説明

熱電子発電素子

【課題】電極間の電流のリークを低減すると共に、単位面積当たりの出力を確保することができる熱電子発電素子を提供する。
【解決手段】熱電子発電素子は、熱源からの熱が加わることによって熱電子を熱電子放出面1aから放出するエミッタ電極1と、エミッタ電極1に対して一定間隔離間して配置され、エミッタ電極1から放出された熱電子を熱電子放出面1aに対向配置された対向面2aを介して移動させるコレクタ電極2と、熱電子放出面1aおよび対向面2aに対して垂直な一面4aを有する絶縁基板4と、を備えている。そして、エミッタ電極1およびコレクタ電極2は、同一の絶縁基板4に互いに接触すると共に、絶縁基板4によって互いに電気的に絶縁されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電子発電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高温の電極表面から熱電子が放出される現象を利用して、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電子発電素子が例えば特許文献1で提案されている。この熱電子発電素子では高効率な発電を実現するために、電極間の距離をナノメートルオーダー程度に短くしてトンネル現象を利用して熱電子放出効率を向上することが検討されている。
【0003】
しかし、このような微小な間隔で電極間を保持することは困難であり、機械加工による方法では加工精度上の限界の寸法である。このため、電極間隔を維持するために点接触の絶縁体を電極間に保持する方法(特許文献2、特許文献3)や、電極の表面を櫛歯状に作製して先端部に絶縁層を設ける方法(特許文献4、特許文献5)が提案されている。
【0004】
また、特許文献1にも、半導体作製技術を用いて狭い電極間隔を均一に作製し、絶縁スペーサーを経由する電極間の最短距離を電極間隔より長くして熱損失を低減させる方法が提案されている。このように、電極間隔を維持する方法としてスペーサーを用いる方法は、半導体プロセスを使用して微細加工を行っているので非常に狭い電極間隔を達成できる。さらに、電極間隔の制御および信頼性共に非常に有利であり、安価に作製できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−349398号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0184188号明細書
【特許文献3】特表2002−540636号公報
【特許文献4】米国特許第4373142号明細書
【特許文献5】特開2008−228387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電極間隔を維持する方法としてスペーサーを用いる方法では、スペーサーの数が増えるとスペーサー全体の表面積が増え、スペーサーの表面抵抗が減ることからスペーサーの表面を電流がリークしやすくなってしまう。
【0007】
また、絶縁スペーサーを経由する電極間の最短距離を電極間隔より長くするために電極の面積を小さくして絶縁スペーサーと電極との距離を確保しなければならない。このため、単位面積当たりの電極の面積が狭くなり、単位面積当たりの熱電子発電素子の出力が低くなってしまう。
【0008】
本発明は上記点に鑑み、電極間の電流のリークを低減すると共に、単位面積当たりの出力を確保することができる熱電子発電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、熱源からの熱が加わることによって熱電子を熱電子放出面(1a)から放出するエミッタ電極(1)と、エミッタ電極(1)に対して一定間隔離間して配置され、エミッタ電極(1)から放出された熱電子を熱電子放出面(1a)に対向配置された対向面(2a)を介して移動させるコレクタ電極(2)と、一面(10a)を有する基板(10、11、12)と、を備えている。
【0010】
そして、エミッタ電極(1)およびコレクタ電極(2)は、熱電子放出面(1a)および対向面(2a)が一面(10a)に対して垂直に配置されるように、同一の基板(10、11、12)上に絶縁配置されていることを特徴とする。
【0011】
これによると、スペーサーを用いることなく同一の基板(10、11、12)によってエミッタ電極(1)の熱電子放出面(1a)とコレクタ電極(2)の対向面(2a)とのギャップが形成されているので、スペーサーを介した電流のリークはない。リーク電流が流れたとしても、リーク電流は基板(10、11、12)の一面(10a)のうち各電極(1、2)に挟まれた領域のみにしか流れない。したがって、エミッタ電極(1)とコレクタ電極(2)との間での電流のリークを低減することができる。
【0012】
