである。これは、HFC−134aまたはHFC−152aを超える利点であり、134aは低密度発泡体を製造するには十分に可溶性ではなく、152aは長期間の優れたR値を得るには放出性が高すぎることから、一般には密度およびR値に関して妥協しなければならない。
【0024】
ポリスチレンを発泡する場合に、TFPは気泡サイズに関していくらかの制御をもたらすことも発見された。それと対照的に、HFC−134aでは、造核能力が高いために大きな気泡サイズを有する低密度発泡体を製造することが難しいことが知られている(Vachon(2005)に示されるように)。気泡に関して、かつHFC−134aで発泡された発泡体で頻繁に見られる大きな気泡サイズを有する発泡体を製造する能力に関しての制御は、断熱性と圧縮強さなどの機械的性質とのバランスをとるのに重要である(Suh KW,Paquet AN(2003)「Rigid Polystyrene Foams and Alternative Blowing Agents」in Modern Styrenic Polymers:Polystyrenes and Styrenic Copolymers.J Scheirs,DB Priddy,ed.John Wiley & Sons参照)。HFC−134aで発泡された発泡体と比較して、向上した気泡サイズを有する独立気泡の断熱性発泡体を製造するのにTFPが有用であることが分かった。
【0025】
本発明の3,3,3−トリフルオロプロペン発泡剤組成物は、炭化水素、ハロゲン化飽和アルカン、ハロゲン化不飽和アルカン、ヒドロフルオロエーテル(HFE)、ケトン、フルオロケトン、大気ガス、不活性ガス、二酸化炭素、ギ酸メチル、アルコール、トランス−1,2−ジクロロエチレン、CF3SCF3、水、またはそれらの混合物などの共発泡剤および/または添加剤と組み合わせることができる。
【0026】
ハロゲン化飽和アルカンは、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、例えばHFC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、HFC−134(1,1,2,2−テトラフルオロエタン)、HFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)、HFC−152(1,2−ジフルオロエタン)、HFC−32(ジフルオロメタン)、HFC−143a(1,1,1−トリフルオロエタン)、HFC−143(1,1,2−トリフルオロエタン)、フルオロエタン、HFC−236fa(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン)、HFC−236ea、HFC−227ea(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)、HFC−125(ペンタフルオロエタン)、HFC−365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)、HFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン)、およびそれらの混合物であることができる。
【0027】
HFOは、HFO−1234ze(1,3,3,3−テトラフルオロプロペン)、HFO−1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロプロペン)、HFO−1225ye(1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン)、HFO−1225zc(1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン)、HFO−1438mzz(1,1,1,4,4,5,5,5−オクタフルオロペンタ−2−エン)、HFO−1336mzz(1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−2−エン)、およびそれらの混合物であることができる。HCFOは、HCFO−1233zd(1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)、HCFO−1233xf(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)、ジクロロフッ化プロペン、およびそれらの混合物であることができる。
【0028】
炭化水素は、シクロペンタン、標準ペンタン、ネオペンタン、イソペンタン、イソブタン、標準ブタン、またはそれらの混合物などのC3〜C6炭化水素であることができる。大気ガスは窒素であることができる。不活性ガスは、ヘリウム、アルコン、およびそれらの混合物であることができる。アルコールは、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、メタノール、ブタノール、エチルヘキサノール、およびそれらの混合物であることができる。
【0029】
染料、顔料、気泡制御剤、充填剤、酸化防止剤、押出し成形助剤、安定剤、帯電防止剤、難燃剤、赤外線減衰剤(IR attenuating agent)、断熱性添加剤、可塑剤、粘度調整剤、耐衝撃性改良剤、気体遮断樹脂、カーボンブラック、界面活性剤、およびそれらの混合物などの更なる発泡体添加剤を発泡性樹脂に添加して、発泡体の一部にすることができる。
【実施例】
【0030】
実施例1〜10:ポリスチレンにおける気体の溶解性および拡散係数
