説明

熱転写記録媒体、及びこれを用いた印刷物

【課題】階調性、画質、基材ヘの接着性、及び高温環境下での保存特性が十分であり、屈曲させても割れなどの損傷を生じない熱転写記録媒体を得る。
【解決手段】インク受像層兼接着層として、Mn≦10000、熱接着温度Tp−110℃以下のTg1を有する第1の樹脂成分、及びMn≧15000、Tp−110℃以上のTg2を有する第2の樹脂成分を含有する第1の層と、Mn≦15000、熱転写インクのガラス転移点をTgとするときTg−50℃以上のガラス転移点Tg3を有する第3の樹脂成分を含有する第2の層とを含む積層膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融型あるいは昇華型の熱転写インクを用いた熱転写記録技術に係り、特に、熱転写インク画像を形成し得る熱転写インク受像層を備えた熱転写記録媒体、及び熱転写インク受像層上に熱転写インク画像を記録し、例えば紙あるいはプラスチック等の基材上に熱接着して得られる印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
免許証、従業員証、会員証、クレジットカードなどの個人認証媒体に顔画像を記録する方法としては、例えば昇華型熱転写記録方法及び溶融型熱転写記録方法があげられる。
【0003】
昇華型熱転写記録方法は、支持シート上に昇華性あるいは熱移行性染料を熱転写可能にコーティングしてなる昇華性インクリボンと、昇華性染料を受容できる熱可塑性樹脂からなるインク受容層とを重ね合わせ、サーマルヘッドなどを用いて、所定の画像データに基づき、昇華性インクリボンを選択的に加熱し、被記録媒体に所望の画像を昇華転写記録することができる。この方式によれば、階調性豊かなカラー画像を手軽に記録できることが、広く一般的に知られている。しかし、昇華型熱転写記録方法では、熱可塑性樹脂層の表面近傍に画像が形成されることから画像に傷が付き易く、染料が再昇華して画像濃度が経時的に低下し易く、紫外線により染料が分解され、画像の色調が変化する等、画像の耐久性に関連する問題を種々有していた。
【0004】
一方、溶融型熱転写記録方法は、支持シート上に、顔料あるいは染料を樹脂やワックスなどの熱溶融性バインダに分散させて得られた溶融型熱転写インクをコーティングして得られた転写リボンを使用し、これをサーマルヘッドなどを用いて、所定の画像データに基づき、選択的に加熱し、被記録媒体にバインダごと溶融型熱転写インクを転写し、所望の画像を記録するものである。この方式によれば、昇華性インクよりも十分に耐光性の良好な無機及び有機顔料を選択できる。またバインダに用いる樹脂やワックス等を工夫することにより、傷が付きにくく、耐溶剤性に優れた画像を提供することができる。また、蛍光顔料や磁性体等の機能性材料を溶融型熱転写インク中に混入することが可能であり、これにより、セキュリティ性が高い特殊インクを得ることができる。昇華性熱転写記録法の場合、被記録媒体と昇華性インクに適切なインク受容層とを組み合わせて使用しなければならないが、溶融型熱転写記録方法では、その表面にバインダに対する接着性を有する被記録媒体であれば、何でも使用することが可能であり、幅広く被記録媒体を選択することができる。しかし、溶融型熱転写記録方法は、基本的にインクの接着を行っており、転写したドットのサイズを変化させて階調記録を行うドット面積階調法を用いているため、転写すべき記録媒体の凹凸に非常に敏感であり、凹凸があると転写不良を起こし、ドットサイズをうまく制御できないことから、階調性が乏しいという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するため、例えば多孔質受像層を有する被記録媒体を用いる方法が提案されている。これは、被記録媒体の受像層中に微小孔を設け、その微小孔に溶融型熱転写インクを浸透、転写させるというものである。この方式によれば、階調性豊かな画像を得ることができるが、多孔質受像層は一般的に機械的強度が低く、印刷装置内の各種ローラー、搬送路などとの接触により表面に傷が付いてしまい、画像欠陥の原因となる。
【0006】
また、フィルム基材上に透明な受像層兼接着層を設けた記録媒体を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方式によれば、受像層兼接着層上に画像を形成し、得られた画像と受像層兼接着層を、紙、及びプラスチック等の基材に熱圧着または熱転写して印刷物が得られる。この方式によれば、受像層に微小孔を設けないので、表面の機械的強度が高く、さらに樹脂層表面の平滑度を向上させ、インク層との親和性が良くなるように調整すれば、溶融型熱転写方式においても、階調性豊かな画像を形成することができる。
【0007】
しかしながら、受像層兼接着層として、基材ヘの接着性に優れた軟化温度の低い樹脂を用いると、同一記録条件下における記録画像濃度の再現性が安定しないという問題があった。これは、転写されたインク画像を構成する画点いわゆるドットの中央部にインクが存在しない状態すなわち中央抜けが発生するためである。
【0008】
この中央抜けを防ぐために受像層兼接着層に軟化温度の高い樹脂を用いると、基材ヘの接着性が低下するという問題があった。このように受像層兼接着層を用いると、接着性と記録画像濃度の再現性の両立が困難であった。
【0009】
また、受像層兼接着層として、基材ヘの接着性に優れた軟化温度の低い樹脂や平均分子量の低い樹脂を用いると、ロール状態での高温環境下での保存時に、受像兼接着層と基材が貼り付いてしまったり、出来上がった印刷物を屈曲させると樹脂層に割れが生じるうという問題もあった。
【特許文献1】特願平4−182166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の第1の目的は、階調性が豊かで高画質な画像を形成し得、また、紙またはプラスチック等の基材ヘの接着性が十分で、高温環境下での保存特性が良好であり、且つ印刷物を屈曲させても割れなどの損傷を生じない熱転写記録媒体を提供することにある。
【0011】
本発明の第2の目的は、紙またはプラスチック等の基材ヘの接着性が十分である熱転写記録媒体が用いられ、階調性が豊かで高画質な画像を有し、且つ屈曲させても割れなどの損傷を生じない印刷物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1に、支持体と、該支持体上に設けられた溶融型熱転写インク受像層兼接着層とを含み、該溶融型熱転写インク受像層兼接着層上に溶融型熱転写インクを用いて画像層を形成した後、該画像層が形成された該溶融型熱転写インク受像層兼接着層上に基材を適用し、該溶融型熱転写インク受像層兼接着層を温度Tpに加熱して熱接着することにより印刷物を形成するための熱転写記録媒体であって、
前記溶融型熱転写インク受像層兼接着層は、10000以下の数平均分子量を有し、Tp−110℃以下のガラス転移点Tg1を有する第1の樹脂成分、及び15000以上の数平均分子量を有し、Tp−110℃以上のガラス転移点Tg2を有する第2の樹脂成分を含有し、該支持体上に設けられた第1のインク受像層兼接着層と、該第1のインク受像層兼接着層上に設けられ、15000以下の数平均分子量を有し、該溶融型熱転写インクのガラス転移点をTgとするときTg−50℃以上のガラス転移点Tg3を有する第3の樹脂成分を含有する第2のインク受像層兼接着層とを含む積層膜であることを特徴とする熱転写記録媒体。
【0013】
を提供する。
【0014】
本発明は、第2に、基材と、基材上に設けられた溶融型熱転写インクからなる画像層と、該画像層を介し適材上に熱接着された溶融型熱転写インク受像層兼接着層とを具備する印刷物であって、
