説明

燃料供給装置

【課題】汎用性及び残量検出精度の高い燃料供給装置を、提供すること。
【解決手段】燃料タンク2内の燃料を燃料タンク2外へ供給する燃料供給装置1は、燃料タンク2内に配置され、周方向に複数の取付部26を形成する円筒状のサブタンク20と、燃料タンク2内において少なくとも一つの取付部26にリングカバー64の嵌合部66が取り付けられることによりサブタンク20外に配置され、燃料タンク2内の燃料残量を検出する残量検出器60と、を備える。サブタンク20において、有底円筒状のタンク本体24の開口縁部24bにタンク蓋25が周方向に沿って逆有底筒状に装着されてなる境界27は、当該周方向に沿うリングカバー64によって覆われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内の燃料を燃料タンク外へ供給する燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料タンク内に配置される筒状のサブタンク内に燃料を貯留させ、当該貯留燃料を燃料ポンプ等により燃料タンク外へ向かって吐出する燃料供給装置が、知られている。このようなサブタンク式燃料供給装置の一種である特許文献1の装置は、燃料タンク内のうちサブタンク外に配置される残量検出器により、燃料タンク内の燃料残量を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−248801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、特許文献1の装置では、サブタンクの側部において周方向の一箇所を凹ませることにより形成される取付部に対して、残量検出器を取り付けているので、残量検出器の配置位置は、当該周方向における特定の一箇所に限定されている。そのため、燃料タンクの形状が変更されると、その変更形状に合わせた箇所に取付部を形成する必要性が生じることから、サブタンクの形状を変更しなければならず、汎用性が低下してしまう。またあるいは、燃料タンクの変更形状に合わせて残量検出器の形状を変更することによっても対応し得るが、その場合には、汎用性が低下するだけでなく、残量検出器の検出精度を悪化させるような形状変更を余儀なくされるおそれがある。
【0005】
本発明は、以上説明した問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、汎用性及び残量検出精度の高い燃料供給装置を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、燃料タンク内の燃料を燃料タンク外へ供給する燃料供給装置であって、燃料タンク内に配置され、周方向に複数の取付部を形成する筒状のサブタンクと、燃料タンク内において少なくとも一つの取付部に取り付けられることによりサブタンク外に配置され、燃料タンク内の燃料残量を検出する残量検出器と、を備える。
【0007】
このような燃料供給装置によると、筒状のサブタンクにおいて周方向に複数形成される取付部のうち、残量検出器を取り付ける少なくとも一つの取付部については、当該周方向にて自由に選択し得る。故に、燃料タンクの形状が変更されても、その変更形状に合わせて選択した取付部への取り付けにより、残量検出器の配置位置をサブタンクの周方向に変更できるので、サブタンクの形状変更も残量検出器の形状変更も不要となる。したがって、汎用性及び残量検出精度の高い燃料供給装置を、提供可能となるのである。
【0008】
請求項2に記載の発明によると、残量検出器は、凸状又は凹状の嵌合部を少なくとも一つ形成し、サブタンクは、嵌合部が凹凸嵌合により取り付けられる凹状又は凸状の取付部を、嵌合部の形成数以上となるように周方向に複数形成する。
【0009】
このような燃料供給装置のサブタンクにおいては、残量検出器の形成する凸状又は凹状の嵌合部と凹凸嵌合するように、取付部が凹状又は凸状に形成されるので、汎用性及び残量検出精度を高めるための構造を簡素化し得る。しかも取付部は、少なくとも一つに設定される嵌合部の形成数以上となるように、周方向に複数形成されることになるので、嵌合部に凹凸嵌合する少なくとも一つの取付部を、当該周方向にて自由に選択し得る。故に、燃料タンクの形状に合わせて選択した取付部への嵌合部の凹凸嵌合により、当該嵌合部を有する残量検出器の配置位置をサブタンクの周方向に変更できる。以上のことから、汎用性及び残量検出精度の高い燃料供給装置を、簡素な構造にて提供可能となるのである。
【0010】
