説明

熱硬化性組成物、そのワニスおよびその熱硬化物

【課題】溶剤可溶性、耐熱性および難燃性に優れる、ベンゾオキサジン系化合物を含有する熱硬化性組成物、そのワニスおよびその熱硬化物の提供。
【解決手段】複数のベンゾオキサジン系化合物を特定の割合で有する混合型ベンゾオキサジン系化合物およびそれらの混合型ベンゾオキサジン系化合物を溶解する有機溶媒とを含有する熱硬化性組成物、およびそのワニスを加熱硬化して得られる熱硬化物。ベンゾオキサジン系組成物、そのワニスまたはその熱硬化物は、積層板、接着剤、封止剤など電子材料に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾオキサジン系化合物を含有する熱硬化性組成物、そのワニスおよびその熱硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンゾオキサジン系化合物は、加熱すると揮発性の副産物を生成することなく硬化する。その上、耐熱性、難燃性、電気特性等に優れるため、積層板や接着剤、封止剤などの電子材料、炭素繊維と複合化させたプリプレグなど、多種多様に用いられている。さらに、フェノール樹脂、エポキシ樹脂に代わる成形材としても注目されている。
【0003】
また、ベンゾオキサジン系化合物は、これまでに数多く報告されているように、フェノール類と、アミン類と、パラホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド水溶液とを原料として、容易に合成することができる(例えば、特許文献1〜3)。
【0004】
しかしながら、耐熱性に優れるベンゾオキサジン系化合物は、その結晶性の高さから、低沸点溶媒に対する溶解性が悪かったり、長期冷温保管した際に析出したりする問題があった。また、多くのベンゾオキサジン系化合物は、アニリンを主原料としているため、硬化時の脱アニリンに起因する耐熱性不足が問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−155234号公報
【特許文献2】特開昭60−177074号公報
【特許文献3】特開昭49−47378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、溶剤可溶性、耐熱性、難燃性等に優れる、ベンゾオキサジン系化合物を含有する熱硬化性組成物、そのワニスおよびその熱硬化物が望まれている。
【0007】
そこで、本発明は、溶剤可溶性、耐熱性および難燃性に優れる、ベンゾオキサジン系化合物を含有する熱硬化性組成物、そのワニスおよびその熱硬化物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を積み重ねた結果、下記式(1)で表される化合物と下記式(2)で表される化合物とを特定の割合で含有すると、溶剤可溶性、耐熱性および難燃性に優れる、ベンゾオキサジン系を含有する熱硬化性組成物、そのワニスおよびその熱硬化物を提供することができることを知得した。
すなわち、本発明は以下に掲げる(1)〜(7)である。
【0009】
(1)下記式(1)で表される化合物30〜70質量%と下記式(2)で表される化合物70〜30質量%とを含有する熱硬化性組成物:
【化1】


ただし、上記式(1)および上記式(2)において、R、R、RおよびRは、相互に同一であっても異なってもよく、それぞれ、−H、−CH、−C(CHおよび下記式(i)で表される基からなる群から化合物分子ごとに独立に選択され、
【化2】


上記式(i)において、Yは、−O−、−CH−および−C(CH−からなる群から選択される。
【0010】
(2)上記熱硬化性組成物中、上記式(1)で表される化合物のRおよびRと上記式(2)で表される化合物のRおよびRとの合計モル数に対する、上記式(1)で表される化合物での上記式(i)で表される基と上記式(2)で表される化合物での上記式(i)で表される基との合計モル数が、1〜50モル%である、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
【0011】
(3)下記式(3)で表される化合物を、上記式(1)で表される化合物と上記式(2)で表される化合物との合計100質量部に対して、0.1〜30質量部さらに含有する、上記(1)または(2)に記載の熱硬化性組成物:
【0012】
【化3】


ただし、上記式(3)において、Xは、−O−、−CH−および−C(CH−からなる群から選択される。
【0013】
(4)上記(1)もしくは(2)に記載の式(1)で表される化合物および式(2)で表される化合物と、式(1)で表される化合物および式(2)で表される化合物を溶解する有機溶媒とを含有する、または上記(3)に記載の式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物および式(3)で表される化合物と、式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物および式(3)で表される化合物を溶解する有機溶媒とを含有するワニス。
【0014】
(5)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱硬化性組成物を熱硬化した熱硬化物。
【0015】
(6)アセトンまたはメチルエチルケトンに対する溶解度が60%以上であり、溶解後は5℃以下で2週間以上保存しても析出物がない、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【0016】
(7)ガラス転移点(Tg)175℃以上250℃未満、5%重量減少温度(Td5%)350℃以上450℃以下、吸水率1.0%以下、かつ難燃性がUL94 V−0〜V−1である、上記(5)に記載の熱硬化物。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、溶剤可溶性、耐熱性および難燃性に優れる、ベンゾオキサジン系組成物、そのワニスおよびその熱硬化物を提供することができる。
本発明のベンゾオキサジン系組成物、そのワニスまたはその熱硬化物は、積層板、接着剤、封止剤など電子材料に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、実施例10について測定した、動的粘弾性(G’)と加熱時間との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[熱硬化性組成物]
本発明は、「下記式(1)で表される化合物30〜70質量%と下記式(2)で表される化合物70〜30質量%とを含有する熱硬化性組成物:
【化4】


