説明

熱安定性フレーバー組成物

本発明の一態様は、組成物の合計質量に対して、0.1〜40質量%のフレーバー物質と、10〜90質量%の1又は2以上の親水コロイドと、0.1〜50質量%の75℃より高い融点を有する脂肪性物質とを含む、微粒子フレーバー組成物に関する。これらの組成物は、食品(飲料を含む)、1又は2以上の加熱工程のステップを含む調製、及びチューインガムなどの菓子製品における適用に特に適している。本発明の別の態様は、微粒子フレーバー組成物の生産方法、かかるフレーバー組成物を含む食品、及び復元可能な食品の製造工程に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品組成物のフレーバーの分野に関する。さらにとりわけ本発明は、例えば、水分と酸化に対する保護を提供するための、揮発性のフレーバー物質のカプセル化と、特に食品調製における使用条件下での、カプセルに含まれるフレーバー物質のコントロールされた放出とに関する。本発明によるカプセル化は、チューインガムのみならず、調製に1又は2以上の加熱工程を含む食品(飲料を含む)への適用に特に適している。
【背景技術】
【0002】
カプセル化システムは、フレーバー業界の興味ある重要な研究分野であり、2つの目的を達成することを通常意図している。
【0003】
第一の目的は、かかるシステムにおいて、封入された(entrapped)フレーバー成分を保護することである。実際、これらのシステムは、カプセル化された活性物質をいろいろな種類の劣化から保護し、同時に特に揮発性のフレーバー構成要素が漏出することを防止しなければならない。エッセンシャルオイルなどのフレーバーの酸化は、オフノートをもたらし、フレーバー及び食品業界に深刻な問題を引き起こすものである。
【0004】
フレーバーカプセル化システムのもう1つの共通の目的は、フレーバー成分が適用されている食品の調製、及び/又は摂取時にフレーバー成分の放出をコントロールすることである。特に、フレーバー成分が揮発性である場合、前記放出を効果的にコントロールすることは、一般的に非常に重要である。
【0005】
国際公開第01/35764号パンフレットは、乾式貯蔵の間のフレーバーの安定化(特に酸化防止は、かんきつ系の構成要素において重大である)と、フレーバーの保持を増強することに関連している。40〜80質量%の高分子量の被膜形成炭水化物(film forming carbohydrate)、10〜30質量%のモノサッカライド、ジサッカライド、及び/又はトリサッカライド、並びに10〜30質量%のマルトデキストリンを包含する、スプレードライされた粒子(particles)を含むフレーバー搬送システム(flavour carrier system)は、水と接触するとすばやく溶解し、含まれているフレーバー成分がすばやく放出されるように設計されている。
【0006】
国際公開第02/065858号パンフレットは、モノサッカライド、ジサッカライド、及びトリサッカライド、加工デンプン(modified starches)、並びに/又はマルトデキストリンなどの炭水化物と、1〜7質量%のプレハイドレイトされた寒天とを含む粒状のフレーバー運搬システム(flavour delivery system)について記載している。この運搬システムは、水の存在下で再水和し、油滴の形態でフレーバーを物理的に封入する寒天−炭水化物ゲルを形成する。
【0007】
例えば調理中に、フレーバーインパクトを維持するために、水中のマトリックスの溶解速度を減じる難溶性の親水コロイドを含む炭水化物マトリックスの中にフレーバーを包含すると改善を示すが、いったん担体マトリックス(carrier matrix)が溶解してしまうと、フレーバー成分のすばやい放出を防ぐものではない。親油性フレーバー物質の蒸気圧を改変するためと、結果的にこれらの物質が放出される速度を改変し、ワックス、脂質、オイル、脂肪酸、及びこれらの誘導体を水性食品に組み込むことができることは、当業界ではよく知られている。水と脂質を含む食品において、フレーバー物質は、以下に定義される油/水分配係数により表現される平衡状態を達成するまで、水相と油相を越えて分配される。
【0008】
【数1】

【0009】
スープやソースなどの典型的な水性食品システムにおいて、比較的多量のフレーバー物質が水相に溶解する。これらの揮発性フレーバー物質は圧倒的に親油性性質のため、かかる水性食品システムへ脂質の添加は、(a)水相における親油性フレーバー物質の濃度と、(b)かかる同じ物質の蒸気圧と、ゆえにまた(c)親油性フレーバー物質の放出速度とを、実質的に減ずるものである。この原理は、例えば最終乾燥製品におけるフレーバーの保持を増強するために、水溶液からよりもむしろ、水中油型乳剤(oil-in-water emulsions)から乾燥フレーバーを調製する慣行において適用されている。
【0010】
水性食品組成物における固体の脂質相の使用は、おそらく液体の脂質相を使用する場合と比較して拡散速度が減少するため、より効果的なフレーバーの保持を可能にすると示唆されてきた。
【0011】
米国特許出願第2002/0192352号は、高融点脂質の層と、乾燥成分と、別の高融点脂質の層とでサンドイッチを形成し、かかるサンドイッチを加圧することで作製される脂質カプセル化組成物について開示している。乾燥成分は、液体フレーバーなどの液体成分から、アラビアガム、デンプン、若しくはマルトデキストリンなどの担体を液体フレーバーにより湿らす(moistening)ことにより調製される。前記担体は、この米国特許出願によると、カプセル化組成物の最大25質量%を構成する。製品は、ペレットの形態であり、乾燥成分は、高融点脂質が圧縮された層により覆われている。
