説明

熱電併給システム

【課題】 循環配管系統を切り替える切り替え弁(熱動弁)等を適切に制御して、発電ユニットのオーバーヒートをより確実に防止可能な熱電併給システムを提供する。
【解決手段】 給湯負荷に対し熱エネルギを供給する第1排熱利用部の熱交換器と発電部との間で冷却液を循環させる第1循環配管系統と、所定の熱負荷で構成される第2排熱利用部と発電部との間で冷却液を循環させる第2循環配管系統と、制御部が、自立運転の開始時に、第1循環配管系統から第2循環配管系統への切り替えを行う場合、発電部から電力供給可能になる前に、第1循環配管系統から第2循環配管系統への切り替えを完了させ、発電部における冷却液の循環開始後或いは循環開始時に発電部を始動させ、発電部から電力供給可能になった後に、自立運転時の電力供給対象に交流電力の供給を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から燃料供給を受けて電力と熱を併給可能な熱電併給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
外部から燃料供給を受けて電力と熱を併給可能な熱電併給システムには、例えば、図5に示すように、外部から燃料供給を受けて発電する発電ユニット10と、冷却液の循環により発電ユニット10が発電時に発生する排熱を回収して発電ユニット10を冷却する排熱回収冷却液循環配管22と、貯湯タンク21と、貯湯タンク21の温水を循環させる温水循環配管23と、排熱回収冷却液循環配管22と温水循環配管23の間で熱交換を行う排熱回収熱交換器24と、発電ユニット10の運転と排熱回収冷却液循環配管22と温水循環配管23の循環を制御する制御装置80を備えて構成された熱電併給システム100がある。尚、ここでは、発電ユニット10がガスエンジンと発電機を備え、発電機から出力された電力と商用交流電源と系統連系可能に構成されている場合を想定している。
【0003】
ところで、図5に示す熱電併給システム100において、例えば、商用交流電源の停電時等、発電ユニット10を強制運転させる場合、貯湯タンク21の貯湯量が所定量以上の場合、発電ユニット10を構成するガスエンジンと発電機をオーバーヒートさせずに運転させるためには、発電ユニット10からの排熱を、貯湯タンク21への排熱の供給以外の方法で、消費する必要がある。
【0004】
従来の発電ユニットをオーバーヒートさせずに運転させるための技術としては、例えば、発電ユニットからの排熱を大気に放熱するための放熱器を備えた熱電併給システムがある。しかしながら、熱電併給システムが放熱器を備える構成にすると、製造コストが高騰し、省エネルギ効果が低下するという問題があった。
【0005】
また、発電ユニットをオーバーヒートさせずに運転させるための他の技術としては、例えば、排熱回収冷却液循環配管で回収された排熱を暖房端末に対して供給可能に構成し、発電ユニットの強制運転時において、排熱回収制御装置が貯湯タンクの貯湯量が所定量以上であることを検知した場合に、暖房端末を強制的に運転させる制御を行う熱電併給システムがある(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0006】
ここで、図6は、上記特許文献1に記載の熱電併給システムの概略部分構成例を示している。
【0007】
上記特許文献1に記載の熱電併給システム200は、図6に示すように、外部から燃料供給を受けて発電する発電ユニット10と、冷却液の循環により発電ユニット10が発電時に発生する排熱を回収して発電ユニット10を冷却する排熱回収冷却液循環配管22と、温水を貯湯する貯湯タンク21と、貯湯タンク21の温水を循環させる温水循環配管23と、発電ユニット10の熱交換器19に接続された排熱回収冷却液循環配管22と温水循環配管23の間で熱交換を行う排熱回収熱交換器24と、給湯負荷70に対して貯湯タンク21の温水を給湯出力する給湯出力配管25と、暖房端末71に接続された排熱回収冷却液循環配管22と温水循環配管23の間で熱交換を行う熱交換器27と、発電ユニット10の運転と排熱回収冷却液循環配管22と温水循環配管23の循環を制御する制御装置80を備えて構成されている。以下、排熱利用給湯暖房ユニット20内に設置された貯湯タンク21、温水循環配管23、給湯出力配管25、排熱回収熱交換器24、及び、暖房熱交換器27を第1排熱利用部とし、排熱利用給湯暖房ユニット20外に設置された浴室暖房乾燥機等の暖房端末71を第2排熱利用部とする。
