説明

熱現像画像記録材料

【課題】 保存時の感度変動が少なく、現像処理湿度依存性に優れた熱現像画像記録材料を提供する。
【解決手段】 支持体上に、非感光性有機銀塩、該非感光性有機銀塩の還元剤、感光性ハロゲン化銀及びバインダーを含有する画像形成層を有し、該バインダーは下記一般式(MM)で表されるモノマーを10質量%以上、70質量%以下で共重合したポリマーを含有し、かつ融点が50℃以上、200℃以下の熱溶剤を含有することを特徴とする熱現像画像記録材料。
一般式(MM) CH2=CR1−CR2=CH2

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体上に非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、バインダー、及び銀イオンの還元剤を含有する熱現像画像記録材料(以下、銀塩光熱写真ドライイメージング材料、光熱写真ドライイメージング材料、光熱写真感光材料、熱現像感光材料、あるいは単に熱現像材料又は感光材料ともいう。)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療や印刷製版の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液の低減が、環境保全や省スペース化の観点からも強く望まれている。
【0003】
そのため、レーザイメージャーやレーザイメージセッターのような効率的な露光が可能で、かつ高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の熱現像画像記録材料に関する技術が必要とされてきている。
【0004】
上記熱現像画像記録材料に係る技術として、例えば、D.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による米国特許第3,152,904号、同3,487,075号の各明細書、又はD.H.クロスタベール(Klosterboer)による「ドライシルバー写真材料(Dry Silver Photographic Materials)」(Handbook of Imaging Materials,Marcel Dekker,Inc.第48頁、1991)等に記載されているように、支持体上に非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及び還元剤を含有する、銀塩熱現像画像記録材料が知られている。この銀塩熱現像画像記録材料では、溶液系処理薬品を一切使用しないため、より簡便で環境を損なわないシステムをユーザーに提供することができる利点を有している。
【0005】
これらの銀塩熱現像画像記録材料は、感光性層中に含有された感光性ハロゲン化銀粒子を光触媒とし、非感光性有機銀塩を銀イオンの供給源とし、内蔵された銀イオンの還元剤によって通常80〜140℃にて銀イオンの還元反応を促進して熱現像することにより画像を形成させることが特徴である。
【0006】
しかしながら、銀塩熱現像画像記録材料においては、熱現像前後に関わらず、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及び還元剤が含有されている。そのため、熱現像前後に関わらず保存期間中に熱や光により銀イオンの還元反応が誘起されて金属銀が生じ、銀画像の色調等、画質が変化し易いという問題がある。また、特に、印刷用の当該記録材料については、露光及び熱現像をする際の環境湿度の変動により、文字線幅が変動するという問題があった。
【0007】
これらの問題を解決するための技術が、例えば、特許文献1〜6及びこれらの特許文献に引用されている文献等において開示されている。しかし、これらの開示技術の多くは、ある程度の効果を呈するものの、市場において要求されるレベルを満たすための技術としてはまだ充分なものではない。
【0008】
一方、銀塩熱現像画像記録材料のいわば永遠のテーマとして、更なる高画質化が要望されている。したがって、上記の当該記録材料の本質的問題点、従来の対応技術の欠点等を克服することができる新規で飛躍的な高画質化技術の開発が要望されている。
【特許文献1】特開2002−258436号公報
【特許文献2】特開2002−229153号公報
【特許文献3】特開2002−90935号公報
【特許文献4】特開2002−55409号公報
【特許文献5】特開平11−295845号公報
【特許文献6】特開2004−184693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、保存時の感度変動が少なく、現像処理湿度依存性に優れた熱現像画像記録材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0011】
(請求項1)
支持体上に、非感光性有機銀塩、該非感光性有機銀塩の還元剤、感光性ハロゲン化銀及びバインダーを含有する画像形成層を有し、該バインダーは下記一般式(MM)で表されるモノマーを10質量%以上、70質量%以下で共重合したポリマーを含有し、かつ融点が50℃以上、200℃以下の熱溶剤を含有することを特徴とする熱現像画像記録材料。
【0012】
一般式(MM)
CH2=CR1−CR2=CH2
〔式中、R1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基を表し、R2は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。ただし、R1及びR2が同時に水素原子であることはない。〕
(請求項2)
前記熱溶剤が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1に記載の熱現像画像記録材料。
【0013】
一般式(1)
(Y)n
〔式中、Yはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表す。Zはヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、リン酸アミド基、シアノ基、イミド、ウレイド、スルホキシド、スルホン、ホスフィン、ホスフィンオキシド及び含窒素複素環基から選ばれる基を表す。nは1〜3の整数を表し、Zが1価の基である場合にはnは1、Zが2価以上の基である場合にはnはZの価数と同一である。nが2以上の場合、複数のYは同一であっても異なっていても良い。YはさらにZで表される基を有していても良い。〕
(請求項3)
前記画像形成層が、造核剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像画像記録材料。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、保存時の感度変動が少なく、現像処理湿度依存性に優れた熱現像画像記録材料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0016】
《バインダー》
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、本発明に係る画像形成層及び非感光性層に種々の目的でバインダーを含有させる。
【0017】
本発明に係る画像形成層(以下、感光性層ともいう)に含まれるバインダーは、有機銀塩、ハロゲン化銀粒子、還元剤、その他の成分を担持しうるものであり、好適なバインダーは、透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー、合成ポリマー及び合成コポリマー、その他フィルムを形成する媒体が挙げられる。
【0018】
本発明においては、感光性層のバインダーとして、下記一般式(MM)で表されるモノマーを、共重合する前の当初のモノマー全質量に対して、10質量%以上70質量%以下共重合したポリマーが用いられる。
【0019】
一般式(MM)
CH2=CR1−CR2=CH2
式中、R1及びR2は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基より選ばれる基である。但し、R1及びR2が同時に水素原子であることはない。
【0020】
1及びR2の好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜2のアルキル基である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、塩素原子がさらに好ましい。
【0021】
1及びR2として、特に好ましくは、一方が水素原子で他方がメチル基、もしくは塩素原子である。
【0022】
本発明に係る一般式(MM)で表されるモノマーの具体例としては、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−ブロム−1,3−ブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロル−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエンがあげられる。
【0023】
本発明に係るバインダーは一般式(MM)で表されるモノマーを共重合したポリマーであり、このポリマーにおける一般式(MM)で表されるモノマーの共重合比率は、10〜70質量%であり、好ましくは、15〜65質量%あり、より好ましくは20〜60質量%である。一般式(MM)で表されるモノマーの共重合比率が10質量%未満であると、バインダーの融着成分が減少し、加工脆性が悪化する。また、一般式(MM)で表されるモノマーの共重合比率が70質量%を超えると、バインダーの融着成分が増加し、バインダーの運動性が上昇するため、画像保存性が悪化する。
【0024】
本発明において、一般式(MM)で表されるモノマーと共重合され得る他のモノマーとしては、特に制限はなく、通常のラジカル重合又はイオン重合法で重合可能なものであれば、好適に用いることができる。好ましく用いることができるモノマーとして、下記に示すモノマー群(a)〜(j)から独立かつ自由に組み合わせて選択することができる。
【0025】
[モノマー群]
(a)共役ジエン類:1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−ブロム−1,3−ブタジエン、1−クロル−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等。
【0026】
(b)オレフィン類:エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、6−ヒドロキシ−1−ヘキセン、4−ペンテン酸、8−ノネン酸メチル、ビニルスルホン酸、トリメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1,2,5−トリビニルシクロヘキサン等。
【0027】
(c)α,β−不飽和カルボン酸及びその塩類:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、イタコン酸カリウム等。
【0028】
(d)α,β−不飽和カルボン酸エステル類:アルキルアクリレート(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート等)、置換アルキルアクリレート(例えば、2−クロロエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート等)、アルキルメタクリレート(例えば、メチルメタクリレート、ブチルメタクリ−レート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート等)、置換アルキルメタクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート、2−アセトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(ポリオキシプロピレンの付加モル数=2ないし100のもの)、3−N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、クロロ−3−N,N,N−トリメチルアンモニオプロピルメタクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、4−オキシスルホブチルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート等)、不飽和ジカルボン酸の誘導体(例えば、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジブチル等)、多官能エステル類(例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラメタクリレート等)。
【0029】
(e)β−不飽和カルボン酸のアミド類:例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、イタコン酸ジアミド、N−メチルマレイミド、2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸、メチレンビスアクリルアミド、ジメタクリロイルピペラジン等
(f)不飽和ニトリル類:アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
【0030】
(g)スチレン及びその誘導体:スチレン、ビニルトルエン、p−tertブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩、p−スチレンスルフィン酸カリウム塩、p−アミノメチルスチレン、1,4−ジビニルベンゼン等。
【0031】
(h)ビニルエーテル類:メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル等。
【0032】
(i)ビニルエステル類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルクロロ酢酸ビニル等。
【0033】
(j)その他の重合性単量体:N−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリン、ジビニルスルホン等。
【0034】
