説明

熱転写画像形成要素およびその使用方法

本発明は、支持層と、支持層によって支持される転写層と、支持層と転写層との間に配置された第2の層とを含むドナー要素に関し、ここで、第2の層は、バインダーと、任意に未硬化架橋剤とを含有するが、実質的に顔料を含有しない。第2の層のバインダーは、ドナー要素を露光させたときに、第2の層を転写層とともに実質的に転写させる分子量Mnを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱転写要素およびその使用方法、ならびにかかる方法によって形成される物品に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルターは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)などの様々な用途に用いることができる。レーザービームを用いて、光熱変換層を任意に含有するドナー要素を照射し、それによって該当する層を基板上へ転写する様々な熱質量転写(thermal mass transfer)画像形成方法を用いて、これらのカラーフィルターを作製することができる(例えばKwonらの米国特許第6,242,140号明細書、Changらの米国特許第6,682,862号明細書、これらは全て参照により本明細書に援用される)。
【0003】
熱質量転写画像形成の典型的な方法は、転写層をドナー要素からレシーバ要素へと転写するときに、転写層の一部が転写されず、ドナー要素の一部として残ったり、または光熱変換(LTHC)層の一部が転写層とともに移動して、画像形成された転写層を汚したりすることから、不完全なものである。
【0004】
中間層が、提示された解決策である。Isbergらの米国特許第5,998,085号明細書には、任意選択のLTHC層に隣接した任意選択の非転写性中間層が開示されている。参照により本明細書に援用される米国特許第5,725,989号明細書には、中間層の例が記載されている。光熱変換層と電子放射物質含有転写性層との間に介在する中間層を組み込むことにより、光熱変換層から得られる転写画像の汚染レベルを低下させ、転写画像において結果として生じる歪みの量を低減する。中間層は、有機材料または無機材料のいずれであってもよい。得られる転写された電子放射物質含有画像の損傷および汚染を最小限に抑えるために、中間層は、高い耐熱性を有し、かつ画像形成プロセス中、実質的に損傷がなくLTHC層に接触したままの連続したコーティングであるのが好ましい。好適な有機材料としては、熱硬化性(架橋された)材料および熱可塑性材料の両方が挙げられる。
【0005】
3M Innovative Properties Companyに付与された、Changらの米国特許第6,461,793号明細書(‘793特許)は、(a)光熱変換層と、(b)中間層と、(c)熱転写層とが上に付着された基板を含む熱転写要素に関する。熱転写層は、架橋性材料をさらに含んでもよい。
【0006】
‘793特許は、上記の熱転写要素を用いてレセプター上に画像を生成するための方法も提供する。(a)上記のレセプターおよび熱転写要素を緊密に接触させ、(b)放射線源を用いて像様パターンで熱転写要素を露光させ、(c)像様パターンに対応する熱転写層をレセプターへと転写することによってレセプター上に画像が転写されるが、光熱変換層の転写はわずかであるかまたは全くない。熱転写層が架橋性材料を含有する場合、さらなる硬化工程を行ってもよく、ここで、転写画像は、次に、熱または放射線への曝露、あるいは化学硬化剤による処理によって架橋される。
【0007】
3M Innovative Properties Companyに付与された、Mizunoらの米国特許第6,228,543号明細書は、熱転写要素および熱転写要素から層を転写する方法、ならびにこれらの方法によって形成される物品に関する。熱転写要素に任意選択の中間層を用いて、転写ユニットの転写される部分の損傷および汚染を最小限に抑え、および/または転写ユニットの転写される部分における歪みを低減することができる。中間層は、熱転写要素の残りの部分に対する転写層の付着にも作用し得る。中間層は、典型的に、転写プロセス中、LTHC層に接触したままであり、実質的に、転写ユニットとともに転写されない。好適な中間層としては、例えば、ポリマーフィルム、金属層(例えば、蒸着金属層)、無機物層(例えば、ゾルゲル法で付着した層および無機酸化物(例えば、シリカ、チタニア、および他の金属酸化物)の蒸着層)、ならびに有機/無機複合層が挙げられる。中間層材料として好適な有機材料としては、熱硬化性材料および熱可塑性材料の両方が挙げられる。好適な熱硬化性材料としては、熱、放射線、あるいは限定されないが、架橋されたかまたは架橋性のポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、エポキシ、およびポリウレタンを含む、化学処理によって架橋され得る樹脂が挙げられる。熱硬化性材料を、例えば、熱可塑性前駆体としてLTHC層上にコーティングして、次に架橋して架橋された中間層を形成してもよい。
【0008】
一部の画像形成プロセスは、転写層の全体の不完全な転写をもたらし、それによって、レシーバ要素上に付着される転写層の一部が、粗面、例えば、高い二乗平均平方根粗さRq値を有する表面を有したままになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、支持層と、支持層によって支持される転写層と、支持層と転写層との間に配置された第2の層とを含むドナー要素に関し、ここで、第2の層は、バインダーと、任意に未硬化架橋剤とを含有するが、実質的に顔料を含有しない。第2の層のバインダーは、ドナー要素を露光させたときに、第2の層を転写層とともに実質的に転写させる分子量Mnを有する。
【0010】
本発明の別の実施形態は、バインダーを含有するが実質的に顔料を含有しない外側の第2の層と、第2の層とレシーバ要素との間の顔料含有転写層とを含む熱転写された多層の画像形成されたパターンを支持するレシーバ要素を含む、画像形成された集成体に関する。さらなる実施形態では、顔料含有転写層は、第2の層のバインダーを含む。
【0011】
本発明の別の実施形態は、レシーバ要素上に配置された熱転写された多層の第1のパターンと、レシーバ要素上に配置された、異なる熱転写された多層の第2のパターンとを有する複数の画像が形成された(multi−imaged)集成体に関し、ここで、第1のパターンの高さは、第2のパターンの高さとほぼ同様である。
【0012】
本発明の別の実施形態は、厚さ全体の、転写層のパターンと、厚さの一部の、その上にともに付着された第2の異なる層とを含むカラーフィルターに関する。
【0013】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載されたドナー要素から転写された多層と接触している導電性層を有するディスプレイに関する。
【0014】
本発明の別の実施形態は、ドナー要素および受像要素の実施形態を含む画像形成性集成体を形成する工程を含む画像形成方法を意図しており、ここで、画像形成性集成体は、ドナーおよびレシーバ要素が適切に位置決めされた後に照射され、照射に続いて、ドナー要素と受像要素とが分割され、上記の画像形成されたレシーバ要素または複数の画像が形成されたレシーバ要素の実施形態がもたらされる。
【0015】
図面において、参照符号は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像集成体の実施形態の側面図である。
【図2】画像形成されたドナー要素および画像形成されたレシーバ要素の実施形態の側面図を示し、ここで、転写層はレシーバ要素上に配置され、第2の層の一部は転写層上に配置される。
【図3】アニーリング後の(post−annealing)、画像形成されたレシーバ要素の側面図を示し、ここで、転写層はレシーバ要素上に配置され、第2の層の一部は転写層上に配置される。
【図4】複数の画像が形成されたレシーバ要素ならびに画像形成されたドナー要素の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、例えば、本明細書に記載されたドナー要素と接触している導電性層を有する、液晶ディスプレイまたは他のディスプレイなどの様々な用途に使用するためのカラーフィルターを形成するのに用いることができる。本明細書においてある範囲の数値が言及されている場合、特に記載しない限り、その範囲は、その端点、ならびにその範囲内の全ての整数および端数を含むものとする。ある範囲を規定している場合、本発明の様々な実施形態の範囲が言及された特定の値に限定されるものではない。さらに、本明細書に記載された全ての範囲は、具体的に記載された特定の範囲だけでなく、言及された最小値および最大値を含む、その範囲内の値の任意の組合せも含むものとする。
【0018】