【0008】
尚、ここでは、図5に示す熱電併給システム100と同様に、発電ユニット10がガスエンジンと発電機を備え、発電機から出力された電力と商用交流電源と系統連系可能に構成されている場合を想定している。更に、排熱回収冷却液循環配管22は、発電ユニット10の熱交換器19と温水循環配管23との間で冷却液を循環させる第1循環配管系統PL1と、発電ユニット10の熱交換器19と暖房端末71との間で冷却液を循環させる第2循環配管系統PL2を構成可能となっている。
【0009】
【特許文献1】特開2007−240016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、図6に示す熱電併給システム200では、発電ユニット10がオーバーヒートするのを防止するために、貯湯タンク21の貯湯量が所定量以上であり、第1排熱利用部を利用して排熱を回収できない場合には、第2排熱利用部を強制運転させて排熱を回収する制御を行う。このとき、図6に示す熱電併給システム200では、熱動弁36、37及び38を第1循環配管系統PL1から第2循環配管系統PL2に切り替える必要がある。
【0011】
ところで、図6に示す熱電併給システム200では、熱動弁36、37及び38は、弁を比較的急激に開閉動作させる時に水圧差により生じるウォーターハンマー現象を防止するため、開閉動作に時間をかける構成となっている。そうすると、例えば、自立運転の開始時に、熱動弁36、37及び38により第1循環配管系統PL1に設定されている状態で、且つ、貯湯タンク21の貯湯量が所定量以上であり、冷却水の循環経路を第1循環配管系統PL1から第2循環配管系統PL2への切り替える必要が生じた場合、冷却液を循環させる循環ポンプ33の動作開始時に、熱動弁36、37及び38の動作を開始すると、熱動弁36、37及び38の開閉動作中は、発電ユニット10を良好に冷却できず、オーバーヒートしてしまう可能性があった。
【0012】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、循環配管系統を切り替える切り替え弁(熱動弁)等を適切に制御して、発電ユニットのオーバーヒートをより確実に防止可能な熱電併給システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係る熱電併給システムは、外部から燃料供給を受けて発電する発電部と、外部の商用交流電源または前記発電部から電力供給を受けて電力貯蔵する電力貯蔵部と、前記商用交流電源または前記電力貯蔵部から電力供給を受けて前記発電部を始動する発電始動部と、前記発電部または前記電力貯蔵部から電力供給を受けて交流電力を出力可能な交流出力部と、冷却液の循環により前記発電部が発電時に発生する排熱を回収して前記発電部を冷却する排熱回収冷却液循環配管と、前記排熱回収冷却液循環配管の前記冷却液を循環させる電動冷却液ポンプと、前記排熱回収冷却液循環配管の前記冷却液と熱交換することで、前記排熱を利用する排熱利用部と、前記発電部が前記商用交流電源から独立して自立運転する場合の制御を行う制御部と、を備えてなる熱電併給システムであって、前記排熱利用部が、給湯負荷に対し熱エネルギを供給する第1排熱利用部と、前記給湯負荷を除く所定の熱負荷で構成される第2排熱利用部と、を備えて構成され、前記排熱回収冷却液循環配管が、前記発電部と前記第1排熱利用部の熱交換器との間で前記冷却液を循環させる第1循環配管系統と、前記発電部と前記第2排熱利用部との間で前記冷却液を循環させる第2循環配管系統と、を備えて構成され、前記排熱利用部が、前記第1循環配管系統と前記第2循環配管系統を切り替える切り替え弁を備え、前記制御部が、前記自立運転の開始時に、前記第1循環配管系統から前記第2循環配管系統への切り替えを行う場合に、前記発電部から前記交流出力部に電力供給可能になる前に、前記第1循環配管系統から前記第2循環配管系統への切り替えが完了するように前記切り替え弁を切り替えるとともに、前記電力貯蔵部から前記交流出力部を介して前記電動冷却液ポンプに電力供給して前記電動冷却液ポンプを作動させ前記発電部の前記排熱回収冷却液循環配管の前記冷却液の循環開始後或いは前記冷却液の循環開始と同時に、前記電力貯蔵部から前記発電始動部に電力供給して前記発電部を始動させ、前記発電部から前記交流出力部に電力供給可能になった後に、前記発電部から前記交流出力部を介して前記電動冷却液ポンプを含む自立運転時の電力供給対象である自立運転時電力負荷に交流電力の供給を開始する制御を行うことを第1の特徴とする。
