説明

熱転写用フィルム及びその製造方法

【課題】 保護層として硬化性樹脂を使用する転写フィルムであって、表面に凹凸により形成された意匠性を有しながら、且つ得られる保護層の表面物性、特に耐指紋性に優れる熱転写用フィルムを提供する。
【解決手段】 表面に凹凸を有する基材フィルムの該表面上に、ラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層とをこの順に積層した転写層を有する熱転写用フィルムであって、前記ラジカル重合性樹脂組成物層が、ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂と、ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物又はエポキシ化植物油(メタ)アクリレートとを含有することを特徴とする熱転写用フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば合成樹脂系基材、木質系基材、無機質系基材、金属系基材、等の各種の被転写基材の表面に、少なくとも保護層を含む転写層を転写形成するための転写フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の装飾方法として、合成樹脂系基材、木質系基材、無機質系基材、金属系基材、等の各種の被転写基材の表面に簡便に保護層等を形成可能な、転写フィルムを用いた転写法が利用されている。この転写法とは、紙や熱可塑性樹脂フィルム等からなる基材フィルム上に、硬度や耐溶剤性等の表面物性に優れた樹脂組成物からなる保護層を剥離可能な状態に設け、更に必要に応じて絵柄層、接着層等(以後これらを前記保護層と合わせて転写層という)を設けて転写フィルムを作製し、この転写フィルムの転写層面を、基材(被転写基材)の表面に圧着し、あるいは、射出成形金型内に予め転写フィルムを設置し、射出樹脂を充填することで、転写フィルムの転写層を被転写基材あるいは射出樹脂と接着させた後、転写層と基材フィルムとの界面で剥離して基材フィルムを除去することにより、被転写基材上に転写層が転写形成された目的の加飾品等を製造する方法である。近年では、自動車内装部材、家電部材、電子機器筐体等への加飾法として盛んに検討がなされている。
【0003】
上記保護層としては、転写後の製品の表面に、例えば表面硬度、耐磨耗性、耐擦傷性、耐溶剤性、耐薬品性等の優れた表面物性を付与するために、熱硬化型樹脂又は活性エネルギー線硬化型樹脂等の硬化型樹脂が用いられるのが一般的であり、具体的には、ポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応生成物である2液硬化型ポリウレタン系樹脂や、分子中にラジカル重合性二重結合を有する電離放射線硬化型アクリレート系樹脂を用いたものなどが、既に各種用いられている(例えば特許文献1参照)。
また、家電部材や電子機器筐体等への加飾として使用する場合には、前記表面硬度等の諸物性に加え、手あか、皮脂等の油汚れから保護する機能(耐指紋性と称されている)も求められる。
【0004】
耐指紋性に対しコーティング分野で知られている技術としては、例えばハードコート剤にフッ素系界面活性剤を配合し、得られる硬化膜を撥水化する技術(例えば特許文献2参照)や、長鎖アルキル基を有する重合性モノマーとポリフルオロアルキル基を有する重合性モノマーとの共重合体を使用する技術(例えば特許文献3参照)などフッ素に由来する高い撥水性を利用して、ハードコート剤に指紋汚れ防止性を付与する技術がある。これらのフッ素を使用した技術は、いずれも塗工後フッ素基が空気界面に偏在する性質を利用する。しかしながら転写フィルムにおける保護層は、前述の通り基材フィルム上に剥離可能な状態に設けられており、即ち空気界面が存在しないために、転写後の保護層表面となる面にフッ素基が偏在することができず、耐指紋性が得られないといった問題があった。
一方、加飾成形品は、家庭用電化製品、自動車内装品などの様々な分野で用いられているが、消費者の嗜好の多様性から、表面に筋上、点状、幾何学的形状の各種模様、美術的デザインを施した凹凸状の模様の意匠を有することが望まれている。このような要求に対して、加飾成形品に対してマット感(低艶感)を付与する技術が知られている(特許文献4参照)。表面の凹凸は接触面積を減らすため、一般的に指紋が付着し難くなるが、指の油脂分は凹凸の中に入り込んだり、染み込んだりすることにより、光沢が変化(通常、光沢が向上する)し、汚染されてしまう。しかしながら、当該文献には、耐指紋性に関する技術は開示されておらず、したがって、このような表面の凹凸により形成された意匠性を有しながら、且つ耐指紋性を有する技術は未だ知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−314995号公報
【特許文献2】特開平10−110118号公報
【特許文献3】特開2010−24283号公報
【特許文献4】特開2010−83043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、保護層として硬化性樹脂を使用する転写フィルムであって、表面に凹凸により形成された意匠性を有しながら、且つ得られる保護層の表面物性、特に耐指紋性に優れる熱転写用フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、表面に凹凸を有する基材フィルムを用い、ラジカル重合性樹脂組成物層中にポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物又はエポキシ化植物油(メタ)アクリレートとを含有させることで、上記課題を解決した。
【0008】
即ち本発明は、表面に凹凸を有する基材フィルムの該表面上に、ラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層とをこの順に積層した転写層を有する熱転写用フィルムであって、前記ラジカル重合性樹脂組成物層が、ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂と、ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物又はエポキシ化植物油(メタ)アクリレートとを含有することを特徴とする熱転写用フィルムを提供する。
【0009】
また本発明は、前記記載の熱転写用フィルムを射出成形用金型内に装着し射出成形して得た加飾成形品を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、表面に凹凸により形成された意匠性を有しながら、且つ表面物性、特に耐指紋性に優れる加飾成形体を得ることができる。
加飾成形品の表面に耐指紋性を付与する場合、
・付着した指紋を見え難くする
・付着した指紋を拭き取り易くする
等の手法が有効である。
前者は、指の油脂分に対する加飾成形品の表面の親和性を極力低くして、油脂分を弾いたり、反発させたりする方法ではなく、適度な親和性を持たせて、表面に油脂分が広がり易くすることにより、逆に油脂分の付着箇所を目立たなくなるようにする方法である。
また、後者は油脂分に対する表面の親和力をあまり強くせず、適度に保つことにより布等で表面を拭くことにより除去され易くする方法である。