Hadj Romdhane,Ilyess(1994)「Polymer−Solvent Diffusion and Equilibrium Parameters by Inverse Gas−Liquid Chromatography」PhD Dissertation,Dept.of Chem.Eng.,Penn State University and Hong SU,Albouy A,Duda JL(1999)「Measurement and Prediction of Blowing Agent Solubility in Polystyrene at Supercritical Conditions」Cell Polym 18(5):301−313に記載のように、キャピラリーカラム逆ガスクロマトグラフィー(cc−IGC)を用いて、ポリスチレン樹脂における気体の溶解性および拡散係数を測定した。
【0031】
厚さ3ミクロンのポリスチレン内部フィルムコーティングを有する、長さ15m、直径0.53mmのGCキャピラリーカラムを作製した。水素炎イオン化検出器を備えたヒューレットパッカード(Hewlet Packard)5890シリーズIIガスクロマトグラフにカラムを取り付けた。標準ガスとしてメタンを使用し、参考文献に示される方法に従って、試験されるガスの溶離プロファイルを分析した。この結果から、ポリマーを通したガスの拡散係数Dp、ポリマー相におけるガスの濃度と気相におけるガスの濃度との比である分配係数Kによるポリマーにおけるガスの溶解性が得られる。その結果、樹脂における特定のガスのK値が高くなるほど、樹脂におけるその溶解性が高くなる。
【0032】
表1は、140℃でのポリスチレンにおける数種類の気体の分配係数および拡散係数の値を示す。比較例1〜4は、ポリスチレン(PS)におけるHCFC−142b(1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン)、HFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)、HFC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、およびHFC−143a(1,1,1−トリフルオロエタン)の溶解性および拡散係数を示す。実施例5〜9は、HFO−1243zf(3,3,3−トリフルオロプロペン)、HFO−1234ze(1,3,3,3−テトラフルオロプロペン)、HFO−1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロプロペン)、HFO−1225ye(1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン)、HFO−1345zfc(3,3,4,4,4−ペンタフルオロブタ−1−エン)、(E)−HFO−1336((E)−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−2−エン)、およびHFO−1447(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンタ−1−エン)の溶解性および拡散係数を示す。
【0033】
実施例9〜11に関しては、HFO−1345zfc、(E)−HFO−1336、およびHFO−1447のGC溶離時間は、標準化合物メタンの溶離時間と非常に近く、KおよびDpの値は計算できなかった。これは、カラムの固定相に非常に低い溶解性の化合物に、この場合にはポリスチレンに特有である。
【0034】
【表1】

【0035】
HFO−1243zfが、HFO−1234ze、HFO−1225ye、HFO−1345zfc、(E)−HFO−1336、またはHFO−1447より低い沸点を有するにもかかわらず、ポリスチレンにおけるHFO−1243zfの溶解性は、HFC−134aまたは試験された他のHFOよりも高いことが分かった。関連する化合物に関して、樹脂における気体の溶解性が沸点に合わせて傾くことが予想され、その結果、沸点が低い気体ほど、樹脂における溶解性も低くなることが知られていることから、このことは意外である。沸点が低下するに従ってポリスチレンにおけるHFCの溶解性が減少するという点から、この挙動は比較例2〜4で示されている。さらに、ポリスチレンにおける1243zfの拡散係数は非常に低く、142bおよび134aの拡散係数と類似していることが分かった。これは、HFO−1243zfが、その溶解性が優れているため、ポリスチレンの好ましい発泡剤であり、かつその拡散係数が低いために長期間のR値を提供することができることを意味している。
【0036】
発泡体の押出し成形
実施例12〜31
バレル内径27mm、バレル長さ40直径を有する逆回転二軸スクリュー押出機を使用して、ポリスチレン押出発泡体を製造した。スクリューデザインは、発泡用途に適していた。押出機バレル内の圧力は歯車ポンプで制御し、押出機内で発泡剤が溶解するように十分に高く設定した。大部分の実施例の押出ダイは、ギャップ幅6.35mmを有する調節可能なリップスロットダイであった。実施例12〜14では、ダイは、ランド長さ1mmを有する直径2mmのストランドダイであった。2種類のグレードの汎用ポリスチレンを押出し成形試験に使用し、速度2.27または4.54kg/時(5または10lb/時)で押出機に供給した。高圧送達ポンプを使用して、制御速度でポリスチレン樹脂溶融物に発泡剤をポンプで注入した。押出機内で発泡剤を混合し、樹脂溶融物に溶解して、発泡性樹脂組成物を生成する。その発泡性樹脂組成物を適切な発泡温度に冷却し、次いでダイから押出し成形し、そこで圧力の低下により発泡が開始される。一部の実施例において、核剤としてタルクを使用し、ポリスチレンと予めブレンドし、ポリスチレン中タルク50重量%のマスターバッチを生成した。このマスターバッチのビーズをポリスチレンペレットと混合し、各実験において所望のタルク重量%を達成した。
【0037】
携帯用ハロゲン化炭素検出器を使用して、樹脂供給口から、インジェクターまたは圧力変換器開口部周辺、アダプターフランジにおいてなど、押出機から発泡剤が著しく漏れていないかを確認した。押出機から発泡剤が著しく漏れると、添加される発泡剤の量の配合が不確実となり、その量が過剰に推定される結果となる。すべての実施例において、発泡剤の漏れは検出されなかった。
【0038】
