説明

燃料電池のセパレータの製造装置、および燃料電池のセパレータの製造方法

【課題】簡単な構成で、セパレータを均一な厚さに精度よく且つ効率よく製造することができる装置と、その製造方法を提供する。
【解決手段】第1プレート1と第2プレート2と流路プレート3の合計の板厚T1を測定する板厚測定手段10と、樹脂フレーム4を変形可能に加熱する加熱手段20と、複数の固定ローラ31と一体に連結された複数の加圧接合ローラ32を有する加圧手段30と、加圧手段30の固定ローラ31と加圧接合ローラ32とのクリアランスCを調整するローラ間調整手段40と、固定ローラ31と加圧接合ローラ32との間のクリアランスCを、板厚測定手段10により測定された板厚T1と、樹脂フレーム4の溶着時から固化するときに収縮する厚さT2とを加えた間隔に調整させるようローラ間調整手段40を制御する制御手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池のセパレータの製造装置、および燃料電池のセパレータの製造方法に関し、特に、第1プレートと第2プレートとの間に、流路プレートと樹脂フレームを配置し熱圧着して、流路プレートを挟持した第1プレートと第2プレートとを樹脂フレームで溶着することにより、内部に流体流路が形成された燃料電池のセパレータを製造するための装置、および、第1プレートと第2プレートとの間に、流路プレートと樹脂フレームを配置し熱圧着して、流路プレートを挟持した第1プレートと第2プレートとを樹脂フレームで溶着することにより、内部に流体流路が形成された燃料電池のセパレータを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃料電池は、複数のセルを積層することにより構成されている。積層されたセルは、エンドプレートの間で荷重が掛けられ、所定の加圧力が付与された状態で挟持されている。各セルの電極部構成部品としては、電解質膜の両面に電極層を設けてなるMEA(Membrane Electrode Assembly:膜−電極アセンブリ)と、MEAの両側に配置されたガス拡散層と、ガス拡散層へガスをそれぞれ流通させる多孔体とを含んでおり、これらの燃料電池構成部品はセパレータにより挟持されている。MEAとその両側に配置されたガス拡散層とにより構成される部材は、一般にMEGAと呼ばれる。
【0003】
燃料電池のなかには、各セルが燃料電池構成部品の一方の面にセパレータを積重して構成されており、複数のセルを積層することにより、燃料電池構成部品がそのセルのセパレータと隣接する他のセルのセパレータとの間で挟持されるよう構成されたものがある。各セルには、反応ガスや冷却媒体を隣接する他のセルとの間で流通させるマニホールドを構成するためにガスケットが設けられる。
【0004】
燃料電池のセパレータのなかには、その内部に反応ガスや冷却媒体を流通させるための流路を有するものがある(たとえば特許文献1)。このようなセパレータは、一般に本願の図6および図11に示すように、第1プレート1を構成するカソードプレートとアノードプレートのいずれか一方と、第2プレート2を構成するカソードプレートとアノードプレートのいずれか他方との間に、流路プレート3と樹脂フレーム4を挟んでなる、所謂三層構造で構成されている。流路プレート3には、各セルに反応ガスや冷却媒体を分配して流通させるための流路をセパレータの内部に形成するための溝または孔が設けられており、第1プレート1と第2プレート2には流路プレート3の溝または孔の端部と対応してマニホールド孔が設けられている。このようなセパレータを構成する樹脂フレーム4として、流路プレートを収容する窓部4aが形成された枠状の樹脂シート材が用いられている。樹脂フレーム4の厚さは流路プレート3よりも厚く成形されている。樹脂フレーム4は、その窓部4aに流路プレート3を収容した状態で第1プレート1と第2プレート2の間に配置され、変形可能なように加熱されて、加圧(熱圧着)されることにより、第1プレート1と第2プレート2に挟まれた流路プレート3を囲繞してシールすると共に、第1プレート1と第2プレート2を溶着して一体に保持している。
【0005】
このように構成されたセパレータを製造する場合、従来では、一般に単に樹脂フレーム4を加熱して、平面ホットプレスなどによって樹脂フレーム4が流路プレート3と同じ厚さとなるよう加圧していた。しかしながら、樹脂フレーム4は、変形可能に溶着され加圧された状態から室温に冷却されて固化または硬化(本発明では硬化も含めて固化という)すると、収縮する。そのため、樹脂フレーム4が流路プレート3と同じ厚さとなるよう加圧すると、その後樹脂フレーム4が固化するときに収縮し、製品としてセパレータSが均一な厚さとならなくなる。
【0006】
ここで、複数のセルを積層しその積層方向に所定の荷重をかける燃料電池にあっては、セパレータSの厚さが部分的に異なると、その表面が平坦でなくなることから、その表面に成形されたガスケットが隣接する他のセルのセパレータSの正しい位置に正しい姿勢で当接されなくなり、ガスケットと隣接する他のセルのセパレータSとの間のシール性を確保できなくなる。そのため、各セルを構成するセパレータSは、全面にわたって均等な厚さで精度よく製造することが要求される。
【0007】
そこで、図12の左方に参照されるように、相対的に凸部50a’と凹部50b’が形成された治具50’を使用することが考えられる。治具50’の凸部50a’は、第1プレート1および第2プレート2の少なくとも一方の流路プレート3と対応する部分を、第1プレート1および第2プレート2と流路プレート3とが接合する厚さまで加圧するよう形成されている。また、治具50’の凹部50b’は、第1プレート1および第2プレート2の少なくとも一方の樹脂フレーム4と対応する部分を、流路プレート3の厚さT3に樹脂フレーム4の溶着時から固化するときに収縮する厚さT4を加えた厚さまで加圧するよう形成されている。このように凸部50a’と凹部50b’が形成された治具50’は、間に流路プレート3と樹脂フレーム4が配置された第1プレート1と第2プレート2の少なくとも一方に重合され、平面ホットプレスなどによって加圧されて、加熱された樹脂フレーム4をその固化により収縮する厚さT2分だけ流路プレート3よりも厚くなるように成形する。
