熱現像装置
【課題】 熱現像記録材料の現像むらを防止するとともに、熱現像部の温度を所定の温度範囲で確実に維持することができる熱現像装置を提供する。
【解決手段】 本発明にかかる熱現像装置は、潜像が形成された熱現像記録材料を熱現像部により熱現像する熱現像装置であって、熱現像部には、熱現像記録材料の搬送方向に沿って、それぞれ異なる温度範囲に設定された複数の処理部が形成され、複数の処理部同士の間には、熱現像記録材料が通過する開口を有する隔壁部が形成され、開口を遮蔽する遮蔽部材が設けられている。
【解決手段】 本発明にかかる熱現像装置は、潜像が形成された熱現像記録材料を熱現像部により熱現像する熱現像装置であって、熱現像部には、熱現像記録材料の搬送方向に沿って、それぞれ異なる温度範囲に設定された複数の処理部が形成され、複数の処理部同士の間には、熱現像記録材料が通過する開口を有する隔壁部が形成され、開口を遮蔽する遮蔽部材が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱現像記録材料を加熱し、該熱現像記録材料の画像形成層に記録された潜像を熱現像する熱現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、湿式処理を行うことがないドライシステムによる熱現像装置や熱現像記録装置が提案されている。このような熱現像装置や熱現像記録装置では、記録媒体として、感光性および/または感熱性記録材料(感光感熱記録材料)や、熱現像感光材料を含むフイルム状の記録材料(以下、熱現像記録材料という)が用いられている。また、このドライシステムによる熱現像装置や熱現像記録装置では、露光部において熱現像記録材料にレーザービームを照射(走査)して潜像を形成し、その後、現像部において熱現像記録材料を加熱して熱現像を行った後、画像が形成された熱現像記録材料を装置の外に排出している。
【0003】
熱現像装置では、熱現像によって形成されず画像に現像むらが生じることを防止するため、熱現像工程を複数の処理部で行う構成が採用されている。例えば、熱現像記録材料を搬送経路に沿って、予熱部、現像部、及び、徐冷部の順に搬送し、各処理部において、所定の温度に制御しつつ加熱することで、画像の現像むらの抑制を図っている。例えば、従来、熱現像工程を複数の区域で行う構成としては、下記特許文献1に示す熱現像装置がある。
【0004】
【特許文献1】特開平9−269584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の熱現像装置のように、熱現像工程を複数の処理部において行う場合には、各処理部を所定の温度範囲に維持することが重要である。しかし、従来の熱現像装置では、各処理部の密閉性を十分に確保できず、熱現像部の外側の気流や他の処理部からの空気の流入によって処理部を所定の温度範囲に確実に維持することが困難であった。各処理部の密閉性が確保できていない状態では、その気流や空気の流入により各処理部が冷却されてしまう。そのため、所定の温度を維持するために加熱を行うヒータ等の加熱手段の運転時間が長くなり、消費電力の増加の原因になっていた。
【0006】
上記特許文献1の熱現像装置は、熱現像部が複数の処理部に分割されており、各処理部同士の間には隔壁が設けられている。しかし、隔壁には搬送される記録材料を処理部間において通過させるための開口が形成されており、この開口を通じて他の処理部の空気が流入及び流出するため、それぞれの処理部を所定の温度範囲に維持するためには改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、熱現像記録材料の現像むらを防止するとともに、熱現像部の温度を所定の温度範囲で確実に維持することができる熱現像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、潜像が形成された熱現像記録材料を熱現像部により熱現像する熱現像装置であって、前記熱現像部には、前記熱現像記録材料の搬送方向に沿って、それぞれ異なる温度範囲に設定された複数の処理部が形成され、前記複数の処理部同士の間には、前記熱現像記録材料が通過する開口を有する隔壁部が形成され、前記開口を遮蔽する遮蔽部材が設けられていることを特徴とする熱現像装置によって達成される。
【0009】
本発明の熱現像装置は、熱現像部に形成された複数の処理部が、それぞれ隔壁部によって区画されており、熱現像時には搬送方向に沿って搬送される熱現像記録材料が各処理部同士の間の開口を通過しつつ、各処理部に順々に搬送される構成である。また、開口には遮蔽部材が設けられている。遮蔽部材は、熱現像部の外側から気流が開口を介して各処理部に流れ込むことを防止し、また、各処理部内の所定の温度に調整された空気が、他の隣接する処理部へ開口を介して流れ出てしまうことを防止する。このように、本発明の熱現像装置は、処理部間の開口に遮蔽部材を設けた構成であるため、各処理部の密閉性を十分に確保でき、熱現像部の外側の気流や他の処理部からの空気の流入によって各処理部が所定の温度範囲外になることを防止できる。これにより各処理部を所定の温度範囲に維持するのに必要となるヒータ等の加熱手段運転時間の短縮化と消費電力の低減を図ることができる。
【0010】
上記熱現像装置は、熱現像部には、現像部と、現像部の処理温度に比べて低い処理温度で熱現像記録材料を徐冷する徐冷部とが設けられ、熱現像記録材料の搬送方向の現像部と徐冷部との間に、隔壁部が形成され、該隔壁部の開口を遮蔽するように遮蔽部材が設けられていることが好ましい。
こうすれば、熱現像装置は、現像部において熱現像記録材料を現像した後、徐冷部において熱現像記録材料の温度を緩やかに低下させることができ、現像むらの発生を防止することができ、また、開口を遮蔽部材によって遮蔽することで、現像部の空気が開口を通過して徐冷部に流れ込み、徐冷部の処理温度が所定の範囲を上回ってしまう不具合が生じることを防止することができる。このため、徐冷部において、加熱した熱現像記録材料の温度を確実に低下させることができるようになる。
【0011】
上記熱現像装置は、熱現像部には、熱現像記録材料の搬送方向に対して現像部の前に、現像部の処理温度に比べて低い処理温度で熱現像記録材料を予熱する予熱部が設けられ、熱現像記録材料の搬送方向の予熱部と現像部との間に、隔壁部が形成され、該隔壁部の開口を遮蔽するように遮蔽部材が設けられていることが好ましい。こうすれば、熱現像装置は、現像部において熱現像記録材料を現像する前に、予熱部において熱現像記録材料の温度を予め所定の温度まで上げておくことによって、現像部において必要十分な処理温度と処理時間で熱現像を施すことができ、現像むらの発生を防止することができる。また、現像部と予熱部と間の開口を遮蔽する遮蔽部材を設けることで、予熱部の空気が開口を通過して現像部に流れ込み、現像部の処理温度が所定の範囲を下回ってしまうことを防止できる。また、現像部の空気が開口を通過して予熱部に流れ込み予熱部の処理温度が所定の温度の範囲を上回ってしまうことを防止できる。このため、予熱部において、熱現像記録材料を適正な温度で加熱することができるとともに、現像部と予熱部の処理温度を所定の範囲に確実に維持することができる。
【0012】
上記熱現像装置は、熱現像記録材料が搬送されている位置を検出する位置検出手段を備え、位置検出手段によって出力された検出信号に応じて、開口を開閉するように遮蔽部材を駆動する遮蔽部材駆動部が設けられていることが好ましい。こうすれば、熱現像時に、熱現像記録材料の位置を位置検出手段で検出し、この位置に応じて、遮蔽部材を駆動し、開口を遮蔽状態又は開放状態とに切り換えるように制御できる。
【0013】
上記熱現像装置は、熱現像記録材料を複数収容保持させるカセットトレイを備え、カセットトレイの蓋の開閉動作を検出し、遮蔽部材駆動部に検出信号を出力する検出部が設けられていることが好ましい。こうすれば、カセットトレイの蓋の開閉に基づいて、熱現像記録材料の搬送が開始されたと認識し、熱現像部の各処理部の処理温度の維持する制御を開始するトリガとすることができる。ここで、カセットトレイは、熱現像前に使用者によって装置に装填される手差し式の挿入トレイであってもよく、複数の熱現像記録材料を収容保持するように装填されている構成であって、熱現像時に熱現像記録材料を処理部側へ搬送するものであってもよい。
【0014】
上記熱現像装置は、熱現像記録材料を露光して潜像を形成する画像露光部を備え、画像露光部が熱現像記録材料の位置を検出し、遮蔽部材駆動部に検出信号を出力することが好ましい。こうすれば、熱現像装置は画像露光部で熱現像記録材料に露光を行うとともに、その熱現像記録材料の位置を検出信号として、各処理部の遮蔽部材駆動部に出力することができる。遮蔽部材駆動部は、この検出信号に応じて、適切なタイミングで遮蔽部材を駆動させ、開口の遮蔽状態及び開放状態を切り換えることができる。このため、複数の熱現像記録材料を現像処理する場合でも、各処理部の処理温度を所定の温度範囲に維持でき、また、熱現像記録材料の搬送と遮蔽部材の制御を効率良く同期させることで、円滑に現像処理を行うことができる。
【0015】
上記熱現像装置は、遮蔽部材が、搬送される熱現像記録材料に接触することで変位し、該熱現像記録材料が開口を通過することを許容することが好ましい。ここで、変位とは、遮蔽部材の位置が熱現像記録材料との接触により位置が変化すること、及び、遮蔽部材が弾性変形可能な材料から構成されている場合には、熱現像記録材料との接触により、熱現像記録材料が開口を通過可能な状態となるように、変形することを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、熱現像記録材料の現像むらを防止するとともに、熱現像部の温度を所定の温度範囲で確実に維持することができる熱現像装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
本発明の熱現像装置で使用される画像記録材料としては、湿式の現像処理を必要としないシート状の熱現像記録材料(以下、記録材料ともいう。)であって、画像露光部において記録材料に入力される画像信号に基づいて変調されたレーザ光を照射されて潜像を形成された後に、熱現像部において熱現像されることで記録材料表面に可視像を得るものである。なお、本発明は熱現像装置は画像露光部を備えた構成(このような構成の熱現像装置を熱現像記録装置ともいう。)に限らず、レーザ光によってシート状の記録材料に予め露光して画像を形成するとともに、記録材料に熱現像のみを行う構成であってもよい。
【0018】
図1は、本発明にかかる熱現像装置の第1実施形態の構成を示す図である。本実施形態の熱現像装置10は、装置本体1を有し、装置本体1にカセットトレイTを装填するためのトレイ挿入部2が形成されている。カセットトレイTは、複数の記録材料Fを収容保持可能な遮光性材料からなる収容体であり、図示しないが、カセットトレイTには記録材料Fが感光することを防止するための開閉可能な蓋が設けられている。本実施形態のカセットトレイTは、使用者が装置本体1のトレイ挿入部2に挿し込まれる手差し型のものとした。
【0019】
