説明

熱陰極蛍光ランプ

【課題】板状の接続部材5a,5bそれぞれの互いに近接する辺部同士で点灯時に短絡が発生し、巻回部4aが十分に予熱されずにランプ1が点灯を開始すると、電子放出物質3aが過剰にスパッタされて過剰に損耗され、ランプ寿命が縮む。
【解決手段】接続部材5a,5bそれぞれの互いに近接する各辺部に絶縁部材11a,11bの各々を被着させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に液晶表示装置のバックライトに用いられる熱陰極蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置の中でも、液晶テレビ受像機等に対して大型化の要求があり、この要求に応じてバックライト用の低圧放電ランプに対しても大型化の要求がある。
【0003】
当該大型化の要求に対し、冷陰極蛍光ランプと比べて発光効率が高く、また1本あたりの光量が多くてアセンブリの手間が省ける等の利点から、発明者らはバックライトに熱陰極蛍光ランプを採用することを検討している。
【0004】
熱陰極蛍光ランプでは、一般に、電子放出物質が被着されたフィラメントコイルを採用しているが、点灯中において電子放出物質がスパッタされ、冷陰極蛍光ランプに比べて寿命が短いという課題があり、当該スパッタを抑制する技術が特許文献1に開示されている。具体的には、フィラメントコイルをスリーブで覆うことによって、点灯中にイオンのフィラメントコイルへの衝突を抑制し、当該スパッタを抑制することができる旨、記載されている(段落番号[0019]を参照)。
【特許文献1】特開2005−235749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術では、各フィラメントコイルにおいて巻回部分の端から延出された2本のリード線と当該フィラメントコイルへ電力を供給するための2本の導入線とを接続する場合に、フィラメントコイルの位置決め精度を高めてバルブとフィラメントコイルとの接触を防止するとともにリード線と導入線との接続を容易にするため、短冊状の接続部材を2つ用いている。しかしながら、当該接続部材が、同一の仮想平面に対して互いの主面を並行させて配置されていることから、互いの辺が近接し、導入線に通電しても、当該近接辺部同士にて短絡の発生する恐れがある。当該短絡が発生すると、フィラメントコイルが十分に予熱されない状態で上記熱陰極ランプが点灯を開始し、十分に予熱された状態でランプ点灯が開始する場合に比べて、上記スパッタが過剰に発生して電子放出物質が早く損耗し、このためランプ寿命が縮むおそれがあるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、上記接続部材同士で短絡が生じることを防止して、ランプ寿命が縮むことを抑制することのできる熱陰極蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る熱陰極蛍光ランプでは、電子放出物質が被着された巻回部と、当該巻回部の一端から延出された第1リード部と、当該巻回部の他端から延出された第2リード部とからなるフィラメントコイルを、ガラスバルブ内の各端に配した熱陰極蛍光ランプに対し、上記第1リード部への給電経路上に配された第1接続部材と、上記第2リード部への給電経路上に配された第2接続部材とを、互いに接近させた状態で上記ガラスバルブ内に配し、上記第1接続部材のおよび上記第2接続部材においてそれらが互いに接近する部分同士の間に絶縁部材を挿設した。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る熱陰極蛍光ランプでは、上記第1接続部材および上記第2接続部材においてそれらが互いに接近する部分同士の間に絶縁部材を挿設したので、ランプ点灯時に上記第1接続部材と上記第2接続部材との間で短絡が発生することを防止することができ、上記巻回部に被着された上記電子放出物質が過剰にスパッタされて過剰損耗することを抑制できて、ランプ寿命が縮むことを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下、図面を用いて本実施の形態における熱陰極蛍光ランプについて説明する。
