熱源装置、熱源制御方法及び熱源制御プログラム
【課題】太陽熱等の外部から加えられる熱エネルギの利用率を高め、熱交換効率を高める。
【解決手段】外部から加えられる熱を受熱流体(温水HM2)に熱交換する熱交換手段(集熱パネル10)と、熱交換手段(集熱パネル10)に流れる受熱流体の温度、流量又は熱交換手段に加えられる熱量等を監視し、温度、熱量又は流量が所定値以下である場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する制御部(制御装置22)とを備える。これにより、受熱流体の平均流量をポンプ等の圧送手段の最低流量未満に制御して、受熱流体への受熱量を高め、熱交換効率を向上させている。
【解決手段】外部から加えられる熱を受熱流体(温水HM2)に熱交換する熱交換手段(集熱パネル10)と、熱交換手段(集熱パネル10)に流れる受熱流体の温度、流量又は熱交換手段に加えられる熱量等を監視し、温度、熱量又は流量が所定値以下である場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する制御部(制御装置22)とを備える。これにより、受熱流体の平均流量をポンプ等の圧送手段の最低流量未満に制御して、受熱流体への受熱量を高め、熱交換効率を向上させている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽熱等の外部からの熱を流体に熱交換する技術に関し、例えば、太陽熱を熱源に用いる熱源装置、熱源制御方法及び熱源制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上水加熱、熱媒加熱等の熱源に太陽熱が利用されている。太陽熱は自然エネルギであるから、これを熱源に利用することは自然エネルギの有効利用であるとともに、炭酸ガスの排出がない等、有益である。
【0003】
太陽熱の利用に関し、上水が供給される貯湯槽に第1及び第2の熱交換器が設置され、第1の熱交換器に太陽熱集熱器で集熱した熱媒を循環させて熱交換し、第2の熱交換器にボイラで加熱した温水の熱を熱交換することが知られている(例えば、特許文献1)。この装置では、貯湯槽内の上水の加熱に太陽熱が利用され、加熱した上水が温水として供給される。また、ボイラで加熱した温水は暖房や浴槽追焚きに利用される。
【0004】
また、熱源に燃焼排気を用いる熱源装置では、熱媒の熱を第1の熱交換手段により給水又は浴槽水に熱交換し、燃焼排気の潜熱を第2の熱交換手段により給水又は浴槽水に熱交換する熱源装置や、熱交換装置が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−134432号公報
【特許文献2】特開2007−315700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、太陽熱等、自然エネルギの利用は極めて有益であるが、自然要因に支配されることになる。太陽熱で利用できる熱量は日照時間、季節及び天候の影響を受ける。
【0007】
太陽熱を熱源に利用した熱源装置では、熱媒の循環量を抑制することにより、集熱パネルに対する熱媒の滞留時間を長くすれば、熱媒に対する集熱量を確保することができる。また、循環量の抑制はポンプを低回転にすれば可能であるが、通常の循環量を確保するため、ポンプの低回転数を定格以下に低減することはできない。このため、ポンプを低回転数で運転させて熱媒の循環量を抑制するだけでは、熱媒が十分な熱量を得ることができない。また、ポンプを低回転数で運転することによるエネルギ消費が発生し、効率を低下させることになる。
【0008】
また、ポンプを低回転数で運転するには限界があり、集熱パネルが高所に設置されることにより、必要とされる揚程力が得られない場合には、熱媒の循環ができない等の不都合がある。
【0009】
斯かる課題について、特許文献1及び2にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
【0010】
そこで、本発明の熱源装置、熱源制御方法又は熱源制御プログラムの目的は、上記課題に鑑み、熱エネルギの利用率を高め、熱交換効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の熱源装置、熱源制御方法又は熱源制御プログラムは、熱エネルギの利用率を高め、熱交換効率を高めるため、以下の構成を備えている。
【0012】
本発明の第1の側面である熱源装置は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の温度及び流量を監視し、前記温度が所定温度以下である場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する制御部とを備える構成である。
【0013】
また、本発明の第2の側面である熱源装置は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、前記熱交換手段に加えられる熱及び前記受熱流体の流量を監視し、前記熱交換手段に加えられる熱量が低下した場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する制御部とを備える構成である。
【0014】
また、本発明の第3の側面である熱源装置は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の出側温度を検出する温度検出手段と、前記熱交換手段に前記受熱流体を流す流路に設置されたポンプと、前記出側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する制御部とを備える構成である。
【0015】
また、本発明の第4の側面である熱源装置は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の入側温度を検出する温度検出手段と、前記熱交換手段に前記受熱流体を流す流路に設置されたポンプと、前記入側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する制御部とを備える構成である。
【0016】
また、本発明の第5の側面である熱源装置は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、前記受熱流体の熱が熱交換された熱媒により蓄熱する蓄熱手段と、前記熱交換手段から出る前記受熱流体の温度を検出する第1の温度検出手段と、前記蓄熱手段の前記熱媒の温度を検出する第2の温度検出手段と、前記熱交換手段に前記受熱流体を流す流路に設置されたポンプと、前記第1の温度検出手段及び前記第2の温度検出手段の検出温度を監視し、これら検出温度の差が所定温度以下である場合、前記ポンプを低回転数で間欠運転させ、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の平均流速を前記ポンプの連続回転による最低流速未満に制御する制御部とを備える構成である。
【0017】
また、本発明の第6の側面である熱源制御方法は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の温度及び流量を監視し、前記温度が所定温度以下である場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する工程とを含む構成である。
【0018】
また、本発明の第7の側面である熱源制御方法は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、前記熱交換手段に加えられる熱及び前記受熱流体の流量を監視し、前記熱交換手段に加えられる熱量が低下した場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する工程とを含む構成である。
【0019】
また、本発明の第8の側面である熱源制御方法は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の出側温度を検出する工程と、前記熱交換手段に前記受熱流体をポンプにより流す工程と、前記出側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する工程と、を含む構成である。
【0020】
また、本発明の第9の側面である熱源制御方法は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の入側温度を検出する工程と、前記熱交換手段に前記受熱流体をポンプにより流す工程と、前記入側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する工程とを含む構成である。
【0021】
また、本発明の第10の側面である熱源制御方法は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、前記受熱流体の熱が熱交換された熱媒により蓄熱する工程と、前記熱交換手段から出る前記受熱流体の温度を第1の温度検出手段により検出する工程と、前記蓄熱手段の前記熱媒の温度を第2の温度検出手段により検出する工程と、前記熱交換手段に前記受熱流体を流す工程と、前記第1の温度検出手段及び第2の温度検出手段の検出温度を監視し、これら検出温度の差が所定温度以下である場合、前記ポンプを低回転数で間欠運転させ、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の平均流速を前記ポンプの連続回転による最低流速未満に制御する工程とを含む構成である。
【0022】
また、本発明の第11の側面である熱源制御プログラムは、熱源装置に搭載されたコンピュータに、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段に流れる前記受熱流体の温度及び流量を監視し、前記温度が所定温度以下である場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する機能とを実行させる構成である。
【0023】
また、本発明の第12の側面である熱源制御プログラムは、熱源装置に搭載されたコンピュータに、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段に加えられる熱及び前記受熱流体の流量を監視し、前記熱交換手段に加えられる熱量が低下した場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する機能とを実行させる構成である。
【0024】
また、本発明の第13の側面である熱源制御プログラムは、熱源装置に搭載されたコンピュータに、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段に流れる前記受熱流体の出側温度の検出情報を取り込む機能と、前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプを動作させる機能と、前記出側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する機能と実行させる構成である。
【0025】
また、本発明の第14の側面である熱源制御プログラムは、熱源装置に搭載されたコンピュータに、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段に前記熱交換を開始させる機能と、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の入側温度の検出情報を取り込む機能と、前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプを動作させる機能と、前記入側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する機能とを実行させる構成である。
【0026】
また、本発明の第15の側面である熱源制御プログラムは、熱源装置に搭載されたコンピュータに、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段に熱交換させる機能と、前記受熱流体の熱が熱交換された熱媒に蓄熱させる処理を実行させる機能と、前記熱交換手段から出る前記受熱流体の温度を検出する第1の温度検出手段の検出温度情報を取り込む機能と、前記蓄熱手段の前記熱媒の温度を検出する第2の温度検出手段の検出温度情報を取り込む機能と、前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプを動作させる機能と、前記第1の温度検出手段及び前記第2の温度検出手段から得た前記検出温度情報を監視し、前記検出温度の差が所定温度以下である場合、前記ポンプを低回転数で間欠運転させ、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の平均流速を前記ポンプの連続回転による最低流速未満に制御する機能とを実行させる構成である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0028】
(1) 外部からの熱量を効率的に受熱流体に変換でき、その結果、受熱流体の温度上昇を増大させることができる。従って、太陽熱等の外部からの熱エネルギの利用率を高めることができ、熱交換効率を高めることができる。
【0029】
(2) 受熱流体の流量を間欠状態に制御し、受熱流体の集熱量を増大させることができる。
【0030】
(3) 受熱流体の流量を停止させる時間が設定されるので、受熱流体を流すためのエネルギ消費が抑えられ、熱エネルギの利用率を向上させ、熱交換効率を高めることができる。
【0031】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1の実施の形態に係る熱源装置の一例を示す図である。
【図2】運転比率テーブルの一例を示す図である。
【図3】流量制御の一例を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施の形態に係る熱源装置の一例を示す図である。
【図5】流量制御の一例を示すフローチャートである。
【図6】第3の実施の形態に係る熱源装置の一例を示す図である。
【図7】流量制御の一例を示すフローチャートである。
【図8】第4の実施の形態に係る熱源装置の一例を示す図である。
【図9】制御装置及びリモコン装置の一例を示す図である。
【図10】流量テーブルの一例を示す図である。
【図11】集熱パネルの一例を示し、(A)は集熱パネルの正面図、(B)は集熱パネルの右側面図、(C)は集熱パネルの底面図である。
【図12】第4の実施の形態に係る流量制御の一例を示すフローチャートである。
【図13】集熱ポンプ制御の一例を示すフローチャートである。
【図14】ポンプの回転数と出口側検出温度の関係の一例を示す図である。
【図15】第5の実施の形態に係る暖房・給湯・追焚き装置を示す図である。
【図16】流量制御の一例を示すフローチャートである。
【図17】流量制御の一例を示すフローチャートである。
【図18】第6の実施の形態に係る1パス方式の集熱パネルの構成例を示す図である。
【図19】各測定日における集熱効率の一例を示す図である。
【図20】日射量と集熱効率比率の関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
〔第1の実施の形態〕
【0034】
第1の実施の形態は、熱交換手段に流れる受熱流体の温度及び流量を監視し、その温度が所定温度以下である場合、受熱流体の流れを間欠状態に制御する構成を含んでいる。この第1の実施の形態について、図1及び図2を参照する。図1は熱源装置の一例を示す図であり、図2は、運転比率テーブルの一例を示す図である。図1に示す構成及び図2に示すテーブルは一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0035】
図1に示す熱源装置2では、熱媒体として温水HM1を溜める貯湯タンク4と、温水HM1を循環させる循環路6とが備えられ、温水HM1の加熱手段として太陽熱集熱回路8が備えられている。
【0036】
貯湯タンク4は、温水HM1を溜める貯留手段の一例であるとともに、温水HM1を以て蓄熱する蓄熱手段の一例でもある。この貯湯タンク4の温水HM1には、太陽熱集熱回路8に循環する温水HM2の熱量が熱交換される。
【0037】
太陽熱集熱回路8は、熱源に太陽熱を利用して集熱し、受熱流体として温水HM2を循環させ、その熱を温水HM1に熱交換する手段の一例である。この太陽熱集熱回路8は密閉回路であって、集熱パネル10、太陽熱用熱交換器12、集熱ポンプ14が備えられている。即ち、集熱ポンプ14が停止しても、集熱回路8内にある温水HM2に空気の侵入が阻止され、ポンプ停止時の回路内圧を維持する構成である。
【0038】
集熱パネル10は、外部から加えられる太陽熱を集熱し、その熱(熱量)を温水HM2に熱交換する熱交換手段の一例である。太陽熱用熱交換器12は、貯湯タンク4に設置され、温水HM2の熱を温水HM1に熱交換する。集熱ポンプ14は、温水HM2を圧送して集熱パネル10及び太陽熱用熱交換器12に流す温水圧送手段の一例である。集熱ポンプ14は例えば、DC(直流)モータを用いたポンプであり、ポンプを停止した際に温水HM2が逆流することを防止する逆流防止機能を備えている。集熱パネル10の出側には温度センサ16が設置され、温度センサ16の検出温度T1が集熱パネル10の出側の温度である。換言すれば、太陽熱用熱交換器12から見れば、太陽熱用熱交換器12による温水HM2の熱交換前の温度、即ち、入側の温度を表す。検出温度T1は集熱ポンプ14の制御に用いられる。温度センサ16には、例えばサーミスタを用いることができる。
【0039】
循環路6には、循環ポンプ18と、温水HM1の熱エネルギを消費する負荷20とが備えられる。負荷20は熱媒である温水HM1が持つ熱量の利用即ち、放熱する負荷手段であればどのようなものでもよく、例えば、温水HM1の熱を利用する手段として低温暖房器、高温暖房器、給湯回路、浴槽の追焚回路等である。
【0040】
検出温度T1は制御情報として制御装置22に取り込まれ、集熱ポンプ14の駆動が、制御装置22の駆動出力によって制御される。制御装置22はマイクロコンピュータ等のコンピュータによって構成されており、熱源装置2の制御部として機能し、CPU(Central Processing Unit )24、ROM(Read-Only Memory)26、RAM(Random-Access Memory)28、計時手段としてタイマ30を備える。CPU24はROM26にある制御プログラムを実行して熱源装置2を制御する。ROM26は制御プログラムの他、流量を制御するための温度情報及び時間情報等の設定値を流量制御情報として格納し、例えば、熱交換後の温水HM2の温水温度設定値を格納している。また、ROM26には、運転比率テーブル50(図2)が設定され、集熱ポンプ14を間欠運転に制御して、温水HM2の流れを間欠状態に制御する制御情報を格納している。ROM26やRAM28等の記憶媒体には、読み書き可能な不揮発性メモリとして例えば、EEPROMを用いてもよい。
【0041】
温水温度設定値は、集熱ポンプ14を連続運転から間欠運転に切替えて、温水HM2の流れを連続状態から間欠状態にするための温度設定値の一例であり、例えば35〔℃〕に設定される。
【0042】
図2に示す運転比率テーブル50には、集熱ポンプ14を運転する割合を表す値として、集熱ポンプ14の回転数52と、集熱ポンプ14を停止させる時間としてOFF時間54と、集熱ポンプ14を運転させる時間としてON時間56と、停止と運転の繰り返しの1サイクルとして、OFF時間54とON時間56の合計時間58が格納される。回転数52には、集熱ポンプ14を間欠運転する際の回転数が格納される。この回転数は、間欠運転時の回転数を低くするため、低い回転数に設定する。ON時間56には、集熱ポンプ14を回転数52で回転した場合に、集熱パネル10の取入口にある温水HM2が集熱パネル10の取出口から導出されて太陽熱用熱交換器12の通過に要する時間(単位:〔秒〕)を設定する。OFF時間54は、ON時間56に対する相対値であり、所望の流量に合わせて時間(単位:〔秒〕)を設定する。回転数52、OFF時間54、ON時間56、合計時間58として、例えばそれぞれ1800、95、265及び360を設定すると、運転比率ORは、
運転比率OR=ON時間56/(ON時間56+OFF時間54) ・・・(1)
で表され、
運転比率OR=265/360=0.736 ・・・(2)
となる。集熱ポンプ14により95〔秒〕の停止と1800回転での265〔秒〕の運転を繰り返して間欠運転すると、平均回転数ARNは、
平均回転数ARN=回転数52×運転比率OR
=1800×0.736=1325〔rpm〕 ・・・(3)
となる。この平均回転数ARNは、集熱ポンプ14を連続回転させた場合、集熱ポンプ14の例えば、定格の最低回転数より小さくなり、温水HM2の平均流速が集熱ポンプ14の連続回転による最低流速未満になる。つまり、最低流量よりも低い平均流量が得られる。
【0043】
制御装置22はROM26に格納している流量等の制御情報と検出温度T1を制御情報に用いてその演算等の処理により、制御出力を発生する。RAM28はプログラムの実行エリアを構成するとともに、一時的な情報の記憶を行う。タイマ30は時間制御のための時間情報を生成する手段の一例である。制御装置22は、マイクロコンピュータで構成され、所謂ワンチップマイコンで構成すればよい。
【0044】
次に、熱源制御について、図3を参照する。図3は流量制御の処理手順の一例を示している。図3に示す処理手順は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0045】