熱現像装置10には、記録材料Fの搬送方向に対して順に、カセットトレイTから記録材料Fを一枚づつ取り出して搬送方向へ搬出する枚葉機構8と、記録材料Fに熱現像を施す熱現像部3と、搬出ローラ4から搬出された記録材料Fを載せる搬出トレイ5とが備えられている。本実施形態の熱現像装置10は、画像露光部を備えていない構成であり、予め別の露光装置で潜像が形成されて記録材料を熱現像することで、画像を形成するものである。
【0020】
トレイ挿入部2の近傍には、熱現像時に、カセットトレイTの蓋を開閉するトレイ蓋開閉部7が設けられている。
【0021】
熱現像部3には、搬送される記録材料Fに熱現像を行う熱現像装置30が設けられ、搬送方向上流側には、現像処理装置30に記録材料Fを搬入する搬入ローラ対6aが設けられている。また、特に説明はしないが、記録材料Fの搬送経路に沿って、該記録材料Fの搬送に供するガイドローラ,パスローラや、搬送される記録材料Fの位置規制に供するガイド部が適宜設けられていてもよい。
【0022】
図2は、本実施形態の熱現像装置における熱現像部の構成を説明する図である。現像処理装置30は、中空の筐体状部材であって、その内部に、複数(本実施形態では3つ)の処理部30A,30B,30Cが互いに連通するように記録材料Fの搬送方向に並べられた構成である。
【0023】
本実施形態では、複数の処理部30A,30B,30Cは、記録材料Fの搬送方向に順に、予熱部30A、現像部30B、徐冷部30Cである。
予熱部30Aは、内部の空気が、図示しないヒータ等の加熱手段によって50℃から100℃の所定の温度範囲に維持され、現像部30Bで熱現像する処理温度に比べて低い温度で記録材料Fを予め熱現像することで、現像部30Bにおける急激な加熱を回避している。
【0024】
現像部30Bは、予熱部30Aで予熱された記録材料Fに予熱部30Aより高い処理温度で熱現像を行うものである。現像部30Bは、熱現像直前に100℃から150℃の所定の温度範囲に維持されるように、図示しないヒータ等の加熱手段によって保温されている。
【0025】
徐冷部30Cは、現像部30Bで熱現像された記録材料Fが現像処理装置の外に搬出された際に急激に冷却されることに起因して記録材料Fに変形等の欠陥が生じることを防止するため、記録材料Fの温度を緩やかに低減させる。徐冷部30Cは、10℃から100℃の所定の温度範囲に維持される。
【0026】
また、記録材料Fの搬送方向(図2中一点鎖線の矢印で示す方向)において、現像処理装置30の外側と予熱部30Aとの間、予熱部30Aと現像部30Bとの間、現像部30Bと徐冷部30Cとの間、及び、徐冷部30Cと現像処理装置30の外側との間には、隔壁部31,32,33,34がそれぞれ設けられている。各隔壁部31,32,33,34には、それぞれスリット状の開口31a,32a,33a,34aが設けられている。また、予熱部30Aと現像部30Bと徐冷部30Cとの内部には、記録材料Fの搬送を支持する搬送ローラなどの搬送部材37a,37b,37cが設けられている。また、徐冷部30Cには、記録材料Fの搬送経路を挟んで互いに対向するように配置された一対の搬送ガイド板38が設けられている。
【0027】
本実施形態において、現像処理装置30の各隔壁部31,32,33,34には、それぞれの開口31a,32a,33a,34aを遮蔽可能な遮蔽部材35a,35b,35c,35dがそれぞれ設けられている。
【0028】
遮蔽部材35a,35b,35c,35dが、それぞれの遮蔽する開口31a,32a,33a,34aの直前に搬送されてきた記録材料Fを検出する位置検出手段36a,36b,36c,36dによって出力された検出信号に応じて、開口31a,32a,33a,34aが開放状態となるように駆動制御される構成とすることが好ましい。遮蔽部材35a,35b,35c,35dは、図示しないアクチュエータなどの遮蔽部材駆動部よって駆動される構成とすることができる。
【0029】
次に、本実施形態の現像処理装置30において記録材料Fに熱現像を行う手順を説明する。
熱現像開始直後は、現像処理装置30における各処理部30A,30B,30Cが所定の処理温度に迅速に到達するように、それぞれの遮蔽部材35a,35b,35c,35dが各開口31a,32a,33a,34aを遮蔽した状態に配置されていることが好ましい。こうすることで、熱現像装置の起動から記録材料Fの搬送開始までの時間を短くすることができ、熱現像装置の総運転時間を短縮することができる。また、各処理部30A,30B,30Cの加熱中に、空気が他の処理部や現像処理装置30の外部に流れ出ることなく、消費電力の増加を抑制することができる。
【0030】
潜像が形成された記録材料Fが、搬送方向上流側から搬送されてきて、開口31aの近傍に位置した際に、位置検出手段36aによって検知される。位置検出手段36aは、検出信号を遮蔽部材駆動部に出力し、該遮蔽部材駆動部によって遮蔽部材35aが駆動され、開口31aが開放状態なる。そして、記録材料Fが現像処理装置30の隔壁31の開口31aから予熱部30Aに搬入される。このとき、位置検出手段36aによって記録材料Fの通過を検出し、遮蔽部材駆動部に検出信号を出力して遮蔽部材35aを駆動し、開口31aを速やかに遮蔽状態とすることが好ましい。
【0031】
予熱部30Aにおいて、記録材料Fが搬送部材37aによって搬送されつつ、予熱部Aの内部の空気によって加熱される。記録材料Fが、予熱部30Aの隔壁部32の開口32a近傍に到達すると、位置検出手段36bによって検出され、開口32aが開放状態となるように遮蔽部材35bが駆動される。その後、記録材料Fが開口32aを通って、現像部30B内に搬入される。このとき、位置検出手段36bによって記録材料Fの通過を検出し、遮蔽部材駆動部に検出信号を出力して遮蔽部材35bを駆動し、開口32aを速やかに遮蔽状態とすることが好ましい。
【0032】
現像部30Bにおいて、記録材料Fが搬送部材37bによって搬送されつつ、現像部Bの内部の空気によって加熱現像される。記録材料Fが、現像部30Bの隔壁部33の開口33a近傍に到達すると、位置検出手段36cによって検出され、開口33aが開放状態となるように遮蔽部材35cが駆動される。その後、記録材料Fが開口33aを通って、徐冷部30C内に搬入される。このとき、位置検出手段36cによって記録材料Fの通過を検出し、遮蔽部材駆動部に検出信号を出力して遮蔽部材35cを駆動し、開口33aを速やかに遮蔽状態とすることが好ましい。
【0033】
徐冷部30Cにおいて、記録材料Fが搬送部材37cによって搬送されつつ、徐冷部Bの内部の空気と接触することで、緩やかに徐冷される。記録材料Fが、現像部30Cの隔壁部34の開口34a近傍に到達すると、位置検出手段36dによって検出され、開口34aが開放状態となるように遮蔽部材35dが駆動される。その後、記録材料Fが開口34aを通って、現像処理装置30の外へ搬出される。このとき、位置検出手段36dによって記録材料Fの通過を検出し、遮蔽部材駆動部に検出信号を出力して遮蔽部材35dを駆動し、開口34aを速やかに遮蔽状態とすることが好ましい。
【0034】
上述のように、本発明にかかる熱現像装置10は、熱現像部3に形成された複数の処理部30A,30B,30Cが、それぞれ隔壁部31,32,33,34によって区画されており、熱現像時には搬送方向に沿って搬送される熱現像記録材料Fが各処理部30A,30B,30C同士の間の開口31a,32a,33a,34aを通過しつつ、各処理部30A,30B,30Cに順々に搬送される構成である。また、開口31a,32a,33a,34aには遮蔽部材35a,35b,35c,35dが設けられている。遮蔽部材35a,35b,35c,35dは、現像処理装置30の外側から気流が開口31a,34aを介して各処理部30A,30B,30Cに流れ込むことを防止し、また、各処理部30A,30B,30C内の所定の温度範囲に調整された空気が、他の隣接する処理部30A,30B,30Cへ開口32a,33aを介して流れ出てしまうことを防止する。このように、本発明にかかる熱現像装置10は、処理部30A,30B,30Cを区画する開口31a,32a,33a,34aに遮蔽部材35a,35b,35c,35dを設けた構成であるため、各処理部30A,30B,30Cの密閉性を十分に確保でき、熱現像部3の外側の気流や他の処理部からの空気の流入によって各処理部30A,30B,30Cの温度が低下することを防ぐことができる。これにより各処理部30A,30B,30Cを所定の温度範囲に維持するのに必要となるヒータ等の加熱手段運転時間の短縮化と消費電力の低減を図ることができる。
【0035】
本実施形態において、現像処理装置30の隔壁部34を設けず、徐冷部30Cが該現像処理装置30の外側に開放された構成としてもよい。また、現像処理装置30の隔壁部31を設けず、予熱部30Aが該現像処理装置30の外側に開放された構成としてもよい。本実施形態の熱現像装置10においては、少なくとも現像部30Bと徐冷部30Cとの間に隔壁部33が設けられ、この隔壁部33の開口33aを遮蔽できるように駆動する遮蔽部材35cが設けられていることが好ましい。このような熱現像装置10は、現像部30Bにおいて記録材料Fを現像した後、徐冷部30Cにおいて記録材料Fの温度を緩やかに低下させることができ、現像むらの発生を防止することができ、また、開口33aを遮蔽部材35cによって遮蔽することで、現像部30Bの空気が開口33aを通過して徐冷部30Cに流れ込み、徐冷部30Cの処理温度が所定の温度範囲を上回ってしまう不具合が生じることを防止することができる。このため、徐冷部30Cにおいて、加熱した記録材料Fの温度を確実に低下させることができるようになる。
【0036】
また、本実施形態の熱現像装置10において、予熱部30Aと現像部30Bとの間に、隔壁部32が形成され、該隔壁部32の開口32aを遮蔽するように遮蔽部材35bが設けられていることが好ましい。こうすれば、熱現像装置10は、現像処理装置30の現像部30Bにおいて記録材料Fを現像する前に、予熱部30Aにおいて記録材料Fの温度を予め所定の温度まで上げておくことによって、現像部30Bにおいて必要十分な処理温度と処理時間で熱現像を施すことができ、現像むらの発生を防止することができるとともに効率良く熱現像を行うことができる。また、現像部30Bと予熱部30Aと間の開口32aを遮蔽する遮蔽部材35bを設けることで、予熱部30Aの空気が開口32aを通過して現像部30Bに流れ込み、現像部30Bの処理温度が所定の温度範囲を下回ってしまうことを防止できる。また、現像部30Bの空気が開口32aを通過して予熱部30Aに流れ込み、予熱部30Aの処理温度が所定の温度範囲を上回ってしまうことを防止できる。このため、予熱部30Aにおいて、記録材料Fを適正な温度で加熱することができるとともに、現像部30Bと予熱部30Aの処理温度を所定の温度範囲に確実に維持することができる。
【0037】
次に、本発明にかかる熱現像装置の位置検出手段について説明する。図3は、位置検出手段の一例を示す図である。なお、図3においては、図2の現像処理装置の現像部30Bにおける位置検出手段36cを用いて説明するが、他の位置検出手段36a,36b,36dについても同様である。