図1は、熱転写プロセスに使用するためのドナー要素(10)を示す本発明の一実施形態を示し、本ドナー要素は、
(a)支持層(11)と;
(b)支持層(11)によって支持される転写層(12)であって、顔料を含み、かつドナー要素(10)が光(18)に像様露光されたときに支持層(11)からレシーバ要素(20)へと像様転写可能である転写層(12)と;
(c)支持層(11)と転写層(12)との間に配置された第2の層(13)であって、バインダーと未硬化架橋剤(ここで、架橋剤は、画像形成後まで、架橋されないままである(例えばアニーリング前の(pre−annealed)架橋剤))とを含むが実質的に顔料を含まない第2の層(13)とを含み、
第2の層(13)のバインダーは、ドナー要素(10)を露光させたときに、第2の層(13)を転写層(12)とともに実質的に転写させる分子量Mnを有する。
【0019】
本発明に関して、「実質的に顔料を含まない」、「実質的に顔料がない」などは、5重量%未満の顔料を指す。顔料、例えば4%未満、3%、2%、および1重量%の顔料といった、さらに少ない最大量の顔料にも有用性が見られる。
【0020】
本発明に関して、「実質的に転写された」第2の層は、第2の層の体積および質量の尺度のうちの少なくとも1つで50%を超える第2の層の転写を指す。例えば、典型的に、ドナー要素は、支持層に塗布される溶媒または水で希釈した配合物の層のコーティングおよび乾燥工程を繰り返すなどのコーティング技術によって、1枚ずつ形成される。ドナー要素製造中および画像形成の前後の厚さおよび重量を測定することにより、転写される全体積および質量が判明し;転写および転写される材料の量の測定の後、転写層などのより上部の層の体積および質量を差し引くことにより、転写される第2の層の最大の厚さおよび質量が判明する。転写層および第2の層の全てならびに下層の一部を転写することがさらに可能である。転写の他の好適な範囲は、第2の層の60%超、70%、80%、または90%である。
【0021】
本発明の別の実施形態は、(d)図1に示されるように支持層(11)と転写層(12)との間に配置された光熱変換層(14)であって、光吸収材を含有する光熱変換層(14)をさらに含む上記のドナー要素(10)を意図している。
【0022】
本発明のある実施形態では、光吸収材が層(a)〜(c)のうちの少なくとも1つにわたって組み込まれ分散されるため、光熱変換層(14)は不要である。
【0023】
ドナー要素(10)の支持層(11)は、例えば、別の支持基部がなくても自立可能なフィルムまたはシートなどの、当該技術分野で公知の任意の好適な自立フィルムまたはシートであってもよい。典型的な支持層成分(11)としては、限定されないが、ポリエステルポリマー(例えば合成線状ポリエステルから作製される)が挙げられる。支持層(11)は、例えば押出しなどの当該技術分野で周知の従来の技術によって形成されてもよい。
【0024】
合成線状ポリエステルは、1種または複数のジカルボン酸またはそれらの低級アルキル(6個以下の炭素原子)ジエステル(例えばテレフタル酸、テレフタル酸ジメチルのジエステル、イソフタル酸、フタル酸、2,5−、2,6−、もしくは2,7−ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ヘキサヒドロ−テレフタル酸または1,2−ビス−p−カルボキシフェノキシエタン(任意に、ピバリン酸などのモノカルボン酸を含む))と、1種または複数のグリコール、特に脂肪族または脂環式グリコール(例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール)とを縮合させることによって得られる。テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸およびエチレングリコールなどの脂肪族グリコールが好ましい。さらにまた、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、もしくは2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸などのw−ヒドロキシアルカン酸(典型的にC3〜C12)などのヒドロキシカルボン酸モノマーから誘導される単位を含有するポリエステルまたはコポリエステルを用いてもよい。
【0025】
好適な市販の支持層の限定されない例としては、Melinex(登録商標)573、Melinex(登録商標)6442、Melinex(登録商標)LJX111、Melinex(登録商標)およびMelinex(登録商標)453ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(全てDuPont Teijin Films(Wilmington DE)から入手可能)が挙げられる。
【0026】
支持層(11)は、典型的に、約20〜約200ミクロンの範囲、好ましくは約25〜約100ミクロンの範囲、より好ましくは約50〜約100ミクロンの範囲の厚さを有する。しかしながら、上記の厚さより厚いかまたは薄い厚さを有する支持層(11)を本発明とともに用いてもよいことが注記される。好ましくは、支持層(11)は平坦であり、上に付着される次の層もまた均一になり得るように一貫したまたは均一な厚さを有する。好ましくは、支持層(11)は、様々な熱画像形成プロセスにおける通常の使用中に傷が付いたりまたは変形したりしてはならない。支持層(11)を通してドナー要素(10)の照射を行ってもよい。
【0027】
典型的に、転写層(12)は、ドナー要素(10)の最外層として位置決めされる。転写層(12)の組成は、当業者に公知であり、意図される用途に応じて異なる。好ましくは、転写層(12)は、ポリマー、熱可塑性材料、熱硬化性材料またはかかる材料の組合せを含むバインダーを含む。転写層(12)は、特定の用途のための必要に応じて、その全体または選択した部分のみが転写され得る。
【0028】
典型的に、転写層(12)は、バインダー、好ましくはバインダー樹脂またはバインダーポリマーを含み、かかる樹脂は、ポリマーまたはオリゴマーならびに重合性または架橋性であり得る。転写性層を形成する際に使用するのに好適なバインダーとしては、限定されないが、例えば、フェノール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニリデン、セルロースエーテルおよびエステル、ニトロセルロース、アクリレートポリマーおよびコポリマー、ならびにメタクリレートポリマーおよびコポリマー、エポキシ樹脂、エチレン性不飽和樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルフィド、ならびにポリカーボネートなどの塗膜形成ポリマーが挙げられる。ポリマー分子量は、高いかまたは低いことがあり;ポリマーはオリゴマーであってもよい。
【0029】
典型的に、転写層(12)はまた、顔料を含有し、同様に、例えば、染料(例えば赤外線染料または近赤外線染料)、分散剤、界面活性剤、安定剤、架橋剤、可塑剤、赤外線吸収材、偏光子(polarizer)、液晶材料、磁性粒子、絶縁粒子、伝導性粒子、液晶ディスプレイ用のスペーサ、蛍光体などの放射性粒子および/またはエレクトロルミネッセント材料、インクジェットレセプター用の仕切りバンク(partition bank)などの疎水性材料、親水性材料、微細構造またはナノ構造層、フォトレジスト、金属、ポリマー含有層、接着剤、バインダー、酵素または他の生体材料、あるいは当該技術分野で公知の他の好適な材料ならびにこれらの材料の好適な組合せなどの、当該技術分野で公知の任意選択の添加剤も含有する。任意選択の添加剤は、当該技術分野で公知の量で存在し、例えば、界面活性剤は、層の全固形分を基準にして約0.5%〜約2%の範囲の量で存在してもよく、近赤外線染料は、約0.5%〜約5%の範囲の量で、架橋剤は、層の全固形分を基準にして約4%〜約25%の範囲の量で存在してもよい。
【0030】
本発明の実施形態の転写層(12)に使用するための好適な顔料の限定されない例としては、カーボンブラック、黒鉛、ピグメントバイオレット7、ピグメントブルー15:6、ピグメントバイオレット23、ピグメントレッド254、ピグメントイエロー83および180ならびにピグメントグリーン36が挙げられる。顔料は、典型的に、一般に転写層(12)に含有される全固形分を基準にして約10%〜約50%の範囲の、特定の顔料について(すなわち色によって)当該技術分野で周知の量で存在し、例えば青色顔料は固形分の20%の量で、および赤色顔料は固形分の約45%の量で存在する。典型的に、転写層(12)の好適な厚さは、当該技術分野で周知の厚さである。好ましくは、転写層(12)は、約2ミクロン以下、好ましくは約0.5ミクロン〜約1.6ミクロンの範囲の厚さを有し、より好ましくは転写層(12)は約0.6ミクロンの厚さを有する。
【0031】
