説明

熱遮断シート

【課題】発熱部品から出た熱を分散するとともに表面に伝えにくくすることができる熱遮断シートを提供することを目的とするものである。
【解決手段】発熱部品11を実装した基板12と、この基板12を収納する筐体13とを備えた電子機器に用いる熱遮断シート14であって、この熱遮断シート14は、接着層15と断熱シート16と熱伝導シート17と保護層18とからなり、熱遮断シート14は、発熱部品11と対向する位置の筐体13の内側に接着層15を介して接着され、熱遮断シート14と発熱部品11とは、空間を隔てて対峙するように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、デジタルカメラ等の内部に発熱部品を有する電子機器に用いられる熱遮断シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年携帯電話等の携帯用通信機器やデジタルカメラ等の電子機器において、機能が向上するとともに、内部での発熱量が大きくなってきている。さらにこれらの機器は小型化、薄型化が進み、機器が手や顔に触れるものについては、やけど防止のため、表面の温度が局所的に高くなることを防ぐ必要がある。そのため図3に示すように、基板4に実装した発熱部品1に熱拡散シート2を接触させ、筐体3のほうに熱を逃がすような構成が提案されている。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−229287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の構成では、表面の温度が局所的に高くなることはある程度防止できるが、発熱量が多いと、表面の温度が上がってくるため、低温やけど等の課題が生じてくる可能性がある。本発明はこの課題に対して、表面の温度が局所的に高くなることを防止するとともに、全体としても温度が上がりにくくなる熱遮断シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するために、発熱部品を実装した基板と、この基板を収納する筐体とを備えた電子機器に用いる熱遮断シートであって、熱遮断シートは、接着層と断熱シートと熱伝導シートと保護層とからなり、熱遮断シートは、発熱部品と対向する位置の筐体の内側に接着層を介して接着され、熱遮断シートと発熱部品とは、空間を隔てて対峙するように構成したものである。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、発熱部品から出た熱を分散するとともに表面に伝えにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態における熱遮断シートを用いた電子機器の断面図
【図2】本発明の一実施の形態における別の熱遮断シートを用いた電子機器の断面図
【図3】従来の電子機器の断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態における熱遮断シートについて、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施の形態の熱遮断シートを用いた電子機器の断面図である。IC等の発熱部品11を実装した基板12を筐体13に収納したものであって、発熱部品11と対向する位置の筐体13の内側に、発熱部品11と空間を隔てて熱遮断シート14が接着されている。熱遮断シート14は、筐体13側から、接着層15、断熱シート16、熱伝導シート17、保護層18が積層されて構成されている。断熱シート16と熱伝導シート17、熱伝導シート17と保護層18は、両面テープや粘着剤等により接着されている。
【0011】
接着層15には厚さ約30μmの両面テープを用い、断熱シート16には厚さ約50μmの不織布や発泡体樹脂等を用い、熱伝導シート17には厚さ約25μmの熱分解グラファイトシートを用い、保護層18には厚さ約12.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムや、ポリイミドフィルム等を用いている。また発熱部品11と熱遮断シート14とは、約0.5mmの空間が設けられている。ここで断熱シート16は、絶縁性を有し、空隙率が15%以上のものであり、不織布やガラスクロスのように繊維により形成されることにより、空隙が存在するもの、発泡体樹脂のように、シート形成時に空隙を発生させるもの、樹脂フィルムにパンチングや、レーザー光を用いて微細な貫通穴を設け空気層を形成したものが考えられる。この空隙には気体が存在する場合はもちろん、この表面層を密閉し内部の空間を真空状態にする事により、より熱伝導率を低く抑えることが出来る。さらにこの断熱シート16には接着層15よりも熱伝導率が低いシートを用いることが重要である。
【0012】
以上のように構成することにより、発熱部品11により発生した熱は、主として輻射により筐体13側に伝わる。このとき発熱部品11と対向する位置の筐体13の内側に熱遮断シート14が設けられているため、発熱部品11により発生した熱は熱遮断シート14のほうに伝わる。熱遮断シート14に伝わった熱は、熱伝導シート17に到達するが、熱分解グラファイトシートは厚さ方向には熱伝導率が高くないが、面方向は非常に高い熱伝導率を有しているため、熱伝導シート17全体に広がり、局所的に高温になることを防ぐことができる。さらにその次の層には断熱シート16が設けられているため、さらに筐体13の方に熱が伝わりにくくなっている。従って筐体13内部で発熱部品11によって局所的に高温となる状態となっても、筐体13の表面の温度上昇を防ぐことができる。
【0013】
なお、本実施の形態では保護層にPETフィルムを用いたが、表面にアルミニウム等の反射率の高い膜を形成したシートを用いても良い。このようにすることにより、発熱部品11より輻射された熱を効率的に反射することができ、筐体13の表面の温度上昇をさらに抑えることができる。
【0014】
また、図2のように、熱伝導シート17と断熱シート16の位置が逆の方が表面が局所的に高温になることを防ぐ効果が高いケースも有る。
【0015】
これは、熱遮断シート14に伝わった熱は、断熱シート16が設けられているため、熱伝導シート17に到達しにくくし、熱分解グラファイトシートに伝わってしまった少量の熱を、熱分解グラファイトシートは厚さ方向には熱伝導率が高くないが、面方向は非常に高い熱伝導率を有している特性を利用し、熱伝導シート17全体に広がり、局所的に高温になることを防ぐことができ、筐体13の方に熱が伝わりにくくなっている。従って筐体13内部で発熱部品11によって局所的に高温となる状態となっても、筐体13の表面の温度上昇を防ぐことができる。
【0016】
この選択は、発熱部品11と熱遮断シート14の距離、断熱シート16の断熱性能、筐体13の熱伝導率等が複雑に絡み合った結果得られる効果であるため、図1の構成にするか、図2の構成にするかは、実機での効果確認により、選択する必要が有る。
【0017】
また、保護層18と断熱シート16の間と、断熱シート16と接着層15の間、両方に熱伝導シートを挟むことにより、さらに筐体13の表面の温度を均一化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明に係る熱遮断シートは、発熱部品から出た熱を分散するとともに表面に伝えにくくすることができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0019】
11 発熱部品
12 基板
13 筐体
14 熱遮断シート
15 接着層
16 断熱シート
17 熱伝導シート
18 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部品を実装した基板と、この基板を収納する筐体とを備えた電子機器に用いる熱遮断シートであって、前記熱遮断シートは、接着層と断熱シートと熱伝導シートと保護層とからなり、前記熱遮断シートは、前記発熱部品と対向する位置の前記筐体の内側に前記接着層を介して接着され、前記熱遮断シートと前記発熱部品とは、空間を隔てて対峙していることを特徴とする熱遮断シート。
【請求項2】
前記熱伝導シートにグラファイトシートを用いたことを特徴とする請求項1記載の熱遮断シート。
【請求項3】
前記保護層の表面を反射膜としたことを特徴とする請求項1記載の熱遮断シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−151196(P2012−151196A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7451(P2011−7451)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】