説明

熱転写システムおよび熱転写方法、並びに巻取装置および巻取方法

【課題】インクリボンのインク抜け部分から印字されたID情報が特定されるのを防ぐことができる熱転写システムを提供する。
【解決手段】熱転写システム10は、インクリボン13を送り出す送出部16と、送出部16の下流側に配置された第1転写装置17と、第1転写装置17の下流側に配置され、インク転写済のインクリボン13を巻き取る巻取部21と、巻取部21の近傍に設けられ、巻取部21に巻き取られたインク転写済のインクリボン13を支持層11側から加熱する第2加熱体22と、を備えている。第2加熱体22は、その長手方向が巻取部21の長手方向に対して傾斜するよう配置されている。また第2加熱体22は、外側インクリボン13Aのインク層12のインク12aが第1パターンと異なる第2パターンで内側インクリボン13Bの支持層11に転写されるよう、外側インクリボン13Aを加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持層とインク層とを有するインクリボンを用いて被転写体にインクを転写する熱転写システムおよび熱転写方法に関する。また本発明は、インク転写済のインクリボンを巻き取る巻取装置および巻取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクリボンを用いて、カードなどの被転写体に文字などの像を印字する転写システムが、広く普及している。インクリボンは、帯状に延びるリボン(支持層)と、リボン上に形成され、染料等を含んだインク層と、を有している。インクリボンを用いた印字においては、印字されるべき所望の像に対応したパターンで、インクが被転写体に転写される。この場合、インク転写済のインクリボンには、被転写体への転写によりインクが抜けた部分が、印字された像に対応したパターンで存在している。このため、インク転写済のインクリボンから、印字された像を特定することが可能である。従って、インクリボンを用いて、被転写体にID情報などの秘匿すべき情報を印字する場合、インク転写済のインクリボンの取り扱いに注意が必要となる。
【0003】
このような問題に対応するため、例えば特許文献1において、巻取部に巻き取られた最外周のインクリボンを、最外周のインクリボンの内側に位置するインクリボンに接着させる熱転写システムが提案されている。特許文献1に記載の熱転写システムによれば、巻取部に巻き取られたインク転写済のインクリボンを一体化させることができ、これによって、インク転写済のインクリボンから、印字された像が特定されるのを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−260912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の熱転写システムにおいては、巻取部が、当該巻取部に巻き取られたインク転写済のインクリボンと一体化されると考えられる。このため、巻取部に巻き取られたインク転写済のインクリボンを廃棄する際、巻取部もともに廃棄されることになる。すなわち、巻取部を繰り返し利用することができず、このため、インク転写済のインクリボンを処理するためのコストが高くなってしまう。
【0006】
また、特許文献1に記載の熱転写システムにおいては、巻取部に巻き取られたインク転写済のインクリボンが、内側に位置するインクリボンに接着されるため、いったん巻取部に巻き取られたインクリボンを逆向きに送り出すのは困難である。すなわち、巻取部においては、インクリボンを巻き取る方向における駆動のみが可能となっており、逆方向への駆動(いったん巻き取られたインクリボンを送り出す方向への駆動)が不可能となっていると考えられる。このため、巻取部に巻き取られる前のインクリボンが何らかの障害物にひっかかった場合に、巻取部の駆動方向を逆にすることによってインクリボンの搬送状態を改善することができないと考えられる。このように特許文献1に記載の熱転写システムにおいては、巻取部の駆動方向に関する自由度が低くなっていると考えられる。
【0007】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る熱転写システムおよび熱転写方法、並びに巻取装置および巻取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、支持層とインク層とを有するインクリボンを用いて被転写体にインクを転写する熱転写システムにおいて、前記インクリボンを送り出す送出部と、前記送出部の下流側に配置され、前記インクリボンの支持層側に設けられた第1加熱体を有し、前記インクリボンのインク層のインクを前記被転写体に対して第1パターンで転写する第1転写装置と、前記第1転写装置の下流側に配置され、インク転写済の前記インクリボンを巻き取る巻取部と、前記巻取部の近傍に設けられ、前記巻取部に巻き取られたインク転写済の前記インクリボンに支持層側から当接して前記インクリボンを支持層側から加熱する第2加熱体と、を備え、前記第2加熱体は、その長手方向が前記巻取部の長手方向に対して傾斜するよう配置されており、前記第2加熱体は、インクリボンのインク層のインクが前記第1パターンと異なる第2パターンで当該インクリボンの内側に位置するインクリボンの支持層に転写されるよう、前記インクリボンを加熱することを特徴とする熱転写システムである。
【0009】
本発明による熱転写システムにおいて、前記第2加熱体は、第2加熱体の長手方向に平行に延びる基板と、前記基板の端面に設けられ、第2加熱体の長手方向に平行に並べられた複数の発熱区画を含む発熱体と、を含んでいてもよい。
【0010】
本発明による熱転写システムにおいて、前記第2加熱体の前記基板の前記端面の角部は、丸みを有していてもよい。
【0011】