画像形成性ドナー要素(10)の第2の層(13)は、典型的に、支持層(11)と転写層(12)との間に配置され、転写層(12)を形成するのに用いられる同じタイプのバインダーを含み得る。しかしながら、転写層(12)と異なり、第2の層は、実質的に顔料を含まない(微量しか含まない)のが好ましく、より好ましくは顔料を含有しない。あるいは、第2の層(13)は、2色の(bi−pigmented)層であってもよく、第1の副層がある量の顔料を含有し得る一方、第2の副層が顔料を含まないような少なくとも2つの層を含む。
【0032】
第2の層(13)は、典型的に、約1,000〜約40,000の範囲、好ましくは約1,000〜約25,000の範囲、より好ましくは約1,000〜約15,000の範囲の分子量Mnを有するバインダーを含む。記載された分子量Mnを有するバインダーは、第2の層(13)の実質的な転写をもたらし、ここで、適切な光源に露光させると、層内で凝集破壊があり、または第2の層と支持体とが分かれる。特に記載しない限り、分子量は、ポリスチレン標準に対するゲル透過クロマトグラフィーを含む周知の手段で測定して、統一原子質量単位で表した数平均分子量Mnを指す。
【0033】
一実施形態では、第2の層は架橋されないが、架橋剤に対して化学結合を形成可能な反応基を有する架橋剤ならびにかかる反応基を有するポリマーまたはバインダーの存在によって後に架橋可能であってもよい。反応を架橋するための反応基のいくつかの好適な組合せとしては、ヒドロキシルおよびイソシアネート;ヒドロキシルおよびカルボキシル;ヒドロキシルおよびメラミン−ホルムアルデヒド;カルボキシルおよびメラミン−ホルムアルデヒド;カルボキシルおよびアミン;カルボキシルおよびエポキシ、エポキシおよびアミン;およびカルボン酸無水物およびアミンが挙げられる。架橋官能基の組合せをいくつかの方法で用いることができる。一方の架橋官能基をバインダーポリマー主鎖に組み込み、他方を多官能性低分子量架橋剤として添加することができる。一方の架橋官能基をバインダーポリマー主鎖に組み込み、他方を異なるバインダーポリマー主鎖に組み込むことができる。架橋官能基を両方とも同じバインダーポリマー主鎖に組み込むことができる。最終的な物体の所望の架橋密度は、架橋モノマーの組合せの相対量を示す。画像形成およびドナー要素からレシーバ要素への第2の層の転写の後に架橋反応が行われて、第2の層の大部分が転写されることが好ましい。
【0034】
一実施形態では、第2の層(13)および転写層(12)は、同じバインダーの少なくとも一部を用いて形成され;したがって、画像形成プロセス中に照射が行われるとき、2つの層の境界面における光散乱が最小限に抑えられ、好ましくは、各層の連続相が同じ屈折率値に近いかまたはそれと同等であることによって光散乱がなくされる。各相において同じバインダーの共有される部分は、1以上、10、30、50、70、または90重量%であり得る。例えば、転写層が35重量%の1種のバインダーを有するとき、第2の層は52重量%の同じバインダーを有し、そしてバインダーの共有される量は、30重量%を超えかつ50重量%未満である35重量%である。
【0035】
一実施形態では、転写層および第2の層は両方とも、少なくとも1つの実質的に同一のバインダーを含む。2つのバインダーがわずかに異なる組成のものであるとき、その組成が10重量%以下だけ異なり;90%超が同じである場合、1つの実質的に同一のバインダーと呼ぶことができる。以下のポリマーを考慮されたい。全ての組成物は重量によって表されている。(a)ブチルメタクリレート、42%;メチルメタクリレート、40%;アクリル酸、9%;メタクリル酸、9%;(b)ブチルメタクリレート、42%;メチルメタクリレート、40%;アクリル酸18%;(c)ブチルメタクリレート、40%;メチルメタクリレート、40%;メタクリル酸、20%;(d)ブチルメタクリレート、40%;メチルメタクリレート、42%;メタクリル酸、18%。組成物(a)は、91%が(b)と重複し、実質的に同一であり;89%が(c)と重複し、実質的に同一ではなく;89%が(d)と重複し、実質的に同一ではない。組成物(b)は、80%が(c)と重複し、実質的に同一ではなく、一方、組成物(c)は98%が(d)と重複し、それらは実質的に同一である。
【0036】
典型的に、第2の層(13)の好適な厚さは、ドナー要素の層について当該技術分野で周知のものである。好ましくは、第2の層(13)は、約4ミクロン以下の厚さ、より好ましくは約1ミクロンの厚さを有する。
【0037】
第2の層(13)に含有される架橋剤は、画像形成後まで架橋されないままである(未硬化またはアニーリング前の架橋剤としても知られている)のが好ましい。画像形成後に初めて架橋させるべき架橋剤を提供することにより、第2の層(13)の開裂が可能であり、ここで、第2の層(13)の少なくとも一部(好ましくは大部分)が、転写層(12)とともに受像要素に転写され、それによって画像に耐久性を与える。
【0038】
本発明の実施形態に用いるのに好適な架橋剤としては、内部架橋剤(例えば、ここで、ポリマー自体が、架橋機能を行うのに好適な共有結合基を有する)ならびに外部架橋剤(例えば、ここで、かかる架橋剤はポリマーとともに方法またはプロセスに追加される)の両方を含む当業者に公知の架橋剤が挙げられる。例えば、好適な架橋剤としては、限定されないが、多価アルコールのポリアルキレンオキシド(例えばエトキシ化トリメチロールプロパン、エトキシ化ペンタエリトリトール、エトキシ化ジペンタエリトリトールならびにトリオール、テトラオール、およびより高級なポリオールの他のエトキシ化、ポリエトキシ化、プロポキシ化、およびポリプロポキシ化誘導体)、ポリアクリレート(例えばトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ−、ヘキサ−アクリレート)、多価アルコールのポリアルキレンオキシドアクリレート(例えばエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、エトキシ化ジペンタエリトリトールペンタ−、ヘキサ−アクリレート、アクリル化デンドリマー、エトキシ化ビス−フェノールAジアクリレートまたはジメチルアクリレート)ならびにメラミンホルムアルデヒドが挙げられる。また、これらの架橋剤のブレンドを用いてもよい。これらのアクリレートは、熱的にまたは光化学的に誘導される。
【0039】
架橋剤は、層の全固形分を基準にして、約4%〜約25%固形分の範囲、より好ましくは約6%〜約20%の範囲、最も好ましくは、層の全固形分を基準にして約10%〜約15%固形分の範囲の量で存在するのが好ましい。
【0040】
本発明の実施形態の第2の層(13)に用いるのに好適な顔料の限定されない例としては、カーボンブラック、黒鉛、ピグメントバイオレット7、ピグメントブルー15:6、ピグメントバイオレット23、ピグメントレッド254、ピグメントイエロー83および180ならびにピグメントグリーン36が挙げられる。顔料は、典型的に、一般に転写層(12)に含有される全固形分を基準にして約10%〜約50%の範囲の、特定の顔料について(すなわち色によって)当該技術分野で周知の量で存在する。任意選択の光熱変換層(14)は、支持層(11)と転写層(12)との間に配置され、ここで、光熱変換層(14)は光吸収材を含有する。光吸収材は、放射線源から放出された入射光を吸収し、入射光の少なくとも一部を熱に変換し、それによって画像転写プロセスを可能にする働きをする。
【0041】
任意選択の光熱変換層(14)は、典型的に、当業者に周知のバインダー、好ましくはバインダー樹脂を含み、かかる樹脂は、ポリマーまたはオリゴマーならびに重合性または架橋性であり得る。この層を形成する際に使用するのに好適なバインダーとしては、限定されないが、例えば、フェノール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニリデン、セルロースエーテルおよびエステル、ニトロセルロース、アクリレートポリマーおよびコポリマー、ならびにメタクリレートポリマーおよびコポリマー、エポキシ樹脂、エチレン性不飽和樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルフィド、ならびにポリカーボネートなどの塗膜形成ポリマーが挙げられる。ポリマー分子量は、高いかまたは低いことがあり;ポリマーはオリゴマーであってもよい。
【0042】
典型的に、任意選択の光熱変換層(14)は、例えば好ましくは約10重量%〜約30重量%の範囲などの、当業者に公知の量の光吸収材を含有する。任意選択の熱光変換層(14)は、約830ナノメートルの波長で照射したときに約20%〜約60%の範囲(好ましくは約45%)の透過率%を示すのが好ましい。例えば、染料、顔料、金属化合物、金属元素および炭素化合物などの、好適な光吸収材の限定されない例およびそれぞれの用いられる量は、当該技術分野で周知である。
【0043】
任意選択の光熱変換層(14)は、光吸収材に加えて他の添加剤も含有してもよく、かかる添加剤としては、当業者に公知であるものが挙げられる。