請求項3に記載の発明によると、残量検出器は、嵌合部を複数形成し、サブタンクは、嵌合部の形成数以上となる複数の取付部を、周方向において等間隔に形成する。
【0011】
このような燃料供給装置において取付部は、複数設定される嵌合部の形成数以上となるように、周方向において等間隔に形成されることになるので、各嵌合部に凹凸嵌合する複数の取付部を、当該周方向にて自由に変更し得る。故に、燃料タンクの形状に合わせた複数個所での凹凸嵌合により、残量検出器の配置位置をサブタンクの周方向に変更できるのみならず、サブタンクに対する残量検出器の取付強度が高められる。以上のことから、高い汎用性と共に、永きに亘って高い残量検出精度を確保する燃料供給装置を、提供可能となるのである。
【0012】
請求項4に記載の発明によると、サブタンクは、有底筒状のタンク本体と、タンク本体の開口縁部に周方向に沿って装着される逆有底筒状のタンク蓋とを、有し、残量検出器は、少なくとも一つの取付部に取り付けられてタンク本体及びタンク蓋の境界を周方向に沿って覆うリングカバーを、有する。
【0013】
このような燃料供給装置のサブタンクにおいて、有底筒状のタンク本体開口縁部に逆有底筒状のタンク蓋が周方向に沿って装着されてなる境界は、当該周方向に沿うリングカバーに覆われることにより、シールされ得る。これによれば、タンク本体内だけでなく、タンク蓋内にも、燃料を貯留させることができる。しかも、そうしたサブタンクの周方向に複数形成される取付部のうち、リングカバーを取り付ける少なくとも一つの取付部については、当該周方向にリングカバーをずらすことで自由に選択し得る。故に、燃料タンクの形状に合わせて選択した取付部へのリングカバーの取付により、このリングカバーを有する残量検出器の配置位置を、サブタンクの周方向にて変更できる。以上のことから、サブタンク内における燃料貯留量を可及的に増大させた汎用性及び残量検出精度の高い燃料供給装置を、提供可能となるのである。
【0014】
請求項5に記載の発明によると、サブタンクは、有底筒状のタンク本体と、タンク本体の開口縁部に周方向に沿って装着されて複数の取付部を上面に形成するタンク蓋とを、有する。
【0015】
このような燃料供給装置において残量検出器の取付対象となる複数の取付部は、サブタンクのうち、有底筒状のタンク本体開口縁部に周方向に沿って装着されたタンク蓋の上面に、形成されるので、残量検出器の配置によるサブタンクの内部容積の減少を回避し得る。これによれば、サブタンク内における燃料貯留量を、燃料タンクの形状に応じた範囲の最大限まで増大可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態による燃料供給装置を示す正面図である。
【図2】本発明の第一実施形態による燃料供給装置を示す断面図である。
【図3】本発明の第一実施形態による燃料供給装置のサブタンクのうちタンク本体を示す上面図である。
【図4】本発明の第一実施形態による燃料供給装置のサブタンク及び残量検出器について説明するための部分断面上面図である。
【図5】本発明の第一実施形態による燃料供給装置のポンプユニットを示す断面図である。
【図6】本発明の第一実施形態による燃料供給装置のサブタンクについて説明するための正面図である。
【図7】本発明の第一実施形態による燃料供給装置のサブタンクについて説明するための上面図である。
【図8】本発明の第一実施形態による燃料供給装置の残量検出器のうちリングカバー及び保持プレートを示す図であって、図9のVIII−VIII線断面図である。
【図9】本発明の第一実施形態による燃料供給装置の残量検出器のうちリングカバー及び保持プレートを示す正面図である。
【図10】本発明の第一実施形態による燃料供給装置の作用効果を説明するための図であって、図1に対応する正面図である。
【図11】本発明の第一実施形態による燃料供給装置の作用効果を説明するための側面図であって、図4に対応する部分断面上面図である。
【図12】本発明の第二実施形態による燃料供給装置を示す正面図である。
【図13】本発明の第二実施形態による燃料供給装置のサブタンク及び残量検出器について説明するための部分断面正面図である。
【図14】本発明の第二実施形態による燃料供給装置のサブタンクについて説明するための上面図である。
【図15】図13のXV−XV線断面図である。
【図16】本発明の第二実施形態による燃料供給装置のサブタンク及び残量検出器について説明するための部分断面上面図である。