【0038】
図3に示すように、位置検出手段36cは、接触子s1を備えている。そして、位置検出手段36cを記録材料Fの搬送経路近傍に配置し、接触子s1が搬送されてくる記録材料Fと接触可能に設けられている。接触子s1は、記録材料Fと接触すると、図3中の拡大図で示すように、記録材料Fに押されて変位する。すると、位置検出手段36cが接触子s1の変位を検知し、記録材料Fの通過を認識し、検出信号を遮蔽部材駆動部37に出力する。遮蔽部材駆動部37は、検出信号に基づいて、遮蔽部材35cを駆動し、開口33aを開放状態にする。このとき、記録材料Fが位置検出手段36cの近傍を通過した後、接触子s1が記録材料Fから離間してもとの位置に戻るとともに検出信号を遮蔽部材駆動部に出力して、遮蔽部材35cを駆動し、開口33aを遮蔽状態としてもよい。
【0039】
位置検出手段としては、図3に示す接触子s1を有する接触型の構成に限定されず、フォトセンサなどによって記録材料Fの接近及び通過を検出する非接触型の構成としてもよい。
【0040】
また、熱現像装置10は、熱現像の条件を予め入力することで、適宜なタイミングで遮蔽部材を開閉動作するように制御可能とすることで、位置検出手段を適宜設けない構成としてもよい。
【0041】
図4は、位置検出手段を設けずに遮蔽部材を駆動する制御系の一例を説明するブロック図である。
図1及び図4に示すように、熱現像装置10に演算部40を設け、遮蔽部材駆動部37と電気的に接続された構成とすることができる。このとき、熱現像工程の行う前に、演算部40に、搬送経路の長さ(搬送パス長)と記録材料Fに熱現像を施すのにかかる処理速度を予め入力する。そして、演算部40によって、搬送パス長及び処理速度に基づいて遮蔽部材駆動部37を駆動して遮蔽部材35a(35b,35c,35d)を開閉するタイミングを算出する。熱現像時に記録材料Fを搬送させるとともに、算出されたタイミングで遮蔽部材駆動部37に検出信号を出力し、遮蔽部材駆動部37を駆動させ、開口31a(32a,33a,34a)を開放状態及び遮蔽状態に適宜切り換える。こうすれば、位置検出手段を各処理部30A,30B,30Cに設ける必要がない。
【0042】
図5は、位置検出手段を設けずに遮蔽部材を駆動する制御系の他の例を説明するブロック図である。
図1及び図5に示すように、カセットトレイTの蓋を開閉するトレイ蓋開閉部7が遮蔽部材駆動部37に検出信号を出力してもよい。すなわち、熱現像時に、カセットトレイTの蓋をトレイ蓋開閉部7によって開閉駆動させるとともに、該トレイ蓋開閉部7から遮蔽部材駆動部37に検出信号を出力させる構成とすることができる。遮蔽部材駆動部37は、検出信号に応じて遮蔽部材35a(35b,35c,35d)を駆動し、開口31a(32a,33a,34a)を開放状態及び遮蔽状態に適宜切り換える。
【0043】
こうすれば、カセットトレイTの蓋の開閉に基づいて、記録材料Fの搬送が開始されたと認識し、熱現像部3の各処理部30A,30B,30Cの処理温度の維持する制御を開始するトリガとすることができる。ここで、カセットトレイTは、熱現像前に使用者によって装置に装填される手差し式の挿入トレイであってもよく、複数の記録材料Fを収容保持するように装填されている構成であって、熱現像時に記録材料Fを処理部側へ搬送するものであってもよい。
【0044】
遮蔽部材35a,35b,35c,35dは、剛体からなるものであってもよく、弾性体であってもよい。
図6(a),(b)は、弾性体からなる遮蔽部材38の一例を示す図である。図6(a)に示すように、遮蔽部材38は、隔壁部33の開口33aを遮蔽するように取り付けられ、少なくとも一部が隔壁部33に固定されていない状態で当接している。そして、図6(b)に示すように、熱現像時に記録材料Fが搬送されてきた場合に、遮蔽部材38が記録材料Fと当接することで弾性変形されるとともに、記録材料Fが開口33aを通過することを許容する。記録材料Fが開口33aを通過した後、遮蔽部材38が記録材料Fから離間することで、弾性力によってもとの開口33aを遮蔽する位置に復元する。なお、遮蔽部材を構成する弾性材料としては、例えば、ゴム、独立気泡のスポンジを使用することができる。
【0045】
図6(b)のように、遮蔽部材38と記録材料Fとが直接接触する構成の場合には、遮蔽部材38において、記録材料Fに接触する側の面の表面粗さRaを0.8以下とすることが好ましい。
また、遮蔽部材38の表面をフッ素系材料でコーティングすることが好ましい。
さらに、記録材料Fの表面にキズがつくことを防止するため、その表面の動摩擦抵抗を0.4以下とすることが好ましい。
【0046】
図7は、遮蔽部材の他の構成を示す図である。
図7に示すように、隔壁部33の開口33aを遮蔽するように、ブラシ状からなる遮蔽部材71が設けられていてもよい。遮蔽部材71の毛状繊維は、記録材料Fに押圧されることで適宜変形し、且つ、記録材料Fから離間することでもとの状態に戻るように所定の弾性力を有している。
【0047】
図8は、遮蔽部材の他の構成を示す図である。図8に示すように、隔壁部33の開口33aを遮蔽するように、上方遮蔽部72aと下方遮蔽部72bとが、開口33aの上下に一対に設けられてなる遮蔽部材72が設けられていてもよい。上方遮蔽部72aと下方遮蔽部72bとはともに弾性材料から構成され、搬送される記録材料Fに当接することで、適宜弾性変形して記録材料Fの通過を許容するとともに、記録材料Fから離間することで、開口33aを遮蔽する位置に復元する。
【0048】
なお、遮蔽部材は弾性変形しないものであって、隔壁部に一部をヒンジなどで固定し、記録材料Fとの接触により変形することなく、その位置が変化するものであってもよい。
【0049】
このように遮蔽部材が搬送される熱現像記録材料に接触することで変位する構成とすれば、位置検出手段や検出信号に基づく制御が不要になるため、熱現像装置の構成が複雑になることを回避できる。ここで、変位とは、遮蔽部材の位置が熱現像記録材料との接触により位置が変化すること、及び、遮蔽部材が弾性変形可能な材料から構成されている場合には、熱現像記録材料との接触により、熱現像記録材料が開口を通過可能な状態となるように、変形することを含む。
【0050】
図9は、本発明にかかる熱現像装置の第2実施形態の構成を示す図である。
熱現像装置100は、記録材料Fの搬送方向順に、熱現像記録材料供給部Aと、画像露光部Bと、予熱部Pと、現像部Cと、徐冷部Dとから概略構成されている。また、各部間の要所に設けられ記録材料Fを搬送するための搬送手段と、各部を駆動し制御する電源/制御部Eとを備えている。
予熱部Pと、現像部Cと、徐冷部Dとは、現像処理装置60に収容されている。
【0051】
熱現像装置100において、最下段に電源/制御部E、その上段に熱現像記録材料供給部A、更に、その上段に画像露光部Bと熱現像部Cと徐冷部Dとが配置された構成となっており、また、画像露光部Bと熱現像部Cとが予熱部Pを介して配置された構成である。
【0052】
この構成によれば、一枚の記録材料Fに対して露光工程と熱現像工程との両工程を同一の搬送経路において実施することができるとともに、露光工程と熱現像工程を短い搬送距離内で行うことで、記録材料Fの搬送パス長を最短化し、一枚の出力時間を短縮することができる。
【0053】
記録材料Fとしては、厚みが約0.2mm程度(0.1mm〜0.3mm)の熱現像感光材料または感光感熱記録材料を使用することができる。熱現像感光材料としては、レーザ光Lによって画像を記録(露光)し、その後、熱現像して発色させるものである。また、感光感熱記録材料としては、光ビームによって画像を記録し、その後、熱現像して発色させる、若しくは、レーザ光Lのヒートモード(熱)によって画像を記録すると同時に発色させて、その後、光照射で定着するものである。
【0054】
熱現像記録材料供給部Aは、記録材料Fを一枚ずつ取り出して、記録材料Fの搬送方向の下流に位置する画像露光部Bに供給する部分であり、複数(本実施形態においては2つ)の装填部11a,11bと、各装填部11a,11bにそれぞれ配置される供給ローラ対13a,13bと、不図示の搬送ローラ及び搬送ガイドとを有して構成される。また、二段構成となっている各装填部11a,11bの内部には、異なるサイズの記録材料Fが収容されたマガジン15a,15bが挿入され、各段に装填されたマガジン15a,15bが記録材料Fのサイズやその向きに応じて選択的に使用される。なお、装填部は、二段構成に限定されず、三段以上の構成としてもよく、単一の構成としてもよい。
【0055】
画像露光部Bは、熱現像記録材料供給部Aから搬送されてきた記録材料Fに対してレーザ光Lを主走査方向に走査露光し、また、主走査方向に略直行する副走査方向(即ち、搬送方向)に搬送することで、所望の画像に応じた潜像を記録材料F表面における画像形成層に形成する。
【0056】
熱現像部Cは、走査露光後の記録材料Fを搬送しながら昇温処理して、熱現像を行う。そして、冷却部Dにおいて現像処理後の記録材料Fを冷却して、排出トレイ16に搬出する。
【0057】
図1に示すように、排出トレイ16には、搬出された記録材料Fを保持するソータSが設けられていれもよい。ソータSは、熱現像装置10に着脱可能な本体65と、該本体65に設けられた複数の搬出ローラ66a,66b,66cと、該複数の搬出ローラ66a,66b,66cによって本体65から搬出された記録材料Fを保持するため、本体65の上下方向に仕切られた複数の供給部67a,67b,67cとを備えている。ソータSは、搬出ローラ66a,66b,66cのうちいずれかを選択して記録材料Fを搬出させることで、該搬出ローラ66a,66b,66cに対応する供給部67a,67b,67cのそれぞれに適宜仕分けて保持可能な構成である。なお、熱現像装置10は、ソータSを該熱現像装置10の上部に着脱自在な構成とすることができ、必要に応じて省略し、記録材料Fを排出トレイ16にのみ搬出する構成としてもよい。
【0058】
熱現像記録材料供給部Aと画像露光部Bとの間の搬送路には、幅寄せ機構17が設けられており、熱現像記録材料供給部Aから搬入されてきた記録材料Fを、その幅方向端部を揃えた状態で画像露光部Bへ供給している。
【0059】
画像露光部Bは、レーザ光を走査露光することによって記録材料Fを露光する走査露光装置41を備えている。この走査露光装置41は、記録材料Fの搬送面からのばたつきを防止しつつ搬送するばたつき防止機構を有した副走査搬送部18と、走査露光部19とから構成されている。走査露光部19は、別途用意された画像データに従ってレーザの出力を制御しつつ、このレーザ光Lを走査(主走査)させる。このとき熱現像記録材料Fを副走査搬送部18によって副走査方向に移動させる。
【0060】
副走査搬送部18は、走査するレーザ光Lの主走査ラインを挟んで、回転軸がこの走査ラインに対してそれぞれ略平行に配置された2本の駆動ローラ(搬送手段)21、22と、これら駆動ローラ21、22に対向して配置され、記録材料Fを支持するガイド板24とを備えている。ガイド板24は、各駆動ローラ21、22との間に挿入される記録材料Fを、並設されたこれら駆動ローラ21、22同士間の外側で駆動ローラ21、22の周面の一部に沿って撓ませていることで生じる該記録材料Fの弾性反発力によって、駆動ローラ21、22同士間の部位に当接せしめて支持する。