前記溶融型熱転写インク受像層兼接着層は、10000以下の数平均分子量を有し、該溶融型熱転写インク受像層兼接着層を熱接着するために加熱する温度をTpとするとき、Tp−110℃以下のガラス転移点Tg1を有する第1の樹脂成分、及び15000以上の数平均分子量を有し、Tp−110℃以上のガラス転移点Tg2を有する第2の樹脂成分を含有し、該支持体上に設けられた第1のインク受像層兼接着層と、該第1のインク受像層兼接着層上に設けられ、15000以下の数平均分子量を有し、該溶融型熱転写インクのガラス転移点をTgとするときTg−50℃以上のガラス転移点Tg3を有する第3の樹脂成分を含有する第2のインク受像層兼接着層とを含む積層膜であることを特徴とする印刷物を提供する。
【0015】
本発明は、第3に、支持体と、該支持体上に設けられた昇華型熱転写インク受像層兼接着層とを含み、該昇華型熱転写インク受像層兼接着層上に昇華型熱転写インクを用いて画像層を形成した後、該画像層が形成された該昇華型熱転写インク受像層兼接着層上に基材を適用し、該昇華型熱転写インク受像層兼接着層を温度Tpに加熱して熱接着することにより印刷物を形成するための熱転写記録媒体であって、
前記昇華型熱転写インク受像層兼接着層は、10000以下の数平均分子量を有し、Tp−110℃以下のガラス転移点Tg1を有する第1の樹脂成分、及び15000以上の数平均分子量を有し、Tp−110℃以上のガラス転移点Tg2を有する第2の樹脂成分を含有し、該支持体上に設けられた第1のインク受像層兼接着層と、該第1のインク受像層兼接着層上に設けられ、15000以下の数平均分子量を有し、該昇華型熱転写インクのガラス転移点をTgとするときTg−50℃以上のガラス転移点Tg3を有する第3の樹脂成分を含有する第2のインク受像層兼接着層とを含む積層膜であることを特徴とする熱転写記録媒体を提供する。
【0016】
本発明は、第4に、基材と、基材上に設けられた昇華型熱転写インクからなる画像層と、該画像層を介し適材上に熱接着された昇華型熱転写インク受像層兼接着層とを具備する印刷物であって、
前記昇華型熱転写インク受像層兼接着層は、10000以下の数平均分子量を有し、Tp−110℃以下のガラス転移点Tg1を有する第1の樹脂成分、及び15000以上の数平均分子量を有し、Tp−110℃以上のガラス転移点Tg2を有する第2の樹脂成分を含有し、該支持体上に設けられた第1のインク受像層兼接着層と、該第1のインク受像層兼接着層上に設けられ、15000以下の数平均分子量を有し、該昇華型熱転写インクのガラス転移点をTgとするときTg−50℃以上のガラス転移点Tg3を有する第3の樹脂成分を含有する第2のインク受像層兼接着層とを含む積層膜であることを特徴とする印刷物を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、溶融型熱転写インクでは記録した画像の画点の大きさに差を生じることがなく、昇華型熱転写性インクではインクリボンと受像層兼接着層との熱融着がなく、安定した記録画像濃度の再現が可能で、階調性が豊かで高画質な画像を形成し得、また、被着体ヘの接着性が十分且つ高温環境下における保存安定性が十分で、印刷物を屈曲した際に割れなどの損傷が生じない熱転写記録媒体が得られる。
【0018】
また、この熱転写記録媒体を用いることにより、溶融型熱転写インクでは記録した画像の画点の大きさに差を生じることがなく、昇華型熱転写性インクではインクリボンと受像層兼接着層との熱融着がなく、安定した記録画像濃度の再現が可能で、階調性が豊かで高画質な画像を有し、屈曲時に割れなどの損傷が生じない印刷物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の熱転写記録媒体は、溶融型熱転写インクあるいは昇華型熱転写インクを用いて記録を行うための熱転写記録媒体であって、支持体と、支持体上に設けられた、第1の層及び第2の層の積層膜を有する、溶融型熱転写インク受像層兼接着層あるいは昇華型熱転写インク受像層兼接着層とを含み、その熱転写インク受像層兼接着層上に熱転写インクを用いて画像層を形成した後、画像層が形成された溶融型熱転写インク受像層兼接着層あるいは昇華型熱転写インク熱転写インク受像層兼接着層上に基材を適用して熱接着を行い、印刷物を形成するための熱転写記録媒体である。
【0020】
溶融型熱転写インクを使用する場合、溶融型熱転写インク受像層兼接着層に用いられる第1の層は、10000以下の数平均分子量を有し、画像層が形成された熱転写インク受像層兼接着層上に基材を適用して熱接着を行うために溶融型熱転写インク受像層兼接着層を加熱する温度をTpとするとき、Tp−110℃以下のガラス転移点Tg1を有する第1の樹脂成分、及び15000以上の数平均分子量を有し、Tp−110℃以上のガラス転移点Tg2を有する第2の樹脂成分を含有する。
【0021】
また、溶融型熱転写インク受像層兼接着層に用いられる第2の層は、15000以下の数平均分子量を有し、使用される溶融型熱転写インクのガラス転移点をTgとするときTg−50℃以上のガラス転移点Tg3を有する第3の樹脂成分を含む。
【0022】
溶融型熱転写インク受像層兼接着層では、第1層の樹脂成分は熱接着時には接着作用に寄与する。このため、第2層の樹脂成分単独の接着作用だけでは得られない十分な接着性が確保できる。第2層の樹脂成分は、溶融型熱転写インクを受容する機能に優れる。溶融型熱転写インクは、顔料あるいは染料が樹脂やワックスなどの熱溶融性バインダに分散されており、溶融型熱転写インク受像層兼接着層のインク受容特性として、このインクに含まれるバインダとの接着性が良好であることが望まれる。ただし、第1層の樹脂成分を10000以下の数平均分子量のみで形成すると、接着作用は十分だが、紙、またはプラスチックに転写または熱圧着した印刷物を屈曲させると、樹脂膜に亀裂が入り、印刷物の外観が著しく悪化する。そこで、第1層に数平均分子量が15000以上の樹脂を混入することにより、亀裂が入るのを防ぐことができる。また、数平均分子量15000以上の樹脂のガラス転移点を、紙あるいはプラスチック等の基材に熱接着するときの熱転写インク受像層兼接着層の温度をTpとするとき、Tp−110℃以上のものを選択すると、第2層形成時に第1層との相溶が起きても階調性豊かな画像を形成することができる。
【0023】
画像層が形成された溶融型熱転写インク受像層兼接着層上に基材を適用して熱接着を行なった後、支持体を剥離することにより、基材と、基材上に設けられ、ガラス転移点Tgを有する溶融型熱転写インクにより形成された画像層と、画像層が受像され、かつ画像層とともに基材上に接着された、溶融型熱転写インク受像層兼接着層とを有する印刷物が得られる。
【0024】
また、上記支持体を剥離しない場合には、基材と、基材上に設けられ、ガラス転移点Tgを有する溶融型熱転写インクにより形成された画像層と、画像層が受像され、かつ画像層とともに基材上に接着された、溶融型熱転写インク受像層兼接着層と、支持体とを有する印刷物が得られる。この支持体は、例えば保護層として機能し得る。
【0025】
昇華型熱転写インクを使用する場合、昇華型熱転写インク受像層兼接着層に用いられる第1の層は、10000以下の数平均分子量を有し、画像層が形成された熱転写インク受像層兼接着層上に基材を適用して熱接着を行うために昇華型熱転写インク受像層兼接着層を加熱する温度をTpとするとき、Tp−110℃以下のガラス転移点Tg1を有する第1の樹脂成分、及び15000以上の数平均分子量を有し、Tp−110℃以上のガラス転移点Tg2を有する第2の樹脂成分を含有する。
【0026】
