説明

燃料改質剤および燃料改質装置の製造方法

【課題】 安価に効率の良い燃料改質剤を提供するとともに、当該燃料改質剤を有効に使用する燃料改質装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 燃料改質剤は、電気石を酸性溶液中に浸漬する不純物除去工程と、上記電気石を高温で加熱する熱処理工程と、上記電気石を所定温度に維持しつつ使用燃料中に浸漬する燃料浸透工程とにより処理されるものである。また、燃料改質装置の製造方法は、電気石を酸性溶液中に浸漬する不純物除去工程と、上記電気石を高温で加熱する熱処理工程と、上記電気石を所定の高温状態に維持しつつ燃料改質器内に充填する改質剤充填工程と、上記電気石を所定温度に維持しつつ上記燃料改質器内に燃料を充填する燃料充填工程とにより製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンまたは軽油などの化石燃料を改質するための改質剤および改質装置の製造方法に関し、特に、内燃機関やボイラなどに供給される燃料について使用されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
既に開発されている燃料改質装置には、容器に永久磁石とセラミック塊状体とを収容したものがあった(特許文献1参照)。この技術は、希土類の天然鉱石からなるパウダーとバインダーと触媒とを混合し、これを成型したうえで焼成した塊状のセラミックを使用するものであって、希土類の天然鉱石とは、ラジウム、ウラン、ランタンその他の元素を含む天然鉱石を意味するものであり、また、永久磁石を容器に収納する構成であった。そして、このような構成とした目的は、先行して開発されたセラミックス成形品を流体濾過材として使用する場合(特許文献2参照)、多連続孔を有するセラミックスでは目詰まりが発生しやすかったことを解消しつつ、α線、γ線等の放射性が持続的に放射することにより、燃料の活性化を起こさせることを目的とするものであった。
【0003】
上記装置の場合、セラミックスの塊状体と永久磁石を適当に容器内に収納する構成であるため、容器内を通過する燃料がセラミックスや永久磁石に接触することによって改質するというよりも、燃料に接近しつつα線、γ線などの放射線や磁力を作用させることによって改質するものと考えられる。そして、直接接触することによる効果を十分に発揮させるものではなかった。
【0004】
また、燃料改質のための他の装置には、田峯花崗斑岩を金属製の網に入れ、これを燃料タンクの給油口付近に取り付ける構成の燃料改質器具があったが(特許文献3参照)、この燃料改質器具は、田峯花崗斑岩に燃料を接触させて改質するものの、大量の燃料に対して僅かな量の燃料改質部材によって燃料を改質しようとするものであるから、仮に燃料の改質が可能であったとしても、燃料タンクに保存される燃料の全体を均一に改質できるものではなかった。
【0005】
そこで、本願の出願人は、石英斑岩の粉末を含有させたセラミック板に磁石を散在させてなる燃料改質剤を配置してなる燃料改質装置を提案している(特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平11−12022号公報(2頁、図1−図2)
【特許文献2】特公平1−23435号公報(2頁、図10)
【特許文献3】特開2002−371927号公報(3頁、図1)
【特許文献4】特開2007−77949号公報(5−6頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来技術は、磁石による磁力と、セラミックス板によるマイナスイオンとにより、燃料を改質するものであるが、石英斑岩を粉砕し、かつ粉末状にしたうえで、これを粘土と混練する必要があり、非常に高価なものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、安価に効率の良い燃料改質剤を提供するとともに、当該燃料改質剤を有効に使用する燃料改質装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、燃料改質剤にかかる本発明は、電気石を酸性溶液中に浸漬する不純物除去工程と、上記電気石を高温で加熱する熱処理工程と、上記電気石を所定温度に維持しつつ使用燃料中に浸漬する燃料浸透工程とにより処理されることを特徴とする燃料改質剤を要旨としている。
【0009】