【0014】
上記特徴の本発明に係る熱電併給システムは、前記制御部が、前記発電部から前記交流出力部を介して前記自立運転時電力負荷に交流電力の供給を開始した後に、前記自立運転時電力負荷が過負荷状態にあることを検知した場合、前記自立運転時電力負荷の内、少なくとも前記電動冷却液ポンプ及び前記切り替え弁を除く電力負荷に対する電力供給を遮断する制御を行うことを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記特徴の熱電併給システムによれば、制御部が、自立運転の開始時に、第1循環配管系統PL1から第2循環配管系統PL2への切り替えを行う場合に、発電部から交流出力部に電力供給可能になる前に、第1排熱利用部により排熱を回収するための第1循環配管系統から、第2排熱利用部により排熱を回収するための第2循環配管系統への切り替えが完了するように切り替え弁を切り替えるように構成したので、発電ユニット10の冷却が必要となる前、即ち、発電部から交流出力部に電力供給可能になる前に、第2循環配管系統において冷却液の循環を開始することが可能になる。これにより、上記特徴の熱電併給システムでは、自立運転の開始時に、第1排熱利用部を利用して排熱を回収できない場合であって、冷却液の循環経路を第1循環配管系統PL1から第2循環配管系統PL2に切り替える切り替え弁の開閉動作中に、発電部がオーバーヒートするのを効果的に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る熱電併給システム(以下、適宜「本発明システム」と称する)の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
〈第1実施形態〉
本発明システムの第1実施形態について、図1〜図3を基に説明する。
【0018】
先ず、本発明システムの構成について、図1及び図2を基に説明する。ここで、図1は、本発明システム1の概略部分構成例を示しており、図2は、本発明システム1の排熱利用部とその周辺装置の概略構成例を示している。
【0019】
尚、本発明システム1は、本実施形態では、コージェネレーションシステムを想定しており、図1及び図2に示すように、外部から燃料供給を受けて発電する発電ユニット10と、発電ユニット10の運転時に発生する排熱を回収して給湯負荷70と暖房端末71(所定の熱負荷に相当)に供給する排熱利用給湯暖房ユニット20を備えて構成されている。
【0020】
また、本発明システム1は、商用交流電源60と連系せずに電力負荷61、62で消費される電力の少なくとも一部を発電する自立運転と、商用交流電源60と連系して電力負荷61、62で消費される電力の少なくとも一部を発電する系統連系運転とを実行可能に構成されている。以下、本実施形態では、商用交流電源60から正常に電力を受電可能な通常時は系統連系運転を実行し、通常の系統連系運転時では熱需要に応じて発電制御を行う熱主運転を実行し、商用交流電源60の停電時は自立運転を実行し、商用交流電源60の停電時における自立運転では、電力需要に応じて発電制御を行う電主運転を実行する場合を想定して説明する。
【0021】
本発明システム1の発電ユニット10は、図1に示すように、都市ガスを燃料として作動するガスエンジン11aとガスエンジン11aによって駆動される発電機11bで構成される発電部11、発電部11の発電電力を商用交流電源60と同じ電圧及び周波数の交流電力に変換するインバータ13(交流出力部に相当)、外部の商用交流電源60または発電部11から電力供給を受けて電力貯蔵する蓄電池16(電力貯蔵部に相当)、蓄電池16の入出力端末とインバータ13の内部ノードN0の間で双方向に電圧変換を行なうDC/DCコンバータ17、発電ユニット10の運転並びに出力制御を行う発電制御装置18(制御部に相当)、及び、発電部11の排熱との熱交換により冷却水を加熱して排熱利用給湯暖房ユニット20側に供給する排熱回収熱交換器24を備えて構成されている。