また、基板(10、11、12)の一面(10a)に対して垂直に各電極(1、2)が立てられているため、基板(10、11、12)の一面(10a)の面積よりも広い電極面積すなわち熱電子放出面(1a)と対向面(2a)の面積を実現することができる。したがって、基板(10、11、12)の一面(10a)における単位面積当たりの熱電子発電素子の出力を確保することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、熱源からの熱が加わることによって熱電子を熱電子放出面(1a)から放出するエミッタ電極(1)と、エミッタ電極(1)に対して一定間隔離間して配置され、エミッタ電極(1)から放出された熱電子を熱電子放出面(1a)に対向配置された対向面(2a)を介して移動させるコレクタ電極(2)と、熱電子放出面(1a)および対向面(2a)に対して垂直な一面(4a)を有する絶縁体(4)と、を備えている。
【0014】
そして、エミッタ電極(1)およびコレクタ電極(2)は、同一の絶縁体(4)に互いに接触すると共に、絶縁体(4)によって互いに電気的に絶縁されていることを特徴とする。
【0015】
これによると、スペーサーを用いることなく同一の絶縁体(4)によって支持されているので、スペーサーを介した電流のリークはない。リーク電流が流れたとしても、リーク電流は絶縁体(4)の一面(4a)のうち各電極(1、2)に挟まれた領域のみにしか流れない。したがって、エミッタ電極(1)とコレクタ電極(2)との間での電流のリークを低減することができる。
【0016】
また、絶縁体(4)の一面(4a)に対して垂直に各電極(1、2)が立てられているため、絶縁体(4)の一面(4a)の面積よりも広い電極面積すなわち熱電子放出面(1a)と対向面(2a)の面積を実現することができる。したがって、絶縁体(4)の一面(4a)における単位面積当たりの熱電子発電素子の出力を確保することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明では、エミッタ電極(1)の熱電子放出面(1a)とコレクタ電極(2)の対向面(2a)との間隔が、熱電子放出面(1a)を基準としたエミッタ電極(1)の厚みおよび対向面(2a)を基準としたコレクタ電極(2)の厚みよりも狭いことを特徴とする。これにより、素子の集積度を向上させることができ、ひいては高効率な発電を実現することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、熱源からの熱が加わることによって熱電子を熱電子放出面(1a)から放出するエミッタ電極(1)と、エミッタ電極(1)の熱電子放出面(1a)から放出された熱電子を、対向面(2a)を介して移動させるコレクタ電極(2)と、エミッタ電極(1)とコレクタ電極(2)とで挟まれた絶縁層(15)と、一面(13a)を有する基板(13)と、を備えている。
【0019】
そして、熱電子放出面(1a)と対向面(2a)とが同一平面(14a)に位置するようにエミッタ電極(1)と絶縁層(15)とコレクタ電極(2)が積層された積層構造体(14)が構成されている。
【0020】
そして、一方の積層構造体(14)の同一平面(14a)と他方の積層構造体(14)の同一平面(14a)とが対向配置されると共に、同一平面(14a)が一面(13a)に対して垂直に配置されるように、一方の積層構造体(14)と他方の積層構造体とが同一の基板(13)上に配置されていることを特徴とする。
【0021】
これによると、スペーサーを用いることなく同一の基板(13)の一面(13a)において一方の積層構造体(14)と他方の積層構造体とが対向配置され、各同一平面(14a)にギャップが形成されているので、スペーサーを介した電流のリークはない。したがって、エミッタ電極(1)とコレクタ電極(2)との間での電流リークを低減することができる。
【0022】
また、基板(13)の一面(13a)に対して積層構造体(14)が立てられているため、基板(13)の一面(13a)の面積よりも広い同一平面(14a)の面積を実現することができる。したがって、基板(13)の一面(13a)における単位面積当たりの熱電子発電素子の出力を確保することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明では、エミッタ電極(1)およびコレクタ電極(2)は、半導体不純物が添加された半導体材料によりそれぞれ構成されており、エミッタ電極(1)を構成する半導体材料に添加された半導体不純物のドーパント濃度が、コレクタ電極(2)を構成する半導体材料に添加された半導体不純物のドーパント濃度よりも濃いことを特徴とする。
【0024】
これにより、コレクタ電極(2)から放出される熱電子の数をエミッタ電極(1)から放出される熱電子の数よりも少なくすることができる。このため、エミッタ電極(1)の温度に対してコレクタ電極(2)の温度を下げることと同等の効果を得ることができる。したがって、コレクタ電極(2)の温度をエミッタ電極(1)の温度よりも低くしなくても、コレクタ電極(2)のバックエミッションを抑制することができ、ひいては熱電子発電素子の発電効率を向上させることができる。
【0025】
請求項6に記載の発明では、エミッタ電極(1)を構成する半導体材料およびコレクタ電極(2)を構成する半導体材料は、それぞれダイヤモンドであることを特徴とする。すなわち、ダイヤモンドは負性電子親和力を持った材料であり、金属に比べて低温での発電効率を高めることができる。