【図17】本発明の第二実施形態による燃料供給装置の作用効果を説明するための側面図であって、図16に対応する部分断面上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0018】
図1,2は、本発明の第一実施形態による燃料供給装置1を示している。燃料供給装置1は車両の燃料タンク2に搭載され、この燃料タンク2の内部から外部の内燃機関へ燃料を供給する。尚、燃料タンク2への燃料供給装置1の搭載状態を示す図1,2の上下方向は、水平面上における車両の鉛直方向と実質的に一致している。
【0019】
(基本構成)
まず、燃料供給装置1の基本構成につき、説明する。燃料供給装置1は、フランジ10、サブタンク20、調整機構40、ポンプユニット50及び残量検出器60を備えている。ここで、燃料供給装置1のフランジ10以外の要素20,40,50,60は、燃料タンク2内の所定位置に配置される。
【0020】
フランジ10は、樹脂により円盤状に形成されている。フランジ10は、燃料タンク2の天板部2aを貫通する貫通孔2bに嵌合装着され、当該孔2bを閉塞している。フランジ10は、燃料供給管11及び電気コネクタ12を有している。燃料供給管11は、ポンプユニット50から吐出される燃料を燃料タンク2外へ供給する。電気コネクタ12は、ポンプユニット50及び残量検出器60を外部と電気接続するためのターミナル(図示なし)を内包している。これにより、電気コネクタ12を通じてポンプユニット50の燃料ポンプ52が外部から電力供給を受けて駆動制御され、また同電気コネクタ12を通じて残量検出器60の残量検出信号が外部へと出力されるようになっている。
【0021】
サブタンク20は、タンク本体24にタンク蓋25を組み合わせて構成されている。タンク本体24は、樹脂により有底円筒状に形成されている。タンク本体24は燃料タンク2内に収容されて、当該タンク2の底部2c上に設置されている。図1,3に示すようにタンク本体24の底部24aには、ジェットポンプ21が設けられている。ジェットポンプ21は、導入通路22及びジェットノズル23を有している。導入通路22は、燃料タンク2内とサブタンク20内とを連通している。ジェットノズル23は、ポンプユニット50から排出される燃料を、導入通路22内へ向かって噴出させる。この燃料の噴出に応じて、大気圧よりも低い負圧が導入通路22内に発生することで、燃料タンク2内の燃料が当該通路22内へと吸入されて、タンク本体24内に移送される。したがって、サブタンク20は、こうしてタンク本体24内へと移送された燃料を貯留することになる。
【0022】
図2に示すように、タンク蓋25は樹脂により形成され、逆有底円筒状に配置されている。タンク蓋25の開口縁部25bは、タンク本体24の開口縁部24bに対して、周方向に沿って同軸上に嵌合装着されている。これにより、燃料タンク2内に収容されてタンク本体24の開口を覆う形となっているタンク蓋25は、当該本体24と共同して燃料を内部に貯留する。図1,4に示すようにタンク蓋25は、ポンプユニット50及び残量検出器60をそれぞれ個別の箇所に保持している。
【0023】
調整機構40は、図1,2,4に示すように、支柱41及び弾性部材43を有している。支柱41は、金属により円筒状に形成されている。本実施形態において互いに一体となっている要素20,50,60は、フランジ10に固定される支柱41に対して軸方向に相対移動可能となっている。コイルスプリングからなる弾性部材43は、支柱41とサブタンク20との間に介装されている。これにより弾性部材43は、一体要素20,50,60を燃料タンク2の底部2c側に向かって押圧するように、復原力を発生する。
【0024】
ポンプユニット50は、その下部をサブタンク20内に収容されていると共に、上部においてサブタンク20のタンク蓋25から突出している。図2,5に示すようにポンプユニット50は、サクションフィルタ51、燃料ポンプ52、燃料フィルタ53及びプレッシャレギュレータ54を有している。
【0025】
サクションフィルタ51は、ポンプユニット50の最下部に設けられている。サクションフィルタ51は燃料ポンプ52の燃料吸入口52aと接続され、サブタンク20内から当該吸入口52aに吸入される燃料中の大きな異物を除去する。燃料ポンプ52はサクションフィルタ51の上方に設けられ、燃料吸入口52a及び燃料吐出口52bをそれぞれ下方及び上方に向けている。燃料ポンプ52が内蔵するモータ(図示なし)の回転に伴ってサブタンク20内の燃料は、サクションフィルタ51を通じて燃料吸入口52aに吸入され、さらに当該ポンプ52内にて加圧されて燃料吐出口52bから吐出される。