上記式(1)および上記式(2)において、R、R、RおよびRは、それぞれ、−H、−CH、−C(CHおよび下記式(i)で表される基からなる群から化合物分子ごとに独立に選択され、
【化5】


上記式(i)において、Yは、−O−、−CH−および−C(CH−からなる群から選択される。」と、そのワニスおよびその熱硬化物である。
【0020】
式(1)で表される化合物について説明する。
上記式(1)で表される化合物は、ベンゾオキサジン系化合物(本発明において、「ベンゾオキサジン環を有する化合物」をいう。)であり、ジアミン類として、4,4´−ジアミノジフェニルエーテルと、フェノール類として、フェノール、p−クレゾール、t−ブチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSおよび/または4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルを原料として、トルエン等の非極性溶媒中で、パラホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド溶液と混合し、ジアミン類:フェノール類:パラホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド=1:2:4.1〜4.5のモル比で反応(例えば、トルエン還流下で)させることによって合成することができる。
【0021】
フェノール類としては、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4´−ビフェノールからなる群から選択される1種類または2種類以上が好ましく、フェノール、ビスフェノールAおよびビスフェノールFからなる群から選択される1種類または2種類がより好ましく、フェノールがさらに好ましい。
【0022】
上記式(1)で表される化合物は、合成に使用するフェノール類が2種類以上のフェノール類からなる混合物である場合には、混合物(組成物)として合成される。
上記式(1)で表される化合物のRおよびRは、合成に使用するフェノール類に依存し、合成される化合物のモル比はフェノール類のモル比に依存する。
例えば、フェノール類として、フェノールおよびビスフェノールFをp:1−p(ただし、0<p<1)のモル比で使用した場合、理想的反応条件の下では、R=R=Hである化合物と、R=H、R=4−ヒドロキシベンジル基またはR=4−ヒドロキシベンジル基、R=Hである化合物と、R=R=4−ヒドロキシベンジル基である化合物とが、p:2p(1−p):(1−p)のモル比で合成されうる。
【0023】
上記式(2)で表される化合物もまた、ベンゾオキサジン系化合物であり、ジアミン類として、4,4´−ジアミノジフェニルメタンと、フェノール類として、フェノール、p−クレゾール、t−ブチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSおよび/または4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルを原料として、トルエン等の非極性溶媒中で、パラホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド溶液と混合し、ジアミン類:フェノール類:パラホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド=1:2:4.1〜4.5のモル比で反応(例えば、トルエン還流下で)させることによって合成することができる。
【0024】
フェノール類としては、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4´−ビフェノールからなる群から選択される1種類または2種類以上が好ましく、フェノール、ビスフェノールAおよびビスフェノールFからなる群から選択される1種類または2種類がより好ましく、フェノールがさらに好ましい。
【0025】
上記式(2)で表される化合物は、合成に使用するフェノール類が2種類以上のフェノール類からなる混合物である場合には、混合物(組成物)として合成される。
上記式(2)で表される化合物のRおよびRは、合成に使用するフェノール類に依存し、合成される化合物のモル比はフェノール類のモル比に依存する。
例えば、フェノール類として、フェノールおよびビスフェノールFをq:1−q(ただし、0<q<1)のモル比で使用した場合、理想的反応条件の下では、R=R=Hである化合物と、R=H、R=4−ヒドロキシベンジル基またはR=4−ヒドロキシベンジル基、R=Hである化合物と、R=R=4−ヒドロキシベンジル基である化合物とが、q:2q(1−q):(1―q)のモル比で合成されうる。
【0026】
、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立であり、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物との間で独立であるだけでなく、式(1)で表される化合物の分子間でも独立、かつ式(2)で表される化合物の分子間でも独立である。
すなわち、式(1)で表される化合物において、ある分子のRとそれと相違する分子のRは独立であり(i=1,2)、式(2)で表される化合物において、ある分子のRとそれと相違する分子のRは独立である(j=3,4)。
このため、本発明の熱硬化性組成物において、式(1)で表される化合物は、式(1)で表現することができる限り、1種類の化合物からなるものであってもよいし、2種類以上の化合物からなる混合物であってもよい。式(2)で表される化合物についても同様である。
【0027】
本発明の熱硬化性組成物は、上記式(1)で表される化合物と、上記式(2)で表される化合物とを、別々に製造し、物理的に混合することによって、および/または最初の段階で所定比率の仕込みにより反応させ化学的に混合しておくことによって、式(1)で表される化合物30〜70質量%と、式(2)で表される化合物70〜30質量%とを含有する組成とすることができる。この組成比の範囲内であると、ワニスの冷温保管性を確保し、熱硬化物のガラス転移温度を高くすることができる。
【0028】
本発明の熱硬化性組成物は、上記のとおり式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物とを含有するものであるが、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物とからなるものであってもよい。また、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物と後記する式(3)で表される化合物とからなる化合物であってもよい。
【0029】
なお、本明細書においては、ベンゾオキサジン系化合物を含有する熱硬化性組成物を、「ベンゾオキサジン系組成物」と記載する場合がある。
【0030】
上記式(1)で表される化合物および/または上記式(2)で表される化合物の合成においては、フェノール類として、フェノール、p−クレゾールおよびt−ブチルフェノールからなる群から選択される1以上の一官能フェノールとビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSおよび4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルからなる群から選択される二官能フェノールとを併用する場合、当該二官能フェノールは全フェノール類の1〜50モル%とすることが好ましく、5〜20モル%とすることがより好ましい。
【0031】
すなわち、熱硬化性組成物中、上記式(1)で表される化合物のRおよびRと上記式(2)で表される化合物のRおよびRとの合計モル数に対する、上記式(1)で表される化合物での上記式(i)で表される基と上記式(2)で表される化合物での上記式(i)で表される基との合計モル数は、1〜50モル%であることが好ましく、5〜20モル%であることがより好ましい。
この範囲内であると、溶剤可溶性がより良好なものとなる。
【0032】
なお、低沸点溶媒への溶解性の観点から、これらの組成の主成分濃度が50%以上であることが望ましい。
【0033】
本発明の熱硬化性組成物は、下記式(3)で表される化合物を、上記式(1)で表される化合物と上記式(2)で表される化合物との合計100質量部に対して、0.1〜30質量部さらに含有することが好ましい。
【化6】