【0012】
米国特許第5064669号は、高融点脂質若しくはワックスと、1又は2以上の乳化剤との溶解物と、テクスチャー品質改良剤(texture conditioning agent)を含む含水(water-containing)フレーバー組成物とを混合し、その後得られた混合物を冷却してパウダーを生じさせることとにより得られる、放出がコントロールされたフレーバーパウダーを開示している。前記テクスチャー品質改良剤は、二酸化ケイ素、粉末セルロース、膨張したデキストリン(puffed dextrin)、マルトデキストリン、アルファ化デンプンを含み、かかる改良剤は、含水フレーバー組成物を吸収、又は保持をする。結果として生じたパウダーは、それゆえ粒子を含み、テクスチャー品質改良剤の核が、脂肪と乳化剤の固化した層に包まれた(enrobed)含水フレーバーを運ぶことを特徴とする。米国特許第5064669号によるフレーバー組成物は、電子レンジ調理で使用するために特に設計され、電子レンジ調理中にフレーバーの放出をコントロールするためには、少なくとも15質量%の水を含むことが不可欠である。
【特許文献1】国際公開第01/35764号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/065858号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願第2002/0192352号
【特許文献4】米国特許第5064669号
【非特許文献1】Source Book of Flavour, Aspen, 1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、文献(Source Book of Flavour, Aspen,1999参照)で報告されているように、固体の脂質カプセル化システムは、乾式貯蔵の条件下では、特にフレーバー物質が疎水性である場合には、フレーバー物質を効果的に保護しない。実際、かかる条件下では、固体の脂質の結晶構造はフレーバーを保持できず、典型的な炭水化物カプセル化システムと比較して、貧弱な効果しか達成しない。
【0014】
それゆえ、1又は2以上の加熱工程を含む水性食品に、フレーバーの保持の改善を提供し、同時にフレーバーカプセルの長期にわたる乾式貯蔵を可能にする、フレーバー物質を十分に封入し、保護するフレーバーカプセル化システムについての要求は、依然として満たされていない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、驚くべきことに、組成物の合計質量に対して、0.1〜40質量%のフレーバー物質と、10〜90質量%の1又は2以上の親水コロイドと、0.1〜50質量%の75℃より高い融点を有する脂肪性物質(lipid material)とを含む、微粒子フレーバー組成物(particulate flavouring composition)を提供することでこの目的を達成することができることを見い出した。
【発明の効果】
【0016】
本発明のフレーバー組成物は、貯蔵中及び処理中に、例えば酸素と水分に対する保護を提供し、さらに、例えば低温殺菌、滅菌、調理及び/若しくは焼付けなどの工程並びに/又は調製中に1回若しくは2回以上の加熱サイクルを含む水性食品への適用に特に適している、好都合なコントロール可能の遅延放出特性を示す。
【0017】
理論にしばられることは望まないが、本発明者らは、本発明の微粒子フレーバー組成物において、1又は2以上の親水コロイドを含むマトリックスに封入される固体高融点脂質要素が、フレーバー担体として機能すると信じている。親水コロイドマトリックスは、フレーバー物質を保持し、組成物の乾式貯蔵の間、酸素及び水分などの環境要因による劣化(degradation)からフレーバー物質を保護する。本発明のフレーバー組成物を、例えば水性食品における水相と組み合わせた場合、親水コロイドは膨張しはじめ、脂質成分とフレーバー物質は、膨張した親水コロイドマトリックスの中に封入されたままである。膨張した粒子が、例えば1又は2以上の加熱のステップの間についに分解すると、脂質要素は、マトリックスから放出されるが、微粒子フレーバー組成物にもともと含まれるフレーバー物質を少なくとも部分的には、保持、保護する。いったん膨張した親水コロイドマトリックスが分解すると、フレーバー物質、特に高融点脂肪性物質に含まれていないフレーバー物質が放出される。
【0018】
本発明のフレーバー組成物における非常に高い融点の脂肪性物質の存在は、この物質に含まれるフレーバー物質が、比較的ゆっくりと放出されるという重要な利点を提供するものである。脂質要素がほとんど完全に溶解した場合にのみ、放出速度は、実質的に加速し、顕著なフレーバーインパクトを生成する。したがって、従来技術のフレーバーデリバリーシステムと比較して、本発明のフレーバー組成物は、特に、暖かく、熱いものへの適用において、典型的に1分から4時間の時間帯を含む、より長く持続するフレーバーの印象を供給することができる。さらに、本発明のフレーバー組成物は、それらが適用されている食品の摂取時まで、完全なフレーバーインパクトの持続時間を遅らせることができるという利点を提供する。加えて、本発明の組成物は、摂取時前後の比較的短い時間の間にフレーバーバーストを提供することができ、それゆえ知覚されるフレーバーインパクトを増強することができる。
【0019】