【0026】
燃料フィルタ53は、フィルタケース55にフィルタエレメント56を組み合わせて構成され、燃料ポンプ52を外周側及び上方から覆うように設けられている。フィルタケース55は、樹脂により形成されて内外二重の筒部55a,55bを有しており、それらのうち内筒部55aの内周側に、燃料ポンプ52が同軸上に配置されている。フィルタエレメント56は、内筒部55aと外筒部55bとの間に収容されており、それら筒部55a,55b間へ燃料吐出口52bから吐出される燃料中の微細な異物を、例えばハニカム状の濾材により除去する。こうしてフィルタエレメント56により濾過された燃料は、図1,4に示すフィルタケース55の燃料出口59からタンク20,2外の燃料供給管11へと向かって供給される。
【0027】
図5に示すようにプレッシャレギュレータ54は、ポンプユニット50において燃料フィルタ53の側方に、隣接して設けられている。燃料フィルタ53の燃料出口59と連通するプレッシャレギュレータ54には、燃料供給管11へ向かう燃料の一部が流入する。これによりプレッシャレギュレータ54は、燃料供給管11に向かう燃料の圧力を調整しつつ、当該調圧時の余剰燃料をジェットポンプ21のジェットノズル23へ排出する。
【0028】
図1,4に示すように残量検出器60は、燃料タンク2内のうちサブタンク20の外部に取り付けられている。残量検出器60は、本実施形態ではセンダゲージであり、燃料タンク2内の燃料に浮かぶフロート61と一体に設けられたアーム62の回転角に基づき、当該タンク2内の燃料残量を検出する。こうして検出された燃料残量を表す残量検出信号は、残量検出器60の検出回路63から出力されることになる。
【0029】
(サブタンクに対する残量検出器の取付構造)
次に、サブタンク20に対する残量検出器60の取付構造につき、燃料供給装置1の特徴部分として詳細に説明する。
【0030】
第一実施形態のサブタンク20において逆有底円筒状のタンク蓋25は、図2,6,7に示す外周面25aのうち、周方向の全域にて等間隔をあけた複数箇所に、取付部26を形成している。各取付部26は、タンク蓋25のタンク本体24への装着により周方向に連続して形成されている境界27から、外周側へ突出する凸状(鉤状)を、呈している。
【0031】
図1,2,4に示すように第一実施形態の残量検出器60は、リングカバー64及び保持プレート65を有している。リングカバー64は、樹脂により円環帯状に形成されている。リングカバー64は、タンク蓋25及びタンク本体24の組み合わせにより全体として円筒状を呈するサブタンク20に対し、同軸上に外嵌されている。ここでリングカバー64は、タンク蓋25及びタンク本体24の境界27を軸方向において跨ぐように、配置されている。これによりリングカバー64は、図1の如くタンク蓋25及びタンク本体24の境界27を、外周側から周方向に連続して覆っている。
【0032】
リングカバー64において、タンク蓋25の各取付部26と対応する周方向の複数個所には、図8,9に示すような嵌合部66が設けられている。即ちリングカバー64は、取付部26と同数の嵌合部66を、周方向において等間隔に形成している。各嵌合部66は、リングカバー64を径方向に貫通することにより当該カバー64の内周面64aよりも凹む凹状(孔状)を、呈している。こうした構成の各嵌合部66は、図1,2,4に示すように、複数の取付部26のうち各々対応する取付部26と凹凸嵌合することにより、当該対応取付部26に取り付けられている。尚、取り付けに際しては、樹脂製要素25,64のうち少なくとも一方を弾性変形させつつ、リングカバー64の上端部のテーパ面64c(図2参照)に沿って当該カバー64の内周側に案内した各取付部26を、各嵌合部66に嵌入して係止させることとなる。
【0033】
図8,9に示すように保持プレート65は、リングカバー64のうち外周面64bの周方向一箇所に、固定されている。これにより、本実施形態の保持プレート65は、リングカバー64の外周側から特定の一つの嵌合部66を覆う形となっている。図1,4に示すように保持プレート65は、残量検出器60の構成要素のうち、フロート61、アーム62及び検出回路63等からなる検出本体部68を、保持している。
【0034】