【0026】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱電子発電素子の概念図である。
【図2】(a)は第1実施形態に係る熱電子発電素子の平面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図3】図2に示される熱電子発電素子の製造工程を示した図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る熱電子発電素子の平面レイアウトを示した図である。
【図5】(a)は本発明の第3実施形態に係る熱電子発電素子の平面図であり、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る熱電子発電素子の断面図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る熱電子発電素子の断面図である。
【図8】図7に示される熱電子発電素子の製造工程を示した図である。
【図9】他の実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0029】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。以下で示される熱電子発電素子は、互いに対向配置された一対の電極間を移動する熱電子を利用して熱エネルギーを電気エネルギーに変換するものである。
【0030】
図1は、本実施形態に係る熱電子発電素子の概念図である。この図に示されるように、熱電子発電素子は、互いに対向配置されたエミッタ電極1およびコレクタ電極2からなる一対の電極によって構成され、エミッタ電極1とコレクタ電極2との間を移動する熱電子を利用して、これらの間に接続された負荷3に対して電力を供給する。
【0031】
エミッタ電極1として高濃度ドープN型ダイヤモンド半導体が用いられ、コレクタ電極2として低濃度ドープN型ダイヤモンド半導体が用いられる。エミッタ電極1を加熱して得られる熱電子からの電流(J)は数1で得られる。
【0032】
【数1】

すなわち、電極に半導体を用いた場合、電極からの熱電子放出は電極の温度とドーパント濃度に依存する。このためエミッタ電極1として高濃度ドープ半導体を用い、コレクタ電極2として低濃度ドープ半導体を用いると、コレクタ電極2からの熱電子放出が抑制され発電効率が向上する。
【0033】
数1において、Aはリチャードソン定数、nはエミッタ電極1のドーパント濃度、Tは電極温度、eは基本電荷、kはボルツマン係数である。また、φはエミッタ電極1を構成する半導体材料(つまりダイヤモンド半導体)の仕事関数である。
【0034】
さらに、従来の熱電子発電素子ではコレクタ電極2の温度をエミッタ電極1の温度よりも低くしないと発電せず、コレクタ電極2とエミッタ電極1の温度差が小さくなると発電効率が低くなるという欠点があった。エミッタ電極1として高濃度ドープ半導体、コレクタ電極2として低濃度ダイヤモンド半導体を用いると電極間の温度差がなくとも発電が可能となりコレクタ電極2を冷却する必要がなくなる。
【0035】
エミッタ電極1とコレクタ電極2の温度が同じ場合、仕事関数が小さいほうが励起される熱電子が多くなる。しかしながら仕事関数が小さな電極から仕事関数が大きな電極に熱電子が到達するためには仕事関数差のエネルギーを超える必要がある。このため励起された電子はエミッタ電極1からコレクタ電極2への数とコレクタ電極2からエミッタ電極1への数が同じとなり発電はしない。
【0036】
したがって、エミッタ電極1に高濃度ドープ半導体、コレクタ電極2として低濃度ドープ半導体を用いる。コレクタ電極2のドープ濃度をエミッタ電極1よりも薄くしたためコレクタ電極2からエミッタ電極1へ到達する熱電子の量が少なくなり、エミッタ電極1とコレクタ電極2の温度が同じになっても発電が可能となる。
【0037】
次に、具体的な熱電子発電素子の構成について、図2を参照して説明する。図2(a)は熱電子発電素子の平面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A断面図である。
【0038】
図2(a)および図2(b)に示されるように、熱電子発電素子は、絶縁基板4と、上述のエミッタ電極1およびコレクタ電極2と、電極5と、を備えて構成されている。このような構成の熱電子発電素子が図示しない真空室に配置されている。
【0039】
絶縁基板4は例えばSiOやガラス等で構成された単一の基板である。絶縁基板4は一面4aを有している。
【0040】
エミッタ電極1は、熱源からの熱が加わることによって熱電子を放出する熱電子放出面1aを備えている。コレクタ電極2は、エミッタ電極1に対して一定間隔離間して配置され、エミッタ電極1から放出された熱電子を受け取る対向面2aを備えている。熱電子放出面1aと対向面2aとの間隔は例えば50μm以下であり、10μm以下が好ましい。
【0041】