この処理手順は、本発明の熱源制御方法又は熱源制御プログラムの一例である。図3に示す処理手順では、熱源の制御は制御装置22で制御プログラムを実行することにより実行され、熱源の制御は検出温度T1を監視して集熱ポンプ14をフィードバック制御することで行う。外部から熱が加えられると、集熱ポンプ14を運転して、外部から加えられる熱を温水HM2に熱交換する(ステップS11)。そして、温水HM2の検出温度T1及び流量が監視される(ステップS12)。熱交換により温水HM2の温度が上昇するが、温度センサ16では、出側温度である検出温度T1が検出される。この検出温度T1は制御装置22に取り込まれる。また、温水HM2の流量情報は、集熱ポンプ14の回転速度により監視される。
【0046】
検出温度T1が設定値未満であるかを判断し(ステップS13)、温水温度設定値未満であれば(ステップS13のYES)、集熱ポンプ14を間欠運転して温水HM2の流れを間欠状態に制御する(ステップS14)。また、温水温度設定値以上であれば(ステップS13のNO)、ステップS12に戻り、既述の検出温度T1及び温水HM2の流量の監視とともに、検出温度T1が設定値未満であるか否かの判断が繰り返される。
【0047】
温水HM2の流れの間欠状態は、ROM26に格納されている回転数52、OFF時間54及びON時間56に従って、集熱ポンプ14が間欠運転に制御される。即ち、集熱ポンプ14は集熱ポンプ14の最低回転数又はその近傍で回転数で、間欠状態に制御される。この場合、集熱ポンプ14を間欠運転した際の平均の回転数は、集熱ポンプ14の定格の最低回転数未満となる。つまり、温水HM2の流量は、集熱ポンプ14の回転数に従って減少させることができ、温水HM2の流量は集熱ポンプ14を既述の最低回転数による流量(最低流量)未満に制御することができる。なお、集熱ポンプ14の既述の最低回転数は、集熱ポンプ14を安定回転が得られる最低回転数又は、温水HM2を集熱パネル10の高さまで押し上げ、又は汲むために必要な最低回転数を設定すればよい。太陽熱集熱回路8の最低流量は、例えば、集熱パネル10の構造及び耐久性等から導き出せばよい。
【0048】
このように、温水HM2の流れが間欠状態になれば、温水HM2の流量を連続状態で流す最低流量よりも低流量の平均流量で循環させることができる。この流量で十分な吸熱が得られた温水HM2を太陽熱用熱交換器12へ送出できる。この間欠動作では、集熱ポンプ14の駆動モータによる消費電力を連続運転より低減でき、温水HM2の循環のためのエネルギ消費を低減できる。
【0049】
〔第2の実施の形態〕
【0050】
第2の実施の形態は、熱交換手段に加えられる熱及び受熱流体の流量を監視し、熱交換手段に加えられる熱量が低下した場合、受熱流体の流れを間欠状態に制御する構成を含んでいる。この第2の実施の形態について、図4を参照する。図4は、第2の実施の形態に係る熱源装置の一例を示す図である。図4に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0051】
太陽熱集熱回路108には、集熱パネル10の入側に温度センサ116が設置されている。温度センサ116の検出温度T2が集熱パネル10による温水HM2の熱交換前の温度、即ち、入側の温度を表す。検出温度T2は、出側の検出温度T1とともに集熱パネル10に加えられる熱量の判断に用いられる。検出温度T1及びT2は制御情報として制御装置22に取り込まれ、集熱ポンプ14の制御に用いられる。
【0052】
制御装置22は、集熱パネル10に加えられる熱量即ち、温水HM2に熱交換される熱量と、温水HM2の流量を監視して集熱ポンプ14の回転を制御し、温水HM2の流量を制御する。
【0053】
集熱パネル10に加えられる熱量は、集熱パネル10の熱交換により温水HM2が得る熱量に比例又はほぼ比例する。温水HM2が得る熱量は出側温度(T1)と入側温度(T2)の差ΔT12(ΔT12=T1−T2)に温水HM2の流量L1を掛けた値(ΔT12×L1)に比例する。集熱パネル10に加えられる熱は、検出温度T1及びT2並びに温水HM2の流量により監視することができる。ROM26は流量の制御情報として、集熱ポンプ14の停止時間(OFF時間54)と、集熱ポンプ14の運転時間(ON時間56)を格納しているので、制御装置22はROM26に格納している制御情報と検出温度T1及びT2を制御情報に用いてその演算等の処理により、制御出力を発生する。
【0054】
次に、熱源制御について、図5を参照する。図5は流量制御の処理手順の一例を示している。図5に示す処理手順は一例であって、斯かる処理に本発明が限定されるものではない。
【0055】
この処理手順は、本発明の熱源制御方法又は熱源制御プログラムの一例である。図5に示す処理手順では、外部から熱が加えられると、集熱ポンプ14を運転して、外部から加えられる熱が温水HM2に熱交換される(ステップS31)。温水HM2に加えられる熱として、その温度及び流量が監視される(ステップS32)。温度センサ16では、集熱パネル10の出側温度である検出温度T1が検出される。温度センサ116では、集熱パネル10の入側温度である検出温度T2が検出される。この検出温度T1及びT2の差温から集熱パネル10で熱交換された熱量が得られる。つまり、集熱ポンプ14の回転数による温水HM2の流量と差温から熱量を算出できる。
【0056】
そこで、制御装置22では、温水HM2の流量情報を集熱ポンプ14の回転数から判断し、集熱ポンプ14の回転数(回転速度)と、検出温度T1−T2の差温とから集熱パネル10に加えられる熱量を判断する。この熱量を監視し、この熱量が閾値より低下すれば(ステップS33のYES)、温水HM2の流量を間欠制御とし(ステップS34)、ステップS32に戻る。流量の間欠制御には、集熱ポンプ14を回転と停止とを繰り返す間欠状態に制御すればよい。また、熱量が低下していななければ(ステップS33のNO)、ステップS32に戻り、ステップS33及びステップS34の処理を繰り返す。
【0057】
集熱パネル10に加えられる熱量が低下した場合、集熱ポンプ14を間欠運転に制御するので、温水HM2を集熱パネル10内で滞留させることができ、温水HM2に対する熱交換量を増加させることができる。即ち、間欠制御による流量は、集熱ポンプ14の連続運転による既述の最低回転数により低い緩やかな温水HM2の流量に制御でき、熱交換量を増加できる。
【0058】
〔第3の実施の形態〕
【0059】
第3の実施の形態は、熱交換手段から流れ込む受熱流体の温度及び流量を監視し、その温度が所定温度以下である場合、受熱流体の流れを間欠状態に制御する構成を含んでいる。この第3の実施の形態について、図6を参照する。図6は、第3の実施の形態に係る熱源装置の一例を示す図である。図6に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図1及び図4と同一部分には同一符号を付してある。
【0060】
太陽熱集熱回路208には温度センサ116が集熱パネル10の入側に設置される。温度センサ116の検出温度T2が集熱パネル10による温水HM2の熱交換前の温度、即ち、入側温度を表す。
【0061】
検出温度T2は制御装置22に取り込まれ、集熱ポンプ14が検出温度T2によって制御される。その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0062】
次に、熱源制御について、図7を参照する。図7は流量制御の処理手順の一例を示している。図7に示すフローチャートは一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0063】
この処理手順は、本発明の熱源制御方法又は熱源制御プログラムの一例である。図7に示す処理手順では、熱源制御は制御装置22で制御プログラムを実行することにより実行される。この熱源制御は検出温度T2と温水HM2の流量を監視し、これらを制御情報に用いて集熱ポンプ14の回転即ち、循環流量を制御する。
【0064】
集熱ポンプ14の運転により、集熱パネル10に加えられる熱量が温水HM2に熱交換される(ステップS41)。この熱交換中、集熱パネル10の温水HM2の入側温度及び流量が監視される(ステップS42)。この入側温度は、温度センサ116により検出され、その検出温度T2が制御装置22に取り込まれる。温水HM2の流量は、集熱ポンプ14の回転数により検出される。この場合、検出温度T2が設定値未満であるかが判定される(ステップS43)。検出温度T2が設定値未満であれば(ステップS43のYES)、集熱ポンプ14が間欠運転に制御され(ステップS44)、ステップS42に戻る。検出温度T2が設定値以上であれば(ステップS43のNO)、ステップS42に戻り、ステップS43の判断が行われる。
【0065】
間欠制御(ステップS44)では、ROM26に格納されている運転比率テーブル50の回転数52、OFF時間54とON時間56とにより、集熱ポンプ14の回転数を間欠状態に制御する。この間欠制御では、集熱ポンプ14の定格の最低回転数又はその近傍で回転させて間欠状態で運転する。この結果、集熱ポンプ14の平均回転数は、OFF時間54とON時間56との平均値となり、既述の最低回転数未満となる。この結果、温水HM2の流量は、集熱ポンプ14の平均回転数に応じたものとなり、集熱ポンプ14を最低回転数で回転した場合の流量(最低流量)未満となる。
【0066】
このように、温水HM2の流量が間欠状態となるので、連続した循環流量より低い平均流量となり、集熱パネル10では熱交換率を高めることができる。しかも、温水HM2の流量の間欠状態が集熱ポンプ14の間欠運転で行なわれるので、既述のとおり、エネルギ消費を低減できる。
【0067】
この場合、熱源の制御は、検出温度T2を監視して集熱ポンプ14を制御(例えば、フィードフォワード制御又はフィードバック制御)することで行う。温度及び流量の監視では、第1の実施の形態の集熱パネル10に対する温水HM2の出側温度の監視(図3のステップS12)に代え、集熱パネル10に対する温水HM2の入側温度(T2)を監視して、検出温度T2が温水温度設定値未満であるか否かを判断する。尚、温水温度の設定値は集熱パネル10に入側温度に対して設定され、ROM26に格納されている。
【0068】
温水HM2の入側温度は、集熱ポンプ14を間欠運転に制御して温水HM2の流れを間欠状態にするための判断対象とする。流量を連続状態で流すことでは得られない流量の低い流れにより温水HM2を循環させることができる。このため、集熱パネル10により十分に温めた温水を太陽熱用熱交換器12へ送出することができ、温水HM2を流すためのエネルギ消費が抑制される。
【0069】
〔第4の実施の形態〕
【0070】
第4の実施の形態は、集熱パネルの出側温度と蓄熱手段側の温度との差温度を監視し、その温度が所定温度以下である場合、受熱流体の流れを間欠状態に制御する構成を含んでいる。この第4の実施の形態について、図8ないし図12を参照する。図8は熱源装置の一例を示し、図9は制御装置及びリモコン装置の一例を示し、図10は流量テーブルの一例を示す。図11は、集熱パネルの一例を示している。図1、図4及び図6と同一部分には同一符号を付してある。図8ないし図11に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0071】
図8に示す熱源装置302では、温度センサ16及び温度センサ116に加え、温度センサ316、317が備えられている、また、太陽熱集熱回路308には、集熱切替弁332、バイパス路334が備えられている。
【0072】
温度センサ316は、貯湯タンク4の出側付近に設置され、熱媒体である温水HM1の温度T3を検出する。検出温度T3は検出温度T1とともに温水HM2の流量の制御に用いられる。
【0073】
温度センサ317は、循環路6の設置エリアに設置され、この温度センサ317によって外気温度Tout が検出される。
【0074】
バイパス路334は集熱切替弁332を介して太陽熱集熱回路308から分岐され、太陽熱用熱交換器12の側路である。そして、温水HM2の温度が低ければ、このバイパス管路334側に温水HM2を循環させ、貯湯タンク4側に流入する温水HM2を制限する。温度センサ16の検出温度T1及び温度センサ116の検出温度T2は、集熱切替弁332の切替えによるバイパス路334の開閉や集熱ポンプ14の制御に用いられる。
【0075】
これら検出温度T1〜T3及びTout は制御情報として制御装置22に取り込まれ、集熱ポンプ14や集熱切替弁332が、制御装置22の駆動出力及び切替え出力によって制御される。
【0076】
この制御装置22は、図9に示すように、温度センサ16、116、316、317から検出温度T1〜T3及びTout を取り込む。そして、集熱ポンプ14の回転を制御し、温水HM2の流量を制御する。
【0077】
この制御装置22には、リモコン装置342が有線又は無線により接続されている。リモコン装置342は、ユーザの操作装置であって、制御部344と、操作部346と、表示部348とを備え、ユーザの生活エリアに設置される。
【0078】
制御部344は、操作部346からの操作入力を受け、その操作入力に基づく制御情報を制御装置22に通知する。操作部346はキーボードやタッチセンサ等で構成される。制御部344はコンピュータによって構成されており、CPU350、ROM352、RAM354等を備える。CPU350はROM352にある制御プログラムを実行し、制御出力を発生する。RAM354はプログラムの実行エリアを構成する。この制御部344は制御装置22と連係し、制御装置22に対する制御命令を出力し、制御装置22からの出力情報を受け、制御状態等を表す提示出力を表示部348に提供する。
【0079】
表示部348は制御部344の表示制御に基づき、制御部344から提供される提示出力に基づく視認可能な表示を行う。
【0080】
制御装置22のROM2 6 には、流量テーブル360が設定されている。その他、ROM26には、例えば、燃焼運転制御の実行時刻を規定する時刻テーブル等が設定されればよい。
【0081】
図10に示す流量テーブル360には、温水HM2が太陽熱集熱回路308を流れる流量のレベル362として、例えばTBL(0)、TBL(1)、・・・、TBL(5)が設定される。また、太陽熱集熱回路308を流れる流量として、集熱ポンプ14のポンプ回転数364が各レベルTBLに対応して格納される。ポンプ回転数364は段階的な値として例えば、1800〔rpm 〕、2200〔rpm 〕、2600〔rpm 〕、3000〔rpm 〕、3500〔rpm 〕、4000〔rpm 〕が設定され、回転数情報として格納される。TBL(0)のポンプ回転数は、例えば、集熱ポンプ14の最低回転数又はその近傍値に設定し、TBL(5)のポンプ回転数は、太陽熱集熱回路308の最大流量又はその近傍流量を得るための回転数が設定され、TBL(0)からTBL(4)のポンプ回転数364は、レベル362が大きくなるにつれて大きくする。尚、ポンプの最低回転数はポンプを安定して回転させるために必要な回転数であり、温水HM2を集熱パネル10の高さまで押し上げ、又は汲むために必要な回転数等から設定し、太陽熱集熱回路308の最大流量は、例えば、集熱パネル10の構造及び耐久性等から導き出す。
【0082】
この実施の形態では、ヘッダ方式の集熱パネル10が使用されている。この集熱パネル10は、図11の各図(Aはその平面図、Bは長手方向側面を示す側面図、Cは短手方向側面を示す側面図)に示すように、長方形の平板状の筐体部391を備えている。この筐体部391には、太陽光を受ける上面側に筐体部391内を防護する防護カバー392を備え、この防護カバー392は例えば、光透過性材料で形成されている。この実施の形態では、図11のAに示すように、防護カバー392の一部を省略し、筐体部391の内部を露出させている。
【0083】
筐体部391の内部には、温水HM2を流す配管を備える。筐体部391の長手方向の側部のそれぞれには、入側ヘッダ配管394と、出側ヘッダ配管396が離間するとともに対向して配置され、入側ヘッダ配管394と出側ヘッダ配管396は、複数の渡り配管401、402、403、・・・408で接続される。入側ヘッダ配管394の一端には、温水HM2を導入するための取入口412が形成され、他端にはキャップ414を配置して入側ヘッダ配管394の管口を閉止している。出側ヘッダ配管396の一端には、キャップ416を配置して出側ヘッダ配管396の管口を閉止し、他端には温水HM2が導出するための取出口418が形成されている。取入口412と取出口418は集熱パネル10の対角上又は対角の近傍に配置して、渡り配管401、402、403、・・・408を流れる温水の流量のばらつきを抑制している。
【0084】
その他の構成は第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0085】
次に、温水HM1を加熱するための集熱動作について、図12及び図13を参照する。図12は流量制御の処理手順の一例を示し、図13は、集熱ポンプ制御の処理手順の一例を示し、図12に示す集熱ポンプ制御(図12のステップS59)の処理手順(サブルーチン)の一例を示している。図12及び図13に示す処理手順は一例であって、斯かる処理に本発明が限定されるものではない。
【0086】
この処理手順は、本発明の熱源制御方法又は熱源制御プログラムの一例である。図12に示す処理手順では、太陽熱集熱動作であって、太陽熱集熱回路308に温水HM2を循環させ、太陽熱を温水HM2に熱交換し、温水HM2の熱を貯湯タンク4内にある太陽熱用熱交換器12で温水HM1に熱交換する動作である。この集熱動作は、制御装置22で制御プログラムを実行することにより実行される。
【0087】
太陽熱による温水HM2の温度上昇は、日射量に関係し、試験結果によれば、冬季でも約30〔〔℃〕〕の上昇が期待できることが確認されている。季節にかかわらず、貯湯タンク4の温水温度は約30〔〔℃〕〕であるため、太陽熱用熱媒である温水HM2と熱交換する太陽熱用熱交換器12を備える貯湯タンク4では、冬期でも30〔〔℃〕〕の温度上昇があり、貯湯タンク4の温水温度は30〔〔℃〕〕+30〔〔℃〕〕で約60〔〔℃〕〕に上昇させることができる。この場合、貯湯タンク4の温水を低温暖房器の放熱等に利用できる。夏期であれば、これ以上の熱利用ができることは勿論である。
【0088】
この太陽熱集熱回路308に利用できる太陽熱について、季節により日の出、日の入り時刻が変わり、日射のある時間帯も変化する。制御装置22の制御部では、外気温度Tout とタイマ30による時間計測から平均最低気温を演算する。平均最低気温から季節の変化を判断し、季節に応じて集熱運転の開始時刻及び終了時刻を制御することができる。現時刻等の初期の設定値は、リモコン装置342を通して制御装置22に初期設定する(ステップS51)。
【0089】
この集熱動作では、集熱開始動作P1と、蓄熱動作P2と、集熱実行判断動作P3と、集熱停止動作P4が行われる。
【0090】
(1) 集熱開始動作(P1)
【0091】
図12に示す処理手順では、初期設定を行うと(ステップS51)、運転時間帯(例えば、7:00〜17:00)であるかを判断する(ステップS52)。運転時間帯でなければ(ステップS52のNO)、運転時間帯の確認を継続する。設定された運転時間帯であれば(ステップS52のYES)、集熱切替弁332を操作して貯湯タンク4側を閉にし(ステップS53)、検出温度T3が所定値として例えば、温度Tmax より高い温度であるかを判断する(ステップS54)。Tmax は、貯湯タンク4内の温水HM1の過熱を防止するための過熱防止温度値であって、例えば80〔℃〕に設定(ROM26に格納)される。
【0092】
検出温度T3が温度Tmax より高い温度であれば(ステップS54のYES)、貯湯タンク4の温水HM1を加熱する必要がないため、ステップS52からステップS54の動作を繰り返しポンプの停止状態を維持する。検出温度T3がTmax 以下であれば(ステップS54のNO)、流量テーブル360(図10)のレベル362の番号nを2に設定して、(ステップS55)、集熱ポンプ14をTBL(n)、n=2のポンプ回転数、即ち、TBL(2)のポンプ回転数(2600〔rpm〕)で運転する(ステップS56)。集熱切替弁332により貯湯タンク4側を閉じているので、温水HM2はバイパス路334を通って太陽熱集熱回路308を循環し、太陽熱を温水HM2に蓄熱する。nは、レベル362のレベルを表す0から5までの整数であって、N=2であるTBL(n)は、レベル362がTBL(2)であることを表す。n値は流量制御の実行により変更させる変数であって例えばRAM28に格納される。
【0093】
検出温度T1は、太陽熱により加熱された温水HM2の温度であり、この検出温度T1と検出温度T3とを比較し(ステップS57)、T1>T3+2〔℃〕であれば(ステップS57のYES)、温水HM2の熱を温水HM1に熱交換可能であるので蓄熱動作P2へ移行し、T1>T3+2〔℃〕でなければ(ステップS57のNO)、集熱パネル10で集熱があるかを判断するため、集熱実行判断動作P3へ移行する。
【0094】
(2) 蓄熱動作(P2)
【0095】
集熱切替弁332を操作して貯湯タンク4側を開として(ステップS58)、バイパス路334を通る循環から太陽熱用熱交換器12を通る循環に切り替える。このとき、集熱ポンプ14を制御して(ステップS59)、温水HM2の熱量が温水HM1に熱交換される。
【0096】
太陽熱を温水HM2に蓄熱し、温水HM2の熱を温水HM1に熱交換する間、T3>Tmax かを判断し(ステップS60)、T3の温度がTmax 又はTmax に達していなければ(ステップS60のNO)、検出温度T1と検出温度T3との比較に戻り(ステップS57)、蓄熱動作P2を繰り返し又は集熱実行判断動作P3へ移行する。T3の温度がTmax を超えると(ステップS60のYES)、貯湯タンク4の温水HM1を加熱する必要がないため、集熱停止動作P4へ移行して、ポンプによるエネルギ消費を削減する。
【0097】
(3) 集熱実行判断動作(P3)
【0098】