本発明の微粒子フレーバー組成物は、摂取によりせん断及び連続的な水和作用をうけやすい、例えばチューインガムなどの菓子製品に適用された場合に、親水コロイドが膨張し分解し始め、膨張した粒子が長期間噛んだ後に完全に分解するまで、フレーバー物質を保持する脂質要素が封入された状態であるといった、とりわけ好都合な点を提供することが見い出された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
したがって、第一の態様において、本発明は、組成物の合計質量に対して、0.1〜40質量%のフレーバー物質と、10〜90質量%の1又は2以上の親水コロイドと、0.1〜50質量%の75℃より高い融点を有する脂肪性物質とを含む、微粒子フレーバー組成物に関する。
【0021】
本明細書を通じて、「フレーバーリング(flavouring)」及び「フレーバー(flavour)」という用語は、同義語とみなされ、相互的に使用される。
【0022】
本明細書で使用される「親水コロイド(hydrocolloid)」という用語は、ポリサッカライド、タンパク質、及びこれらの誘導体などの親水性高分子に関し、かかる高分子は、水に分散した場合膨張して、粘性のある分散及び溶液を生成する。親水コロイドの典型的な例として、ゲル化剤及び増粘剤を挙げることができる。
【0023】
フレーバー組成物は、微粒子組成物であり、50〜3000μmの範囲、好ましくは125〜3000μmの範囲、より好ましくは250〜1400μmの範囲、最も好ましくは250〜1000μmの範囲の体積加重平均粒径(volume weighted average diameter)を有する粒子を含むことが好ましい。
【0024】
「体積加重平均粒径」(volume weighted average diameter)という用語は、体積に基づいた粒子の平均粒径に関するもので、ベックマン・コールター(Beckman Coulter)LS粒径分析器を使用して、又は従来の篩分析を用いて、適切に測定できる。
【0025】
本発明のフレーバー組成物は、フレーバーを効果的に封入し、及び/又は前記フレーバー組成物の乾式貯蔵の間や、例えばスープなどのフレーバー組成物が適用されている食品の貯蔵及び加工の間の、その分解を防ぐ。本発明のフレーバー組成物は、食品の加熱工程の間、コントロール可能な遅延をもってフレーバーを放出し、遅延時間は、親水コロイドの相対量と、高融点脂肪性物質の相対量と、前記脂肪性物質の融点とに依存する。親水コロイドマトリックスが分解する速度もまた重要な要因であり、用いられている親水コロイドの性質及びタイプに依存する。
【0026】
本発明で使用されているフレーバーは、概して天然及び合成双方の多様なフレーバー成分を含む。かかるフレーバーは、合成物質及び/又は天然物質を単体で、又は混合物として含むことができる。食品への適用において、適切に使用されうるフレーバー成分は、例えば、S. Arctander, Perfume and Flavor Materials of Natural Origin (Elisabeth, N.J., USA, 1996)、T.E. Furia et al, CRC Fenaroli’s Handbook of Flavor Ingredients, 2nd Ed.(Cleveland, CRC Press Inc., 1975)、及びH.B. Heath, Source Book of Flavors(The Avi Publishing Company Inc., Westport, Connecticut, 1981)に記載されている。
【0027】
本発明によるフレーバー組成物は、液体又は固体の形態であり、水に典型的に不溶性又は難溶性である揮発性又は不安定な構成要素をカプセル化するために有利に使用できる。本発明の微粒子組成物に存在するフレーバーは、例えば、アルデヒド、アセタール、ケトン、テルペン、エステル、ピラジン、及びラクトンなどをフレーバー物質として含むことができる。フレーバーは、前述のフレーバー物質を含む、シトラス、又はハーブ若しくはスパイスのエッセンシャルオイルなどのエッセンシャルオイルを適切に含むことができる。
【0028】
本発明の範疇において使用されるフレーバー物質の例としては、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、リナロール、酢酸リナリル、テトラヒドロリナロール、シトロネロール、酢酸シトロネリル、ジヒドロミルセノール、ジヒドロミルセニルアセテート、テトラヒドロミルセノール、テルピネオール、酢酸テルピニル、ノポル(nopol)、ノピルアセテート(nopylacetate)、2−フェニルエタノール、2−フェニルエチルアセテート、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、ストラリルアセテート(strallyl acetate)、安息香酸ベンジル、アミルサリシレート、ジメチルベンジルカルビノール、トリクロロメチルフェニルカルビニルアセテート、p−tert−ブチルシクロヘクシルアセテート、イソノニルアセテート、ベチベリル酢酸、ベチベロール、α−へキシルシンナミルアルデヒド、2−メチル−3−(p−tert.ブチルフェニル)−プロパナール、2−メチル−3−(p−イソプロピルフェニル)−プロパナール、3−(p−tert.