絶縁基板4の一面4aを基準としたエミッタ電極1およびコレクタ電極2の高さは例えば100μmである。また、エミッタ電極1およびコレクタ電極2の厚みすなわち絶縁基板4の一面4aの面方向におけるエミッタ電極1およびコレクタ電極2の幅は例えば10μmである。そして、図2(a)に示されるように、エミッタ電極1とコレクタ電極2はそれぞれ棒状に平行にレイアウトされている。
【0042】
なお、「エミッタ電極1の厚み」とは絶縁基板4の一面4aの面方向におけるエミッタ電極1の幅であるが、これは熱電子放出面1aを基準として熱電子放出面1aに垂直方向のエミッタ電極1の厚みであると言える。同様に、「コレクタ電極2の厚み」とは絶縁基板4の一面4aの面方向におけるコレクタ電極2の幅であるが、これは対向面2aを基準として対向面2aに垂直方向のコレクタ電極2の厚みであると言える。
【0043】
ここで、エミッタ電極1の熱電子放出面1aとコレクタ電極2の対向面2aとの間隔が、エミッタ電極1の厚みおよびコレクタ電極2の厚みよりも狭いことが好ましい。これにより、素子の集積度が向上し、ひいては高効率な発電が可能となる。
【0044】
絶縁基板4の一面4aにおいて例えば30μm×30μmの一定面積に熱電子発電素子を配置することを考える。従来は絶縁基板4の一面4aに各電極を積層する横型の構造であるので、各電極の対向面積は30μm×30μmの範囲内であった。しかし、本実施形態では絶縁基板4の一面4aに各電極1、2が立てられた縦型の構造になっているので、熱電子発電素子が占有する基板面積が従来と同じでありながら、各電極1、2を高く形成することで各電極1、2の対向面積を広くとることができる。したがって、絶縁基板4の一面4aの単位面積当たりの各電極1、2の対向面積を従来の横型よりも広くすることができるので、熱電子発電素子の出力を確保できると共に従来の横型構造よりも大きな出力を得ることができる。
【0045】
エミッタ電極1の熱電子放出面1aとコレクタ電極2の対向面2aとが対向配置されている。このような配置により、エミッタ電極1の熱電子放出面1aから放出された熱電子(図2(b)の「e」)が対向面2aを介してコレクタ電極2に移動する。
【0046】
また、上述のように、エミッタ電極1およびコレクタ電極2は半導体不純物が添加された半導体材料によりそれぞれ構成されている。半導体材料はダイヤモンドである。そして、エミッタ電極1を構成する半導体材料に添加された半導体不純物のドーパント濃度が、コレクタ電極2を構成する半導体材料に添加された半導体不純物のドーパント濃度よりも濃くなっている。
【0047】
例えば、エミッタ電極1のドーパント濃度は例えば1×1020(atoms/cm)であり、コレクタ電極2のドーパント濃度は例えば1×1019(atoms/cm)である。このように、エミッタ電極1のドーパント濃度がコレクタ電極2のドーパント濃度の10倍になっている。励起される熱電子を多くして発電効率を高めるためには、エミッタ電極1のドーパント濃度を1×1019(atoms/cm)以上とすることが望ましい。エミッタ電極1およびコレクタ電極2に添加する半導体不純物としては、例えば、N(窒素)、P(燐)、As(ヒ素)、Sb(アンチモン)、S(硫黄)等が用いられる。
【0048】
なお、ダイヤモンド半導体に添加される半導体不純物に応じて、エミッタ電極1とコレクタ電極2とがN型とN型、N型とP型(P型とN型)、P型とP型の導電型の各組み合わせが可能となる。N型とP型(P型とN型)やP型とP型の各組み合わせの場合、エミッタ電極1およびコレクタ電極2を高温で加熱する必要があるので、N型とN型の組み合わせが好ましい。
【0049】
そして、エミッタ電極1およびコレクタ電極2は、熱電子放出面1aおよび対向面2aが一面4aに対して垂直に配置されるように、同一の絶縁基板4上に配置されている。ここで、エミッタ電極1およびコレクタ電極2は、絶縁基板4に互いに接触すると共に、絶縁基板4によって互いに電気的に絶縁されている。
【0050】
電極5は、W(タングステン)、Ti(チタン)、Mo(モリブデン)等の高融点金属で形成されている。電極5は、エミッタ電極1やコレクタ電極2の上にそれぞれ形成されている。
【0051】
以上が、熱電子発電素子の具体的な構成である。続いて、この熱電子発電素子の製造方法について、図3を参照して説明する。なお、図3は断面図である。
【0052】
まず、図3(a)に示す工程では、SiO等の絶縁基板4を用意し、この絶縁基板4の一面4aにN型ダイヤモンド半導体膜6を成膜する。N型ダイヤモンド半導体膜6の形成は、例えばCVD法やスパッタ法にて行われ、マイクロ波プラズマCVD、RFプラズマCVD、DCプラズマCVD、RFプラズマスパッタ、DCプラズマスパッタなどにより行われる。ダイヤモンドは、単結晶と多結晶のいずれであっても構わない。
【0053】
図3(b)に示す工程では、N型ダイヤモンド半導体膜6を所定のパターンに形成する。本実施形態では、エミッタ電極1は図2(a)のようにストライプ状の平面レイアウトであるので、ストライプ状の平面レイアウトとなるようにN型ダイヤモンド半導体膜6をパターニングする。このとき、ドライエッチングによる垂直加工が望ましい。