また、昇華型熱転写インク受像層兼接着層に用いられる第2の層は、15000以下の数平均分子量を有し、使用される昇華型熱転写インクのガラス転移点をTgとするときTg−50℃以上のガラス転移点Tg3を有する第3の樹脂成分を含む。
【0027】
昇華型熱転写インク受像層兼接着層では、第1層の樹脂成分は熱接着時には接着作用に寄与する。第2層の樹脂は昇華型熱転写インク内の染料を受容する機能に優れる。昇華型熱転写インクには、昇華性あるいは熱移行性染料が含まれており、昇華型熱転写インク受像層兼接着層のインク受容特性としては、昇華性あるいは熱移行性染料を吸着、あるいは含浸し得ることが望まれる。
【0028】
ただし、第1層の樹脂成分を10000以下の数平均分子量のみで形成すると、接着作用は十分だが、紙、またはプラスチックに転写または熱圧着した印刷物を屈曲させると、樹脂膜に亀裂が入り、印刷物の外観が著しく悪化する。そこで、第1層に数平均分子量が15000以上の樹脂を混入することにより、亀裂が入るのを防ぐことができる。また、数平均分子量15000以上の樹脂のガラス転移点を、紙あるいはプラスチック等の被着体に熱接着するときの昇華型熱転写インク受像層兼接着層の温度をTpとするとき、Tp−110℃以上のものを選択すると、第2層形成時に第1層との相溶が起きても、インクリボンとの熱融着が発生することがなく、階調性豊かな画像を形成することができる。
【0029】
画像層が形成された昇華型熱転写インク受像層兼接着層上に基材を適用して熱接着を行なった後、支持体を剥離することにより、基材と、基材上に設けられ、ガラス転移点Tgを有する昇華型熱転写インクにより形成された画像層と、画像層が受像され、かつ画像層とともに基材上に接着された、昇華型熱転写インク受像層兼接着層とを有する印刷物が得られる。
【0030】
また、上記支持体を剥離しない場合には、基材と、基材上に設けられ、ガラス転移点Tgを有する昇華型熱転写インクにより形成された画像層と、画像層が受像され、かつ画像層とともに基材上に接着された、昇華型熱転写インク受像層兼接着層と、支持体とを有する印刷物が得られる。この支持体は、例えば保護層として機能し得る。
【0031】
熱接着温度Tpは、溶融型または昇華型熱転写インク受像層兼接着層のガラス転移点Tg1より十分に高い温度であり、好ましくは80ないし240℃、より好ましくは100℃ないし220℃である。80℃未満であるとTg1が低くなりすぎ、保存安定性が悪化する傾向があり、240℃を超えると熱接着するための部品が熱に耐えられず、破壊されるおそれがある。
【0032】
溶融型または昇華型熱転写インクのガラス転移点Tgは、好ましくは30ないし140℃である。30℃未満であると、溶融型または昇華型熱転写インク自体の保存安定性や印刷物の保存安定性が悪化する傾向があり、140℃を超えると、印刷するためのサーマルプリンタヘッドに非常に大きなエネルギーをかけないと印刷できなくなる傾向がある。
【0033】
本発明によれば、上記第1の層と上記第2の層とが積層された溶融型熱転写インク受像層兼接着層または昇華型熱転写性インク受像層兼接着層を用いることにより、溶融型熱転写インク受像層兼接着層または昇華型熱転写性インク受像層兼接着層の紙等の基材に対する接着性が良好となり、かつ画点の中央抜けやバインダーとの熱融着等を発生することがなく、記録毎に画像濃度が安定し、階調性が豊かで高画質な画像を形成することができる。
【0034】
第1層の樹脂成分のうちの数平均分子量が小さいほうの成分が、数平均分子量が10000以上であり、ガラス転移点がTp−110℃を超えると、紙等の基材に対する十分な接着性が得られなくなる。
【0035】
また、第1の層の樹脂成分のうちの数平均分子量が大きい第2の樹脂成分が、数平均分子量が15000以下であると、紙、またはプラスチックに転写または熱圧着した印刷物を屈曲させると、熱転写インク受像層兼接着層に亀裂が入る。また、ガラス転移点がTp−110℃未満であると、階調性豊かな画像を形成することができなくなる。
【0036】
第1の層の樹脂成分のうちの数平均分子量が小さい第1の樹脂成分は、その数平均分子量が1000ないし8000であることが好ましい。数平均分子量が8000を超えると、十分な接着強度が確保できなくなる傾向がある。また、ガラス転移点は0℃ないし60℃であることが好ましい。ガラス転移点が0℃未満であると、保存安定性が低下する傾向があり、60℃を超えると十分な接着強度が確保できなくなる傾向がある。第2の樹脂成分は、その数平均分子量が15000以上30000以下であることが好ましい。数平均分子量が30000を超えると、熱転写インク受像層兼接着層のみを転写するものでは、周囲の余分な部分まで基材に転写してしまう傾向がある。また、そのガラス転移点は、60℃以上であることが好ましい。60℃未満であると、階調性豊かな画像を形成することができなくなる傾向がある。さらに好ましくは60ないし100℃である。また、第1の層の厚さは、好ましくは0.5ないし50μmである。0.5μm未満であると、十分な接着力を確保できなくなる傾向があり、50μmを超えるとなる傾向があり、50μmを超えると、熱転写時にバリが発生する傾向がある。また、第1の樹脂成分と第2の樹脂成分の混合重量比は、2:8ないし8:2であることが好ましい。この範囲内であると、接着力、バリ、屈曲性が全て良好となる傾向がある。これに対し、混合重量比がこの範囲外であると、第1の樹脂成分が少ない場合は接着力が十分確保できず、またバリが発生しやすくなり、第2の樹脂成分が少ない場合は屈曲性が悪化する傾向がある。
【0037】
第2の層に使用される第3の樹脂成分が数平均分子量が15000を超えると、十分な接着強度が確保できなくなる傾向がある。また、Tp−50℃未満のガラス転移点を有すると、50℃以上の高温環境下における保存安定性を悪化させたり、階調性豊かな画像を形成することができなくなる。
【0038】
また、第2層の樹脂成分は、数平均分子量が7000ないし14000であることが好ましい。数平均分子量が14000を超えると、十分な接着強度が確保できなくなり、樹脂層のみを転写するものでは、周囲の余分な部分まで基材に転写してしまう傾向がある。7000未満であると、印画性、耐屈曲性が悪化する傾向がある。また、ガラス転移点は、50℃ないし100℃であることが好ましい。ガラス転移点が50℃未満であると、50℃以上の高温環境下における保存安定性を悪化させたり、階調性豊かな画像を形成することができなくなる傾向がある。また100℃を超えると、接着性が悪化する傾向がある。
【0039】
また、第2の層の厚さは、好ましくは0.5ないし50μmである。0.5μm未満であると、印画性が悪化する傾向があり、50μmを超えると、接着性が悪化し、バリが発生しやすくなる傾向がある。
【0040】
以下、図面を参照し、本発明を具体的に説明する。
【0041】
図1に、本発明の熱転写記録媒体の構成の一例を表す概略断面図を示す。
【0042】
図示するように、この熱転写記録媒体10は、例えばポリエステルフィルムからなる支持体シート1上に、10000以下の数平均分子量、及び紙あるいはプラスチック等の被着体に熱接着するときの溶融型熱転写インク受像層兼接着層の温度をTpとするとき、Tp−110℃以下のガラス転移点Tg1を有する第1の樹脂成分と、15000以上の数平均分子量、及びTp−110℃以上のガラス転移点Tg2を有する樹脂からなる第2の樹脂成分をとを含む第1のインク受像層兼接着層2と、15000以下の数平均分子量、及び該溶融型熱転写インクのガラス転移点をTgとするときTg−50℃以上のガラス転移点Tg3を有する第3の樹脂からなる第2のインク受像層兼接着層3が順に積層された構成を有する。
【0043】