ブチルフェニル)−プロパナール、トリシクロデセニルアセテート、トリシクロ−デセニルプロピオネート、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセンカルボアルデヒド、4−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセンカルボアルデヒド、4−アセトキシ−3−ペンチル−テトラヒドロピラン、3−カルボキシメチル−2−ペンチルシクロペンタン、2−n−ヘプチル−シクロペンタノン、3−メチル−2−ペンチル−2−シクロペンタノン、n−デカナール、n−ドデカナール、9−デセノール−1−オール(dec-9-en-1-ol)、フェノキシエチルイソブチレート(phenoxy-ethyl isobyutyrate)、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタル、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタル、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、酢酸セドリル、3−イソカンフィルシクロヘキサノール、セドリルメチルエーテル、イソロンギフォラノン、オーベピンニトリル、オーベピン、ヘリオトロピン、クマリン、オイゲノール、バニリン、ジフェニルオキサイド、ヒドロキシシトロネラール、イオノン、メチルイオノン、イソメチルイオノン、イロン、シス−3−ヘキセノール、及びそれらのエステル、並びにそれらの混合物が挙げられる。焙焼香への適用に典型的に好まれる別の例として、2−メチル−3−フランチオール、2−エチル−4−メチルチアゾール、2−イソブチル−3−メトキシピラジン、ジメチルジスルフィド、2−アセチルチアゾール、及び2−メルカプト−3−ペンタノンを挙げることができる。
【0029】
フレーバー物質は、組成物の合計質量に対して、0.1〜40質量%、好ましくは1〜30質量%、さらにより好ましくは5〜20質量%の範囲で、本発明の組成物に含まれることが典型である。
【0030】
本発明によれば、脂肪性物質は、ワックス、脂肪酸、脂肪酸の塩、脂肪酸のエステル、及びそれらの混合物から選択される。いったん食品の加熱工程の間に親水性コロイドのマトリックスから放出された場合に固体として残存する脂肪性物質を使用することは、特に好都合である。好ましい実施形態では、例えばステアリン酸塩、又はパルミチン酸塩などのC16からC22の飽和脂肪酸の塩などで、融点が75℃より高く、より好ましくは90℃より高く、最も好ましくは100℃よりも高いことを特徴とする、脂肪酸の塩が使用される。最も好ましい実施形態では、脂肪性物質は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸ナトリウム、及びそれらの混合物から選択される。
【0031】
脂肪性物質が高融点であると、封入されたフレーバーの保護を可能にし、調理中のフレーバーのすばやい放出を防ぐと考えられている。微粒子フレーバー組成物は、組成物の合計質量に対して、0.1〜40質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、最も好ましくは1〜10質量%の脂質を含んでいることが好ましい。高融点脂肪性物質は、図1に示すように、個別要素の形態で親水コロイド中に分散していることが好ましく、0.1〜50μm、より好ましくは0.1〜10μmの範囲のサイズを有することが典型である。食品用途においては不可視であり、食品マトリックスに容易に分散可能であるような、脂質要素のサイズが選択されることが好ましい。
【0032】
高融点の脂肪性物質以外にも、本発明の組成物は、より低い融点の脂質を含んでもよい。本明細書で前述したとおり、水溶液系からの親油性フレーバー物質の放出速度は、脂質の添加により減少する。高融点脂肪性物質と、より低い融点の脂質とを組み合わせて適用することにより、本発明の組成物のフレーバーの放出は、熱いものに適用すると、微粒子組成物は、最初に、より低い融点の脂質に含まれるフレーバー物質を主に放出し、その後遅れて高融点の脂肪性物質に封入されたフレーバー物質が放出されると特徴づけられている。
【0033】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、キサンタン、寒天、ローカストビーンガム、グァーガム、カシアガム、タラガム、トラガントガム(gum tragacanth)、えん麦ガム(oat gum)、カラヤガム(karaya gum)、タラガム、アラビアガム(gum arabic)、ガティガム(gum ghatti)、ポリデキストロース、シクロデキストリン、天然ジェラン(native gellan)、脱アシル化ジェラン(deacylated gellan)、ゼラチン、アルギン酸塩(alginate)、アルギン酸プロピレングリコール(propylene glycol alginate)、ペクチン、カラギーナン、ファーセレラン(furcelleran)、微結晶セルロース(microcrystalline cellulose)、加工ユーケマ藻類(processed eucheuma seaweed)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(sodium carboxymethylcellulose)、メチルセルロース、及びその他の加工セルロース誘導体、天然デンプン(native starch)、加工デンプン、ホエータンパク質、カゼイン塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択される親水コロイドを含む。本発明の組成物は、組成物の合計質量に対して、30〜85質量%、より好ましくは50〜80質量%、最も好ましくは60〜70質量%の親水コロイドを含むことが好ましい。