【0008】
さらに、別の従来の技術としては、特許文献2に開示されているように、一対の加圧加熱ローラの間でホットプレスすることにより、接合体を製造する装置および接合体製造方法が知られている。特許文献2では、固体高分子膜と触媒担持フィルムとを接合するためのものであり、一対の加熱加圧ローラ間に圧力を作用させる加圧装置が取り付けられていることが開示されている(0020、および図1、図3)。
【0009】
【特許文献1】特開2007−179787号公報
【特許文献2】特開2001−196070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の技術のうち、治具50’を積重して、加熱された樹脂フレーム4がその固化により収縮する厚さT4の分だけ流路プレート3よりも厚くなるよう平面ホットプレスなどによって加圧する場合には、平面ホットプレスを開閉して一枚づつ加圧し加工し、取り出して搬送するバッチ処理のために、成形サイクルタイムが長くなり、生産性を向上させることが困難であった。また、平面ホットプレスを開閉させるための設備や、製品となったセパレータを取り出して搬送するための設備が必要となるため、設備が大型化しコストがかかるなどの問題があった。
【0011】
また、上記従来の技術のうち、特許文献2にあっては、固体高分子膜と触媒担持フィルムとを接合するためのものであることから、一対の加熱加圧ローラ間で圧力を作用させることにより均一な厚さに接合することができる。しかしながら、図12に示すように、間に流路プレート3と樹脂フレーム4が配置された第1プレート1および/または第2プレート2と治具50’を重合したものを特許文献1のような一対の加熱加圧ローラ31’,32’の間を通すことによって加圧する場合、一対の加熱加圧ローラ31’,32’の間のクリアランスC’を加圧後の第1プレート1、流路プレート3および樹脂フレーム4、第2プレート2と治具50’との合計の厚さに設定すると、図12の右方に示すように、最初に、間に流路プレート3と樹脂フレーム4が配置された第1プレート1と第2プレート2の搬送方向先端が加熱加圧ローラ32’と衝突して、積重された第1プレート1と第2プレート2と流路プレート3および樹脂フレーム4がずれたり、加熱加圧ローラ31’,32’と線接触することによって部分的に加圧されて治具50’が傾き、搬送方向前方における樹脂フレーム4や流路プレート3、治具50’が積重された第1および/または第2プレート1,2を変形させて均一な厚さのセパレータSを成形することができず、また、治具50’が積重された第1および/または第2プレート1,2や流路プレート3を破損させるなどの問題が生じる。また、最初に治具50’の先端だけが加熱加圧ローラ31’,32’と線接触し部分的に加圧されることなどによって、治具50’の凸部50a’と第1プレート1および/または第2プレート2の流路プレート3と対応する部分と、および、治具50’の凹部50b’と第1プレート1および/または第2プレート2の樹脂フレーム4と対応する部分とがそれぞれずれることとなり、正確な位置を加圧することができず、その結果、均一な厚さのセパレータSを成形することができないという問題が生じる。
【0012】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、セパレータを均一な厚さに精度よく且つ効率よく製造することができる装置と、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の燃料電池のセパレータ製造装置に係る発明は、上記目的を達成するため、第1プレートと第2プレートとの間に、流路プレートと樹脂フレームを配置し熱圧着して、流路プレートを挟持した第1プレートと第2プレートとを樹脂フレームで溶着することにより、内部に流体流路が形成された燃料電池のセパレータを製造するための装置であって、第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚を測定する板厚測定手段と、第1プレートと第2プレートとの間に配置された樹脂フレームを変形可能に加熱する加熱手段と、複数の固定ローラ、および、一体に連結された複数の加圧接合ローラを有し、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを搬送して加圧する加圧手段と、該加圧手段の固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整するローラ間調整手段と、固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスを、前記板厚測定手段により測定された第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚と、樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さとを加えた間隔に調整させるようローラ間調整手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項2の燃料電池のセパレータ製造装置に係る発明は、上記目的を達成するため、第1プレートと第2プレートとの間に、流路プレートと樹脂フレームを配置し熱圧着して、流路プレートを挟持した第1プレートと第2プレートとを樹脂フレームで溶着することにより、内部に流体流路が形成された燃料電池のセパレータを製造するための装置であって、間に流路プレートと樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートの少なくとも一方に重合され、第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の流路プレートと対応する部分を、第1プレートおよび第2プレートと流路プレートとが接合する厚さまで加圧する凸部、および、第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の樹脂フレームと対応する部分を、流路プレートの厚さに樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さを加えた厚さまで加圧する凹部を有する治具と、第1プレートと第2プレートとの間に配置された樹脂フレームを変形可能に加熱する加熱手段と、複数の固定ローラ、および、一体に連結された複数の加圧接合ローラを有し、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを前記治具と重合された状態で搬送して加圧する加圧手段と、該加圧手段の固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整するローラ間調整手段と、加圧手段の固定ローラから加圧接合ローラを退避させた状態で、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを搬送させ、そして、第1プレートと第2プレートの流路プレートを配置された領域が前記加圧接合ローラのうちの搬送方向最上流側の加圧接合ローラと対応する位置に搬送されたときに、間に流路プレートおよび樹脂フレームが配置された第1プレートおよび第2プレートと重合された治具とを加圧させて前記治具の凸部が第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の流路プレートと対応する部分を加圧して第1プレートおよび第2プレートと流路プレートとを接合させると共に、前記治具の凹部が第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の樹脂フレームと対応する部分を加圧して流路プレートの厚さに樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さを加えた厚さに樹脂フレームを成形するように、固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整させるようローラ間調整手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項3の燃料電池のセパレータの製造方法に係る発明は、上記目的を達成するため、第1プレートと第2プレートとの間に、流路プレートと樹脂フレームを配置し熱圧着して、流路プレートを挟持した第1プレートと第2プレートとを樹脂フレームで溶着することにより、内部に流体流路が形成された燃料電池のセパレータを製造する方法であって、第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚を測定する板厚測定手段と、複数の固定ローラ、および、一体に連結された複数の加圧接合ローラを有し、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを搬送して加圧する加圧手段と、該加圧手段の固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整するローラ間調整手段とを用意し、板厚測定手段により第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚を測定し、第1プレートと第2プレートとの間に配置された樹脂フレームを変形可能に加熱し、前記板厚測定手段により測定された第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚と、樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さとを加えた間隔に、固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整させるようローラ間調整手段を駆動し、この状態でさらに加圧手段を駆動させて、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを複数対の固定ローラと加圧接合ローラとの間で搬送し加圧させることを特徴とするものである。
【0016】
請求項4の燃料電池のセパレータの製造方法に係る発明は、上記目的を達成するため、第1プレートと第2プレートとの間に、流路プレートと樹脂フレームを配置し熱圧着して、流路プレートを挟持した第1プレートと第2プレートとを樹脂フレームで溶着することにより、内部に流体流路が形成された燃料電池のセパレータを製造する方法であって、第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の流路プレートと対応する部分を、第1プレートおよび第2プレートと流路プレートとが接合する厚さまで加圧する凸部、および、第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の樹脂フレームと対応する部分を、流路プレートの厚さに樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さを加えた厚さまで加圧する凹部を有する治具と、複数の固定ローラ、および、一体に連結された複数の加圧接合ローラを有し、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを前記治具と重合された状態で搬送して加圧する加圧手段と、該