この集熱実行判断動作では、集熱パネル10で熱交換により集熱されているかを判断する。このため、集熱切替弁332により貯湯タンク4側を閉にし、又は閉状態にあれば、閉状態を維持して(ステップS61)、検出温度T2の温度を記憶する(ステップS62)。検出温度T2は、温度T2' として例えば、RAM28に記憶する。t〔秒〕経過後に検出温度T1と検出温度T2' とを比較して(ステップS63)、T1>T2' であれば(ステップS63のYES)、集熱パネル10で集熱があるので、集熱ポンプ14を制御して(ステップS59)、熱交換による集熱を行う。T1>T2' でなければ(ステップS63のNO)、集熱ができないので、集熱停止動作P4へ移行する。
【0099】
(4) 集熱停止動作(P4)
【0100】
集熱ポンプ14を停止し(ステップS64)、所定のインターバルを経て(ステップS65)、運転時間帯の判断(ステップS52)に戻る。
【0101】
(5) 集熱ポンプ制御動作
【0102】
温水HM1の加熱は、太陽熱を温水HM2に蓄熱する動作と、温水HM2の熱を温水HM1に熱交換させる動作を介して行う。このとき、温水HM2の出側温度(検出温度T1)と温水HM1の温度(検出温度T3)の温度差(ΔT13:ΔT13=T1−T3)を例えば5〔℃〕以上にすると温水HM1を効率よく加熱することができる。ΔT13が7〔℃〕より大きい場合には、集熱パネル10を流れる温水HM2を多くして、ΔT13が5〔℃〕から7〔℃〕の間の温水HM2を多量に太陽熱用熱交換器12へ供給すると、温水HM1を更に効率よく加熱することができる。このため、制御装置22では、T1及びT3に基づいて、集熱ポンプ14を制御する(図12のステップS59)。つまり、一例として5〔℃〕から7〔℃〕の範囲としているのは、集熱ポンプ14側の消費電力を加味して効率を考えると、温度差をこの程度に設定することが効率上に有益である。しかし、この温度範囲5〔℃〕から7〔℃〕に限定されるものではない。
【0103】
集熱ポンプ制御動作について、図13を参照する。図13に示す処理手順は本発明の熱源制御方法又は熱源制御プログラムの一例である。図13に示す処理手順では、集熱ポンプ14の回転数を変更するためのレベル変更動作SP1と、集熱ポンプ14を間欠運転させる間欠運転制御動作SP2を行う。レベル変更動作SP1は、制御装置22のタイマ30(図2)により時間を計測し、例えば3分に1回のタイミングでサンプリングを行う。制御装置22でサンプリングタイミングか否かを判断し(ステップS71)、サンプリングタイミングであれば(ステップS71のYES)、レベル変更動作SP1へ移行し、サンプリングタイミングでなければ(ステップS71のNO)、レベル変更動作SP1をスキップして(跳び越して)、間欠運転制御動作SP2へ移行する。
【0104】
(5-1) レベル変更動作(SP1)
【0105】
レベル変更動作では、温水HM2の集熱パネル10の出側温度と、温水HM1の貯湯タンク316の出側温度の温度差ΔT13を算出し、この温度差ΔT13を複数の温度設定値と段階的に対比して、温度差ΔT13の値を判断する。そして温度差ΔT13の値の範囲に応じて集熱ポンプ14の回転を制御するレベルを決定し、このレベルを変更する。この複数の温度設定値は、レベル変更設定値としてROM26に格納される。レベルが変更されると、運転比率テーブル50及び流量テーブル360に基づいて集熱ポンプ14の回転数の増減及び連続運転と間欠運転の間で運転状態の変更が行われる。
【0106】
温度差ΔT13を算出すると(ステップS72)、温度差ΔT13<3〔℃〕か否か(ステップS73)、温度差ΔT13<5〔℃〕か否か(ステップS74)、温度差ΔT13≧10〔℃〕か否か(ステップS75)、温度差ΔT13≧7〔℃〕か否か(ステップS76)が順番に判断される。温度差ΔT13<3〔℃〕であれば(ステップS73のYES)、温度差ΔT13を上昇させるため、レベル362の番号nから2引いてTBL(n)を2レベル下げる(ステップS77)。また、温度差ΔT13<3〔℃〕ではなく、温度差ΔT13<5〔℃〕であれば(ステップS73のNO及びステップS74のYES)、温度差ΔT13を上昇させるため、レベル362の番号nから1引いてTBL(n)を1レベル下げる(ステップS78)。TBL(n)を下げる場合、n<0かを判断し(ステップS79)、n<0であれば(ステップS79のYES)、レベル362の番号nを0に変更して、TBL(0)にする(ステップS80)。
【0107】
温度差ΔT13<5〔℃〕ではなく、温度差ΔT13≧10〔℃〕であれば(ステップS74のNO及びステップS75のYES)、温度差ΔT13を低下させるため、レベル362の番号nに2足して、TBL(n)を2レベル上げ(ステップS81)、温度差ΔT13≧10〔℃〕ではなく、温度差ΔT13≧7〔℃〕であれば(ステップS75のNO及びステップS76のYES)、温度差ΔT13を低下させるため、レベル362の番号nに1足してTBL(n)を1レベル上げる(ステップS82)。TBL(n)を上げる場合、n>5かを判断し(ステップS83)、n>5であれば(ステップS83のYES)、レベル362の番号nを5に変更して、TBL(5)にする(ステップS84)。n>5でなければ(ステップS83のNO)、ステップS85に移行する。
【0108】
温度差ΔT13<5〔℃〕ではなく、温度差ΔT13≧7〔℃〕でもない場合、即ち5〔℃〕≦ΔT13<7〔℃〕のとき(ステップS76のNO)、温水HM1の熱交換にとって効率のよい温度差範囲差にあるので、レベルの変更を行わずに、間欠運転制御動作SP2へ移行する。
【0109】
(5-2) 間欠運転制御動作(SP2)
【0110】
レベル変更後又はレベル維持後のTBL(n)のnの値が0かを判断する(ステップS85)。n=0でなければ(ステップS85のNO)、流量テーブル360を参照して、集熱ポンプ14の回転数をTBL(n)の回転数とした上で、集熱ポンプ14のON状態(運転状態)を維持し(ステップS88)、集熱ポンプ制御動作から抜け出して、ステップS60へ戻る。
【0111】
n=0であれば(ステップS85のNO)、運転比率テーブル50の設定値を読み込んで、集熱ポンプ14を間欠運転する。間欠運転は、OFF時間54(例えば95〔秒〕)と、ON時間56(例えば265〔秒〕)の繰り返しであるので、経過時間を計測しているタイマ30の情報をもとに、間欠運転がOFF時間であるかを判断する(ステップS86)。OFF時間であるときは(ステップS86のYES)、集熱ポンプ14をOFFにして停止させ、又は停止状態にあれば、集熱ポンプ14の停止を維持する(ステップS87)。また、間欠運転がOFF時間でないときは(ステップS86のNO)、集熱ポンプ14をONして運転させ、又は集熱ポンプ14の運転状態を維持する(ステップS88)。斯かる動作の後、ステップS60へ移行し、蓄熱動作P2が繰り返されると、蓄熱動作P2を繰り返す毎に間欠運転制御動作SP2が動作し、3分に1回、レベル変更動作SP1が動作することになる。
【0112】
集熱ポンプ14を所定時間として例えば、95〔秒〕間だけ停止させ、その後、停止時間より長い所定時間として例えば、265〔秒〕間だけ運転した場合、検知温度T1の変化は例えば、図14のようになる。OFF時間54では、温水HM2は滞留するので温度センサ16の位置で滞留している温水HM2は外気の温度に応じて自然増加又は減少する。ON時間56では、集熱ポンプ14が1800〔rpm〕で回転するので、集熱パネル10で滞留していた温水HM2が温度センサ16で検知され、時間60のように検出温度が上昇する。集熱ポンプ14をON時間56が終了するまで回転することで、集熱パネル10で滞留していた温水HM2が太陽熱用熱交換器12へ送られる。図14に示す例では、間欠運転により最大で所定温度例えば、1〔℃〕以上、温水HM2を上昇させる効果が得られる。
【0113】
上記実施の形態の特徴事項や利点について、以下に列挙する。
【0114】
(1) この熱源装置302では、外部から加えられる熱源として太陽熱を用いるので、集熱動作は日射のある時間に行われ、貯湯タンク4に蓄熱される。日の出後及び日没前等の日射量が少ない時間帯及び天候状態により日射量が少ないときには、集熱ポンプ14の間欠運転を行ない、太陽熱集熱回路308を循環する温水の流量をポンプを連続運転させる場合よりも低下させて集熱する。ポンプを間欠運転することで、温水HM2を熱パネル10内で一時的に滞留させ、集熱パネル10で集熱した熱を温水HM2に熱交換して、温水HM2の温度を上昇させる。一方、集熱ポンプ14の運転は、断続的であり、停止している時間帯はエネルギ消費が抑えられている。このため、太陽熱をより有効に蓄熱することができる。
【0115】
(2) 集熱ポンプを連続運転させることを前提にした熱源装置では、日射量の低い環境下では太陽熱による温水HM2の温度上昇量は制限される。集熱ポンプ14の回転数を更に遅くすると、ポンプの回転が不安定になる又は揚程力が不足し、温水HM2を循環できなくなり、結果集熱ができなくなる。この熱源装置302では、日射量が低い場合又は日射量が低くなった場合に、集熱ポンプ14を強制的に間欠運転させ、ポンプの停止(OFF)とポンプの運転(ON)を繰り返す。これにより、ポンプを連続運転することでは得られない、実質的に低い回転数の運転を実現させ、集熱効率を高めることができる。
【0116】
(3) 太陽熱は、時刻、季節及び天候に応じて増減し、太陽熱の熱量も変動する。このため、熱媒の循環に用いるポンプを低回転数で運転させて熱媒の循環量を抑制するだけでは、熱媒が十分な熱量を得ることができないし、ポンプを低回転数で運転することによるエネルギ消費が発生し、熱効率が十分にとれないという不都合がある。しかも、ポンプを低回転数で運転するには限界があり、必要とされる揚程力が得られない場合には、ポンプは回転しても熱媒を流すことができないという不都合がある。上記実施の形態では、斯かる不都合を改善している。具体的には、ポンプの回転数を断続させ、熱媒の循環量をポンプの最低回転数による循環流量に低下させており、搭載されたポンプの最低回転数以下での循環流量を実現している。この結果、ポンプの連続した回転による最低回転数以下の熱媒循環が可能となり、集熱パネル10における熱媒の滞留時間が実質的に長くすることができ、熱エネルギの回収率を高め、熱交換効率を向上させている。
【0117】
(4) ポンプ回転数を遅くして、熱媒の循環量を減少させて熱媒の滞留時間を長くすることは理論的には可能であるが、ポンプ回転数を断続させることにより、熱媒の循環量の増減幅を拡大でき、結果として、集熱量を高め、熱交換効率の向上を図っている。
【0118】
(5) また、ヘッダ方式の集熱パネルでは、複数の渡り配管を配置しているので、集熱パネルを通過させる受熱流体の量を増大させることが容易である。太陽から太陽熱が多く照射される環境では、ΔT13の値が大きくなり過ぎ、例えば、5〔℃〕から7〔℃〕の範囲を超える場合がある。そこで、ヘッダ方式の集熱パネルによれば、温水HM1を効率よく加熱することができる。
【0119】
〔第5の実施の形態〕
【0120】
第5の実施の形態は暖房・給湯・追焚装置を開示している。この暖房・給湯・追焚装置について、図15を参照する。図15は暖房・給湯・追焚装置の構成例を示している。図15に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図15において、図1、図4、図6、図8及び図9と同一部分には同一符号を付してある。
【0121】
図15に示す暖房・給湯・追焚装置502は、本発明の熱源装置の一例である。貯湯タンク4と、集熱パネル10と、太陽熱用熱交換器12と、集熱ポンプ14と、温度センサ16、116、316、317と、循環ポンプ18と、集熱切替弁332と、バイパス路334と、制御装置22は第4の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0122】
太陽熱集熱回路508には、プレッシャータンク510及びリザーブタンク512が備えられている。プレッシャータンク510は、温水HM2を溜める貯留タンクの一例であって、太陽熱集熱回路508に流れる温水HM2が上昇した際に、太陽熱集熱回路508から温水HM2をリザーブタンク512に流出させるとともに、太陽熱集熱回路508に温水HM2が不足した際に、リザーブタンク512から温水HM2を吸い込む。このため、プレッシャーキャップ514には連結パイプ516が接続され、この連結パイプ516がリザーブタンク512内に挿入され、リザーブタンク512内の温水HM2内に没している。
【0123】
リザーブタンク512は、温水HM2を貯留する貯留タンクの一例であって、プレッシャータンク510から流出し又はプレッシャータンク510に供給するための温水HM2が溜められている。このリザーブタンク512には、温水HM2の水位を検出する水位センサ518が設置されている。また、リザーブタンク512にはオーバーフローパイプ520が接続され、このオーバーフローパイプ520では、リザーブタンク512の上限レベルを超えた温水HM2を排出させる。
【0124】
貯湯タンク4には、温水HM1の水位確認手段として水位確認タンク522が連通管路524により接続され、水位確認タンク522及び貯湯タンク4は通気管526で連結され大気に開放されている。そして、水位確認タンク522には水位センサ528が設置されている。貯湯タンク4の温水HM1は連通管路524を通じて水位確認タンク522に流れ込み、水位確認タンク522内の水位は貯湯タンク4の温水HM1の水位と同一レベルを呈する。従って、水位センサ528には貯湯タンク4の温水HM1のレベルを表す検出出力が得られる。
【0125】
この水位確認タンク522には補給水を流し込む補給管路530が接続され、この補給管路530は上水管路に接続されている。この補給管路530には補給水閉止弁532及び補給水電磁弁534が設置されている。補給水閉止弁532は常時開放され、補給水は補給水電磁弁534によって供給が制御される。補給水には上水Wが用いられる。
【0126】
循環路536は、分流路538と、循環ポンプ18と、温水HM1を加熱するための一次熱交換器540と、二次熱交換器542とを備えている。
【0127】
分流路538は、貯湯タンク4の入側と出側との間の循環路536に連結された管路であって、温水HM1を分流して貯湯タンク4の出側の温水HM1に合流させる手段の一例である。
【0128】
循環路536と分流路538との分岐点には貯湯タンク切替弁544が設置され、この貯湯タンク切替弁544は、貯湯タンク4側に流れる温水流量と、分流路538に流れる温水流量とに分配する流量分配手段の一例である。貯湯タンク切替弁544の入側の循環路536には温度センサ546、貯湯タンク4の入側の循環路536には開閉弁548、貯湯タンク4の出側近傍には温度センサ316が設置されている。開閉弁548は、循環路536を貯湯タンク4の入側で開閉する手段である。温度センサ316、546の検出温度T3、T4は貯湯タンク4側に流れる温水流量と、分流路538に流れる温水流量との分配比率の設定や制御に用いられる。温度センサ316は熱媒である温水HM1の温度を検出する温度センサ、温度センサ546は負荷側から循環路536に戻る温水HM1の温度を検出する温度センサである。貯湯タンク4の出側の循環路536と分流路538との合流点には気液分離部550が設置されている。気液分離部550は、温水HM1から空気を分離する手段である。
【0129】
循環ポンプ18は、温水HM1の圧送手段の一例であって、温水HM1の熱利用や一次熱交換器540及び二次熱交換器542による加熱の際等に駆動され、循環路536に温水HM1を循環させる。
【0130】
一次熱交換器540は、燃料ガスの燃焼手段の一例として設置されたバーナ552の燃焼排気から主として顕熱を温水HM1に熱交換する第1の熱交換手段である。二次熱交換器542は、バーナ552の燃焼排気から主として潜熱を温水HM1に熱交換する第2の熱交換手段であって、温水HM1の予備加熱に用いられる。一次熱交換器540の出側の循環路536には温度センサ554、二次熱交換器542の出側の循環路536には温度センサ556が設置され、これらの検出温度T5、T6がバーナ552の燃焼制御に用いられる。
【0131】
この循環路536には、温水HM1の熱を利用する手段として低温暖房回路558、高温暖房回路560、給湯回路562、追焚回路564が接続されている。
【0132】
低温暖房回路558は、循環路536の二次熱交換器542の出側と貯湯タンク切替弁544の入側とから分岐され、低温暖房器566に低温側の温水HM1を循環させる管路である。低温暖房器566は、温水HM1の第1の放熱負荷又は第1の放熱手段の一例であって、例えば、床暖房器である。
【0133】
高温暖房回路560は、循環路536の一次熱交換器540の出側と貯湯タンク切替弁544の入側とから分岐され、高温暖房器568に高温側の温水HM1を循環させる管路である。高温暖房器568は、温水HM1の第2の放熱負荷又は第2の放熱手段の一例であって、例えば、温風暖房器である。
【0134】
給湯回路562は給水Wを温水HM1で加熱して温水HWとして出湯する管路であって、この実施の形態では、給湯用熱交換器570と、二次熱交換器572と、バイパス路574とを備える。
【0135】
給湯用熱交換器570は、温水HM1の熱を給水Wに熱交換する給湯用熱交換手段の一例であって、給湯用熱交換器570には例えば、プレート熱交換器が用いられる。この給湯用熱交換器570には、給水側に上水圧が作用している。この給湯用熱交換器570は、循環路536に高温分配弁576を介して分岐された循環路536Aに設置され、循環路536Aを通して温水HM1が循環する。この給湯用熱交換器570に穿孔による水漏れが生じた場合には、上水圧が温水HM1の圧力に打ち勝ち、上水が温水HM1側に侵入し、貯湯タンク4の水位を上昇させることになる。
【0136】
二次熱交換器572は、既述のバーナ552の燃焼排気から主として潜熱を給水Wに熱交換する手段であって、給水Wが常温の上水であれば、効率よく潜熱を給水Wに熱交換することができる。この予備加熱された給水Wには、給湯用熱交換器570により温水HM1の熱が熱交換され、高温の温水HWが得られる。バイパス路574は、この温水HWに上水Wをミキシングする手段であって、図示しないミキシング弁を用いて高温の温水HWを適温化することができる。給湯回路562の上水Wの入側には温度センサ578、温水HWの出湯側には温度センサ580が設置され、これらの検出温度T7、T8等が出湯温度の制御としてバーナ552の燃焼制御やバイパス路574側への給水Wとのミキシング比率の制御に用いられる。
【0137】
追焚回路564は、温水HM1の熱を浴槽582にある浴槽水BWに熱交換し、浴槽水BWを入浴に適する温度に昇温する手段の一例である。この追焚回路564は追焚用熱交換器584と、追焚ポンプ586とを備える。追焚用熱交換器584は、温水HM1の熱を浴槽水BWに熱交換する熱交換手段の一例であって、循環路536に高温分配弁576を介して分岐された循環路536Bに設置され、循環路536Bを通して温水HM1が循環する。追焚ポンプ586は、追焚時、浴槽水BWを浴槽582から追焚用熱交換器584を通して浴槽582に循環させる手段である。追焚回路564の浴槽582の出側には温度センサ588が設置され、その検出温度T9が追焚制御に用いられる。
【0138】
この追焚回路564と給湯回路562との間には注湯回路590が接続され、この注湯回路590は、注湯電磁弁592を介して給湯回路562と追焚回路564とを連結している。注湯電磁弁592は、上水W側と浴槽水BWとを絶縁する手段の一例である。
【0139】
これら検出温度T1〜T9及びTout は制御情報として制御装置22に取り込まれる。集熱ポンプ14、循環ポンプ18、追焚ポンプ586の駆動やバーナ552の燃焼が制御装置22の駆動出力によって制御される。
【0140】
次に、熱源制御について、図16及び図17を参照する。図16及び図17は流量制御の処理手順の一例を示している。図16及び図17に示す処理手順は一例であって、斯かる処理に本発明が限定されるものではない。図16及び図17において、a、b及びcはフローチャート間の連結子を示している。
【0141】
この処理手順は、本発明の熱源制御方法又は熱源制御プログラムの一例である。図16に示す処理手順では、暖房・給湯・追焚装置502を電源に接続すると、電源の「入」が検出され(ステップS101)、回路異常のプリチェック(事前確認)をする(ステップS102)。プリチェックでは、集熱回路漏水異常、温度センサのオープン又はショート、集熱数位電極異常、集熱切替弁異常、電装基板異常を確認し、これらに異常があれば(ステップS102でNO)、これらの異常に応じた警報を発生して(ステップS103)、電源を切り離して「切」状態にする(ステップS104)。警報の発生により原因の除去がなされた後に、暖房・給湯・追焚装置502を電源に再接続が行われる。
【0142】
プリチェックで異常がなければ(ステップS102でYES)、集熱切替弁332の貯湯タンク4側を閉じ(ステップS105)、バイパス路334との間を開放し、太陽熱用熱交換器12との間を閉止し、集熱パネル10を通過した温水HM2が太陽熱用熱交換器12を通らない回路を形成する。リモコン装置342の時刻設定が終了しているかを判断して(ステップS106)、時刻設定が終了していなければ(ステップS106でNO)、時刻設定の判断が繰り返され、時刻設定が設定済みであれば(ステップS106でYES)、集熱切替弁332が循環位置又は待機位置であるかを判断する(ステップS107)。集熱切替弁332には、バイパス路334を開放するとともに太陽熱用熱交換器12との間を閉止し、バイパス334を経由して温水HM2を循環させる循環位置と、バイパス路334との間を開放するとともに太陽熱用熱交換器12との間を開放する待機位置と、バイパス路334との間を閉止するとともに太陽熱用熱交換器12との間を開放して、太陽熱用熱交換器12を経由して温水HM1を熱交換する熱交換位置がある。循環位置又は待機位置でなはなく、熱交換位置にあれば(ステップS107のNO)集熱運転終了時刻(例えば、19:00)後か否かを判断し(ステップS108)、集熱運転終了時刻の後であれば(ステップS108のYES)集熱ポンプ14をOFFにして停止し(ステップS109)、集熱切替弁332の貯湯タンク4側を閉じ(ステップS110)、集熱切替弁332の位置確認(ステップS107)へ戻る。