本発明に係る一般式(MM)で表されるモノマーを共重合させたポリマーの好ましい例としては、スチレンとの共重合体(例えばランダム共重合体、ブロック共重合体等)、スチレン及びブタジエンとの共重合体(例えばランダム共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等)、エチレン−プロピレンとの共重合体、アクリロニトリルとの共重合体、イソブチレンとの共重合体、アクリル酸エステルとの共重合体(例えばアクリル酸エステルとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等)、及びアクリル酸エステル及びアクリトニトリルとの共重合体(アクリル酸エステルとしては前記と同様なものが使用できる)を挙げることができ、この中でも、スチレンとの共重合体が最も好ましい。
【0035】
また、本発明に係るポリマーは、これらの組成に、さらに酸基を有するモノマーを共重合するのが好ましい。酸基としては、カルボキシル酸、スルホン酸、リン酸が好ましい。酸基の共重合比率は、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。
【0036】
酸基を有するモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩、イソプレンスルホン酸、ホスホリルエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0037】
本発明に係るバインダーには、前記一般式(MM)で表されるモノマーとの共重合体ポリマーとともにいかなるポリマーも併用しても良い。併用することのできるポリマーとしては、透明又は半透明で、無色であることが好ましく、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水又は有機溶媒またはエマルジョンから被覆形成してもよい。
【0038】
本発明に係るバインダーは、加工脆性と画像保存性の点でガラス転移温度(Tg)が−30℃〜70℃の範囲のものが好ましく、より好ましくは−10℃〜50℃の範囲、さらに好ましくは0℃〜40℃の範囲である。バインダーとして2種以上のポリマーをブレンドして用いることも可能で、この場合、組成分を考慮し加重平均したTgが上記の範囲に入ることが好ましい。また、相分離した場合やコア−シェル構造を有する場合には加重平均したTgが上記の範囲に入ることが好ましい。
【0039】
このガラス転移温度(Tg)は下記式で計算することができる。
【0040】
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用した。
【0041】
本発明に係るバインダーに用いられるポリマーは、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、アニオン重合法、カチオン重合等により容易に得ることができるが、ラテックスとして得られる乳化重合法が最も好ましい。乳化重合法は、例えば、水、或いは、水と水に混和し得る有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトン等)との混合溶媒を分散媒とし、分散媒に対して5〜150質量%のモノマー混合物と、モノマー総量に対して乳化剤と重合開始剤を用い、30〜100℃程度、好ましくは60〜90℃で3〜24時間、攪拌下重合させることにより行われる。分散媒、モノマー濃度、開始剤量、乳化剤量、分散剤量、反応温度、モノマー添加方法等の諸条件は、使用するモノマーの種類を考慮し、適宜設定される。また、必要に応じて分散剤を用いることが好ましい。
【0042】
乳化重合法は、一般的には次に示す文献に従って行うことができる。「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」。本発明のポリマーラテックスを合成する乳化重合法において、一括重合法、モノマー(連続・分割)添加法、エマルジョン添加法、シード重合法などを選択することができ、ラテックスの生産性の観点から一括重合法、モノマー(連続・分割)添加法、エマルジョン添加法が好ましい。
【0043】
前記重合開始剤としてはラジカル発生能があればよく、過硫酸塩や過酸化水素などの無機過酸化物、日本油脂(株)有機過酸化物カタログなどに記載の過酸化物及び和光純薬工業(株)アゾ重合開始剤カタログなどに記載のアゾ化合物を用いることができる。その中でも、過硫酸塩などの水溶性過酸化物及び和光純薬工業(株)アゾ重合開始剤カタログなどに記載の水溶性アゾ化合物が好ましく、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)塩酸塩、アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、アゾビスシアノ吉草酸がより好ましく、特に、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過酸化物が画像保存性、溶解性、コストの観点から好ましい。
【0044】
前記重合開始剤の添加量としては、重合開始剤がモノマー総量に対して0.3質量%〜2.0質量%であることが好ましく、0.4質量%〜1.75質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜1.5質量%であることが特に好ましい。この重合開始剤量が0.3質量%未満であると画像保存性が低下し、2.0%を超えるとラテックスが凝集しやすくなり塗布性を低下させる。
【0045】
前記重合乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも用いることができるが、アニオン性界面活性剤が分散性と画像保存性の観点から好ましく、少量で重合安定性が確保でき、加水分解耐性もあることからスルホン酸型アニオン界面活性剤がより好ましく、ペレックスSS−H(花王(株))に代表される長鎖アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩がさらに好ましく、パイオニンA−43−S(竹本油脂(株))のような低電解質タイプが特に好ましい。
【0046】
前記重合乳化剤として、スルホン酸型アニオン界面活性剤がモノマー総量に対して0.1質量%〜10.0質量%使用されていることが好ましく、0.2質量%〜7.5質量%使用されていることがより好ましく、0.3質量%〜5.0質量%使用されていることが特に好ましい。この重合乳化剤が0.1質量%未満であると乳化重合時の安定性を確保できず、10.0%を超えると画像保存性が低下する。
【0047】
本発明に用いられるポリマーラテックスの合成には、キレート剤を使用するのが好ましい。キレート剤は、鉄イオンなど金属イオンやカルシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンなどの多価イオンを配位(キレート)できる化合物であり、米国特許5053322号明細書、特公平6−8956号、特開平4−73645号、同4−127145号、同4−247073号、同4−305572号、同6−11805号、同5−173312号、同5−66527号、同5−158195号、同6−118580号、同6−110168号、同6−161054号、同6−175299号、同6−214352号、同7−114161号、同7−114154号、同7−120894号、同7−199433号、同7−306504号、同9−43792号、同8−314090号、同10−182571号、同10−182570号、同11−190892号の各公報に記載の化合物を用いることができる。
【0048】
前記キレート剤としては、無機キレート化合物(例えば、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム等)、アミノポリカルボン酸系キレート化合物(例えば、ニトリロトリ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸等)、有機ホスホン酸系キレート化合物(例えば、Research Disclosure18170号、特開昭52−102726号、同53−42730号、同56−97347号、同54−121127号、同55−4024号、同55−4025号、同55−29883号、同55−126241号、同55−65955号、同55−65956号、同57−179843号、同54−61125号の各公報、及び西独特許1045373号明細書などに記載の化合物)、ポリフェノール系キレート剤、ポリアミン系キレート化合物など好ましく、アミノポリカルボン酸誘導体が特に好ましい。
【0049】
前記アミノポリカルボン酸誘導体の好ましい例としては、「EDTA(−コンプレキサンの化学−)」(南江堂、1977年)の付表の化合物が挙げられ、またこれら化合物のカルボキシル基の一部がナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩やアンモニウム塩など置換されてもよい。特に好ましいアミノカルボン酸誘導体としては、イミノ二酢酸、N−メチルイミノ二酢酸、N−(2−アミノエチル)イミノ二酢酸、N−(カルバモイルメチル)イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン−N,N′−二酢酸、エチレンジアミン−N,N′−ジ−α−プロピオン酸、エチレンジアミン−N,N′−ジ−β−プロピオン酸、N,N′−エチレン−ビス(α−o−ヒドロキシフェニル)グリシン、N,N′−ジ(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−二酢酸、エチレンジアミン−N,N′−二酢酸−N,N′−ジアセトヒドロキサム酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン−N,N′,N′−三酢酸が挙げられる。
【0050】
更に、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸、1,2−プロピレンジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸、d,l−2,3−ジアミノブタン−N,N,N′,N′−四酢酸、meso−2,3−ジアミノブタン−N,N,N′,N′−四酢酸、1−フェニルエチレンジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸、d,l−1,2−ジフェニルエチレンジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸、1,4−ジアミノブタン−N,N,N′,N′−四酢酸、trans−シクロブタン−1,2−ジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸、trans−シクロペンタン−1,2−ジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸、trans−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸、cis−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸、シクロヘキサン−1,3−ジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸、シクロヘキサン−1,4−ジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸、o−フェニレンジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸、cis−1,4−ジアミノブテン−N,N,N′,N′−四酢酸、trans−1,4−ジアミノブテン−N,N,N′,N′−四酢酸、α,α′−ジアミノ−o−キシレン−N,N,N′,N′−四酢酸、2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸が挙げられる。
【0051】
また更に、2,2′−オキシ−ビス(エチルイミノ二酢酸)、2,2′−エチレンジオキシ−ビス(エチルイミノ二酢酸)、エチレンジアミン−N,N′−二酢酸−N,N′−ジ−α−プロピオン酸、エチレンジアミン−N,N′−二酢酸−N,N′−ジ−β−プロピオン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラプロピオン酸、ジエチレントリアミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸、トリエチレンテトラミン−N,N,N′,N″,N″′,N″′−六酢酸、1,2,3−トリアミノプロパン−N,N,N′,N″,N″′,N″′−六酢酸が挙げられ、またこれら化合物のカルボキシル基の一部がナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩やアンモニウム塩など置換されたものも挙げることができる。
【0052】
前記キレート剤の添加量は、モノマー総量に対して0.01質量%〜0.4質量%であることが好ましく、0.02質量%〜0.3質量%であることがより好ましく、0.03質量%〜0.15質量%であることが特に好ましい。キレート剤量が0.01質量%未満であると、ポリマーラテックスの製造工程で混入する金属イオンの捕捉が不十分となり、ラテックスの凝集に対する安定性が低下し、塗布性を悪化させる。また、0.4質量%を超えると、ラテックスの粘度が上昇し塗布性を低下させる。
【0053】
本発明に用いられるポリマーラテックスの合成には、連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤としては、Polymer Handbook,第3版、(Wiley−Interscience、1989)に記載されているものが好ましい。硫黄化合物は連鎖移動能が高く、少量で用いることで済むことからより好ましい。tert−ドデシルメルカプタンやn−ドデシルメルカプタン等疎水的なメルカプタン系の連鎖移動剤が特に好ましい。
【0054】
前記連鎖移動剤量は、モノマー総量に対して0.2質量%〜2.0質量%が好ましく、0.3質量%〜1.8質量%がより好ましく、0.4質量%〜1.6質量%が特に好ましい。連鎖移動剤量が0.2質量%未満である加工脆性が低下し、2.0質量%を超えると、画像保存性が悪化する。
【0055】
乳化重合では、上記化合物以外に、電解質、安定化剤、増粘剤、消泡剤、酸化防止剤、加硫剤、凍結防止剤、ゲル化剤、加硫促進剤など合成ゴムハンドブック等に記載の添加剤を使用してもよい。
【0056】
(ポリマーの具体例)
本発明に用いられるポリマーの具体例として、例示化合物(PM−1)〜(PM−29)を挙げるが、本発明はこれら具体例に限定されるわけではない。化学式中のx、y、z、z′はポリマー組成の質量比を示し、x、y、z、z′の総和は100%となる。Tgはポリマーから得られる乾膜のガラス転移温度を表す。
【0057】
【化1】