【0010】
図1(a)は、本実施の形態における熱陰極蛍光ランプの概略断面図であり、(b)は(a)の要部断面図である。図1(a)では、バルブ2およびバルブ2の内面に成膜された蛍光体膜2aのみを断面で示している。図1(b)では、バルブ2、蛍光体膜2a、スリーブ7のみを断面で示しており、一方の電極ユニット3の周辺部分の断面を示しているが、他方の電極ユニット3の周辺部分も同様の構成である。
【0011】
図1(a)に示すように、本実施の形態における熱陰極蛍光ランプ1では、例えば、内径が5[mm]以上数10[mm]以下の範囲内に設定された、ガラス製の円筒状バルブ2に電極ユニット3が内包され、バルブ2の両端部側にそれぞれ配されている。
【0012】
バルブ2の内面のうち、バルブ2両端側を除くほぼ全域に蛍光体膜2aが成膜されている。蛍光体膜2aは、例えば、赤(Y:Eu)、緑(LaPO:Ce,Tb)および青(BaMgAl1627:Eu,Mn)発光の3種類を用いている。バルブ2内には、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)等の希ガスと発光物質である水銀(Hg)が封入されている。
【0013】
図1(b)に示すように、電極ユニット3は、フィラメントコイル4、スリーブ7、スリーブリード8および接続部材5a,5bからなる。フィラメントコイル4は巻回部4a、第1リード部4b、第2リード部4cからなり、スリーブ7には、螺旋状に巻回された巻回部4aが内包されている。
【0014】
スリーブ7は、例えばニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)等で形成されている。スリーブ7の軸が上記巻回部4aの巻回軸と略平行となっている。
【0015】
スリーブ7の内径は、上記巻回部4aの外径より大きく、内包された上記巻回部4aが接触しないように設定されている。スリーブ7の外径は、バルブ2の内径より小さく、バルブ2と接触しないように設定されている。
【0016】
上記巻回部4aは、例えば外径が1[mm]以上5[mm]未満に設定されている。当該巻回部4aの一端から近い側のバルブ2の端部に向けて第1リード部4bが延出され、同様に当該巻回部4aの他端から近い側のバルブ2の端部に向けて第2リード部4cが延出されている。
【0017】
フィラメントコイル4には、例えば、タングステン(W)あるいはレニウムタングステン(Re−W)等を主成分とする素線が用られている。レニウムタングステン(Re−W)はタングステン(W)に比べて加熱時の強度が高いので、本実施の形態では、レニウムタングステン(Re−W)を主成分とする素線をフィラメントコイル4に採用している。
【0018】
フィラメントコイル4の素線の直径は、25[μm]〜70[μm]のものを用いることができ、二重巻き(ダブルヘリカル)構造の場合、巻きやすさおよび強度の両立の観点から45[μm]〜55[μm]が望ましい。
【0019】
フィラメントコイル4の巻回部4aは、素線が略一定の間隙で螺旋状に巻回されてなる一重巻きコイルが、さらに螺旋状に巻回されて二重巻きの状態となっている。例えば、当該一重巻きコイルは、外径が0.15[mm]、ピッチが0.07[mm]に設定され、当該巻回部4aは、外径が1.3[mm]、ピッチが0.6[mm]に設定されている。
【0020】
フィラメントコイル4の巻回部4aの表面には、電子放出物質3aが被着されている。電子放出物質3aは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)からなる3元アルカリ土類金属の酸化物を主成分とする。電子放出物質3aの材質はこれに限定されず、二元のバリウム酸化物、あるいはアルカリ土類金属の酸化物に酸化ジルコニウムを1〜5重量%程度添加したものを主成分としても良い。
【0021】
スリーブ7がフィラメントコイル4の巻回部4aを覆っており、スリーブ7の外周面から近い側のバルブ2の端部に向けてスリーブリード8が延出されている。スリーブリード8は、例えばステンレス(SUS304)等で構成されている。