このインク受像層兼接着層2、3は、例えばこの樹脂と好適な溶剤とを含む樹脂塗布液を調製し、この樹脂塗布液を、グラビアコート、リバースコート、ダイコート、ワイヤーバーコート、及びホットメルトコート等により塗布及び乾燥する方法等を用いて、塗布液を塗布、乾燥することにより形成し得る。
【0044】
この熱転写記録媒体10は、その上に溶融型熱転写インクにより画像を形成した後、例えば紙、プラスチック等の被着体に熱接着し得る。
【0045】
図2に、図1に示す熱転写記録媒体10を用いて得られた印刷物の構成の一例を表す概略断面図を示す。
【0046】
図示するように、この印刷物11は、例えば紙からなる基材5上に、溶融型熱転写インクにより形成された画像層4、及び画像層4を介して順に設けられた第2のインク受像層兼接着層3、第1のインク受像層兼接着層2が順に積層された構成を有する。
【0047】
画像層4は、熱転写記録媒体10の溶融型熱転写インク受像層兼接着層3表面に、溶融型熱転写インクリボンを適用し、例えばサーマルヘッド等の加熱記録手段を用いて熱転写記録を行うことにより形成することができる。画像層4の形成後、画像層4上に紙からなる基材5を配置し、例えば熱と圧力を同時に加えることができるヒートローラ等に通し、溶融型熱転写インク受像層兼接着層2、3を全体に加熱することにより、または例えばホットスタンプ機等により所望のパターンで選択的に加熱することにより、基材5上に溶融型熱転写インク受像層兼接着層2、3全体或いは部分的に熱接着することができる。その後、支持体1を剥離すること図2に示す印刷物11が得られる。
【0048】
本発明に係る熱転写記録媒体において、支持体と溶融型熱転写インク受像層兼接着層との間に、易接着層及び剥離層のうち1つの中間層をさらに設けることができる。
【0049】
上述のように、溶融型熱転写インク受像層兼接着層を基材上に熱接着し、その上に設けられた支持体を剥離して除去する場合には、さらに剥離層を設けることにより、支持体と溶融型熱転写インク受像層兼接着層との剥離をより良好にすることができる。
【0050】
また、支持体は剥離せずに保護層として使用することができる。支持体を保護層として使用する場合には、さらに易接着層を設けることにより、支持体と溶融型熱転写インク受像層兼接着層との接着をより良好にすることができる。
【0051】
なお、易接着層とは、例えば溶融型熱転写インク受像層兼接着層形成時に、好ましくは、塗布液の溶剤による溶解あるいは乾燥温度で、熱分解することなく、支持体1を溶融型熱転写インク受像層兼接着層2に接着し得る層をいう。
【0052】
図3は、本発明の熱転写記録媒体の他の例の構成を表す概略断面図である。
【0053】
図示するように、この熱転写記録媒体20は、支持体1と溶融型熱転写インク受像層兼接着層2との間に、例えばワックス、及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等からなる剥離層6が設けられている以外は、図1に示す熱転写記録媒体と同様の構成を有する。
【0054】
剥離層6は、例えばグラビアコート、リバースコート、ダイコート、ワイヤーバーコート、ホットメルトコート等により形成することができる。
【0055】
図4に、図3に示す熱転写記録媒体20を用いて得られた印刷物の構成の他の一例を表す概略断面図を示す。
【0056】
図示するように、この印刷物21は、溶融型熱転写インク受像層兼接着層2上に剥離層6が設けられている以外は、図2に示す印刷物11と同様の構成を有する。
【0057】
なお、ここでは、剥離層6が溶融型熱転写インク受像層兼接着層2上に設けられているが、この剥離層6は、溶融型熱転写インク受像層兼接着層2上に部分的に残留しても、支持体1と共に剥離除去されても良い。除去される場合には、得られる印刷物は、図2に示す印刷物11と同様の構成を有する。
【0058】
図5は、本発明の熱転写記録媒体のさらに他の例の構成を表す概略断面図である。
【0059】
図示するように、この熱転写記録媒体30は、支持体1と溶融型熱転写インク受像層兼接着層2との間に、例えば酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、及びアクリル樹脂等からなる易接着層7が設けられている以外は、図1に示す熱転写記録媒体と同様の構成を有する。
【0060】
易接着層7は、例えばグラビアコート、リバースコート、ダイコート、ワイヤーバーコート、ホットメルトコート等により形成することができる。
【0061】
図6に、図3に示す熱転写記録媒体20を用いて得られた印刷物の構成の他の一例を表す概略断面図を示す。
【0062】
図示するように、この印刷物31は、溶融型熱転写インク受像層兼接着層2と支持体1との間に、易接着層7設けられている以外は、図2に示す印刷物11と同様の構成を有する。
【0063】
支持体としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、及びポリエチレン樹脂等を使用することができる。
【0064】
剥離層に用いる樹脂は、支持体との接着力が適度に調節されていることが望ましい。接着力が過度に大きいと、熱接着後に支持体を剥離しにくくなる。また、接着力が過度に小さいと、支持体は容易に剥離できるが、溶融型熱転写インク受像層兼接着層に熱接着されない不所望な樹脂層が残る傾向がある。
【0065】
剥離層に適した適度な接着力を持つ樹脂としては、ワックス、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの各樹脂の混合物等があげられる。
【0066】
剥離層に用いられるワックスとしては、例えばポリエチレンワックスやカルナバワックス等が好ましく使用できる。具体的には、日本精蝋(株)製Hi−Mic−2065、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−2045、PALVAX−1230、PALVAX−1330、PALVAX−1335、PALVAX−1430、BONTEX−0011、BONTEX−0100、BONTEX−2266等があげられる。
【0067】
剥離層に用いられる酢酸ビニル樹脂としては、具体的には、電気化学工業(株)製サクノールSN−04、サクノールSN−04S、サクノールSN−04D、サクノールSN−09A、サクノールSN−09T、サクノールSN−10、サクノールSN−10N、サクノールSN−17A、ASR CH−09、ASR CL−13、クラリアントポリマー(株)製モビニールDC、ダイセル化成品(株)製セビアンA530、セビアンA700、セビアンA707、セビアンA710、セビアンA712、セビアンA800等があげられる。
【0068】
剥離層に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂としては、具体的には、三井デュポンポリケミカル(株)製エバフレックス45X、エバフレックス40、エバフレックス150、エバフレックス210、エバフレックス220、エバフレックス250、エバフレックス260、エバフレックス310、エバフレックス360、エバフレックス410、エバフレックス420、エバフレックス450、エバフレックス460、エバフレックス550、エバフレックス560、クラリアントポリマー(株)製モビニール081F、住友化学工業(株)製エバテートD3022、D3012、D4032、CV8030、ヒロダイン工業(株)製ヒロダイン1800−5、ヒロダイン1800−6、ヒロダイン1800−8、ヒロダイン3706、ヒロダイン4309、コニシ(株)製ボンドCZ250、ボンドCV3105等があげられる。
【0069】