【0061】
このように熱現像記録材料F自身の弾性反発力によって記録材料Fと駆動ローラ21、22との間に適宜な摩擦力が生じ、駆動ローラ21、22から記録材料Fへ確実に搬送駆動力が伝達され、記録材料Fが搬送される。駆動ローラ21、22は、図示しないモータ等の駆動手段の駆動力を歯車やベルト等の伝達手段を介して受けることで、図9中時計回り方向へ回転するように構成されている。
【0062】
また、ガイド板24の上面において、記録材料Fが自身の弾性反発力によって押し付けられて、記録材料Fの搬送面からのばたつき、即ち、図中上下方向のばたつきが抑制される。そして、この駆動ローラ21、22同士間の記録材料Fに向けてレーザ光Lを照射することで、露光位置ずれのない良好な記録が行えることになる。画像露光部Bで露光された後、現像処理装置60の予熱部Pに搬送される。
【0063】
図10は、本実施形態の熱現像装置の現像処理装置の構成を説明する図である。図10に示すように、予熱部P、現像部Cには、記録材料Fを加熱処理する加熱部材として、記録材料Fの搬送方向に沿って並ぶ複数(本実施形態では3つ)のヒートプレート51a,51b,51cが設けられ、これらヒートプレート51a,51b,51cが搬送経路に沿って円弧状に配置されている。ヒートプレート51a,51b,51cは、搬送される熱現像記録材料Fに接触することによって熱現像を施す加熱手段として機能する。
【0064】
また、ヒートプレート51a,51b,51cに対して搬送経路を挟んで、複数の押さえローラ55が配置されている。押さえローラ55はそれぞれ、その軸方向端部に被駆動部となる歯車部55aが設けられ、該歯車部55aが中空円筒状の駆動歯車52の周面の歯と係合している。駆動歯車52には駆動軸52aを介して図示しない駆動源に連結され、駆動歯車52の矢印R1方向の回転に従動して回転駆動される。
【0065】
予熱部Pは、ヒートプレート51aによって、現像部Cで熱現像する処理温度に比べて低い温度で記録材料Fを予め熱現像することで、現像部Cにおいて記録材料Fが急激に加熱されることを回避している。予熱部Pは、内部の空気が、ヒートプレート51aの熱によって50℃から100℃の所定の温度範囲に維持されている。
【0066】
現像部Cは、予熱部Pで予熱された記録材料Fをヒートプレート51bによって現像部Pより高い処理温度で熱現像を行うものである。現像部Cは、熱現像直前に100℃から150℃の所定の温度範囲に維持されている。
【0067】
徐冷部Dは、現像部Cで熱現像された記録材料Fが現像処理装置の外に搬出された際に急激に冷却されることに起因して記録材料Fに変形等の欠陥が生じることを防止するため、記録材料Fの温度を緩やかに低減させる。徐冷部Dは、10℃から100℃の所定の温度範囲に維持される。
【0068】
予熱部Pは隔壁部81、82に、現像部Cは隔壁部82、83によって、徐冷部Dは、隔壁部83、84によって、隣接する処理部又は空間から仕切られている。各隔壁部81、82、83、84には、搬送される記録材料Fを通過させるための開口81a,82a,83a,84aが形成されている。
【0069】
開口81a,82a,83a,84aには、それぞれ遮蔽部材85a,85b,85c,85dが設けられ、記録材料Fの搬送位置に応じて、開口81a,82a,83a,84aを遮蔽状態と開放状態とに切り換えるように駆動制御される。
【0070】
各隔壁部81,82,83,84に対し、搬送方向上流側近傍には、搬送されてくる記録材料Fの位置を検出し、位置検出信号を出力する位置検出手段86a,86b,86c,86dがそれぞれ設けられている。位置検出手段86a,86b,86c,86dは、記録材料Fを検出すると、検出信号を遮蔽部材駆動部に出力し、遮蔽部材駆動部によって遮蔽部材85a,85b,85c,85dを駆動制御させる。
【0071】
本実施形態の熱現像装置100において、遮蔽部材85a,85b,85c,85dは、剛体のものを用いてもよく、または、上記実施形態の熱現像装置10と同様に、図6から8に示すような弾性を有する部材を使用してもよい。
【0072】
本実施形態の熱現像装置100は、現像処理装置60に形成された予熱部P、現像部C、徐冷部Dが、それぞれ隔壁部81,82,83,84によって区画されており、熱現像時には搬送方向に沿って搬送される記録材料Fが各処理部P,C,D同士の間の開口81a,82a,83a,84aを通過しつつ、各処理部P,C,Dに順々に搬送される構成である。また、開口81a,82a,83a,84aには遮蔽部材85a,85b,85c,85dが設けられている。遮蔽部材85a,85b,85c,85dは、現像処理装置60の外側から気流が開口を介して各処理部に流れ込むことを防止し、また、各処理部P,C,D内の所定の温度に調整された空気が、他の隣接する処理部へ開口を介して流れ出てしまうことを防止する。このように、本発明の熱現像装置100は、予熱部P,現像部C,徐冷部Dの密閉性を十分に確保でき、現像処理装置60の外側の気流や他の処理部からの空気の流入によって処理部を所定の温度範囲に確実に維持することができる。そして、各処理部P,C,Dの温度が低下することを防ぐことができることにより、所定の温度範囲に維持するのに必要となるヒータ等の運転時間の短縮化と消費電力の低減を図ることができる。
【0073】
徐冷部Dから搬出された記録材料Fは、搬送経路を介して対向する平面を有する一対の金属プレート61の該平面に接触するように搬送される。そして、該金属プレート61によって記録材料Fの熱が吸収され、シワが発生しないように、かつ、湾曲ぐせがつかないように適宜に冷却される。冷却部Dから排出された記録材料Fは、搬送ローラ64から下流側の搬出ローラ63に搬送し、搬出ローラ63(又は、66a,66b,66c)から排出トレイ16(又はソータSの各供給部67a,67b,67c)に搬出される。
【0074】
本実施形態の熱現像装置100において、画像露光部によって記録材料Fの位置を検出し、この検出信号に基づいて、各処理部P,C,Dに設けられた遮蔽部材を駆動制御する構成とすることができる。
【0075】
図11は、本実施形態の熱現像装置における遮蔽部材の制御系を示すブロック図である。図10及び11に示すように、画像露光部Bで記録材料Fに露光を行うとともに、該画像露光部Bが記録材料Fの位置情報を含む位置検出信号を演算部90に出力する構成とすることができる。このとき、演算部90は、位置検出信号に基づいて、遮蔽部材駆動部91が遮蔽部材85a,85b,85c,85dを駆動するタイミングを算出する。そして、熱現像時に、遮蔽部材駆動部91が演算部90から得た演算値に基づいて遮蔽部材85a,85b,85c,85dを駆動制御する。
【0076】
このように、本実施形態の熱現像装置100は画像露光部Bで記録材料Fに露光を行うとともに、その記録材料Fの位置を検出信号として、各処理部P,C,Dの遮蔽部材駆動部91に出力することができる。遮蔽部材駆動部91は、この検出信号に応じて、適切なタイミングで遮蔽部材85a,85b,85c,85dを駆動させ、開口81a,82a,83a,84aの遮蔽状態及び開放状態を切り換えることができる。このため、複数の記録材料Fを現像処理する場合でも、予熱部P,現像部C,徐冷部Dの処理温度を所定の温度範囲に維持でき、また、記録材料Fの搬送と遮蔽部材85a,85b,85c,85dの制御を効率良く同期させることで、円滑に現像処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明にかかる熱現像装置の第1実施形態の構成を示す図である。
【図2】本実施形態の熱現像装置における熱現像部の構成を説明する図である。
【図3】本発明にかかる熱現像装置の位置検出手段の一例を示す図である。
【図4】位置検出手段を設けずに遮蔽部材を駆動する制御系の一例を説明するブロック図である。
【図5】位置検出手段を設けずに遮蔽部材を駆動する制御系の他の例を説明するブロック図である。
【図6】弾性体からなる遮蔽部材38の一例を示す図である。
【図7】遮蔽部材の他の構成を示す図である。
【図8】遮蔽部材の他の構成を示す図である。
【図9】本発明にかかる熱現像装置の第2実施形態の構成を示す図である。
【図10】図9の熱現像装置の現像処理装置の構成を説明する図である。
【図11】熱現像装置における遮蔽部材の制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0078】
3 熱現像部
10,100 熱現像装置
35a,35b,35c,35d 遮蔽部材
B 画像露光部
C 現像部
D 徐冷部
F 熱現像記録材料
P 予熱部
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱現像記録材料を加熱し、該熱現像記録材料の画像形成層に記録された潜像を熱現像する熱現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、湿式処理を行うことがないドライシステムによる熱現像装置や熱現像記録装置が提案されている。このような熱現像装置や熱現像記録装置では、記録媒体として、感光性および/または感熱性記録材料(感光感熱記録材料)や、熱現像感光材料を含むフイルム状の記録材料(以下、熱現像記録材料という)が用いられている。また、このドライシステムによる熱現像装置や熱現像記録装置では、露光部において熱現像記録材料にレーザービームを照射(走査)して潜像を形成し、その後、現像部において熱現像記録材料を加熱して熱現像を行った後、画像が形成された熱現像記録材料を装置の外に排出している。
【0003】
熱現像装置では、熱現像によって形成されず画像に現像むらが生じることを防止するため、熱現像工程を複数の処理部で行う構成が採用されている。例えば、熱現像記録材料を搬送経路に沿って、予熱部、現像部、及び、徐冷部の順に搬送し、各処理部において、所定の温度に制御しつつ加熱することで、画像の現像むらの抑制を図っている。例えば、従来、熱現像工程を複数の区域で行う構成としては、下記特許文献1に示す熱現像装置がある。
【0004】
【特許文献1】特開平9−269584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の熱現像装置のように、熱現像工程を複数の処理部において行う場合には、各処理部を所定の温度範囲に維持することが重要である。しかし、従来の熱現像装置では、各処理部の密閉性を十分に確保できず、熱現像部の外側の気流や他の処理部からの空気の流入によって処理部を所定の温度範囲に確実に維持することが困難であった。各処理部の密閉性が確保できていない状態では、その気流や空気の流入により各処理部が冷却されてしまう。そのため、所定の温度を維持するために加熱を行うヒータ等の加熱手段の運転時間が長くなり、消費電力の増加の原因になっていた。
【0006】