【0034】
好ましい実施形態によれば、用いられる親水コロイドは、ゆっくりと溶解する親水コロイドである。本明細書で使用される「ゆっくりと溶解する親水コロイド」(slowly dissolving hydrocolloid)という用語は、冷水若しくは熱水に難溶性であるか、又はゆっくりと水和するか、のいずれかである親水コロイドに関する。ゆっくりと溶解する親水コロイドの使用は、微粒子フレーバー組成物に対して、ゆっくりと放出する特徴をさらに好都合に付与する。水性食品において微粒子フレーバー組成物を適用すると、粒子内の親水コロイドマトリックスは、粒子に含まれる個別の脂質要素を封入しながら膨張する。膨張した粒子は、例えば1又は2以上の加熱ステップの間に、ゆっくりとしか分解しない。本発明により使用できるゆっくりと溶解する親水コロイドの適切な例としては、キサンタンガム、ローカストビーンガム、寒天、グァーガム、ジェランガム、アルギン酸塩、ペクチン、及びこれらの混合物を挙げることができる。特に好ましい実施形態によれば、親水コロイドは、キサンタンガムである。
【0035】
別の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、ゆっくりと溶解する親水コロイドに加えて、被膜形成炭水化物を含む。適切な被膜形成炭水化物は、被膜形成アルギン酸塩、植物粘液(mucilages)、加工デンプン、セルロース誘導体、及びこれらの混合物である。被膜形成炭水化物は、加工デンプン、セルロース誘導体、及びそれらの混合物から選択されることが好ましい。被膜形成炭水化物は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン、及びこれらの混合物から選択されることがさらにより好ましい。被膜形成炭水化物は、組成物の合計質量に対して、0.1〜40質量%、好ましくは5〜20%、より好ましくは5〜10質量%が組成物に含まれることが好都合である。
【0036】
本発明の微粒子フレーバー組成物は、炭水化物閉塞物質をさらに含む。本明細書で使用される「閉塞物質(plugging material)」という用語は、親水コロイドマトリックスのガラス転移温度と融解挙動とを改変するために使用され、その結果、カプセル化されたフレーバーに対して、改善された酸素障壁(oxygen barrier)を提供し、フレーバーがカプセルから漏出することを防ぐ物質に関する。閉塞物質は、グルコース、フルクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、キシリトール、ソルビトールなどのモノサッカライド、ジサッカライド、及びトリサッカライド、並びにそれらの混合物から選択されることが適切である。これらのサッカライドは、果汁固体のように前記糖質を高濃度で有する物質の形態でも提供されうる。閉塞物質は、マルトース、スクロース、キシリトール、ソルビトール、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。閉塞物質は、組成物の合計質量に対して、0.5〜30質量%、好ましくは1〜10質量%の範囲で、本発明の微粒子組成物に含まれるのが典型である。
【0037】
本発明の組成物に乳化剤が好都合に組み込まれることができることも見い出された。本発明者らは理論にしばられることを望まないけれども、乳化剤によって、本発明の組成物が水性環境において分解後、組成物の脂質構成要素(含まれているフレーバー物質と共に)の、固体の食品粒子への付着が促進されると考えていた。それゆえ、本発明のこの実施形態によれば、微粒子組成物の分解後に、固体の食品粒子(パスタや麺など)へのフレーバー物質の標的デリバリーが可能になる。適切な乳化剤の例としては、レシチン、スパン(例えば、ソルビタンモノオレエート)、及びTween(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)を挙げることができる。
【0038】
加えて、乳化剤は、本発明の組成物の脂質構成要素の口腔粘膜への付着を可能にし、本発明による組成物を含む製品の摂取時のフレーバーの知覚を更に改善すると信じられている。
【0039】
したがって、好ましい実施形態では、本発明は、組成物の合計質量に対して、
0.1〜40質量%の1又は2以上の被膜形成炭水化物と、
0.5〜30質量%の1又は2以上のモノサッカライド、ジサッカライド、若しくはトリサッカライドと、
5〜30質量%のフレーバー物質と、
50〜80質量%のゆっくりと溶解する親水コロイド物質と、
1〜10質量%の脂肪性物質とを
含むフレーバー組成物に関する。
【0040】
本発明は、不活性なコア粒子、又は付加的なコーティング層を含む微粒子フレーバー組成物をも含む。微粒子フレーバー組成物内の構成要素の質量の割合は、不活性なコア微粒子、又は付加的なコーティング層に含まれる構成要素を除く、組成物全量に基づいたものである。
【0041】
本発明の微粒子組成物のかさ密度(bulk density)は、300〜1000g/Lの範囲内であることが典型である。本発明の組成物のかさ密度は、500〜800g/Lの範囲内であることが好ましい。
【0042】
本発明のような微粒子組成物は、より詳細を後段に開示するとおり、粒子構成要素のエマルジョンを乾燥して得るのが一般的であるが、かかる組成物は、通常いくらかの水を含む。本発明による組成物は0〜6質量%の水、特に0.3〜4質量%の水を含むことが典型である。