【0054】
図3(c)に示す工程では、絶縁基板4の一面4aのうちN型ダイヤモンド半導体膜6が除去された部分にN型ダイヤモンド半導体膜7を成膜する。成膜方法は図3(a)に示す工程と同じである。N型ダイヤモンド半導体膜7を成膜した後、N型ダイヤモンド半導体膜7の表面を機械的手法または化学的手法により平坦化する。
【0055】
なお、N型ダイヤモンド半導体膜7の成膜時に選択成長を行い、絶縁基板4の一面4a上のみにN型ダイヤモンド半導体膜7を成膜させても良い。
【0056】
図3(d)に示す工程では、ドライエッチング(トレンチエッチング)により所定の間隔にエミッタ電極1とコレクタ電極2とを分離する。この場合、N型ダイヤモンド半導体膜6とN型ダイヤモンド半導体膜7との界面8を含むようにトレンチエッチングを行うと、N型ダイヤモンド半導体膜6とN型ダイヤモンド半導体膜7とを交互に配置させることができる。トレンチエッチング後のN型ダイヤモンド半導体膜6がエミッタ電極1となり、N型ダイヤモンド半導体膜7がコレクタ電極2となる。半導体プロセスを用いたドライエッチングは1μm程度の狭ギャップで深さ100μm程度の溝加工が可能であり、素子の集積化に有効である。
【0057】
この後、エミッタ電極1およびコレクタ電極2の上に電極5をそれぞれ形成することで図2に示す熱電子発電素子が完成する。図2では一対のエミッタ電極1およびコレクタ電極2が示されているが、実使用の場合、エミッタ電極1およびコレクタ電極2の対が複数直列接続される。また、エミッタ電極1およびコレクタ電極2を真空封止する。こうして、熱電子発電素子が完成する。
【0058】
次に、上記構成の熱電子発電素子の作動について説明する。上述のように、熱電子発電素子は、電極表面から熱電子が放出される現象を利用して、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。具体的には、外部の熱源から熱がエミッタ電極1に加わると、熱電子がエミッタ電極1であるダイヤモンド半導体のフェルミ準位から伝導帯に励起される。ダイヤモンド半導体の伝導帯は負性親和力であるため真空準位より高く、伝導帯に励起された熱電子は障壁なく真空中へ飛び出す。
【0059】
また、エミッタ電極1とコレクタ電極2との間は真空であり、距離が短く形成されているので、熱電子はエミッタ電極1の表面(つまり熱電子放出面1a)からコレクタ電極2の表面(つまり対向面2a)まで移動することができる。コレクタ電極2に移動した熱電子は、負荷3を介してエミッタ電極1に戻ることができる。これにより、熱電子発電素子は負荷3に対して電力を供給することができる。
【0060】
そして、エミッタ電極1とコレクタ電極2はそれぞれが単体で真空中に存在しているわけではなく、絶縁基板4の一面4aに接触して保持されている。このため、この絶縁基板4の一面4aを介してエミッタ電極1からコレクタ電極2に電流がリークする可能性がある。ここで、従来のようにエミッタ電極1とコレクタ電極2との間にスペーサーを配置した場合、スペーサーの表面がリーク電流の経路となる。もちろん、スペーサーが1つでは両電極1、2の間隔を保持できないので、スペーサーを多数用いている。したがって、リーク電流が流れる領域はスペーサーの数に比例して増加する。
【0061】
一方、本実施形態では、スペーサーを用いることなく単一の絶縁基板4によってエミッタ電極1の熱電子放出面1aとコレクタ電極2の対向面2aとのギャップが形成されているので、スペーサーを介した電流のリークはない。また、リーク電流が流れるとしても、リーク電流は図2(a)に示される絶縁基板4の一面4aのうちエミッタ電極1とコレクタ電極2との間の領域のみにしか流れない。したがって、エミッタ電極1とコレクタ電極2との間での電流リークを低減することができる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態では、エミッタ電極1の熱電子放出面1aとコレクタ電極2の対向面2aとが絶縁基板4の一面4aに対して垂直に配置されるように、エミッタ電極1およびコレクタ電極2が同一の絶縁基板4に保持されていることが特徴となっている。
【0063】
これにより、スペーサーを用いずにエミッタ電極1とコレクタ電極2とを対向配置させることができるので、スペーサーを介する電流のリークを無くすことができる。また、電流のリークがあったとしても、絶縁基板4の一面4aのうち両電極1、2間の領域にしかリーク電流は流れない。したがって、エミッタ電極1とコレクタ電極2との間での電流リークを低減することができる。
【0064】
また、絶縁基板4の一面4aに対して垂直に各電極1、2が立てられているため、絶縁基板4の一面4aにおける熱電子発電素子の占有面積を拡大することなく熱電子発電素子の出力を確保することができる。そして、各電極1、2の電極間隔と電極高さの比(アスペクト比)を高くできるので、より大きな出力を得ることができる。
【0065】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、絶縁基板4が特許請求の範囲の「絶縁体」に対応する。