【0022】
尚、本実施形態では、系統連系運転時は、インバータ13が、商用交流電源60から電力供給を受けて発電部11を始動する発電始動部として機能し、自立運転時(商用交流電源60の停電時)は、DC/DCコンバータ17とインバータ13のAC/DCコンバータ14が、蓄電池16から電力供給を受けて発電ユニット10の発電部11を始動する発電始動部として機能する。
【0023】
排熱利用給湯暖房ユニット20は、冷却液の循環により発電機11bが発電時に発生する排熱を回収して発電機11bを冷却する排熱回収冷却液循環配管22、排熱回収冷却液循環配管22内の冷却液を循環させる電動冷却液ポンプ、排熱回収冷却液循環配管22の冷却液と熱交換することで、排熱を利用する排熱利用部20a、及び、排熱利用部20a及び循環ポンプの動作制御を行う排熱回収制御装置32(制御部に相当)を備えて構成されている。
【0024】
排熱回収冷却液循環配管22は、本実施形態では、図2に示すように、通常の系統連系運転時及び自立運転時(貯湯タンク21の貯湯量が所定量未満の場合)に、発電ユニット10内の熱交換器19と排熱回収熱交換器24(第1排熱利用部)との間を連絡する循環経路を形成し冷却液を循環させる第1循環配管系統PL1と、暖房熱交換器27と暖房端末71との間を連絡する循環経路を形成し冷却液を循環させる配管系統を形成するように構成されている。更に、排熱回収冷却液循環配管22は、自立運転時(貯湯タンク21が所定量以上の場合)に、発電ユニット10内の熱交換器19と暖房端末71(第2排熱利用部)との間を連絡する循環経路を形成し冷却液を循環させる第2循環配管系統PL2を形成可能に構成されている。
【0025】
電動冷却液ポンプは、本実施形態では、複数の循環ポンプで構成されており、排熱回収冷却液循環配管22内の冷却液を循環させるための循環ポンプ33、35を備えて構成されている。本実施形態では、更に、後述する排熱利用部20aの温水循環配管23内の温水を循環させるための循環ポンプ34を備えて構成されている。
【0026】
より詳細には、本実施形態では、循環ポンプ33が、発電ユニット10の熱交換器19と後述する排熱利用部20aの切り替え弁37との間の排熱回収冷却液循環配管22に介装され、循環ポンプ35が、暖房端末71と排熱利用給湯暖房ユニット20との間の排熱回収冷却液循環配管22に介装されている。また、循環ポンプ34が、後述する排熱利用部20aの温水循環配管23に介装されている。
【0027】
排熱利用部20aは、給湯負荷70に対し熱エネルギを供給する第1排熱利用部と、給湯負荷70を除く所定の熱負荷で構成される第2排熱利用部と、を備えて構成されており、第1排熱利用部が、排熱利用給湯暖房ユニット20内に設置された貯湯タンク21、温水循環配管23、給湯出力配管25、排熱回収熱交換器24、及び、暖房熱交換器27を備えて構成され、第2排熱利用部が、排熱利用給湯暖房ユニット20外に設置された浴室暖房乾燥機等の暖房端末71で構成されている。尚、温水循環配管23及び給湯出力配管25には、必要に応じて、補助熱源31、逆止弁、圧力調整弁、温度センサ、圧力センサ、流量計等が介装されており、図2中においてその一部に符号を付して示している。
【0028】
第1排熱利用部の貯湯タンク21は、通常の系統連系運転時及び自立運転時(貯湯タンク21の貯湯量が所定量未満の場合)に、発電ユニット10の排熱回収により加熱された温水を貯湯することで、回収した排熱を蓄熱可能に構成され、更に、内部に介装された温度センサ(図示せず)や水位センサ(図示せず)等の貯湯量検出手段によって貯湯量を検出可能に構成されている。貯湯タンク21の底部には、貯湯タンク21から給湯負荷70に温水が供給された場合に、上水道等の給水源(図示せず)から貯湯タンク21内に給水補充するための給水配管28が接続している。更に、貯湯タンク21には、後述する排熱回収熱交換器24及び暖房熱交換器27と接続する温水循環配管23と、風呂や台所、洗面所等に設置された給湯栓等の給湯負荷70に対して給湯出力する給湯出力配管25が接続されている。