上記構成によれば、電気石の表面および微細孔内に付着または沈着している不純物を酸性溶液で洗浄することができ、さらに、この洗浄により除去されない炭化物または残留水等を高温で焼失または蒸発させることができることから、電気石の表面を本来の純粋な状態にすることができる。そして、使用燃料に浸漬することにより、電気石表面に他の不純物等が再び付着することを回避することができる。
【0010】
また、燃料改質剤にかかる本発明は、電気石をクエン酸水溶液に20日間以上浸漬する不純物除去工程と、上記電気石を650°C未満の高温で加熱する熱処理工程と、上記電気石を100°C以上の温度に維持しつつ使用燃料中に浸漬する燃料浸透工程とにより処理されることを特徴とする燃料改質剤をも要旨としている。
【0011】
上記構成によれば、650°Cを超えて電気石が崩壊するよりも低い温度で熱処理されることから、電気石の性質をそのまま利用することができる。すなわち、電気石に含まれるアルミニウムは660°C付近で溶融されることとなるため、この650°Cを超えない範囲で熱処理されることにより、アルミニウムは残存することができるのである。また、電気石自体が100°C以上に維持される状態で、使用燃料に浸漬されることにより、一度蒸発させた水分が再び電気石に付着しないうちに燃料を浸透させることができる。なお、650°C未満の高温とは、目安として600°C〜650°Cの範囲を意味し、これは、電気石の性質を維持しつつ極限まで高温にできる温度である。
【0012】
他方、燃料改質装置の製造方法にかかる本発明は、電気石を酸性溶液中に浸漬する不純物除去工程と、上記電気石を高温で加熱する熱処理工程と、上記電気石を所定の高温状態に維持しつつ燃料改質器内に充填する改質剤充填工程と、上記電気石を所定温度に維持しつつ上記燃料改質器内に燃料を充填する燃料充填工程とにより製造されることを特徴とする燃料改質装置の製造方法を要旨としている。
【0013】
上記構成によれば、不純物の洗浄、炭化物の焼失および残留水の蒸発に続き、電気石が冷却される前に燃料改質器内に充填することができ、器内の電気石が十分な温度を維持している間に使用燃料による浸漬が可能となる。つまり、電気石が充填された燃料改質器に、使用燃料を充填することにより、その燃料改質器内において電気石が浸漬されることとなるのである。そして、製造された燃料改質装置が所定場所に装着されるまで、上記浸漬状態が継続することにより、電気石が外部の空気等に接触することがなく、本来の電気石の状態で燃料に接触させることのできる燃料改質装置を製造し得ることとなる。
【0014】
また、燃料改質装置の製造方法にかかる本発明は、電気石をクエン酸水溶液に20日間以上浸漬する不純物除去工程と、上記電気石を650°C未満の高温で加熱する熱処理工程と、上記電気石を200°C以上の高温状態に維持しつつ燃料改質器内に充填する改質剤充填工程と、上記電気石を100°C以上の温度に維持しつつ上記燃料改質器内に燃料を充填する燃料充填工程とにより製造されることを特徴とする燃料改質装置の製造方法をも要旨としている。
【0015】
上記構成によれば、電気石が200°C以上の状態で燃料改質器内に充填されるため、当該燃料改質器の仕上げ工程として、蓋の溶接等が必要な場合においても電気石が極端に冷却されることがない。そして、電気石が100°C以上に維持されている間に燃料を充填することにより、電気石の表面に水分の付着を防止しつつ燃料によって浸漬させることができる。
【発明の効果】
【0016】
燃料改質剤にかかる本発明によれば、不純物除去工程に必要な酸性溶液と、熱処理工程に必要な加熱装置によって良質の燃料改質剤を得ることができることとなり、非常に安価に燃料改質剤を提供することができる。また、不純物除去工程は、電気石を長時間酸性溶液中に浸漬させることが必要であるが、この間は浸漬状態を維持するだけでよいため、手間を掛けずに不純物を除去し得ることとなる。
【0017】
また、燃料改質装置の製造方法にかかる本発明によれば、燃料充填工程が燃料浸透工程を兼ねることとなり、電気石が冷却する前に使用燃料に浸漬される結果、良好な状態の電気石を燃料改質器内に配置させることができる。しかも、燃料改質器内への電気石の充填および燃料の充填は、熱処理工程後の冷却段階に行われることから、非常に安価な燃料改質装置を提供できることとなる。そして、このように燃料中に浸漬された状態が維持されることから、電気石が変質等することがない。
【0018】