剥離層に用いられるアクリル樹脂としては、具体的には、ダイセル化成品(株)製セビアンA45000、セビアンA45610、セビアンA46777、セビアンA4635、三菱レイヨン(株)製ダイヤナールBR−80、ダイヤナールBR−83、ダイヤナールBR−85、ダイヤナールBR−87、ダイヤナールBR−101、ダイヤナールBR−102、ダイヤナールBR−105、ダイヤナールBR−106等があげられる。
【0070】
剥離層に用いられるシリコーン樹脂としては、具体的には、東芝シリコーン(株)製トスガード510等があげられる。
【0071】
剥離層に用いられるポリエステル樹脂としては、具体的には、東洋紡績(株)製バイロン200、バイロン220、バイロン240、バイロン245、バイロン280、バイロン296、バイロン530、バイロン560、バイロン600、バイロナールMD1100、バイロナールMD1200、バイロナールMD1245、バイロナールMD1400、バイロナールGX−W27、ユニチカ(株)製エリーテルUE−3300、エリーテルUE−3320、エリーテルUE−3350、エリーテルUE−3370、エリーテルUE−3380等があげられる。
【0072】
易接着層には、基材フィルムと、支持体と樹脂層の双方との十分な接着力が要求される。この要求を満足する樹脂は、支持体と溶融型熱転写インク受像層兼接着層の材質に応じて選択され、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの各樹脂の混合物等が挙げられる。
【0073】
易接着層に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂としては、三井・デュポン・ポリケミカル(株)製エバフレックス45X、エバフレックス40、エバフレックス150、エバフレックス210、エバフレックス220、エバフレックス250、エバフレックス260、エバフレックス310、エバフレックス360、エバフレックス410、エバフレックス420、エバフレックス450、エバフレックス460、エバフレックス550、エバフレックス560、クラリアントポリマー(株)製モビニール081F、住友化学工業(株)製エバテートD3022、D3012、D4032、CV8030、ヒロダイン工業(株)製ヒロダイン1800−5、ヒロダイン1800−6、ヒロダイン1800−8、ヒロダイン3706、ヒロダイン4309、コニシ(株)製ボンドCZ250、ボンドCV3105等があげられる。
【0074】
易接着層に用いられるアクリル樹脂としては、三菱レイヨン(株)製ダイヤナールBR−53、ダイヤナールBR−64、ダイヤナールBR−77、ダイヤナールBR−79、ダイヤナールBR−90、ダイヤナールBR−93、ダイヤナールBR−101、ダイヤナールBR−102、ダイヤナールBR−105、ダイヤナールBR−106、ダイヤナールBR−107、ダイヤナールBR−112、ダイヤナールBR−115、ダイヤナールBR−116、ダイヤナールBR−117、ダイヤナールBR−118等があげられる。
【0075】
易接着層に用いられるポリエステル樹脂としては、東洋紡績(株)製バイロン103、バイロン220、バイロン240、バイロン245、バイロン270、バイロン280、バイロン300、バイロン500、バイロン530、バイロン550、バイロン560、バイロン600、バイロン630、バイロン650、ユニチカ(株)製エリーテルUE−3300、エリーテルUE−3320、エリーテルUE−3350、エリーテルUE−3370、エリーテルUE−3380等があげられる。
【0076】
本発明に用いられる溶融型熱転写インク受像層兼接着層の第1の層における第1及び第2の樹脂成分、及び第2の層における第3の樹脂成分は、ポリエステル樹脂及び酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂のうち少なくとも1つの材料からなることが好ましい。より好ましくは、第1ないし第3の樹脂成分ともにポリエステル樹脂である。特に好ましくは、第1の層に使用される第1及び第2の樹脂成分が東洋紡績(株)製バイロン660、ユニチカ(株)製エリーテルUE−3200であり、第2の層の第3の樹脂成分がユニチカ(株)製エリーテルUE−9800である。
【0077】
溶融型熱転写インク受像層兼接着層の第1の層の樹脂成分の材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等が挙げられる。
【0078】
溶融型熱転写インク受像層兼接着層の第1の層における第1及び第2の樹脂成分に用いられるポリエステル樹脂としては、具体的には、東洋紡績(株)製バイロン220、バイロン240、バイロン296、バイロン600、バイロン660、バイロンGK110、バイロンGK130、バイロンGK140、バイロンGK150、バイロンGK180、バイロンGK190、バイロンGK250、バイロンGK590、バイロンGK680、バイロンGK780、バイロンGK810、バイロンGK890、バイロンGM−415、バイロンGM−440、バイロンGA−1200、バイロンGA−3200、バイロンGA−5200、バイロナールMD−1200、バイロナールMD−1220、バイロナールMD−1250、バイロナールMD−1335、バイロナールMD−1400、バイロナールMD−1480、バイロナールMD−1500、ユニチカ(株)製エリーテルUE−3320、エリーテルUE−3370、エリーテルUE−3380、エリーテルUE−3350、エリーテルUE−3300、エリーテルUE−3200、エリーテルUE−9200、エリーテルUE−3690、エリーテルUE−3215、エリーテルUE−3620等があげられる。
【0079】
溶融型熱転写インク受像層兼接着層の第1の層における第1及び第2の樹脂成分に用いられる塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂としては、具体的には、ダウケミカル製VYNS−3、VYHH、VYHD、VMCH、VMCC、VMCA、VERR−40、VAGH、VAGD、VAGF、VROH、日信化学工業(株)製ソルバインC、ソルバインCL、ソルバインCH、ソルバインCN、ソルバインC5、ソルバインM、ソルバインML、ソルバインTA5R、ソルバインTAO、ソルバインMK6、ソルバインTA2等があげられる。
【0080】
溶融型熱転写インク受像層兼接着層の第2の層における第3の樹脂成分に用いられる樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等が挙げられる。
【0081】
第2の層の第3の樹脂成分に用いられるポリエステル樹脂としては、具体的には、東洋紡績(株)製バイロン200、バイロン245、バイロン270、バイロン280、バイロン290、バイロンGK640、バイロンGK880、バイロンSI−173、バイロンRN−9300、バイロンRN−9600、バイロナールMD−1245、ユニチカ(株)製エリーテルUE−3200、エリーテルUE−3201、エリーテルUE−3203、エリーテルUE−3600、エリーテルUE−9600、エリーテルUE−9800、エリーテルUE−3660等があげられる。
【0082】
第2の層の第3の樹脂成分に用いられる塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂としては、具体的には、ダウケミカル製VYNS−3、VYHH、VYHD、VMCH、VMCC、VMCA、VERR−40、VAGH、VAGD、VAGF、VROH、日信化学工業(株)製ソルバインC、ソルバインCL、ソルバインCH、ソルバインCN、ソルバインC5、ソルバインM、ソルバインML、ソルバインTA5R、ソルバインTAO、ソルバインMK6、ソルバインTA2等があげられる。