【0044】
図2は、画像形成されたレシーバ要素(21)を示す本発明の別の実施形態を示し、この画像形成されたレシーバ要素(21)は、
(1)受像要素(20)と;
(2)顔料を含有する転写層(12)であって、受像要素(20)上に配置された転写層(12)と;
(3)多層画像が形成される転写層(12)上に配置された第2の層(13)の少なくとも一部(好ましくは大部分)とを含み、第2の層(13)は、実質的に顔料を含まないバインダーを含む。
【0045】
画像形成されたレシーバ要素(21)は、所定のパターンの光(18)によって画像形成した後に、図1の集成体から画像形成されたドナー要素(22)を分割することによって作製される。分割は、例えば、光(18)によって画像形成した後に、レシーバ要素(20)からドナー要素支持層(11)を剥離することによって容易に行われる。
【0046】
画像形成に用いられる光は、例えば紫外光、可視光、近赤外光、赤外光、または光波長の組合せであり得る。高強度が利用できること、高速スイッチング、狭い波長域、およびレーザー光源のコストが低いこと(このため画像のパターニングに適している)から、光の好ましい形態はレーザー光である。
【0047】
集成体は、集成体の保持のされ方(例えばドラム上またはフラットベッド上のいずれか)によって主に区別される少なくとも2つの異なる型の熱画像形成機器を用いて画像形成することができる。830nmの波長で動作する20Wレーザーヘッドを備えたCreo Model 3244 Spectrum Trendsetter(Kodak Graphics Communications Canada(旧Creo),Vancouver,Canada)などの従来のドラム型の画像形成装置は、可撓性のレシーバ要素の画像形成に適している。集成体は、そのドナー要素の支持層側を照明することによって画像形成することができる。集成体は、真空ホールドダウン(vacuum hold down)を用いて、ドラムに機械的に固定された標準的なプラスチックキャリアプレートに取り付けることができる。コンピュータによってレーザー出力を制御して、ヘッドまたはドラムの少なくとも一方を動かして、レーザーヘッドを用いて所望の画像パターンを形成させる。例えばカラーフィルターについては、赤色、緑色および青色のドナー要素を同じ元のレシーバ要素上に連続して画像形成することによって所望の3色の画像を形成することができる。色の露光順序は、システム要件(例えば最適露光特性)によって変わり得る。
【0048】
別の種類の画像形成装置(「フラットベッド」)は、典型的に、同一の画像形成レーザーヘッドならびにレーザーヘッド用の関連する制御および移動手段を用いることができるが、集成体は、ドラム型ではなく画像形成用の可動フラットベッド型に保持される。フラットベッド画像形成装置は、ガラスなどの比較的硬質の平坦な試料の露光に好ましい。露光される試料は、真空ホールドダウンを用いて、画像形成ヘッドの下に位置決めされた並進移動台(translation stage)に取り付けることができる。露光の際、試料は、典型的に、適切な速度(例えば1〜2m/秒)で画像形成ヘッドを通過して並進移動される。各露光パスの完了後、画像形成ヘッドを、試料の並進移動と垂直な方向に並進移動させて、次の画像形成パスに向けて、集成体の新しい未露光の領域をレーザーの前に移動させることができる。このプロセスを繰り返して、露光を完了させる。ドラム画像形成装置などの場合、赤色、青色および緑色のドナーを任意の所望の順序で同じレシーバ要素に連続して露光することによって所望の3色画像が形成される。
【0049】
集成体の移動の精度は重要である。有用なフラットベッド位置決めシステムは、駆動システムとして適切なリニアブラシレスサーボモータ、ならびに非接触式リニアエンコーダまたは位置フィードバック用のレーザー干渉計を用いて構成されたリニア空気軸受を用いて構成することができる。分解能(resolution)は、典型的に、レーザー干渉計については0.3ナノメートル〜79ナノメートル程度、または非接触式リニアエンコーダについては4〜1000ナノメートル程度の精度であり得、精度は±1ミクロンであり、0.4ミクロンまでの再現性を有し、真直度および平坦度の公差(differential straightness and flatness)が25ミリメートル当たり0.5ミクロンであり、最大偏差は±3ミクロンである。適切な並進移動台システムは、Aerotech,Inc.(Pittsburgh,Pa)製のABL80075である。
【0050】
典型的な画像形成システムでは、レーザー出力および並進移動速度が制御可能であり、受像表面上の転写画像の目視検査または機器による検査で判断しながら画像品質を最適化するように、逐次、試験し調節することが可能である。
【0051】
典型的に、用いられる光吸収材の濃度は、集成体に必要な加熱を与えるために用いられる光強度に適合される。例えば、光吸収材は、熱転写を起こすための画像形成工程の際に利用可能な光から好適な量のエネルギーを吸収するために、入射光の少なくとも30%、より好ましくは、画像形成光の最高強度の波長で画像形成する際に用いられる入射光の50%超、60%、70%、80%、または90%などの吸収度を示し得る。
【0052】
一実施形態では、画像形成されたレシーバ要素(21)は、転写材料を処理するために加熱され得る。一実施形態では、加熱は、図2の第2の層13の転写される部分の表面などの未加工材料の流動(「アニーリング」と呼ばれる)を起こして、図3に示されるような、層13のより滑らかに表面加工された材料をもたらすことができる。別の実施形態では、加熱により、層(図3の層12、層13、または層12および13の両方など)内の構成要素の架橋を起こすことができる。架橋をもたらす反応が進行するにつれて、流動は減少し、やがて停止することが予想される。アニーリングおよび架橋に用いられる加熱は、有用であることが分かっている任意の温度または時間であってよく;例えば、有用であると予想される温度は、80、100、140、180、220、および260℃のうちの1つより高く、かつ90、120、160、200、260、および300℃のうちの1つより低い温度であり、加熱時間は、1、10、30、および90分間ならびに1、3、5、10、および20時間のうちの1つを超え、かつ5、20、100、および300分間ならびに2、4、8、16、30、および100時間のうちの1つ未満の時間である。
【0053】
本発明の別の実施形態は、複数回画像形成され、それによって少なくとも2つの多層の画像(上記の構成要素(2)および(3))が上に付着されている画像形成されたレシーバ要素(図4の複数の画像が形成されたレシーバ要素(24)、例えばカラーフィルター)を意図しており、ここで、第1の多層画像の高さ(H1)(図4の右側および左側の点線の付いた特徴部)が、少なくとも第2の多層画像の高さ(H2)(図4の転写層12および第2の層13を含む中央の特徴部)とほぼ同様である。一実施形態では、同様の高さの2つの画像のうちの一方のみが第2の層を有し;別の実施形態では、各画像が相応する第2の層を有するが、この第2の層は互いに同一である必要はない。
【0054】
本発明に関して、レシーバ要素上の画像の高さは、画像を支持するレシーバ要素の表面に垂直に測定される。転写画像の下のレシーバ要素表面の高さは、レシーバ要素と画像との間の2つの縁部に近い高さから線形補間された高さに等しいものとみなされ得る。高さを比較する際に、かかる高さは、同じ技術によって測定されるべきである。適切な技術としては、物理的高さ測定(例えばレシーバ要素表面を横切り、転写画像の縁部を横切り、転写画像の隣接部分を横切り、同じ転写画像の縁部を横切り、およびレシーバ要素表面を横切って順次移動される位置記録スタイラスなどのスタイラスを用いたもの);あるいは例えば干渉法による光学的高さ測定が挙げられる。好適な機器としては、Tencor P15 Profilometer(KLA−Tencor,San Jose,CA)またはLaserScan LT8010(Solarius Development,Inc,Sunnyvale,CA)が挙げられる。平均高さを用いることができ;特に高さ平均値または高さ中央値を用いることができる。高さの比較は、離隔の距離が1cm以下の範囲内で決定された高さについてなされるべきである。高さの差が正値未満であると記載される場合、これは、両方の値および0が、それぞれの高さの複数の測定から導かれる2つの平均値の絶対差の90%信頼区間内にあることを意味することが理解される。
【0055】