加圧手段の固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整するローラ間調整手段とを用意し、第1プレートと第2プレートとの間に配置された樹脂フレームを変形可能に加熱するとともに、間に流路プレートと樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートの少なくとも一方に治具を重合し、加圧手段の固定ローラから加圧接合ローラを退避させた状態で、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを搬送させ、そして、第1プレートと第2プレートの流路プレートを配置された領域が前記加圧接合ローラのうちの搬送方向最上流側の加圧接合ローラと対応する位置に搬送されたときに、間に流路プレートおよび樹脂フレームが配置された第1プレートおよび第2プレートと重合された治具とを加圧させて前記治具の凸部が第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の流路プレートと対応する部分を加圧して第1プレートおよび第2プレートと流路プレートとを接合させると共に、前記治具の凹部が第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の樹脂フレームと対応する部分を加圧して流路プレートの厚さに樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さを加えた厚さに樹脂フレームを成形するように、固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスをローラ間調整手段によって調整し、この状態でさらに加圧手段を駆動させて、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートおよび第2プレートと治具を複数対の固定ローラと加圧接合ローラとの間で搬送して加圧させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の燃料電池のセパレータ製造装置に係る発明によれば、セパレータを製造するに際して、板厚測定手段により第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚を測定し、その後、加熱手段により第1プレートと第2プレートとの間に配置された樹脂フレームを変形可能に加熱する。また、制御手段は、前記板厚測定手段により測定された第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚と、樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さとを加えた間隔に、複数対の固定ローラと一体に連結された加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整させるようローラ間調整手段を駆動する。この発明では治具を使用しないので加熱時の熱容量を小さくすることができ、したがって、加熱エネルギーが少なくて済むと共に、昇温時間を短くすることができる。また、第1プレートと第2プレートの間に配置され加熱された樹脂フレームが、板厚測定手段により測定された第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚と、樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さとを加えた間隔にクリアランスが調整された複数対の固定ローラと一体に連結された加圧接合ローラとの間を搬送されることにより、溶着時から固化するときに収縮する厚さを加えた厚さに成形されるため、均一な厚さのセパレータを製造することができる。そして、間に流路プレートと加熱された樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートを複数対の固定ローラと一体に連結された加圧接合ローラとの間で搬送するだけで順次複数回加圧することができることから、従来の平面ホットプレスを使用する場合と比較して成形サイクルタイムを短くすることができ、また設備コストを低減させることができ、したがって生産性を向上させることができる。なお、制御手段はさらに、加圧手段の固定ローラから加圧接合ローラを退避させた状態で、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを搬送させ、そして、第1プレートと第2プレートの搬送方向先端が前記加圧接合ローラのうちの搬送方向最上流側の加圧接合ローラ(搬送方向と反対側に位置する加圧接合ローラ)と対応する位置を通過したときに、前記板厚測定手段により測定された第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚と、樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さとを加えた間隔に複数対の固定ローラと一体に連結された加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整させるようローラ間調整手段を制御し、この状態でさらに加圧手段を駆動させて、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを複数対の固定ローラと一体に連結された加圧接合ローラとの間で搬送して順次複数回加圧させるものであることが望ましい。このように、第1プレートと第2プレートの搬送方向先端が前記加圧接合ローラのうちの搬送方向最上流側の加圧接合ローラと対応する位置を通過したときに固定ローラと加圧接合ローラとを近接させて加圧することにより、間に配置された流路プレートと樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートの搬送方向先端が固定ローラと加圧接合ローラに衝突してずれるのを防止することができる。