【0058】
【化2】

【0059】
【化3】

【0060】
【化4】

【0061】
以下、本発明に用いられるポリマーの合成例を示すが、ここに示される合成方法に限定されるわけではない。また、他の例示化合物でも同様な合成方法により合成することができる。
【0062】
〈合成例1:例示化合物PM−1の合成〉
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に蒸留水1500g添加し、90℃で3時間加熱し、重合釜のステンレス表面やステンレス製撹拌装置の部材に不動態皮膜を形成させる。この処理を行った重合釜に、窒素ガスを1時間バブリングした蒸留水584.86g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製))9.45g、1mol/リットルのNaOHを20.25g、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.216g、スチレン332.1g、イソプレン191.7g、アクリル酸16.2g、tert−ドデシルメルカプタン4.32gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度225rpmで撹拌し、内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム2.7gを水50mlに溶解した液を添加し、そのまま7時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後、内温が室温になるまで下げた後、得られたポリマーをろ布(メッシュ:225)でろ過し、例示化合物PM−1を1145g(固形分45質量%、粒径112nm)得た。
【0063】
〈合成例2:例示化合物PM−2の合成〉
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)に上記合成例1と同様に不動態皮膜を形成させ、窒素ガスを1時間バブリングした蒸留水350.92g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製))3.78g、1mol/リットルのNaOHを20.25g、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.216g、スチレン34.02g、イソプレン18.36g、アクリル酸1.62g、tert−ドデシルメルカプタン2.16gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度225rpmで撹拌し、内温65℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム1.35gを水50mlに溶解した液を添加し、そのまま2時間撹拌した。別途、蒸留水233.94g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製))5.67g、スチレン306.18g、イソプレン165.24g、アクリル酸14.58g、tert−ドデシルメルカプタン2.16g、過硫酸アンモニウム1.35gを添加し、撹拌して乳化物を調製し、この乳化物を前記反応容器に8時間かけて添加した。添加終了後、さらに2時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、得られたポリマーをろ布(メッシュ:225)でろ過し、例示化合物PM−2を1147g(固形分45質量%、粒径121nm)得た。
【0064】
〈合成例3:例示化合物PM−4の合成〉
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)に上記合成例1と同様に不動態皮膜を形成させ、窒素ガスを1時間バブリングした蒸留水578.11g、界面活性剤(ペレックスSS−H(花王(株)製))16.2g、1mol/リットルのNaOHを20.25g、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.216g、スチレン321.3g、イソプレン202.5g、アクリル酸16.2g、tert−ドデシルメルカプタン4.32gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度225rpmで撹拌し、内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム2.7gを水25mlに溶解した液を添加し、そのまま5時間撹拌した。さらに過硫酸アンモニウム1.35gを水25mlに溶解した液を添加し、90℃に昇温して3時間撹拌した。反応終了後、内温が室温になるまで下げた後、得られたポリマーをろ布(メッシュ:225)でろ過し、例示化合物P−4を1139g(固形分45質量%、粒径105nm、)得た。
【0065】
本発明においては、ポリマーラテックスを用いることができる。ここで、ポリマーラテックスとは、水不溶性の疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち、分子鎖自身が分子状分散したもの等、何れでもよい。
【0066】
本発明に用いられるポリマーラテックスは、その塗布液における溶媒として、水系溶媒を用いることができるが、水混和性の有機溶媒を併用してもよい。
【0067】
水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミド等を挙げることができる。これら有機溶媒の添加量は、溶媒の50%以下、より好ましくは30%以下であることが好ましい。
【0068】
また、本発明に係るポリマーラテックスは、ポリマー濃度がラテックス液に対して10〜70質量%であることが好ましく、さらに20〜60質量%、特に30〜55質量%であることが好ましい。
【0069】
本発明に係るバインダーポリマーは、25℃、60%RHにおける平衡含水率は2質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、平衡含水率は0.01質量%以上、1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上、1.0質量%以下である。
【0070】
「25℃、60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃、60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの質量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの質量W0を用いて以下のように表すことができる。
【0071】
25℃、60%RHにおける平衡含水率=[(W1−W0)/W0]×100(質量%)
含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。
【0072】
本発明においては、水系溶媒に分散可能なポリマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態またはミセルを形成して分散しているものなどいずれでもよいが、ラテックス分散した粒子がより好ましい。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、好ましくは5〜1000nmの範囲で、より好ましくは10〜500nmの範囲、さらに好ましくは50〜200nmの範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
【0073】
本発明に係る感光性層には、必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は感光性層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
【0074】
本発明に係る感光性層は、ポリマーラテックスを用いて形成されたものが好ましい。感光性層のバインダーの量は、全バインダー/有機銀塩の質量比が1/10〜10/1、より好ましくは1/3〜5/1の範囲、さらに好ましくは1/1〜3/1の範囲である。
【0075】
また、感光性層の全バインダー/感光性ハロゲン化銀の質量比は400〜5、より好ましくは200〜10の範囲である。
【0076】
本発明に係る感光性層の全バインダー量は好ましくは0.2〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/m2、さらに好ましくは2〜10g/m2の範囲である。本発明に係る感光性層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0077】
一方、上塗り層や下塗り層、特に保護層やバックコート層等の非感光性層に対しては、より軟化温度の高いポリマーであるセルロースエステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが好ましい。尚、必要に応じて、上記のように2種以上のバインダーを組み合わせて用い得る。
【0078】
この様なバインダーは、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で用いられる。その効果的な範囲は当業者が容易に決定し得る。
【0079】
なお、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、水性分散されたポリマーラテックスを含有する感光性層用塗布液を使用する製造工程を経て製造する場合、感光性層用塗布液中の全バインダーの50質量%以上が水性分散されたポリマーラテックスであることが好ましい。又、感光性層の調製においてポリマーラテックスを使用した場合、感光性層中の全バインダーの50質量%以上がポリマーラテックス由来のポリマーであることが好ましく、更に好ましくは70質量%以上である。
【0080】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いることができるポリマーラテックスとしては、通常の均一構造のポリマーラテックス以外、所謂コア/シェル型のラテックスでもよい。この場合、コアとシェルはTgを変えると好ましい場合がある。
【0081】
本発明に係るポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は、−30〜90℃であることが好ましく、更に好ましくは0〜70℃程度である。又、最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。
【0082】
ポリマーラテックスに用いられるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等がある。
【0083】
ポリマーラテックスは、25℃、60%RH(相対湿度)での平衡含水率が0.01〜2質量%以下のものが好ましく、更に好ましくは、0.01〜1質量%のものである。平衡含水率の定義と測定法については、例えば「高分子工学講座14,高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)」等を参考にすることができる。
【0084】
ポリマーラテックスの具体例としては、特開2002−287299号公報の〔0173〕に記載の各ラテックスが挙げられる。これらのポリマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよい。ポリマーラテックスのポリマー種としては、アクリレート又はメタクリレート成分の如きカルボン酸成分を0.1〜10質量%程度含有するものが好ましい。
【0085】
更に、必要に応じて全バインダーの50質量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は前記感光性層の全バインダーの30質量%以下が好ましい。
【0086】
感光性層用塗布液の調製における有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスの添加の順序については、何れを先に添加してもよいし、同時に添加してもよいが、好ましくはポリマーラテックスが後である。
【0087】
(感光性層側の膜面pH)
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料の感光性層側の膜面pHは5.0〜7.0であるが、特に5.3〜6.8が良好である。ここで、本発明に係る「膜面pH」とは、1cm2の当該感光材料の測定面の上に水0.05mlを添加し、相対湿度90%以上の雰囲気下で10分間放置後、平衡に達したことを確認し、塩化銀平型複合電極を用いて測定した値である。平型電極の具体例としては、東亜電波工業(株)製のpHメーターなどがある。本発明において膜面pHを所定の値にするためには酸あるいはアルカリを添加することが好ましい。
【0088】
感材の膜面pHは、通常、感光性層塗布液のpHを調整することによって調整されるが、感材の膜面がpH5未満では、感光性層層塗布液(例えば、好ましく用いられるベヘン酸銀のような有機酸銀とポリマーラテックスを含有する塗布液)の液の安定性が劣化し好ましくない。これにより所望の写真性能が得られず、軟調化が著しくなる。一方7.0を超えると、現像温度を上げたり、現像時間を長くして現像をより進ませた(いわゆるプッシュ現像の)場合にカブリ(Dmin)が急速に悪化する。さらには軟調化する傾向にある。
【0089】
本発明において用いられる、膜面pH調整用の酸は、有機酸、無機酸どちらでもかまわないが、クエン酸、フタル酸、クエン酸エステル、サリチル酸、リン酸、オルトリン酸などの酸が好ましく、下塗り層、感光性層(乳剤層)、保護層など、感光性層側のどの層に添加してもかまわない。
【0090】
本発明において用いられる膜面pH調整用のアルカリは、アルカリ金属及びアルカリ土金属の水酸化物が好ましく、感光性層側のどの層に添加してもかまわない。
【0091】
《造核剤》
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、超硬調な画像を得るために感光性層あるいはその隣接層、あるいはこれら両層中に造核剤を含有する。本発明に係る造核剤としては、当該イメージング材料分野で従来使用されている種々の化学構造の増核剤を用いることができるが、一般式(NA)で表せる化合物が好ましい。
【0092】
【化5】