典型的なレシーバ要素(20)が多数回画像形成されてもよく、各多層画像は対応する高さ(Hn)を有し、ここで、「少なくとも第2の多層画像」という用語は、この態様を考慮に入れることを意味する。好ましくは、第1の多層画像の高さ(H1)および少なくとも第2の多層画像の高さ(H2)(ならびに任意の次の多層画像の高さ(Hn))は、(アニーリング前またはアニーリング後のいずれかで)0.5ミクロン未満だけ、より好ましくは(アニーリング前またはアニーリング後のいずれかで)0.2ミクロン未満だけ、および最も好ましくは(アニーリング前またはアニーリング後のいずれかで)0.1ミクロン未満だけ異なる(高さの差がある)。したがって、これらの実施形態では、転写層(12)の領域の全体は(その厚さに対して)画像形成プロセス中に転写され、ここで、様々な転写される部分間のいかなる高さの差も、第2の層(13)がスペーサおよび実質的な高さ等化材(height equalizer)として働くことによって最小限に抑えられる。
【0056】
本発明の実施形態で使用するためのレシーバ要素(20)は、当該技術分野で周知の特定の用途または最終用途に適した任意の基板であってよく、ここで、かかるレシーバ要素(20)としては、限定されないが、例えばガラス、フィルム(例えば透明フィルム、ポリマーフィルムなど)、プラスチック、紙、および金属などの、剛性基板および可撓性基板の両方が挙げられる。
【0057】
図面に示されるように、画像形成されたレシーバ要素(21)は、転写層の一部(典型的にその厚さ全体にわたる)ならびに第2の層(13)の一部(多層画像)を含む。その粗さに関する表面テキスチャの特徴は、表示Rqまたはrmsで表されて、当該技術分野で周知である。Rqまたはrmsは、平均線形表面から評価および測定された長さまたは面積内で取られた測定高さ偏差の二乗平均平方根平均値(root−mean−square average)を示す。言い換えれば、Rqまたはrmsは、プロファイル高さの標準偏差を表す。典型的に、第2の層(13)が用いられない場合、画像形成出力が増大するにつれてRqも許容可能な範囲を上回る値まで急激に増大する。しかしながら、第2の層(13)を用いることで、画像形成出力が増大したときのRq値の増大がたとえあったとしてもわずかに過ぎなくなる。第2の層(13)の一部を組み込むことにより、その高さ適合機能に加えて、多層画像の表面を非常に滑らかにすることが可能になり、ここで、表面が40ナノメートル未満、より好ましくは約20ナノメートル未満のRq値を有するのが好ましい。
【0058】
一実施形態では、レシーバ要素と第2の層との間に配置された第2の層および転写層を有する、本発明の画像形成されたレシーバ要素は、伝導性層が第2の層と接触するように、伝導性層でコーティング可能である。異なる高さの異なる3色が画像形成された層を有するカラーフィルターなどの他の既に知られている場合では、画像形成されていない平坦化層が、インジウム−スズ酸化物などの伝導性層が平坦化層の上部のレシーバ要素に適用される前に、画像形成された層上に設置される。このような場合、伝導性層は画像形成された層と接触しない。本発明の一実施形態の第2の層の高さを適切に調節することによって、当該第2の層を有する画像形成された層の高さを、別の画像形成された層の高さに適宜近くなるように増大または減少させることができ、これによって、第2の層に接触する伝導性層の適用の前に平坦化層の必要がなくなる。かかる物体は、カラーフィルターとしてまたはディスプレイにおいて有用であり得る。
【0059】
他の考えられる伝導性層の成分としては、例えば、アルミニウムでドープされた酸化亜鉛、銅および銀などの金属、ポリアニリンなどの高分子導体、およびカーボンナノチューブなどの有機導体を含むものが挙げられる。
【0060】
本発明の別の実施形態は、
(i)本明細書に記載されるドナー要素(10)および受像要素の実施形態の組合せを含む画像形成性集成体を形成する工程と;
(ii)画像形成性集成体を照射する工程と;
(iii)ドナー要素(10)と受像要素とを分割する工程であって、ドナー要素(10)の第2の層(13)で開裂が生じる工程と
を含む画像形成方法を意図している。
【0061】
上記の画像形成方法は、
(iv)受像要素をアニーリングする工程であって、第2の層(13)の表面が5未満のRq値を有する工程
をさらに含んでもよい。
【0062】
一般に、ドナー要素(10)を受像要素と接触させ、ドナー要素(10)を照射し、それによって転写層(12)の厚さ全体にわたって転写層(12)の一部を転写するとともに第2の層(13)の一部を転写して、それによって第2の層(13)内で第2の層(13)の開裂を生じさせることによって、画像形成プロセスを行う。本発明の実施形態の結果、転写層(12)の100%の転写が提供され、また、第2の層(13)の一部の転写も提供される。したがって、熱画像転写プロセス中に機能層のいかなる部分も失われない。「接触」という用語の使用は、本発明の実施形態において、(1)ドナー要素(10)およびレシーバ要素(20)の実施形態の様々な層が連続しているかまたは任意の隣接層と同延である場合、あるいは(2)熱処理される領域内の材料の十分な転写をもたらすために画像形成プロセス中に材料の転写を行うために2つの表面間の十分な接触があり、その目的の用途において機能しない転写画像を与えるおそれのあるいかなる間隙も画像形成領域に存在しない場合を指す。
【0063】
画像形成性集成体(1)は、例えば、可視光、赤外線、近赤外線、または紫外線などの、様々な波長の放射線を用いて照射され得る。したがって、放射線源は、赤外レーザー、可視レーザーおよび紫外レーザーを含むレーザーなどの高出力の光源を含むがこれらに限定されない当該技術分野において周知の放射線源であり得る。集成体は、多数の小型の、個別に制御される光のレーザービーム(画素)によって同時に照射されてもよい。集成体は、複数のレーザービームに対して移動可能である。
【実施例】
【0064】
以下の成分を用いた。
【0065】
CARBOSET(登録商標)XPD−2091(Noveon,Inc.,Cleveland,OH)は、ジメチルエタノールアミンを含む水中43%固形分におけるスチレンアクリルコロイド分散系ポリマーであり、3500のポリマー重量平均分子量、70℃のガラス転移温度、10℃未満の最低塗膜形成温度、およびポリマー1グラム当たり170mg KOHの酸価を有する。
【0066】
CARBOSET(登録商標)GA−2300(Noveon,Inc.,Cleveland,OH)は、アンモニアを含む水中28%固形分におけるアクリルコロイド分散系ポリマーであり、11,000のポリマー重量平均分子量、70℃のガラス転移温度、0℃未満の最低塗膜形成温度、およびポリマー1グラム当たり200mg KOHの酸価を有する。
【0067】
ZONYL(登録商標)FSAは、水とイソプロパノールとのブレンド中の25%固形分のフッ素系界面活性剤溶液であり、E.I.du Pont de Nemours,Inc.(Wilmington,DE)から入手可能なRfCH2CH2SCH2CH2CO2Li(式中、Rf=F(CF2CF2xであり、ここでxは1〜約9である)を含む。
【0068】
SDA−4927は、830nm付近の波長の光を選択的に吸収することによって熱質量転写を促進するためのレーザー光吸収に適した、2−[2−[2−クロロ−3[2−(1,3−ジヒドロ−1,1ジメチル−3−(4ジメチル−3(4スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]エテニル]−1,1−ジメチル−3−(スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、遊離酸、赤外線染料[CAS No.162411−28−1](H.W.Sands Corp.(Jupiter,FL)から入手可能)である。
【0069】
2,2’−(オキシビス(メチレン))ビス(2−ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール)との、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),−ヒドロ−T−ヒドロキシ−,エーテル(6:1)としても公知のPolyol DPP(登録商標)130(CAS No.50977−32−7)は、(−CH23CCH2OCH2C(CH2−)3化学構造を含むエトキシ化ジペンタエリトリトールポリマー清澄液(Perstorp Polyols Inc(Toledo,OH)から入手可能)である。
【0070】
Surfynol DF110D(Air Products and Chemicals,Allentown,PA)は、ジプロピレングリコール中32%活性固形分における、非イオン性の、非シリコーン、アセチレンベースの消泡剤(2,5,8,14−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、CAS[68227−33−8])である。
【0071】
青色顔料分散系BPDは、顔料対バインダー/分散剤比が1.95:1の青色および紫色顔料の36%固形分の水性組成物である。
【0072】