【0018】
請求項2の燃料電池のセパレータ製造装置に係る発明によれば、間に流路プレートと樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートの少なくとも一方に重合される治具を予め用意しておく。治具には、相対的に凸部と凹部が形成されており、凸部は、第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の流路プレートと対応する部分を第1プレートおよび第2プレートと流路プレートとが接合する厚さまで加圧するものであり、凹部は、第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の樹脂フレームと対応する部分を流路プレートの厚さに樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さを加えた厚さまで加圧するものである。また、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを前記治具と重合された状態で搬送して加圧する加圧手段として、複数の固定ローラ、および、一体に連結された複数の加圧接合ローラを設けておき、さらに、加圧手段の一体に連結された複数の加圧接合ローラを支持して固定ローラに対して近接・遠退移動させることにより加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整するローラ間調整手段を予め設けておく。セパレータを製造するに際しては、加熱手段により第1プレートと第2プレートとの間に配置された樹脂フレームを変形可能に加熱する。また、これと前後して、間に流路プレートと樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートの少なくとも一方に治具を重合する。そして、制御手段は、加圧手段の固定ローラから加圧接合ローラを退避させた状態で、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを加圧手段により搬送させ、そして、第1プレートと第2プレートの流路プレートを配置された領域が前記加圧接合ローラのうちの搬送方向最上流側の加圧接合ローラ(搬送方向と反対側に位置する加圧接合ローラ)と対応する位置に搬送されたときに、ローラ間調整手段を制御して、間に流路プレートおよび樹脂フレームが配置された第1プレートおよび第2プレートと重合された治具とを加圧させて前記治具の凸部が第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の流路プレートと対応する部分を加圧して第1プレートおよび第2プレートと流路プレートとを接合させると共に、前記治具の凹部が第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の樹脂フレームと対応する部分を加圧して流路プレートの厚さに樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さを加えた厚さに樹脂フレームを成形するように、複数対の固定ローラと一体に連結された加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整させ、この状態でさらに間に流路プレートおよび樹脂フレームが配置された第1プレートおよび第2プレートとこれに重合された治具とを搬送させて順次複数回加圧する。このとき、間に流路プレートおよび樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートの少なくと一方の流路プレートと対応する位置が治具の凸部によって加圧され、第1プレートと第2プレートが流路プレートと接合されることとなる。ここで、流路プレートは、加圧されても厚さが変化しない定寸部である。そのため、間に流路プレートおよび樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートの少なくと一方の樹脂フレームと対応する位置は、治具の凹部によって安定して正確な厚さに加圧されて、流路プレートの厚さに樹脂フレームの溶着時から固化するときの収縮量を加えた厚さに樹脂フレームを正確且つ容易に成形する。そのため、樹脂フレームが固化し収縮すると、均一な厚さのセパレータを製造することができる。また、第1プレートと第2プレートの搬送方向先端が前記一体に連結された複数の加圧接合ローラのうちの搬送方向最上流側の加圧接合ローラと対応する位置を通過して、流路プレートと対応する位置が複数対の固定ローラと一体に連結された加圧接合ローラとを近接させることにより加圧されるため、間に配置された流路プレートと樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートの搬送方向先端が固定ローラと加圧接合ローラに衝突してずれるのを防止することができる。そして、間に流路プレートと加熱された樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートを治具と積重して複数対の固定ローラと一体に連結された複数の加圧接合ローラとの間で搬送するだけで順次複数回加圧することができることから、従来の平面ホットプレスを使用する場合と比較して成形サイクルタイムを短くすることができ、また設備コストを低減させることができ、したがって生産性を向上させることができる。
【0019】