【0022】
スリーブリード8、第1リード部4bおよび第2リード部4cはそれぞれの延出端側で板状の接続部材5a,5bに固定されている。板状の接続部材5a,5bは、例えばステンレス(SUS304)等を主成分とし、縦2〜10[mm]、横1〜5[mm]、厚み0.1〜0.5[mm]に設定されている。また、接続部材5a,5bには、バルブ2両端を貫通し、第1リード部4b、第2リード部4cに通電する導入線6a,6bが、バルブ2に内包された側の端部で固定されている。
【0023】
上記のように、接続部材5a,5bは、第1リード部4b、第2リード部4cと導入線6a,6bとを接続するので、導入線6a,6bに電圧が印加されたとき、フィラメントコイル4への給電部材として機能する。
【0024】
本実施の形態では、板状の接続部材5aにおいて、一方の主面にスリーブリード8、第1リード部4bがそれぞれ固定され、他方の主面に導入線6aが固定されており、同様に板状の接続部材5bにおいて、一方の主面に第2リード部4cが固定され、他方の主面に導入線6bが固定されている。
【0025】
接続部材5a,5bで第1リード部4b、第2リード部4cと導入線6a,6bとを各々接続すると、ランプ1を組み立てる際、接続部材を用いずに第1リード部、第2リード部を各導入線と接続する場合と比べて、フィラメントコイル4の位置決め精度を高めることができるとともに、第1リード部4b、第2リード部4cと各導入線6a,6bとの接続を容易にすることができる。
【0026】
スリーブリード8の支持部材は接続部材5aに限らず、接続部材5bであっても良い。
【0027】
本実施の形態では、フィラメントコイル4の巻回部4aは、二重巻き(ダブルヘリカル)構造を採用しているが、これに限定されず、三重巻き(トリプルヘリカル)構造の他、一重巻き(シングルヘリカル)構造を採用しても良い。
【0028】
フィラメントコイル4の巻回部4aに多重巻き構造(高次構造)を採用すると、一重巻き(シングルヘリカル)構造を採用した場合と比べて、当該巻回部4aをコンパクトにすることができ、ランプ1における設計自由度を向上させることができる。
【0029】
具体的な本実施の形態に係る熱陰極蛍光ランプの駆動方法について概説すると、電極ユニット3を構成する第1リード部4bと、第2リード部4cとの間に電圧を印加するため、導入線6a,6bのそれぞれの間に例えば5[V]の電圧を印加し、フィラメントコイル4で電子放出物質3aを加熱する。
【0030】
そして、電極ユニット3同士の間に例えば300[V]の電圧を印加することにより、電子放出物質3aから電子を放出させて電極ユニット3同士の間でアーク放電を発生させる。電極ユニット3同士の間でアーク放電が発生した後は、電極ユニット3同士の間に100[V]の電圧を印加するとともに、各電極ユニット3に例えば2[V]の電圧を印加する制御を行う。既述した2[V]の電圧の印加は、しなくても良いが、当該電圧印加をすると、ランプ寿命がより長くなる。
【0031】
図2(a)は、電極ユニットの概略斜視図であり、(b)は、(a)で示した仮想平面での概略矢視断面図である。
【0032】
図2(a)に示すように、本実施の形態の電極ユニット3において、板状の接続部材5a,5b同士は、それぞれの主面が仮想の同一平面に沿うように配されており、図2(a),(b)に示すように、接続部材5a,5bの双方においてこれら同士が最も近接する各々の辺部(以下、近接辺部という。)に絶縁部材11a,11bが被着されている。
【0033】
本実施の形態では、絶縁部材11a,11bの厚みは0.002〜1[mm]に設定されている。
【0034】
本実施の形態では、接続部材5a,5b双方の各近接辺部に絶縁部材11a,11bが被着されているが、接続部材5a(5b)のいずれか一方の近接辺部に絶縁部材11a(11b)が被着されていてもよい。
【0035】
絶縁部材11a,11bは、酸化アルミニウム(Al)、あるいはシリカ(SiO)等の酸化物、または窒化ホウ素(BN)などの窒化物を主成分とする釉薬を接続部材11a,11bの近接辺部に塗布して、これを約1200[℃]で約10分間、焼成することにより当該近接辺部に被着させることができる。なお、当該釉薬による絶縁層形成方法では、絶縁層を形成する接続部材11a,11bが酸化しないように、酸素欠乏雰囲気下で行うことが望ましい。