【0043】
微粒子組成物は、当業界に知られた食品用添加物をさらに任意に含むことができる。かかる添加物の典型的な例としては、人工甘味料と、保存料と、着色料と、マルトデキストリンなどの増量剤などを挙げることができるが、これらに制限されない。
【0044】
本発明による微粒子組成物は、ゆっくりと溶解する親水コロイド物質、本明細書で前述した脂肪性物質、1若しくは2以上のフレーバー物質、並びに任意で1若しくは2以上の被膜形成炭水化物、閉塞物質、及び/又は別の所望の添加物を含むエマルジョンを、スプレードライ、ドラムドライ、流動床プロセス、或いはフリーズドライなどの当業界に知られた従来の加工のいずれかにより、乾燥して得るのが典型である。
【0045】
好ましくは、エマルジョンは、高せん断混合、その後の流動床乾燥、又は押し出しにより調製される。高せん断混合工程は、他の成分を含むスラリーの助けを得て、1又は2以上の親水コロイドを凝集(agglomerate)するために用いられるのが適用である。前記スラリーは、被膜形成炭水化物と任意で閉塞物質とを含む水溶性構成要素の水溶液を調製し、続いてフレーバーと脂質相との混合物を添加して得ることが好ましい。かかる混合物は、フレーバーを融解した脂質相に分散し、又は単に縣濁液を作製して適切に調製された。スラリーは、フレーバーの一体性を維持するために十分に低い温度、好ましくは30℃で均質化されることが適当である。その後スラリーは、ゆっくりと溶解する親水コロイド物質の層に添加され、混合工程中に凝集される。
【0046】
本発明の別の態様は、組成物の合計乾燥質量に対して、0.1〜40質量%のフレーバー物質と、10〜90質量%の親水コロイド物質と、0.1〜50質量%の75℃より高い融点を有する脂肪性物質の組合せと水との高せん断混合ステップと、その後の乾燥ステップ、好ましくは流動床乾燥ステップとを含むことを特徴とする微粒子フレーバー組成物を調製する方法、並びに該方法により得られるフレーバー組成物に関する。
【0047】
別の実施形態では、本発明の微粒子組成物は、乾燥押出しなどの乾燥を必要としない工程により調製されうる。この実施形態によれば、微粒子組成物に含まれる乾燥成分のブレンドが、かかる工程である。それゆえ、好ましい実施形態では、本発明の微粒子フレーバー組成物は、高融点脂肪性物質と、フレーバー物質と、1又は2以上の親水コロイドとのブレンドを同時に押し出す(co-extruding)ことで調製される。
【0048】
本発明の利点は、少なくとも部分的にフレーバー物質が、高融点脂肪性物質に封入される場合に特に達成される。この点を達成するために、高融点脂肪物質とフレーバー物質を微粒子組成物の別の成分と混合する前に、かかる構成要素をフレーバー物質に分散させる必要はない。実際、これらの構成要素が別個の成分として組み込まれた場合には、親油性フレーバー物質は、時間とともに高融点脂肪性物質の中に自動的に溶解していく。
【0049】
本発明は、本発明の微粒子フレーバー組成物の使用、及び/又は食品をフレーバーリングするためのフレーバーデリバリーシステムにさらに関する。
【0050】
本発明の好ましい実施形態は、本発明の微粒子フレーバー組成物の使用、及び/又はスープ、ブイヨンキューブ、ソース、パスタ及び調理済み食品(ready-meal)などを、沸騰することや煮込むという加熱工程ステップを経る食品システムをフレーバーリングするためのフレーバーデリバリーシステムに関する。
【0051】
本発明の別の好ましい実施形態は、菓子製品、特にチューインガムをフレーバーリングするための本発明の微粒子フレーバー組成物の使用に関する。
【0052】
本発明の典型的な実施形態は、本発明の好都合な点が特に明白となる、缶詰のスープをフレーバーリングするための本発明の組成物の使用に関する。かかるスープは、主要な材料を混合し、高温で短時間加熱し、缶に詰め、缶を封印し、商業用に無菌にするために缶に詰められたスープを高温で加熱するという連続するステップを経て商業用に調製される。スープを食するときには、家庭用の場合は、10〜30分間、約100℃にて再加熱されるのが典型である。本明細書で上述の通り、1又は2以上の親水コロイド、特にゆっくりと溶解する親水コロイドは、フレーバー粒子の分解を顕著に遅らせると信じられている。例えば、本発明の組成物は、親水コロイドマトリックスが、最終的な再加熱のステップでしか完全に分解せず、その時点でしか脂質成分を放出しないように設計することができる。高融点脂肪性物質によって、親水コロイドマトリックスが分解しても、少なくともフレーバー物質の一部のすばやい放出が防止されており、それゆえ相当期間スープを煮込んだ後であっても十分なフレーバーインパクトを確保している。
【0053】
本発明の別の有利な点は、上述の乳化剤を添加することを通じて得られる表面が改変された脂質要素が、例えば調理中に、パスタのような水性環境において固体の食品粒子に付着し、それゆえ、パスタの最終製品のフレーバーインパクトを顕著に改良するという点にあると信じられている。それゆえ、本発明の別の典型的な実施形態は、パスタ製品、又は固体の粒子若しくはマトリックスを含む調理済み食品をフレーバーリングするための、本発明による組成物の使用に関する。
【0054】
典型的には、本発明により、微粒子フレーバー組成物は、食品システムの合計質量に対して、0.01〜30質量%、より好ましくは0.02〜3%、最も好ましくは0.03〜0.1質量%添加される。
【0055】
かかるシステムは、1分から4時間にわたる調理時間中に持続したフレーバー放出を供給し、摂取時により高いフレーバーインパクトを提供するために適用できる。