組成物PL−01は、179.3部の蒸留水と、3.38部の3%アンモニア水と、2部のZonyl FSA(登録商標)と、1.3部のSDA 4927と、71.68部のBPDと、9部のPolyol DPP−130と、0.5部のSurfynol DF110Dと、224.26部のCarboset GA2300との混合物であった。
【0073】
組成物PL−02は、260.3部の蒸留水と、3.38部の3%アンモニア水と、2部のZonyl FSA(登録商標)と、1.3部のSDA 4927と、86.51部のBPDと、9部のPolyol DPP−130と、0.5部のSurfynol DF110Dと、205.19部のCarboset GA2300との混合物であった。
【0074】
組成物IL−01は、1373.9部の蒸留水と、3.38部の3%アンモニア水と、2部のZonyl FSA(登録商標)と、1.3部のSDA 4927と、9部のPolyol DPP−130と、0.5部のSurfynol DF110Dと、316.41部のCarboset GA2300との混合物であった。
【0075】
組成物IL−02は、922.1部の蒸留水と、3.38部の3%アンモニア水と、2部のZonyl FSA(登録商標)と、1.3部のSDA 4927と、9部のPolyol DPP−130と、0.5部のSurfynol DF110Dと、316.41部のCarboset GA2300との混合物であった。
【0076】
組成物IL−03は、658.47部の蒸留水と、3.38部の3%アンモニア水と、2部のZonyl FSA(登録商標)と、1.3部のSDA 4927と、9部のPolyol DPP−130と、0.5部のSurfynol DF110Dと、316.41部のCarboset GA2300との混合物であった。
【0077】
光熱変換層を含有する支持層(1)が、830ナノメートルの波長における光の約45%透過率を得るために近赤外線染料を含有する薄い(約200ナノメートル)高分子光熱変換層で、転写層をコーティング可能な側をコーティングされた厚さ50ミクロンの透明なポリエチレンテレフタレートポリエステルフィルムによって得られた。
【0078】
Tencor P−15 Stylus表面形状測定装置(KLA−Tencor,San Jose,CA)を用いて、転写される材料の高さ(nm)を測定し、Rq(粗さ指数)(nm)で示される表面粗さ値を決定した。
【0079】
好適な画像形成装置は、830nm付近で発するレーザーを用いるCreo Spectrum Trendsetter 3244F(CREO,Burnby,BC,Canada)である。この装置は、Spatial Light Modulatorを用いて、約830nmのレーザーダイオードアレイからの5〜50ワットの出力を分割し変調する。関連する光学素子は、この光を画像形成性要素上に焦点を合わせる。これにより、ドナー要素上に0.1〜30ワットの画像形成光が生成され、50〜240の個別ビームのアレイに焦点合わせされ、各々が、約10×10〜2×10ミクロンスポットにおいて10〜200mWの光を有する。同様の露光は、米国特許第4,743,091号明細書に開示されるように、スポット当たり複数の個別のレーザーによって得られる。この場合、各レーザーは、780〜870nmにおいて50〜300mWの電気的に変調された光を発する。他の選択肢としては、500〜3000mWを発し、各々が媒体上で個別に変調され焦点合わせされるファイバーカップルレーザーが挙げられる。かかるレーザーは、Opto Power(Tucson,AZ)から得られる。転写される材料の色を、Ocean Opticsダイオード分光光度計(Ocean Optics,Dunedin,FL)を用いて測定した。
【0080】
配合物の全ての測定は、特に記載しない限り、重量部基準である。
【0081】
実施例1〜5
#11巻き線ロッドを用いて、転写層前駆体PL−01の平方デシメートル当たり約35mgの乾燥重量のコーティングを、支持層(1)のコーティングされる側にコーティングし、そのコーティングを乾燥させることによって比較用のドナー要素1(DE−PL01)を作製した。同様に、比較用のドナー要素2(DE−PL02)を、PL−02の平方デシメートル当たり約29mgの乾燥重量のコーティングで作製した。
【0082】
実験用のドナー要素3(DE−IL−01/PL02)を2段階で作製した。段階1では、支持層(1)の光熱変換層がコーティングされる側を、#5巻き線ロッドを用いて第2の層前駆体IL−01でコーティングし、次に乾燥させて、平方デシメートル当たり約4mgのIL−01のコーティング重量を得た。段階2では、支持層(1)の、光熱変換層および第2の層がコーティングされる側を、#11巻き線ロッドを用いて転写層前駆体PL−02でコーティングし、次に乾燥させて、平方デシメートル当たり約29mgのPL−02のコーティング重量を得た。
【0083】
実験用のドナー要素4(DE−IL−02/PL02)を2段階で作製した。段階1では、支持層(1)の光熱変換層がコーティングされる側を、#5巻き線ロッドを用いて第2の層前駆体IL−02でコーティングし、次に乾燥させて、平方デシメートル当たり約6mgのIL−02のコーティング重量を得た。段階2では、支持層(1)の、光熱変換層および第2の層がコーティングされる側を、#11巻き線ロッドを用いて転写層前駆体PL−02でコーティングし、次に乾燥させて、平方デシメートル当たり約29mgのPL−02のコーティング重量を得た。
【0084】
実験用のドナー要素5(DE−IL−03/PL02)を2段階で作製した。段階1では、支持層(1)の光熱変換層がコーティングされる側を、#5巻き線ロッドを用いて第2の層前駆体IL−03でコーティングし、次に乾燥させて、平方デシメートル当たり約8mgのIL−03のコーティング重量を得た。段階2では、支持層(1)の、光熱変換層および第2の層がコーティングされる側を、#11巻き線ロッドを用いて転写層前駆体PL−02でコーティングし、次に乾燥させて、平方デシメートル当たり約29mgのPL−02のコーティング重量を得た。
【0085】
ドナー要素を、フラットベッド画像形成装置を用いて集成体におけるガラスのシート上に画像形成した。画像は、長さが約10センチメートル以上、幅が100ミクロンで、200ミクロンの隙間によって隔てられた狭い間隔の線のパターンであった。カラーフィルターのために有用な画像形成と同様に、第2のおよび第3の画像形成により、これらの線を、線によって占有されていないが、予めパターン化された線と交互に配置された前述した隙間内に設置した。画像形成装置は、約1.3m/秒(9つの別個のレベルで1.0〜1.6m/秒で試験した)、および約15ワットのレーザーエネルギーでヘッドおよび集成体の移動に対して、約830nmの波長のダイオードレーザー光を用いて、一度に、隙間によって隔てられた16の線を画像形成することが可能な画像形成ヘッドを用いた。全ての画像形成が完了した後、画像を有する、分割された画像形成されたガラスを、1時間にわたって240℃で加熱した。次に、画像形成された線を、転写層の高さに対して比色分析で特性決定した。表1の結果が得られ、色をxyY値で表した。Rqは二乗平均平方根粗さであり、Wqは二乗平均平方根波形であり、リップ高さ(lip height)は、特徴部の最大幅に近い転写された材料に関して得られる過剰高さであり、段高さ(step height)平均は、転写された材料の平均高さである。目標色は、x=0.1415±0.008であり、y=0.081±0.009であり、Y=8.35±3であった。リップ高さは、画像形成されたパターンの縁の近くのレシーバ要素上の転写層を含むパターンの隆起した特徴部または縁部の高さを指し、転写層を含むパターンの平均高さを超える高さとして表される。
【0086】
【表1】

【0087】
1〜1.6m/秒の画像形成ヘッド移動速度で、転写された着色剤層が所要の規格内になるようにDE−PL−02を配合した。より低い着色剤濃度を有するより厚いフィルムに同等の色を与えることを意図して配合されたDE−PL−01は、より低い画像形成ヘッド速度(1.0、1.075、1.15、1.3m/秒)で色の表示(color specification)の範囲外であった。DE−IL−01/PL−02、DE−IL−02/PL−02、およびDE−IL−03/PL−02から転写された層の全ては、1.0m/秒でのDE−IL−01/PL−02を除いて色の表示の範囲内であった。また、第2の層の使用は、得られる明度を実質的に変更したり、または2つの層を改質したりせずに、粗さ、波形、転写される高さ、およびリップ高さの変更を可能にするのに利点を示した。用いられる第2の層のコーティング重量(W、mg/dm2)と得られる転写された高さ(H、nm)との間に以下のような非常に強い関係がある。
H=989.4(±42.4)+W*(142.3±7.9)