ただし、式(3)において、Xは、−O−、−CH−および−C(CH−からなる群から選択される。
【0034】
上記式(3)で表される化合物は、ベンゾオキサジン系化合物であり、アミン類としてアニリンと、フェノール類としてビスフェノールA、ビスフェノールFおよび/または4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルを原料として、トルエン等の非極性溶媒中で、パラホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド溶液と混合し、アミン類:フェノール類:パラホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド=2:1:4.1〜4.5のモル比で反応(例えば、トルエン還流下で)させることによって合成することができる。
【0035】
フェノール類としては、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4´−ビフェノールからなる群から選択される1種類または2種類以上が好ましく、フェノール、ビスフェノールAおよびビスフェノールFからなる群から選択される1種類または2種類がより好ましく、フェノールがさらに好ましい。
【0036】
上記式(3)で表される化合物は、上記式(1)で表される化合物と上記式(2)で表される化合物との合計100質量部に対して、0.1〜30質量部含有されることが好ましく、5〜10質量部含有されることがより好ましい。この範囲内であると、溶剤への溶解性がより良好となるからである。
【0037】
本発明の熱硬化性組成物は、さらに、硬化促進剤を含有してもよい。
上記硬化促進剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。
【0038】
本発明の熱硬化性組成物の低沸点溶媒に対する溶剤可溶性は、後記する物性の測定方法に記載する方法によって測定することが好ましく、アセトン(沸点:56.5℃)またはメチルエチルケトン(沸点:79.5℃)に対する溶解度が60%以上であることが望ましく、65%以上であることがより望ましい。
なお、本発明においては、常圧下において沸点が150℃以下である有機溶媒を低沸点溶媒という。
【0039】
[ワニス]
本発明のワニスは、上記した式(1)で表される化合物および式(2)で表される化合物と、当該化合物を溶解する有機溶媒とを含有するワニス、または式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物および式(3)で表される化合物と、当該化合物を溶解する有機溶媒とを含有するワニスである。
上記有機溶媒としては、上記化合物を溶解するものであれば特に限定されないが、具体的には、例えば、トルエン、キシレン等の無極性溶媒、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)等の非プロトン性極性溶媒、アルコール類、アルキルアセテート類等が挙げられる。
【0040】
また、本発明のワニスは、さらに、硬化促進剤を含有してもよい。
上記硬化促進剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。
【0041】
本発明のワニスの冷温保管性は、後記する物性の測定方法に記載する方法によって評価することが好ましく、5℃以下で2週間以上保管しても目視で認められる析出物が無い(評価:無)であることが望ましい。
【0042】
なお、本発明の熱硬化性組成物が式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物とからなるものである場合、または式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物とからなる化合物である場合には、本発明のワニスは、当該熱硬化性組成物と当該熱組成物を溶解する有機溶媒とを含有するワニスであってもよい。
【0043】
[熱硬化物]
本発明の熱硬化物は、上記した本発明の熱硬化性組成物を熱硬化させることによって製造されるものである。
熱硬化条件としては、例えば、250℃×3時間、220℃×5時間など、熱硬化性組成物に合わせて適宜設定することができる。
本発明の熱硬化物のガラス転移温度(Tg)は、後記する物性の測定方法に記載する方法によって測定することが好ましく、175℃以上250℃未満であることが望ましい。