本発明で使用するポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物及びエポキシ化植物油(メタ)アクリレート(以下、「耐指紋添加剤」ということもある。)は、加飾成形品の表面に対して両方の機能を付与するものである。
本発明の熱転写用フィルムは、表面に凹凸を有する基材フィルムの凹凸を有する面上に、ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂と、耐指紋添加剤とを含有するラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層とをこの順に積層して転写層を形成する。その際、耐指紋添加剤は転写層中に均一分散せず、転写層と基材フィルム(離型フィルム)の接触面近傍に偏析し、その結果、基材フィルムの凹凸表面を被覆するように耐指紋添加剤が存在し、油脂の付着による光沢変化を最小限に留め、油脂を拭取り易くしていると推察している。
本発明で使用する耐指紋添加剤は、特に、本発明で使用する基材フィルムの表面に凹凸がある場合に有効に機能し、優れた耐指紋性を発現する。特に、微細な凹凸を有する基材フィルムを使用して、加飾成形品表面に微細な模様を形成した場合、指紋の油脂分は凹凸模様の谷部に溜まり易い。谷部に油脂分が溜まると凸部と凹部の区別がなくなり、折角形成した微細模様が視認出来なくなってしまう。これを防ぐためには耐指紋添加剤の含有量を少なくすることが必要であり、本発明で使用する耐指紋剤の場合、使用量を少なくしても優れた耐指紋性を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(基材フィルム)
本発明で使用する基材フィルムは、特に限定なく公知の熱転写用基材フィルムを使用できる。具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド6、66(PA6,PA66)、ポリイミド(PI)、ポリビニルアルコール(PVA)等の耐熱樹脂製フィルムが好適に用いられる。中でもPET樹脂製フィルムがコスト、美麗性に優れるので最も好適に用いられる。基材フィルムの厚さは20〜125μmが好ましいが、立体形状への追従性を考慮すると35〜75μmが好ましい。
【0012】
(基材フィルムの凹凸模様)
本発明で使用する基材フィルムは、その表面の少なくとも一方に凹凸模様が形成されているフィルムである。凹凸模様として、特に制限がなく、筋上、点状、幾何学的形状の各種模様、美術的デザイン等の模様であって良く、ヘアライン、エンボス、マット、木目、万線、梨地、砂目、砂紋、地紋、布目、文字等の模様があげられる。
凹凸の深さには、特に制限はないが、大きな凹凸差は成形時に薄い部分に力が掛かり、フィルムが破れ易くなるので、基材フィルムの厚みの1/2までに留めるのが好ましい。
【0013】
前記基材フィルムと後述の転写層との間には、離型層を設けても良い。離型層は、被転写基材あるいは射出樹脂の成型物である射出成形体に転写される転写層と基材フィルムを離型する層として機能する。離型層には転写層との離型性が要求されるが、ハンドリングの際、基材フィルムと転写層が離型しない程度の転写層との接着性も要求される。
【0014】
離型層としては、通常用いられているもので良く、シリコーン樹脂系、フッ素樹脂系、セルロース誘導体樹脂系、尿素樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、メラミン樹脂系等の離型剤を用いることができる。例えば、基材フィルムとしてPET樹脂製フィルムを用いた場合には適度な離型性を有するシリコーン樹脂系離型剤が好適に用いられる。離型層はロールコーター等を用いて塗布することができるが、基材フィルムに設けた凹凸の凹部に溜まり易く、均一の厚さに制御することは困難であるが、その単位面積あたりの塗布重量から算出した平均厚さは0.01μm〜5μmが好ましい。また、基材フィルムに設けた凹凸を必要以上に埋めてしまうと、意匠性が変化してしまうので、離型層の平均厚さは0.01μm〜2μmであることが、より好ましい。
【0015】
(転写層)
本発明の熱転写用フィルムにおいて、転写層とは、少なくとも、被転写基材に転写して得られる転写体の、最表層となるラジカル重合性樹脂組成物層と、前記ラジカル重合性樹脂組成物層と被転写基材との間となる加飾層とを少なくとも有する層である。
加飾層は、前記ラジカル重合性樹脂組成物層と被転写基材との間となるように、前記基材フィルム上には、ラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層とをこの順に積層するように設ける。また、ラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層の他に、接着層や被転写基材表面の凹凸を隠蔽する中間層等の層を設けてもよい。
【0016】
(転写層 ラジカル重合性樹脂組成物層)
本発明で使用するラジカル重合性樹脂組成物層は、ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂と、ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物又はエポキシ化植物油(メタ)アクリレートとを含有する。
【0017】
(ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物)
ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とは、同一分子中に1以上のポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの水酸基にポリアルキレングリコールが結合し、ポリアルキレングリコールの他の末端の水酸基に脱水エステル化反応等により(メタ)アクリレート化した化合物、末端に水酸基を有するポリアルキレングリコールが、脱水エステル化反応等により(メタ)アクリルレート化した化合物等があげられる。
本発明においてポリアルキレングリコールとは、例えばモノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール、例えばモノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、パラキシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
本発明では、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレートがより好ましく、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。
ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の重量平均分子量(Mw)は、100〜2000であることが好ましく、200〜1600であることがより好ましい。また、-(RO)n-(Rはアルキレン基)で表されるポリアルキレングリコール鎖の平均繰り返し単位数nは1〜45が好ましく、2〜45がより好ましい。なお、本発明では、アルキレングリコールの繰り返し数がn=1である場合も含めて「ポリアルキレングリコール」と表現することもある。
ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとして、具体的には、ブレンマーPDE−400(ポリエチレングリコール−ジメタクリレート、n=9)、ブレンマーPDP−400N(ポリプロピレングリコール−ジメタクリレート、n=7)、ブレンマーPDT−650(ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、n=9)(いずれも日油株式会社製)、等が挙げられる。
【0018】
前記ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、ラジカル重合性樹脂組成物の全固形分量に対して0.1〜10重量%添加することが好ましく、0.5〜7重量%の範囲がより好ましく、0.5〜5重量%の範囲が最も好ましい。ラジカル重合性樹脂組成物の組成にも因るが、0.1%未満では耐指紋性能力不足のおそれがあり、使用量が多くなると指紋の油脂分が凹凸模様の谷部に溜まり易くなり、折角形成した微細模様が視認出来なくなりやすく、また、ラジカル重合性樹脂組成物が可塑化され、塗膜硬度低下のおそれがある。
【0019】
(エポキシ化植物油(メタ)アクリレート)
エポキシ化植物油(メタ)アクリレートとは、不飽和植物油の二重結合に過酢酸、過安息香酸でエポキシ化したエポキシ化植物油のエポキシ基に、(メタ)アクリル酸を開環付加重合させた化合物である。
本発明において植物油とは、グリセリンと脂肪酸とのトリグリセライドにおいて、少なくとも1つの脂肪酸が炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有する脂肪酸であるトリグリセライドのことであり、その様な植物油として代表的な化合物は、アサ実油、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、カヤ油、カラシ油、キョウニン油、キリ油、ククイ油、クルミ油、ケシ油、ゴマ油、サフラワー油、ダイコン種油、大豆油、大風子油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ニガー油、ヌカ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘントウ油、松種子油、綿実油、ヤシ油、落花生油、脱水ヒマシ油などが挙げられる。
エポキシ化植物油(メタ)アクリレートとして、具体的には、エポキシ化大豆油アクリレート(化薬サートマー社製CN111、UCB社製EBECRYL860、コグニス(cognis)社製フォトマー3005F)、エポキシ化アマニ油アクリレート(コグニス社製フォトマー3082)等が挙げられる。
【0020】
前記エポキシ化植物油(メタ)アクリレートは、ラジカル重合性樹脂組成物の全固形分量に対して0.1〜10重量%添加することが好ましく、1〜7重量%の範囲がより好ましく、0.5〜5重量%の範囲が最も好ましい。ラジカル重合性樹脂組成物の組成にも因るが、0.1%未満では耐指紋性能力不足のおそれがあり、使用量が多くなると指紋の油脂分が凹凸模様の谷部に溜まり易くなり、折角形成した微細模様が視認出来なくなりやすく、また、ラジカル重合性樹脂組成物が可塑化され、塗膜硬度低下のおそれがある。
【0021】
(ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂)
本発明で使用するラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂は、特に限定はなく公知の方法で得た(メタ)アクリル樹脂を使用することができる。具体的には例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸、アクリル酸、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等の(メタ)アクリル系モノマーを単独もしくは共重合して得た(メタ)アクリル樹脂、あるいは前記(メタ)アクリレート類を主成分とし、必要に応じてこれらと共重合可能な重合性二重結合を有するモノマー、例えばエチレン、ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が共重合成分として添加された(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
前記(メタ)アクリル樹脂は前記(メタ)アクリル系モノマーあるいは共重合可能な重合性二重結合を有するモノマーを常法により重合することで得られる。
【0022】
前記(メタ)アクリル樹脂へ、重合性不飽和基を導入する方法としては、例えば、予め前記共重合成分としてアクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有重合性単量体や、ジメチルアミノエチルメタクリレートやジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基含有重合性単量体を配合し共重合させ、カルボキシル基やアミノ基を有する前記共重合体を得、次に該カルボキシル基やアミノ基と、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基及び重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、
予め前記共重合成分として2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有単量体を配合し共重合させ、水酸基を有する前記共重合体を得、次に該水酸基と、イソシアネートエチルメタクリレートの等のイソシアネート基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、
予め前記共重合成分としてグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有重合性単量体を配合し共重合させ、グリシジル基を有する前記共重合体を得、次にグリシジル基と、アクリル酸やメタクリル酸のカルボキシル基含有重合性単量体を反応させる方法、
重合の際にチオグリコール酸を連鎖移動剤として使用して共重合体末端にカルボキシル基を導入し、該カルボキシル基に、グリシジルメタクリレートの等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、
重合開始剤として、アゾビスシアノペンタン酸等のカルボキシル基含有アゾ開始剤を使用して共重合体にカルボキシル基を導入し、該カルボキシル基にグリシジルメタクリレート等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法等が挙げられる。
中でも、アクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有単量体あるいはジメチルアミノエチルメタクリレートやジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基含有単量体を共重合しておき、そのカルボキシル基あるいはアミノ基とグリシジルメタクリレート等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、あるいは、予め前記共重合成分としてグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有重合性単量体を配合し共重合させ、グリシジル基を有する前記共重合体を得、次にグリシジル基と、アクリル酸やメタクリル酸のカルボキシル基含有重合性単量体を反応させる方法が最も簡便であり好ましい。