ここで、0、4、6および8で設定されたWのデータに基づく標準誤差である不確実性が伴う。これは、第2の層のためのコーティング重量の選択を用いて、第2の層と関連する転写層より厚い別の転写層の高さ適合を実現することができることを示す。142.3のW係数は、第2の層のほぼ全ての転写に(および場合により転写層の増加された転写にも)合わせて、約7mg/dm2の層が転写された層の高さを約1000nmだけ増加し得ることを示す。
【0088】
ドナー要素の比較例6〜7
Mizunoらの米国特許第6,228,543号明細書の表2の第13列のものと同様の第2の層の組成物を、76.5部のイソプロパノール、8.50部のメチルエチルケトン、0.69部のButvar B−98ポリビニルブチラール(Mw=40〜70K、80%ブチラール化(butyralated)され、20%ヒドロキシル化されたPVAとして)(Solutia,Inc,St.Louis,MO)、2.08部のJoncryl 67、バインダー1グラム当たり約3.8mMのカルボン酸濃度および12,000の数平均相対分子質量Mwを有するスチレンアクリルバインダーコポリマー(Johnson Polymer,Sturtevant,WI)、11.57部のSARTOMER SR351(トリメチロールプロパントリアクリレート、Sartomer(Exton,PA)から入手可能)および0.66部のIrgacure 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、CAS No.[119313−12−1]、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY))を含む約15%固形分で、あるいは20%固形分で配合した。
【0089】
15%固形分の配合物を、#6巻き線ロッドを用いて支持層(1)にコーティングして、ドナー要素6前駆体上の乾燥された配合物の平方デシメートル当たり約8mgの第2の層を得た。粘着性のドナー要素6前駆体を、窒素雰囲気中で約250mJの光によって紫外線硬化して、光化学架橋によって増加された分子量Mnを有する、乾燥した手触りの層をもたらした。ドナー要素6硬化前駆体を、#11巻き線ロッドを用いて転写層前駆体PL−02でコーティングし、次に乾燥させて、平方デシメートル当たり約29mgのPL−02のコーティング重量を得た。上記に例示したように、得られたドナー要素6(DE−Miz−8−PL−02)を、ガラスレシーバ要素を有する集成体に画像形成した。
【0090】
同様に、20%固形分の配合物を、#9巻き線ロッドを用いてコーティングして、ドナー要素7前駆体上の乾燥された配合物の平方デシメートル当たり約25mgの第2の層を得た。粘着性のドナー要素7前駆体を、窒素雰囲気中で約250mJの光によって紫外線硬化して、光化学架橋によって増加された分子量Mnを有する、乾燥した手触りの層をもたらした。ドナー要素7硬化前駆体を、#11巻き線ロッドを用いて転写層前駆体PL−02でコーティングし、次に乾燥させて、平方デシメートル当たり約29mgのPL−02のコーティング重量を得た。上記に例示したように、得られたドナー要素7(DE−Miz−25−PL−02)を、ガラスレシーバ要素を有する集成体に画像形成した。
【0091】
配合物IL−03を、#5巻き線ロッドを用いて支持層(1)上にコーティングして、ドナー要素8前駆体上の乾燥された配合物の平方デシメートル当たり約8mgの第2の層を得た。ドナー要素8前駆体を、#11巻き線ロッドを用いて転写層前駆体PL−02でコーティングし、次に乾燥させて、第2の層の分子量Mnを増加させ得る事前の紫外線硬化工程を用いずに、平方デシメートル当たり約29mgのPL−02のコーティング重量を得た。上記に例示したように、得られたドナー要素8(DE−IL03−8−PL−02)を、集成体の異なる別個の画像形成について同じレーザー出力設定および約1.225m/秒および約1.15m/秒の異なるレーザー移動速度を用いて、ガラスレシーバ要素を有する集成体に画像形成した。
【0092】
【表2】

【0093】
【表3】

【0094】
比較例6および7は明らかに、約1.225m/秒のレーザー画像形成速度で;画像形成されるレシーバに対するより低い高さの材料を転写した。第2の層中に紫外線硬化されたバインダーを有する比較用のドナー要素6(平方デシメートル当たり約8mgの乾燥コーティング重量)は、約957nmの高さを有する層を転写し;一方、第2の層中に紫外線硬化されたバインダーのより厚い層を有する比較用のドナー要素7(平方デシメートル当たり約25mgの乾燥コーティング重量)は、約610ナノメートルの高さを有するより薄い層を転写する。より低いMnのバインダーを有することによって;第2の層を架橋させる紫外線硬化工程を用いずに実験用の実施例8を行った。第2の層は実質的に転写され、2014nmの転写された層の高さが得られる。
【0095】
比較例6および7が、第2の層を含まない比較例2(約964nmの転写された高さ)に対して、不適切な第2の層(架橋または他の方法で過度に高い分子量Mnを有するもの)の使用が、レシーバ要素上に達する転写層の量を減少させるとともに粗さおよび波形に悪影響を及ぼすことを示している。より厚い不適切な第2の層(比較用の層7は比較用の層6より厚い層を有する)が実際に、転写される高さを低下させ、明度を規格から外れたものにすることも注記される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱転写プロセスに使用するためのドナー要素であって、
(a)支持層と;
(b)前記支持層によって支持される転写層であって、顔料を含み、かつ前記ドナー要素が光に像様露光された際に前記支持層からレシーバ要素へと像様転写可能である転写層と;
(c)前記支持層と前記転写層との間に配置された第2の層であって、バインダーを含むが実質的に顔料を含まない第2の層と
を含み、
前記第2の層のバインダーは、前記ドナー要素を露光させたときに、前記第2の層を前記転写層とともに実質的に転写させる分子量Mnを有する、ドナー要素。
【請求項2】
前記第2の層が架橋剤をさらに含み、前記第2の層のバインダーが、前記架橋剤と反応性の複数の基を含む、請求項1に記載のドナー要素。
【請求項3】
(d)前記支持層と前記転写層との間に配置され、光吸収材を含む光熱変換層
をさらに含む、請求項1に記載のドナー要素。
【請求項4】
層(a)、(b)および(c)のうちの少なくとも1つが光吸収材を含む、請求項1に記載のドナー要素。
【請求項5】
前記支持層が、ポリエステルポリマーを含む、請求項1に記載のドナー要素。
【請求項6】
前記ポリエステルポリマーが、グリコールと縮合されたジカルボン酸、自己縮合されたヒドロキシカルボン酸、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項5に記載のドナー要素。
【請求項7】
前記ポリエステルポリマーが、脂肪族グリコールと縮合された芳香族ジカルボン酸を含む、請求項5に記載のドナー要素。
【請求項8】
前記転写層がポリマーを含む、請求項1に記載のドナー要素。
【請求項9】
前記ポリマーが、フェノール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニリデン、セルロースエーテルおよびエステル、ニトロセルロース、アクリレートポリマーおよびコポリマー、メタクリレートポリマーおよびコポリマー、エポキシ樹脂、エチレン性不飽和樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリカーボネート、ならびにそれらの組合せおよびコポリマーからなる群から選択される、請求項8に記載のドナー要素。
【請求項10】
前記転写層が、染料、分散剤、界面活性剤、安定剤、架橋剤、可塑剤、赤外線吸収材、偏光子、液晶材料、磁性粒子、絶縁粒子、伝導性粒子、液晶ディスプレイ用のスペーサ、放射性粒子、疎水性材料、親水性材料、微細構造またはナノ構造層、フォトレジスト、金属、ポリマー含有層、接着剤、バインダー、酵素、およびそれらの組合せからなる群から選択される1種または複数の添加剤をさらに含む、請求項1に記載のドナー要素。
【請求項11】
前記第2の層のバインダーがポリマーを含む、請求項1に記載のドナー要素。
【請求項12】
前記ポリマーが、フェノール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート、セルロースエーテルおよびエステル、ニトロセルロース、アクリレートおよびメタクリレートポリマーおよびコポリマー、エポキシ樹脂、エチレン性不飽和樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリカーボネート、ならびにそれらのコポリマーおよび組合せからなる群から選択される、請求項11に記載のドナー要素。
【請求項13】
前記転写層および第2の層が両方とも、少なくとも1種の同一のバインダーを含む、請求項1に記載のドナー要素。
【請求項14】
前記転写層および第2の層が両方とも、少なくとも1種の実質的に同一のバインダーを含む、請求項1に記載のドナー要素。