本発明の熱硬化物の吸水率は、後記する物性の測定方法に記載する方法によって測定することが好ましく、1.0%以下であることが望ましく、0.5%以下であることがより望ましい。
本発明の熱硬化物の難燃性(UL94)は、後記する物性の測定方法に記載する方法によって測定することが好ましく、UL94で、V−0またはV−1であることが望ましく、V−0であることがより望ましい。
本発明の熱硬化物の5%重量減少温度(Td5%)は、後記する物性の測定方法に記載する方法によって測定することが好ましく、350℃以上450℃以下であることが望ましい。
【0044】
[物性の測定方法]
本発明において、ベンゾオキサジン系化合物またはベンゾオキサジン系組成物の純度(主成分濃度)、熱硬化性組成物の溶剤可溶性、ワニスの冷温保管性、ならびに熱硬化物のガラス転移温度、吸水率、5%重量減少温度、難燃性および硬化速度は、以下の方法によって測定または評価することが好ましい。
《純度(主成分濃度)》
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、キャリアーをテトラヒドロフラン(THF)とし、測定温度40℃、カラムをShodex801、802、802.5、803直列にて測定し、一量体のピークの合算を純度とする(単位:質量%)。
《溶剤可溶性》
ベンゾオキサジン系化合物を混合して調製した熱硬化性組成物をアセトンに徐々に溶解させていき、溶解しなくなった点を溶解度とする(単位:%)。
溶解度60%以上のものが合格である。
《冷温保管性》
ベンゾオキサジン環を含む熱硬化性組成物を固形分で60質量%のアセトン溶液を調整し、5℃以下の冷蔵庫に1ヶ月程度の間保管し、目視で認められる析出物の有無を評価する(評価:有/無)。
析出物が「無」のものが合格である。
《ガラス転移温度(Tg)》
熱硬化性組成物を250℃×3時間加熱して熱硬化し、熱硬化物を調製する。
この熱硬化物を、示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度20℃/分の条件で加熱し、比熱の変化点によりガラス転移温度を求める(単位:℃)。
ガラス転移温度175℃以上のものが合格である。
《吸水率》
熱硬化物を24時間水中に浸漬し、浸漬前後の質量増加率を吸水率とする(単位:%)。
吸水率0.6%以下のものが合格である。
《5%重量減少温度(Td5%)》
熱硬化物を、島津製作所製DTG−60を用いて、空気雰囲気中、昇温速度10℃/分の条件で加熱し、5%重量減少時の温度を5%重量減少温度とする(単位:℃)。Td5%は耐熱性の指標であり、この温度が高いほど耐熱性が高い。
本温度が375℃以上のものが合格である。
《難燃性(UL94)》
難燃性(UL94)は、熱硬化物を短冊状の試験片に成形し、垂直に支持し、下端にバーナー炎をあてて10秒間保ち、その後バーナー炎を試験片から離し、炎が消えれば直ちにバーナー炎をさらに10秒間あてたのちバーナー炎を離し、1回目と2回目の接炎終了後の有炎燃焼持続時間、2回目の接炎終了後の有炎燃焼持続時間および無炎燃焼持続時間の合計、5本の試験片の有炎燃焼時間の合計、ならびに燃焼滴下物(ドリップ)の有無で以下のように判定をする。
1回目、2回目ともにV−0は10秒以内、V−1とV−2は30秒以内に有炎燃焼を終えること。さらに、2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼時間の合計が、V−0は30秒以内、V−1とV−2は60秒以内で消えること。さらに、5本の試験片の有炎燃焼時間の合計が、V−0は50秒以内、V−1とV−2は250秒以内であること。また、燃焼落下物はV−2のみに許容されること。なお、すべての試験片は燃え尽きてはならない。
《硬化速度》
熱硬化物を、日本シイベルヘグナー(株)製粘弾性測定装置PHYSICA MCR300を用いて、測定温度180℃および200℃、周波数1Hz、ひずみ1%で、動的粘弾性(G’)の測定を行なった。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
[合成例]
〈合成例A〉O−P型ベンゾオキサジン系化合物の合成
4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(以下「4,4´−ODA」という。)、フェノールおよび92%パラホルムアルデヒドを、それぞれ、1:2:4.1のモル比で、トルエン中で反応させた。トルエンを留去した後、化合物A(以下「O−P型」という。)を得た。GPCによる純度測定では純度65%であった。
【化7】