【0036】
例えば、シリカ粉体とホウ酸とを混合した釉薬を上記条件下で塗布、焼成すると、焼成によって融解したホウ酸にシリカが包み込まれたような絶縁層からなる絶縁部材11a,11bを形成することができる。
【0037】
絶縁部材11a,11bは、窒化珪素(Si)等の窒化物または炭化珪素(SiC)等の炭化物、あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混合物、例えば、アルミノケイ酸塩等のセラミック(xMOyAlZSiOnHO)を主成分とする粉体を石油系炭化水素やカルボン酸エステルやアルコール類などの分散媒に所定の粘度となるように分散させ、ペースト状あるいはスラリー状としたものを接続部材5a,5bの近接辺部に塗布し、これを分散媒の沸点および飽和蒸気圧に応じた温度で乾燥させることにより当該近接辺部に被着させることができる。
【0038】
例えば、分散媒が酢酸ブチルである場合、粘度0.2〜2.0[Pa・秒]のスラリーを塗布し、約40[℃]の熱風を2分間当てることにより絶縁層からなる絶縁部材11a,11bを形成することができる。
【0039】
また、上記酸化物、窒化物、炭化物等を予め焼成して絶縁部材11a,11bを形成しておき、これを耐熱性の接着剤で接続部材5a,5bの近接辺部に被着させてもよい。
【0040】
例えば、シリカ粉体とホウ酸との混合物を鋳型に入れ焼くことによって予め絶縁部材11a,11bを形成しておき、これを耐熱性の接着剤で接続部材5a,5bの近接辺部に被着させる。
【0041】
また、上記酸化物、窒化物、炭化物等を予め焼成して絶縁部材11a,11bを形成しておき、これを接続部材5a,5bの近接辺部に配置させてもよい。
【0042】
例えば、マグネシア粉体とシリカ粉体との混合物を鋳型にて焼成してステアライトやホルステライトなどの耐熱性絶縁物の構造体を形成する。鋳型の形状及び切削加工により接続部材5a,5bの近接辺部に嵌合する形状に成型し、上記構造体を接続部材5a,5bで挟持させるようにこれらの間に配置するか、もしくは耐熱性の接着剤で接続部材5a,5bの近接辺部に被着させる。
【0043】
本実施の形態では、例えば耐熱温度1000[℃]以上の耐熱性無機接着剤例えば、朝日化学工業(株)製のスミセラム(登録商標、商標登録番号第1269142号)あるいは日産化学工業(株)製のボンド・エックス(登録商標、商標登録番号第2598133号)などを用いる。
【0044】
上記蛍光体膜2aと同様の成分を含む蛍光体懸濁液を接続部材5a,5bの近接辺部に塗布し、分散媒の沸点および飽和蒸気圧に応じた温度で乾燥させることにより当該近接辺部に当該蛍光体を主成分とする絶縁部材11a,11bを被着させることができる。
《実施の形態1における熱陰極蛍光ランプの効果》
本実施の形態では、接続部材5a,5b双方の各近接辺部に絶縁部材11a,11bが被着されているので、導入線6a,6b(図1(b)参照)から電極4に対して電圧を印加した場合、当該近接辺部同士でアークが飛び、短絡が発生することを防止でき、フィラメントコイル4の巻回部4aに被着された電子放出物質3aが過剰にスパッタされ過剰損耗することを抑制でき、ランプ寿命が縮むことを抑制できる。
【0045】
既述のように、絶縁部材11a(11b)がいずれか一方の接続部材5a(5b)に被着されていると、上記短絡の発生を防止することができる。絶縁部材11a,11bが接続部材5a,5bそれぞれの近接辺部の双方に被着されていると、上記短絡の発生を防止する効果が確実になって、ランプ寿命が縮むことを確実に抑制することができる。
【0046】
本実施の形態では、接続部材5a,5bにおいて、絶縁部材11a,11bが被着されていない露出部分があるため、絶縁部材が接続部材の表面全てに被着された場合に比べて、点灯時の接続部材5a,5bの放熱性が向上し、バルブ2への伝熱量の偏りを抑制することができ、熱膨張の偏りによるバルブ2の破損を抑制することができる。
【0047】