このような構成の第一実施形態によると、サブタンク20の周方向に等間隔に形成される各取付部26について、リングカバー64のいずれの嵌合部66に凹凸嵌合させるかは、図10,11の如く当該カバー64をサブタンク20に対して周方向にずらすことで自由に変更し得る。換言すれば、各嵌合部66に対応する取付部26をそれぞれ、サブタンク20の周方向にて自由に選択し得る。故に、燃料タンク2の形状が変更されても、その変更形状に合わせて各嵌合部66の対応取付部26を選択することにより、それら嵌合部66を有する残量検出器60の配置位置を、サブタンク20の周方向に変更できるのである。
【0035】
さらに、嵌合部66の全てを同数の取付部26に凹凸嵌合させてなる取付構造については、簡素且つ取付強度の高いものとなる。しかも、各取付部26に合わせて各嵌合部66を周方向に等間隔に形成するために、当該周方向において連続しているリングカバー64は、サブタンク20のうちタンク本体24及びタンク蓋25の境界27を、周方向に沿って完全に覆ってシールし得る。このようなシール作用によれば、タンク本体24内だけでなく、タンク蓋25内にも、燃料を貯留させることができるのである。
【0036】
以上説明した特徴から、第一実施形態による燃料供給装置1については、サブタンク20内での燃料貯留量を可及的に増大させた汎用性及び残量検出精度の高い装置として、提供可能となるのである。
【0037】
(第二実施形態)
図12,16に示すように、本発明の第二実施形態による燃料供給装置1001は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態のサブタンク1020において逆有底円筒状のタンク蓋1025の上面1025cは、周方向の一部にて等間隔をあけた三以上の複数箇所に、図13〜15に示すような取付部1026を形成している。各取付部1026は、タンク蓋1025を軸方向に貫通することにより当該蓋1025の上面1025cよりも凹む凹状(孔状)を、呈している。
【0038】
図12,13,15に示すように第二実施形態の残量検出器1060は、リングカバー64を有する代わりに、固定プレート1069を有している。固定プレート1069は、樹脂により平板状に形成されている。タンク蓋1025の上面1025cに面接触する状態にて配置される固定プレート1069上には、第一実施形態で説明の如き保持プレート65が一体に垂設されている。
【0039】
固定プレート1069において、タンク蓋1025の上面1025cと接触する下面1069aのうち二個所には、図13,15に示すような嵌合部1066が設けられている。即ち固定プレート1069は、取付部1026よりも少ない数の嵌合部1066を、各取付部1026と対向する下面1069aに形成している。それら嵌合部1066間の間隔は、特定の二つの取付部1026(本実施形態では、三つの取付部1026をサブタンク1020の周方向において挟む二箇所の取付部1026)間に確保される間隔と、実質的に等しく設定されている。また、下方に突出する凸状の各嵌合部1066は、当該突出側に向かって二股に分離することにより、それぞれ一対ずつの鉤部1066aを弾性変形可能に有している。こうした構成の各嵌合部1066は、複数の取付部1026のうち各々対応する取付部1026と凹凸嵌合することにより、当該対応取付部1026に取り付けられている(図16も参照)。尚、取り付けに際しては、樹脂製の各嵌合部1066のうち一対の鉤部1066aを、弾性変形させながら各取付部1026に嵌入して、タンク蓋1025の内面1025dに係止させることとなる。
【0040】
このような構成の第二実施形態によると、サブタンク1020の周方向に等間隔に形成される各取付部1026のうち、いずれの取付部1026に固定プレート1069の嵌合部1066を凹凸嵌合させるかは、図17の如く当該プレート1069をサブタンク1020に対して周方向にずらすことで自由に変更し得る。換言すれば、各嵌合部1066に対応する取付部1026を、サブタンク1020の周方向にて自由に選択し得る。故に、燃料タンク2の形状が変更されても、その変更形状に合わせて各嵌合部1066の対応取付部1026を選択することにより、それら嵌合部1066を有する残量検出器1060の配置位置を、サブタンク1020の周方向に変更できるのである。
【0041】
さらに、嵌合部1066よりも形成数が多い複数の取付部1026のうち、二つの取付部1026にそれぞれ嵌合部1066を凹凸嵌合させてなる取付構造については、簡素且つ取付強度の高いものとなる。しかも、残量検出器1060を取り付けるための各取付部1026は、サブタンク1020のうち逆有底円筒状のタンク蓋1025の上面1025cに形成されるので、残量検出器1060の配置によるサブタンク1020の内部容積の減少を回避し得る。
【0042】