【0023】
前記ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂は、ラジカル重合性樹脂組成物の全固形分量の10〜99.9重量%含有することが好ましく、40〜99.9重量%の範囲が最も好ましい。10%未満では常温で液状であるポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの添加により、表面にタック残存のおそれがある。
【0024】
(その他の成分 光重合開始剤)
本発明の熱転写用フィルムを活性エネルギー線で硬化させる場合は、前記ラジカル重合性樹脂組成物層に光重合開始剤を使用してもよく好ましい。光重合開始剤の例としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2,4−ジメチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;ポリエーテル系マレイミドカルボン酸エステル化合物などが挙げられ、これらは併用して使用することもできる。光重合開始剤の使用量は、ラジカル重合性樹脂組成物の全固形分量に対して、0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%である。光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル等のアミン類が挙げられる。さらに、ベンジルスルホニウム塩やベンジルピリジニウム塩、アリールスルホニウム塩などのオニウム塩は、光カチオン開始剤として知られており、これらの開始剤を用いることも可能であり、上記の光重合開始剤と併用することもできる。
【0025】
(熱重合開始剤)
また、本発明の熱転写用フィルムを熱硬化させる場合は、前記ラジカル重合性樹脂組成物層に熱重合開始剤を使用してもよく好ましい。熱重合開始剤の例としては、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の各種のパーオキサイド;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムまたは過硫酸アンモニウム等の各種の過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2'−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]の2塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]またはその2塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]の2塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−アミノフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]の2塩酸塩または2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)の2塩酸塩などのような、種々のアゾ系開始剤が挙げられる。特に、真空成形法の場合、フィルムに充分な熱を与え、瞬間的に成形するため、熱重合開始剤も好適に用いることができる。
【0026】
(イソシアネート化合物)
また、本発明の熱転写用フィルムを熱硬化させる場合は、前記ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂として水酸基を有する樹脂を選択し、且つ二価以上のイソシアネート化合物を添加することで、ラジカル重合性不飽和基由来の架橋構造とは異なるウレタン架橋構造を導入することができ好ましい。
前記ラジカル重合性不飽和基を含有し、且つ水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有単量体を共重合しておき、そのカルボキシル基とグリシジルメタクリレート等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、あるいは、予め前記共重合成分としてグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有重合性単量体を配合し共重合させ、グリシジル基を有する前記共重合体を得、次にグリシジル基と、アクリル酸やメタクリル酸のカルボキシル基含有重合性単量体を反応させる方法により得た(メタ)アクリル樹脂、あるいは、アクリル酸ヒドロキシエチル等の水酸基を有する(メタ)アクリレートを共重合させた(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。
二価以上のイソシアネート化合物をラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂が有するヒドロキシ基と反応させる場合、該樹脂が有するヒドロキシ基の一部と反応させることが好ましい。この場合、該樹脂が有するヒドロキシ基の5〜50%を反応させることが好ましく、10〜40%であることがより好ましく、15〜30%であることが特に好ましい。
【0027】
イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、メタ−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−メタ−キシリレンジイソシアネート等のアラルキルジイソシアネート類を主原料とするポリイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−(又は、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソイシアネート、リジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、1,3−ビス(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートから得られる脂肪族ポリイソシアネートであるアロファネート型ポリイソシアネート、ビウレット型ポリイソシアネート、アダクト型ポリイソシアネート及びイソシアヌレート型ポリイソシアネートが挙げられ、いずれも好適に使用することができる。
【0028】
なお、前記したポリイソシアネートとしては、種々のブロック剤でブロック化された、いわゆるブロックポリイソシアネート化合物を使用することもできる。ブロック剤としては、例えばメタノール、エタノール、乳酸エステル等のアルコール類;フェノール、サリチル酸エステル等のフェノール性水酸基含有化合物類;ε−カプロラクタム、2−ピロリドン等のアマイド類;アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム等のオキシム類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン化合物類等を使用することができる。ブロックポリイソシアネート化合物を使用することにより、後述するラジカル重合性樹脂組成物層を形成する際の塗料に対して、アルコールのような水酸基含有の溶剤を使用することも可能になる。
【0029】
(その他の成分)