【0143】
循環位置又は待機位置であれば(ステップS107のYES)、現在の時刻が集熱運転の開始時刻範囲(例えば、7:00〜17:00)内かを判断し(ステップS111)、範囲内であれば(ステップS111のYES)、貯湯タンク4の出側付近の検出温度T3がTmax 以下(T3≦Tmax)かを判断し(ステップS112)、Tmax 以下であれば(ステップS112のYES)、集熱切替弁332の貯湯タンク4側を閉じ(ステップS113)、集熱ポンプ14をONにして運転する(ステップS114)。集熱ポンプの運転を監視して集熱ポンプの回転数が正常かを判断する(ステップS115)。回転数の判断は、集熱ポンプ14の起動を待って行うため、起動待ち時間として例えば、120〔秒〕後に行う。回転数が例えば、500〔rpm〕以上でななければ(ステップS115のNO)、集熱ポンプ14をOFFにして停止させ(ステップS116)、集熱ポンプ回転異常として警報を発生させた後(ステップS117)、電源を切断する(ステップS104)。
【0144】
集熱ポンプ14の回転が例えば500〔rpm〕以上であれば(ステップS115のYES)、所定時間として例えば180〔秒〕の経過を経て(ステップS118)、温度T1が温度T3より3〔℃〕以上高いかを判断し(ステップS119)、温度T1が高くなければ(ステップS119のNO)、温水HM2と温水HM1の間に、温水HM1を加熱するための温度差が得られていないと判断して沸騰防止動作の判断をし(ステップS120)、温度T1が高ければ(ステップS119のYES)、温度T3がTmax 以下であるかを判断する。温度T3がTmax 以下であれば(ステップS121でYES)、集熱切替弁332を熱交換器側に切替えて、温水HM2の流れを、バイパス路334を循環する流れから、集熱切替弁332の貯湯タンク4側を開とする(ステップS122)。
【0145】
集熱中であることを表す集熱ランプを点灯させ(ステップS123)、集熱ポンプ14を可変制御する(ステップS124)。可変制御は集熱ポンプ14の連続運転状態の下での回転数の変更の他、集熱ポンプ14を間欠運転して平均の回転数を変更する動作も含む。斯かる変更は流量テーブル360(図10)及び運転比率テーブル50(図2)を用いて行う。変更動作は第4の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0146】
集熱ポンプ14の可変制御(ステップS124)は、回転数レベルが0以外で集熱ポンプ14が連続運転中であれば(ステップS125のNO)と、回転数レベルが0で間欠運転状態にあり(ステップS125のYES)、温度T1が温度T3より2〔℃〕以上低くなければ(ステップS126のNO)、集熱ポンプ14の可変制御を繰り返す。回転数レベルが0であれば(ステップS125のYES)、温度T1が温度T3より2〔℃〕以上低ければ(ステップS126のYES)、集熱するより集熱ポンプ14を停止した方がエネルギ効率が良いと判断し、集熱切替弁332の貯湯タンク4側を閉じ(ステップS127)、集熱ポンプを停止し(ステップS128)、集熱ランプを消灯する(ステップS129)。集熱ポンプの停止期間は、天候の回復などにより外部環境が集熱可能な状況まで回復したかを定期的に確認するための間隔であり、待ち時間として例えば15分間に設定する。このように停止期間を設定し、期間経過後に集熱切替弁332の位置確認(ステップS107)を開始することにより、天候の回復などによる集熱環境が改善すれば、集熱を再開することを可能にすることができる。
【0147】
現在の時刻が集熱運転の開始時刻範囲内でなければ(ステップS111のNO)と、T3がTmax 以下でなければ、即ちTmax を超えれば(ステップS112のNO及びステップS121のNO)、集熱切替弁332の位置確認(ステップS107)へ戻り、時刻及びT3の温度条件が得られるまで判断を繰り返す。これにより、効率的な集熱を行うことができる。
【0148】
また、沸騰防止動作判断(ステップS120)では、温度T1の温度が沸騰防止動作基準値より高ければ(ステップS120のYES)、沸騰防止動作を行う必要があると判断し、集熱切替弁332の貯湯タンク4側を閉じる(ステップS130)。温水HM2は、バイパス路334を経由して循環するので、集熱パネル10に滞留することがなく、温水HM2の沸騰を防止できる。また、温水HM2は太陽熱用熱交換器12を経由しないので、温水HM1がTmax として例えば80〔℃〕以上に過熱するのを防止することができる。
【0149】
温度T1の温度が沸騰防止動作基準値より低ければ(ステップS120のNO)、沸騰防止動作を行う必要がないと判断し、集熱ポンプ14をOFFにして停止させ(ステップS131)させ、規定時間経過後(ステップS132のYES)、集熱切替弁332の位置確認(ステップS107)を開始する。温度T1がT3+3〔℃〕未満であれば、集熱ポンプ14を停止するので、温水HM2の循環によるエネルギ消費を抑制できる。
【0150】
〔第6の実施の形態〕
【0151】
既述の集熱パネル10にはヘッダ方式に代え、1パス方式の集熱パネルを用いてもよい。そこで、第6の実施の形態では、1パス方式の集熱パネルを開示している。この集熱パネルについて、図18を参照する。図18は1パス方式の集熱パネルを示している。
【0152】
図18の各図A、B及びCに示すように、この集熱パネル602は長方形平板状の筐体部603を備えている。この実施の形態においても、図18のAに示すように、防護カバー604の一部を省略し、筐体部603の内部を露出させている。この筐体部603の内部には、筐体部503の面内で最も受熱量を高めるために蛇行させた単一の蛇行配管606が配置され、温水HM2は蛇行配管606の一端608(取入口)から導入して他端610(取出口)から取り出される。
【0153】
この集熱パネル602では、受熱流体が1本の蛇行配管の内部を通過するので、受熱流体が集熱パネルの通過に要する時間がほぼ一定となり。取り出される受熱流体の温度の変動を抑えられる。
【0154】
また、上記実施の形態では、1枚の集熱パネルで説明したが、複数の集熱パネルを直列に配置し又は並列に配列した集熱パネルを用いてもよい。集熱パネルを大型化することで、太陽エネルギの集熱量を増加させることができる。
【0155】
〔実験例〕
【0156】
実験例について、図19及び図20を参照する。図19は各測定日における集熱効率を示し、図20は日射量と集熱効率比率の関係を示している。
【0157】
図19は横軸を集熱効率を測定した測定日とし、縦軸を集熱効率〔%〕で表している。そこで、この実施例の集熱効率を求めると、
集熱効率=日積算集熱量÷日積算日射量×100〔%〕 ・・・(4)
で表すことができる。
【0158】
図20は横軸が集熱効率の測定日、左側の縦軸が集熱効率比率〔%〕、右側縦軸を日射量〔MJ/日〕を取ることにより、日射量と集熱効率比率の関係を表している。そこで、集熱効率比率は、間欠運転なしで集熱したときの集熱効率を100〔%〕とした場合の比率である。間欠運転としない場合には、各測定日とも集熱効率比率は100〔%〕であり、集熱効率比率は、
集熱効率比率=集熱効率÷間欠運転なしの集熱効率×100〔%〕 ・・・(5)
となる。
【0159】
一例として、8月12日から9月8日までの期間を測定日とし、間欠運転を行わずに連続運転で集熱した場合と比較すると、図19に示すように、いずれの測定日においても、間欠運転を行わない場合を上回る集熱効率又は間欠運転を行わない場合と同等の集熱効率が得られることが確認された。
【0160】
図20に示す日射効率比率では、日射量が50〜60%の範囲であった8月12日、8月15日及び9月8日において115%以上の集熱効率比率を得ることができ、特に、9月8日には、間欠運転をしない場合の5倍以上の集熱効率であることが確認された。日射量が少なく、集熱ポンプを連続運転することでは十分な集熱が得られない環境下であっても集熱ポンプの間欠運転により集熱し、集熱効率が高められる。
【0161】
〔他の実施の形態〕
【0162】
(1) 第1の実施形態ないし第3の実施の形態では、温水HM2の検出温度を基に集熱ポンプ14を制御したが例えば、温水HM2の流量情報を制御情報として追加することができる。例えば、温水HM2の流量が最低流量又はその近傍値よりも多ければ、即ち、集熱ポンプ14が最低回転数又はその近傍値よりも高速で回転すれば、回転数を低速にする制御を行い、温水HM2の流量が最低流量又はその近傍値である場合に間欠状態に切り替えるようしてもよい。このように制御すると、温水HM2の流量の変更を段階的に制御することができる。
【0163】
(2) 第1の実施形態では出湯温度の目標値として例えば35〔℃〕未満のように固定値を設定したがこれに限らない。固定値を35〔℃〕以外の数値としてもよいし、例えば、熱交換開始からの経過時間又は時刻情報に応じて数値を上昇又は減少させるなどの変数としてもよい。
【0164】
(3) 第2の実施形態では検出温度T1及びT2並びに温水HM2の流量L1を用いて集熱パネル10に加えられる熱を監視したがこれに限らない。例えば集熱パネル10の近傍に日射センサを配置して日射センサが検出する日射量を制御装置22に取り込んで斯かる日射量を基に集熱パネル10に加えられる熱を判断することも可能である。日射センサを用いると、制御装置22において、検出温度T1及びT2並びに温水HM2の流量を演算処理する必要がない。また、検出温度T1及びT2並びに温水HM2の流量から熱量を求めれば、日照による熱量が求められるので、日射センサを配置する必要がなくなる。
【0165】
(4) 第2の実施形態では検出温度T1及びT2並びに温水HM2の流量L1を用いて集熱パネル10に加えられる熱を監視したがこれに限らない。例えば集熱ポンプ14の回転が低回転数で固定される場合又は低回転数のときに加えられる熱を監視する場合には、集熱ポンプ14の回転が一定であり温度差ΔT12が加えられる熱量に比例又はほぼ比例することになる。この場合検出温度T1及びT2を用いて集熱パネル10に加えられる熱を監視することができるので、制御装置22における演算処理の負荷を軽減することができる。
【0166】
(5) 上記実施の形態では外部から加えられる熱として太陽熱を利用して集熱したがこれに限らない。例えば、燃焼熱や排熱を利用した熱源外部から加えられる熱として用いてもよい。
【0167】
(6) 上記実施の形態では、間欠運転における停止時間(滞留時間)と運転時間(稼働時間)を1つの設定値としたがこれに限らない。集熱ポンプ14の稼働時間として、例えば、集熱パネル10の入側の温水HM2が出口側に到達する時間に設定してもよい。その他、例えば、複数の停止時間を設定して外部から加えられる熱量に応じて停止時間を変更するようにしてもよい。また、複数の運転時間を設定して外部から加えられる熱量に応じて停止時間を変更するようにしてもよい。停止時間又は運転時間の何れかを複数設定すれば、複数の異なる平均の回転数を設定することができる。
【0168】
(7) 所定の熱量が得られない場合に集熱切替弁を切り替えてバイパスを循環させて蓄熱して、温水の温度を上昇させた後に太陽熱用熱交換器12へ送るようにしてもよい。
【0169】
(8) 第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態では、ROMに運転比率テーブルを設定して集熱ポンプを制御したが、第4の実施の形態で説明したように、流量テーブルを設定して集熱ポンプの回転数を段階的に変更する制御を行い、時刻テーブルを設定して、運転開示時刻及び運転終了時刻を判断する構成としてもよい。また、集熱切替弁とバイパス路を配置して集熱環境に応じてバイパス路を経由する循環を行うように構成してもよい。第4の実施の形態で説明した構成、制御及び動作等は、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態で説明した構成及び制御又は動作と矛盾しない範囲において、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態に適用可能であることは勿論である。
【0170】
(9) 第1の実施の形態(図1)、第2の実施の形態(図4)、第3の実施の形態(図6)では、集熱回路にバイパス路を明示していないが、第4の実施の形態(図8)と同様に、バイパス路を形成し、温水のバイパス制御を行ってもよい。
【0171】
(10) 上記実施の形態では受熱流体である温水HM2の流量の監視を集熱ポンプ14の回転数によって監視しているが、流量センサを設置して流量を検出し、その検出信号で流量監視をする構成としてもよい。
【0172】
(11) 集熱ポンプ14の間欠制御について、動作時間と停止時間の比率や、動作と停止の断続ハターンは任意に設定することができ、上記実施の形態に限定されない。
【0173】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0174】
この発明は、太陽熱等の外部からの熱を効率的に利用する熱源装置等に適用でき、熱交換効率を高め、熱利用に広く適用でき、有用である。
【符号の説明】
【0175】
2 熱源装置
4 貯湯タンク
6 循環路
8、108、208、308、508 太陽集熱回路
10 集熱パネル
14 集熱ポンプ
16、116、316、317、544、546、556、588 温度センサ
18 循環ポンプ
332 集熱切替弁
334 バイパス路
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽熱等の外部からの熱を流体に熱交換する技術に関し、例えば、太陽熱を熱源に用いる熱源装置、熱源制御方法及び熱源制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上水加熱、熱媒加熱等の熱源に太陽熱が利用されている。太陽熱は自然エネルギであるから、これを熱源に利用することは自然エネルギの有効利用であるとともに、炭酸ガスの排出がない等、有益である。
【0003】
太陽熱の利用に関し、上水が供給される貯湯槽に第1及び第2の熱交換器が設置され、第1の熱交換器に太陽熱集熱器で集熱した熱媒を循環させて熱交換し、第2の熱交換器にボイラで加熱した温水の熱を熱交換することが知られている(例えば、特許文献1)。この装置では、貯湯槽内の上水の加熱に太陽熱が利用され、加熱した上水が温水として供給される。また、ボイラで加熱した温水は暖房や浴槽追焚きに利用される。
【0004】
また、熱源に燃焼排気を用いる熱源装置では、熱媒の熱を第1の熱交換手段により給水又は浴槽水に熱交換し、燃焼排気の潜熱を第2の熱交換手段により給水又は浴槽水に熱交換する熱源装置や、熱交換装置が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−134432号公報
【特許文献2】特開2007−315700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、太陽熱等、自然エネルギの利用は極めて有益であるが、自然要因に支配されることになる。太陽熱で利用できる熱量は日照時間、季節及び天候の影響を受ける。
【0007】
太陽熱を熱源に利用した熱源装置では、熱媒の循環量を抑制することにより、集熱パネルに対する熱媒の滞留時間を長くすれば、熱媒に対する集熱量を確保することができる。また、循環量の抑制はポンプを低回転にすれば可能であるが、通常の循環量を確保するため、ポンプの低回転数を定格以下に低減することはできない。このため、ポンプを低回転数で運転させて熱媒の循環量を抑制するだけでは、熱媒が十分な熱量を得ることができない。また、ポンプを低回転数で運転することによるエネルギ消費が発生し、効率を低下させることになる。
【0008】
また、ポンプを低回転数で運転するには限界があり、集熱パネルが高所に設置されることにより、必要とされる揚程力が得られない場合には、熱媒の循環ができない等の不都合がある。
【0009】
斯かる課題について、特許文献1及び2にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
【0010】
そこで、本発明の熱源装置、熱源制御方法又は熱源制御プログラムの目的は、上記課題に鑑み、熱エネルギの利用率を高め、熱交換効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の熱源装置、熱源制御方法又は熱源制御プログラムは、熱エネルギの利用率を高め、熱交換効率を高めるため、以下の構成を備えている。
【0012】
本発明の第1の側面である熱源装置は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の温度及び流量を監視し、前記温度が所定温度以下である場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する制御部とを備える構成である。
【0013】
また、本発明の第2の側面である熱源装置は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、前記熱交換手段に加えられる熱及び前記受熱流体の流量を監視し、前記熱交換手段に加えられる熱量が低下した場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する制御部とを備える構成である。
【0014】
また、本発明の第3の側面である熱源装置は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の出側温度を検出する温度検出手段と、前記熱交換手段に前記受熱流体を流す流路に設置されたポンプと、前記出側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する制御部とを備える構成である。
【0015】
また、本発明の第4の側面である熱源装置は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の入側温度を検出する温度検出手段と、前記熱交換手段に前記受熱流体を流す流路に設置されたポンプと、前記入側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する制御部とを備える構成である。
【0016】
また、本発明の第5の側面である熱源装置は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、前記受熱流体の熱が熱交換された熱媒により蓄熱する蓄熱手段と、前記熱交換手段から出る前記受熱流体の温度を検出する第1の温度検出手段と、前記蓄熱手段の前記熱媒の温度を検出する第2の温度検出手段と、前記熱交換手段に前記受熱流体を流す流路に設置されたポンプと、前記第1の温度検出手段及び前記第2の温度検出手段の検出温度を監視し、これら検出温度の差が所定温度以下である場合、前記ポンプを低回転数で間欠運転させ、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の平均流速を前記ポンプの連続回転による最低流速未満に制御する制御部とを備える構成である。
【0017】
また、本発明の第6の側面である熱源制御方法は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の温度及び流量を監視し、前記温度が所定温度以下である場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する工程とを含む構成である。
【0018】
また、本発明の第7の側面である熱源制御方法は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、前記熱交換手段に加えられる熱及び前記受熱流体の流量を監視し、前記熱交換手段に加えられる熱量が低下した場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する工程とを含む構成である。
【0019】
また、本発明の第8の側面である熱源制御方法は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の出側温度を検出する工程と、前記熱交換手段に前記受熱流体をポンプにより流す工程と、前記出側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する工程と、を含む構成である。
【0020】
また、本発明の第9の側面である熱源制御方法は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の入側温度を検出する工程と、前記熱交換手段に前記受熱流体をポンプにより流す工程と、前記入側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する工程とを含む構成である。
【0021】
また、本発明の第10の側面である熱源制御方法は、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、前記受熱流体の熱が熱交換された熱媒により蓄熱する工程と、前記熱交換手段から出る前記受熱流体の温度を第1の温度検出手段により検出する工程と、前記蓄熱手段の前記熱媒の温度を第2の温度検出手段により検出する工程と、前記熱交換手段に前記受熱流体を流す工程と、前記第1の温度検出手段及び第2の温度検出手段の検出温度を監視し、これら検出温度の差が所定温度以下である場合、前記ポンプを低回転数で間欠運転させ、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の平均流速を前記ポンプの連続回転による最低流速未満に制御する工程とを含む構成である。
【0022】