本発明は、支持層とインク層とを有するインクリボンであって、インク層のインクが被転写体に対して第1パターンで転写されたインク転写済のインクリボンを巻き取る巻取装置において、インク転写済の前記インクリボンを巻き取る巻取部と、前記巻取部の近傍に設けられ、前記巻取部に巻き取られたインク転写済の前記インクリボンに支持層側から当接して前記インクリボンを加熱する巻取側加熱体と、を備え、前記巻取側加熱体は、その長手方向が前記巻取部の長手方向に対して傾斜するよう配置されており、前記巻取側加熱体は、インクリボンのインク層のインクが前記第1パターンと異なる第2パターンで当該インクリボンの内側に位置するインクリボンの支持層に転写されるよう、前記インクリボンを加熱することを特徴とする巻取装置である。
【0012】
本発明による巻取装置において、前記巻取側加熱体は、巻取側加熱体の長手方向に平行に延びる基板と、前記基板の端面に設けられ、巻取側加熱体の長手方向に平行に並べられた複数の発熱区画を含む発熱体と、を含んでいてもよい。
【0013】
本発明による巻取装置において、前記巻取側加熱体の前記基板の前記端面の角部は、丸みを有していてもよい。
【0014】
本発明は、支持層とインク層とを有するインクリボンを用いて被転写体にインクを転写する熱転写方法において、前記インクリボンを送り出す工程と、前記インクリボンのインク層のインクを前記被転写体に対して第1パターンで転写する第1転写工程と、インク転写済の前記インクリボンを巻取部によって巻き取る工程と、前記巻取部に巻き取られたインク転写済の前記インクリボンに支持層側から巻取側加熱体を当接させ、前記巻取側加熱体によって前記インクリボンを支持層側から加熱する第2転写工程と、を備え、前記第2転写工程において、前記巻取側加熱体は、その長手方向が前記巻取部の長手方向に対して傾斜するよう前記インクリボンに当接し、かつ前記巻取側加熱体は、インクリボンのインク層のインクが前記第1パターンと異なる第2パターンで当該インクリボンの内側に位置するインクリボンの支持層に転写されるよう、前記インクリボンを加熱することを特徴とする熱転写方法である。
【0015】
本発明は、支持層とインク層とを有するインクリボンであって、インク層のインクが被転写体に対して第1パターンで転写されたインク転写済のインクリボンを巻き取る巻取方法において、インク転写済の前記インクリボンを巻取部によって巻き取る工程と、前記巻取部に巻き取られたインク転写済の前記インクリボンに支持層側から巻取側加熱体を当接させ、前記巻取側加熱体によって前記インクリボンを支持層側から加熱する工程と、を備え、前記加熱する工程において、前記巻取側加熱体は、その長手方向が前記巻取部の長手方向に対して傾斜するよう前記インクリボンに当接し、かつ前記巻取側加熱体は、インクリボンのインク層のインクが前記第1パターンと異なる第2パターンで当該インクリボンの内側に位置するインクリボンの支持層に転写されるよう、前記インクリボンを加熱することを特徴とする巻取方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、巻取部の近傍に、巻取部に巻き取られたインク転写済のインクリボンに支持層側から当接してインクリボンを支持層側から加熱する第2加熱体が設けられている。この第2加熱体は、その長手方向が巻取部の長手方向に対して傾斜するよう配置されている。このため、巻取部に巻き取られたインク転写済のインクリボンに対して第2加熱体を所望範囲にわたって当接させることができる。また第2加熱体は、インクリボンのインク層のインクが、第1パターンと異なる第2パターンで、当該インクリボンの内側に位置するインクリボンの支持層に転写されるよう、インクリボンを加熱することができる。このことにより、インク転写済のインクリボンから、第1転写装置における第1パターンが特定されるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態における熱転写システムを示す図。
【図2】図2(a)は、本発明の実施の形態において、インク転写済のインクリボンを示す図、図2(b)は、本発明の実施の形態において、インクリボンのインクが第1パターンで転写された被転写体を示す図。
【図3】図3は、図2(a)に示すインク転写済のインクリボンのIII−III線に沿った断面図。
【図4】図4は、図1の熱転写システムの巻取装置を拡大して示す図。
【図5】図5は、図4に示す巻取装置の第2加熱体を示す斜視図。
【図6】図6は、図4に示す巻取装置の第2加熱体を矢印VIで示す方向から見た場合を示す図。
【図7】図7は、巻取部に巻き取られたインク転写済のインクリボンを示す斜視図。
【図8】図8は、巻取部に巻き取られたインク転写済のインクリボンを示す平面図。
【図9】図9(a)〜(d)は、図8に示す巻取部に巻き取られたインク転写済のインクリボンの積層体のIXa−IXa線〜IXd−IXd線に沿った断面図。
【図10】図10は、図6に示す第2加熱体およびインクリボンのX−X線に沿った断面図。
【図11】図11(a)(b)は、本発明の第1の実施の形態において、外側インクリボンのインク層のインクが、内側インクリボンの支持層に第2パターンで転写される様子を示す図。
【図12】図12(a)は、図8(a)(b)に示す転写が実施された後の外側インクリボンのインク層を示す図、図12(b)は、図8(a)(b)に示す転写が実施された後の内側インクリボンの支持層を示す図。
【図13】図13は、巻取部に巻き取られたインク転写済のインクリボンの変形例を示す平面図。
【図14】図14(a)〜(d)は、図13に示す巻取部に巻き取られたインク転写済のインクリボンの積層体のXIVa−XIVa線〜XIVd−XIVd線に沿った断面図。
【図15】図15(a)(b)は、巻取装置の第2加熱体により実施される転写のパターンの変形例を示す図。