本実施の形態では、フィラメントコイル4のうち電子放出物質3aが被着された巻回部4aの巻回軸がバルブ2の管軸と略平行であるため、放電中に生じたイオンを主に当該巻回部4aの折り返し端部に衝突させ、当該折り返し端部以外の他の大部分のイオンスパッタを抑制することができる。これによって、電子放出物質3aの枯渇を抑制でき、ランプ寿命が縮むことを抑制できる。
【0048】
さらに、上記巻回部4aの巻回軸がバルブ2の管軸と略平行であることによって、フィラメントコイル4の長さを小さくすることなく、バルブ2の径を小さくすることができ、ランプ1の設計自由度を向上させることができる。
【0049】
そして、バルブ2の径を小さくすると、輝度を向上させることができるが、上記巻回部4aの巻回軸がバルブ2の管軸と略平行であることによって、バルブ2の径を小さくしながらも、上記巻回部4aに電子放出物質3aが塗布できる領域が減少することを防止できるので、ランプ寿命が縮むことを抑制しながら輝度を向上させることができる。
【0050】
本実施の形態では、フィラメントコイル4の巻回部4aにスリーブ7を被覆させたので、放電中に生じたイオンによるスパッタをさらに抑制することができ、ランプ寿命が縮むことをさらに抑制することができる。
【0051】
フィラメントコイル4の巻回部4aが高次構造を有する場合、当該巻回部4aの最外郭の巻回軸がバルブ2の管軸と略平行であれば、同様の効果を発揮することができる。
【0052】
スリーブ7の少なくとも内周面に電子放出物質を被着させると、電子放出性能を向上させることができる。
【0053】
スリーブ7の外周面に蛍光体の層を被着させると、光放射量を向上させることができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、適宜図面を用いて説明する。
【0054】
図3(a)は本実施の形態における電極ユニットの概略斜視図であり、(b)は、(a)で示した仮想平面での概略矢視断面図である。
【0055】
本実施の形態では、絶縁部材の構成に特徴があり、その他の構成については、実施の形態1と同様であるので、ここでの説明を省略する。
【0056】
図3(a)に示すように、本実施の形態では、絶縁部材12が、接続部材5a,5b双方の近接辺部同士を架橋するように配されており、具体的には、同図(b)に示すように当該近接辺部同士で挟持されている。
【0057】
本実施の形態では、絶縁部材12は、幅Wが4[mm]、最厚部分での厚みd1が3[mm]、最も薄い部分での厚みd2が1[mm]に設定されている。
【0058】
本実施の形態では、実施の形態1で示した方法で、実施の形態1で示した酸化物、窒化物、炭化物等を予め焼成して絶縁部材12を形成しておき、これを耐熱性の接着剤で接続部材5a,5bの近接辺部に被着させる。
【0059】
本実施の形態では、耐熱性の接着剤として、実施の形態1で用いた耐熱性の接着剤を用いている。
《実施の形態2における熱陰極蛍光ランプの効果》
実施の形態2における熱陰極蛍光ランプでは、実施の形態1と同様の効果を奏することができると共に、絶縁部材12が接続部材5a,5bに挟持され、すなわち、絶縁部材12が、接続部材5a,5bの両方を、接続部材5a,5b同士の距離を一定に保ちながら保持しているので、実施の形態1における熱陰極蛍光ランプと比べて、接続部材5a,5bそれぞれの絶縁部材12に覆われていない部分(以下、露出部分という)同士の間隙が縮むことを抑制することができ、当該露出部分同士でアーク飛び、短絡が発生することを防止でき、フィラメントコイル4の巻回部4aに被着された電子放出物質3aが過剰にスパッタされ過剰損耗することを抑制でき、ランプ寿命が縮むことを抑制できる。
【0060】
また、実施の形態2における熱陰極蛍光ランプでは、実施の形態1の熱陰極蛍光ランプと比べて、接続部材5a,5b同士が衝突することを抑制することができ、絶縁部材12が破損することを抑制することができるので、絶縁部材12が接続部材5a,5bの間に挿設された状態を経時的に維持することができ、接続部材5a,5b間の短絡発生を経時的に確実に防止でき、フィラメントコイル4の巻回部4aに被着された電子放出物質3aが過剰にスパッタされ過剰損耗することを経時的に抑制でき、ランプ寿命が縮むことを経時的に抑制できる。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3について、適宜図面を用いて説明する。