【0047】
〈合成例B〉D−P型ベンゾオキサジン系化合物の合成
4,4´−ジアミノジフェニルメタン(以下「4,4´−MDA」という。)、フェノールおよび92%パラホルムアルデヒドを、ぞれぞれ、1:2:4.1のモル比で、トルエン中で反応させた。トルエンを留去した後、化合物B(以下「D−P型」という。)を得た。GPCによる純度測定では純度60%であった。
【化8】

【0048】
〈合成例C1〉ビスフェノールA変性ベンゾオキサジンン系組成物の合成
4,4´−ODA、フェノール、ビスフェノールA(以下「BisA」という。)および92%パラホルムアルデヒドを、それぞれ、1:1.8:0.1:4.1のモル比で、トルエン中で反応させた。トルエンを留去した後、組成物C1(以下「O−PB型」という。)を得た。GPCによる純度測定では純度60%であった。
【化9】

【0049】
〈合成例C2〉
4,4´−ODAを4,4´−MDAに変えた以外は、合成例C1と同様に反応させて、組成物C2(以下「D−PB型」という。)を得た。GPCによる純度測定では純度50%であった。
【化10】

【0050】
〈合成例D〉B−A型ベンゾオキサジン系化合物の合成
アニリン、BisAおよび92%パラホルムアルデヒドを、それぞれ、1:2:4.1のモル比で、トルエン中で反応させた。トルエンを留去した後、化合物D(以下「B−A型」という。)を得た。GPCによる純度測定では純度85%であった。
【化11】

【0051】
〈合成例E〉混合型ベンゾオキサジン系組成物の合成
4,4´−ODAと4,4´−MDAとを同モル混合し、ジアミン混合体を調製する。このジアミン混合体、フェノールおよびパラホルムアルデヒドを、それぞれ、1:2:4.1のモル比で、トルエン中で反応させた。トルエンを留去した後、組成物Eを得た。GPCによる純度測定では純度55%であった。
【化12】

【0052】
〈合成例F〉変性フェノールを用いたO−C型ベンゾオキサジン系化合物の合成
4,4´−ODA、p−クレゾールおよび92%パラホルムアルデヒドを、それぞれ、1:2:4.1のモル比で、トルエン中で反応させた。トルエンを留去した後、化合物F(以下「O−C型」という。)を得た。GPCによる純度測定では純度75%であった。
【化13】

【0053】
〈合成例G〉O−TB型ベンゾオキサジン系化合物の合成
p−クレゾールをt−ブチルフェノールに変えた以外は、合成例Fと同様に反応させて、化合物G(以下「O−TB型」という。)を得た。GPCによる純度測定では純度45%であった。
【化14】

【0054】
〈合成例C3〉ビスフェノールA変性ベンゾオキサジンン系組成物の合成
4,4´−ODA、フェノール、BisAおよび92%パラホルムアルデヒドを、それぞれ、1:1.0:0.5:4.1のモル比で、トルエン中で反応させた。トルエンを留去した後、組成物C3(以下「O−PBH型」という。)を得た。GPCによる純度測定では純度30%であった。
【化15】

【0055】
〈合成例H〉オキシジフェノール変性ベンゾオキサジンン系組成物の合成
4,4´−ODA、フェノール、4,4’−オキシジフェノール、および92%パラホルムアルデヒドを、それぞれ、1:1.8:0.1:4.1のモル比で、トルエン中で反応させた。トルエンを留去した後、組成物H(以下「O−PO型」という。)を得た。GPCによる純度測定では純度50%であった。
【化16】