各実施中に回収された発泡体試料について、その密度、連続気泡含有率、および気泡サイズを測定した。密度はASTM D792に従って測定し、連続気泡含有率は、ASTM D285−Cに従ってガス比重びん法を用いて測定し、気泡サイズは、発泡体試料破壊表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から気泡直径を平均することによって測定した。気泡構造を観察し、かつ連続気泡含有率を定性的に調べるためにも、SEM画像が用いられる。表2は、配合物における各発泡剤の添加率、樹脂供給速度、樹脂のメルトフローインデックス、樹脂におけるタルク核剤の濃度、発泡性樹脂溶融温度、および得られた発泡製品の密度、気泡サイズ、ならびに連続気泡含有率など、実施例12〜31のデータを示す。これらの実施例の詳細を以下に記載する。
【0039】
【表2】

【0040】
比較例12〜14:HFC−134aで発泡された発泡体
発泡剤としてHFC−134aを使用して、比較例12〜14を製造した。実施例13および14において、134aの重量%を6.4重量%に維持し、タルク含有率をポリスチレン樹脂中で0%〜0.5%に調節した。実施例12〜14の発泡体は、核剤が使用されない場合でさえ気泡サイズが約0.15mm未満になる傾向がある点から、134aで発泡された発泡体に一般的なものであり、このことから、134aを唯一の発泡剤として使用した場合には気泡サイズを制御するのは難しいことが示されている。未溶解の発泡剤が、ブローホール、大きな空洞、または発泡体のつぶれなど発泡体における深刻な欠陥の原因となることから、配合物中に7重量%を超える134aを使用して、この押出し成形システムでポリスチレン押出発泡体を製造することは難しいことが分かった。この挙動は、HFC−134aでのポリスチレンの発泡に一般的である。
【0041】
実施例15〜17:TFPで発泡された場合の核剤の効果
実施例15〜17において、各場合に4.1重量%添加して、TFPを唯一の発泡剤として使用した。タルクのレベルは、樹脂中で0〜2.5重量%に調節した。実施例15および16を比較すると、ほんのわずかな核剤が、発泡製品の密度および気泡サイズに劇的に影響を与え得ることが示されている。さらに、実施例16に見られるように、より多くの核剤を添加して、さらに密度および気泡を減少させることが可能である。発泡体を製造する場合、発泡製品の物理的性質および輸送量に劇的に影響を与え得るため、気泡構造の制御は非常に重要である。
【0042】
実施例18〜24:TFPで発泡された発泡体
溶融温度124℃で押出し成形された実施例24を除いては、実施例18〜24は、様々なTFP添加率、樹脂溶融温度115℃+/−2℃で製造された、TFPで発泡された発泡製品を示す。発泡剤として134aを使用して製造された場合よりも、TFPを使用して、優れた品質、独立気泡の低密度発泡体が製造された。TFP8.5重量%を使用した実施例21は、時折発生する欠陥を除いては、小さな気泡サイズの優れた品質の発泡体を有した。実施例で示されるように、TFPを使用した場合、独立気泡発泡体を製造するのがより簡単であることを除いては、これは時折欠陥を示した比較例13および14の場合と同様である。
【0043】
実施例25〜27:134aと併せたTFP
共発泡剤としてHFC−134aおよびTFPを使用して、実施例25〜27を発泡した。実施例26と実施例27の差は、実施例26の製造において核剤を使用しなかったことであり、実施例26は比較的小さな気泡を有する膜と共に非常に大きな気泡を中心に有し、気泡サイズが非均一で密度が高かった。実施例27における更なる核剤によって、均一な気泡サイズを有する、より低い密度の発泡体を製造することが可能となった。これらの実施例から、発泡剤総含有率が約5重量%である場合、実施例26および27においてタルクを添加する効果で実証されているように発泡をさらに制御することが可能となる点で、主要成分として使用されなくとも、共発泡剤としてTFPを添加する利益が示されている。
【0044】
実施例28および29:共発泡剤と併せたTFP
実施例28において、TFPと共に二酸化炭素を共発泡剤として使用し、実施例29においてHCFO−1233zd(主にトランス異性体)を共発泡剤として使用した。どちらの実施例においても、大きな気泡サイズを有する低密度の独立気泡発泡体が製造された。
【0045】
実施例30および31:HFO−1234yf
実施例30および31において、発泡剤は、本質的に純粋なHFO−1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロプロペン)であった。実施例31に示されるように、1234yf添加率6.5重量%にて、発泡製品は、非常に小さな気泡サイズ、マクロボイド、ブローホール、高い連続気泡含有率、および未溶解発泡剤により起こるダイでの頻繁なポッピングを有した。1234yfの含有率が増加すると、これらの問題が悪化した。樹脂への溶解性が高く、低密度、良品質の発泡体を製造することが可能であることから、TFPは、HFO−1234yfと比較して好ましい発泡剤であることが分かった。
【0046】
本発明の他の実施形態は、樹脂に対して約1pphを超え約100pph未満の発泡剤組成物、好ましくは約2pphを超え約40pph未満、さらに好ましくは約3pphを超え約25pph未満、またさらに好ましくは樹脂に対して約4pphを超え約15pph未満の発泡剤組成物を含有する発泡性樹脂組成物である。
【0047】
熱可塑性発泡製品を製造する方法は以下のとおりである。発泡性ポリマー組成物を含む成分を任意の順序で共にブレンドすることによって、発泡性ポリマー組成物を調製する。典型的には、ポリマー樹脂を可塑化し、次いで初期圧力で発泡剤組成物の成分中でブレンドすることによって、発泡性ポリマー組成物を調製する。ポリマー樹脂を可塑化する一般的な方法は、熱可塑化であり、発泡剤組成物中でブレンドするのに十分に軟化させるために、ポリマー樹脂を十分に加熱することを含む。一般に、熱可塑化は、結晶質ポリマーに関しては、そのガラス転移温度(Tg)または溶融温度(Tm)付近またはその温度を超えて、熱可塑性ポリマー樹脂を加熱することを含む。