【0056】
それゆえ、本発明の別の態様は、典型的には食品が1又は2以上の加熱のステップやサイクルを経る前に、本明細書中ですでに定義したフレーバー組成物を、食品に0.01〜30質量%添加することを含む、食品をフレーバーリングする工程に関する。特に、フレーバー組成物は沸騰/調理/煮込み/殺菌の前などに添加される。
【0057】
さらに本発明の別の態様では、組成物の合計質量に対して、本発明による微粒子フレーバー組成物を、0.01〜30質量%、好ましくは0.05〜3質量%含む食品に関する。本発明のフレーバー組成物の利点が高く評価される食品の典型的な例としては、スープ、復元可能な(reconstitutable)食品(例えばブイヨンキューブや乾燥スープ)、チューインガムなどの菓子製品を挙げることができる。好ましい実施形態では、食品は、スープ、又は復元可能な食品である。
【0058】
本発明を、以下の例を用いてさらに説明する。
[実施例]
【実施例1】
【0059】
本発明による微粒子フレーバー組成物は、表1に示す成分から調製され、システムAとした。
【0060】
溶液は、CAPSUL(登録商標)と、砂糖と、マルトデキストリンとを水に溶解し、80℃にて30分間混合して調製した。縣濁液は、フレーバーとステアリン酸マグネシウム(融点140℃)という2つの構成要素を25℃にて十分に混合して作製した。次に、縣濁液を上述の溶液に添加し、IKAウルトラタラックスT25ユニット(IKA Ultra Turrax T25 unit)を使用して、60℃にて15分間均質化してエマルジョンを調製した。このエマルジョンを、その後キサンタンガムで事前に満たされていた、高せん断混合ユニットのグラットVG25(Glatt VG25)タイプにスプレーした。工程の最後に生じた物質を、流動層(fluidbed)ユニットで最大30分間乾燥した。
【0061】
【表1】

【実施例2】
【0062】
フレーバーシステムAは、パスタを加えた直後の熱湯に添加されたパウダーミックスにおいて試験を行った。パウダーミックス組成物の試料は、水1Lに対し100gのパスタをフレーバーリングするために使用され、以下のような組成物であった。
塩 12g
マルトデキストリンDE20 5.5g
ヒマワリ油 2.5g
フレーバーリングシステムA 0.8g
【0063】
同じパウダーミックスの別のサンプルは、バジルフレーバーがシステムにおいてカプセル化されていること以外は、国際公開第01/35764号パンフレットの実施例2(処方b)に記載の通りに調製した。スプレードライされたパウダーの組成物は、表2に示されており、システムBとする。上記のパウダーミックスの試料に、システムAの代わりに、グラム当たりのパスタに同量のバジルフレーバーが両方の試料に供給されるよう、システムBを添加した。
【0064】
【表2】

【0065】
2つの異なるパウダーミックスによりフレーバーづけされたパスタを、専門家パネル(expert panel)が評価した。味覚は、パネリストにより相対強度ユニット(relative intensity units)で表現された。調理されたパスタと、排水した水の両方を評価した。表3の結果は、本発明のフレーバー組成物が、同量のフレーバーを使用した場合、従来のスプレードライしたフレーバー組成物よりも、加熱工程後でも非常に高いフレーバーインパクトを供給することを明確に示している。
【0066】
【表3】

【実施例3】
【0067】
バジルフレーバーの代わりにリモネンを添加した以外は、前記の実施例に記載の処方システムAを、0.5g/Lの濃度で熱湯に加え、試験時間中煮こみ続けた。同じように、バジルフレーバーの代わりにリモネンを使用する以外は、前記の実施例のシステムBを試験した。リモネンの濃度は、両方のケースにおいて同じにした。気相において試料を採取して、ヘッドスペースにおけるフレーバーの放出をGCユニットで分析した。調理時間(即ち煮こんだ時間)に対して、前記GC分析の結果を点線で図2に示す。図2は、本明細書で前述した従来のフレーバーのカプセル化システムと比較して有利な放出の特徴を明確に示している。
【実施例4】
【0068】
表4に示す組成物を有する、復元可能なスープを調製した。前述の実施例に記載のフレーバーカプセル化システムAとBを、カプセル化システムの合計乾燥質量に対して、10質量%のチキンフレーバーをカプセル化するために使用した。2つの復元可能なスープの試料が同量の「液体フレーバー」を含むように、前記カプセル化されたフレーバーを添加した。
【0069】
【表4】

【0070】
12gの復元可能なスープ両方の試料を、それぞれ500mLの冷水に添加し、約4〜6分かけて沸騰させた。スープは6分間煮こんだ。専門化パネルが両方のスープを評価し、比較した。パネリストの間には一般的な取決めがあった。カプセル化システムBを含むスープは、沸騰し、煮込む間に特性と強度を失っていたが、カプセル化システムAを含むスープは、フレーバーがほぼ維持されていた。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明による微粒子フレーバー組成物に含まれる微粒子の略図を示す。Aは、少なくとも部分的にフレーバー物質を保持する高融点脂肪性物質の個別要素であり、前記個別要素は、親水コロイドマトリックスBに封入されている。