また、ラジカル重合性樹脂組成物層は、無機あるいは金属化合物、有機微粒子等を添加することもできる。無機あるいは金属化合物としては、シリカ、シリガゲル、シリカゾル、シリコーン、モンモリロナイト、マイカ、アルミナ、酸化チタン、タルク、硫酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ等があげられる。また該無機あるいは金属化合物を有機処理した、オルガノシリカゾル、アクリル変性シリカ、クロイサイト等を使用してもよい。有機微粒子としては、例えば、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂およびフェノール樹脂等の微粒子があげられる。これらは、単独で使用しても、複数を併用してもよい。その他本発明の効果を損なわない範囲において、汎用の添加剤、例えば紫外線吸収剤、レベリング剤、アンチブロッキング剤等を添加することもできる。
【0030】
本発明で使用するラジカル重合性樹脂組成物層の厚みとしては、被転写基材あるいは射出成形体の表面保護および塗工性の観点から、1〜50μmが好ましく、3〜40μmがより好ましい。
【0031】
(加飾層)
加飾層には、汎用の印刷インキまたは塗料を使用することができ、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷などを用いて形成することができる。加飾層の乾燥膜厚は0.5〜15μmであることが好ましく、更に好ましくは、1〜7μmである。また絵柄のない着色層や、無色のワニス樹脂層についても塗工によって形成することができる。
また、印刷の場合の印刷柄は、版を起こせる、あるいは印字できる模様や文字であればどのような印刷柄も可能である。またベタ版であってもよい。
【0032】
印刷インキまたは塗料に使用する着色材としては、公知の有機顔料あるいは無機顔料を使用して印刷することができ好ましい。
前記有機顔料としては、たとえば、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、フタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アゾレーキ顔料系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料等が挙げられる。
また、無機顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄系、酸化チタン系等の無機顔料、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料、酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢顔料等が挙げられる。
【0033】
前記インキに含有されるワニス用樹脂は、特に限定はないが、例えば、アクリル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ビニル樹脂系(塩ビ、酢ビ、塩ビ−酢ビ共重合樹脂)、塩素化オレフィン樹脂系、エチレン−アクリル樹脂系、石油系樹脂系、セルロース誘導体樹脂系などの公知のインキを用いることができる。
【0034】
また、インキに含有される有機溶剤としては、硬化性樹脂層あるいは後述の剥離性フィルムを侵すものでなければ特に制限なく使用でき、具体例として、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンもしくはミネラルスピリット等の炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートもしくは酢酸アミル等のエステル系有機溶剤、n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルもしくはジエチレングリコール等のエーテル系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミノケトン、ジイソブチルケトンもしくはシクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤、N−メチルピロリドン等の含窒素系、「スワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500」〔コスモ石油(株)製〕等の芳香族石油溶剤系を挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独使用でも2種以上の併用でもよい。
【0035】
印刷インキ又は塗料には、基材樹脂と着色剤のほか、必要に応じて可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、艶消し剤、溶媒などを含有させてよい。
【0036】
(熱転写用フィルムの製造方法)
本発明の熱転写用フィルムは、前記ラジカル重合性樹脂層を設けた支持体フィルムに加飾層を直接印刷または塗工する方法が最も好ましい。また、前記ラジカル重合性樹脂層と加飾層の層間密着性を確保するために中間(プライマー)層を設けてもよい。
前記支持体フィルム上に前記ラジカル重合性樹脂組成物層を設ける方法、あるいは前記加飾層を設ける方法としては特に限定はなく、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の各種印刷方法や、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ロッドコート法、キスコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、リップコート法、フローコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の各種公知の塗工方法を適宜用いることができる。特に加飾層の形成は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などにより行うことができ、高画質画像を得やすいため、グラビア印刷が好ましい。加飾層の乾燥膜厚は0.5〜15μmであることが好ましく、更に好ましくは、1〜7μmである。
【0037】
またドライラミネーション(乾式積層法)により、前記ラジカル重合性樹脂組成物層を設けた支持体フィルムと、前記加飾層を設けた任意の剥離性フィルムとを、前記重合性樹脂層と前記装飾層とが相対するように重ねてドライラミネーション(乾式積層法)により貼り合わせ、転写する方法にて製造することもできる。
乾燥、加熱加圧による貼り合わせ温度は特に限定はなく、使用する基材フィルムの耐熱温度等を加味しながら行えばよい。
【0038】
製造した熱転写フィルムは、層間密着性の向上等、必要に応じて、エージングをしてもよい。
【0039】
(熱転写用フィルム 膜厚)
本願の熱転写用フィルムの全体の膜厚は、熱転写方法によるため特に制限されないが、被転写基材への形状追随性の観点から21.5〜200μmが好ましく、30〜150μmがより好ましい。
【0040】
(接着剤層)
その他、本発明の効果を損なわない範囲において、任意の層を更に積層させることもできる。例えば本発明の熱転写フィルムを被転写基材と貼り付ける場合は、加飾層の、被転写基材と接する面に、接着層や粘着層を設けることは好ましい。接着層や粘着層は、被着体と接着力を高める目的で付与する層であり、接着剤でも粘着剤でも構わなく、樹脂フィルムと被着体とに接着する材質のものを適宜選択することが可能である。