【0029】
排熱回収熱交換器24は、第1循環配管系統PL1の排熱回収冷却液循環配管22内を循環する排熱回収冷却液であるジャケット冷却水と温水循環配管23内を循環する温水の間の熱交換を行う熱交換器であり、1次側に第1循環配管系統PL1の排熱回収冷却液循環配管22が接続し、2次側に温水循環配管23が接続する。温水循環配管23は、貯湯タンク21の下部から取り出した温水を、排熱回収熱交換器24で加熱して、貯湯タンク21の上部に戻して循環させる循環回路である。
【0030】
暖房熱交換器27は、温水循環配管23内を循環する温水と、第2循環配管系統PL2の排熱回収冷却液循環配管22を循環するジャケット冷却水の間の熱交換を行う熱交換器であり、1次側に温水循環配管23が接続し、2次側に第2循環配管系統PL2の排熱回収冷却液循環配管22が接続する。
【0031】
更に、排熱利用部20aは、第1循環配管系統PL1と第2循環配管系統PL2を切り替える切り替え弁を備えて構成されている。尚、本実施形態の切り替え弁は、通常の系統連系運転の実行時には、第1循環配管系統PL1に切り替えるように構成されているが、系統連系運転において発電ユニット10を強制運転させることがある場合には、系統連系運転時においても第2循環配管系統PL2を利用可能に構成しても良い。切り替え弁は、本実施形態では、三方弁または開閉弁を含む複数の切り替え弁を備えて構成されている。更に、当該切り替え弁は、切り替え動作が開始してから完了するまでに約1分間かかる熱動弁であり、発電機11bに接続する排熱回収冷却液循環配管22、排熱回収熱交換器24に接続する排熱回収冷却液循環配管22、及び、暖房端末71に接続する排熱回収冷却液循環配管22が接続された接続点(分岐点)に介装された三方弁37、38と、排熱利用給湯暖房ユニット20と暖房端末71の間の排熱回収冷却液循環配管22に介装された開閉弁36で構成されている。
【0032】
より具体的には、開閉弁36は、通常の系統連系運転時及び自立運転時(貯湯タンク21が所定量未満の場合)に開弁され、自立運転時(貯湯タンク21が所定量以上の場合)に閉弁される。三方弁37、38は、系統連系運転時及び自立運転時(貯湯タンク21が所定量未満の場合)に、発電ユニット10の熱交換器19と排熱回収熱交換器24の間を連絡する往路と復路を形成する第1配管系統を構成するように切り替えられ、自立運転時(貯湯タンク21が所定量以上の場合)に、発電ユニット10の熱交換器19と暖房端末71の間を連絡する往路と復路を形成する第2配管系統を構成するように切り替えられる。
【0033】
以下、本発明システム1の自立運転時の制御動作について、図3を基に説明する。
【0034】
本発明システム1の制御部を構成する排熱回収制御装置32は、自立運転の開始時に、切り替え弁36、37及び38が第1循環配管系統PL1に設定されている場合に、貯湯量検出手段を用いて貯湯タンク21の貯湯量を検出し、貯湯量が所定量以上の場合に、第1循環配管系統PL1から第2循環配管系統PL2への切り替えを行う。
【0035】
尚、所定量は、発電ユニット10の発電部がオーバーヒートしないように、第1排熱利用部で回収可能な排熱量等を考慮し、貯湯量検出手段によって検出された貯湯タンク21の貯湯量に応じて設定する。ここで、図3は、本発明システム1において、自立運転の開始時に、第1循環配管系統PL1から第2循環配管系統PL2への切り替えを行う場合の本発明システム1の処理動作を示している。
【0036】
排熱回収制御装置32は、自立運転の開始時に、第1循環配管系統PL1から第2循環配管系統PL2への切り替えを行う場合、図3に示すように、発電部11からインバータ13に電力供給可能になる前に、第1循環配管系統PL1から第2循環配管系統PL2への切り替えが完了するように切り替え弁36、37及び38を切り替える(ステップ#101)。
【0037】
ここで、上述したように、本実施形態の切り替え弁36、37及び38は、切り替え動作に約1分間かかる。従って、排熱回収制御装置32は、発電部11からインバータ13に電力供給可能となる予定時間の1分以上前に、切り替え弁36、37及び38の切り替え動作を開始させるように制御する。