また、本発明の第11の側面である熱源制御プログラムは、熱源装置に搭載されたコンピュータに、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段に流れる前記受熱流体の温度及び流量を監視し、前記温度が所定温度以下である場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する機能とを実行させる構成である。
【0023】
また、本発明の第12の側面である熱源制御プログラムは、熱源装置に搭載されたコンピュータに、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段に加えられる熱及び前記受熱流体の流量を監視し、前記熱交換手段に加えられる熱量が低下した場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する機能とを実行させる構成である。
【0024】
また、本発明の第13の側面である熱源制御プログラムは、熱源装置に搭載されたコンピュータに、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段に流れる前記受熱流体の出側温度の検出情報を取り込む機能と、前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプを動作させる機能と、前記出側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する機能と実行させる構成である。
【0025】
また、本発明の第14の側面である熱源制御プログラムは、熱源装置に搭載されたコンピュータに、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段に前記熱交換を開始させる機能と、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の入側温度の検出情報を取り込む機能と、前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプを動作させる機能と、前記入側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する機能とを実行させる構成である。
【0026】
また、本発明の第15の側面である熱源制御プログラムは、熱源装置に搭載されたコンピュータに、外部から加えられる熱を受熱流体に熱交換する熱交換手段に熱交換させる機能と、前記受熱流体の熱が熱交換された熱媒に蓄熱させる処理を実行させる機能と、前記熱交換手段から出る前記受熱流体の温度を検出する第1の温度検出手段の検出温度情報を取り込む機能と、前記蓄熱手段の前記熱媒の温度を検出する第2の温度検出手段の検出温度情報を取り込む機能と、前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプを動作させる機能と、前記第1の温度検出手段及び前記第2の温度検出手段から得た前記検出温度情報を監視し、前記検出温度の差が所定温度以下である場合、前記ポンプを低回転数で間欠運転させ、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の平均流速を前記ポンプの連続回転による最低流速未満に制御する機能とを実行させる構成である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0028】
(1) 外部からの熱量を効率的に受熱流体に変換でき、その結果、受熱流体の温度上昇を増大させることができる。従って、太陽熱等の外部からの熱エネルギの利用率を高めることができ、熱交換効率を高めることができる。
【0029】
(2) 受熱流体の流量を間欠状態に制御し、受熱流体の集熱量を増大させることができる。
【0030】
(3) 受熱流体の流量を停止させる時間が設定されるので、受熱流体を流すためのエネルギ消費が抑えられ、熱エネルギの利用率を向上させ、熱交換効率を高めることができる。
【0031】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1の実施の形態に係る熱源装置の一例を示す図である。
【図2】運転比率テーブルの一例を示す図である。
【図3】流量制御の一例を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施の形態に係る熱源装置の一例を示す図である。
【図5】流量制御の一例を示すフローチャートである。
【図6】第3の実施の形態に係る熱源装置の一例を示す図である。
【図7】流量制御の一例を示すフローチャートである。
【図8】第4の実施の形態に係る熱源装置の一例を示す図である。
【図9】制御装置及びリモコン装置の一例を示す図である。
【図10】流量テーブルの一例を示す図である。
【図11】集熱パネルの一例を示し、(A)は集熱パネルの正面図、(B)は集熱パネルの右側面図、(C)は集熱パネルの底面図である。
【図12】第4の実施の形態に係る流量制御の一例を示すフローチャートである。
【図13】集熱ポンプ制御の一例を示すフローチャートである。
【図14】ポンプの回転数と出口側検出温度の関係の一例を示す図である。
【図15】第5の実施の形態に係る暖房・給湯・追焚き装置を示す図である。
【図16】流量制御の一例を示すフローチャートである。
【図17】流量制御の一例を示すフローチャートである。
【図18】第6の実施の形態に係る1パス方式の集熱パネルの構成例を示す図である。
【図19】各測定日における集熱効率の一例を示す図である。
【図20】日射量と集熱効率比率の関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
〔第1の実施の形態〕
【0034】
第1の実施の形態は、熱交換手段に流れる受熱流体の温度及び流量を監視し、その温度が所定温度以下である場合、受熱流体の流れを間欠状態に制御する構成を含んでいる。この第1の実施の形態について、図1及び図2を参照する。図1は熱源装置の一例を示す図であり、図2は、運転比率テーブルの一例を示す図である。図1に示す構成及び図2に示すテーブルは一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0035】
図1に示す熱源装置2では、熱媒体として温水HM1を溜める貯湯タンク4と、温水HM1を循環させる循環路6とが備えられ、温水HM1の加熱手段として太陽熱集熱回路8が備えられている。
【0036】
貯湯タンク4は、温水HM1を溜める貯留手段の一例であるとともに、温水HM1を以て蓄熱する蓄熱手段の一例でもある。この貯湯タンク4の温水HM1には、太陽熱集熱回路8に循環する温水HM2の熱量が熱交換される。
【0037】
太陽熱集熱回路8は、熱源に太陽熱を利用して集熱し、受熱流体として温水HM2を循環させ、その熱を温水HM1に熱交換する手段の一例である。この太陽熱集熱回路8は密閉回路であって、集熱パネル10、太陽熱用熱交換器12、集熱ポンプ14が備えられている。即ち、集熱ポンプ14が停止しても、集熱回路8内にある温水HM2に空気の侵入が阻止され、ポンプ停止時の回路内圧を維持する構成である。
【0038】
集熱パネル10は、外部から加えられる太陽熱を集熱し、その熱(熱量)を温水HM2に熱交換する熱交換手段の一例である。太陽熱用熱交換器12は、貯湯タンク4に設置され、温水HM2の熱を温水HM1に熱交換する。集熱ポンプ14は、温水HM2を圧送して集熱パネル10及び太陽熱用熱交換器12に流す温水圧送手段の一例である。集熱ポンプ14は例えば、DC(直流)モータを用いたポンプであり、ポンプを停止した際に温水HM2が逆流することを防止する逆流防止機能を備えている。集熱パネル10の出側には温度センサ16が設置され、温度センサ16の検出温度T1が集熱パネル10の出側の温度である。換言すれば、太陽熱用熱交換器12から見れば、太陽熱用熱交換器12による温水HM2の熱交換前の温度、即ち、入側の温度を表す。検出温度T1は集熱ポンプ14の制御に用いられる。温度センサ16には、例えばサーミスタを用いることができる。
【0039】
循環路6には、循環ポンプ18と、温水HM1の熱エネルギを消費する負荷20とが備えられる。負荷20は熱媒である温水HM1が持つ熱量の利用即ち、放熱する負荷手段であればどのようなものでもよく、例えば、温水HM1の熱を利用する手段として低温暖房器、高温暖房器、給湯回路、浴槽の追焚回路等である。
【0040】
検出温度T1は制御情報として制御装置22に取り込まれ、集熱ポンプ14の駆動が、制御装置22の駆動出力によって制御される。制御装置22はマイクロコンピュータ等のコンピュータによって構成されており、熱源装置2の制御部として機能し、CPU(Central Processing Unit )24、ROM(Read-Only Memory)26、RAM(Random-Access Memory)28、計時手段としてタイマ30を備える。CPU24はROM26にある制御プログラムを実行して熱源装置2を制御する。ROM26は制御プログラムの他、流量を制御するための温度情報及び時間情報等の設定値を流量制御情報として格納し、例えば、熱交換後の温水HM2の温水温度設定値を格納している。また、ROM26には、運転比率テーブル50(図2)が設定され、集熱ポンプ14を間欠運転に制御して、温水HM2の流れを間欠状態に制御する制御情報を格納している。ROM26やRAM28等の記憶媒体には、読み書き可能な不揮発性メモリとして例えば、EEPROMを用いてもよい。
【0041】
温水温度設定値は、集熱ポンプ14を連続運転から間欠運転に切替えて、温水HM2の流れを連続状態から間欠状態にするための温度設定値の一例であり、例えば35〔℃〕に設定される。
【0042】
図2に示す運転比率テーブル50には、集熱ポンプ14を運転する割合を表す値として、集熱ポンプ14の回転数52と、集熱ポンプ14を停止させる時間としてOFF時間54と、集熱ポンプ14を運転させる時間としてON時間56と、停止と運転の繰り返しの1サイクルとして、OFF時間54とON時間56の合計時間58が格納される。回転数52には、集熱ポンプ14を間欠運転する際の回転数が格納される。この回転数は、間欠運転時の回転数を低くするため、低い回転数に設定する。ON時間56には、集熱ポンプ14を回転数52で回転した場合に、集熱パネル10の取入口にある温水HM2が集熱パネル10の取出口から導出されて太陽熱用熱交換器12の通過に要する時間(単位:〔秒〕)を設定する。OFF時間54は、ON時間56に対する相対値であり、所望の流量に合わせて時間(単位:〔秒〕)を設定する。回転数52、OFF時間54、ON時間56、合計時間58として、例えばそれぞれ1800、95、265及び360を設定すると、運転比率ORは、
運転比率OR=ON時間56/(ON時間56+OFF時間54) ・・・(1)
で表され、
運転比率OR=265/360=0.736 ・・・(2)
となる。集熱ポンプ14により95〔秒〕の停止と1800回転での265〔秒〕の運転を繰り返して間欠運転すると、平均回転数ARNは、
平均回転数ARN=回転数52×運転比率OR
=1800×0.736=1325〔rpm〕 ・・・(3)
となる。この平均回転数ARNは、集熱ポンプ14を連続回転させた場合、集熱ポンプ14の例えば、定格の最低回転数より小さくなり、温水HM2の平均流速が集熱ポンプ14の連続回転による最低流速未満になる。つまり、最低流量よりも低い平均流量が得られる。
【0043】
制御装置22はROM26に格納している流量等の制御情報と検出温度T1を制御情報に用いてその演算等の処理により、制御出力を発生する。RAM28はプログラムの実行エリアを構成するとともに、一時的な情報の記憶を行う。タイマ30は時間制御のための時間情報を生成する手段の一例である。制御装置22は、マイクロコンピュータで構成され、所謂ワンチップマイコンで構成すればよい。
【0044】
次に、熱源制御について、図3を参照する。図3は流量制御の処理手順の一例を示している。図3に示す処理手順は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0045】
この処理手順は、本発明の熱源制御方法又は熱源制御プログラムの一例である。図3に示す処理手順では、熱源の制御は制御装置22で制御プログラムを実行することにより実行され、熱源の制御は検出温度T1を監視して集熱ポンプ14をフィードバック制御することで行う。外部から熱が加えられると、集熱ポンプ14を運転して、外部から加えられる熱を温水HM2に熱交換する(ステップS11)。そして、温水HM2の検出温度T1及び流量が監視される(ステップS12)。熱交換により温水HM2の温度が上昇するが、温度センサ16では、出側温度である検出温度T1が検出される。この検出温度T1は制御装置22に取り込まれる。また、温水HM2の流量情報は、集熱ポンプ14の回転速度により監視される。
【0046】
検出温度T1が設定値未満であるかを判断し(ステップS13)、温水温度設定値未満であれば(ステップS13のYES)、集熱ポンプ14を間欠運転して温水HM2の流れを間欠状態に制御する(ステップS14)。また、温水温度設定値以上であれば(ステップS13のNO)、ステップS12に戻り、既述の検出温度T1及び温水HM2の流量の監視とともに、検出温度T1が設定値未満であるか否かの判断が繰り返される。
【0047】
温水HM2の流れの間欠状態は、ROM26に格納されている回転数52、OFF時間54及びON時間56に従って、集熱ポンプ14が間欠運転に制御される。即ち、集熱ポンプ14は集熱ポンプ14の最低回転数又はその近傍で回転数で、間欠状態に制御される。この場合、集熱ポンプ14を間欠運転した際の平均の回転数は、集熱ポンプ14の定格の最低回転数未満となる。つまり、温水HM2の流量は、集熱ポンプ14の回転数に従って減少させることができ、温水HM2の流量は集熱ポンプ14を既述の最低回転数による流量(最低流量)未満に制御することができる。なお、集熱ポンプ14の既述の最低回転数は、集熱ポンプ14を安定回転が得られる最低回転数又は、温水HM2を集熱パネル10の高さまで押し上げ、又は汲むために必要な最低回転数を設定すればよい。太陽熱集熱回路8の最低流量は、例えば、集熱パネル10の構造及び耐久性等から導き出せばよい。
【0048】
このように、温水HM2の流れが間欠状態になれば、温水HM2の流量を連続状態で流す最低流量よりも低流量の平均流量で循環させることができる。この流量で十分な吸熱が得られた温水HM2を太陽熱用熱交換器12へ送出できる。この間欠動作では、集熱ポンプ14の駆動モータによる消費電力を連続運転より低減でき、温水HM2の循環のためのエネルギ消費を低減できる。
【0049】
〔第2の実施の形態〕
【0050】
第2の実施の形態は、熱交換手段に加えられる熱及び受熱流体の流量を監視し、熱交換手段に加えられる熱量が低下した場合、受熱流体の流れを間欠状態に制御する構成を含んでいる。この第2の実施の形態について、図4を参照する。図4は、第2の実施の形態に係る熱源装置の一例を示す図である。図4に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0051】
太陽熱集熱回路108には、集熱パネル10の入側に温度センサ116が設置されている。温度センサ116の検出温度T2が集熱パネル10による温水HM2の熱交換前の温度、即ち、入側の温度を表す。検出温度T2は、出側の検出温度T1とともに集熱パネル10に加えられる熱量の判断に用いられる。検出温度T1及びT2は制御情報として制御装置22に取り込まれ、集熱ポンプ14の制御に用いられる。
【0052】
制御装置22は、集熱パネル10に加えられる熱量即ち、温水HM2に熱交換される熱量と、温水HM2の流量を監視して集熱ポンプ14の回転を制御し、温水HM2の流量を制御する。
【0053】
集熱パネル10に加えられる熱量は、集熱パネル10の熱交換により温水HM2が得る熱量に比例又はほぼ比例する。温水HM2が得る熱量は出側温度(T1)と入側温度(T2)の差ΔT12(ΔT12=T1−T2)に温水HM2の流量L1を掛けた値(ΔT12×L1)に比例する。集熱パネル10に加えられる熱は、検出温度T1及びT2並びに温水HM2の流量により監視することができる。ROM26は流量の制御情報として、集熱ポンプ14の停止時間(OFF時間54)と、集熱ポンプ14の運転時間(ON時間56)を格納しているので、制御装置22はROM26に格納している制御情報と検出温度T1及びT2を制御情報に用いてその演算等の処理により、制御出力を発生する。
【0054】
次に、熱源制御について、図5を参照する。図5は流量制御の処理手順の一例を示している。図5に示す処理手順は一例であって、斯かる処理に本発明が限定されるものではない。
【0055】
この処理手順は、本発明の熱源制御方法又は熱源制御プログラムの一例である。図5に示す処理手順では、外部から熱が加えられると、集熱ポンプ14を運転して、外部から加えられる熱が温水HM2に熱交換される(ステップS31)。温水HM2に加えられる熱として、その温度及び流量が監視される(ステップS32)。温度センサ16では、集熱パネル10の出側温度である検出温度T1が検出される。温度センサ116では、集熱パネル10の入側温度である検出温度T2が検出される。この検出温度T1及びT2の差温から集熱パネル10で熱交換された熱量が得られる。つまり、集熱ポンプ14の回転数による温水HM2の流量と差温から熱量を算出できる。
【0056】
そこで、制御装置22では、温水HM2の流量情報を集熱ポンプ14の回転数から判断し、集熱ポンプ14の回転数(回転速度)と、検出温度T1−T2の差温とから集熱パネル10に加えられる熱量を判断する。この熱量を監視し、この熱量が閾値より低下すれば(ステップS33のYES)、温水HM2の流量を間欠制御とし(ステップS34)、ステップS32に戻る。流量の間欠制御には、集熱ポンプ14を回転と停止とを繰り返す間欠状態に制御すればよい。また、熱量が低下していななければ(ステップS33のNO)、ステップS32に戻り、ステップS33及びステップS34の処理を繰り返す。
【0057】
集熱パネル10に加えられる熱量が低下した場合、集熱ポンプ14を間欠運転に制御するので、温水HM2を集熱パネル10内で滞留させることができ、温水HM2に対する熱交換量を増加させることができる。即ち、間欠制御による流量は、集熱ポンプ14の連続運転による既述の最低回転数により低い緩やかな温水HM2の流量に制御でき、熱交換量を増加できる。
【0058】
〔第3の実施の形態〕
【0059】
第3の実施の形態は、熱交換手段から流れ込む受熱流体の温度及び流量を監視し、その温度が所定温度以下である場合、受熱流体の流れを間欠状態に制御する構成を含んでいる。この第3の実施の形態について、図6を参照する。図6は、第3の実施の形態に係る熱源装置の一例を示す図である。図6に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図1及び図4と同一部分には同一符号を付してある。
【0060】
太陽熱集熱回路208には温度センサ116が集熱パネル10の入側に設置される。温度センサ116の検出温度T2が集熱パネル10による温水HM2の熱交換前の温度、即ち、入側温度を表す。
【0061】
検出温度T2は制御装置22に取り込まれ、集熱ポンプ14が検出温度T2によって制御される。その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0062】
次に、熱源制御について、図7を参照する。図7は流量制御の処理手順の一例を示している。図7に示すフローチャートは一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0063】
この処理手順は、本発明の熱源制御方法又は熱源制御プログラムの一例である。図7に示す処理手順では、熱源制御は制御装置22で制御プログラムを実行することにより実行される。この熱源制御は検出温度T2と温水HM2の流量を監視し、これらを制御情報に用いて集熱ポンプ14の回転即ち、循環流量を制御する。
【0064】
集熱ポンプ14の運転により、集熱パネル10に加えられる熱量が温水HM2に熱交換される(ステップS41)。この熱交換中、集熱パネル10の温水HM2の入側温度及び流量が監視される(ステップS42)。この入側温度は、温度センサ116により検出され、その検出温度T2が制御装置22に取り込まれる。温水HM2の流量は、集熱ポンプ14の回転数により検出される。この場合、検出温度T2が設定値未満であるかが判定される(ステップS43)。検出温度T2が設定値未満であれば(ステップS43のYES)、集熱ポンプ14が間欠運転に制御され(ステップS44)、ステップS42に戻る。検出温度T2が設定値以上であれば(ステップS43のNO)、ステップS42に戻り、ステップS43の判断が行われる。
【0065】
間欠制御(ステップS44)では、ROM26に格納されている運転比率テーブル50の回転数52、OFF時間54とON時間56とにより、集熱ポンプ14の回転数を間欠状態に制御する。この間欠制御では、集熱ポンプ14の定格の最低回転数又はその近傍で回転させて間欠状態で運転する。この結果、集熱ポンプ14の平均回転数は、OFF時間54とON時間56との平均値となり、既述の最低回転数未満となる。この結果、温水HM2の流量は、集熱ポンプ14の平均回転数に応じたものとなり、集熱ポンプ14を最低回転数で回転した場合の流量(最低流量)未満となる。
【0066】
このように、温水HM2の流量が間欠状態となるので、連続した循環流量より低い平均流量となり、集熱パネル10では熱交換率を高めることができる。しかも、温水HM2の流量の間欠状態が集熱ポンプ14の間欠運転で行なわれるので、既述のとおり、エネルギ消費を低減できる。
【0067】
この場合、熱源の制御は、検出温度T2を監視して集熱ポンプ14を制御(例えば、フィードフォワード制御又はフィードバック制御)することで行う。温度及び流量の監視では、第1の実施の形態の集熱パネル10に対する温水HM2の出側温度の監視(図3のステップS12)に代え、集熱パネル10に対する温水HM2の入側温度(T2)を監視して、検出温度T2が温水温度設定値未満であるか否かを判断する。尚、温水温度の設定値は集熱パネル10に入側温度に対して設定され、ROM26に格納されている。