【0061】
図4(a)は本実施の形態における電極ユニット及び絶縁部材の概略構成図であり、(b)は、(a)で示した仮想平面での概略矢視断面図であり、(c)は、接続部材の主面に垂直な方向から見た絶縁部材近傍を示す概略平面図である。
【0062】
本実施の形態では、絶縁部材の構成に特徴があり、その他の構成については、実施の形態1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0063】
図4(a)に示すように、本実施の形態では、絶縁部材13が、接続部材5a,5b双方の間を遮蔽するように挿設されており、図4(b)に示すように、スリーブ7の軸に垂直な断面における絶縁部材13の長手方向が接続部材5a,5bの主面に垂直な方向と並行するように、絶縁部材13が接続部材5a,5bの間に挿設されている。
【0064】
図4(c)に示すように、本実施の形態では、絶縁部材13は、接続部材5a,5bの主面に垂直な方向から見たときT字状で、バルブ2の内壁に到達する肢を備え、当該内壁に支持されている。
【0065】
スリーブ7の軸方向において、絶縁部材13のうち接続部材5a,5b双方の間を遮蔽する部分の長さは接続部材5a,5bの長さよりも大きいことが好ましい。スリーブ7の軸方向において当該遮蔽部分の長さが接続部材5a,5bの長さより大きいと、接続部材5a,5bそれぞれのスリーブ7側の辺同士においてアークが飛び、短絡が発生することを防止することができる。
【0066】
絶縁部材13は、接続部材5a,5bの主面に垂直な方向においてその長手方向の長さHが5[mm]、短手方向の長さW2が2.5[mm]に設定されており、その厚みが0.2[mm]に設定されている。
【0067】
本実施の形態では、実施の形態1で示した方法で、実施の形態1で示した酸化物、窒化物、炭化物等を予め焼成して絶縁部材13を形成しておき、これを耐熱性の接着剤でバルブ2に接続させる。
【0068】
本実施の形態では、耐熱性の接着剤として、実施の形態1で用いた耐熱性の接着剤を用いている。
【0069】
絶縁部材13の材質はこれらに限定されない。絶縁部材13の全てがバルブ2と同じガラス製でも良く、また、絶縁部材13のうちバルブ2と接続される肢の部分のみをガラス製としても良い。
《実施の形態3における熱陰極蛍光ランプの効果》
実施の形態3における熱陰極蛍光ランプでは、実施の形態1と同様の効果を奏することができると共に、スリーブ7軸に垂直な方向における絶縁部材13の長手方向が、接続部材5a,5bの主面に垂直な方向と並行するので、接続部材5a,5b同士における遮蔽されていない間隙距離を大きくすることができ、接続部材5a,5b間の短絡発生を確実に防止でき、フィラメントコイル4の巻回部4aに被着された電子放出物質3aが過剰にスパッタされ過剰損耗することを確実に抑制でき、ランプ寿命が縮むことを確実に抑制できる。
【0070】
絶縁部材13をバルブ2と同じ材質、すなわちガラスで形成すると、絶縁部材13とバルブ2との熱膨張係数を容易に揃えることができ、絶縁部材13の破損抑制を容易に実現することができる。
【0071】
そのうえ、絶縁部材13とバルブ2とに同じ材質を採用すると、これらを接続する際に、耐熱性の接着剤に替えてガラスを接着剤として採用することができ、ガラスを主成分とする接着剤、バルブ2および絶縁部材13の熱膨張係数を揃えることができ、接着強度の低下を抑制することができる。
【0072】
絶縁部材13のうちバルブ2と接続される肢の部分のみをバルブ2と同じガラス製とした場合にも、同様に接着強度低下を抑制する効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、ランプ寿命が縮むことを抑制できるので、ランプ交換期間を延長させることができ、本発明に係るランプを採用すると、製品のライフサイクルとの関係で、メンテナンスフリーの照明装置を実現することができ、その産業上の利用可能性は非常に広く、かつ大きい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】(a)は、実施の形態1における熱陰極蛍光ランプの概略断面図であり、(b)は、(a)の要部断面図である。