【0093】
一般式(NA)において、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、Zは電子吸引基又はシリル基を表し、R11とZ、R12とR13、及びR13とZとはそれぞれ互いに結合して環状構造を形成してもよい。
【0094】
11、R12及びR13で表される置換基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニウム基)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(例えばエチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ウレタン基、カルボキシル基、イミド基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)チオ基、メルカプト基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルカルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、リン酸アミド基などが挙げられる。
【0095】
Zで表される電子吸引性基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルファモイル基、スルホンアミド基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ホスホリル基、カルボキシ基(又はその塩)、スルホ基(又はその塩)、イミノ基、σpが正の値を取るヘテロ環基又はこれらの電子吸引性基で置換されたフェニル基等が挙げられる。
【0096】
なお、本発明でいう電子供与性基とは、ハメットの置換基定数σpが負の値を取る置換基のことであり、電子供与性基としては、例えば、ヒドロキシル基(又はその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、σpが負の値を取るヘテロ環基又はこれらの電子供与性基で置換されたフェニル基等が挙げられる。本発明でいう電子吸引性基とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取る置換基のことであり、電子吸引性基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルファモイル基、スルホンアミド基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ホスホリル基、カルボキシ基(又はその塩)、スルホ基(又はその塩)、イミノ基、σpが正の値を取るヘテロ環基又はこれらの電子吸引性基で置換されたフェニル基等が挙げられる。
【0097】
ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論じるために1935年に、L.P.Hammetにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則により求められた置換基定数にはσp値とσm値とがあり、これらの値は多くの一般的な成書に記載があり、「Lange′s Handbook of Chemistry (J.A.Dean著)」第12販、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域増刊」、第122号、第96〜103頁、1979年(南光堂)、Chemical Reviews、第91巻、第165〜195頁、1991年に詳しく述べられている。本発明における電子吸引性基及び電子供与性基は、σp値により規定しているが、上記の成書に記載の文献既知の値がある置換基にのみ限定されるものではない。
【0098】
上記一般式(NA)の具体的化合物としては、下記化合物がある。
【0099】
【化6】