以上説明した特徴から、第二実施形態による燃料供給装置1001については、サブタンク1020内での燃料貯留量を最大限まで増大させた汎用性及び残量検出精度の高い装置として、提供可能となるのである。
【0043】
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0044】
具体的に第一実施形態では、サブタンク20のうちタンク本体24に、取付部26を設けてもよく、その場合、タンク蓋25をサブタンク20の構成要素から外すことも可能である。また、第二実施形態に準じて第一実施形態では、嵌合部66の形成数を説明のものよりも少なく又は多くして、少なくとも一つの嵌合部66に比して取付部26の形成数が多くなる構成としてもよい。さらに、第二実施形態に準じて第一実施形態では、凹状に形成した取付部26を、凸状に形成した嵌合部66に凹凸嵌合させてもよい。
【0045】
嵌合部1066の形成数について第二実施形態では、説明のものよりも少ない一つに設定して、複数の取付部1026のうち選択した一つの取付部1026に、当該一つの嵌合部1066を取り付ける構成としてもよい。あるいは、嵌合部1066の形成数について第二実施形態では、説明のものよりも多い三つ以上に設定してもよい。さらに、第一実施形態に準じて第二実施形態では、凸状に形成した取付部1026を、凹状に形成した嵌合部1066に凹凸嵌合させてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1,1001 燃料供給装置、2 燃料タンク、10 フランジ、12 電気コネクタ、20,1020 サブタンク、24 タンク本体、24a 底部、24b 開口縁部、25,1025 タンク蓋、25a 外周面、25b 開口縁部、26,1026 取付部、27 境界、40 調整機構、50 ポンプユニット、60,1060 残量検出器、61 フロート、62 アーム、63 検出回路、64 リングカバー、64a 内周面、64b 外周面、64c テーパ面、65 保持プレート、66,1066 嵌合部、68 検出本体部、1025c 上面、1025d 内面、1066a 鉤部、1069 固定プレート、1069a 下面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク内の燃料を前記燃料タンク外へ供給する燃料供給装置であって、
前記燃料タンク内に配置され、周方向に複数の取付部を形成する筒状のサブタンクと、
前記燃料タンク内において少なくとも一つの前記取付部に取り付けられることにより前記サブタンク外に配置され、前記燃料タンク内の燃料残量を検出する残量検出器と、を備えることを特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
前記残量検出器は、凸状又は凹状の嵌合部を少なくとも一つ形成し、
前記サブタンクは、前記嵌合部が凹凸嵌合により取り付けられる凹状又は凸状の前記取付部を、前記嵌合部の形成数以上となるように複数形成することを特徴する請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記残量検出器は、前記嵌合部を複数形成し、
前記サブタンクは、前記嵌合部の形成数以上となる複数の前記取付部を、周方向において等間隔に形成することを特徴とする請求項2に記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記サブタンクは、有底筒状のタンク本体と、前記タンク本体の開口縁部に周方向に沿って装着される逆有底筒状のタンク蓋とを、有し、
前記残量検出器は、少なくとも一つの前記取付部に取り付けられて前記タンク本体及び前記タンク蓋の境界を周方向に沿って覆うリングカバーを、有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料供給装置。
【請求項5】
前記サブタンクは、有底筒状のタンク本体と、前記タンク本体の開口縁部に周方向に沿って装着されて複数の前記取付部を上面に形成するタンク蓋とを、有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−202232(P2012−202232A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64735(P2011−64735)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000161840)京三電機株式会社 (99)