【0083】
また、本発明に用いられる昇華型熱転写インク受像層兼接着層の第1の層における第1及び第2の樹脂成分、及び第2の層における第3の樹脂成分は、ポリエステル樹脂及び酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂のうち少なくとも1つの材料からなることが好ましい。より好ましくは、第1ないし第3の樹脂成分ともにポリエステル樹脂である。特に好ましくは、第1の層に使用される第1の樹脂成分及び第2の成分が東洋紡績(株)製バイロン660、ユニチカ(株)製エリーテルUE−3200であり、第2層の第3の樹脂成分がユニチカ(株)製エリーテルUE−9800である。
【0084】
昇華型熱転写インク受像層兼接着層の第1の層の第1及び第2の樹脂成分の材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等が挙げられる。
【0085】
昇華型熱転写インク受像層兼接着層の第1の層における第1及び第2の樹脂成分に用いられるポリエステル樹脂としては、具体的には、東洋紡績(株)製バイロン220、バイロン240、バイロン296、バイロン600、バイロン660、バイロンGK110、バイロンGK130、バイロンGK140、バイロンGK150、バイロンGK180、バイロンGK190、バイロンGK250、バイロンGK590、バイロンGK680、バイロンGK780、バイロンGK810、バイロンGK890、バイロンGM−415、バイロンGM−440、バイロンGA−1200、バイロンGA−3200、バイロンGA−5200、バイロナールMD−1200、バイロナールMD−1220、バイロナールMD−1250、バイロナールMD−1335、バイロナールMD−1400、バイロナールMD−1480、バイロナールMD−1500、ユニチカ(株)製エリーテルUE−3320、エリーテルUE−3370、エリーテルUE−3380、エリーテルUE−3350、エリーテルUE−3300、エリーテルUE−3200、エリーテルUE−9200、エリーテルUE−3690、エリーテルUE−3215、エリーテルUE−3620等があげられる。
【0086】
昇華型熱転写インク受像層兼接着層の第1の層における第1または第2の樹脂成分に用いられる塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂としては、具体的には、ダウケミカル製VYNS−3、VYHH、VYHD、VMCH、VMCC、VMCA、VERR−40、VAGH、VAGD、VAGF、VROH、日信化学工業(株)製ソルバインC、ソルバインCL、ソルバインCH、ソルバインCN、ソルバインC5、ソルバインM、ソルバインML、ソルバインTA5R、ソルバインTAO、ソルバインMK6、ソルバインTA2等があげられる。
【0087】
昇華型熱転写インク受像層兼接着層の第2の層における第3の樹脂成分に用いられる樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等が挙げられる。
【0088】
昇華型熱転写インク受像層兼接着層の第2の層の第3の樹脂成分に用いられるポリエステル樹脂としては、具体的には、東洋紡績(株)製バイロン200、バイロン245、バイロン270、バイロン280、バイロン290、バイロンGK640、バイロンGK880、バイロンSI−173、バイロンRN−9300、バイロンRN−9600、バイロナールMD−1245、ユニチカ(株)製エリーテルUE−3200、エリーテルUE−3201、エリーテルUE−3203、エリーテルUE−3600、エリーテルUE−9600、エリーテルUE−9800、エリーテルUE−3660等があげられる。
【0089】
昇華型熱転写インク受像層兼接着層の第2の層の第3の樹脂成分に用いられる塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂としては、具体的には、ダウケミカル製VYNS−3、VYHH、VYHD、VMCH、VMCC、VMCA、VERR−40、VAGH、VAGD、VAGF、VROH、日信化学工業(株)製ソルバインC、ソルバインCL、ソルバインCH、ソルバインCN、ソルバインC5、ソルバインM、ソルバインML、ソルバインTA5R、ソルバインTAO、ソルバインMK6、ソルバインTA2等があげられる。
【実施例】
【0090】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
【0091】
実施例1、比較例1ないし6
易接着層が形成された厚さ25μmの透明ポリエステルフィルム(東レ株式会社製、商品型番:ルミラーQ27)を用意し、そのポリエステルフィルム表面に、下記組成の溶融型熱転写インク受像層兼接着層塗布液1、溶融型熱転写インク受像層兼接着層塗布液2を、グラビアコーターを用いて、乾燥後の塗膜厚みがそれぞれ3μmになるよう順次塗布し、それぞれ120℃で2分間、加熱及び乾燥して、溶融型熱転写インク受像層兼接着層を形成し、熱転写記録媒体を得た。
【0092】
溶融型熱転写インク受像層兼接着層塗布液1
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
下記表1に記載の第1の樹脂成分 10重量部
下記表1に記載の第2の樹脂成分 10重量部
溶融型熱転写インク受像層兼接着層塗布液2
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
下記表1に記載の第3の樹脂成分 20重量部
得られた熱転写記録媒体の溶融型熱転写インク受像層兼接着層上に、市販の溶融型熱転写インクリボンを適用し、600dpiのサーマルヘッドで、カラー画像を記録を行い、画像層を得た。
【0093】
その後、この画像層上に市販のPPC用紙を適用し、ローラー温度180度、ローラー回転速度1m/分に調整したフジプラ(株)製ラミネーターLPD2306Cityに通して、熱転写記録媒体とPPC用紙とを熱接着し、印刷物を得た。
【0094】
熱接着時の溶融型熱転写インク受像層兼接着層の温度Tpを市販のサーモラベルを用いて測定したところ、約170℃であった。
【0095】
得られた印刷物について、以下のように、画点形状、熱転写記録媒体とPPC用紙との接着強度、保存安定性、屈曲時の割れを試験、評価した。
【0096】
画点形状試験
得られた画像について、画点の形状を実体顕微鏡で観察し、他色ドット上のドット大きさと受像層兼接着層上のドット大きさの違いの有無を調べた。ドットの大きさに差がない場合を○、ある場合を×として評価した。
その結果を下記表1に示す。
【0097】
接着強度試験
熱接着後、強制的に支持体を剥離するピーリング試験を行うことにより、接着強度を測定した。ピーリング試験では、剥離したフィルムにPPC用紙が付着していない場合を○、付着した場合を×と評価した。
【0098】
なお、本実施例では易接着層により支持体を接着して印刷物を得ているけれども、支持体を剥離して印刷物を得る場合には、粘着テープによるテープ剥離試験を代用することができる。テープ剥離試験では、剥離したテープに溶融型熱転写インク受像層兼接着層が付着していない場合を○、付着している場合を×とすることができる。
【0099】
保存安定性試験
熱転写記録媒体をリボン状に紙管に巻き取り、55℃の環境下で10日間放置した。放置後に異状がない場合を○、重なったフィルムが貼り付いたり、剥離が発生している等異状がある場合を×と評価した。
【0100】
得られた結果を下記表1に示す。
【0101】
屈曲時の割れ評価試験