このように、良好な燃料改質剤または燃料改質装置を使用することにより、燃料消費率が大幅に向上し、二酸化炭素(CO2)の削減に資することとなる。さらに、本発明に係る燃料改質剤または燃料改質装置を使用する車両が増えることにより、二酸化炭素の発生量を抑えることとなるから、環境(地球温暖化の防止)に貢献するものとなり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、燃料改質剤にかかる本発明の実施形態について、電気石を処理する工程に沿ってフローチャート形式で表示したものである。この図に示すように、事前工程として、電気石を破砕する工程がある。これは、処理が開始した後には電気石を所望の大きさに破砕等する機会がないからである。電気石の破砕工程としては、採石場等に設置されるクラッシャ(破砕機)を使用することができる。また、破砕後の電気石について、粒径選別工程により大きさを所定範囲に揃え、これらを簡易な水洗浄をする洗浄工程によって表面に付着する目立った汚れ等を除去するのである。その後乾燥工程により洗浄水を除去するところまでが事前工程である。
【0020】
このような事前工程は、電気石を採掘する採石場で既に実施される場合があるため、燃料改質剤を得るための必須工程ではないが、これら工程を経由していない電気石から燃料改質剤を得る場合には、事前工程を行うことが必要となる。
【0021】
次に、燃料改質剤を得るための各工程について説明する。第一に不純物除去工程を実施する。この不純物除去工程は、酸性液中に電気石を浸漬する工程であり、本実施形態では、クエン酸水溶液を使用する。クエン酸水溶液に浸漬することにより、電気石表面に付着する不純物を除去することができる。また、長時間浸漬することで、多孔質鉱物の微細孔内に浸透し、この微細孔内の不純物を除去し沈着した色素等を形成する物質を排除することができる。なお、浸漬する時間は、20日間以上であることが好適である。なぜならば、クエン酸水溶液に浸漬された電気石を観察したところ、1週間の浸漬により、目立つ汚れは除去されていることを確認したが、僅かな色素が残存していた。また、この後も浸漬を継続しつつ毎日観察したところ、20日目までは、色素の消滅を確認したが、その後は変化しなかった。このことから、20日間は浸漬することが必要であり、それ以上であれば、クエン酸水溶液に浸漬することによる不純物除去効果を十分にえることができると判断される。
【0022】
次に、第二段階として熱処理工程を実施する。この熱処理工程は、650°C未満の高温に電気石を加熱する工程である。650°C未満の高温とは、およそ600°C前後を意味するが、炭化物を焼失させるためには、650°Cに近い状態が好ましい。従って、加熱炉内において温度管理ができる場合には、600°C〜650°Cの範囲内に設定することが好ましい。ただし、660°Cを超えて加熱すると、電気石に含まれるアルミニウムが融点に達するため、溶解して電気石の性質が変化することとなる。そこで、650°C〜700°Cに設定された加熱炉内で長時間加熱する場合は、短時間に炉から取り出すことが好ましく、長時間の加熱は好ましくない。
【0023】
引き続き、第三の工程として燃料浸透工程を実施する。この燃料浸透工程は、熱処理後の電気石を使用燃料に浸漬する工程である。一般的には、酸性溶液で洗浄された後に高温処理された天然鉱石は、その表面等に付着する不純物のほとんどが除去されており、冷却された状態で終了する。しかし、冷却時およびその後の時間の経過とともに、空気中の水分が付着し、微細孔に再び水が侵入することとなる場合がある。そこで、これらの処理がされた後の電気石について、一義的には空気中の水分の付着を防止し、二義的には使用燃料を微細孔に浸透させることを目的としている。このように、水分が浸透しない状態で使用燃料を微細孔に浸透させることにより、同質の燃料との入れ替わりが容易となる。すなわち、微細孔に水分が浸透しているときには、燃料(いわゆる油)は水分と分離し、水分の浸透した微細孔に燃料が浸透することがないけれども、微細孔内に浸透しているものが同質の燃料であるときには、上記のような分離作用がないため、入れ替わりが可能となるのである。このようにして、多くの燃料が電気石の表面に接触することによって、燃料改質効果を向上させるのである。
【0024】
なお、使用燃料に浸漬するときの電気石の温度は100°C以上であることが好ましい。その理由は、仮に電気石に水分が付着した場合でも蒸発させることが可能となるからであり、そのような状況下であれば、電気石の表面および微細孔に水分を付着させずに燃料に浸漬させることができるからである。ただし、ガソリンのように揮発性の高い燃料を使用する場合には、100°Cよりも低温(例えば、60°C)まで低下した後に使用燃料に浸漬させてもよい。これは、電気石が周辺温度に比較して十分に高い温度であれば、周辺の空気中に含まれる水蒸気が液化して水滴となることがないからである。また、何らかの水分が付着したとしても、60°C程度の温度であれば蒸発させることが可能である。ちなみに、ガソリンの発火点は246°Cとされているため、100°Cの電気石を浸漬したとしても発火することはないが、揮発性が高いことから気化が促進され、火気の取り扱いを厳重にしなければならないなど、作業上の不便を招来することが予想される。