上記特許文献1の熱現像装置は、熱現像部が複数の処理部に分割されており、各処理部同士の間には隔壁が設けられている。しかし、隔壁には搬送される記録材料を処理部間において通過させるための開口が形成されており、この開口を通じて他の処理部の空気が流入及び流出するため、それぞれの処理部を所定の温度範囲に維持するためには改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、熱現像記録材料の現像むらを防止するとともに、熱現像部の温度を所定の温度範囲で確実に維持することができる熱現像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、潜像が形成された熱現像記録材料を熱現像部により熱現像する熱現像装置であって、前記熱現像部には、前記熱現像記録材料の搬送方向に沿って、それぞれ異なる温度範囲に設定された複数の処理部が形成され、前記複数の処理部同士の間には、前記熱現像記録材料が通過する開口を有する隔壁部が形成され、前記開口を遮蔽する遮蔽部材が設けられていることを特徴とする熱現像装置によって達成される。
【0009】
本発明の熱現像装置は、熱現像部に形成された複数の処理部が、それぞれ隔壁部によって区画されており、熱現像時には搬送方向に沿って搬送される熱現像記録材料が各処理部同士の間の開口を通過しつつ、各処理部に順々に搬送される構成である。また、開口には遮蔽部材が設けられている。遮蔽部材は、熱現像部の外側から気流が開口を介して各処理部に流れ込むことを防止し、また、各処理部内の所定の温度に調整された空気が、他の隣接する処理部へ開口を介して流れ出てしまうことを防止する。このように、本発明の熱現像装置は、処理部間の開口に遮蔽部材を設けた構成であるため、各処理部の密閉性を十分に確保でき、熱現像部の外側の気流や他の処理部からの空気の流入によって各処理部が所定の温度範囲外になることを防止できる。これにより各処理部を所定の温度範囲に維持するのに必要となるヒータ等の加熱手段運転時間の短縮化と消費電力の低減を図ることができる。
【0010】
上記熱現像装置は、熱現像部には、現像部と、現像部の処理温度に比べて低い処理温度で熱現像記録材料を徐冷する徐冷部とが設けられ、熱現像記録材料の搬送方向の現像部と徐冷部との間に、隔壁部が形成され、該隔壁部の開口を遮蔽するように遮蔽部材が設けられていることが好ましい。
こうすれば、熱現像装置は、現像部において熱現像記録材料を現像した後、徐冷部において熱現像記録材料の温度を緩やかに低下させることができ、現像むらの発生を防止することができ、また、開口を遮蔽部材によって遮蔽することで、現像部の空気が開口を通過して徐冷部に流れ込み、徐冷部の処理温度が所定の範囲を上回ってしまう不具合が生じることを防止することができる。このため、徐冷部において、加熱した熱現像記録材料の温度を確実に低下させることができるようになる。
【0011】
上記熱現像装置は、熱現像部には、熱現像記録材料の搬送方向に対して現像部の前に、現像部の処理温度に比べて低い処理温度で熱現像記録材料を予熱する予熱部が設けられ、熱現像記録材料の搬送方向の予熱部と現像部との間に、隔壁部が形成され、該隔壁部の開口を遮蔽するように遮蔽部材が設けられていることが好ましい。こうすれば、熱現像装置は、現像部において熱現像記録材料を現像する前に、予熱部において熱現像記録材料の温度を予め所定の温度まで上げておくことによって、現像部において必要十分な処理温度と処理時間で熱現像を施すことができ、現像むらの発生を防止することができる。また、現像部と予熱部と間の開口を遮蔽する遮蔽部材を設けることで、予熱部の空気が開口を通過して現像部に流れ込み、現像部の処理温度が所定の範囲を下回ってしまうことを防止できる。また、現像部の空気が開口を通過して予熱部に流れ込み予熱部の処理温度が所定の温度の範囲を上回ってしまうことを防止できる。このため、予熱部において、熱現像記録材料を適正な温度で加熱することができるとともに、現像部と予熱部の処理温度を所定の範囲に確実に維持することができる。
【0012】
上記熱現像装置は、熱現像記録材料が搬送されている位置を検出する位置検出手段を備え、位置検出手段によって出力された検出信号に応じて、開口を開閉するように遮蔽部材を駆動する遮蔽部材駆動部が設けられていることが好ましい。こうすれば、熱現像時に、熱現像記録材料の位置を位置検出手段で検出し、この位置に応じて、遮蔽部材を駆動し、開口を遮蔽状態又は開放状態とに切り換えるように制御できる。
【0013】
上記熱現像装置は、熱現像記録材料を複数収容保持させるカセットトレイを備え、カセットトレイの蓋の開閉動作を検出し、遮蔽部材駆動部に検出信号を出力する検出部が設けられていることが好ましい。こうすれば、カセットトレイの蓋の開閉に基づいて、熱現像記録材料の搬送が開始されたと認識し、熱現像部の各処理部の処理温度の維持する制御を開始するトリガとすることができる。ここで、カセットトレイは、熱現像前に使用者によって装置に装填される手差し式の挿入トレイであってもよく、複数の熱現像記録材料を収容保持するように装填されている構成であって、熱現像時に熱現像記録材料を処理部側へ搬送するものであってもよい。
【0014】
上記熱現像装置は、熱現像記録材料を露光して潜像を形成する画像露光部を備え、画像露光部が熱現像記録材料の位置を検出し、遮蔽部材駆動部に検出信号を出力することが好ましい。こうすれば、熱現像装置は画像露光部で熱現像記録材料に露光を行うとともに、その熱現像記録材料の位置を検出信号として、各処理部の遮蔽部材駆動部に出力することができる。遮蔽部材駆動部は、この検出信号に応じて、適切なタイミングで遮蔽部材を駆動させ、開口の遮蔽状態及び開放状態を切り換えることができる。このため、複数の熱現像記録材料を現像処理する場合でも、各処理部の処理温度を所定の温度範囲に維持でき、また、熱現像記録材料の搬送と遮蔽部材の制御を効率良く同期させることで、円滑に現像処理を行うことができる。
【0015】
上記熱現像装置は、遮蔽部材が、搬送される熱現像記録材料に接触することで変位し、該熱現像記録材料が開口を通過することを許容することが好ましい。ここで、変位とは、遮蔽部材の位置が熱現像記録材料との接触により位置が変化すること、及び、遮蔽部材が弾性変形可能な材料から構成されている場合には、熱現像記録材料との接触により、熱現像記録材料が開口を通過可能な状態となるように、変形することを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、熱現像記録材料の現像むらを防止するとともに、熱現像部の温度を所定の温度範囲で確実に維持することができる熱現像装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
本発明の熱現像装置で使用される画像記録材料としては、湿式の現像処理を必要としないシート状の熱現像記録材料(以下、記録材料ともいう。)であって、画像露光部において記録材料に入力される画像信号に基づいて変調されたレーザ光を照射されて潜像を形成された後に、熱現像部において熱現像されることで記録材料表面に可視像を得るものである。なお、本発明は熱現像装置は画像露光部を備えた構成(このような構成の熱現像装置を熱現像記録装置ともいう。)に限らず、レーザ光によってシート状の記録材料に予め露光して画像を形成するとともに、記録材料に熱現像のみを行う構成であってもよい。
【0018】
図1は、本発明にかかる熱現像装置の第1実施形態の構成を示す図である。本実施形態の熱現像装置10は、装置本体1を有し、装置本体1にカセットトレイTを装填するためのトレイ挿入部2が形成されている。カセットトレイTは、複数の記録材料Fを収容保持可能な遮光性材料からなる収容体であり、図示しないが、カセットトレイTには記録材料Fが感光することを防止するための開閉可能な蓋が設けられている。本実施形態のカセットトレイTは、使用者が装置本体1のトレイ挿入部2に挿し込まれる手差し型のものとした。
【0019】
熱現像装置10には、記録材料Fの搬送方向に対して順に、カセットトレイTから記録材料Fを一枚づつ取り出して搬送方向へ搬出する枚葉機構8と、記録材料Fに熱現像を施す熱現像部3と、搬出ローラ4から搬出された記録材料Fを載せる搬出トレイ5とが備えられている。本実施形態の熱現像装置10は、画像露光部を備えていない構成であり、予め別の露光装置で潜像が形成されて記録材料を熱現像することで、画像を形成するものである。
【0020】
トレイ挿入部2の近傍には、熱現像時に、カセットトレイTの蓋を開閉するトレイ蓋開閉部7が設けられている。
【0021】
熱現像部3には、搬送される記録材料Fに熱現像を行う熱現像装置30が設けられ、搬送方向上流側には、現像処理装置30に記録材料Fを搬入する搬入ローラ対6aが設けられている。また、特に説明はしないが、記録材料Fの搬送経路に沿って、該記録材料Fの搬送に供するガイドローラ,パスローラや、搬送される記録材料Fの位置規制に供するガイド部が適宜設けられていてもよい。
【0022】
図2は、本実施形態の熱現像装置における熱現像部の構成を説明する図である。現像処理装置30は、中空の筐体状部材であって、その内部に、複数(本実施形態では3つ)の処理部30A,30B,30Cが互いに連通するように記録材料Fの搬送方向に並べられた構成である。
【0023】
本実施形態では、複数の処理部30A,30B,30Cは、記録材料Fの搬送方向に順に、予熱部30A、現像部30B、徐冷部30Cである。
予熱部30Aは、内部の空気が、図示しないヒータ等の加熱手段によって50℃から100℃の所定の温度範囲に維持され、現像部30Bで熱現像する処理温度に比べて低い温度で記録材料Fを予め熱現像することで、現像部30Bにおける急激な加熱を回避している。
【0024】
現像部30Bは、予熱部30Aで予熱された記録材料Fに予熱部30Aより高い処理温度で熱現像を行うものである。現像部30Bは、熱現像直前に100℃から150℃の所定の温度範囲に維持されるように、図示しないヒータ等の加熱手段によって保温されている。
【0025】
徐冷部30Cは、現像部30Bで熱現像された記録材料Fが現像処理装置の外に搬出された際に急激に冷却されることに起因して記録材料Fに変形等の欠陥が生じることを防止するため、記録材料Fの温度を緩やかに低減させる。徐冷部30Cは、10℃から100℃の所定の温度範囲に維持される。
【0026】
また、記録材料Fの搬送方向(図2中一点鎖線の矢印で示す方向)において、現像処理装置30の外側と予熱部30Aとの間、予熱部30Aと現像部30Bとの間、現像部30Bと徐冷部30Cとの間、及び、徐冷部30Cと現像処理装置30の外側との間には、隔壁部31,32,33,34がそれぞれ設けられている。各隔壁部31,32,33,34には、それぞれスリット状の開口31a,32a,33a,34aが設けられている。また、予熱部30Aと現像部30Bと徐冷部30Cとの内部には、記録材料Fの搬送を支持する搬送ローラなどの搬送部材37a,37b,37cが設けられている。また、徐冷部30Cには、記録材料Fの搬送経路を挟んで互いに対向するように配置された一対の搬送ガイド板38が設けられている。
【0027】
本実施形態において、現像処理装置30の各隔壁部31,32,33,34には、それぞれの開口31a,32a,33a,34aを遮蔽可能な遮蔽部材35a,35b,35c,35dがそれぞれ設けられている。