【0056】
〈合成例I〉ビスフェノールF変性ベンゾオキサジンン系組成物の合成
4,4´−ODA、フェノール、ビスフェノールF、および92%パラホルムアルデヒドを、それぞれ、1:1.8:0.1:4.1のモル比で、
トルエン中で反応させた。トルエンを留去した後、組成物I(以下「O−PBF型」という。)を得た。GPCによる純度測定では純度45%であった。
【化17】

【0057】
[実施例・比較例]
〈実施例1〉
O−P型とD−P型とを50:50の質量比で混合し、軟化温度付近の加熱によって溶融混合して、熱硬化性組成物を調製した。
この熱硬化性組成物の溶剤可溶性は、調製した熱硬化性組成物をアセトンに徐々に溶解させていき、溶解しなくなった点を溶解度[%]として溶剤可溶性を求めた。
次に、この熱硬化性組成物をアセトンに溶解し、固形分で60質量%のワニスを調製した。
このワニスの冷温保管性は、調製したワニスを5℃以下の冷蔵庫に2週間保管し、析出物の有無を評価[有/無]した。
また、この熱硬化性組成物を250℃×3時間の加熱によって熱硬化させ、熱硬化物のガラス転移温度(Tg)[℃]、吸水率[%]、難燃性(UL94)、および5%重量減少温度(Td5%)[℃]を、前述の方法に従って測定または評価した。
以上の結果は、第1表に示す。
【0058】
〈実施例2〉
O−P型とD−P型との混合比率を60:40の質量比とした他は、実施例1と同様の工程によって、熱硬化性組成物、ワニスおよび熱硬化物を調製し、熱硬化性組成物の溶剤可溶性と、ワニスの冷温保管性と、熱硬化物のガラス転移温度、吸水率、難燃性および5%重量減少温度とを測定または評価した。これらの結果は、第1表に示す。
【0059】
〈実施例3〉
O−P型とD−P型との混合比率を40:60の質量比とした他は、実施例1と同様の工程によって、熱硬化性組成物、ワニスおよび熱硬化物を調製し、熱硬化性組成物の溶剤可溶性と、ワニスの冷温保管性と、熱硬化物のガラス転移温度、吸水率、難燃性および5%重量減少温度とを測定または評価した。これらの結果は、第1表に示す。
【0060】
〈実施例4〉
O−P型とD−PB型とを混合し、その混合比率を50:50の質量比とした他は、実施例1と同様の工程によって、熱硬化性組成物、ワニスおよび熱硬化物を調製し、熱硬化性組成物の溶剤可溶性と、ワニスの冷温保管性と、熱硬化物のガラス転移温度、吸水率、難燃性および5%重量減少温度とを測定または評価した。これらの結果は、第1表に示す。
【0061】
〈実施例5〉
O−P型とD−P型とB−A型とを混合し、その混合比率を45:45:10の質量比とした他は、実施例1と同様の工程によって、熱硬化性組成物、ワニスおよび熱硬化物を調製し、熱硬化性組成物の溶剤可溶性と、ワニスの冷温保管性と、熱硬化物のガラス転移温度、吸水率、難燃性および5%重量減少温度とを測定または評価した。これらの結果は、第1表に示す。
【0062】
〈実施例6〉
O−P型とD−P型との混合比率を50:50の質量比で混合し、さらにこの混合物に1−メチルイミダゾールを0.1%/固形分添加し、実施例1と同様の工程によって、熱硬化性組成物、ワニスおよび熱硬化物を調製し、熱硬化性組成物の溶剤可溶性と、ワニスの冷温保管性と、熱硬化物のガラス転移温度、吸水率、難燃性および5%重量減少温度とを測定または評価した。これらの結果は、第1表に示す。
【0063】
〈実施例7〉
D−P型とO−PB型とを混合し、その混合比率を50:50の質量比とした他は、実施例1と同様の工程によって、熱硬化性組成物、ワニスおよび熱硬化物を調製し、熱硬化性組成物の溶剤可溶性と、ワニスの冷温保管性と、熱硬化物のガラス転移温度、吸水率、難燃性および5%重量減少温度とを測定または評価した。
以上の結果は、第1表に示す。
【0064】
〈実施例8〉
組成物Eについて、実施例1と同様の工程によって、熱硬化性組成物、ワニスおよび熱硬化物を調製し、熱硬化性組成物の溶剤可溶性と、ワニスの冷温保管性と、熱硬化物のガラス転移温度、吸水率、難燃性および5%重量減少温度とを測定または評価した。これらの結果は、第1表に示す。
【0065】
〈実施例9〉
O−P型とD−PB型とB−A型とを混合し、その混合比率を40:50:10の質量比とした他は、実施例1と同様の工程によって、熱硬化性組成物、ワニスおよび熱硬化物を調製し、熱硬化性組成物の溶剤可溶性と、ワニスの冷温保管性と、熱硬化物のガラス転移温度、吸水率、難燃性および5%重量減少温度とを測定または評価した。これらの結果は、第1表に示す。
【0066】
〈実施例10〉
O−P型とD−P型とを混合し、その混合比率を50:50の質量比とした他は、実施例1と同様の工程によって、熱硬化性組成物(本実施例において「無添加組成物」という。)、ワニスおよび熱硬化物を調製した。
熱硬化性組成物の溶剤可溶性と、ワニスの冷温保管性と、熱硬化物のガラス転移温度、吸水率、難燃性および5%重量減少温度とを測定または評価した。これらの結果は、第1表に示す。
さらに、この組成物に、2−メチルイミダゾールを0.5%/固形分添加した熱硬化性組成物(本実施例において「添加組成物」という。)を調製した。
上記のとおり調製した無添加組成物および添加組成物について、レオメータ(日本シイベルヘグナー(株)製粘弾性測定装置PHYSICA MCR300)を用いて、180℃および200℃での動的粘弾性(G’)の測定を行なった。硬化終点は、無添加組成物が45分であったのに対し、硬化組成物では15分であった。図1に、2−メチルイミダゾール添加時および無添加時の硬化挙動を示す。
【0067】
〈実施例11〉