【0100】
【化7】

【0101】
【化8】

【0102】
【化9】

【0103】
本発明に係る一般式(NA)で表される化合物は、ハロゲン化銀粒子に対して吸着する吸着性の基が組み込まれていてもよい。こうした吸着基としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第4,385,108号、同4,459,347号の各明細書、特開昭59−195233号、同59−200231号、同59−201045号、同59−201046号、同59−201047号、同59−201048号、同59−201049号、同61−170733号、同61−270744号、同62−948号、同63−234244号、同63−234245号、同63−234246号の各公報に記載された基が挙げられる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化されていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開平2−285344号公報に記載された基が挙げられる。
【0104】
本発明に係る一般式(NA)で表される化合物は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基またはポリマーが組み込まれているものでもよい。特にバラスト基が組み込まれているものは本発明の好ましい例の1つである。バラスト基は8以上の炭素数を有する、写真性に対して比較的不活性な基であり、例えばアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アルキルフェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基などの中から選ぶことができる。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号公報に記載のものが挙げられる。
【0105】
本発明に係る一般式(NA)で表される化合物は、その中にカチオン性基(具体的には、4級のアンモニオ基を含む基、または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、あるいは塩基により解離しうる解離性基(カルボキシ基、スルホ基、アシルスルファモイル基、カルバモイルスルファモイル基等)が含まれていてもよい。特にエチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、あるいは(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基が含まれているものは、本発明の好ましい例の1つである。これらの基の具体例としては、例えば、特開平7−234471号、同5−333466号、同6−19032号、同6−19031号、同5−45761号の各公報、米国特許4994365号、同4988604号の各明細書、特開平3−259240号、同7−5610号、同7−244348号の各公報、独国特許4006032号明細書に記載の化合物が挙げられる。
【0106】
本発明に係る一般式(NA)で表される化合物は、水または適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
【0107】
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、化合物の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0108】
本発明に係る一般式(NA)で表される化合物は、支持体に対して感光性層側のバインダー層、即ち感光性層あるいはこの層側の他のどのバインダー層に添加してもよいが、感光性層あるいはそれに隣接するバインダー層に添加することが好ましい。
【0109】
本発明に係る一般式(NA)で表される化合物の添加量は、銀1モルに対し1×10-6〜1モルが好ましく、1×10-5〜5×10-1モルがより好ましく、2×10-5〜2×10-1モルが最も好ましい。
【0110】
一般式(NA)で表される化合物は公知の方法により容易に合成することができるが、例えば、米国特許第5,545,515号、同第5,635,339号、同第5,654,130号の各明細書、国際特許WO−97/34196号明細書に記載の方法を参考に合成することができる。
【0111】
本発明に係る一般式(NA)で表される化合物は、1種のみ用いても、2種以上を併用しても良い。また本発明に係る一般式(NA)で表される化合物としては、上記例示化合物の他に、米国特許第5,545,515号、同第5,635,339号、同第5,654,130号、国際特許WO−97/34196号、米国特許第5,686,228号の各明細書に記載された化合物を併用して用いても良い。
【0112】
更に、本発明においては、下記のヒドラジン誘導体を用いることもできる。即ち、特公平6−77138号公報に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物、特公平6−93082号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の化合物、特開平6−230497号公報に記載の一般式(4)、一般式(5)及び一般式(6)で表される化合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4−1〜化合物4−10、28頁〜36頁に記載の化合物5−1〜5−42、及び39頁、40頁に記載の化合物6−1〜化合物6−7、特開平6−289520号公報に記載の一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1−1)〜1−17)及び2−1)、特開平6−313936号公報に記載の(化2)及び(化3)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物、特開平6−313951号公報に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物、特開平7−5610号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I−1〜I−38、特開平7−77783号公報に記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II−1〜II−102、特開平7−104426号公報に記載の一般式(H)及び一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44、欧州特許第713,131A号明細書に記載の、ヒドラジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とする化合物で、特に一般式(A)、一般式(B)、一般式(C)、一般式(D)、一般式(E)、一般式(F)で表される化合物で、具体的には同明細書に記載の化合物N−1〜N−30、欧州特許第713,131A号明細書に記載の一般式(1)で表される化合物で、具体的には同明細書に記載の化合物D−1〜D−55等を挙げることができる。
【0113】
更に、1991年3月22日発行の「公知技術(1〜207頁)」(アズテック社刊)の25頁から34頁に記載の種々のヒドラジン誘導体、特開昭62−86354号公報(6頁〜7頁)に記載の化合物D−2及びD−39を挙げることができる。
【0114】
これらヒドラジン誘導体は、水または適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
【0115】
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0116】
これらヒドラジン誘導体は、支持体に対して感光性層側のバインダー層、即ち感光性層あるいはこの層側の他のどのバインダー層に添加してもよいが、感光性層あるいはそれに隣接するバインダー層に添加することが好ましい。
【0117】
これらヒドラジン誘導体の添加量は銀1モルに対し1×10-6〜1×100モルが好ましく、1×10-5〜5×10-1モルがより好ましく、2×10-5〜2×10-1モルが最も好ましい。
【0118】
また、一般式(NA)で表される化合物とヒドラジン誘導体とは組み合わせて用いることができる。
【0119】
本発明においては、超硬調画像形成のために、前記の造核剤とともに硬調化促進剤を併用することができる。例えば、米国特許第5,545,505号明細書に記載のアミン化合物、具体的にはAM−1〜AM−5、同5,545,507号明細書に記載のヒドロキサム酸類、具体的にはHA−1〜HA−11、同5,545,507号明細書に記載のアクリロニトリル類、具体的にはCN−1〜CN−13、同5,558,983号明細書に記載のヒドラジン化合物、具体的にはCA−1〜CA−6、特願平8−132836号公報に記載のオニューム塩類、具体的にはA−1〜A−42、B−1〜B−27、C−1〜C−14などを用いることができる。
【0120】
これらの硬調化促進剤の合成方法、添加方法、添加量等は、それぞれの前記引用特許に記載されているように行うことができる。
【0121】
《熱溶剤》
本発明の熱現像感光材料には熱溶剤が含まれている。ここで、熱溶剤とは、熱溶剤含有熱現像感光材料に対して、熱溶剤を含まない熱現像感光材料に比べて熱現像温度を1℃以上低くすることができる素材と定義する。更に好ましくは、2℃以上低くできる素材であり、特に好ましくは3℃以上低くできる素材である。例えば、熱溶剤を含む熱現像感光材料Aに対して、熱現像感光材料Aから熱溶剤を含まない熱現像感光材料をBとした時に、熱現像感光材料Bを露光し熱現像温度120℃、熱現像時間20秒で処理して得られる濃度を、熱現像感光材料Aで同一露光量、熱現像時間で得るための熱現像温度が119℃以下になる場合を熱溶剤とする。本発明の熱溶剤は極性基を置換基として有しており、一般式(1)で表されるのが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0122】
一般式(1)
(Y)n
一般式(1)において、Yはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表す。Zはヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、リン酸アミド基、シアノ基、イミド、ウレイド、スルホキシド、スルホン、ホスフィン、ホスフィンオキシドまたは含窒素複素環基から選ばれる基を表す。nは1ないし3の整数を表し、Zが1価の基である場合には1、Zが2価以上の基である場合にはZの価数と同一である。nが2以上の場合、複数のYは同一であっても異なっていても良い。
【0123】
Yは更に置換基を有していても良く、置換基としてZで表される基を有していても良い。
【0124】
Yについてさらに詳しく説明する。一般式(1)において、Yは直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは1〜30、特に好ましくは1〜25であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、sec−ブチル、t−ブチル、t−オクチル、n−アミル、tーアミル、n−ドデシル、n−トリデシル、オクタデシル、イコシル、ドコシル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは2〜30、特に好ましくは2〜25であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜40、より好ましくは6〜30、特に好ましくは6〜25であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、複素環基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えば、ピリジル、ピラジル、イミダゾイル、ピロリジルなどが挙げられる。)を表す。これらの置換基はさらに他の置換基で置換されていても良い。また、これらの置換基は互いに結合して、環を形成していても良い。
【0125】
Yは更に置換基を有していても良く、置換基の例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐、環状のアルキル基で、ビシクロアルキル基、活性メチン基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基またはその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。なおここで活性メチン基とは2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味し、ここに電子求引性基とはアシル基、アルコシキカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基を意味する。ここで2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとっていてもよい。
【0126】
また塩とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などの陽イオンや、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどの有機の陽イオンを意味する。これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。Yは置換基としてZで表される基をさらに有していても良い。熱溶剤が本発明の効果を発現する理由としては、熱溶剤が現像温度付近で溶融することにより現像に関与する物質と相溶し、熱溶剤を添加しないときよりも低い温度での反応を可能としているためと考えられる。熱現像は、比較的極性の高いカルボン酸や銀イオン輸送体が関与している還元反応であるため、極性基を有している熱溶剤により適度の極性を有する反応場を形成することが好ましい。
【0127】
本発明に係る熱溶剤の融点は、50℃以上、200℃以下であるが、好ましくは60℃以上、150℃以下である。特に、本発明の目的であるような、画像保存性などの外的環境に対しての安定性を重視した熱現像感光材料では、融点が100℃以上、150℃以下の熱溶剤が好ましい。
【0128】
以下に、本発明に係る熱溶剤の具体例を示すが、本発明の内容はこれにより限定されるものではない。なお括弧内は融点を示している。
【0129】
N−メチル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミド(61℃)、1,8−オクタンジオール(62℃)、安息香酸フェニル(67〜71℃)、ヒドロキノンジエチルエーテル(67〜73℃)、ε−カプロラクタム(68〜70℃)、りん酸ジフェニル(68〜70℃)、(±)−2−ヒドロキシオクタン酸(68〜71℃)、(±)−3−ヒドロキシドデカン酸(68〜71℃)、5−クロロ−2−メチルベンゾチアゾール(68〜71℃)、酢酸β−ナフチル(68〜71℃)、バチルアルコール(68〜73℃)、(±)−2−ヒドロキシデカン酸(69〜72℃)、2,2,2−トリフルオロアセトアミド(69〜72℃)、ピラゾール(69℃)、(±)−2−ヒドロキシウンデカン酸(70〜73℃)、N,N−ジフェニルホルムアミド(71〜72℃)、ジベンジルジスルフィド(71〜72℃)、(±)−3−ヒドロキシウンデカン酸(71〜74℃)、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(71℃)、2,4−ジニトロトルエン(71℃)、2,4−ジメトキシベンズアルデヒド(71℃)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(71℃)、2,6−ジクロロベンズアルデヒド(71℃)、ジフェニルスルホキシド(71℃)、ステアリン酸(71℃)、2,5−ジメトキシニトロベンゼン(72〜73℃)、1,10−デカンジオール(72〜74℃)、(R)−(−)−3−ヒドロキシテトラデカン酸(72〜75℃)、2−テトラデシルヘキサデカン酸(72〜75℃)、2−メトキシナフタレン(72〜75℃)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル(72〜76℃)、トリステアリン(73.5℃)、ドトリアコンタン(74〜75℃)、フラバノン(74〜78℃)、2,5−ジフェニルオキサゾール(74℃)、8−キノリノール(74℃)、o−クロロベンジルアルコール(74℃)、オレイン酸アミド(75〜76℃)、(±)−2−ヒドロキシドデカン酸(75〜78℃)、n−ヘキサトリアコンタン(75〜79℃)、イミノジアセトニトリル(75〜79℃)、p−クロロベンジルアルコール(75℃)、フタル酸ジフェニル(75℃)、N−メチルベンズアミド(76〜78℃)、(±)−2−ヒドロキシトリデカン酸(76〜79℃)、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン(76〜79℃)、N−メチル−p−トルエンスルホンアミド(76〜79℃)、3′−ニトロアセトフェノン(76〜80℃)、4−フェニルシクロヘキサノン(76〜80℃)、エイコサン酸(76℃)、4−クロロベンゾフェノン(77〜78℃)、(±)−3−ヒドロキシテトラデカン酸(77〜80℃)、2−ヘキサデシルオクタデカン酸(77〜80℃)、酢酸p−ニトロフェニル(77〜80℃)、4′−ニトロアセトフェノン(77〜81℃)、12−ヒドロキシステアリン酸(77℃)、α,α′−ジブロモ−m−キシレン(77℃)、9−メチルアントラセン(78〜81℃)、1,4−シクロヘキサンジオン(78℃)、m−ジエチルアミノフェノール(78℃)、m−ニトロ安息香酸メチル(78℃)、(±)−2−ヒドロキシテトラデカン酸(79〜82℃)、1−(フェニルスルホニル)インドール(79℃)、ジ−p−トリルメタン(79℃)、プロピオンアミド(79℃)。