【0025】
次に、上記実施形態の燃料改質剤を利用した燃料改質装置の製造方法について、その実施形態を説明する。図2は、本実施形態の製造方法をフローチャート方式で示したものである。この図に示すように、上述の燃料改質剤の製造工程に比べると、事前工程、不純物除去工程および熱処理工程までは同様である。そこで、熱処理工程以降について説明すると、熱処理された後の高温の電気石は、冷却工程を経て200°Cを少し超えた程度まで冷却される。この冷却工程は、上記熱処理工程が加熱炉で実施される場合は、当該加熱炉の設定温度を下げることによって実施されるが、加熱炉から取り出して空冷により実施することもできる。このような冷却工程を特に設けなくても、加熱を中断した後適宜時間放置することによっても実施可能である。
【0026】
上記いずれかの方法により、電気石が200°Cを少し超える程度の温度まで冷却した後に、改質剤充填工程を実施する。この改質剤充填工程は、燃料改質器内に冷却された電気石(燃料改質剤)を充填する工程であり、燃料改質器は、所定量の燃料改質剤を収容できる容器であって、本実施形態により製造されるべき燃料改質装置の本体部に相当するものである。この燃料改質器に充填された電気石(燃料改質剤)は、200°Cから徐々に自然冷却されることとなる。
【0027】
そして、電気石(燃料改質剤)の温度が100°Cを少し超える程度に冷却した時点で、燃料充填工程を実施する。この燃料充填工程は、電気石(燃料改質剤)が充填された燃料改質器内に使用燃料を充填する工程であり、これにより、上記電気石(燃料改質剤)が使用燃料に浸漬されることとなるのである。なお、燃料改質器は、燃料の供給口と排出口が設けられており、燃料の出入りが可能に構成されているが、燃料充填工程の前には、両口には蓋が設けられ、使用燃料を蓄えることのできる容器として機能し得るものである。ただし、この供給口および排出口の両口が、ともに上面を開口して設けられている構成の燃料改質器を使用する場合には、蓋を設けることなく使用燃料を蓄えることができるので、蓋を設けず容器として機能させる場合もあり得る。
【0028】
ところで、燃料改質器に燃料改質剤を投入する場合、比較的大きな開口部が必要となり、この開口を塞ぐための蓋を設けることも可能であるが、上記自然冷却時間を利用して、開口部を溶接処理することもあり得る。そこで、図2において示している密封工程を途中に介在させることがある。この密封工程は、上述のように蓋を装着するだけの場合もあるが、開口部を溶接する場合もあり得る。
【0029】
なお、上記のような改質剤充填工程および燃料充填工程に代えて、上述した燃料改質剤(使用燃料に浸漬された状態の電気石)を燃料改質器に充填する工程で省略することができる。すなわち、燃料改質器の供給口および排出口を予め閉鎖しており、燃料改質剤投入口から使用燃料とともに燃料改質剤を同時に投入するのである。この場合には、使用燃料に浸漬され十分に冷却された燃料改質剤を使用するため、燃料改質器への投入が容易となる。ただし、火花の発生する溶接処理は不可能であるため、密封工程としては、蓋の装着によることとなる。
【0030】
上記のように製造された燃料改質装置を使用して、現実の燃焼効率について実験した。なお、実験に使用した燃料改質装置は、改質剤充填工程および燃料充填工程を経て製造されたものである。
【0031】
〔実験1〕初年度登録平成9年3月の4.2t日産ディーゼルトラック6920ccを使用した。実験前に、空荷状態で高速道路を使用する際の燃費を数回繰り返して測定し、その平均値は5.5km/lであった。本実施形態の燃料改質装置を装着して通常どおり(荷積載および空荷の状態で)走行した。なお、使用された燃料改質装置は、その本体部である燃料改質器が100mm×100mm×900mmの四角形の筒状(図3(a)参照)とし、単純計算による容量9リットルの内部に粒径10〜20mmの燃料改質剤をぎっしり詰め込んだものである。
【0032】
【表1】

【0033】
〔実験2〕初年度登録平成13年6月のトヨタカローラ(4WD)1800ccを使用した。実験前に、通常走行時の燃費を数回繰り返して測定し、その平均値は9.0km/lであった。本実施形態の燃料改質装置を装着し、実験前と同様に通常走行を行った。なお、使用した燃料改質装置は、直径38mmで長さ500mmの円筒状(図3(b)参照)の燃料改質器に粒径10mm〜15mmの燃料改質剤を詰め込んだものである。