D−P型とO−C型とを混合し、その混合比率を60:40の質量比とした他は、実施例1と同様の工程によって、熱硬化性組成物、ワニスおよび熱硬化物を調製し、熱硬化性組成物の溶剤可溶性と、ワニスの冷温保管性と、熱硬化物のガラス転移温度、吸水率、難燃性および5%重量減少温度とを測定または評価した。これらの結果は、第1表に示す。
【0068】
〈実施例12〉
D−P型とO−TB型とを混合し、その混合比率を60:40の質量比とした他は、実施例1と同様の工程によって、熱硬化性組成物、ワニスおよび熱硬化物を調製し、熱硬化性組成物の溶剤可溶性と、ワニスの冷温保管性と、熱硬化物のガラス転移温度、吸水率、難燃性および5%重量減少温度とを測定または評価した。これらの結果は、第1表に示す。
【0069】
〈実施例13〉
D−P型とO−PBH型とを混合し、その混合比率を40:60の質量比とした他は、実施例1と同様の工程によって、熱硬化性組成物、ワニスおよび熱硬化物を調製し、熱硬化性組成物の溶剤可溶性と、ワニスの冷温保管性と、熱硬化物のガラス転移温度、吸水率、難燃性および5%重量減少温度とを測定または評価した。これらの結果は、第1表に示す。
【0070】
〈実施例14〉
D−P型とO−PO型とを混合し、その混合比率を40:60の質量比とした他は、実施例1と同様の工程によって、熱硬化性組成物、ワニスおよび熱硬化物を調製し、熱硬化性組成物の溶剤可溶性と、ワニスの冷温保管性と、熱硬化物のガラス転移温度、吸水率、難燃性および5%重量減少温度とを測定または評価した。これらの結果は、第1表に示す。
【0071】
〈実施例15〉
D−P型とO−PBF型とを混合し、その混合比率を40:60の質量比とした他は、実施例1と同様の工程によって、熱硬化性組成物、ワニスおよび熱硬化物を調製し、熱硬化性組成物の溶剤可溶性と、ワニスの冷温保管性と、熱硬化物のガラス転移温度、吸水率、難燃性および5%重量減少温度とを測定または評価した。これらの結果は、第1表に示す。
【0072】
〈比較例1〉
O−P型単独にした以外は、実施例1と同様の工程で組成物を調製し、物性の確認をした。これらの結果は、第1表に示す。
【0073】
〈比較例2〉
D−P型単独にした以外は、実施例1と同様の工程で組成物を調製し、物性の確認をした。これらの結果は、第1表に示す。
【0074】
〈比較例3〉
D−PB型単独にした以外は、実施例1と同様の工程で組成物を調製し、物性の確認をした。これらの結果は、第1表に示す。
【0075】
〈比較例4〉
O−PB型単独にした以外は、実施例1と同様の工程で組成物を調製し、物性の確認をした。これらの結果は、第1表に示す。
【0076】
〈比較例5〉
O−P型とD−P型との混合比率を80:20の質量比とした以外は、実施例1と同様の工程で組成物を調製し、物性の確認をした。これらの結果は、第1表に示す。
【0077】
〈比較例6〉
O−P型とD−P型の混合比率を20:80の質量比とした以外は、実施例1と同様の工程で組成物を調製し、物性の確認をした。これらの結果は、第1表に示す。
【0078】
〈比較例7〉
O−C型単独にした以外は、実施例1と同様の工程で組成物を調製し、物性の確認をした。これらの結果は、第1表に示す。
【0079】
〈比較例8〉
O−TB型単独にした以外は、実施例1と同様の工程で組成物を調製し、物性の確認をした。これらの結果は、第1表に示す。
【0080】
〈比較例9〉
O−PBH型単独にした以外は、実施例1と同様の工程で組成物を調製し、物性の確認をした。これらの結果は、第1表に示す。
【0081】
〈比較例10〉
O−PO型単独にした以外は、実施例1と同様の工程で組成物を調製し、物性の確認をした。これらの結果は、第1表に示す。
【0082】
〈比較例11〉
O−PBF型単独にした以外は、実施例1と同様の工程で組成物を調製し、物性の確認をした。これらの結果は、第1表に示す。
【0083】
〈比較例12〉
O−P型とD−PB型とB−A型とを混合し、その混合比率を20:20:60の質量比とした以外は、実施例1と同様の工程で組成物を調製し、物性の確認をした。これらの結果は、第1表に示す。
【0084】
〈比較例13〉
B−A型単独にした以外は、実施例1と同様の工程で組成物を調製し、物性の確認をした。これらの結果は、第1表に示す。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
[結果の説明]
〈実施例1〜15〉
熱硬化性組成物の低沸点溶媒(アセトン)に対する溶剤可溶性、ワニスの冷温保管性、ならびに熱硬化物のガラス転移温度、吸水率(吸水による強度低下の指標)、難燃性および5%重量減少温度(耐熱性の指標)のいずれもが合格であり、要求性能を満たした。
【0088】
《実施例10》
また、図1に示すグラフは、実施例10での、動的粘弾性(G’)と加熱時間との関係を表すグラフである。
エポキシ樹脂を代替するためには、硬化条件が180℃で30分以内であることが好ましいが、硬化促進剤(2−メチルイミダゾール)を0.5%/固形分添加したものは、180℃および200℃のいずれについても、30分以内に硬化し、添加しないものに比べて半分以上の短縮となっている。
【0089】
〈比較例1〜13〉
比較例2〜4、6〜9および11の熱硬化性組成物は、低沸点溶媒(アセトン)に対する溶剤可溶性が不合格であり、要求性能を満たさなかった。
比較例1〜12のワニスは、冷温保管性が不合格であり、要求性能を満たさなかった。
比較例13の熱硬化物は、ガラス転移温度、吸水率および5%重量減少温度が不合格であり、要求性能を満たさなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物30〜70質量%と、下記式(2)で表される化合物70〜30質量%とを含有する熱硬化性組成物:
【化1】