【図16】図16(a)は、第2加熱体が巻取部の長手方向に沿って移動可能である例を示す図、図16(b)は、複数の第2加熱体が用いられる例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1の実施の形態
以下、図1乃至図12を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。はじめに図1を参照して、熱転写システム10の全体構造について説明する。
【0019】
熱転写システム
図1に示すように、支持層11とインク層12とを有するインクリボン13を用いて被転写体14に所望パターンでインク12aを転写する熱転写システム10は、矢印Rで示す方向にインクリボン13を送り出す送出部16と、送出部16の下流側に配置された第1転写装置17と、第1転写装置17の下流側に配置され、矢印Rで示す方向にインク転写済のインクリボン13を巻き取る巻取部21と、巻取部21の近傍に設けられた第2加熱体22と、を備えている。図1に示すように、インクリボン13は、複数のガイドロール15に沿って搬送される。ここで、図1に示す巻取部21と第2加熱体22とにより、巻取装置20が構成されている。
【0020】
図1に示すように、第1転写装置17は、被転写体14を支持するプラテンロール19と、インクリボン13および被転写体14を挟んでプラテンロール19と対向するよう設けられた第1加熱体18、例えば印字ヘッドと、を有している。図1に示すように、第1加熱体18は、インクリボン13の支持層11側に設けられている。この第1加熱体18により、インクリボン13のインク層12のインク12aがID情報に対応する所定のパターン(第1パターン)で加熱され、これによって、インクリボン13のインク層12のインク12aが被転写体14に対して第1パターンで転写される。
【0021】
図2(a)は、インク12aが被転写体14に第1パターンで転写された後のインクリボン13をインク層12側から見た場合を示す図であり、図2(b)は、インクリボン13のインク12aが第1パターンで転写された被転写体14を示す図である。図3は、図2(a)に示すインク転写済のインクリボン13のIII−III線に沿った断面図である。図2(a)および図3に示すように、インク転写済のインクリボン13において、インク層12は、被転写体14に転写されずに残留しているインク12aと、被転写体14に印字されたID情報に対応するインク抜け部分12bとからなる。この場合、図2(a)に示すように、インク転写済のインクリボン13におけるインク抜け部分12bのパターンは、上述の第1加熱体18における第1パターンに対応している。このため、インク抜け部分12bのパターンに基づいて、被転写体14に印字されたID情報を特定することが可能となっている。
【0022】
巻取装置
次に図4を参照して、熱転写システム10の巻取装置20について詳細に説明する。巻取装置20は、インク転写済のインクリボン13を巻き取るロール状の巻取部21と、巻取部20の近傍に設けられ、巻取部21に巻き取られたインク転写済のインクリボン13に支持層11側から当接してインクリボン13を支持層11側から加熱する第2加熱体22(巻取側加熱体)22と、を有している。
【0023】
(巻取部)
図4に示すように、本実施の形態の巻取部21においては、インクリボン13の支持層11がインク層12よりも外側に位置するようインクリボン13が巻き取られる。なお図4に示すように、本実施の形態において、巻取部21に巻き取られているインクリボン13のうち最外周に位置するインクリボン13が外側インクリボン13Aと称され、外側インクリボン13Aよりも内側で巻取部21に巻き取られ、外側インクリボン13Aに隣接しているインクリボン13が内側インクリボン13Bと称される。
【0024】
(第2加熱体)
図4に示すように、第2加熱体22は、基板23と、基板23の端面23aに設けられた発熱体24と、を有している。また図4に示すように、発熱体24に電流を流して発熱体24を発熱させるための駆動部25がさらに設けられていてもよい。以下、このような第2加熱体22の構造および配置について、図5および図6を参照して詳細に説明する。図5は、第2加熱体22を示す斜視図であり、図6は、図4の第2加熱体22を矢印Vで示す方向から見た場合を示す図である。なお図5および図6においては、説明の都合上、第2加熱体22の駆動部25が省略されている。
【0025】
はじめに図5を参照して、第2加熱体22の構造について説明する。図5に示すように、第2加熱体22は、第2加熱体22の長手方向Pに平行に延びる基板23と、基板23の端面23aに設けられ、巻取部21に巻き取られたインク転写済のインクリボン13を加熱する発熱体24と、を有している。発熱体24は、図示はしないが、第2加熱体22の長手方向Pに平行に並べられた複数の発熱区画を含んでいる。各発熱区画は、上述の駆動部25によって各々独立に駆動され得るよう構成されている。ここで、各発熱区画の寸法および各発熱区画間の間隔は、後述する第2パターンに求められる解像度に応じて適宜設定されている。このように第2加熱体22は、一般に端面ヘッドと称されるサーマルヘッドから構成されている。好ましくは、発熱体24は、基板23の長手方向の略全域にわたって延びている。
【0026】
好ましくは、図5に示すように、第2加熱体22の基板23の端面23aの角部23bは、丸みを有するよう構成されている。基板23の端面23aの角部23bに丸みを帯びさせることにより、第2加熱体22をインクリボン13に当接させる際、巻取部21に巻き取られたインクリボン13が第2加熱体22によって損傷されたり、第2加熱体22がインクリボン13に引っかかってしまったりすることを防ぐことができる。
【0027】