【0130】
(±)−3−ヒドロキシトリデカン酸(80〜83℃)、グアヤコールグリセリンエーテル(80〜85℃)、オクタノイル−N−メチルグルカミド(80〜90℃)、o−フルオロアセトアニリド(80℃)、アセトアセトアニリド(80℃)、ドコサン酸(81〜82℃)、p−ブロモベンゾフェノン(81℃)、トリフェニルホスフィン(81℃)、ジベンゾフラン(82.8℃)、(±)−2−ヒドロキシペンタデカン酸(82〜85℃)、2−オクタデシルエイコサン酸(82〜85℃)、1,12−ドデカンジオール(82℃)、3,4,5−トリメトキシ安息香酸メチル(83℃)、p−クロロニトロベンゼン(83℃)、(±)−3−ヒドロキシヘキサデカン酸(84〜85℃)、o−ヒドロキシベンジルアルコール(84〜86℃)、1−トリアコンタノール(84〜88℃)、o−アミノベンジルアルコール(84℃)、酢酸4−メトキシベンジル(84℃)、(±)−2−ヒドロキシヘキサデカン酸(85〜88℃)、m−ジメチルアミノフェノール(85℃)、p−ジブロモベンゼン(86〜87℃)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル(86〜88℃)、(±)−3−ヒドロキシペンタデカン酸(86〜89℃)、4−ベンジルビフェニル(86℃)、p−フルオロフェニル酢酸(86℃)、1,14−テトラデカンジオール(87〜89℃)、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール(87〜90℃)、p−ペンチル安息香酸(87〜91℃)、酢酸α−(トリクロロメチル)ベンジル(88〜89℃)、4,4′−ジメチルベンゾイン(88℃)、炭酸ジフェニル(88℃)、m−ジニトロベンゼン(89.57℃)、(3R,5R)−(+)−2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオール(90〜93℃)、(3S,5S)−(−)−2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオール(90〜93℃)、シクロヘキサノンオキシム(90℃)、p−ブロモヨードベンゼン(91〜92℃)、4,4′−ジメチルベンゾフェノン(92〜95℃)、トリフェニルメタン(92〜95℃)、ステアリン酸アニリド(92〜96℃)、p−ヒドロキシフェニルエタノール(92℃)、モノエチル尿素,(92℃)、アセナフチレン(93.5〜94.5℃)、m−ヒドロキシアセトフェノン(93〜97℃)、キシリトール(93〜97℃)、p−ヨードフェノール(93℃)、p−ニトロ安息香酸メチル(94〜98℃)、p−ニトロベンジルアルコール(94℃)、1,2,4−トリアセトキシベンゼン(95〜100℃)、3−アセチルベンゾニトリル(95〜103℃)、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル(95〜97℃)、16−ヒドロキシヘキサデカン酸(95〜99℃)、D(−)−リボース(95℃)、o−ベンゾイル安息香酸(95℃)、α,α′−ジブロモ−o−キシレン(95℃)、ベンジル(95℃)、ヨードアセトアミド(95℃)、p−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル(96〜97℃)、p−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル(96〜97℃)、フラボン(96〜97℃)、2−デオキシ−D−リボース(96〜98℃)、没食子酸ラウリル(96〜99℃)、1−ナフトール(96℃)、2,7−ジメチルナフタレン(96℃)、2−クロロフェニル酢酸(96℃)、アセナフテン(96℃)、テレフタル酸ジベンジル(96℃)、フマロニトリル(96℃)、4′−アミノ−2′,5′−ジエトキシベンズアニリド(97〜100℃)、フェノキシ酢酸(97〜100℃)、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール(97℃)、D−ソルビトール(97℃)、m−アミノベンジルアルコール(97℃)、アセトアミドマロン酸ジエチル(97℃)、1,10−フェナントロリン一水和物(98〜100℃)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4′−メチルベンゾフェノン(98〜100℃)、2−ブロモ−4′−クロロアセトフェノン(98℃)、メチル尿素(98℃)、4−フェノキシフタロニトリル(99〜100℃)、o−メトキシ安息香酸(99〜100℃)、p−ブチル安息香酸(99〜100℃)、キサンテン(99〜100℃)、ペンタフルオロ安息香酸(99〜101℃)、フェナントレン(99℃)。
【0131】
p−t−ブチルフェノール(100.4℃)、9−フルオレニルメタノール(100〜101℃)、1,3−ジメチル尿素(100〜102℃)、4−アセトキシインドール(100〜102℃)、1,3−シクロヘキサンジオン(100℃)、ステアリン酸アミド(100℃)、トリ−m−トリルホスフィン(100℃)、4−ビフェニルメタノール(101〜102℃)、1,4−シクロヘキサンジオール (cis−, trans−混合物)(101℃)、α,α′−ジクロロ−p−キシレン(101℃)、2−t−ブチルアントラキノン(102℃)、フマル酸ジメチル(102℃)、3,3−ジメチルグルタル酸(103〜104℃)、2−ヒドロキシ−3−メチル−2−シクロペンテン−1−オン(103℃)、4−クロロ−3−ニトロアニリン(103℃)、N,N−ジフェニルアセトアミド(103℃)、3(2)−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(104〜105℃)、4,4′−ジメチルベンジル(104〜105℃)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2′,2′′−ニトリロトリエタノール(104℃)、m−トリフルオロメチル安息香酸(104℃)、3−ペンタノール(105〜108℃)、2−メチル−1,4−ナフトキノン(105℃)、α,α,α′,α′−テトラブロモ−m−キシレン(105℃)、4−クロロフェニル酢酸(106℃)、4,4′−ジフルオロベンゾフェノン(107.5〜108.5℃)、2,4−ジクロロ−1−ナフトール(107〜108℃)、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(107〜117℃)、2,4−ジメトキシ安息香酸(108〜109℃)、o−トリフルオロメチル安息香酸(108〜109℃)、p−ヒドロキシアセトフェノン(109℃)、ジメチルスルホン(109℃)、2,6−ジメチルナフタレン(110〜111℃)、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ベンゾキノン(110℃)、トリデカン二酸(110℃)、トリフェニルクロロメタン(110℃)、フルオランテン(110℃)、ラウリンアミド(110℃)、1,4−ベンゾキノン(111℃)、3−ベンジルインドール(111℃)、レゾルシノール(111℃)、1ーブロモブタン(112.3℃)、2,2− ビス(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール(112〜114℃)、p−エチル安息香酸(113.5℃)、1,4−ジアセトキシ−2−メチルナフタレン(113℃)、1−エチル−2,3−ピペラジンジオン(113℃)、4−メチル−2−ニトロアニリン(113℃)、L−アスコルビン酸二パルミチン酸エステル(113℃)、o−フェノキシ安息香酸(113℃)、p−ニトロフェノール(113℃)、メチル(ジフェニル)ホスフィン=オキシド(113℃)、酢酸コレステロール(114〜115℃)、2,6−ジメチル安息香酸(114〜116℃)、3−ニトロベンゾニトリル(114℃)、m−ニトロアニリン(114℃)、エチルα−D−グルコシド(114℃)、アセトアニリド(115〜116℃)、(±)−2−フェノキシプロピオン酸(115℃)、4−クロロ−1−ナフトール(116〜117℃)、p−ニトロフェニルアセトニトリル(116〜117℃)、p−ヒドロキシ安息香酸エチル(116℃)、p−イソプロピル安息香酸(117〜118℃)、D(+)−ガラクトース(118〜120℃)、o−ジニトロベンゼン(118℃)、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル(118℃)、1,3,5−トリブロモベンゼン(119℃)。
【0132】
2,3−ジメトキシ安息香酸(120〜122℃)、4−クロロ−2−メチルフェノキシ酢酸(120℃)、meso−エリトリトール(121.5℃)、9,10−ジメチル−1,2−ベンズアントラセン(122〜123℃)、2−ナフトール(122℃)、N−フェニルグリシン(122℃)、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド(122℃)、p−ヒドロキシベンジルアルコール(124.5〜125.5℃)、2′,4′−ジヒドロキシ−3′−プロピルアセトフェノン(124〜127℃)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(124℃)、m−フルオロ安息香酸(124℃)、ジフェニルスルホン(124℃)、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸(125℃)、3,4,5−トリメトキシけい皮酸(125℃)、o−フルオロ安息香酸(126.5℃)、イソニトロソアセトフェノン(126〜128℃)、5−メチル−1,3−シクロヘキサンジオン(126℃)、4−ベンゾイル酪酸(127℃)、p−ヒドロキシ安息香酸メチル(127℃)、p−ブロモニトロベンゼン(127℃)、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸(128〜130℃)、5α−コレスタン−3−オン(128〜130℃)、6−ブロモ−2−ナフトール(128℃)、イソブチルアミド(128℃)、1−ナフチル酢酸(129℃)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(129℃)、p−ジヨードベンゼン(129℃)、ドデカン二酸(129℃)、4,4′−ジメトキシベンジル(131〜133℃)、ジメチロール尿素(132.5℃)、o−エトキシベンズアミド(132〜134℃)、セバシン酸(132℃)、p−トルエンスルホンアミド(134℃)、サリチルアニリド(135℃)、β−シトステロール(136〜137℃)、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン(136℃)、1,3−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼン(137℃)、フタロニトリル(138℃)、4−n−プロピル安息香酸(139℃)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(140.5℃)、2−ナフチル酢酸(140℃)、テレフタル酸メチル(140℃)、2,2−ジメチルこはく酸(141℃)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(142.5〜143.5℃)、o−クロロ安息香酸(142℃)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(143〜144℃)、α,α,α−トリブロモメチルフェニルスルホン(143℃)、D(+)−キシロース(144〜145℃)、フェニル尿素(146℃)、没食子酸n−プロピル(146℃)、4,4′−ジクロロベンゾフェノン(147〜148℃)、2′,4′−ジヒドロキシアセトフェノン(147℃)、コレステロール(148.5℃)、2−メチル−1−ペンタノール(148℃)、4,4′−ジクロロジフェニルスルホン(148℃)、ジグリコール酸(148℃)、アジピン酸(149〜150℃)、2−デオキシ−D−グルコース(149℃)、ジフェニル酢酸(149℃)、o−ブロモ安息香酸(150℃)。
【0133】
本発明において、熱溶剤の添加量は0.01〜5.0g/m2であることが好ましく、より好ましくは0.05〜2.5g/m2で、さらに好ましくは0.1〜1.5g/m2である。熱溶剤は画像形成層に含有させることが好ましい。また、上記の熱溶剤は単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0134】
本発明において熱溶剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。好ましい方法は、あらかじめ熱溶剤を塗布溶媒に溶解して添加する溶液形態である。
【実施例】
【0135】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができるものとし、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。
【0136】
実施例1
《ハロゲン化銀乳剤の調製》
[乳剤Aの調製]
水700mlに、フタル化ゼラチン11g及び臭化カリウム30mg、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mgを溶解して温度55℃にてpHを5.0に合わせた後、硝酸銀18.6gを含む水溶液159mlと、臭化カリウムを1モル/リットル、六塩化イリジウム(II)カリウム塩を7×10-6モル/リットルで含む水溶液とを、pAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で6分30秒間かけて添加した。
【0137】
次いで、硝酸銀55.5gを含む水溶液476mlと臭化カリウムを1モル/リットルで含むハロゲン塩水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で28分30秒間かけて添加した。その後pHを下げて凝集沈降させて脱塩処理をし、化合物Aを0.17g、脱イオンゼラチン(カルシウム含有量として20ppm以下)23.7gを加え、pH5.9、pAg8.0に調整した。得られた粒子は平均粒子サイズ0.11μm、投影面積変動係数8%、(100)面比率93%の立方体粒子であった。
【0138】
こうして得たハロゲン化銀粒子を60℃に昇温して銀1モル当たりベンゼンチオスルホン酸ナトリウム76μモルを添加し、3分後に化合物B110μモルを添加して、100分熟成した。
【0139】
その後、40℃に温度を保ち、ハロゲン化銀1モルに対して12.8×10-4モルの増感色素A、6.4×10-3モルの化合物Cを撹拌しながら添加し、20分後に30℃に急冷してハロゲン化銀乳剤Aの調製を終了した。
【0140】
【化10】