【0068】
温水HM2の入側温度は、集熱ポンプ14を間欠運転に制御して温水HM2の流れを間欠状態にするための判断対象とする。流量を連続状態で流すことでは得られない流量の低い流れにより温水HM2を循環させることができる。このため、集熱パネル10により十分に温めた温水を太陽熱用熱交換器12へ送出することができ、温水HM2を流すためのエネルギ消費が抑制される。
【0069】
〔第4の実施の形態〕
【0070】
第4の実施の形態は、集熱パネルの出側温度と蓄熱手段側の温度との差温度を監視し、その温度が所定温度以下である場合、受熱流体の流れを間欠状態に制御する構成を含んでいる。この第4の実施の形態について、図8ないし図12を参照する。図8は熱源装置の一例を示し、図9は制御装置及びリモコン装置の一例を示し、図10は流量テーブルの一例を示す。図11は、集熱パネルの一例を示している。図1、図4及び図6と同一部分には同一符号を付してある。図8ないし図11に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0071】
図8に示す熱源装置302では、温度センサ16及び温度センサ116に加え、温度センサ316、317が備えられている、また、太陽熱集熱回路308には、集熱切替弁332、バイパス路334が備えられている。
【0072】
温度センサ316は、貯湯タンク4の出側付近に設置され、熱媒体である温水HM1の温度T3を検出する。検出温度T3は検出温度T1とともに温水HM2の流量の制御に用いられる。
【0073】
温度センサ317は、循環路6の設置エリアに設置され、この温度センサ317によって外気温度Tout が検出される。
【0074】
バイパス路334は集熱切替弁332を介して太陽熱集熱回路308から分岐され、太陽熱用熱交換器12の側路である。そして、温水HM2の温度が低ければ、このバイパス管路334側に温水HM2を循環させ、貯湯タンク4側に流入する温水HM2を制限する。温度センサ16の検出温度T1及び温度センサ116の検出温度T2は、集熱切替弁332の切替えによるバイパス路334の開閉や集熱ポンプ14の制御に用いられる。
【0075】
これら検出温度T1〜T3及びTout は制御情報として制御装置22に取り込まれ、集熱ポンプ14や集熱切替弁332が、制御装置22の駆動出力及び切替え出力によって制御される。
【0076】
この制御装置22は、図9に示すように、温度センサ16、116、316、317から検出温度T1〜T3及びTout を取り込む。そして、集熱ポンプ14の回転を制御し、温水HM2の流量を制御する。
【0077】
この制御装置22には、リモコン装置342が有線又は無線により接続されている。リモコン装置342は、ユーザの操作装置であって、制御部344と、操作部346と、表示部348とを備え、ユーザの生活エリアに設置される。
【0078】
制御部344は、操作部346からの操作入力を受け、その操作入力に基づく制御情報を制御装置22に通知する。操作部346はキーボードやタッチセンサ等で構成される。制御部344はコンピュータによって構成されており、CPU350、ROM352、RAM354等を備える。CPU350はROM352にある制御プログラムを実行し、制御出力を発生する。RAM354はプログラムの実行エリアを構成する。この制御部344は制御装置22と連係し、制御装置22に対する制御命令を出力し、制御装置22からの出力情報を受け、制御状態等を表す提示出力を表示部348に提供する。
【0079】
表示部348は制御部344の表示制御に基づき、制御部344から提供される提示出力に基づく視認可能な表示を行う。
【0080】
制御装置22のROM2 6 には、流量テーブル360が設定されている。その他、ROM26には、例えば、燃焼運転制御の実行時刻を規定する時刻テーブル等が設定されればよい。
【0081】
図10に示す流量テーブル360には、温水HM2が太陽熱集熱回路308を流れる流量のレベル362として、例えばTBL(0)、TBL(1)、・・・、TBL(5)が設定される。また、太陽熱集熱回路308を流れる流量として、集熱ポンプ14のポンプ回転数364が各レベルTBLに対応して格納される。ポンプ回転数364は段階的な値として例えば、1800〔rpm 〕、2200〔rpm 〕、2600〔rpm 〕、3000〔rpm 〕、3500〔rpm 〕、4000〔rpm 〕が設定され、回転数情報として格納される。TBL(0)のポンプ回転数は、例えば、集熱ポンプ14の最低回転数又はその近傍値に設定し、TBL(5)のポンプ回転数は、太陽熱集熱回路308の最大流量又はその近傍流量を得るための回転数が設定され、TBL(0)からTBL(4)のポンプ回転数364は、レベル362が大きくなるにつれて大きくする。尚、ポンプの最低回転数はポンプを安定して回転させるために必要な回転数であり、温水HM2を集熱パネル10の高さまで押し上げ、又は汲むために必要な回転数等から設定し、太陽熱集熱回路308の最大流量は、例えば、集熱パネル10の構造及び耐久性等から導き出す。
【0082】
この実施の形態では、ヘッダ方式の集熱パネル10が使用されている。この集熱パネル10は、図11の各図(Aはその平面図、Bは長手方向側面を示す側面図、Cは短手方向側面を示す側面図)に示すように、長方形の平板状の筐体部391を備えている。この筐体部391には、太陽光を受ける上面側に筐体部391内を防護する防護カバー392を備え、この防護カバー392は例えば、光透過性材料で形成されている。この実施の形態では、図11のAに示すように、防護カバー392の一部を省略し、筐体部391の内部を露出させている。
【0083】
筐体部391の内部には、温水HM2を流す配管を備える。筐体部391の長手方向の側部のそれぞれには、入側ヘッダ配管394と、出側ヘッダ配管396が離間するとともに対向して配置され、入側ヘッダ配管394と出側ヘッダ配管396は、複数の渡り配管401、402、403、・・・408で接続される。入側ヘッダ配管394の一端には、温水HM2を導入するための取入口412が形成され、他端にはキャップ414を配置して入側ヘッダ配管394の管口を閉止している。出側ヘッダ配管396の一端には、キャップ416を配置して出側ヘッダ配管396の管口を閉止し、他端には温水HM2が導出するための取出口418が形成されている。取入口412と取出口418は集熱パネル10の対角上又は対角の近傍に配置して、渡り配管401、402、403、・・・408を流れる温水の流量のばらつきを抑制している。
【0084】
その他の構成は第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0085】
次に、温水HM1を加熱するための集熱動作について、図12及び図13を参照する。図12は流量制御の処理手順の一例を示し、図13は、集熱ポンプ制御の処理手順の一例を示し、図12に示す集熱ポンプ制御(図12のステップS59)の処理手順(サブルーチン)の一例を示している。図12及び図13に示す処理手順は一例であって、斯かる処理に本発明が限定されるものではない。
【0086】
この処理手順は、本発明の熱源制御方法又は熱源制御プログラムの一例である。図12に示す処理手順では、太陽熱集熱動作であって、太陽熱集熱回路308に温水HM2を循環させ、太陽熱を温水HM2に熱交換し、温水HM2の熱を貯湯タンク4内にある太陽熱用熱交換器12で温水HM1に熱交換する動作である。この集熱動作は、制御装置22で制御プログラムを実行することにより実行される。
【0087】
太陽熱による温水HM2の温度上昇は、日射量に関係し、試験結果によれば、冬季でも約30〔〔℃〕〕の上昇が期待できることが確認されている。季節にかかわらず、貯湯タンク4の温水温度は約30〔〔℃〕〕であるため、太陽熱用熱媒である温水HM2と熱交換する太陽熱用熱交換器12を備える貯湯タンク4では、冬期でも30〔〔℃〕〕の温度上昇があり、貯湯タンク4の温水温度は30〔〔℃〕〕+30〔〔℃〕〕で約60〔〔℃〕〕に上昇させることができる。この場合、貯湯タンク4の温水を低温暖房器の放熱等に利用できる。夏期であれば、これ以上の熱利用ができることは勿論である。
【0088】
この太陽熱集熱回路308に利用できる太陽熱について、季節により日の出、日の入り時刻が変わり、日射のある時間帯も変化する。制御装置22の制御部では、外気温度Tout とタイマ30による時間計測から平均最低気温を演算する。平均最低気温から季節の変化を判断し、季節に応じて集熱運転の開始時刻及び終了時刻を制御することができる。現時刻等の初期の設定値は、リモコン装置342を通して制御装置22に初期設定する(ステップS51)。
【0089】
この集熱動作では、集熱開始動作P1と、蓄熱動作P2と、集熱実行判断動作P3と、集熱停止動作P4が行われる。
【0090】
(1) 集熱開始動作(P1)
【0091】
図12に示す処理手順では、初期設定を行うと(ステップS51)、運転時間帯(例えば、7:00〜17:00)であるかを判断する(ステップS52)。運転時間帯でなければ(ステップS52のNO)、運転時間帯の確認を継続する。設定された運転時間帯であれば(ステップS52のYES)、集熱切替弁332を操作して貯湯タンク4側を閉にし(ステップS53)、検出温度T3が所定値として例えば、温度Tmax より高い温度であるかを判断する(ステップS54)。Tmax は、貯湯タンク4内の温水HM1の過熱を防止するための過熱防止温度値であって、例えば80〔℃〕に設定(ROM26に格納)される。
【0092】
検出温度T3が温度Tmax より高い温度であれば(ステップS54のYES)、貯湯タンク4の温水HM1を加熱する必要がないため、ステップS52からステップS54の動作を繰り返しポンプの停止状態を維持する。検出温度T3がTmax 以下であれば(ステップS54のNO)、流量テーブル360(図10)のレベル362の番号nを2に設定して、(ステップS55)、集熱ポンプ14をTBL(n)、n=2のポンプ回転数、即ち、TBL(2)のポンプ回転数(2600〔rpm〕)で運転する(ステップS56)。集熱切替弁332により貯湯タンク4側を閉じているので、温水HM2はバイパス路334を通って太陽熱集熱回路308を循環し、太陽熱を温水HM2に蓄熱する。nは、レベル362のレベルを表す0から5までの整数であって、N=2であるTBL(n)は、レベル362がTBL(2)であることを表す。n値は流量制御の実行により変更させる変数であって例えばRAM28に格納される。
【0093】
検出温度T1は、太陽熱により加熱された温水HM2の温度であり、この検出温度T1と検出温度T3とを比較し(ステップS57)、T1>T3+2〔℃〕であれば(ステップS57のYES)、温水HM2の熱を温水HM1に熱交換可能であるので蓄熱動作P2へ移行し、T1>T3+2〔℃〕でなければ(ステップS57のNO)、集熱パネル10で集熱があるかを判断するため、集熱実行判断動作P3へ移行する。
【0094】
(2) 蓄熱動作(P2)
【0095】
集熱切替弁332を操作して貯湯タンク4側を開として(ステップS58)、バイパス路334を通る循環から太陽熱用熱交換器12を通る循環に切り替える。このとき、集熱ポンプ14を制御して(ステップS59)、温水HM2の熱量が温水HM1に熱交換される。
【0096】
太陽熱を温水HM2に蓄熱し、温水HM2の熱を温水HM1に熱交換する間、T3>Tmax かを判断し(ステップS60)、T3の温度がTmax 又はTmax に達していなければ(ステップS60のNO)、検出温度T1と検出温度T3との比較に戻り(ステップS57)、蓄熱動作P2を繰り返し又は集熱実行判断動作P3へ移行する。T3の温度がTmax を超えると(ステップS60のYES)、貯湯タンク4の温水HM1を加熱する必要がないため、集熱停止動作P4へ移行して、ポンプによるエネルギ消費を削減する。
【0097】
(3) 集熱実行判断動作(P3)
【0098】
この集熱実行判断動作では、集熱パネル10で熱交換により集熱されているかを判断する。このため、集熱切替弁332により貯湯タンク4側を閉にし、又は閉状態にあれば、閉状態を維持して(ステップS61)、検出温度T2の温度を記憶する(ステップS62)。検出温度T2は、温度T2' として例えば、RAM28に記憶する。t〔秒〕経過後に検出温度T1と検出温度T2' とを比較して(ステップS63)、T1>T2' であれば(ステップS63のYES)、集熱パネル10で集熱があるので、集熱ポンプ14を制御して(ステップS59)、熱交換による集熱を行う。T1>T2' でなければ(ステップS63のNO)、集熱ができないので、集熱停止動作P4へ移行する。
【0099】
(4) 集熱停止動作(P4)
【0100】
集熱ポンプ14を停止し(ステップS64)、所定のインターバルを経て(ステップS65)、運転時間帯の判断(ステップS52)に戻る。
【0101】
(5) 集熱ポンプ制御動作
【0102】
温水HM1の加熱は、太陽熱を温水HM2に蓄熱する動作と、温水HM2の熱を温水HM1に熱交換させる動作を介して行う。このとき、温水HM2の出側温度(検出温度T1)と温水HM1の温度(検出温度T3)の温度差(ΔT13:ΔT13=T1−T3)を例えば5〔℃〕以上にすると温水HM1を効率よく加熱することができる。ΔT13が7〔℃〕より大きい場合には、集熱パネル10を流れる温水HM2を多くして、ΔT13が5〔℃〕から7〔℃〕の間の温水HM2を多量に太陽熱用熱交換器12へ供給すると、温水HM1を更に効率よく加熱することができる。このため、制御装置22では、T1及びT3に基づいて、集熱ポンプ14を制御する(図12のステップS59)。つまり、一例として5〔℃〕から7〔℃〕の範囲としているのは、集熱ポンプ14側の消費電力を加味して効率を考えると、温度差をこの程度に設定することが効率上に有益である。しかし、この温度範囲5〔℃〕から7〔℃〕に限定されるものではない。
【0103】
集熱ポンプ制御動作について、図13を参照する。図13に示す処理手順は本発明の熱源制御方法又は熱源制御プログラムの一例である。図13に示す処理手順では、集熱ポンプ14の回転数を変更するためのレベル変更動作SP1と、集熱ポンプ14を間欠運転させる間欠運転制御動作SP2を行う。レベル変更動作SP1は、制御装置22のタイマ30(図2)により時間を計測し、例えば3分に1回のタイミングでサンプリングを行う。制御装置22でサンプリングタイミングか否かを判断し(ステップS71)、サンプリングタイミングであれば(ステップS71のYES)、レベル変更動作SP1へ移行し、サンプリングタイミングでなければ(ステップS71のNO)、レベル変更動作SP1をスキップして(跳び越して)、間欠運転制御動作SP2へ移行する。
【0104】
(5-1) レベル変更動作(SP1)
【0105】
レベル変更動作では、温水HM2の集熱パネル10の出側温度と、温水HM1の貯湯タンク316の出側温度の温度差ΔT13を算出し、この温度差ΔT13を複数の温度設定値と段階的に対比して、温度差ΔT13の値を判断する。そして温度差ΔT13の値の範囲に応じて集熱ポンプ14の回転を制御するレベルを決定し、このレベルを変更する。この複数の温度設定値は、レベル変更設定値としてROM26に格納される。レベルが変更されると、運転比率テーブル50及び流量テーブル360に基づいて集熱ポンプ14の回転数の増減及び連続運転と間欠運転の間で運転状態の変更が行われる。
【0106】
温度差ΔT13を算出すると(ステップS72)、温度差ΔT13<3〔℃〕か否か(ステップS73)、温度差ΔT13<5〔℃〕か否か(ステップS74)、温度差ΔT13≧10〔℃〕か否か(ステップS75)、温度差ΔT13≧7〔℃〕か否か(ステップS76)が順番に判断される。温度差ΔT13<3〔℃〕であれば(ステップS73のYES)、温度差ΔT13を上昇させるため、レベル362の番号nから2引いてTBL(n)を2レベル下げる(ステップS77)。また、温度差ΔT13<3〔℃〕ではなく、温度差ΔT13<5〔℃〕であれば(ステップS73のNO及びステップS74のYES)、温度差ΔT13を上昇させるため、レベル362の番号nから1引いてTBL(n)を1レベル下げる(ステップS78)。TBL(n)を下げる場合、n<0かを判断し(ステップS79)、n<0であれば(ステップS79のYES)、レベル362の番号nを0に変更して、TBL(0)にする(ステップS80)。
【0107】
温度差ΔT13<5〔℃〕ではなく、温度差ΔT13≧10〔℃〕であれば(ステップS74のNO及びステップS75のYES)、温度差ΔT13を低下させるため、レベル362の番号nに2足して、TBL(n)を2レベル上げ(ステップS81)、温度差ΔT13≧10〔℃〕ではなく、温度差ΔT13≧7〔℃〕であれば(ステップS75のNO及びステップS76のYES)、温度差ΔT13を低下させるため、レベル362の番号nに1足してTBL(n)を1レベル上げる(ステップS82)。TBL(n)を上げる場合、n>5かを判断し(ステップS83)、n>5であれば(ステップS83のYES)、レベル362の番号nを5に変更して、TBL(5)にする(ステップS84)。n>5でなければ(ステップS83のNO)、ステップS85に移行する。
【0108】
温度差ΔT13<5〔℃〕ではなく、温度差ΔT13≧7〔℃〕でもない場合、即ち5〔℃〕≦ΔT13<7〔℃〕のとき(ステップS76のNO)、温水HM1の熱交換にとって効率のよい温度差範囲差にあるので、レベルの変更を行わずに、間欠運転制御動作SP2へ移行する。
【0109】
(5-2) 間欠運転制御動作(SP2)
【0110】
レベル変更後又はレベル維持後のTBL(n)のnの値が0かを判断する(ステップS85)。n=0でなければ(ステップS85のNO)、流量テーブル360を参照して、集熱ポンプ14の回転数をTBL(n)の回転数とした上で、集熱ポンプ14のON状態(運転状態)を維持し(ステップS88)、集熱ポンプ制御動作から抜け出して、ステップS60へ戻る。
【0111】
n=0であれば(ステップS85のNO)、運転比率テーブル50の設定値を読み込んで、集熱ポンプ14を間欠運転する。間欠運転は、OFF時間54(例えば95〔秒〕)と、ON時間56(例えば265〔秒〕)の繰り返しであるので、経過時間を計測しているタイマ30の情報をもとに、間欠運転がOFF時間であるかを判断する(ステップS86)。OFF時間であるときは(ステップS86のYES)、集熱ポンプ14をOFFにして停止させ、又は停止状態にあれば、集熱ポンプ14の停止を維持する(ステップS87)。また、間欠運転がOFF時間でないときは(ステップS86のNO)、集熱ポンプ14をONして運転させ、又は集熱ポンプ14の運転状態を維持する(ステップS88)。斯かる動作の後、ステップS60へ移行し、蓄熱動作P2が繰り返されると、蓄熱動作P2を繰り返す毎に間欠運転制御動作SP2が動作し、3分に1回、レベル変更動作SP1が動作することになる。
【0112】
集熱ポンプ14を所定時間として例えば、95〔秒〕間だけ停止させ、その後、停止時間より長い所定時間として例えば、265〔秒〕間だけ運転した場合、検知温度T1の変化は例えば、図14のようになる。OFF時間54では、温水HM2は滞留するので温度センサ16の位置で滞留している温水HM2は外気の温度に応じて自然増加又は減少する。ON時間56では、集熱ポンプ14が1800〔rpm〕で回転するので、集熱パネル10で滞留していた温水HM2が温度センサ16で検知され、時間60のように検出温度が上昇する。集熱ポンプ14をON時間56が終了するまで回転することで、集熱パネル10で滞留していた温水HM2が太陽熱用熱交換器12へ送られる。図14に示す例では、間欠運転により最大で所定温度例えば、1〔℃〕以上、温水HM2を上昇させる効果が得られる。
【0113】
上記実施の形態の特徴事項や利点について、以下に列挙する。
【0114】
(1) この熱源装置302では、外部から加えられる熱源として太陽熱を用いるので、集熱動作は日射のある時間に行われ、貯湯タンク4に蓄熱される。日の出後及び日没前等の日射量が少ない時間帯及び天候状態により日射量が少ないときには、集熱ポンプ14の間欠運転を行ない、太陽熱集熱回路308を循環する温水の流量をポンプを連続運転させる場合よりも低下させて集熱する。ポンプを間欠運転することで、温水HM2を熱パネル10内で一時的に滞留させ、集熱パネル10で集熱した熱を温水HM2に熱交換して、温水HM2の温度を上昇させる。一方、集熱ポンプ14の運転は、断続的であり、停止している時間帯はエネルギ消費が抑えられている。このため、太陽熱をより有効に蓄熱することができる。
【0115】
(2) 集熱ポンプを連続運転させることを前提にした熱源装置では、日射量の低い環境下では太陽熱による温水HM2の温度上昇量は制限される。集熱ポンプ14の回転数を更に遅くすると、ポンプの回転が不安定になる又は揚程力が不足し、温水HM2を循環できなくなり、結果集熱ができなくなる。この熱源装置302では、日射量が低い場合又は日射量が低くなった場合に、集熱ポンプ14を強制的に間欠運転させ、ポンプの停止(OFF)とポンプの運転(ON)を繰り返す。これにより、ポンプを連続運転することでは得られない、実質的に低い回転数の運転を実現させ、集熱効率を高めることができる。
【0116】
(3) 太陽熱は、時刻、季節及び天候に応じて増減し、太陽熱の熱量も変動する。このため、熱媒の循環に用いるポンプを低回転数で運転させて熱媒の循環量を抑制するだけでは、熱媒が十分な熱量を得ることができないし、ポンプを低回転数で運転することによるエネルギ消費が発生し、熱効率が十分にとれないという不都合がある。しかも、ポンプを低回転数で運転するには限界があり、必要とされる揚程力が得られない場合には、ポンプは回転しても熱媒を流すことができないという不都合がある。上記実施の形態では、斯かる不都合を改善している。具体的には、ポンプの回転数を断続させ、熱媒の循環量をポンプの最低回転数による循環流量に低下させており、搭載されたポンプの最低回転数以下での循環流量を実現している。この結果、ポンプの連続した回転による最低回転数以下の熱媒循環が可能となり、集熱パネル10における熱媒の滞留時間が実質的に長くすることができ、熱エネルギの回収率を高め、熱交換効率を向上させている。