【0066】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。図4は、本実施形態に係る熱電子発電素子の平面レイアウトを示した図である。この図に示されるように、エミッタ電極1およびコレクタ電極2は、それぞれ櫛歯状にレイアウトされている。そして、エミッタ電極1間にコレクタ電極2が配置され、コレクタ電極2間にエミッタ電極1が配置されている。
【0067】
このようなレイアウト構成によると、エミッタ電極1のうちコレクタ電極2と対向する面が全て熱電子放出面1aとなる。また、コレクタ電極2のうちエミッタ電極1と対向する面が全て対向面2aとなる。すなわち、エミッタ電極1およびコレクタ電極2が櫛歯状にレイアウトされていないもの(例えば図2(a))に対して、単一のエミッタ電極1において熱電子放出面1aの面積を増加させることができ、単一のコレクタ電極2において対向面2aの面積を増加させることができる。
【0068】
さらに、負荷3との電気的接続を担う電極5は各電極1、2に1つ設けるだけで良い。このため、一対のエミッタ電極1およびコレクタ電極2を所定の数だけ電気的に接続する構造に比べて電気的接続構造を簡素化できる。
【0069】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。図5(a)は本実施形態に係る熱電子発電素子の平面図であり、図5(b)は図5(a)のB−B断面図である。
【0070】
図5(a)および図5(b)に示されるように、本実施形態に係る熱電子発電素子は、上述のエミッタ電極1およびコレクタ電極2と、電極5と、を備えている他、さらに導電層9と、SiO層10と、Si基板11と、を備えている。
【0071】
Si基板11の上にSiO層10が形成されており、SiO層10の一面10aに導電層9が形成されている。導電層9はエミッタ電極1とコレクタ電極2にそれぞれ対応して設けられている。各導電層9は物理的にも電気的にも分離されている。導電層9として例えばSiが採用されている。
【0072】
そして、一方の導電層9の上にエミッタ電極1と取り出し用の電極5とが形成されている。また、他方の導電層9の上にコレクタ電極2と取り出し用の電極5とが形成されている。
【0073】
このような構造は、Si基板11上にSiO層10を形成し、さらにSiO層10の一面10aに導電層9を形成する。そして、第1実施形態と同様に、導電層9の上にエミッタ電極1とコレクタ電極2を形成し、さらに導電層9をパターニングすることでエミッタ電極1用の導電層9とコレクタ電極2用の導電層9を形成する。そして、最後に電極5を形成する。
【0074】
以上のように、取り出し用の電極5を導電層9上に設けることにより、電極5のコンタクト抵抗を下げることができる。
【0075】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、Si基板11およびSiO層10で構成されるもの、またはSiO層10そのものが特許請求の範囲の「基板」に対応する。また、SiO層10の一面10aが特許請求の範囲の「一面」に対応する。
【0076】
(第4実施形態)
本実施形態では、第3実施形態と異なる部分について説明する。図6は、本実施形態に係る熱電子発電素子の断面図であり、図5(a)のB−B断面に相当する図である。図6に示されるように、本実施形態ではSi基板11ではなく導電性基板12が用いられている。導電性基板12としては金属材料が採用される。このように、土台となる基板として導電性基板12を採用することもできる。
【0077】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、導電性基板12およびSiO層10で構成されるものが特許請求の範囲の「基板」に対応する。
【0078】
(第5実施形態)
本実施形態では、第1〜第4実施形態と異なる部分について説明する。上記各実施形態では、エミッタ電極1とコレクタ電極2とが対向配置されていたが、本実施形態ではエミッタ電極1とコレクタ電極2との積層体が対向配置されている。
【0079】
図7は、本実施形態に係る熱電子発電素子の断面図である。この図に示されるように、本実施形態に係る熱電子発電素子は、導電性基板13と、一対の積層構造体14と、電極5と、を備えている。
【0080】
導電性基板13は例えば高濃度のSiやMo、W等の金属材料等で構成された基板であり、一面13aを有している。
【0081】
積層構造体14は、上述のエミッタ電極1およびコレクタ電極2と、絶縁層15と、を備えて構成されている。絶縁層15はエミッタ電極1とコレクタ電極2とを絶縁するものであり、エミッタ電極1とコレクタ電極2とに挟まれている。絶縁層15としてSiOやP型ダイヤモンド半導体等の材料が採用される。
【0082】
また、エミッタ電極1の熱電子放出面1aとコレクタ電極2の対向面2aとが同一平面14aに位置するようにエミッタ電極1と絶縁層15とコレクタ電極2が積層されて一つの積層構造体14が構成されている。導電性基板13の一面13aに対して垂直方向のエミッタ電極1とコレクタ電極2の高さはそれぞれ50μm〜100μmである。当該垂直方向の絶縁層15の高さは数μmである。