式(1)および式(2)において、R、R、RおよびRは、相互に同一であっても異なってもよく、それぞれ、−H、−CH、−C(CHおよび下記式(i)で表される基からなる群から化合物分子ごとに独立に選択され、
【化2】


式(i)において、Yは、−O−、−CH−および−C(CH−からなる群から選択される。
【請求項2】
前記熱硬化性組成物中、前記式(1)で表される化合物のRおよびRと前記式(2)で表される化合物のRおよびRとの合計モル数に対する、前記式(1)で表される化合物での前記式(i)で表される基と前記式(2)で表される化合物での前記式(i)で表される基との合計モル数が、1〜50モル%である、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
【請求項3】
下記式(3)で表される化合物を、前記式(1)で表される化合物と前記式(2)で表される化合物との合計100質量部に対して、0.1〜30質量部さらに含有する、請求項1または2に記載の熱硬化性組成物:
【化3】


式(3)において、Xは、−O−、−CH−および−C(CH−からなる群から選択される。
【請求項4】
請求項1もしくは2に記載の式(1)で表される化合物および式(2)で表される化合物と、式(1)で表される化合物および式(2)で表される化合物を溶解する有機溶媒とを含有する、または請求項3に記載の式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物および式(3)で表される化合物と、式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物および式(3)で表される化合物を溶解する有機溶媒とを含有するワニス。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性組成物を熱硬化した熱硬化物。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−107196(P2012−107196A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170088(P2011−170088)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(591067794)JFEケミカル株式会社 (220)
【Fターム(参考)】