次に図6を参照して、巻取部21に対する第2加熱体22の配置について説明する。図6に示すように、第2加熱体22は、その長手方向Pが巻取部21の長手方向P(巻取部21の軸線21aの方向)に対して傾斜するよう配置されている。ここで「傾斜」とは、第2加熱体22の長手方向Pと巻取部21の長手方向Pとの間に形成される角度θが、0度より大きく、かつ90度より小さくなっていることを意味している。巻取部21に対して第2加熱体22が配置される際の角度θは、巻取部21の具体的な形態(例えば、巻き取り開始時および巻き取り終了時における巻き径と、インクリボン13の幅との関係など)によって最適な値が異なる。一例を挙げると、巻き取り終了時における巻き径が直径54mmであり、インクリボン13の幅が56mmである場合、角度θは3度程度が適している。
【0028】
次に、上述のように巻取部21に対して第2加熱体22を傾斜させて配置する目的について、図7乃至図9(a)〜(d)を参照して説明する。はじめに図7を参照して、第2加熱体の長手方向Pと巻取部21の長手方向Pとが平行になっている場合に生じる課題について説明する。
【0029】
図7は、巻取部21に巻き取られたインク転写済のインクリボン13を示す斜視図である。図7においては、巻取部21に巻き取られたインクリボン13の積層体の厚みが、巻取部21の端部分に比べて巻取部21の中央部分で小さくなっている例を示している。すなわち図7に示す例においては、巻取部21に巻き取られたインクリボン13の積層体の輪郭が凹状となっている。このように巻取部21に巻き取られたインクリボン13の積層体の輪郭が凹状になることの原因としては、様々なことが考えられるが、例えば、ID情報に対応する第1パターンからなるインク抜け部分12bが、巻取部21の端部分に対応する領域に比べて巻取部21の中央部分に対応する領域に多く存在することが考えられる。
【0030】
また図7においては、凹状の輪郭を有するインクリボン13の積層体に第2加熱体が当接している様子が示されている。ここで図7においては、第2加熱体として、その長手方向Pが巻取部21の長手方向Pに対して平行になっている第2加熱体122が用いられる場合が示されている。この場合、第2加熱体122は、その中央部分がインクリボン13に当接するよりも前に、その端部分がインクリボン13に当接することになる。このため、巻取部21に巻き取られたインクリボン13を第2加熱体122によって所定の圧力で押圧したとしても、第2加熱体122の端部分近傍がインクリボン13に当接するのみであり、第2加熱体122の中央部分をインクリボン13に当接させることができないと考えられる。この結果、第2加熱体122によってインクリボン13を所望のパターンで加熱できないという課題や、第2加熱体122の端部分がインクリボン13にひっかかることによって巻取部21の回転が妨害されるという課題等が生じ得る。
【0031】
次に図8および図9(a)〜(d)を参照して、巻取部21に対して第2加熱体22を傾斜させることにより得られる効果について説明する。図8は、巻取部21に巻き取られたインク転写済のインクリボン13を示す平面図であり、図9(a)〜(d)は、図8に示す巻取部21に巻き取られたインク転写済のインクリボン13の積層体のIXa−IXa線〜IXd−IXd線に沿った断面図である。また図9(a)〜(d)においては、その長手方向Pが図8のIXa−IXa線〜IXd−IXd線と平行となるよう配置された巻取部21が併せて示されている。
【0032】
巻取部21の長手方向Pに平行な線IXa−IXaに沿って巻取部21およびインクリボン13の積層体の断面を見た場合、図9(a)に示すように、インクリボン13の積層体の輪郭が凹状になる。この場合、上述のように、第2加熱体22の端部分近傍のみがインクリボン13に当接している。なお図9(a)において、第2加熱体22の基板23の中央部分と、巻取部21に巻き取られた最外周のインクリボン13との間の間隔が符号sで表されている。
【0033】
一方、切断線を巻取部21の長手方向Pに対して傾斜させていくと、インクリボン13の積層体の輪郭における凹状の程度が徐々に小さくなる。すなわち、第2加熱体22の基板23の中央部分と、巻取部21に巻き取られた最外周のインクリボン13との間の間隔sが、図9(a)に示す場合に比べて小さくなっていく。なぜなら、切断線が巻取部21の軸線21aから離れるにつれて、巻取部21の断面の端部の厚みが小さくなり、この結果、巻取部21の端部近傍に巻き付けられているインクリボン13の最外面の位置が内側(巻取部21側)へ変位するためである。そして、巻取部21の長手方向Pに対する切断線の傾斜が所定の傾斜に設定される場合、例えば図8に示す線IXb−IXbが切断線となる場合、図9(b)に示すように、インクリボン13の積層体のうち第2加熱体22に対向する部分の輪郭がほぼ平坦になる。このため図9(b)に示す例によれば、巻取部21に巻き取られたインクリボン13に対して第2加熱体22を所望範囲にわたって当接させることができる。なお「所望範囲」とは、後述する第2パターンでの転写を実現するために必要とされる、第2加熱体22とインクリボン13との間の接触範囲を意味している。
【0034】
また、巻取部21の長手方向Pに対してさらに傾斜している線IXc−IXcに沿って巻取部21およびインクリボン13の積層体の断面を見た場合、図9(c)に示すように、インクリボン13の積層体の輪郭がわずかに凸状になっており、第2加熱体22の中央部分近傍がインクリボン13に当接している。ところで、一般にインクリボン13は所定の柔軟性や弾性を有する材料から構成されており、このため、インクリボン13が第2加熱体22によって所定の圧力で押圧されると、インクリボン13のうち第2加熱体22の中央部分近傍に当接している部分が巻取部21に向けて押し込まれる。この結果、インクリボン13の積層体の輪郭がわずかに凸状になっている場合であっても、第2加熱体22の中央部分近傍だけでなく第2加熱体22の端部分もインクリボン13に当接させることができる。これによって、巻取部21に巻き取られたインクリボン13に対して第2加熱体22を所望範囲にわたって当接させることができる。