熱接着後、得られた印刷物を外径2mmの棒に180°巻きつけ、10往復した後の様子を目視で確認した。印刷物の画像部分に割れが見られない場合を○、割れが見られる場合を×と評価した。
【表1】

【0102】
実施例2、比較例7ないし12
厚さが25μmの透明ポリエステルフィルム(東レ(株)製、商品型番:ルミラーS10)を用意し、その片面に下記組成の剥離層塗布液をグラビアコーターを用いて乾燥後の塗膜厚みが1μmになるように塗布し、120℃で2分間、加熱・乾燥して、剥離層を形成した。
【0103】
剥離層塗布液組成
メチルエチルケトン 35重量部
トルエン 35重量部
酢酸ビニル樹脂(ダイセル化成品(株)製商品名:セビアンA700)
20重量部
ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製商品名:バイロン220)
10重量部
次に、この剥離層の上に、各々実施例1、比較例1ないし6と同様にして溶融型熱転写インク受像層兼接着層1,2を形成し、熱転写記録媒体を得た。
【0104】
得られた熱転写記録媒体を用いて、実施例1と同様にして印刷物を得た。
【0105】
熱接着時の溶融型熱転写インク受像層兼接着層の温度Tpを市販のサーモラベルを用いて測定したところ、約170℃であった。
【0106】
得られた画像について、実施例1と同様にして、画点形状、接着強度、保存安定性を試験、評価した。
その結果を下記表2に示す。
【表2】

【0107】
上記表1及び表2から明らかなように、溶融型熱転写インク受像層兼接着層に用いられる第1の層の第1及び第2の樹脂成分、及び第2の層の第3の樹脂成分のガラス転移点と分子量が本発明の範囲内であると、画点形状に大きさの差を生じないので、記録画像濃度の再現性が良好となり、十分な接着強度が得られ且つ高温環境下での保存安定性が良好で、印刷物の屈曲時に割れを生じなかった。
【0108】
しかしながら、例えば比較例1及び7に示すように、第1の層第1の樹脂成分のガラス転移点が低すぎると画点形状に大きさの差が生じ、比較例2及び8に示すようにガラス転移点が高すぎると接着強度が低下した。
【0109】
また、比較例3及び9のように第1の層第2の樹脂成分の平均分子量が小さすぎると印刷物の屈曲時に割れが生じ、比較例4及び10のようにガラス転移点が低すぎると画点形状に大きさの差が生じた。
【0110】
また、比較例5及び11のように第2の層の平均分子量が大きすぎると、接着強度が低下し、比較例6及び12のようにガラス転移点が低すぎると、画点形状に大きさの差が生じ、保存安定性が悪化した。
【0111】
以上の実施例及び比較例から、溶融型熱転写インク受像層兼接着層の第1の層・第2の層の樹脂成分の分子量、ガラス転移点のいずれか1つでも本発明の範囲外であると、良好な画点形状、記録画像の再現性及び十分な接着強度、十分な保存安定性、印刷物の耐割れ性が得られないことが分かった。
【0112】
実施例3,比較例13ないし18
易接着層が形成された厚さ25μmの透明ポリエステルフィルム(東レ株式会社製、商品型番:ルミラーQ27)を用意し、そのポリエステルフィルム表面に、下記組成の昇華型熱転写性インク受像層兼接着層塗布液1、昇華型熱転写性インク受像層兼接着層塗布液2を、グラビアコーターを用いて、乾燥後の塗膜厚みがそれぞれ3μmになるように順次塗布し、120℃で2分間、加熱・乾燥して、昇華型熱転写性インク受像層兼接着層を形成し、熱転写記録媒体を得た。
【0113】
昇華型熱転写性インク受像層兼接着層塗布液1
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
下記表3に記載の第1の樹脂成分 10重量部
下記表3に記載の第2の樹脂成分 10重量部
昇華型熱転写性インク受像層兼接着層塗布液2
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
下記表3に記載の第3の樹脂成分 20重量部
得られた熱転写記録媒体の昇華型熱転写性インク受像層兼接着層上に、市販の昇華型熱転写性インクリボンを適用し、400dpiのサーマルヘッドで、カラー画像を記録を行い、画像層を得た。
【0114】
その後、この画像層上に市販のPPC用紙を適用し、ローラー温度180度、ローラー回転速度1m/分に調整したフジプラ(株)製ラミネーターLPD2306Cityに通して、熱転写記録媒体とPPC用紙とを熱接着し、印刷物を得た。熱接着時の樹脂層の温度を市販のサーモラベルを用いて測定したところ、約100℃であった。
【0115】
得られた印刷物について、画点形状の代わりに、下記のように階調性を試験、評価した以外は、実施例1と同様にして試験、評価し、その結果を表3に示す。
【0116】
階調性試験
得られた画像について、記録画像濃度をグレタグ・マクベス社製反射濃度計RD−19Aを用いて測定し、階調性を評価した。記録画像濃度がほぼ等間隔で変化している場合を○、そうでない場合を×とした。
【0117】
その結果を下記表3に示す。
【表3】

【0118】
実施例4、比較例19ないし24
厚さが25μmの透明ポリエステルフィルム(東レ(株)製、商品型番:ルミラーS10)を用意し、その片面に下記組成の剥離層塗布液をグラビアコーターを用いて乾燥後の塗膜厚みが1μmになるように塗布し、120℃で2分間、加熱・乾燥して、剥離層を形成した。
【0119】
剥離層塗布液組成
メチルエチルケトン 35重量部
トルエン 35重量部
酢酸ビニル樹脂(ダイセル化成品(株)製商品名:セビアンA800)
20重量部
アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製商品名:ダイヤナールBR−87)
10重量部
次に、この剥離層の上に、各々実施例3、比較例13ないし18と同様にして昇華型熱転写性インク受像層兼接着層を形成し、熱転写記録媒体を得た。
【0120】
得られた熱転写記録媒体を用いて、実施例1と同様にして印刷物を得た。
【0121】
得られた印刷物について、実施例3と同様にして、試験、評価を行った。
【0122】
その結果を下記表4に示す。
【表4】

【0123】
上記表3及び表4から明らかなように、昇華型熱転写性インク受像層兼接着層に用いられる第1層の樹脂及び第2層の樹脂のガラス転移点と分子量が本発明の範囲内であると、階調性が良好となり、十分な接着強度が得られ且つ高温環境下での保存安定性が良好で、印刷物の屈曲時に割れを生じない。
【0124】
しかしながら、例えば比較例13及び19に示すように、第1層第1の成分のガラス転移点が低すぎると階調性が悪化し、比較例14及び20に示すようにガラス転移点が高すぎると接着強度が低下した。
【0125】
また、比較例15及び21のように第1層第2の成分の平均分子量が小さすぎると印刷物の屈曲時に割れが生じ、比較例16及び22のようにガラス転移点が低すぎると階調性が悪化した。
【0126】
また、比較例17及び23のように第2層の平均分子量が大きすぎると、接着強度が低下し、比較例18及び24のようにガラス転移点が低すぎると、階調性が悪化し、保存安定性が悪化した。
【0127】
以上の実施例及び比較例から、昇華型熱転写性インク受像層兼接着層の第1層・第2層の樹脂成分の分子量、ガラス転移点のいずれか1つでも本発明の範囲外であると、良好な階調性及び十分な接着強度、十分な保存安定性、印刷物の耐割れ性が得られないことが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の熱転写記録媒体の構成の一例を表す概略断面図
【図2】本発明の印刷物の一例の構成を表す概略断面図
【図3】本発明の熱転写記録媒体の他の一例の構成を表す概略断面図
【図4】本発明の印刷物の他の一例の構成を表す概略断面図
