説明

熱設備

【課題】 簡単な構成により熱設備の廃熱を回収して燃焼用空気の加熱に利用するとともに、ボイラ室内の温度を抑制することである。
【解決手段】 送風機1により燃焼用空気を燃焼用空気経路2を介してバーナ3へ供給するボイラ4と、熱を放出する機器5とをボイラ室6内へ配設した熱設備であって、前記燃焼用空気経路2に配置される凝縮器14,前記ボイラ室6内に配置される蒸発器15および圧縮機16を有するヒートポンプ装置13を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボイラやその他の熱を放出する機器をボイラ室内に配置した熱設備に関する。
【背景技術】
【0002】
熱設備の廃熱をヒートポンプで汲み上げてボイラの燃焼用空気へ熱回収する廃熱回収技術は、特許文献1,特許文献2などで知られている。
【0003】
特許文献1の廃熱回収技術は、蒸気タービンの軸受け冷却設備や復水器冷却水系統等、エネルギー供給設備の廃熱を熱源とするヒートポンプを備え、このヒートポンプが汲み上げた熱を熱媒流体として直接的にまたは間接的にボイラ燃焼用空気へ熱回収するボイラ燃焼用空気加温用熱交換器を設けたものである。
【0004】
この特許文献1の廃熱回収技術は、熱設備の廃熱をヒートポンプで汲み上げるための吸熱源水循環系統(38)とヒートポンプで汲み上げた廃熱を燃焼用空気加温用熱交換器へ供給するための熱媒体循環系統(47)を必要とする。そして、複数の設備から廃熱を回収するには、各設備に対して吸熱源水循環系統(38)を設ける必要がある。その結果、廃熱回収のための構成が複雑となる課題がある。
【0005】
また、特許文献2の廃熱回収技術は、ボイラの燃焼排ガスの廃熱を吸熱部(蒸発器)(20)で汲み上げて、放熱部(凝縮器)(21)で燃焼用空気を加熱するものである。
【0006】
この特許文献2の廃熱回収技術は、吸熱部(21)を排ガス通路に設けているために、吸熱部(21)を構成する熱交換器を耐高温性で、耐腐食性のものとする必要があり、一般家庭で用いられるヒートポンプの熱交換器を使用することができない。
【0007】
また、特許文献1,2ともに、熱設備室内の温度上昇を抑制するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−205188号公報
【特許文献2】実開平3−96549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明が解決しようとする課題は、簡単な構成により熱設備の廃熱を回収して燃焼用空気の加熱に利用するとともに、ボイラ室内の温度を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、送風機により燃焼用空気を燃焼用空気経路を介してバーナへ供給するボイラと、熱を放出する機器とをボイラ室内へ配設した熱設備であって、前記燃焼用空気経路に配置される凝縮器,前記ボイラ室内に配置される蒸発器および圧縮機を有するヒートポンプ装置を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、前記蒸発器は、前記ボイラ室内の空気を熱源としているので、前記蒸発器を前記ボイラ室内に配置するだけで、前記ボイラ室内の全ての機器か
らの放熱を回収して燃焼用空気を加熱することができ、簡単な構成により熱設備の廃熱を回収して燃焼用空気の加熱に利用することができるとともに、前記ボイラ室内の温度上昇を抑制することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記蒸発器および前記凝縮器は、フィン付き銅チューブから構成されることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加えて、一般家庭に用いられているヒートポンプの仕様を大幅に変更することなく使用することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、簡単な構成により熱設備の廃熱を回収して燃焼用空気の加熱に利用するとともに、ボイラ室内の温度を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施例1の熱設備の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、この発明の実施の形態の熱設備を図1に基づき説明する。この熱設備は、送風機1により燃焼用空気を燃焼用空気経路2を介してバーナ3へ供給するボイラ4と、熱を放出する放熱機器5とをボイラ室6内へ配設している。