【0035】
なお、巻取部21の長手方向Pに対してさらに傾斜している線に沿って巻取部21およびインクリボン13の積層体の断面を見た場合、例えば、巻取部21の長手方向Pに直交する線IXd−IXdに沿って巻取部21およびインクリボン13の積層体の断面を見た場合、図9(d)に示すように、インクリボン13の積層体の輪郭が凸状になる。この場合、第2加熱体22の中央部分近傍のみがインクリボン13に当接することになる。
【0036】
このように第2加熱体22の長手方向Pを巻取部21の長手方向Pに対して傾斜させることにより、巻取部21に巻き取られたインクリボン13に対して第2加熱体22を所望範囲にわたって当接させることができる。なお、傾斜の程度、すなわち第2加熱体22の長手方向Pと巻取部21の長手方向Pとの間に形成される角度θは、インクリボン13の厚みおよび幅や巻取部21の寸法に依らず一定に定められていてもよい。若しくは、角度θが、インクリボン13の厚みおよび幅や巻取部21の寸法に応じて適宜定められてもよい。この場合、角度θが、巻取部21に巻き取られたインクリボン13の積層体の厚みに応じて調整されてもよい。
【0037】
次に図10を参照して、巻取部21に巻き取られたインク転写済のインクリボン13に第2加熱体22が当接する際の様子について説明する。図10は、図6に示す第2加熱体23およびインクリボン13のX−X線に沿った断面図である。なお、巻取部21にインクリボン13が巻き取られる際、巻き取られたインクリボン13は、実際には巻取部21のロール面に沿って湾曲するが、図10においては、便宜上、湾曲状態を無視してインクリボン13が描かれている。また図10においては、外側インクリボン13Aが第2加熱体22により押圧されて外側インクリボン13Aのインク層12の一部のインク12aが内側インクリボン13Bの支持層11に押し付けられる様子を説明するため、便宜上、外側インクリボン13Aと内側インクリボン13Bとの間に若干の隙間が描かれている。しかしながら、これに限られることはなく、外側インクリボン13Aと内側インクリボン13Bとが全面にわたって隙間無く接していてもよい。
【0038】
図10に示すように、外側インクリボン13Aが第2加熱体22の基板23の端面23aおよび発熱体24の発熱区画24aによって外側(支持層11側)から押圧および加熱されると、外側インクリボン13Aのインク層12に残留しているインク12aの一部が、第2パターンで、内側インクリボン13Bの支持層11上に転写される。なお、発熱体24の温度は、外側インクリボン13Aのインク層12のインク12aが全域にわたって溶融され、これによって外側インクリボン13Aと内側インクリボン13Bとが接着されるという現象が生じない程度に、低く設定されている。
【0039】
ここで、第2加熱体22における第2パターンは、第1加熱体18における第1パターンとは異なるよう設定されている。具体的には、第2加熱体22の発熱体24の各発熱区画24aのうち加熱される発熱区画24aのパターンが、第1加熱体18における加熱パターンとは異なるよう選択されている。このため、外側インクリボン13Aのインク層12に残留しているインク12aの一部を内側インクリボン13Bの支持層11上に転写することにより、外側インクリボン13Aのインク層12における、ID情報に対応する第1パターンからなるインク抜け部分12bのパターンを破壊することができる。このことにより、後に詳細に説明するように、インク抜け部分12bのパターンに基づいて被転写体14に印字されたID情報が特定されるのを防ぐことができる。なお加熱される発熱区画24aのパターンは、巻取部21に対する第2加熱体22の傾斜の程度を考慮した上で決定される。
【0040】
なお、巻取部21においては、巻き取りが進むにつれて、巻取部21により巻き取られているインクリボン13により構成されるロール体の外径が増加していく。このようなロール体の外径の増加に対応するため、第2加熱体22は、第2加熱体22と巻取部21との間の間隔を調整することができる支持機構(図示せず)により移動可能に支持されていてもよい。また、このような支持機構によって第2加熱体22を支持することにより、巻取り駆動が停止されている場合や、第2加熱体22による加熱が不要な場合に、第2加熱体22を巻取部21から遠ざけて、巻取部21に巻き取られているインクリボン13との接触を任意に中止することが可能となる。
【0041】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、熱転写システム10の第1転写装置17により被転写体14にID情報が印字され、その後、インク転写済の外側インクリボン13Aのインク層12のインク12aが、第2加熱体22により第2パターンで内側インクリボン13Bの支持層11上に転写される作用について説明する。
【0042】
まず被転写体14を準備し、次に、被転写体14を第1転写装置17に向けて搬送する。一方、図1に示すように、インクリボン13を、送出部16から第1転写装置17に向けて送り出す。
【0043】
被転写体14が第1転写装置17の第1加熱体18とプラテンロール19との間に到達すると、第1加熱体18がインクリボン13を、ID情報に対応する第1パターンで加熱しながら被転写体14に対して押し付ける。これによって、インクリボン13のインク層12のインク12aが第1パターンで被転写体14上に転写される(第1転写工程)。このことにより、被転写体14上にID情報が印字されるとともに、インクリボン13のインク層12に、ID情報に対応したインク抜け部分12bが形成される。
【0044】
第1転写装置17を経た後のインク転写済のインクリボン13は、巻取装置20の巻取部21により巻き取られる。そして、巻取部21によってインク転写済のインクリボン13が巻き取られている状態において、第2加熱体22により、外側インクリボン13Aが第2パターンで加熱される(第2転写工程)。以下、図11(a)(b)および図12(a)(b)を参照して、外側インクリボン13Aが第2加熱体22により第2パターンで加熱される作用について詳細に説明する。