【0048】
発泡性ポリマー組成物は、核剤、気泡制御剤、染料、顔料、充填剤、酸化防止剤、押出し成形助剤、安定剤、帯電防止剤、難燃剤、赤外線減衰剤および断熱性添加剤などの更なる添加剤を含有し得る。核剤としては、特に、タルク、炭酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、および化学発泡剤、例えばアゾジカーボンアミドまたは重炭酸ナトリウムおよびクエン酸などの材料が挙げられる。赤外線減衰剤および断熱性添加剤としては、特にカーボンブラック、グラファイト、二酸化ケイ素、金属フレークまたは粉末が挙げられる。難燃剤としては、特にヘキサブロモシクロデカンおよびポリ臭化ビフェニルエーテルなどの臭化材料が挙げられる。
【0049】
本発明の発泡体製造方法としては、バッチ式、セミバッチ式、および連続プロセスが挙げられる。バッチプロセスは、貯蔵可能な状態で発泡性ポリマー組成物の少なくとも一部を調製し、次いで、その後のある時点で発泡性ポリマー組成物のその部分を使用して、発泡体を製造することを含む。
【0050】
連続プロセスは、発泡性ポリマー組成物を形成し、次いで中断することなく発泡性ポリマー組成物を発泡することを含む。例えば、ポリマー樹脂を加熱して溶融樹脂を形成することによって、発泡性ポリマー組成物を押出機内で調製し、初期圧力にて発泡剤組成物を溶融樹脂にブレンドし、発泡性ポリマー組成物を形成し、次いで発泡圧力にて発泡性ポリマー組成物をダイに通してある領域内に押出し成形し、発泡性ポリマー組成物を発泡させて発泡体を形成する。望ましくは、発泡体の特性を最適化するために、発泡剤を添加した後およびダイを通して押出し成形する前に、発泡性ポリマー組成物を冷却する。例えば、熱交換器で発泡性ポリマー組成物を冷却する。
【0051】
本発明の発泡体は、シート、厚板、ロッド、チューブ、ビーズまたはそのあらゆる組み合わせを含む、想定可能な任意の形状であることができる。互いに結合される、区別可能な複数の縦方向発泡体部材を含むラミネート発泡体が本発明に包含される。
【0052】
本発明は、具体的な実施形態を参照して本明細書で説明および記述されているが、添付の特許請求の範囲が、示される詳細に限定されることを意図するものではない。むしろ、当業者によって、これらの詳細に種々の修正形態が加えられることが期待され、その修正形態は、請求される主題の趣旨および範囲内にあり、これらの特許請求の範囲はそれに対応して構成されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3、3,3−トリフルオロプロペンを含む熱可塑性発泡体を製造するための、発泡剤組成物。
【請求項2】
約10重量%を超える3,3,3−トリフルオロプロペンを含む、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項3】
約20重量%を超える3,3,3−トリフルオロプロペンを含む、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項4】
約30重量%を超える3,3,3−トリフルオロプロペンを含む、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項5】
約40重量%を超える3,3,3−トリフルオロプロペンを含む、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項6】
約50重量%を超える3,3,3−トリフルオロプロペンを含む、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項7】
炭化水素、ハロゲン化飽和アルカン、ハロゲン化不飽和アルカン、ヒドロフルオロエーテル(HFE)、不飽和ヒドロフルオロエーテル、ケトン、フルオロケトン、大気ガス、不活性ガス、二酸化炭素、ギ酸メチル、アルコール、トランス−1,2−ジクロロエチレン、CF3SCF3、水、またはそれらの混合物をさらに含む、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項8】
前記ハロゲン化飽和アルカンが、ヒドロフルオロカーボン(HFC)である、請求項7に記載の発泡剤組成物。
【請求項9】
前記HFCが、HFC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、HFC−134(1,1,2,2−テトラフルオロエタン)、HFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)、HFC−152(1,2−ジフルオロエタン)、HFC−32(ジフルオロメタン)、HFC−143a(1,1,1−トリフルオロエタン)、HFC−143(1,1,2−トリフルオロエタン)、フルオロエタン、HFC−236fa(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン)、HFC−236ea、HFC−227ea(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)、HFC−125(ペンタフルオロエタン)、HFC−365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)、HFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求8に記載の発泡剤組成物。
【請求項10】
前記ハロゲン化不飽和アルカンが、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の発泡剤組成物。
【請求項11】