【0141】
《有機酸銀分散物の調製》
[有機酸銀Aの調製]
アラキン酸6.1g、ベヘン酸37.6g、蒸留水700ml、tert−ブタノール70ml、1モル/L−NaOH水溶液123mlを混合し、75℃で1時間攪拌し反応させ、65℃に降温した。次いで、硝酸銀19.2gの水溶液112.5mlを45秒かけて添加し、そのまま5分間放置し、30℃に降温した。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水の伝導度が30μs/cmになるまで水洗した。こうして得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして取り扱い、乾燥固形分100g相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−205)5g及び水を添加し、全体量を500gとしてからホモミキサーにて予備分散した。
【0142】
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザー M−110S−EH、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、g10Zインタラクションチャンバー使用)の圧力を175MPaに調節して、三回処理し、有機酸銀分散物Aを得た。
【0143】
こうして得た有機酸銀分散物に含まれる有機酸銀粒子は、平均短径0.04μm、平均長径0.8μm、変動係数30%の針状粒子であった。粒子サイズの測定は、Malvern Instruments Ltd.製 MasterSizerXにて行った。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで所望の分散温度に設定した。以上のように、ベヘン酸銀含有率85モル%の有機酸銀Aを調製した。
【0144】
《1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサンの固体微粒子分散物の調製》
1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン20gに対してクラレ(株)製MPポリマーのMP−203を3.0gと水77mlを添加してよく攪拌して、スラリーとして3時間放置した。その後、0.5mmのジルコニアビーズを360g用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて3時間分散し、還元剤固体微粒子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80質量%が0.3μm以上1.0μm以下であった。
【0145】
《トリブロモメチルフェニルスルホンの固体微粒子分散物の調製》
トリブロモメチルフェニルスルホン30gに対してヒドロキシプロピルメチルセルロース0.5g、化合物D0.5gと、水88.5gを添加し良く攪拌してスラリーとして3時間放置した。その後、還元剤固体微粒子分散物の調製と同様にしてカブリ防止剤の固体微粒子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80質量%が0.3μm以上1.0μm以下であった。
【0146】
《乳剤層塗布液の調製》
上記調製した有機酸銀微結晶分散物の銀1モルに対して、以下のバインダー、添加剤及びハロゲン化銀乳剤Aを添加して、水を加えて、乳剤層塗布液とした。
【0147】
バインダー;表1記載 固形分として470g
1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン 固形分として110g
トリブロモメチルフェニルスルホン 固形分として25g
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 0.25g
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、MP−203) 46g
6−iso−ブチルフタラジン 0.12モル
Ca(NO32 0.8×10-2モル
染料A 0.62g
ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.05モル
熱溶剤 表1に記載の種類及び添加量
《乳剤面保護層塗布液の調製》
固形分27.5%のポリマーラテックス(メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=59/9/26/5/1の共重合体でガラス転移温度55℃)109gにH2Oを3.75g加え、造膜助剤としてベンジルアルコールを4.5g、化合物Eを0.45g、化合物Fを0.125g、化合物Gを0.0125モル、及びポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PVA−217)0.225gを加え、さらにH2Oを加えて150gとし、乳剤面保護層塗布液とした。
【0148】
【化11】