【図2】(a)は、実施の形態1における電極ユニットの概略斜視図であり、(b)は、(a)で示した仮想平面での概略矢視断面図である。
【図3】(a)は実施の形態2における電極ユニットの概略斜視図であり、(b)は、(a)で示した仮想平面での概略矢視断面図である。
【図4】(a)は実施の形態3における電極ユニットの概略構成図であり、(b)は、(a)で示した仮想平面での概略矢視断面図であり、(c)は、接続部材の主面に垂直な方向から見た絶縁部材近傍を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 熱陰極蛍光ランプ
2 バルブ
2a 蛍光体膜
3 電極ユニット
3a 電子放出物質
4 フィラメントコイル
4a 巻回部
4b 第1リード部
4c 第2リード部
5a,5b 接続部材
6a,6b 導入線
7 スリーブ
8 スリーブリード
11a,11b,12,13 絶縁部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子放出物質が被着された巻回部と、当該巻回部の一端から延出された第1リード部と、当該巻回部の他端から延出された第2リード部とからなるフィラメントコイルが、ガラスバルブ内の各端に配され、第1リード部、第2リード部が各別の接続部材を介してガラスバルブ端部に挿設された導入線に接続されてなる熱陰極蛍光ランプであって、
前記第1リード部が接続された第1接続部材と、前記第2リード部が接続された第2接続部材との互いに接近する部位の間に絶縁部材が存在していることを特徴とする熱陰極蛍光ランプ。
【請求項2】
前記絶縁部材は、前記第1接続部材もしくは前記第2接続部材の少なくとも一方に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の熱陰極蛍光ランプ。
【請求項3】
前記絶縁部材は、前記第1接続部材と前記第2接続部材とで挟持されていることを特徴とする請求項1に記載の熱陰極蛍光ランプ。
【請求項4】
前記絶縁部材は、前記ガラスバルブの内壁に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の熱陰極蛍光ランプ。
【請求項5】
前記絶縁部材のうち少なくとも前記ガラスバルブとの接続部分が前記ガラスバルブと同一の材質であることを特徴とする請求項4に記載の熱陰極蛍光ランプ。
【請求項6】
前記第1接続部材および前記第2接続部材は、それぞれが板状で、それらの主面が同一平面に沿うように配されていることを特徴とする請求項1に記載の熱陰極蛍光ランプ。
【請求項7】
前記巻回部の巻回軸は前記ガラスバルブの管軸と略平行であることを特徴とする請求項1に記載の熱陰極蛍光ランプ。
【請求項8】
前記巻回部は高次構造を有しており、
前記巻回部における最外郭の巻回軸は前記ガラスバルブの管軸と略平行であることを特徴とする請求項1に記載の熱陰極蛍光ランプ。
【請求項9】
前記巻回部では、素線が略一定の間隙を維持しながら螺旋状に巻回されていることを特徴とする請求項7に記載の熱陰極蛍光ランプ。
【請求項10】
前記巻回部では、素線が略一定の間隙を維持しながら二重螺旋状に巻回されていることを特徴とする請求項8に記載の熱陰極蛍光ランプ。
【請求項11】
前記巻回部は耐熱性スリーブで覆われていることを特徴とする請求項7または8のいずれかに記載の熱陰極蛍光ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−117634(P2008−117634A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299665(P2006−299665)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】