【0017】
送風機1は、モータ7により駆動される。送風機1とバーナ3との間の燃焼用空気経路2には、燃料弁8を備える燃料供給管9によりガス燃料が供給されるガス噴出管10を備えている。こうして、バーナ3は予混合バーナとして構成されている。ボイラ4は、水管(図示省略)を有する燃焼室(図示省略)を備えた缶体11を備えており、バーナ3は、燃焼室に面して配置される。缶体11に接続される燃焼排気経路12は、その先端12Aがボイラ室6外となるように形成される。
【0018】
ボイラ室6には、ボイラ4と、熱を放出する空気圧縮機などの放熱機器5が配設され、ボイラ室6が閉空間として構成されている。このため、条件にもよるが、ボイラ4と放熱機器5からの放熱により、夏季には、35℃〜40℃程度の高温になることがある。その結果、ボイラ室6内でのメンテナンスなどの作業環境が悪くなる。
【0019】
この実施の形態の熱設備の特徴とするところは、ボイラ室6内にヒートポンプ装置13を備えるところにある。このヒートポンプ装置13は、送風機1とガス噴出管10との間の燃焼用空気経路2に配置される凝縮器14と、ボイラ室6内に配置される蒸発器15と、圧縮機16と、膨張弁やキャピラリーチューブなどの減圧器17とを含んで構成されている。
【0020】
このヒートポンプ装置13は、基本的には、家庭用エアコンの仕様を用いて製作されている。凝縮器14および蒸発器15は、家庭用エアコンで常用されているフィン付き銅チューブ製の熱交換器としており、安価に製作することができる。これを可能としているのは、凝縮器14および蒸発器15には、ボイラ室6内の大気が供給されることによる。蒸発器15は、家庭用ヒートポンプエアコンの室外機と同等のものを転用可能である。凝縮器14は、燃焼用空気経路(ダクト)2内に収まるように、構造を変更する必要があるが、材質的な仕様は、家庭用ヒートポンプエアコンの室内機の熱交換器と同様のものとしている。
【0021】
ボイラ4のモータ7,燃料弁8などは、ボイラ制御用の制御器18により制御される。そして、ヒートポンプ装置13の圧縮機16は、ボイラ4の発停と連動して発停するように、制御器17により制御される。
【0022】
以上の如く構成される実施の形態の熱設備の動作を説明する。ボイラ4および放熱機器5の運転とともに、ボイラ4および放熱機器5の運転に伴い温度上昇するボイラ室6内の空気を熱源として、制御器18により、ヒートポンプ装置13の運転が行われる。ヒートポンプ装置13が運転されると、蒸発器15により、ボイラ室6内の空気から吸熱するので、ボイラ室6内の温度上昇が抑制される。そして、蒸発器15にて回収された熱は、凝縮器14にて燃焼用空気経路2を流通する燃焼用空気に与えられ、ボイラ4での水の加熱に利用される。
【0023】
この発明は、前記の実施の形態に限定されるものではなく、例えば、ボイラ4のバーナ3は、予混合バーナとしているが、油を燃料とする先混合バーナなどの予混合バーナ以外のバーナとすることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 送風機
2 燃焼用空気経路
3 バーナ
4 ボイラ
5 放熱機器(機器)
6 ボイラ室
13 ヒートポンプ装置
14 凝縮器
15 蒸発器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機により燃焼用空気を燃焼用空気経路を介してバーナへ供給するボイラと、熱を放出する機器とをボイラ室内へ配設した熱設備であって、
前記燃焼用空気経路に配置される凝縮器,前記ボイラ室内に配置される蒸発器および圧縮機を有するヒートポンプ装置を備えることを特徴とする熱設備。
【請求項2】
前記蒸発器および前記凝縮器は、フィン付き銅チューブから構成されることを特徴とする請求項1に記載の熱設備。

【図1】
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【公開番号】特開2012−163265(P2012−163265A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24505(P2011−24505)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】