【0041】
例えば接着剤としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、天然ゴム、SBR、NBR、シリコーンゴム等の合成ゴムなどがあげられ、溶剤型又は無溶剤型のものが使用出来る。
【0042】
また、粘着剤としては、熱成形する温度でタック性を有するものであれば良く、例えば、アクリル樹脂、イソブチレンゴム樹脂、スチレン−ブタジエンゴム樹脂、イソプレンゴム樹脂、天然ゴム樹脂、シリコーン樹脂などの溶剤型粘着剤や、アクリルエマルジョン樹脂、スチレンブタジエンラテックス樹脂、天然ゴムラテックス樹脂、スチレン−イソプレン共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテルなどの無溶剤型粘着剤などがあげられる。
【0043】
本発明の熱転写用フィルムに前記接着層や粘着層を設ける場合は、前記ラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層を設けたフィルムに直接印刷あるいは塗工したり、前記ラジカル重合性樹脂組成物層と前記加飾層とが相対するように重ねてドライラミネーションにより転写する方法等で得ることができる。後者の場合、接着層を有する加飾層を転写することが好ましいが、加飾層を転写した後、接着層を設けてもよい。
【0044】
(熱転写方法)
本発明の熱転写用フィルムは、公知の転写方法に使用することができる。具体的には、必要に応じ予備成形した熱転写フィルムを、雌型の表面に設置し、両型を閉じ、射出孔から両型間のキャビティ(成形窩洞)内に熔融樹脂を射出し、射出樹脂を冷却固化させた後、両型を開き、成形品とこれに密着した転写フィルムとを型から取出し、基体フィルムのみを剥離して、被転写基材上に転写層が転写形成された加飾品を得る、射出成形同時転写法や、成形された被転写基材の上方に熱転写用フィルムを、転写層が被転写基材側に向くよう載置しフィルムを軟化温度以上に加熱した後、真空下で、金型を用いずに被転写基材を用いて成形すると同時に、直接被転写基材に貼り付ける、真空成型同時貼り付け法等や、ラッピング同時転写法等の、熱転写時に転写フィルムに伸び、変形が加わる立体形状への成形転写方法に特に好適に本発明の熱転写用フィルムを使用することができる。ただし、ホットスタンプ等、転写フィルムに伸び、変形の加わらない転写法に本発明の転写フィルムを用いてもよい。
【0045】
(活性エネルギー線照射)
本発明の熱転写用フィルムを転写した加飾品のラジカル重合性樹脂組成物層を、活性エネルギー線等で硬化させる。活性エネルギー線は、通常は可視光や紫外線を使用するのが好ましい。特に紫外線が好適である。紫外線源としては、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が用いられる。また、熱を併用する場合の加熱源としては、熱風、近赤外線など公知の熱源が適用可能である。
この時の照射量としては、硬化性樹脂層が完全に硬化するような照射量であることが好ましく、具体的には250mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲が好ましい。特に、加飾層との界面に移動したラジカル反応性希釈剤やラジカル重合性オリゴマーなどを充分に硬化させ、被転写基材との密着性を向上させるために、1000mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲がより好ましい。前記基材フィルムを剥離するタイミングは、前記活性エネルギー線を照射する前でも後でもよい。
【0046】
(被転写基材)
本発明の熱転写用フィルムが転写できる被転写基材は特に限定されず、樹脂、金属、ガラス、木、紙などの各種形状物を用いることができ、前記形状物は、塗装、メッキ、スクラッチ等の常用加飾法により加飾されていてもよい。
また、被転写基材の被着面の材質と、本発明の熱転写用フィルムに使用する熱可塑性樹脂やインキバインダーとの材質とが熱接着あるいは熱融着可能な材質同士であると、より密着性に優れ好ましい。例えば被転写基材の被着面の材質がアクリル系樹脂やスチレン系の樹脂である場合には、熱転写用フィルムに使用する熱可塑性樹脂の材質はアクリル系樹脂が好ましい。
【実施例】
【0047】
以下、本発明を実施例により説明する。特に断わりのない限り「部」、「%」は重量基準である。
【0048】
(評価方法)
<密着性>
JIS K−5400の碁盤目セロテープ(セロテープは登録商標である)剥離試験により、密着性を評価した。素地としてPC/ABS樹脂を用いているので、2mm角、100マスで評価した。残存したマスが100個であるものを○、100マス残存しているが欠けがあるものが10個以下の場合を△、その他を×として判定した。
【0049】
<指紋視認性>
テフロンシート(テフロンは登録商標である)上にオレイン酸10μLを滴下し、3cm角にカットしたウレタンスポンジ(3M製スコッチブライト)で塗り広げながら拭き取った後、そのスポンジのオレイン酸が付着した面を被評価品表面に10秒間押し付け、オレイン酸を付着させた。
色差計を用い、オレイン酸付着前後のdL*を算出することにより、指紋が付着した際の視認性の代用特性値とし、dL*≦1.5を○、1.5<dL*≦3を△、3<dL*を×として評価した。
【0050】
<指紋拭き取り性>
指紋視認性の評価と同様にして、オレイン酸を付着させた後、脱脂綿で2往復(それぞれ新しい面を使用)拭き上げたものに対し、色差計を用い、オレイン酸付着前後のdL*から回復率を算出することにより、指紋拭き取り性の代用特性値とした。80%≦dL*(回復率)を○、50%≦dL*(回復率)<80%を△、dL*(回復率)<50%を×として評価した。
【0051】
<鮮映性>
成形品の表面光沢値(60°)を、BYK Gardner社製「Micro−TRI−gloss」を用いてJIS Z8741に従って測定し、基準光沢値(ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート無添加処方)との差(基準光沢値−測定値)が、1%未満を○、1%以上3%未満を△、3%以上を×として評価した。
【0052】
(ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂の製造方法)
<参考例1>
温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、酢酸ブチルの950部を仕込んで80℃に昇温し、同温度に達したところで、アクリル酸ブチルの970部、メタクリル酸30部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の7部からなる混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後90℃に昇温し、10時間保持して反応を続行した。
反応液の温度を50℃に下げ、t−ブチルピロカテコールの0.2部を酢酸ブチルの20部に溶解した溶液を加え、さらにグリシジルメタクリレートの20部、ジメチルアミノエタノール3部を加えた後に、80℃まで昇温し、同温度で10時間反応を行う事で、ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂(A1)の溶液を得た。