【0034】
【表2】

【0035】
〔実験3〕初年度登録平成18年5月のホンダバモス650ccを使用した。実験前の平均燃費は12.0km/lであった。本実施形態の燃料改質装置を装着した後は、一般道のみを走行した。なお、燃料改質装置は、直径38mmで長さ200mmの円筒状(図3(c)参照)の燃料改質器に粒径10mm〜15mmの燃料改質剤を詰め込んだものを使用した。
【0036】
【表3】

【0037】
上記各実験結果から明らかなとおり、ディーゼルエンジンおよびガソリンエンジンのいずれにおいても燃費が向上した。また、ガソリンエンジン中の排気量の異なる(普通車と軽自動車との差異がある)場合であっても、それぞれ燃費が向上した。
【0038】
〔実験4〕ボイラでの燃焼効率を測定するために、工場内で使用するボイラに本実施形態の燃料改質装置を装着して実験した。実験に先立って、ボイラ稼働時間と使用燃料を毎日9日測定し、その平均値は36.93l/時であった。本実施形態の装着時期は、最も寒さの厳しい1月下旬から2月上旬を選んで実施したものである。
【0039】
【表4】

【0040】
上記実験結果から明らかなとおり、ボイラで燃焼される燃料の平均値は、26.92l/時と大きく燃焼効率が向上した。
【0041】
以上のように、上記各実験例からも明らかなとおり、内燃機関およびボイラにおいて燃焼効率を向上させることができた。また、本発明の実施形態における燃料改質剤は、比較的安価に処理されており、燃料改質装置そのものが高価なものではない。
【0042】
なお、上記各実験に使用した電気石は、表5に示す組成のものである。表5に示す分析は、蛍光X線による無機元素の定性分析によるものであり、試料処理方法として、乾燥・破砕をした後、ペレット状に加圧成形している。
【0043】
【表5】

【0044】
本発明の実施形態は以上のとおりであるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々変形することができる。例えば、上記実施形態において、酸性溶液としてクエン酸水溶液を使用したが、これに限定されるものではなく、その他の酸性溶液を使用することは可能である。また、燃料改質器としては、実験例において示した四角形の筒状または円筒状のほか種々の形状が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】燃料改質剤の処理工程を示す説明図である。
【図2】燃料改質装置の製造工程を示す説明図である。
【図3】燃料改質器の形状を示す斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気石を酸性溶液中に浸漬する不純物除去工程と、上記電気石を高温で加熱する熱処理工程と、上記電気石を所定温度に維持しつつ使用燃料中に浸漬する燃料浸透工程とにより処理されることを特徴とする燃料改質剤。
【請求項2】
電気石をクエン酸水溶液に20日間以上浸漬する不純物除去工程と、上記電気石を650°C未満の高温で加熱する熱処理工程と、上記電気石を100°C以上の温度に維持しつつ使用燃料中に浸漬する燃料浸透工程とにより処理されることを特徴とする燃料改質剤。
【請求項3】
電気石を酸性溶液中に浸漬する不純物除去工程と、上記電気石を高温で加熱する熱処理工程と、上記電気石を所定の高温状態に維持しつつ燃料改質器内に充填する改質剤充填工程と、上記電気石を所定温度に維持しつつ上記燃料改質器内に燃料を充填する燃料充填工程とにより製造されることを特徴とする燃料改質装置の製造方法。
【請求項4】
電気石をクエン酸水溶液に20日間以上浸漬する不純物除去工程と、上記電気石を650°C未満の高温で加熱する熱処理工程と、上記電気石を200°C以上の高温状態に維持しつつ燃料改質器内に充填する改質剤充填工程と、上記電気石を100°C以上の温度に維持しつつ上記燃料改質器内に燃料を充填する燃料充填工程とにより製造されることを特徴とする燃料改質装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−126564(P2010−126564A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300285(P2008−300285)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(506064625)株式会社環健スーパーテクノ (1)
【Fターム(参考)】