【図2】水の2つの試料のGCヘッドスペース分析の結果を示す。1つは、本発明による放出がコントロールされたフレーバー組成物を含む水であり、もう一方は、典型的な調理工程の間の従来のフレーバーカプセルを含む水である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の合計質量に対して、0.1〜40質量%のフレーバー物質と、10〜90質量%の1又は2以上の親水コロイドと、0.1〜50質量%の75℃より高い、好ましくは90℃より高い融点を有する脂肪性物質とを含み、高融点脂肪性物質が、個別要素の形態で、親水コロイドマトリックスに分散していることを特徴とする、微粒子フレーバー組成物。
【請求項2】
組成物の合計質量に対して、1又は2以上の親水コロイドを30〜85質量%の範囲で含むことを特徴とする請求項1記載の微粒子フレーバー組成物。
【請求項3】
組成物が、0〜6質量%の水を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の微粒子組成物。
【請求項4】
脂肪性物質が、ワックス、脂肪酸、脂肪酸のエステル、脂肪酸の塩、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜3いずれか記載の微粒子フレーバー組成物。
【請求項5】
脂肪性物質が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸ナトリウム、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の微粒子フレーバー組成物。
【請求項6】
1又は2以上の親水コロイドが、キサンタン、寒天、ローカストビーンガム、グァーガム、カシアガム、タラガム、トラガントガム、えん麦ガム、カラヤガム、タラガム、アラビアガム、ガティガム、ポリデキストロース、シクロデキストリン、天然ジェラン、脱アシル化ジェラン、ゼラチン、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコール、ペクチン、カラギーナン、ファーセレラン、微結晶セルロース、加工ユーケマ藻類、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース及び他の加工セルロース誘導体、天然デンプン、加工デンプン、ホエータンパク質、カゼイン塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の微粒子フレーバー組成物。
【請求項7】
1又は2以上の親水コロイドが、キサンタンガム、ローカストビーンガム、寒天、グァーガム、ジェランガム、アルギン酸塩、ペクチン、及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはキサンタンガムである、ゆっくり溶ける親水コロイドであることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の微粒子フレーバー組成物。
【請求項8】
組成物の合計質量に対して、
0.1〜40質量%の、好ましくは5〜20質量%の、1若しくは2以上の被膜形成炭水化物と;
0.5〜30質量%の、好ましくは1〜10質量%の、1若しくは2以上のモノサッカライド、ジサッカライド、又はトリサッカライドと;
5〜30質量%のフレーバー物質と;
50〜80質量%のゆっくり溶ける親水コロイドと;
1〜10質量%の脂肪性物質とを
含むことを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の微粒子フレーバー組成物。
【請求項9】
被膜形成炭水化物が、加工デンプン、セルロース誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項8記載の微粒子フレーバー組成物。
【請求項10】
組成物が、125〜3000μmの範囲の、好ましくは250〜1000μmの範囲の、体積加重平均粒径を示すことを特徴とする請求項1〜9いずれか記載の微粒子フレーバー組成物。
【請求項11】
水と、組合せの合計質量に対して、0.1〜40質量%のフレーバー物質、10〜90質量%の1又は2以上の親水コロイド、及び0.1〜50質量%の75℃より高い融点を有する脂肪性物質の組合せとの高せん断混合ステップと、その後の乾燥ステップとを含むことを特徴とする微粒子フレーバー組成物の生産方法。
【請求項12】
0.1〜40質量%のフレーバー物質と、10〜90質量%の1又は2以上の親水コロイドと、0.1〜50質量%の75℃より高い融点を有する脂肪性物質との組合せを乾式ブレンドし、その後得られた乾式混合物を押し出すことを含むことを特徴とする微粒子フレーバー組成物の生産方法。
【請求項13】
請求項1〜10いずれか記載の微粒子フレーバー組成物を0.01〜30質量%含むことを特徴とする食品。
【請求項14】
請求項1〜10いずれか記載のフレーバー組成物を、1又は2以上の別の食品成分と組み合せることを含むことを特徴とする食品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−511320(P2008−511320A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529752(P2007−529752)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000637
【国際公開番号】WO2006/025742
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(506330612)クエストインターナショナル サービシーズ ビー.ブイ. (5)
【Fターム(参考)】