【0053】
(成形方法)
<射出成形方法>
後述の方法で得た熱転写用フィルムを、東芝機械社製の射出成形機「EC75N−1.5Y」に設置した後、金型を閉めた。金型は、射出成形体の形状が、100(L)×100(W)×9(H)mm、コーナーR=10mm、立ち上がり部のR=5R、抜き勾配18.5°のトレー状となるものを使用した。
ヒーターで金型を50℃に温調し、帝人化成社製の射出樹脂「マルチロンTN−3715B」を、射出樹脂温265℃で射出した。金型内から射出成形体を取り外し、剥離性フィルムは剥離し、熱転写用フィルムのラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層とが転写された射出成形体を得た。その後総照射量1000mJ/cm(ピーク強度180mW/cm2)の紫外線照射を行なうことにより、加飾成型体を得た。
【0054】
<実施例1〜8 熱転写用フィルムの製造方法>
参考例1で得たラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂の溶液の不揮発分に対して、表1に示すポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(日油株式会社製)A1〜A8を5重量%、及び光重合開始剤イルガキュア184(BASF製)1重量%を添加し、ラジカル重合性樹脂組成物を調製した。
ラジカル重合性樹脂組成物をロッドグラビアコーターを用い、サンドブラスト法またはスクラッチ法により表面に凹凸が付与された東レフィルム加工社製のポリエチレンテレフタレート(PET)シート「セラピールHP2/TB(S)」(膜厚50μm)上に塗布し、100℃、1分間乾燥させることにより、乾燥後膜厚5μmのラジカル重合性樹脂組成物層を有するフィルムを得た。
フィルムに対し、DIC製XS−756IM系インキを用いグラビア印刷機にてラジカル重合性樹脂組成物層に直接アルミ調ベタ印刷を付与することにより、熱転写用フィルムを得た。
【0055】
得られた熱転写用フィルムを、前記射出成形方法に従い、艶消し調(サンドブラスト法)またはヘアライン調凹凸(スクラッチ法)を有する射出成形体を得た。得られた射出成形体は指紋が見え辛く、ふき取り易い性能を示した。結果を表1に示す。
【0056】
<実施例9 熱転写用フィルムの製造方法>
参考例1で得たラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂の溶液の不揮発分に対して、表1に示すポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(日油株式会社製)A6を5重量%、及び光重合開始剤イルガキュア184(BASF製)1重量%、イソシアネート化合物バーノックDN−981(DIC製)24%(ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂に含有される水酸基に対する当量比として)を添加し、ラジカル重合性樹脂組成物を調製した。
ラジカル重合性樹脂組成物をロッドグラビアコーターを用い、スクラッチ法により表面に凹凸が付与された東レフィルム加工社製のポリエチレンテレフタレート(PET)シート「セラピールHP2/TB(S)」(膜厚50μm)上に塗布し、100℃、1分間乾燥させることにより、乾燥後膜厚5μmのラジカル重合性樹脂組成物層を有するフィルムを得た。
フィルムに対し、DIC製XS−756IM系インキを用いグラビア印刷機にてラジカル重合性樹脂組成物層に直接アルミ調ベタ印刷を付与することにより、熱転写用フィルムを得た。
【0057】
得られた熱転写用フィルムを、前記射出成形方法に従い、ヘアライン調凹凸を有する射出成形体を得た。得られた射出成形体は指紋が見え辛く、ふき取り易い性能を示した。結果を表1に示す。
【0058】
<実施例10 熱転写用フィルムの製造方法>
参考例1で得たラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂の溶液の不揮発分に対して、表1に示すエポキシ化大豆油アクリレート(コグニス製フォトマー3005F)A7を5重量%、及び光重合開始剤イルガキュア184(BASF製)10重量%、イソシアネート化合物バーノックDN−981(DIC製)24%(ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂に含有される水酸基に対する当量比として)を添加し、ラジカル重合性樹脂組成物を調製した。
ラジカル重合性樹脂組成物をロッドグラビアコーターを用い、スクラッチ法により表面に凹凸が付与された東レフィルム加工社製のポリエチレンテレフタレート(PET)シート「セラピールHP2/TB(S)」(膜厚50μm)上に塗布し、100℃、1分間乾燥させることにより、乾燥後膜厚5μmのラジカル重合性樹脂組成物層を有するフィルムを得た。
フィルムに対し、DIC製XS−756IM系インキを用いグラビア印刷機にてラジカル重合性樹脂組成物層に直接アルミ調ベタ印刷を付与することにより、熱転写用フィルムを得た。
【0059】
得られた熱転写用フィルムを、前記射出成形方法に従い、ヘアライン調凹凸を有する射出成形体を得た。得られた射出成形体は指紋が見え辛く、ふき取り易い性能を示した。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
表1中の略語は、下記の通りである。
A1:ポリエチレングリコールジメタクリレート
A2:ポリプロピレングリコールジメタクリレート
A3:ポリプロピレングリコールジアクリレート
A4:ポリプロピレングリコールモノメタクリレート
A5:ポリプロピレングリコールジメタクリレート
A6:ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート
A7:ポリエチレングリコールジメタクリレート
A8:ポリプロピレングリコールジメタクリレート
PEG;ポリエチレングリコール
PPG;ポリプロピレングリコール
PTMG;ポリテトラメチレングリコール
【0062】
<比較例1 ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが入らない熱転写フィルムを使用した射出成形体の例)
参考例1で得た重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂の溶液の不揮発分に対して、10重量%の光重合開始剤イルガキュア184(BASF製)を添加し、ラジカル重合性樹脂組成物を調製した。
ラジカル重合性樹脂組成物をロッドグラビアコーターを用いスクラッチ法により表面に凹凸が付与された東レフィルム加工社製のポリエチレンテレフタレート(PET)シート「セラピールHP2/TB(S)」(膜厚50μm)上に塗布し、100℃、1分間乾燥させることにより、乾燥後膜厚5μmのラジカル重合性樹脂組成物層を有するフィルムを得た。
フィルムに対し、DIC製XS−756IM系インキを用いグラビア印刷機にてラジカル重合性樹脂組成物層に直接アルミ調ベタ印刷を付与することにより、熱転写用フィルムを得た。
得られた熱転写用フィルムを使用し、前記射出成形方法に従い、ヘアライン調凹凸(スクラッチ法)を有する射出成形体を得た。得られた射出成形体は指紋が見え易く、ふき取り難くかった。結果を表2に示す。
【0063】