【請求項15】
前記第2の層のバインダーが、約1000〜約40000の範囲の分子量Mnを有する、請求項1に記載のドナー要素。
【請求項16】
前記第2の層のバインダーが、約1000〜約15000の範囲の分子量Mnを有する、請求項15に記載のドナー要素。
【請求項17】
前記光熱変換層がポリマーを含む、請求項3に記載のドナー要素。
【請求項18】
前記ポリマーが、フェノール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニリデン、セルロースエーテルおよびエステル、ニトロセルロース、アクリレートポリマーおよびコポリマー、メタクリレートポリマーおよびコポリマー、エポキシ樹脂、エチレン性不飽和樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリカーボネート、ならびにそれらのコポリマーおよび組合せからなる群から選択される、請求項17に記載のドナー要素。
【請求項19】
前記光吸収材が、染料、顔料、金属化合物、金属元素、金属酸化物、炭素化合物、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項3に記載のドナー要素。
【請求項20】
前記架橋剤が、多価アルコールのポリアルキレンオキシド、ポリヒドロキシルポリアクリレート、多価アルコールのアクリレート、多価アルコールのポリアルキレンオキシドアクリレート、メラミンホルムアルデヒド、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載のドナー要素。
【請求項21】
前記架橋剤が、前記層の全固形分を基準にして4%〜25%固形分の範囲の量で存在する、請求項2に記載のドナー要素。
【請求項22】
前記架橋剤が、前記層の全固形分を基準にして6%〜20%固形分の範囲の量で存在する、請求項21に記載のドナー要素。
【請求項23】
前記架橋剤が、前記層の全固形分を基準にして10%〜15%固形分の範囲の量で存在する、請求項22に記載のドナー要素。
【請求項24】
(1)レシーバ要素と;
(2)前記レシーバ要素上に配置され、かつ前記レシーバ要素を上に高さH1を有する第1の画像形成されたパターンであって、
(a)バインダーを含有するが実質的に顔料を含有しない第2の層;および
(b)顔料を含有する第1の転写層であって、前記レシーバ要素と前記第2の層との間に配置された第1の転写層
を含む第1の画像形成されたパターンと
を含む、画像形成された集成体。
【請求項25】
前記レシーバ要素が、ガラス、フィルム、プラスチック、紙、金属、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項24に記載の画像形成された集成体。
【請求項26】
前記第2の層が架橋剤を含む、請求項24に記載の画像形成された集成体。
【請求項27】
前記バインダーが架橋されている、請求項24に記載の画像形成された集成体。
【請求項28】
前記第1の転写層と反対側で前記第2の層と接触する伝導性層をさらに含む、請求項24に記載の画像形成された集成体。
【請求項29】
(3)前記レシーバ要素上に配置され、かつ前記レシーバ要素を上に高さH2を有する第2の画像形成されたパターンであって、
(a)バインダーを含有するが実質的に顔料を含有しない第3の層;および
(b)前記第1の転写層の顔料と異なる顔料を含有する第2の転写層であって、受像基板と前記第3の層との間に配置された第2の転写層
を含む第2の画像形成されたパターン
をさらに含み、ここで、H1およびH2が、0.5ミクロン未満の高さの差を有する、請求項24に記載の画像形成された集成体。
【請求項30】
伝導性層が、前記レシーバ要素と反対側で、前記第1の画像形成されたパターンおよび前記第2の画像形成されたパターンと接触する、請求項29に記載の画像形成された集成体。
【請求項31】
前記高さの差が0.2ミクロン未満である、請求項29に記載の画像形成された集成体。
【請求項32】
前記高さの差が0.1ミクロン未満である、請求項29に記載の画像形成された集成体。
【請求項33】
請求項29に記載の画像形成された集成体を含むカラーフィルター。
【請求項34】
ドナー要素の転写層の熱転写法であって、
(1)レシーバ要素とドナー要素とを含む画像形成性集成体を形成する工程であって、前記ドナー要素が、
(a)支持層、および前記支持層によって支持される転写層であって、顔料を含みかつ前記支持層と前記レシーバ要素との間に配置された転写層;ならびに
(b)前記支持層と前記転写層との間に配置された第2の層であって、バインダーを含むが実質的に顔料を含まない第2の層
を含む工程と、
(2)前記画像形成性集成体を光に像様露光する工程であって、前記第2の層が、前記転写層とともに、前記ドナー要素から受像要素へと実質的に像様転写される工程と;
(3)前記ドナー要素と前記受像要素とを分割する工程であって、前記第2の層の画像形成された部分が、前記転写層の画像形成された部分と一緒に、前記レシーバ要素とともに実質的に残る工程と
を順に含む方法。
【請求項35】
前記受像要素をアニーリングする工程をさらに含み、前記第2の層の表面が、5ナノメートル未満のRq値を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の層の表面が、1〜2ナノメートルのRq値を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
(1)レシーバ要素と第1のドナー要素とを含む第1の画像形成性集成体を形成する工程であって、前記第1のドナー要素が、第1の支持層と、前記第1の支持層によって支持される第1の転写層とを含み、前記第1の転写層が、前記第1の支持層と前記レシーバ要素との間に配置される工程と;
(2)前記第1の画像形成性集成体を光に像様露光する工程であって、前記第1の転写層が、前記第1のドナー要素から前記レシーバ要素へと像様転写される工程と;
(3)前記使用済みの第1のドナー要素と前記画像形成されたレシーバ要素とを分割する工程であって、前記第1の転写層の画像形成された部分が、前記画像形成されたレシーバ要素とともに、高さH1を有する第1のパターンとして残る工程と;
(4)前記画像形成されたレシーバ要素と第2のドナー要素とを含む第2の画像形成性集成体を形成する工程であって;前記第2のドナー要素が、第2の支持層と、前記第2の支持層によって支持される第2の転写層とを含み、前記第2の転写層が、前記第2の支持層と、前記画像形成されたレシーバ要素の、前記第1の転写層の画像形成された部分を支持する側との間に配置される工程と;
(5)前記第2の画像形成性集成体を光に像様露光する工程であって、前記第2の転写層が、前記ドナー要素から前記レシーバ要素へと像様転写される工程と;
(6)前記第2のドナー要素と前記画像形成されたレシーバ要素とを分割する工程であって、前記第2の転写層の画像形成された部分が、前記レシーバ要素とともに、高さH2を有する第2のパターンとして残る工程と
を順に含む画像形成方法であって、
ここで、前記第1のドナー要素および前記第2のドナー要素のうちの少なくとも一方が、前記支持層と前記転写層との間に配置された介在層を含み、各介在層が、分子量Mnを有するバインダーを含み、これにより、前記ドナー要素を露光した際に、前記介在層を前記転写層とともに実質的に転写させる画像形成方法。
【請求項38】
1およびH2が0.2ミクロン未満だけ異なる、請求項37に記載の画像形成方法。
【請求項39】
1およびH2が0.1ミクロン未満だけ異なる、請求項37に記載の画像形成方法。
【請求項40】
前記レシーバ要素上の少なくとも1つの介在層の厚さが、0.1ミクロンを超え、かつ0.5ミクロン未満である、請求項37に記載の画像形成方法。
【請求項41】
前記介在層が実質的に顔料を含まない、請求項37に記載の画像形成方法。
【請求項42】
前記介在層が実質的に顔料を含まず、前記第1の転写層が顔料を含む、請求項37に記載の画像形成方法。
【請求項43】
前記介在層が実質的に顔料を含まず、前記第2の転写層が顔料を含む、請求項37に記載の画像形成方法。
【請求項44】
前記介在層が実質的に顔料を含まず、前記第1の転写層が実質的に顔料を含まず、前記第2の転写層が実質的に顔料を含まない、請求項37に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−500934(P2010−500934A)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524643(P2009−524643)
【出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/017872
【国際公開番号】WO2008/021294
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】