【0038】
更に、本発明システム1の制御部を構成する排熱回収制御装置32は、自立運転の開始時に、第1循環配管系統PL1から第2循環配管系統PL2への切り替えを行う場合、排熱回収制御装置32による切り替え弁36、37及び38の制御と並行して、蓄電池16からインバータ13を介して循環ポンプ33に電力供給して循環ポンプ33を作動させ、発電部11の排熱回収冷却液循環配管22の冷却液の循環を開始させる(ステップ#102)。
【0039】
本発明システム1の制御部を構成する発電制御装置18は、発電部11の排熱回収冷却液循環配管22の冷却液の循環が開始されてから或いは冷却液の循環開始と同時に、蓄電池16からDC/DCコンバータ17とインバータ13のAC/DCコンバータ14(発電始動部)に電力供給して発電部11を始動させる(起動開始、ステップ#103)。
【0040】
続いて、本発明システム1の制御部を構成する排熱回収制御装置32は、発電部11からインバータ13に電力供給可能になった後(起動完了後)に、発電部11からインバータ13を介して、循環ポンプ33を含む自立運転時の電力供給対象である自立運転時電力負荷に交流電力の供給を開始する制御を行う(ステップ#105)。ここでは、発電部11と第2排熱利用部としての暖房端末71との間で冷却液を循環させる第2循環配管系統PL2の冷却液を循環させる循環ポンプ35に対し、電力を供給して作動させる。
【0041】
引き続き、本発明システム1の制御部を構成する排熱回収制御装置32は、暖房端末71の強制動作を開始する(ステップ#106)。これにより、自立運転の開始時に、貯湯タンク21の貯湯量が所定量以上の場合であっても、発電部11がオーバーヒートするのを効果的に防止し、自立運転が停止するのを効果的に防止しながら、本発明システム1を稼働させることが可能になる。
【0042】
更に、本実施形態では、ステップ#106の実行後、即ち、発電部11からインバータ13を介して自立運転時電力負荷に交流電力の供給を開始した後に、自立運転時電力負荷が過負荷状態にあることを検知した場合(ステップ#111で「YES」分岐)、自立運転時電力負荷の内、少なくとも電動冷却液ポンプ33、35、及び、切り替え弁36、37、38を除く電力負荷に対する電力供給を遮断する制御を行う(ステップ#112)。
【0043】
〈別実施形態〉
上記実施形態では、本発明システム1が、都市ガス等を消費して発電するガスエンジン11a及び発電機11bを備えるコージェネレーションシステムである場合を想定して説明したが、これに限るものではない。例えば、燃料電池を利用したコージェネレーションシステム等、電力負荷に電力を供給可能な発電部11と、発電部11の排熱を回収して利用可能にする排熱利用部20aとを備える熱電併給システムであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る熱電併給システムの概略部分構成例を示す概略ブロック図
【図2】本発明に係る熱電併給システムの排熱利用部とその周辺装置の概略構成例を示す概略ブロック図
【図3】本発明に係る熱電併給システムの処理動作を示すフローチャート
【図4】本発明に係る熱電併給システムの別実施形態における概略部分構成例を示す概略ブロック図
【図5】従来技術に係る熱電併給システムの概略部分構成例を示す概略ブロック図
【図6】従来技術に係る熱電併給システムの概略部分構成例を示す概略ブロック図
【符号の説明】
【0045】
1 本発明に係る熱電併給システム
10 発電ユニット(発電部)
10a 電力端子(系統連系運転時)
10b 電力端子(自主運転時)
11 発電部
11a ガスエンジン
11b 発電機
13 インバータ(交流出力部)
14 AC/DCコンバータ
15 双方向DC/ACコンバータ
15a DC/ACコンバータ
15b DC/ACコンバータ
16 蓄電池(電力貯蔵部)
17 DC/DCコンバータ
18 発電制御装置(制御部)
19 熱交換器
20 排熱利用給湯暖房ユニット
20a 排熱利用部
20b 電力入力端子
21 貯湯タンク
22 排熱回収冷却液循環配管