【0045】
はじめに、図11(a)に示すように、外側(支持層11側)から第2加熱体22を外側インクリボン13Aに当接させる。この際、外側インクリボン13Aを第2加熱体22の発熱区画24aによって外側から加熱する。このため、外側インクリボン13Aのインク層12に残留しているインク12aの一部が、内側インクリボン13Bの支持層11上に対して、加熱されながら押し付けられる。これによって、図11(b)において符号12cにより示すように、外側インクリボン13Aのインク層12に残留しているインク12aの一部が、内側インクリボン13Bの支持層11上に転写される。
【0046】
図12(a)は、第2加熱体22による転写が行われた後の外側インクリボン13Aをインク層12側から見た場合を示す図であり、図12(b)は、第2加熱体22による転写が行われた後の内側インクリボン13Bを支持層11側から見た場合を示す図である。図12(a)に示すように、外側インクリボン13Aのインク層12には、第1転写装置17におけるID情報の印字パターンに基づく第1パターンを有するインク抜け部分12b(1)と、第2加熱体22の各発熱区画24aの加熱パターンに基づく第2パターン26を有するインク抜け部分12b(2)と、が形成されている。図12(a)に示すように、外側インクリボン13Aのインク層12には、第1パターンと第2パターン26とが混在しており、このため、ID情報に対応する第1パターンからなるインク抜け部分12b(1)のパターンが、認識不可能な程度に破壊されている。このことにより、インク抜け部分12bのパターンに基づいて被転写体14に印字されたID情報が特定されるのを防ぐことができる。
【0047】
なお図12(a)に示すように、第2パターン26は、インク抜け部分12bのうち氏名、住所またはID番号などの特に重要なID情報のみを破壊するよう設定されていてもよい。すなわち、巻取部21に対する第2加熱体22の傾斜の程度や配置は、巻取部21に巻き取られたインクリボン13の各領域のうち少なくとも特に重要なID情報に対応するインク抜け部分12bが形成されている領域に第2加熱体22が当接するよう設定されていてもよい。
【0048】
図12(b)に示すように、内側インクリボン13Bの支持層11上には、第2加熱体22によって、外側インクリボン13Aから第2パターン26でインク12cが転写されている。また図12(b)に示すように、このインク12cには、部分的に、外側インクリボン13Aのインク層12の第1パターンからなるインク抜け部分12bに基づくパターンを有するインク抜け部分12dが形成されている。しかしながら、当該インク抜け部分12dは、図12(b)に示すように、第2パターン26と重複する領域において視認されるのみであり、従って、インク抜け部分12dのパターンに基づいて、被転写体14に印字されたID情報が特定されることはない。
【0049】
上述のようにして、巻取装置20の巻取部21により巻き取られたインク転写済のインクリボン13が、第2加熱体22により第2パターンで外側から加熱される。そして、一連のインク転写済のインクリボン13を巻取部21により巻き取るとともに、第2加熱体22により第2パターン26で外側から加熱した後、当該インクリボン13を巻取部21から取り外して廃棄する。この際、巻取部21に巻き取られているインクリボン13の間、例えば外側インクリボン13Aと内側インクリボン13Bとの間には接着処理が施されておらず、このため、インクリボン13を巻取部21から容易に取り外すことができる。従って、巻取部21を繰り返し利用することが可能である。このことにより、巻取部21がインク転写済のインクリボン13とともに廃棄される場合に比べて、インク転写済のインクリボン13を処理するためのコストを低くすることができる。
【0050】
このように本実施の形態によれば、熱転写システム10は、インクリボン13を送り出す送出部16と、送出部16の下流側に配置され、インクリボン13の支持層11側に設けられた第1加熱体18を有し、インクリボン13のインク層12のインク12aを被転写体14に対して第1パターンで転写する第1転写装置17と、第1転写装置17の下流側に配置され、インク転写済のインクリボン13を巻き取る巻取部21と、巻取部21の近傍に設けられ、巻取部21に巻き取られたインク転写済のインクリボン13に支持層11側から当接してインクリボン13を支持層11側から加熱する第2加熱体22と、を備えている。このため、第2加熱体22は、外側インクリボン13Aのインク層12のインク12aが、第1転写装置17における第1パターンと異なる第2パターン26で、外側インクリボン13Aの内側に位置する内側インクリボン13Bの支持層11に転写されるよう、外側インクリボン13Aを加熱することができる。このことにより、インク転写済のインクリボン13から、第1転写装置17における第1パターン、すなわち被転写体14に印字されたID情報が特定されるのを防ぐことができる。
【0051】
また本実施の形態によれば、第2加熱体22は、その長手方向Pが巻取部21の長手方向Pに対して傾斜するよう配置されている。このため、巻取部21に巻き取られたインクリボン13の積層体の輪郭が巻取部21の長手方向Pにおいて凹状となっている場合であっても、インクリボン13に対して第2加熱体22を所望範囲にわたって当接させることができる。このことにより、インク転写済のインクリボン13に形成されているインク抜け部分12bのパターンをより確実に破壊することができる。
【0052】