【0117】
(4) ポンプ回転数を遅くして、熱媒の循環量を減少させて熱媒の滞留時間を長くすることは理論的には可能であるが、ポンプ回転数を断続させることにより、熱媒の循環量の増減幅を拡大でき、結果として、集熱量を高め、熱交換効率の向上を図っている。
【0118】
(5) また、ヘッダ方式の集熱パネルでは、複数の渡り配管を配置しているので、集熱パネルを通過させる受熱流体の量を増大させることが容易である。太陽から太陽熱が多く照射される環境では、ΔT13の値が大きくなり過ぎ、例えば、5〔℃〕から7〔℃〕の範囲を超える場合がある。そこで、ヘッダ方式の集熱パネルによれば、温水HM1を効率よく加熱することができる。
【0119】
〔第5の実施の形態〕
【0120】
第5の実施の形態は暖房・給湯・追焚装置を開示している。この暖房・給湯・追焚装置について、図15を参照する。図15は暖房・給湯・追焚装置の構成例を示している。図15に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図15において、図1、図4、図6、図8及び図9と同一部分には同一符号を付してある。
【0121】
図15に示す暖房・給湯・追焚装置502は、本発明の熱源装置の一例である。貯湯タンク4と、集熱パネル10と、太陽熱用熱交換器12と、集熱ポンプ14と、温度センサ16、116、316、317と、循環ポンプ18と、集熱切替弁332と、バイパス路334と、制御装置22は第4の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0122】
太陽熱集熱回路508には、プレッシャータンク510及びリザーブタンク512が備えられている。プレッシャータンク510は、温水HM2を溜める貯留タンクの一例であって、太陽熱集熱回路508に流れる温水HM2が上昇した際に、太陽熱集熱回路508から温水HM2をリザーブタンク512に流出させるとともに、太陽熱集熱回路508に温水HM2が不足した際に、リザーブタンク512から温水HM2を吸い込む。このため、プレッシャーキャップ514には連結パイプ516が接続され、この連結パイプ516がリザーブタンク512内に挿入され、リザーブタンク512内の温水HM2内に没している。
【0123】
リザーブタンク512は、温水HM2を貯留する貯留タンクの一例であって、プレッシャータンク510から流出し又はプレッシャータンク510に供給するための温水HM2が溜められている。このリザーブタンク512には、温水HM2の水位を検出する水位センサ518が設置されている。また、リザーブタンク512にはオーバーフローパイプ520が接続され、このオーバーフローパイプ520では、リザーブタンク512の上限レベルを超えた温水HM2を排出させる。
【0124】
貯湯タンク4には、温水HM1の水位確認手段として水位確認タンク522が連通管路524により接続され、水位確認タンク522及び貯湯タンク4は通気管526で連結され大気に開放されている。そして、水位確認タンク522には水位センサ528が設置されている。貯湯タンク4の温水HM1は連通管路524を通じて水位確認タンク522に流れ込み、水位確認タンク522内の水位は貯湯タンク4の温水HM1の水位と同一レベルを呈する。従って、水位センサ528には貯湯タンク4の温水HM1のレベルを表す検出出力が得られる。
【0125】
この水位確認タンク522には補給水を流し込む補給管路530が接続され、この補給管路530は上水管路に接続されている。この補給管路530には補給水閉止弁532及び補給水電磁弁534が設置されている。補給水閉止弁532は常時開放され、補給水は補給水電磁弁534によって供給が制御される。補給水には上水Wが用いられる。
【0126】
循環路536は、分流路538と、循環ポンプ18と、温水HM1を加熱するための一次熱交換器540と、二次熱交換器542とを備えている。
【0127】
分流路538は、貯湯タンク4の入側と出側との間の循環路536に連結された管路であって、温水HM1を分流して貯湯タンク4の出側の温水HM1に合流させる手段の一例である。
【0128】
循環路536と分流路538との分岐点には貯湯タンク切替弁544が設置され、この貯湯タンク切替弁544は、貯湯タンク4側に流れる温水流量と、分流路538に流れる温水流量とに分配する流量分配手段の一例である。貯湯タンク切替弁544の入側の循環路536には温度センサ546、貯湯タンク4の入側の循環路536には開閉弁548、貯湯タンク4の出側近傍には温度センサ316が設置されている。開閉弁548は、循環路536を貯湯タンク4の入側で開閉する手段である。温度センサ316、546の検出温度T3、T4は貯湯タンク4側に流れる温水流量と、分流路538に流れる温水流量との分配比率の設定や制御に用いられる。温度センサ316は熱媒である温水HM1の温度を検出する温度センサ、温度センサ546は負荷側から循環路536に戻る温水HM1の温度を検出する温度センサである。貯湯タンク4の出側の循環路536と分流路538との合流点には気液分離部550が設置されている。気液分離部550は、温水HM1から空気を分離する手段である。
【0129】
循環ポンプ18は、温水HM1の圧送手段の一例であって、温水HM1の熱利用や一次熱交換器540及び二次熱交換器542による加熱の際等に駆動され、循環路536に温水HM1を循環させる。
【0130】
一次熱交換器540は、燃料ガスの燃焼手段の一例として設置されたバーナ552の燃焼排気から主として顕熱を温水HM1に熱交換する第1の熱交換手段である。二次熱交換器542は、バーナ552の燃焼排気から主として潜熱を温水HM1に熱交換する第2の熱交換手段であって、温水HM1の予備加熱に用いられる。一次熱交換器540の出側の循環路536には温度センサ554、二次熱交換器542の出側の循環路536には温度センサ556が設置され、これらの検出温度T5、T6がバーナ552の燃焼制御に用いられる。
【0131】
この循環路536には、温水HM1の熱を利用する手段として低温暖房回路558、高温暖房回路560、給湯回路562、追焚回路564が接続されている。
【0132】
低温暖房回路558は、循環路536の二次熱交換器542の出側と貯湯タンク切替弁544の入側とから分岐され、低温暖房器566に低温側の温水HM1を循環させる管路である。低温暖房器566は、温水HM1の第1の放熱負荷又は第1の放熱手段の一例であって、例えば、床暖房器である。
【0133】
高温暖房回路560は、循環路536の一次熱交換器540の出側と貯湯タンク切替弁544の入側とから分岐され、高温暖房器568に高温側の温水HM1を循環させる管路である。高温暖房器568は、温水HM1の第2の放熱負荷又は第2の放熱手段の一例であって、例えば、温風暖房器である。
【0134】
給湯回路562は給水Wを温水HM1で加熱して温水HWとして出湯する管路であって、この実施の形態では、給湯用熱交換器570と、二次熱交換器572と、バイパス路574とを備える。
【0135】
給湯用熱交換器570は、温水HM1の熱を給水Wに熱交換する給湯用熱交換手段の一例であって、給湯用熱交換器570には例えば、プレート熱交換器が用いられる。この給湯用熱交換器570には、給水側に上水圧が作用している。この給湯用熱交換器570は、循環路536に高温分配弁576を介して分岐された循環路536Aに設置され、循環路536Aを通して温水HM1が循環する。この給湯用熱交換器570に穿孔による水漏れが生じた場合には、上水圧が温水HM1の圧力に打ち勝ち、上水が温水HM1側に侵入し、貯湯タンク4の水位を上昇させることになる。
【0136】
二次熱交換器572は、既述のバーナ552の燃焼排気から主として潜熱を給水Wに熱交換する手段であって、給水Wが常温の上水であれば、効率よく潜熱を給水Wに熱交換することができる。この予備加熱された給水Wには、給湯用熱交換器570により温水HM1の熱が熱交換され、高温の温水HWが得られる。バイパス路574は、この温水HWに上水Wをミキシングする手段であって、図示しないミキシング弁を用いて高温の温水HWを適温化することができる。給湯回路562の上水Wの入側には温度センサ578、温水HWの出湯側には温度センサ580が設置され、これらの検出温度T7、T8等が出湯温度の制御としてバーナ552の燃焼制御やバイパス路574側への給水Wとのミキシング比率の制御に用いられる。
【0137】
追焚回路564は、温水HM1の熱を浴槽582にある浴槽水BWに熱交換し、浴槽水BWを入浴に適する温度に昇温する手段の一例である。この追焚回路564は追焚用熱交換器584と、追焚ポンプ586とを備える。追焚用熱交換器584は、温水HM1の熱を浴槽水BWに熱交換する熱交換手段の一例であって、循環路536に高温分配弁576を介して分岐された循環路536Bに設置され、循環路536Bを通して温水HM1が循環する。追焚ポンプ586は、追焚時、浴槽水BWを浴槽582から追焚用熱交換器584を通して浴槽582に循環させる手段である。追焚回路564の浴槽582の出側には温度センサ588が設置され、その検出温度T9が追焚制御に用いられる。
【0138】
この追焚回路564と給湯回路562との間には注湯回路590が接続され、この注湯回路590は、注湯電磁弁592を介して給湯回路562と追焚回路564とを連結している。注湯電磁弁592は、上水W側と浴槽水BWとを絶縁する手段の一例である。
【0139】
これら検出温度T1〜T9及びTout は制御情報として制御装置22に取り込まれる。集熱ポンプ14、循環ポンプ18、追焚ポンプ586の駆動やバーナ552の燃焼が制御装置22の駆動出力によって制御される。
【0140】
次に、熱源制御について、図16及び図17を参照する。図16及び図17は流量制御の処理手順の一例を示している。図16及び図17に示す処理手順は一例であって、斯かる処理に本発明が限定されるものではない。図16及び図17において、a、b及びcはフローチャート間の連結子を示している。
【0141】
この処理手順は、本発明の熱源制御方法又は熱源制御プログラムの一例である。図16に示す処理手順では、暖房・給湯・追焚装置502を電源に接続すると、電源の「入」が検出され(ステップS101)、回路異常のプリチェック(事前確認)をする(ステップS102)。プリチェックでは、集熱回路漏水異常、温度センサのオープン又はショート、集熱数位電極異常、集熱切替弁異常、電装基板異常を確認し、これらに異常があれば(ステップS102でNO)、これらの異常に応じた警報を発生して(ステップS103)、電源を切り離して「切」状態にする(ステップS104)。警報の発生により原因の除去がなされた後に、暖房・給湯・追焚装置502を電源に再接続が行われる。
【0142】
プリチェックで異常がなければ(ステップS102でYES)、集熱切替弁332の貯湯タンク4側を閉じ(ステップS105)、バイパス路334との間を開放し、太陽熱用熱交換器12との間を閉止し、集熱パネル10を通過した温水HM2が太陽熱用熱交換器12を通らない回路を形成する。リモコン装置342の時刻設定が終了しているかを判断して(ステップS106)、時刻設定が終了していなければ(ステップS106でNO)、時刻設定の判断が繰り返され、時刻設定が設定済みであれば(ステップS106でYES)、集熱切替弁332が循環位置又は待機位置であるかを判断する(ステップS107)。集熱切替弁332には、バイパス路334を開放するとともに太陽熱用熱交換器12との間を閉止し、バイパス334を経由して温水HM2を循環させる循環位置と、バイパス路334との間を開放するとともに太陽熱用熱交換器12との間を開放する待機位置と、バイパス路334との間を閉止するとともに太陽熱用熱交換器12との間を開放して、太陽熱用熱交換器12を経由して温水HM1を熱交換する熱交換位置がある。循環位置又は待機位置でなはなく、熱交換位置にあれば(ステップS107のNO)集熱運転終了時刻(例えば、19:00)後か否かを判断し(ステップS108)、集熱運転終了時刻の後であれば(ステップS108のYES)集熱ポンプ14をOFFにして停止し(ステップS109)、集熱切替弁332の貯湯タンク4側を閉じ(ステップS110)、集熱切替弁332の位置確認(ステップS107)へ戻る。
【0143】
循環位置又は待機位置であれば(ステップS107のYES)、現在の時刻が集熱運転の開始時刻範囲(例えば、7:00〜17:00)内かを判断し(ステップS111)、範囲内であれば(ステップS111のYES)、貯湯タンク4の出側付近の検出温度T3がTmax 以下(T3≦Tmax)かを判断し(ステップS112)、Tmax 以下であれば(ステップS112のYES)、集熱切替弁332の貯湯タンク4側を閉じ(ステップS113)、集熱ポンプ14をONにして運転する(ステップS114)。集熱ポンプの運転を監視して集熱ポンプの回転数が正常かを判断する(ステップS115)。回転数の判断は、集熱ポンプ14の起動を待って行うため、起動待ち時間として例えば、120〔秒〕後に行う。回転数が例えば、500〔rpm〕以上でななければ(ステップS115のNO)、集熱ポンプ14をOFFにして停止させ(ステップS116)、集熱ポンプ回転異常として警報を発生させた後(ステップS117)、電源を切断する(ステップS104)。
【0144】
集熱ポンプ14の回転が例えば500〔rpm〕以上であれば(ステップS115のYES)、所定時間として例えば180〔秒〕の経過を経て(ステップS118)、温度T1が温度T3より3〔℃〕以上高いかを判断し(ステップS119)、温度T1が高くなければ(ステップS119のNO)、温水HM2と温水HM1の間に、温水HM1を加熱するための温度差が得られていないと判断して沸騰防止動作の判断をし(ステップS120)、温度T1が高ければ(ステップS119のYES)、温度T3がTmax 以下であるかを判断する。温度T3がTmax 以下であれば(ステップS121でYES)、集熱切替弁332を熱交換器側に切替えて、温水HM2の流れを、バイパス路334を循環する流れから、集熱切替弁332の貯湯タンク4側を開とする(ステップS122)。
【0145】
集熱中であることを表す集熱ランプを点灯させ(ステップS123)、集熱ポンプ14を可変制御する(ステップS124)。可変制御は集熱ポンプ14の連続運転状態の下での回転数の変更の他、集熱ポンプ14を間欠運転して平均の回転数を変更する動作も含む。斯かる変更は流量テーブル360(図10)及び運転比率テーブル50(図2)を用いて行う。変更動作は第4の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0146】
集熱ポンプ14の可変制御(ステップS124)は、回転数レベルが0以外で集熱ポンプ14が連続運転中であれば(ステップS125のNO)と、回転数レベルが0で間欠運転状態にあり(ステップS125のYES)、温度T1が温度T3より2〔℃〕以上低くなければ(ステップS126のNO)、集熱ポンプ14の可変制御を繰り返す。回転数レベルが0であれば(ステップS125のYES)、温度T1が温度T3より2〔℃〕以上低ければ(ステップS126のYES)、集熱するより集熱ポンプ14を停止した方がエネルギ効率が良いと判断し、集熱切替弁332の貯湯タンク4側を閉じ(ステップS127)、集熱ポンプを停止し(ステップS128)、集熱ランプを消灯する(ステップS129)。集熱ポンプの停止期間は、天候の回復などにより外部環境が集熱可能な状況まで回復したかを定期的に確認するための間隔であり、待ち時間として例えば15分間に設定する。このように停止期間を設定し、期間経過後に集熱切替弁332の位置確認(ステップS107)を開始することにより、天候の回復などによる集熱環境が改善すれば、集熱を再開することを可能にすることができる。
【0147】
現在の時刻が集熱運転の開始時刻範囲内でなければ(ステップS111のNO)と、T3がTmax 以下でなければ、即ちTmax を超えれば(ステップS112のNO及びステップS121のNO)、集熱切替弁332の位置確認(ステップS107)へ戻り、時刻及びT3の温度条件が得られるまで判断を繰り返す。これにより、効率的な集熱を行うことができる。
【0148】
また、沸騰防止動作判断(ステップS120)では、温度T1の温度が沸騰防止動作基準値より高ければ(ステップS120のYES)、沸騰防止動作を行う必要があると判断し、集熱切替弁332の貯湯タンク4側を閉じる(ステップS130)。温水HM2は、バイパス路334を経由して循環するので、集熱パネル10に滞留することがなく、温水HM2の沸騰を防止できる。また、温水HM2は太陽熱用熱交換器12を経由しないので、温水HM1がTmax として例えば80〔℃〕以上に過熱するのを防止することができる。
【0149】
温度T1の温度が沸騰防止動作基準値より低ければ(ステップS120のNO)、沸騰防止動作を行う必要がないと判断し、集熱ポンプ14をOFFにして停止させ(ステップS131)させ、規定時間経過後(ステップS132のYES)、集熱切替弁332の位置確認(ステップS107)を開始する。温度T1がT3+3〔℃〕未満であれば、集熱ポンプ14を停止するので、温水HM2の循環によるエネルギ消費を抑制できる。
【0150】
〔第6の実施の形態〕
【0151】
既述の集熱パネル10にはヘッダ方式に代え、1パス方式の集熱パネルを用いてもよい。そこで、第6の実施の形態では、1パス方式の集熱パネルを開示している。この集熱パネルについて、図18を参照する。図18は1パス方式の集熱パネルを示している。
【0152】
図18の各図A、B及びCに示すように、この集熱パネル602は長方形平板状の筐体部603を備えている。この実施の形態においても、図18のAに示すように、防護カバー604の一部を省略し、筐体部603の内部を露出させている。この筐体部603の内部には、筐体部503の面内で最も受熱量を高めるために蛇行させた単一の蛇行配管606が配置され、温水HM2は蛇行配管606の一端608(取入口)から導入して他端610(取出口)から取り出される。
【0153】
この集熱パネル602では、受熱流体が1本の蛇行配管の内部を通過するので、受熱流体が集熱パネルの通過に要する時間がほぼ一定となり。取り出される受熱流体の温度の変動を抑えられる。
【0154】
また、上記実施の形態では、1枚の集熱パネルで説明したが、複数の集熱パネルを直列に配置し又は並列に配列した集熱パネルを用いてもよい。集熱パネルを大型化することで、太陽エネルギの集熱量を増加させることができる。
【0155】
〔実験例〕
【0156】
実験例について、図19及び図20を参照する。図19は各測定日における集熱効率を示し、図20は日射量と集熱効率比率の関係を示している。
【0157】
図19は横軸を集熱効率を測定した測定日とし、縦軸を集熱効率〔%〕で表している。そこで、この実施例の集熱効率を求めると、
集熱効率=日積算集熱量÷日積算日射量×100〔%〕 ・・・(4)
で表すことができる。
【0158】
図20は横軸が集熱効率の測定日、左側の縦軸が集熱効率比率〔%〕、右側縦軸を日射量〔MJ/日〕を取ることにより、日射量と集熱効率比率の関係を表している。そこで、集熱効率比率は、間欠運転なしで集熱したときの集熱効率を100〔%〕とした場合の比率である。間欠運転としない場合には、各測定日とも集熱効率比率は100〔%〕であり、集熱効率比率は、
集熱効率比率=集熱効率÷間欠運転なしの集熱効率×100〔%〕 ・・・(5)
となる。
【0159】
一例として、8月12日から9月8日までの期間を測定日とし、間欠運転を行わずに連続運転で集熱した場合と比較すると、図19に示すように、いずれの測定日においても、間欠運転を行わない場合を上回る集熱効率又は間欠運転を行わない場合と同等の集熱効率が得られることが確認された。
【0160】
図20に示す日射効率比率では、日射量が50〜60%の範囲であった8月12日、8月15日及び9月8日において115%以上の集熱効率比率を得ることができ、特に、9月8日には、間欠運転をしない場合の5倍以上の集熱効率であることが確認された。日射量が少なく、集熱ポンプを連続運転することでは十分な集熱が得られない環境下であっても集熱ポンプの間欠運転により集熱し、集熱効率が高められる。
【0161】
〔他の実施の形態〕
【0162】
(1) 第1の実施形態ないし第3の実施の形態では、温水HM2の検出温度を基に集熱ポンプ14を制御したが例えば、温水HM2の流量情報を制御情報として追加することができる。例えば、温水HM2の流量が最低流量又はその近傍値よりも多ければ、即ち、集熱ポンプ14が最低回転数又はその近傍値よりも高速で回転すれば、回転数を低速にする制御を行い、温水HM2の流量が最低流量又はその近傍値である場合に間欠状態に切り替えるようしてもよい。このように制御すると、温水HM2の流量の変更を段階的に制御することができる。
【0163】
(2) 第1の実施形態では出湯温度の目標値として例えば35〔℃〕未満のように固定値を設定したがこれに限らない。固定値を35〔℃〕以外の数値としてもよいし、例えば、熱交換開始からの経過時間又は時刻情報に応じて数値を上昇又は減少させるなどの変数としてもよい。
【0164】
(3) 第2の実施形態では検出温度T1及びT2並びに温水HM2の流量L1を用いて集熱パネル10に加えられる熱を監視したがこれに限らない。例えば集熱パネル10の近傍に日射センサを配置して日射センサが検出する日射量を制御装置22に取り込んで斯かる日射量を基に集熱パネル10に加えられる熱を判断することも可能である。日射センサを用いると、制御装置22において、検出温度T1及びT2並びに温水HM2の流量を演算処理する必要がない。また、検出温度T1及びT2並びに温水HM2の流量から熱量を求めれば、日照による熱量が求められるので、日射センサを配置する必要がなくなる。
【0165】