【0083】
そして、一方の積層構造体14の同一平面14aと他方の積層構造体14の同一平面14aとが対向配置されると共に、各同一平面14aが導電性基板13の一面13aに対して垂直に配置されるように、各積層構造体が同一の導電性基板13上に配置されている。
【0084】
さらに、コレクタ電極2の上と導電性基板13のうち一面13aとは反対側の面にそれぞれ取り出し用の電極5が設けられている。上記の熱電子発電素子の平面レイアウトは、例えば図2(a)に示される棒状のレイアウトと同じである。
【0085】
以上が、本実施形態に係る熱電子発電素子の全体構成である。続いて、この熱電子発電素子の製造方法について、図8を参照して説明する。なお、図8は断面図である。
【0086】
図8(a)に示す工程では、導電性基板13を用意し、この導電性基板13の一面13aの上に第1実施形態と同様の方法でN型ダイヤモンド半導体膜6、絶縁層15、およびN型ダイヤモンド半導体膜7をそれぞれ成膜する。
【0087】
続いて、図8(b)に示す工程では、ドライエッチング(トレンチエッチング)を行い、N型ダイヤモンド半導体膜6、絶縁層15、およびN型ダイヤモンド半導体膜7の積層体を所定の間隔に分離する。これにより、一対の積層構造体14を形成する。
【0088】
この後、コレクタ電極2の上と導電性基板13のうち一面13aとは反対側の面にそれぞれ電極5を形成することにより図7に示す熱電子発電素子が完成する。
【0089】
次に、上記構成の熱電子発電素子の作動について説明する。エミッタ電極1から飛び出した熱電子がコレクタ電極2に移動するという基本的な動作は第1実施形態と同じである。しかしながら、本実施形態ではエミッタ電極1とコレクタ電極2とが対向配置されていない。このため、熱電子は図7に示されるように同一の積層構造体14のエミッタ電極1からコレクタ電極2に移動したり、一方の積層構造体14のエミッタ電極1から他方の積層構造体14のコレクタ電極2に移動したりする。
【0090】
以上説明したように、本実施形態では積層構造体14の同一平面14aを対向配置させ、各同一平面14aを導電性基板13の一面13aに対して垂直に配置したことが特徴となっている。これにより、スペーサーを用いることなく単一の導電性基板13の一面13aに各積層構造体を配置することができ、さらに各同一平面14aにギャップが形成されているので、スペーサーを介したリーク電流が流れないようにすることができる。リーク電流が流れるとしても、絶縁層15のうち同一平面14aを構成する部分のみである。したがって、エミッタ電極1とコレクタ電極2との間での電流リークを低減することができる。
【0091】
また、導電性基板13の一面13aに対して積層構造体14が立てられているため、導電性基板13の一面13aの面積よりも広い同一平面14aの面積を実現することができる。すなわち、熱電子発電素子の占有面積を一定に維持しつつ、導電性基板13の一面13aにおける単位面積当たりの熱電子発電素子の出力を確保することができる。また、各電極1、2の高さを大きくすることができるので、熱電子発電素子の出力を向上させることができる。
【0092】
さらに、積層構造体14は導電性基板13の一面13aにN型ダイヤモンド半導体膜6、絶縁層15、およびN型ダイヤモンド半導体膜7を順に連続に成膜することができるので、積層構造体14を作りやすい構造である。
【0093】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、導電性基板13が特許請求の範囲の「基板」に対応する。
【0094】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された熱電子発電素子の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明を実現できる他の構成とすることもできる。
【0095】
例えば、第5実施形態では、導電性基板13の一面13aの上にエミッタ電極1が形成されているが、コレクタ電極2が形成されていても良い。すなわち、積層構造体14は導電性基板13の一面13aの上にコレクタ電極2、絶縁層15、およびエミッタ電極1の順に積層されたものでも良い。
【0096】
また、積層構造体14は平面レイアウトが棒状であるが、図4に示されるように櫛歯状に形成されていても良い。
【0097】
さらに、積層構造体14は図9(a)に示されるように、積層構造体14に穴14bが空けられた構造でも良い。この場合、積層構造体14の一部が「一方の積層構造体14」となり、この積層構造体14の一部の壁面が当該一方の積層構造体14の同一平面14aとなる。また、積層構造体14の他の部分が「他方の積層構造体14」となり、この積層構造体14の他の部分の壁面が当該他方の積層構造体14の同一平面14aとなる。
【0098】