なお本実施の形態において、巻取部21に巻き取られたインクリボン13の積層体の輪郭が凹状となっている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、巻取部21に巻き取られたインクリボン13の積層体の輪郭が凸状となっている場合であっても、本実施の形態による熱転写システム10および巻取装置20が適用され得る。以下、そのような例について図13および図14(a)〜(d)を参照して説明する。図13は、巻取部21に巻き取られたインク転写済のインクリボン13を示す平面図であり、図14(a)〜(d)は、図13に示す巻取部21に巻き取られたインク転写済のインクリボン13の積層体のXIVa−XIVa線〜XIVd−XIVd線に沿った断面図である。また図14(a)〜(d)においては、その長手方向Pが図14のXIVa−XIVa線〜XIVd−XIVd線と平行となるよう配置された巻取部21が併せて示されている。
【0053】
巻取部21の長手方向Pに平行な線XIVa−XIVaに沿って巻取部21およびインクリボン13の積層体の断面を見た場合、図14(a)に示すように、インクリボン13の積層体の輪郭が凸状になる。この場合、第2加熱体22の中央部分近傍のみがインクリボン13に当接している。
【0054】
一方、巻取部21の長手方向Pに対して第2加熱体22の長手方向Pを傾斜させていくと、図14(b)〜図14(d)に示すように、インクリボン13の積層体の輪郭における凸の程度が、傾斜の程度に応じて変化する。この場合、図14(b)に示される例において、インクリボン13の積層体の輪郭における凸の程度が最も小さくなっている。ところで上述のように、一般にインクリボン13は所定の柔軟性や弾性を有する材料から構成されている。このため図14(b)に示す例によれば、巻取部21に巻き取られたインクリボン13を第2加熱体22によって所定の圧力で押圧することにより、第2加熱体22の中央部分近傍だけでなく第2加熱体22の端部分もインクリボン13に当接させることができる。これによって、巻取部21に巻き取られたインクリボン13に対して第2加熱体22を所望範囲にわたって当接させることができる。このように巻取部21に巻き取られたインクリボン13の積層体の輪郭が凸状となっている場合であっても、巻取部21の長手方向Pに対して第2加熱体22の長手方向Pを傾斜させることにより、インクリボン13に対して第2加熱体22を所望範囲にわたって当接させることができる。
【0055】
また本実施の形態において、第2加熱体22により外側インクリボン13Aのインク層12のインク12aの一部を内側インクリボン13Bの支持層11上に転写する際の第2パターン26が、インクリボン13の搬送方向に平行する方向に延びる複数のラインからなる場合を示した(図12(a)参照)。しかしながら、これに限られることはなく、第2パターン26として、第1転写装置17における第1パターンを適切に破壊することができる任意のパターンを用いることができる。例えば図15(a)に示すように、第2パターン26が、インクリボン13の搬送方向に非平行な方向に延びる複数のラインからなっていてもよい。または図15(b)に示すように、第2パターン26が、インクリボン13上に連続的に並べられた矩形模様からなっていてもよい。
【0056】
また本実施の形態において、第2加熱体22は、巻取部21の長手方向Pに沿って移動可能であってもよい。例えば図16(a)に示すように、破壊されるべき第1パターンを有するインク抜け部分12b(1)の位置が、巻取りが進むにつれて変化する場合を考える。ここで、第2加熱体22によって形成される第2パターンを有するインク抜け部分12b(2)の、巻取部21の長手方向Pにおける範囲は、変化前後のインク抜け部分12b(1)のパターンを全て破壊できる程度には大きくないとする。この場合、図16(a)に示すように、破壊されるべき第1パターンを有するインク抜け部分12b(1)の変化に応じて、巻取部21の長手方向Pに沿って第2加熱体22を移動させることにより、変化前後のインク抜け部分12b(1)のパターンを適切に破壊することができる。また図16(b)に示すように、複数の第2加熱体22が設けられていてもよい。インク抜け部分12b(1)が広域に分布している場合であっても、このように複数の第2加熱体22を用いることによって、インク抜け部分12b(1)のパターンを適切に破壊することができる。
【0057】
また本実施の形態において、インクリボン13が、支持層11とインク層12とからなる例を示した。ここで、支持層11の構成が特に限られることはなく、様々な層によって支持層11を構成することができる。例えば、インク層12を支持する基材層(図示せず)によって、支持層11を構成してもよい。若しくは、インク層12を支持する基材層(図示せず)と、基材層の面のうちインク層12を支持する面と反対側の面に設けられた背面層(図示せず)と、により支持層11を構成してもよい。この場合、背面層は、第1転写装置17の第1加熱体18、または第2加熱体22により加熱されて押圧される層となっている。従って、背面層は、例えば所定の耐熱性を有する材料から構成される。
【0058】
また本実施の形態において、第2加熱体22がその長手方向のほぼ全域にわたってインクリボン13に当接する例を示した(図9(b)(c)参照)。すなわち、長手方向Pにおける第2加熱体22の長さが、長手方向Pにおけるインクリボンの幅よりも短くなっている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、長手方向Pにおける第2加熱体22の長さが、長手方向Pにおけるインクリボン13の幅よりも長くなっていてもよい。この場合、第2加熱体22の基板23の角部23bは、インクリボン13の延在範囲の外側に位置することになる。このため、第2加熱体22の基板23の端面23aの角部23bが丸みを有するよう構成されていない場合であっても、例えば角部23bが鋭角に形成されている場合であっても、巻取部21に巻き取られたインクリボン13が第2加熱体22によって損傷されたり、第2加熱体22がインクリボン13に引っかかってしまったりすることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0059】