(4) 第2の実施形態では検出温度T1及びT2並びに温水HM2の流量L1を用いて集熱パネル10に加えられる熱を監視したがこれに限らない。例えば集熱ポンプ14の回転が低回転数で固定される場合又は低回転数のときに加えられる熱を監視する場合には、集熱ポンプ14の回転が一定であり温度差ΔT12が加えられる熱量に比例又はほぼ比例することになる。この場合検出温度T1及びT2を用いて集熱パネル10に加えられる熱を監視することができるので、制御装置22における演算処理の負荷を軽減することができる。
【0166】
(5) 上記実施の形態では外部から加えられる熱として太陽熱を利用して集熱したがこれに限らない。例えば、燃焼熱や排熱を利用した熱源外部から加えられる熱として用いてもよい。
【0167】
(6) 上記実施の形態では、間欠運転における停止時間(滞留時間)と運転時間(稼働時間)を1つの設定値としたがこれに限らない。集熱ポンプ14の稼働時間として、例えば、集熱パネル10の入側の温水HM2が出口側に到達する時間に設定してもよい。その他、例えば、複数の停止時間を設定して外部から加えられる熱量に応じて停止時間を変更するようにしてもよい。また、複数の運転時間を設定して外部から加えられる熱量に応じて停止時間を変更するようにしてもよい。停止時間又は運転時間の何れかを複数設定すれば、複数の異なる平均の回転数を設定することができる。
【0168】
(7) 所定の熱量が得られない場合に集熱切替弁を切り替えてバイパスを循環させて蓄熱して、温水の温度を上昇させた後に太陽熱用熱交換器12へ送るようにしてもよい。
【0169】
(8) 第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態では、ROMに運転比率テーブルを設定して集熱ポンプを制御したが、第4の実施の形態で説明したように、流量テーブルを設定して集熱ポンプの回転数を段階的に変更する制御を行い、時刻テーブルを設定して、運転開示時刻及び運転終了時刻を判断する構成としてもよい。また、集熱切替弁とバイパス路を配置して集熱環境に応じてバイパス路を経由する循環を行うように構成してもよい。第4の実施の形態で説明した構成、制御及び動作等は、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態で説明した構成及び制御又は動作と矛盾しない範囲において、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態に適用可能であることは勿論である。
【0170】
(9) 第1の実施の形態(図1)、第2の実施の形態(図4)、第3の実施の形態(図6)では、集熱回路にバイパス路を明示していないが、第4の実施の形態(図8)と同様に、バイパス路を形成し、温水のバイパス制御を行ってもよい。
【0171】
(10) 上記実施の形態では受熱流体である温水HM2の流量の監視を集熱ポンプ14の回転数によって監視しているが、流量センサを設置して流量を検出し、その検出信号で流量監視をする構成としてもよい。
【0172】
(11) 集熱ポンプ14の間欠制御について、動作時間と停止時間の比率や、動作と停止の断続ハターンは任意に設定することができ、上記実施の形態に限定されない。
【0173】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0174】
この発明は、太陽熱等の外部からの熱を効率的に利用する熱源装置等に適用でき、熱交換効率を高め、熱利用に広く適用でき、有用である。
【符号の説明】
【0175】
2 熱源装置
4 貯湯タンク
6 循環路
8、108、208、308、508 太陽集熱回路
10 集熱パネル
14 集熱ポンプ
16、116、316、317、544、546、556、588 温度センサ
18 循環ポンプ
332 集熱切替弁
334 バイパス路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、
前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の温度及び流量を監視し、前記温度が所定温度以下である場合、前記受熱流体の流量を間欠状態に制御する制御部と、
を備えることを特徴とする熱源装置。
【請求項2】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、
前記熱交換手段に加えられる熱量及び前記受熱流体の流量を監視し、前記熱交換手段に加えられる熱量が低下した場合、前記受熱流体の流量を間欠状態に制御する制御部と、
を備えることを特徴とする熱源装置。
【請求項3】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、
前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の出側温度を検出する温度検出手段と、
前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプと、
前記出側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する制御部と、
を備えることを特徴とする熱源装置。
【請求項4】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、
前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の入側温度を検出する温度検出手段と、
前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプと、
前記入側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する制御部と、
を備えることを特徴とする熱源装置。
【請求項5】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、
前記受熱流体の熱が熱交換された熱媒により蓄熱する蓄熱手段と、
前記熱交換手段から出る前記受熱流体の温度を検出する第1の温度検出手段と、
前記蓄熱手段の前記熱媒の温度を検出する第2の温度検出手段と、
前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプと、
前記第1の温度検出手段及び第2の温度検出手段の検出温度を監視し、これら検出温度の差が所定温度以下である場合、前記ポンプを低回転数で間欠運転させ、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の平均流量を前記ポンプの連続回転による最低流量未満に制御する制御部と、
を備えることを特徴とする熱源装置。
【請求項6】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、
前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の温度及び流量を監視し、前記温度が所定温度以下である場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する工程と、
を含むことを特徴とする熱源制御方法。
【請求項7】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、
前記熱交換手段に加えられる熱量及び前記受熱流体の流量を監視し、前記熱交換手段に加えられる熱量が低下した場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する工程と、
を含むことを特徴とする熱源制御方法。
【請求項8】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、
前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の出側温度を検出する工程と、
前記熱交換手段に前記受熱流体をポンプにより流す工程と、
前記出側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する工程と、
を含むことを特徴とする熱源制御方法。
【請求項9】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、
前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の入側温度を検出する工程と、
前記熱交換手段に前記受熱流体をポンプにより流す工程と、
前記入側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する工程と、
を含むことを特徴とする熱源制御方法。
【請求項10】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、
前記受熱流体の熱が熱交換された熱媒により蓄熱する工程と、
前記熱交換手段から出る前記受熱流体の温度を第1の温度検出手段により検出する工程と、
前記蓄熱手段の前記熱媒の温度を第2の温度検出手段により検出する工程と、
前記熱交換手段に前記受熱流体をポンプにより流す工程と、
前記第1の温度検出手段及び第2の温度検出手段の検出温度を監視し、これら検出温度の差が所定温度以下である場合、前記ポンプを低回転数で間欠運転させ、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の平均流量を前記ポンプの連続回転による最低流量未満に制御する工程と、
を含むことを特徴とする熱源制御方法。
【請求項11】
熱源装置に搭載されたコンピュータに、
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段に流れる前記受熱流体の温度及び流量を監視し、前記温度が所定温度以下である場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する機能と、
を実行させることを特徴とする熱源制御プログラム。
【請求項12】
熱源装置に搭載されたコンピュータに、
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段に加えられる熱量及び前記受熱流体の流量を監視し、前記熱交換手段に加えられる熱量が低下した場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する機能と、
を実行させることを特徴とする熱源制御プログラム。
【請求項13】
熱源装置に搭載されたコンピュータに、
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段に流れる前記受熱流体の出側温度の検出情報を取り込む機能と、
前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプを動作させる機能と、
前記出側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する機能と、
を実行させることを特徴とする熱源制御プログラム。
【請求項14】
熱源装置に搭載されたコンピュータに、
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段に流れる前記受熱流体の入側温度の検出情報を取り込む機能と、
前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプを動作させる機能と、
前記出側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する機能と、
を実行させることを特徴とする熱源制御プログラム。
【請求項15】
熱源装置に搭載されたコンピュータに、
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段に熱交換させる機能と、
前記受熱流体の熱が熱交換された熱媒に蓄熱させる処理を実行させる機能と、
前記熱交換手段から出る前記受熱流体の温度を検出する第1の温度検出手段の検出温度情報を取り込む機能と、
前記蓄熱手段の前記熱媒の温度を検出する第2の温度検出手段の検出温度情報を取り込む機能と、
前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプを動作させる機能と、
前記第1の温度検出手段及び第2の温度検出手段から得た前記検出温度情報を監視し、前記検出温度の差が所定温度以下である場合、前記ポンプを低回転数で間欠運転させ、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の平均流量を前記ポンプの連続回転による最低流量未満に制御する機能と、
を実行させることを特徴とする熱源制御プログラム。
【請求項1】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、
前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の温度及び流量を監視し、前記温度が所定温度以下である場合、前記受熱流体の流量を間欠状態に制御する制御部と、
を備えることを特徴とする熱源装置。
【請求項2】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、
前記熱交換手段に加えられる熱量及び前記受熱流体の流量を監視し、前記熱交換手段に加えられる熱量が低下した場合、前記受熱流体の流量を間欠状態に制御する制御部と、
を備えることを特徴とする熱源装置。
【請求項3】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、
前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の出側温度を検出する温度検出手段と、
前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプと、
前記出側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する制御部と、
を備えることを特徴とする熱源装置。
【請求項4】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、
前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の入側温度を検出する温度検出手段と、
前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプと、
前記入側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する制御部と、
を備えることを特徴とする熱源装置。
【請求項5】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段と、
前記受熱流体の熱が熱交換された熱媒により蓄熱する蓄熱手段と、
前記熱交換手段から出る前記受熱流体の温度を検出する第1の温度検出手段と、
前記蓄熱手段の前記熱媒の温度を検出する第2の温度検出手段と、
前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプと、
前記第1の温度検出手段及び第2の温度検出手段の検出温度を監視し、これら検出温度の差が所定温度以下である場合、前記ポンプを低回転数で間欠運転させ、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の平均流量を前記ポンプの連続回転による最低流量未満に制御する制御部と、
を備えることを特徴とする熱源装置。
【請求項6】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、
前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の温度及び流量を監視し、前記温度が所定温度以下である場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する工程と、
を含むことを特徴とする熱源制御方法。
【請求項7】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、
前記熱交換手段に加えられる熱量及び前記受熱流体の流量を監視し、前記熱交換手段に加えられる熱量が低下した場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する工程と、
を含むことを特徴とする熱源制御方法。
【請求項8】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、
前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の出側温度を検出する工程と、
前記熱交換手段に前記受熱流体をポンプにより流す工程と、
前記出側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する工程と、
を含むことを特徴とする熱源制御方法。
【請求項9】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、
前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の入側温度を検出する工程と、
前記熱交換手段に前記受熱流体をポンプにより流す工程と、
前記入側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する工程と、
を含むことを特徴とする熱源制御方法。
【請求項10】
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換手段で熱交換する工程と、
前記受熱流体の熱が熱交換された熱媒により蓄熱する工程と、
前記熱交換手段から出る前記受熱流体の温度を第1の温度検出手段により検出する工程と、
前記蓄熱手段の前記熱媒の温度を第2の温度検出手段により検出する工程と、
前記熱交換手段に前記受熱流体をポンプにより流す工程と、
前記第1の温度検出手段及び第2の温度検出手段の検出温度を監視し、これら検出温度の差が所定温度以下である場合、前記ポンプを低回転数で間欠運転させ、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の平均流量を前記ポンプの連続回転による最低流量未満に制御する工程と、
を含むことを特徴とする熱源制御方法。
【請求項11】
熱源装置に搭載されたコンピュータに、
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段に流れる前記受熱流体の温度及び流量を監視し、前記温度が所定温度以下である場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する機能と、
を実行させることを特徴とする熱源制御プログラム。
【請求項12】
熱源装置に搭載されたコンピュータに、
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段に加えられる熱量及び前記受熱流体の流量を監視し、前記熱交換手段に加えられる熱量が低下した場合、前記受熱流体の流れを間欠状態に制御する機能と、
を実行させることを特徴とする熱源制御プログラム。
【請求項13】
熱源装置に搭載されたコンピュータに、
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段に流れる前記受熱流体の出側温度の検出情報を取り込む機能と、
前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプを動作させる機能と、
前記出側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する機能と、
を実行させることを特徴とする熱源制御プログラム。
【請求項14】
熱源装置に搭載されたコンピュータに、
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段に流れる前記受熱流体の入側温度の検出情報を取り込む機能と、
前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプを動作させる機能と、
前記出側温度が所定温度以下である場合、前記ポンプを間欠運転に制御する機能と、
を実行させることを特徴とする熱源制御プログラム。
【請求項15】
熱源装置に搭載されたコンピュータに、
外部から加えられる熱量を受熱流体に熱交換する熱交換手段に熱交換させる機能と、
前記受熱流体の熱が熱交換された熱媒に蓄熱させる処理を実行させる機能と、
前記熱交換手段から出る前記受熱流体の温度を検出する第1の温度検出手段の検出温度情報を取り込む機能と、
前記蓄熱手段の前記熱媒の温度を検出する第2の温度検出手段の検出温度情報を取り込む機能と、
前記熱交換手段に前記受熱流体を流すポンプを動作させる機能と、
前記第1の温度検出手段及び第2の温度検出手段から得た前記検出温度情報を監視し、前記検出温度の差が所定温度以下である場合、前記ポンプを低回転数で間欠運転させ、前記熱交換手段に流れる前記受熱流体の平均流量を前記ポンプの連続回転による最低流量未満に制御する機能と、
を実行させることを特徴とする熱源制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−97979(P2012−97979A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246897(P2010−246897)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000170130)パーパス株式会社 (87)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000170130)パーパス株式会社 (87)
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