【0149】
《バック層及び下塗り層を有するPET支持体の作製》
(1)支持体
テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従い、IV(固有粘度)=0.66(フェノール/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後、130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出し、その後急冷し、熱固定後の膜厚が120μmになるような厚みの未延伸フイルムを作成した。
【0150】
これを周速の異なるロールを用い、3.3倍に縦延伸、ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施した。このときの温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部をスリットした後、両端にナール加工を行い、4.8kg/cm2で巻きとった。このようにして、幅2.4m、長さ3500m、厚み120μmのロール状のポリエチレンテレフタレート(PET)支持体を得た。
【0151】
(2)下塗り層(a)
ポリマーラテックス(スチレン/ブタジエン/ヒドロキシエチルメタクリレート/ジビニルベンゼン=67/30/2.5/0.5(質量%)) 160mg/m2
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 4mg/m2
マット剤(ポリスチレン、平均粒子径2.4μm) 3mg/m2
(3)下塗り層(b)
脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm、ゼリー強度230g)
50mg/m2
(4)導電層
ジュリマーET−410(日本純薬(株)製) 96mg/m2
アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、Ca2+含量30ppm)
42mg/m2
脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 8mg/m2
化合物A 0.2mg/m2
ポリオキシエチレンフェニルエーテル 10mg/m2
スミテックスレジンM−3(水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製)
18mg/m2
染料A 780nmの光学濃度が1.0になる塗布量
SnO2/Sb(9/1質量比、針状微粒子、長軸/短軸=20〜30、石原産業(株)製) 160mg/m2
マット剤(ポリメチルメタクリレート、平均粒子径5μm) 7mg/m2
(5)保護層
ポリマーラテックス(メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=59/9/26/5/1(質量%の共重合体)) 1000mg/m2
ポリスチレンスルホン酸塩(分子量1000〜5000) 2.6mg/m2
セロゾール524(中京油脂(株)) 25mg/m2
スミテックスレジンM−3(水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製)
218mg/m2
化合物F 10mg/m2
支持体の片側に下塗り層(a)と下塗り層(b)を順次塗布し、それぞれ180℃、4分間乾燥した。ついで、下塗り層(a)と下塗り層(b)を塗布した反対側の面に導電層と保護層を順次塗布し、それぞれ180℃、30秒乾燥してバック層及び下塗り層を設けたPET支持体を作製した。
【0152】
このようにして作製したバック層及び下塗り層を有するPET支持体を、160℃に設定した全長30m熱処理ゾーンに入れ、張力1.4kPa、搬送速度20m/分で自重搬送した。その後、40℃のゾーンに15秒間通し、980kPaの巻き取り張力で巻き取った。
【0153】
《バインダー液の調製》
[本発明のバインダー]
バインダーとしては、前記例示化合物(P−1)、(P−12)及び(P−25)のポリマーラテックスのそれぞれを、25%NH4OHを用いてpH8.35に調整して用いた。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、固形分濃度44質量%のバインダー液を調製した。
【0154】
[比較のバインダーRP−1(SBR)]
比較用試料のバインダーとして、特開2002−229149号公報に記載の例示化合物(P−1)を合成し、上記と同様に調製し、比較バインダーRP−1とした(スチレン/ブタジエン/アクリル酸=68/29/3質量%、Tg=17℃、固形分44質量%、粒子サイズ80nm)。
【0155】
[比較のバインダーRP−2]
前記合成例1において、スチレン496.8g、イソプレン27g、アクリル酸16.2gに変更して合成し、上記と同様に調製し比較バインダーRP−2(スチレン/イソプレン/アクリル酸=92/5/3質量%:Tg=86℃、固形分44質量%、粒径115nm)とした。
【0156】
[比較のバインダーRP−3]
前記合成例2において、スチレン118.8g、イソプレン405g、アクリル酸16.2gに変更して合成し、上記と同様に調製し比較バインダーRP−3(スチレン/イソプレン/アクリル酸=22/75/3質量%:Tg=−40℃、固形分44質量%、粒径108nm)とした。
【0157】
《熱溶剤》
評価に用いた熱溶剤は以下の通りである。
【0158】
1−1:安息香酸フェニル(67〜71℃)
1−2:N−メチル−p−トルエンスルホンアミド(76〜79℃)
1−3:1,10−デカンジオール(融点72−74℃)
1−4:3,3−ジメチルグルタル酸(103〜104℃)
1−5:2,6−ジメチルナフタレン(110〜111℃)
1−6:p−ニトロフェニルアセトニトリル(116〜117℃)
1−7:2,6−ジクロロベンゾニトリル(142.5〜143.5℃)
《熱現像感光材料の調製》
前記バック/下塗り層のついたPET支持体の下塗り層上に、前記の乳剤層塗布液を塗布銀量1.6g/m2になるように塗布した。さらにその上に、前記乳剤面保護層塗布液をポリマーラテックスの固形分の塗布量が2.0g/m2になるように乳剤層塗布液と共に同時重層塗布し熱現像感光材料のサンプルを得た。
【0159】
《写真性能の評価》
[生保存性]
得られた試料を2分し、1部は23℃に放置し、もう1部は55℃で3日加熱し強制劣化を行った。得られた試料をビーム径(ビーム強度の1/2のFWHM)20μm、レーザー出力50mW、出力波長780nmの半導体レーザーを搭載した単チャンネル円筒内面方式のレーザー露光装置を使用し、ミラー回転数60,000rpm、露光時間1.2×10-8秒の露光を実施した。この時のオーバーラップ係数は0.449にし、熱現像画像記録材料面上のレーザーエネルギー密度は45μJ/cm2とした。上記のレーザー露光装置を用いて、175線/インチで光量を変えながらテストステップを出力した。濃度測定はマクベスTD904濃度計(可視濃度)により行った。感度は濃度1.5を与える露光量の対数をもって表し、S1.5とした。値が大きいほど高感度である。
【0160】
[処理湿度依存性]
上記の露光装置を用いて、23℃、相対湿度80%環境で16時間放置した熱現像感光材料を、909LPIで27μmの線幅露光を行い、23℃、相対湿度80%環境で上記の熱現像処理を行った。また23℃相対湿度20%環境で16時間放置した熱現像感光材料を、909LPIで文字線幅を描画し、23℃、相対湿度20%環境で上記の熱現像処理を行い、線幅変動を100倍ルーペで計測した。線巾変動が小さい方が良好である。また、同試料について、カブリ濃度の変化幅を求めた。
【0161】
評価結果を表1に示す。
【0162】
【表1】

【0163】
表1の結果より明らかなように、本発明は、比較例に対し、生保存時の感度安定性に優れ、かつ高湿環境下で保存した際の安定性に優れていることが分かる。
【0164】
実施例2
感光性乳剤層に、表2に記載の造核剤を添加した以外は実施例1と同様に行った。
【0165】
評価結果を表2に示す。
【0166】
【表2】

【0167】
表2の結果より明らかなように、造核剤を添加した系においても、実施例1の結果と同様に、本発明は、比較例に対し、生保存時の感度安定性に優れ、かつ高湿環境下で保存した際の安定性に優れていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、非感光性有機銀塩、該非感光性有機銀塩の還元剤、感光性ハロゲン化銀及びバインダーを含有する画像形成層を有し、該バインダーは下記一般式(MM)で表されるモノマーを10質量%以上、70質量%以下で共重合したポリマーを含有し、かつ融点が50℃以上、200℃以下の熱溶剤を含有することを特徴とする熱現像画像記録材料。
一般式(MM)
CH2=CR1−CR2=CH2
〔式中、R1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基を表し、R2は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。ただし、R1及びR2が同時に水素原子であることはない。〕
【請求項2】
前記熱溶剤が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1に記載の熱現像画像記録材料。
一般式(1)
(Y)n
〔式中、Yはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表す。Zはヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、リン酸アミド基、シアノ基、イミド、ウレイド、スルホキシド、スルホン、ホスフィン、ホスフィンオキシド及び含窒素複素環基から選ばれる基を表す。nは1〜3の整数を表し、Zが1価の基である場合にはnは1、Zが2価以上の基である場合にはnはZの価数と同一である。nが2以上の場合、複数のYは同一であっても異なっていても良い。YはさらにZで表される基を有していても良い。〕
【請求項3】
前記画像形成層が、造核剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像画像記録材料。