10 熱転写システム
11 支持層
12 インク層
12a インク
12b インク抜け部分
12c 第2加熱体により支持層上に転写されたインク
13 インクリボン
13A 外側インクリボン
13B 内側インクリボン
14 被転写体
15 ガイドロール
16 送出部
17 第1転写装置
18 第1加熱体
19 プラテンロール
20 巻取装置
21 巻取部
21a 軸線
22 第2加熱体
23 基板
23a 端面
23b 角部
24 発熱体
25 駆動部
26 第2パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層とインク層とを有するインクリボンを用いて被転写体にインクを転写する熱転写システムにおいて、
前記インクリボンを送り出す送出部と、
前記送出部の下流側に配置され、前記インクリボンの支持層側に設けられた第1加熱体を有し、前記インクリボンのインク層のインクを前記被転写体に対して第1パターンで転写する第1転写装置と、
前記第1転写装置の下流側に配置され、インク転写済の前記インクリボンを巻き取る巻取部と、
前記巻取部の近傍に設けられ、前記巻取部に巻き取られたインク転写済の前記インクリボンに支持層側から当接して前記インクリボンを支持層側から加熱する第2加熱体と、を備え、
前記第2加熱体は、その長手方向が前記巻取部の長手方向に対して傾斜するよう配置されており、
前記第2加熱体は、インクリボンのインク層のインクが前記第1パターンと異なる第2パターンで当該インクリボンの内側に位置するインクリボンの支持層に転写されるよう、前記インクリボンを加熱することを特徴とする熱転写システム。
【請求項2】
前記第2加熱体は、第2加熱体の長手方向に平行に延びる基板と、前記基板の端面に設けられ、第2加熱体の長手方向に平行に並べられた複数の発熱区画を含む発熱体と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱転写システム。
【請求項3】
前記第2加熱体の前記基板の前記端面の角部は、丸みを有することを特徴とする請求項2に記載の熱転写システム。
【請求項4】
支持層とインク層とを有するインクリボンであって、インク層のインクが被転写体に対して第1パターンで転写されたインク転写済のインクリボンを巻き取る巻取装置において、
インク転写済の前記インクリボンを巻き取る巻取部と、
前記巻取部の近傍に設けられ、前記巻取部に巻き取られたインク転写済の前記インクリボンに支持層側から当接して前記インクリボンを加熱する巻取側加熱体と、を備え、
前記巻取側加熱体は、その長手方向が前記巻取部の長手方向に対して傾斜するよう配置されており、
前記巻取側加熱体は、インクリボンのインク層のインクが前記第1パターンと異なる第2パターンで当該インクリボンの内側に位置するインクリボンの支持層に転写されるよう、前記インクリボンを加熱することを特徴とする巻取装置。
【請求項5】
前記巻取側加熱体は、巻取側加熱体の長手方向に平行に延びる基板と、前記基板の端面に設けられ、巻取側加熱体の長手方向に平行に並べられた複数の発熱区画を含む発熱体と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の巻取装置。
【請求項6】
前記巻取側加熱体の前記基板の前記端面の角部は、丸みを有することを特徴とする請求項5に記載の巻取装置。
【請求項7】
支持層とインク層とを有するインクリボンを用いて被転写体にインクを転写する熱転写方法において、
前記インクリボンを送り出す工程と、
前記インクリボンのインク層のインクを前記被転写体に対して第1パターンで転写する第1転写工程と、
インク転写済の前記インクリボンを巻取部によって巻き取る工程と、
前記巻取部に巻き取られたインク転写済の前記インクリボンに支持層側から巻取側加熱体を当接させ、前記巻取側加熱体によって前記インクリボンを支持層側から加熱する第2転写工程と、を備え、
前記第2転写工程において、前記巻取側加熱体は、その長手方向が前記巻取部の長手方向に対して傾斜するよう前記インクリボンに当接し、かつ前記巻取側加熱体は、インクリボンのインク層のインクが前記第1パターンと異なる第2パターンで当該インクリボンの内側に位置するインクリボンの支持層に転写されるよう、前記インクリボンを加熱することを特徴とする熱転写方法。
【請求項8】
支持層とインク層とを有するインクリボンであって、インク層のインクが被転写体に対して第1パターンで転写されたインク転写済のインクリボンを巻き取る巻取方法において、
インク転写済の前記インクリボンを巻取部によって巻き取る工程と、
前記巻取部に巻き取られたインク転写済の前記インクリボンに支持層側から巻取側加熱体を当接させ、前記巻取側加熱体によって前記インクリボンを支持層側から加熱する工程と、を備え、
前記加熱する工程において、前記巻取側加熱体は、その長手方向が前記巻取部の長手方向に対して傾斜するよう前記インクリボンに当接し、かつ前記巻取側加熱体は、インクリボンのインク層のインクが前記第1パターンと異なる第2パターンで当該インクリボンの内側に位置するインクリボンの支持層に転写されるよう、前記インクリボンを加熱することを特徴とする巻取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−111866(P2013−111866A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260532(P2011−260532)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】