【0028】
遮蔽部材35a,35b,35c,35dが、それぞれの遮蔽する開口31a,32a,33a,34aの直前に搬送されてきた記録材料Fを検出する位置検出手段36a,36b,36c,36dによって出力された検出信号に応じて、開口31a,32a,33a,34aが開放状態となるように駆動制御される構成とすることが好ましい。遮蔽部材35a,35b,35c,35dは、図示しないアクチュエータなどの遮蔽部材駆動部よって駆動される構成とすることができる。
【0029】
次に、本実施形態の現像処理装置30において記録材料Fに熱現像を行う手順を説明する。
熱現像開始直後は、現像処理装置30における各処理部30A,30B,30Cが所定の処理温度に迅速に到達するように、それぞれの遮蔽部材35a,35b,35c,35dが各開口31a,32a,33a,34aを遮蔽した状態に配置されていることが好ましい。こうすることで、熱現像装置の起動から記録材料Fの搬送開始までの時間を短くすることができ、熱現像装置の総運転時間を短縮することができる。また、各処理部30A,30B,30Cの加熱中に、空気が他の処理部や現像処理装置30の外部に流れ出ることなく、消費電力の増加を抑制することができる。
【0030】
潜像が形成された記録材料Fが、搬送方向上流側から搬送されてきて、開口31aの近傍に位置した際に、位置検出手段36aによって検知される。位置検出手段36aは、検出信号を遮蔽部材駆動部に出力し、該遮蔽部材駆動部によって遮蔽部材35aが駆動され、開口31aが開放状態なる。そして、記録材料Fが現像処理装置30の隔壁31の開口31aから予熱部30Aに搬入される。このとき、位置検出手段36aによって記録材料Fの通過を検出し、遮蔽部材駆動部に検出信号を出力して遮蔽部材35aを駆動し、開口31aを速やかに遮蔽状態とすることが好ましい。
【0031】
予熱部30Aにおいて、記録材料Fが搬送部材37aによって搬送されつつ、予熱部Aの内部の空気によって加熱される。記録材料Fが、予熱部30Aの隔壁部32の開口32a近傍に到達すると、位置検出手段36bによって検出され、開口32aが開放状態となるように遮蔽部材35bが駆動される。その後、記録材料Fが開口32aを通って、現像部30B内に搬入される。このとき、位置検出手段36bによって記録材料Fの通過を検出し、遮蔽部材駆動部に検出信号を出力して遮蔽部材35bを駆動し、開口32aを速やかに遮蔽状態とすることが好ましい。
【0032】
現像部30Bにおいて、記録材料Fが搬送部材37bによって搬送されつつ、現像部Bの内部の空気によって加熱現像される。記録材料Fが、現像部30Bの隔壁部33の開口33a近傍に到達すると、位置検出手段36cによって検出され、開口33aが開放状態となるように遮蔽部材35cが駆動される。その後、記録材料Fが開口33aを通って、徐冷部30C内に搬入される。このとき、位置検出手段36cによって記録材料Fの通過を検出し、遮蔽部材駆動部に検出信号を出力して遮蔽部材35cを駆動し、開口33aを速やかに遮蔽状態とすることが好ましい。
【0033】
徐冷部30Cにおいて、記録材料Fが搬送部材37cによって搬送されつつ、徐冷部Bの内部の空気と接触することで、緩やかに徐冷される。記録材料Fが、現像部30Cの隔壁部34の開口34a近傍に到達すると、位置検出手段36dによって検出され、開口34aが開放状態となるように遮蔽部材35dが駆動される。その後、記録材料Fが開口34aを通って、現像処理装置30の外へ搬出される。このとき、位置検出手段36dによって記録材料Fの通過を検出し、遮蔽部材駆動部に検出信号を出力して遮蔽部材35dを駆動し、開口34aを速やかに遮蔽状態とすることが好ましい。
【0034】
上述のように、本発明にかかる熱現像装置10は、熱現像部3に形成された複数の処理部30A,30B,30Cが、それぞれ隔壁部31,32,33,34によって区画されており、熱現像時には搬送方向に沿って搬送される熱現像記録材料Fが各処理部30A,30B,30C同士の間の開口31a,32a,33a,34aを通過しつつ、各処理部30A,30B,30Cに順々に搬送される構成である。また、開口31a,32a,33a,34aには遮蔽部材35a,35b,35c,35dが設けられている。遮蔽部材35a,35b,35c,35dは、現像処理装置30の外側から気流が開口31a,34aを介して各処理部30A,30B,30Cに流れ込むことを防止し、また、各処理部30A,30B,30C内の所定の温度範囲に調整された空気が、他の隣接する処理部30A,30B,30Cへ開口32a,33aを介して流れ出てしまうことを防止する。このように、本発明にかかる熱現像装置10は、処理部30A,30B,30Cを区画する開口31a,32a,33a,34aに遮蔽部材35a,35b,35c,35dを設けた構成であるため、各処理部30A,30B,30Cの密閉性を十分に確保でき、熱現像部3の外側の気流や他の処理部からの空気の流入によって各処理部30A,30B,30Cの温度が低下することを防ぐことができる。これにより各処理部30A,30B,30Cを所定の温度範囲に維持するのに必要となるヒータ等の加熱手段運転時間の短縮化と消費電力の低減を図ることができる。
【0035】
本実施形態において、現像処理装置30の隔壁部34を設けず、徐冷部30Cが該現像処理装置30の外側に開放された構成としてもよい。また、現像処理装置30の隔壁部31を設けず、予熱部30Aが該現像処理装置30の外側に開放された構成としてもよい。本実施形態の熱現像装置10においては、少なくとも現像部30Bと徐冷部30Cとの間に隔壁部33が設けられ、この隔壁部33の開口33aを遮蔽できるように駆動する遮蔽部材35cが設けられていることが好ましい。このような熱現像装置10は、現像部30Bにおいて記録材料Fを現像した後、徐冷部30Cにおいて記録材料Fの温度を緩やかに低下させることができ、現像むらの発生を防止することができ、また、開口33aを遮蔽部材35cによって遮蔽することで、現像部30Bの空気が開口33aを通過して徐冷部30Cに流れ込み、徐冷部30Cの処理温度が所定の温度範囲を上回ってしまう不具合が生じることを防止することができる。このため、徐冷部30Cにおいて、加熱した記録材料Fの温度を確実に低下させることができるようになる。
【0036】
また、本実施形態の熱現像装置10において、予熱部30Aと現像部30Bとの間に、隔壁部32が形成され、該隔壁部32の開口32aを遮蔽するように遮蔽部材35bが設けられていることが好ましい。こうすれば、熱現像装置10は、現像処理装置30の現像部30Bにおいて記録材料Fを現像する前に、予熱部30Aにおいて記録材料Fの温度を予め所定の温度まで上げておくことによって、現像部30Bにおいて必要十分な処理温度と処理時間で熱現像を施すことができ、現像むらの発生を防止することができるとともに効率良く熱現像を行うことができる。また、現像部30Bと予熱部30Aと間の開口32aを遮蔽する遮蔽部材35bを設けることで、予熱部30Aの空気が開口32aを通過して現像部30Bに流れ込み、現像部30Bの処理温度が所定の温度範囲を下回ってしまうことを防止できる。また、現像部30Bの空気が開口32aを通過して予熱部30Aに流れ込み、予熱部30Aの処理温度が所定の温度範囲を上回ってしまうことを防止できる。このため、予熱部30Aにおいて、記録材料Fを適正な温度で加熱することができるとともに、現像部30Bと予熱部30Aの処理温度を所定の温度範囲に確実に維持することができる。
【0037】
次に、本発明にかかる熱現像装置の位置検出手段について説明する。図3は、位置検出手段の一例を示す図である。なお、図3においては、図2の現像処理装置の現像部30Bにおける位置検出手段36cを用いて説明するが、他の位置検出手段36a,36b,36dについても同様である。
【0038】
図3に示すように、位置検出手段36cは、接触子s1を備えている。そして、位置検出手段36cを記録材料Fの搬送経路近傍に配置し、接触子s1が搬送されてくる記録材料Fと接触可能に設けられている。接触子s1は、記録材料Fと接触すると、図3中の拡大図で示すように、記録材料Fに押されて変位する。すると、位置検出手段36cが接触子s1の変位を検知し、記録材料Fの通過を認識し、検出信号を遮蔽部材駆動部37に出力する。遮蔽部材駆動部37は、検出信号に基づいて、遮蔽部材35cを駆動し、開口33aを開放状態にする。このとき、記録材料Fが位置検出手段36cの近傍を通過した後、接触子s1が記録材料Fから離間してもとの位置に戻るとともに検出信号を遮蔽部材駆動部に出力して、遮蔽部材35cを駆動し、開口33aを遮蔽状態としてもよい。
【0039】
位置検出手段としては、図3に示す接触子s1を有する接触型の構成に限定されず、フォトセンサなどによって記録材料Fの接近及び通過を検出する非接触型の構成としてもよい。
【0040】
また、熱現像装置10は、熱現像の条件を予め入力することで、適宜なタイミングで遮蔽部材を開閉動作するように制御可能とすることで、位置検出手段を適宜設けない構成としてもよい。
【0041】
図4は、位置検出手段を設けずに遮蔽部材を駆動する制御系の一例を説明するブロック図である。
図1及び図4に示すように、熱現像装置10に演算部40を設け、遮蔽部材駆動部37と電気的に接続された構成とすることができる。このとき、熱現像工程の行う前に、演算部40に、搬送経路の長さ(搬送パス長)と記録材料Fに熱現像を施すのにかかる処理速度を予め入力する。そして、演算部40によって、搬送パス長及び処理速度に基づいて遮蔽部材駆動部37を駆動して遮蔽部材35a(35b,35c,35d)を開閉するタイミングを算出する。熱現像時に記録材料Fを搬送させるとともに、算出されたタイミングで遮蔽部材駆動部37に検出信号を出力し、遮蔽部材駆動部37を駆動させ、開口31a(32a,33a,34a)を開放状態及び遮蔽状態に適宜切り換える。こうすれば、位置検出手段を各処理部30A,30B,30Cに設ける必要がない。
【0042】
図5は、位置検出手段を設けずに遮蔽部材を駆動する制御系の他の例を説明するブロック図である。
図1及び図5に示すように、カセットトレイTの蓋を開閉するトレイ蓋開閉部7が遮蔽部材駆動部37に検出信号を出力してもよい。すなわち、熱現像時に、カセットトレイTの蓋をトレイ蓋開閉部7によって開閉駆動させるとともに、該トレイ蓋開閉部7から遮蔽部材駆動部37に検出信号を出力させる構成とすることができる。遮蔽部材駆動部37は、検出信号に応じて遮蔽部材35a(35b,35c,35d)を駆動し、開口31a(32a,33a,34a)を開放状態及び遮蔽状態に適宜切り換える。
【0043】
こうすれば、カセットトレイTの蓋の開閉に基づいて、記録材料Fの搬送が開始されたと認識し、熱現像部3の各処理部30A,30B,30Cの処理温度の維持する制御を開始するトリガとすることができる。ここで、カセットトレイTは、熱現像前に使用者によって装置に装填される手差し式の挿入トレイであってもよく、複数の記録材料Fを収容保持するように装填されている構成であって、熱現像時に記録材料Fを処理部側へ搬送するものであってもよい。
【0044】