【図5】本発明の熱転写記録媒体のさらに他の一例の構成を表す概略断面図
【図6】本発明の印刷物のさらに他の一例の構成を表す概略断面図
【符号の説明】
【0129】
1…支持体、2…溶融型熱転写インク受像層兼接着層1、3…溶融型熱転写インク受像層兼接着層2、4…画像層、5…被着体、6…剥離層、7…易接着層、10,20,30…熱転写記録媒体、11,21,31…印刷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、該支持体上に設けられた溶融型熱転写インク受像層兼接着層とを含み、該溶融型熱転写インク受像層兼接着層上に溶融型熱転写インクを用いて画像層を形成した後、該画像層が形成された該溶融型熱転写インク受像層兼接着層上に基材を適用し、該溶融型熱転写インク受像層兼接着層を温度Tpに加熱して熱接着することにより印刷物を形成するための熱転写記録媒体であって、
前記溶融型熱転写インク受像層兼接着層は、10000以下の数平均分子量を有し、Tp−110℃以下のガラス転移点Tg1を有する第1の樹脂成分、及び15000以上の数平均分子量を有し、Tp−110℃以上のガラス転移点Tg2を有する第2の樹脂成分を含有し、該支持体上に設けられた第1のインク受像層兼接着層と、該第1のインク受像層兼接着層上に設けられ、15000以下の数平均分子量を有し、該溶融型熱転写インクのガラス転移点をTgとするときTg−50℃以上のガラス転移点Tg3を有する第3の樹脂成分を含有する第2のインク受像層兼接着層とを含む積層膜であることを特徴とする熱転写記録媒体。
【請求項2】
前記第1の樹脂成分は、1500ないし10000の数平均分子量、及び20ないし60℃のガラス転移点を有し、前記第2の樹脂成分は、15000ないし60000の数平均分子量、及び60ないし200℃のガラス転移点を有し、前記第3の樹脂成分は、数平均分子量が1500ないし15000であり、ガラス転移点が40ないし200℃であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写記録媒体。
【請求項3】
前記溶融型熱転写インク受像兼接着層は、1ないし50μmの厚さを有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写記録媒体。
【請求項4】
前記支持体と前記溶融型熱転写インク受像層兼接着層との間に、易接着層及び剥離層のうち1つの中間層をさらに設けることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱転写記録媒体。
【請求項5】
前記第1の樹脂成分及び第2の樹脂成分は、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の熱転写記録媒体。
【請求項6】
基材と、基材上に設けられた溶融型熱転写インクからなる画像層と、該画像層を介し適材上に熱接着された溶融型熱転写インク受像層兼接着層とを具備する印刷物であって、
前記溶融型熱転写インク受像層兼接着層は、10000以下の数平均分子量を有し、該溶融型熱転写インク受像層兼接着層を熱接着するために加熱する温度をTpとするとき、Tp−110℃以下のガラス転移点Tg1を有する第1の樹脂成分、及び15000以上の数平均分子量を有し、Tp−110℃以上のガラス転移点Tg2を有する第2の樹脂成分を含有し、該支持体上に設けられた第1のインク受像層兼接着層と、該第1のインク受像層兼接着層上に設けられ、15000以下の数平均分子量を有し、該溶融型熱転写インクのガラス転移点をTgとするときTg−50℃以上のガラス転移点Tg3を有する第3の樹脂成分を含有する第2のインク受像層兼接着層とを含む積層膜であることを特徴とする印刷物。
【請求項7】
前記溶融型熱転写インク受像層兼接着層上にさらに保護層を有すること特徴とする請求項6に記載の印刷物。
【請求項8】
溶融型熱転写インク受像層兼接着層と前記保護層との間に、さらに易接着層を有する請求項7に記載の印刷物。
【請求項9】
支持体と、該支持体上に設けられた昇華型熱転写インク受像層兼接着層とを含み、該昇華型熱転写インク受像層兼接着層上に昇華型熱転写インクを用いて画像層を形成した後、該画像層が形成された該昇華型熱転写インク受像層兼接着層上に基材を適用し、該昇華型熱転写インク受像層兼接着層を温度Tpに加熱して熱接着することにより印刷物を形成するための熱転写記録媒体であって、
前記昇華型熱転写インク受像層兼接着層は、10000以下の数平均分子量を有し、Tp−110℃以下のガラス転移点Tg1を有する第1の樹脂成分、及び15000以上の数平均分子量を有し、Tp−110℃以上のガラス転移点Tg2を有する第2の樹脂成分を含有し、該支持体上に設けられた第1のインク受像層兼接着層と、該第1のインク受像層兼接着層上に設けられ、15000以下の数平均分子量を有し、該昇華型熱転写インクのガラス転移点をTgとするときTg−50℃以上のガラス転移点Tg3を有する第3の樹脂成分を含有する第2のインク受像層兼接着層とを含む積層膜であることを特徴とする熱転写記録媒体。
【請求項10】
前記第1の樹脂成分は、1500ないし10000の数平均分子量、及び20ないし60℃のガラス転移点を有し、前記第2の樹脂成分は、15000ないし60000の数平均分子量、及び60ないし200℃のガラス転移点を有し、前記第3の樹脂成分は、数平均分子量が1500ないし15000であり、ガラス転移点が40ないし200℃であることを特徴とする請求項9に記載の熱転写記録媒体。
【請求項11】
前記昇華型熱転写インク受像兼接着層は、1ないし50μmの厚さを有することを特徴とする請求項9または10に記載の熱転写記録媒体。
【請求項12】
前記支持体と前記昇華型熱転写インク受像層兼接着層との間に、易接着層及び剥離層のうち1つの中間層をさらに設けることを特徴とする請求項9ないし11のいずれか1項に記載の熱転写記録媒体。
【請求項13】
前記第1の樹脂成分及び第2の樹脂成分は、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項9ないし12のいずれか1項に記載の熱転写記録媒体。
【請求項14】
基材と、基材上に設けられた昇華型熱転写インクからなる画像層と、該画像層を介し適材上に熱接着された昇華型熱転写インク受像層兼接着層とを具備する印刷物であって、
前記昇華型熱転写インク受像層兼接着層は、10000以下の数平均分子量を有し、Tp−110℃以下のガラス転移点Tg1を有する第1の樹脂成分、及び15000以上の数平均分子量を有し、Tp−110℃以上のガラス転移点Tg2を有する第2の樹脂成分を含有し、該支持体上に設けられた第1のインク受像層兼接着層と、該第1のインク受像層兼接着層上に設けられ、15000以下の数平均分子量を有し、該昇華型熱転写インクのガラス転移点をTgとするときTg−50℃以上のガラス転移点Tg3を有する第3の樹脂成分を含有する第2のインク受像層兼接着層とを含む積層膜であることを特徴とする印刷物。
【請求項15】
前記昇華型熱転写インク受像層兼接着層上にさらに保護層を有すること特徴とする請求項14に記載の印刷物。
【請求項16】
昇華型熱転写インク受像層兼接着層と前記保護層との間に、さらに易接着層を有する請求項15に記載の印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−213023(P2006−213023A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−30606(P2005−30606)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】