前記HFOが、HFO−1234ze(1,3,3,3−テトラフルオロプロペン)、HFO−1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロプロペン)、HFO−1225ye(1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン)、HFO−1225zc(1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン)、HFO−1438mzz(1,1,1,4,4,5,5,5−オクタフルオロペンタ−2−エン)、HFO−1336mzz(1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−2−エン)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の発泡剤組成物。
【請求項12】
前記HCFOが、HCFO−1233zd(1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)、HCFO−1233xf(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の発泡剤組成物。
【請求項13】
前記炭化水素が、C3〜C6炭化水素である、請求項7に記載の発泡剤組成物。
【請求項14】
前記アルカンが、シクロペンタン、標準ペンタン、イソペンタン、イソブタン、標準ブタン、またはそれらの混合物から選択される、請求項13に記載の発泡剤組成物。
【請求項15】
前記大気ガスが、窒素である、請求項7に記載の発泡剤組成物。
【請求項16】
前記不活性ガスが、ヘリウム、アルゴン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の発泡剤組成物。
【請求項17】
前記アルコールが、エタノール、イソプロパノール、エチルヘキサノール、メタノール、ブタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の発泡剤組成物。
【請求項18】
熱可塑性樹脂と、3,3,3−トリフルオロプロペンを含む発泡剤組成物とを含む発泡性樹脂組成物。
【請求項19】
前記熱可塑性樹脂に対して、約100pph未満の前記発泡剤組成物を含む、請求項18に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項20】
前記熱可塑性樹脂に対して、前記発泡剤組成物を約1pph〜約100pph含む、請求項18に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項21】
前記熱可塑性樹脂に対して、前記発泡剤組成物を約2pph〜約40pph含む、請求項18に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項22】
前記熱可塑性樹脂に対して、前記発泡剤組成物を約3pph〜約25pph含む、請求項18に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項23】
前記熱可塑性樹脂に対して、前記発泡剤組成物を約4pph〜約15pph含む、請求項18に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項24】
前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンを含む、請求項18に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項25】
前記ポリオレフィンが、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項24に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項26】
核剤をさらに含む、請求項18に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項27】
前記核剤がタルクである、請求項26に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項28】
前記タルク含有率が、樹脂中で約2.5重量%未満である、請求項27に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項29】
染料、顔料、気泡制御剤、充填剤、酸化防止剤、押出し成形助剤、安定剤、帯電防止剤、難燃剤、赤外線減衰剤、断熱性添加剤、可塑剤、粘度調整剤、耐衝撃性改良剤、気体遮断樹脂、カーボンブラック、界面活性剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される添加剤をさらに含む、請求項18に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項30】
請求項1に記載の発泡剤組成物で製造される発泡製品。
【請求項31】
密度90kg/m3未満、独立気泡含有率約20%未満、平均気泡サイズ約0.05mm〜1.0mmを有する、請求項27に記載の発泡製品。
【請求項32】
密度70kg/m3未満、独立気泡含有率約10%未満、平均気泡サイズ約0.05mm〜0.40mmを有する、請求項27に記載の発泡製品。
【請求項33】
請求項27に記載の発泡製品を製造する方法。

【公表番号】特表2010−522816(P2010−522816A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501240(P2010−501240)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/058592
【国際公開番号】WO2008/121776
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(500307340)アーケマ・インコーポレイテッド (119)
【Fターム(参考)】