遮蔽部材35a,35b,35c,35dは、剛体からなるものであってもよく、弾性体であってもよい。
図6(a),(b)は、弾性体からなる遮蔽部材38の一例を示す図である。図6(a)に示すように、遮蔽部材38は、隔壁部33の開口33aを遮蔽するように取り付けられ、少なくとも一部が隔壁部33に固定されていない状態で当接している。そして、図6(b)に示すように、熱現像時に記録材料Fが搬送されてきた場合に、遮蔽部材38が記録材料Fと当接することで弾性変形されるとともに、記録材料Fが開口33aを通過することを許容する。記録材料Fが開口33aを通過した後、遮蔽部材38が記録材料Fから離間することで、弾性力によってもとの開口33aを遮蔽する位置に復元する。なお、遮蔽部材を構成する弾性材料としては、例えば、ゴム、独立気泡のスポンジを使用することができる。
【0045】
図6(b)のように、遮蔽部材38と記録材料Fとが直接接触する構成の場合には、遮蔽部材38において、記録材料Fに接触する側の面の表面粗さRaを0.8以下とすることが好ましい。
また、遮蔽部材38の表面をフッ素系材料でコーティングすることが好ましい。
さらに、記録材料Fの表面にキズがつくことを防止するため、その表面の動摩擦抵抗を0.4以下とすることが好ましい。
【0046】
図7は、遮蔽部材の他の構成を示す図である。
図7に示すように、隔壁部33の開口33aを遮蔽するように、ブラシ状からなる遮蔽部材71が設けられていてもよい。遮蔽部材71の毛状繊維は、記録材料Fに押圧されることで適宜変形し、且つ、記録材料Fから離間することでもとの状態に戻るように所定の弾性力を有している。
【0047】
図8は、遮蔽部材の他の構成を示す図である。図8に示すように、隔壁部33の開口33aを遮蔽するように、上方遮蔽部72aと下方遮蔽部72bとが、開口33aの上下に一対に設けられてなる遮蔽部材72が設けられていてもよい。上方遮蔽部72aと下方遮蔽部72bとはともに弾性材料から構成され、搬送される記録材料Fに当接することで、適宜弾性変形して記録材料Fの通過を許容するとともに、記録材料Fから離間することで、開口33aを遮蔽する位置に復元する。
【0048】
なお、遮蔽部材は弾性変形しないものであって、隔壁部に一部をヒンジなどで固定し、記録材料Fとの接触により変形することなく、その位置が変化するものであってもよい。
【0049】
このように遮蔽部材が搬送される熱現像記録材料に接触することで変位する構成とすれば、位置検出手段や検出信号に基づく制御が不要になるため、熱現像装置の構成が複雑になることを回避できる。ここで、変位とは、遮蔽部材の位置が熱現像記録材料との接触により位置が変化すること、及び、遮蔽部材が弾性変形可能な材料から構成されている場合には、熱現像記録材料との接触により、熱現像記録材料が開口を通過可能な状態となるように、変形することを含む。
【0050】
図9は、本発明にかかる熱現像装置の第2実施形態の構成を示す図である。
熱現像装置100は、記録材料Fの搬送方向順に、熱現像記録材料供給部Aと、画像露光部Bと、予熱部Pと、現像部Cと、徐冷部Dとから概略構成されている。また、各部間の要所に設けられ記録材料Fを搬送するための搬送手段と、各部を駆動し制御する電源/制御部Eとを備えている。
予熱部Pと、現像部Cと、徐冷部Dとは、現像処理装置60に収容されている。
【0051】
熱現像装置100において、最下段に電源/制御部E、その上段に熱現像記録材料供給部A、更に、その上段に画像露光部Bと熱現像部Cと徐冷部Dとが配置された構成となっており、また、画像露光部Bと熱現像部Cとが予熱部Pを介して配置された構成である。
【0052】
この構成によれば、一枚の記録材料Fに対して露光工程と熱現像工程との両工程を同一の搬送経路において実施することができるとともに、露光工程と熱現像工程を短い搬送距離内で行うことで、記録材料Fの搬送パス長を最短化し、一枚の出力時間を短縮することができる。
【0053】
記録材料Fとしては、厚みが約0.2mm程度(0.1mm〜0.3mm)の熱現像感光材料または感光感熱記録材料を使用することができる。熱現像感光材料としては、レーザ光Lによって画像を記録(露光)し、その後、熱現像して発色させるものである。また、感光感熱記録材料としては、光ビームによって画像を記録し、その後、熱現像して発色させる、若しくは、レーザ光Lのヒートモード(熱)によって画像を記録すると同時に発色させて、その後、光照射で定着するものである。
【0054】
熱現像記録材料供給部Aは、記録材料Fを一枚ずつ取り出して、記録材料Fの搬送方向の下流に位置する画像露光部Bに供給する部分であり、複数(本実施形態においては2つ)の装填部11a,11bと、各装填部11a,11bにそれぞれ配置される供給ローラ対13a,13bと、不図示の搬送ローラ及び搬送ガイドとを有して構成される。また、二段構成となっている各装填部11a,11bの内部には、異なるサイズの記録材料Fが収容されたマガジン15a,15bが挿入され、各段に装填されたマガジン15a,15bが記録材料Fのサイズやその向きに応じて選択的に使用される。なお、装填部は、二段構成に限定されず、三段以上の構成としてもよく、単一の構成としてもよい。
【0055】
画像露光部Bは、熱現像記録材料供給部Aから搬送されてきた記録材料Fに対してレーザ光Lを主走査方向に走査露光し、また、主走査方向に略直行する副走査方向(即ち、搬送方向)に搬送することで、所望の画像に応じた潜像を記録材料F表面における画像形成層に形成する。
【0056】
熱現像部Cは、走査露光後の記録材料Fを搬送しながら昇温処理して、熱現像を行う。そして、冷却部Dにおいて現像処理後の記録材料Fを冷却して、排出トレイ16に搬出する。
【0057】
図1に示すように、排出トレイ16には、搬出された記録材料Fを保持するソータSが設けられていれもよい。ソータSは、熱現像装置10に着脱可能な本体65と、該本体65に設けられた複数の搬出ローラ66a,66b,66cと、該複数の搬出ローラ66a,66b,66cによって本体65から搬出された記録材料Fを保持するため、本体65の上下方向に仕切られた複数の供給部67a,67b,67cとを備えている。ソータSは、搬出ローラ66a,66b,66cのうちいずれかを選択して記録材料Fを搬出させることで、該搬出ローラ66a,66b,66cに対応する供給部67a,67b,67cのそれぞれに適宜仕分けて保持可能な構成である。なお、熱現像装置10は、ソータSを該熱現像装置10の上部に着脱自在な構成とすることができ、必要に応じて省略し、記録材料Fを排出トレイ16にのみ搬出する構成としてもよい。
【0058】
熱現像記録材料供給部Aと画像露光部Bとの間の搬送路には、幅寄せ機構17が設けられており、熱現像記録材料供給部Aから搬入されてきた記録材料Fを、その幅方向端部を揃えた状態で画像露光部Bへ供給している。
【0059】
画像露光部Bは、レーザ光を走査露光することによって記録材料Fを露光する走査露光装置41を備えている。この走査露光装置41は、記録材料Fの搬送面からのばたつきを防止しつつ搬送するばたつき防止機構を有した副走査搬送部18と、走査露光部19とから構成されている。走査露光部19は、別途用意された画像データに従ってレーザの出力を制御しつつ、このレーザ光Lを走査(主走査)させる。このとき熱現像記録材料Fを副走査搬送部18によって副走査方向に移動させる。
【0060】
副走査搬送部18は、走査するレーザ光Lの主走査ラインを挟んで、回転軸がこの走査ラインに対してそれぞれ略平行に配置された2本の駆動ローラ(搬送手段)21、22と、これら駆動ローラ21、22に対向して配置され、記録材料Fを支持するガイド板24とを備えている。ガイド板24は、各駆動ローラ21、22との間に挿入される記録材料Fを、並設されたこれら駆動ローラ21、22同士間の外側で駆動ローラ21、22の周面の一部に沿って撓ませていることで生じる該記録材料Fの弾性反発力によって、駆動ローラ21、22同士間の部位に当接せしめて支持する。
【0061】
このように熱現像記録材料F自身の弾性反発力によって記録材料Fと駆動ローラ21、22との間に適宜な摩擦力が生じ、駆動ローラ21、22から記録材料Fへ確実に搬送駆動力が伝達され、記録材料Fが搬送される。駆動ローラ21、22は、図示しないモータ等の駆動手段の駆動力を歯車やベルト等の伝達手段を介して受けることで、図9中時計回り方向へ回転するように構成されている。
【0062】
また、ガイド板24の上面において、記録材料Fが自身の弾性反発力によって押し付けられて、記録材料Fの搬送面からのばたつき、即ち、図中上下方向のばたつきが抑制される。そして、この駆動ローラ21、22同士間の記録材料Fに向けてレーザ光Lを照射することで、露光位置ずれのない良好な記録が行えることになる。画像露光部Bで露光された後、現像処理装置60の予熱部Pに搬送される。
【0063】
図10は、本実施形態の熱現像装置の現像処理装置の構成を説明する図である。図10に示すように、予熱部P、現像部Cには、記録材料Fを加熱処理する加熱部材として、記録材料Fの搬送方向に沿って並ぶ複数(本実施形態では3つ)のヒートプレート51a,51b,51cが設けられ、これらヒートプレート51a,51b,51cが搬送経路に沿って円弧状に配置されている。ヒートプレート51a,51b,51cは、搬送される熱現像記録材料Fに接触することによって熱現像を施す加熱手段として機能する。
【0064】
また、ヒートプレート51a,51b,51cに対して搬送経路を挟んで、複数の押さえローラ55が配置されている。押さえローラ55はそれぞれ、その軸方向端部に被駆動部となる歯車部55aが設けられ、該歯車部55aが中空円筒状の駆動歯車52の周面の歯と係合している。駆動歯車52には駆動軸52aを介して図示しない駆動源に連結され、駆動歯車52の矢印R1方向の回転に従動して回転駆動される。
【0065】
予熱部Pは、ヒートプレート51aによって、現像部Cで熱現像する処理温度に比べて低い温度で記録材料Fを予め熱現像することで、現像部Cにおいて記録材料Fが急激に加熱されることを回避している。予熱部Pは、内部の空気が、ヒートプレート51aの熱によって50℃から100℃の所定の温度範囲に維持されている。
【0066】
現像部Cは、予熱部Pで予熱された記録材料Fをヒートプレート51bによって現像部Pより高い処理温度で熱現像を行うものである。現像部Cは、熱現像直前に100℃から150℃の所定の温度範囲に維持されている。
【0067】
徐冷部Dは、現像部Cで熱現像された記録材料Fが現像処理装置の外に搬出された際に急激に冷却されることに起因して記録材料Fに変形等の欠陥が生じることを防止するため、記録材料Fの温度を緩やかに低減させる。徐冷部Dは、10℃から100℃の所定の温度範囲に維持される。
【0068】
予熱部Pは隔壁部81、82に、現像部Cは隔壁部82、83によって、徐冷部Dは、隔壁部83、84によって、隣接する処理部又は空間から仕切られている。各隔壁部81、82、83、84には、搬送される記録材料Fを通過させるための開口81a,82a,83a,84aが形成されている。
【0069】