<比較例2,3 アルキレン(メタ)アクリレートが入る熱転写フィルムを使用した射出成形体の例>
参考例1で得たラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂の溶液の不揮発分に対して、ステアリン鎖、あるいはトリデシン鎖を有する(メタ)アクリレート (サートマー社製)5重量%、及び光重合開始剤イルガキュア184(BASF製)1重量%を添加し、ラジカル重合性樹脂組成物を調製した。
ラジカル重合性樹脂組成物をロッドグラビアコーターを用い、スクラッチ法により表面に凹凸が付与された東レフィルム加工社製のポリエチレンテレフタレート(PET)シート「セラピールHP2/TB(S)」(膜厚50μm)上に塗布し、100℃、1分間乾燥させることにより、乾燥後膜厚5μmのラジカル重合性樹脂組成物層を有するフィルムを得た。
フィルムに対し、DIC製XS−756IM系インキを用いグラビア印刷機にてラジカル重合性樹脂組成物層に直接アルミ調ベタ印刷を付与することにより、熱転写用フィルムを得た。
得られた熱転写用フィルムを、前記射出成形方法に従い、ヘアライン調凹凸(スクラッチ法)を有する射出成形体を得たが、指紋視認性は向上するものの、ふき取り性が劣る結果となった。これは、添加剤として導入したアルキレン(メタ)アクリレートと指紋の親和性により、ふき取り難くなったと推定される。結果を表2に示す。
【0064】
<比較例4 フッ素系添加剤を含有する熱転写フィルムを使用した射出成形体の例>
参考例1で得た重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂の溶液の不揮発分に対して、2重量%のフッ素含有UV硬化性樹脂「メガファックRS−75」(DIC製)(A10)及び10重量%の光重合開始剤イルガキュア184(BASF製)を添加し、ラジカル重合性樹脂組成物を調製した。
ラジカル重合性樹脂組成物をロッドグラビアコーターを用い、スクラッチ法により表面に凹凸が付与された東レフィルム加工社製のポリエチレンテレフタレート(PET)シート「セラピールHP2/TB(S)」(膜厚50μm)上に塗布し、100℃、1分間乾燥させることにより、乾燥後膜厚5μmのラジカル重合性樹脂組成物層を有するフィルムを得た。
フィルムに対し、DIC製XS−756IM系インキを用いグラビア印刷機にてラジカル重合性樹脂組成物層に直接アルミ調ベタ印刷を付与することにより、熱転写用フィルムを得た。このときベタ印刷性がやや悪く、ドットの1つ1つが小さくなり、隠蔽性が低下していた。
得られた熱転写用フィルムを使用し、前記射出成形方法に従い、ヘアライン調凹凸(スクラッチ法)を有する射出成形体を得た。得られた射出成形体は指紋の視認性及びふき取り性がやや向上するものの、密着性の点で劣った。これは、フッ素含有添加剤が塗料の塗工時に空気界面に偏析してしまい密着性に劣ってしまったと推定される。結果を表2に示す。
【0065】
<比較例5 テフロン微粒子を含有する熱転写フィルムを使用した射出成形体の例>
参考例1で得た重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂の溶液の不揮発分に対して、2重量%のテフロン微粒子「KTL−4N」(喜多村製)(A11)及び10重量%の光重合開始剤イルガキュア184(BASF製)を添加し、ラジカル重合性樹脂組成物を調製した。
ラジカル重合性樹脂組成物をロッドグラビアコーターを用い、スクラッチ法により表面に凹凸が付与された東レフィルム加工社製のポリエチレンテレフタレート(PET)シート「セラピールHP2/TB(S)」(膜厚50μm)上に塗布し、100℃、1分間乾燥させることにより、乾燥後膜厚5μmのラジカル重合性樹脂組成物層を有するフィルムを得た。
フィルムに対し、DIC製XS−756IM系インキを用いグラビア印刷機にてラジカル重合性樹脂組成物層に直接アルミ調ベタ印刷を付与することにより、熱転写用フィルムを得た。このときベタ印刷性がやや悪く、一部色抜けしていた。
得られた熱転写用フィルムを使用し、前記射出成形方法に従い、ヘアライン調凹凸(スクラッチ法)を有する射出成形体を得た。得られた射出成形体は指紋視認性がやや向上するものの、指紋ふき取り性に劣った。結果を表2に示す。
【0066】
【表2】

【0067】
表2中の略語は、下記の通りである。
A8:ステアリンモノアクリレート
A9:トリデシンモノアクリレート
A10:フッ素含有UV硬化性樹脂「メガファックRS−75」
A10:テフロン微粒子「KTL−4N」
【0068】
この結果、実施例1〜10で得た熱転写用フィルムは、皆指紋が見え難く、ふき取り易い性能を示した。
一方、比較例1〜5で得た熱転写フィルムは、指紋視認性、指紋ふき取り性、鮮映性の全てを満足する性能を有するものは得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸を有する基材フィルムの該表面上に、ラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層とをこの順に積層した転写層を有する熱転写用フィルムであって、前記ラジカル重合性樹脂組成物層が、ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂と、ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物又はエポキシ化植物油(メタ)アクリレートとを含有することを特徴とする熱転写用フィルム。
【請求項2】
前記ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート又はポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートである請求項1記載の熱転写用フィルム。
【請求項3】
前記エポキシ化植物油(メタ)アクリレートが、エポキシ化大豆油(メタ)アクリレートである請求項1に記載の熱転写用フィルム。
【請求項4】
前記ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物又はエポキシ化植物油(メタ)アクリレートを前記ラジカル重合性樹脂組成物全体に対して0.1質量%〜10質量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の熱転写用フィルム。
【請求項5】
前記ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂が、ヒドロキシ基を有する請求項1〜4のいずれか記載の熱転写用フィルム。
【請求項6】
二価以上のイソシアネート化合物を含有し、該イソシアネート化合物が前記ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂が有するヒドロキシ基の一部と反応している請求項5記載の熱転写用フィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の熱転写用フィルムを射出成形用金型内に装着し射出成形して得た加飾成形品。

【公開番号】特開2013−67154(P2013−67154A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216917(P2011−216917)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】