23 温水循環配管
24 排熱回収熱交換器(第1排熱利用部)
25 給湯出力配管
27 暖房熱交換器
28 給水配管
31 補助熱源
32 排熱回収制御装置(制御部)
33 循環ポンプ(電動冷却液ポンプ)
34 循環ポンプ
35 循環ポンプ(電動冷却液ポンプ)
36 開閉弁(切り替え弁)
37 三方弁(切り替え弁)
38 三方弁(切り替え弁)
39 リモコン
40 第1分電盤
41 第2分電盤
42 主幹ブレーカ(MCB)
43 ブレーカ(MCB)
44 分岐ブレーカ
45 電流トランス
46 分岐ブレーカ
49 操作スイッチ
51 オンオフスイッチ
52 2入力切り替えスイッチ
53 オンオフスイッチ
54 2入力切り替えスイッチ
60 商用交流電源
61 電力負荷
62 電力負荷
70 給湯負荷
71 暖房端末(第2排熱利用部)
80 制御装置
100 従来技術に係る熱電併給システム
PL1 第1循環配管系統
PL2 第2循環配管系統

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から燃料供給を受けて発電する発電部と、
外部の商用交流電源または前記発電部から電力供給を受けて電力貯蔵する電力貯蔵部と、
前記商用交流電源または前記電力貯蔵部から電力供給を受けて前記発電部を始動する発電始動部と、
前記発電部または前記電力貯蔵部から電力供給を受けて交流電力を出力可能な交流出力部と、
冷却液の循環により前記発電部が発電時に発生する排熱を回収して前記発電部を冷却する排熱回収冷却液循環配管と、
前記排熱回収冷却液循環配管の前記冷却液を循環させる電動冷却液ポンプと、
前記排熱回収冷却液循環配管の前記冷却液と熱交換することで、前記排熱を利用する排熱利用部と、
前記発電部が前記商用交流電源から独立して自立運転する場合の制御を行う制御部と、を備えてなる熱電併給システムであって、
前記排熱利用部が、給湯負荷に対し熱エネルギを供給する第1排熱利用部と、前記給湯負荷を除く所定の熱負荷で構成される第2排熱利用部と、を備えて構成され、
前記排熱回収冷却液循環配管が、前記発電部と前記第1排熱利用部の熱交換器との間で前記冷却液を循環させる第1循環配管系統と、前記発電部と前記第2排熱利用部との間で前記冷却液を循環させる第2循環配管系統と、を備えて構成され、
前記排熱利用部が、前記第1循環配管系統と前記第2循環配管系統を切り替える切り替え弁を備え、
前記制御部が、前記自立運転の開始時に、前記第1循環配管系統から前記第2循環配管系統への切り替えを行う場合に、前記発電部から前記交流出力部に電力供給可能になる前に、前記第1循環配管系統から前記第2循環配管系統への切り替えが完了するように前記切り替え弁を切り替えるとともに、前記電力貯蔵部から前記交流出力部を介して前記電動冷却液ポンプに電力供給して前記電動冷却液ポンプを作動させ前記発電部の前記排熱回収冷却液循環配管の前記冷却液の循環開始後或いは前記冷却液の循環開始と同時に、前記電力貯蔵部から前記発電始動部に電力供給して前記発電部を始動させ、
前記発電部から前記交流出力部に電力供給可能になった後に、前記発電部から前記交流出力部を介して前記電動冷却液ポンプを含む自立運転時の電力供給対象である自立運転時電力負荷に交流電力の供給を開始する制御を行うことを特徴とする熱電併給システム。
【請求項2】
前記制御部が、前記発電部から前記交流出力部を介して前記自立運転時電力負荷に交流電力の供給を開始した後に、前記自立運転時電力負荷が過負荷状態にあることを検知した場合、前記自立運転時電力負荷の内、少なくとも前記電動冷却液ポンプ及び前記切り替え弁を除く電力負荷に対する電力供給を遮断する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の熱電併給システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−287423(P2009−287423A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139108(P2008−139108)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)