開口81a,82a,83a,84aには、それぞれ遮蔽部材85a,85b,85c,85dが設けられ、記録材料Fの搬送位置に応じて、開口81a,82a,83a,84aを遮蔽状態と開放状態とに切り換えるように駆動制御される。
【0070】
各隔壁部81,82,83,84に対し、搬送方向上流側近傍には、搬送されてくる記録材料Fの位置を検出し、位置検出信号を出力する位置検出手段86a,86b,86c,86dがそれぞれ設けられている。位置検出手段86a,86b,86c,86dは、記録材料Fを検出すると、検出信号を遮蔽部材駆動部に出力し、遮蔽部材駆動部によって遮蔽部材85a,85b,85c,85dを駆動制御させる。
【0071】
本実施形態の熱現像装置100において、遮蔽部材85a,85b,85c,85dは、剛体のものを用いてもよく、または、上記実施形態の熱現像装置10と同様に、図6から8に示すような弾性を有する部材を使用してもよい。
【0072】
本実施形態の熱現像装置100は、現像処理装置60に形成された予熱部P、現像部C、徐冷部Dが、それぞれ隔壁部81,82,83,84によって区画されており、熱現像時には搬送方向に沿って搬送される記録材料Fが各処理部P,C,D同士の間の開口81a,82a,83a,84aを通過しつつ、各処理部P,C,Dに順々に搬送される構成である。また、開口81a,82a,83a,84aには遮蔽部材85a,85b,85c,85dが設けられている。遮蔽部材85a,85b,85c,85dは、現像処理装置60の外側から気流が開口を介して各処理部に流れ込むことを防止し、また、各処理部P,C,D内の所定の温度に調整された空気が、他の隣接する処理部へ開口を介して流れ出てしまうことを防止する。このように、本発明の熱現像装置100は、予熱部P,現像部C,徐冷部Dの密閉性を十分に確保でき、現像処理装置60の外側の気流や他の処理部からの空気の流入によって処理部を所定の温度範囲に確実に維持することができる。そして、各処理部P,C,Dの温度が低下することを防ぐことができることにより、所定の温度範囲に維持するのに必要となるヒータ等の運転時間の短縮化と消費電力の低減を図ることができる。
【0073】
徐冷部Dから搬出された記録材料Fは、搬送経路を介して対向する平面を有する一対の金属プレート61の該平面に接触するように搬送される。そして、該金属プレート61によって記録材料Fの熱が吸収され、シワが発生しないように、かつ、湾曲ぐせがつかないように適宜に冷却される。冷却部Dから排出された記録材料Fは、搬送ローラ64から下流側の搬出ローラ63に搬送し、搬出ローラ63(又は、66a,66b,66c)から排出トレイ16(又はソータSの各供給部67a,67b,67c)に搬出される。
【0074】
本実施形態の熱現像装置100において、画像露光部によって記録材料Fの位置を検出し、この検出信号に基づいて、各処理部P,C,Dに設けられた遮蔽部材を駆動制御する構成とすることができる。
【0075】
図11は、本実施形態の熱現像装置における遮蔽部材の制御系を示すブロック図である。図10及び11に示すように、画像露光部Bで記録材料Fに露光を行うとともに、該画像露光部Bが記録材料Fの位置情報を含む位置検出信号を演算部90に出力する構成とすることができる。このとき、演算部90は、位置検出信号に基づいて、遮蔽部材駆動部91が遮蔽部材85a,85b,85c,85dを駆動するタイミングを算出する。そして、熱現像時に、遮蔽部材駆動部91が演算部90から得た演算値に基づいて遮蔽部材85a,85b,85c,85dを駆動制御する。
【0076】
このように、本実施形態の熱現像装置100は画像露光部Bで記録材料Fに露光を行うとともに、その記録材料Fの位置を検出信号として、各処理部P,C,Dの遮蔽部材駆動部91に出力することができる。遮蔽部材駆動部91は、この検出信号に応じて、適切なタイミングで遮蔽部材85a,85b,85c,85dを駆動させ、開口81a,82a,83a,84aの遮蔽状態及び開放状態を切り換えることができる。このため、複数の記録材料Fを現像処理する場合でも、予熱部P,現像部C,徐冷部Dの処理温度を所定の温度範囲に維持でき、また、記録材料Fの搬送と遮蔽部材85a,85b,85c,85dの制御を効率良く同期させることで、円滑に現像処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明にかかる熱現像装置の第1実施形態の構成を示す図である。
【図2】本実施形態の熱現像装置における熱現像部の構成を説明する図である。
【図3】本発明にかかる熱現像装置の位置検出手段の一例を示す図である。
【図4】位置検出手段を設けずに遮蔽部材を駆動する制御系の一例を説明するブロック図である。
【図5】位置検出手段を設けずに遮蔽部材を駆動する制御系の他の例を説明するブロック図である。
【図6】弾性体からなる遮蔽部材38の一例を示す図である。
【図7】遮蔽部材の他の構成を示す図である。
【図8】遮蔽部材の他の構成を示す図である。
【図9】本発明にかかる熱現像装置の第2実施形態の構成を示す図である。
【図10】図9の熱現像装置の現像処理装置の構成を説明する図である。
【図11】熱現像装置における遮蔽部材の制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0078】
3 熱現像部
10,100 熱現像装置
35a,35b,35c,35d 遮蔽部材
B 画像露光部
C 現像部
D 徐冷部
F 熱現像記録材料
P 予熱部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像が形成された熱現像記録材料を熱現像部により熱現像する熱現像装置であって、
前記熱現像部には、前記熱現像記録材料の搬送方向に沿って、それぞれ異なる温度範囲に設定された複数の処理部が形成され、前記複数の処理部同士の間には、前記熱現像記録材料が通過する開口を有する隔壁部が形成され、前記開口を遮蔽する遮蔽部材が設けられていることを特徴とする熱現像装置。
【請求項2】
前記熱現像部には、現像部と、前記現像部の処理温度に比べて低い処理温度で前記熱現像記録材料を徐冷する徐冷部とが設けられ、
前記熱現像記録材料の搬送方向の前記現像部と前記徐冷部との間に、前記隔壁部が形成され、該隔壁部の前記開口を遮蔽するように前記遮蔽部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱現像装置。
【請求項3】
前記熱現像部には、前記熱現像記録材料の搬送方向に対して前記現像部の前に、前記現像部の処理温度に比べて低い処理温度で前記熱現像記録材料を予熱する予熱部が設けられ、
前記熱現像記録材料の搬送方向の前記予熱部と前記現像部との間に、前記隔壁部が形成され、該隔壁部の前記開口を遮蔽するように前記遮蔽部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の熱現像装置。
【請求項4】
前記熱現像記録材料が搬送されている位置を検出する位置検出手段を備え、前記位置検出手段によって出力された検出信号に応じて、前記開口を開閉するように前記遮蔽部材を駆動する遮蔽部材駆動部が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の熱現像装置。
【請求項5】
前記熱現像記録材料を複数収容保持させるカセットトレイを備え、前記カセットトレイの蓋の開閉動作を検出し、前記遮蔽部材駆動部に検出信号を出力する検出部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の熱現像装置。
【請求項6】
前記熱現像記録材料を露光して潜像を形成する画像露光部を備え、前記画像露光部が前記熱現像記録材料の位置を検出し、前記遮蔽部材駆動部に検出信号を出力することを特徴とする請求項4に記載の熱現像装置。
【請求項7】
前記遮蔽部材が、搬送される前記熱現像記録材料に接触することで変位し、該熱現像記録材料が前記開口を通過することを許容することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の熱現像装置。
【請求項1】
潜像が形成された熱現像記録材料を熱現像部により熱現像する熱現像装置であって、
前記熱現像部には、前記熱現像記録材料の搬送方向に沿って、それぞれ異なる温度範囲に設定された複数の処理部が形成され、前記複数の処理部同士の間には、前記熱現像記録材料が通過する開口を有する隔壁部が形成され、前記開口を遮蔽する遮蔽部材が設けられていることを特徴とする熱現像装置。
【請求項2】
前記熱現像部には、現像部と、前記現像部の処理温度に比べて低い処理温度で前記熱現像記録材料を徐冷する徐冷部とが設けられ、
前記熱現像記録材料の搬送方向の前記現像部と前記徐冷部との間に、前記隔壁部が形成され、該隔壁部の前記開口を遮蔽するように前記遮蔽部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱現像装置。
【請求項3】
前記熱現像部には、前記熱現像記録材料の搬送方向に対して前記現像部の前に、前記現像部の処理温度に比べて低い処理温度で前記熱現像記録材料を予熱する予熱部が設けられ、
前記熱現像記録材料の搬送方向の前記予熱部と前記現像部との間に、前記隔壁部が形成され、該隔壁部の前記開口を遮蔽するように前記遮蔽部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の熱現像装置。
【請求項4】
前記熱現像記録材料が搬送されている位置を検出する位置検出手段を備え、前記位置検出手段によって出力された検出信号に応じて、前記開口を開閉するように前記遮蔽部材を駆動する遮蔽部材駆動部が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の熱現像装置。
【請求項5】
前記熱現像記録材料を複数収容保持させるカセットトレイを備え、前記カセットトレイの蓋の開閉動作を検出し、前記遮蔽部材駆動部に検出信号を出力する検出部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の熱現像装置。
【請求項6】
前記熱現像記録材料を露光して潜像を形成する画像露光部を備え、前記画像露光部が前記熱現像記録材料の位置を検出し、前記遮蔽部材駆動部に検出信号を出力することを特徴とする請求項4に記載の熱現像装置。
【請求項7】
前記遮蔽部材が、搬送される前記熱現像記録材料に接触することで変位し、該熱現像記録材料が前記開口を通過することを許容することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の熱現像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−243271(P2006−243271A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57663(P2005−57663)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】
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