図9(a)に示される積層構造体14には1つの穴14bが設けられた構造になっているが、図9(b)に示されるように多数の穴14bが設けられた構造でも良い。なお、図9に示される構造においても、コレクタ電極2、絶縁層15、エミッタ電極1の順に積層されていても良い。
【符号の説明】
【0099】
1 エミッタ電極
1a 熱電子放出面
2 コレクタ電極
2a 対向面
4 絶縁基板
4a 一面
10 SiO
10a 一面
11 Si基板
12 導電性基板
13 導電性基板
13a 一面
14 積層構造体
14a 同一平面
15 絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向配置された一対の電極間を移動する熱電子を利用して熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電子発電素子であって、
熱源からの熱が加わることによって熱電子を熱電子放出面(1a)から放出するエミッタ電極(1)と、
前記エミッタ電極(1)に対して一定間隔離間して配置され、前記エミッタ電極(1)から放出された前記熱電子を前記熱電子放出面(1a)に対向配置された対向面(2a)を介して移動させるコレクタ電極(2)と、
一面(10a)を有する基板(10、11、12)と、を備え、
前記エミッタ電極(1)および前記コレクタ電極(2)は、前記熱電子放出面(1a)および前記対向面(2a)が前記一面(10a)に対して垂直に配置されるように、同一の前記基板(10、11、12)上に絶縁配置されていることを特徴とする熱電子発電素子。
【請求項2】
互いに対向配置された一対の電極間を移動する熱電子を利用して熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電子発電素子であって、
熱源からの熱が加わることによって熱電子を熱電子放出面(1a)から放出するエミッタ電極(1)と、
前記エミッタ電極(1)に対して一定間隔離間して配置され、前記エミッタ電極(1)から放出された前記熱電子を前記熱電子放出面(1a)に対向配置された対向面(2a)を介して移動させるコレクタ電極(2)と、
前記熱電子放出面(1a)および前記対向面(2a)に対して垂直な一面(4a)を有する絶縁体(4)と、を備え、
前記エミッタ電極(1)および前記コレクタ電極(2)は、同一の前記絶縁体(4)に互いに接触すると共に、前記絶縁体(4)によって互いに電気的に絶縁されていることを特徴とする熱電子発電素子。
【請求項3】
前記エミッタ電極(1)の熱電子放出面(1a)と前記コレクタ電極(2)の対向面(2a)との間隔が、前記熱電子放出面(1a)を基準とした前記エミッタ電極(1)の厚みおよび前記対向面(2a)を基準とした前記コレクタ電極(2)の厚みよりも狭いことを特徴とする請求項1または2に記載の熱電子発電素子。
【請求項4】
互いに対向配置された一対の電極間を移動する熱電子を利用して熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電子発電素子であって、
熱源からの熱が加わることによって熱電子を熱電子放出面(1a)から放出するエミッタ電極(1)と、
前記エミッタ電極(1)の前記熱電子放出面(1a)から放出された前記熱電子を、対向面(2a)を介して移動させるコレクタ電極(2)と、
前記エミッタ電極(1)と前記コレクタ電極(2)とで挟まれた絶縁層(15)と、
一面(13a)を有する基板(13)と、を備え、
前記熱電子放出面(1a)と前記対向面(2a)とが同一平面(14a)に位置するように前記エミッタ電極(1)と前記絶縁層(15)と前記コレクタ電極(2)が積層された積層構造体(14)が構成されており、
一方の積層構造体(14)の同一平面(14a)と他方の積層構造体(14)の同一平面(14a)とが対向配置されると共に、前記同一平面(14a)が前記一面(13a)に対して垂直に配置されるように、前記一方の積層構造体(14)と前記他方の積層構造体とが同一の前記基板(13)上に配置されていることを特徴とする熱電子発電素子。
【請求項5】
前記エミッタ電極(1)および前記コレクタ電極(2)は、半導体不純物が添加された半導体材料によりそれぞれ構成されており、
前記エミッタ電極(1)を構成する半導体材料に添加された半導体不純物のドーパント濃度が、前記コレクタ電極(2)を構成する半導体材料に添加された半導体不純物のドーパント濃度よりも濃いことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の熱電子発電素子。
【請求項6】
前記エミッタ電極(1)を構成する半導体材料および前記コレクタ電極(2)を構成する半導体材料は、それぞれダイヤモンドであることを特徴とする請求項5に記載の熱電子発電素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−248618(P2012−248618A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118108(P2011−118108)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)