請求項3の燃料電池のセパレータ製造方法に係る発明によれば、第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚を測定する板厚測定手段と、複数の固定ローラ、および、一体に連結された複数の加圧接合ローラを有し、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを搬送して加圧する加圧手段と、該加圧手段の複数対の固定ローラと一体に連結された加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整するローラ間調整手段とを予め用意しておく。セパレータを製造するに際しては、板厚測定手段により第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚を測定し、第1プレートと第2プレートとの間に配置された樹脂フレームを変形可能に加熱する。そして、前記板厚測定手段により測定された第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚と、樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さとを加えた間隔に、複数対の固定ローラと一体に連結された加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整させるようローラ間調整手段を駆動し、この状態でさらに加圧手段を駆動させて、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを複数対の固定ローラと一体に連結された加圧接合ローラとの間で搬送し順次複数回加圧させる。この発明では治具を使用しないので加熱時の熱容量を小さくすることができ、したがって、加熱エネルギーが少なくて済むと共に、昇温時間を短くすることができる。また、第1プレートと第2プレートの間に配置され加熱された樹脂フレームが、板厚測定手段により測定された第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚と、樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さとを加えた間隔にクリアランスが調整された複数対の固定ローラと一体に連結された複数の加圧接合ローラとの間を搬送されることにより、溶着時から固化するときに収縮する厚さを加えた厚さに成形されるため、均一な厚さのセパレータを製造することができる。そして、間に流路プレートと加熱された樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートを複数対の固定ローラと一体に連結された加圧接合ローラとの間で搬送するだけで順次複数回加圧することができることから、従来の平面ホットプレスを使用する場合と比較して成形サイクルタイムを短くすることができ、また設備コストを低減させることができ、したがって生産性を向上させることができる。なお、本発明ではさらに、加圧手段の固定ローラから加圧接合ローラを退避させた状態で、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを搬送させ、そして、第1プレートと第2プレートの搬送方向先端が前記一体に連結された複数の加圧接合ローラのうちの搬送方向最上流側の加圧接合ローラ(搬送方向と反対側に位置する加圧接合ローラ)と対応する位置を通過したときに、前記板厚測定手段により測定された第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚と、樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さとを加えた間隔に複数対の固定ローラと一体に連結された加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整させるようローラ間調整手段を制御し、この状態でさらに加圧手段を駆動させて、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを複数対の固定ローラと加圧接合ローラとの間で搬送して順次複数回加圧することが望ましい。このように、第1プレートと第2プレートの搬送方向先端が前記加圧接合ローラのうちの搬送方向最上流側の加圧接合ローラと対応する位置を通過したときに複数対の固定ローラと一体に連結された加圧接合ローラとを近接させて加圧することにより、間に配置された流路プレートと樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートの搬送方向先端が固定ローラと加圧接合ローラに衝突してずれるのを防止することができる。
【0020】
請求項4の燃料電池のセパレータの製造方法に係る発明によれば、間に流路プレートと樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートの少なくとも一方に重合される治具と、複数の固定ローラおよび一体に連結された複数の加圧接合ローラを有する加圧手段と、加圧手段の固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整するローラ間調整手段とを予め用意しておく。治具には、相対的に凸部と凹部が形成されており、凸部は、第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の流路プレートと対応する部分を第1プレートおよび第2プレートと流路プレートとが接合する厚さまで加圧するものであり、凹部は、第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の樹脂フレームと対応する部分を流路プレートの厚さに樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さを加えた厚さまで加圧するものである。また、加圧手段の複数対の固定ローラおよび一体に連結された加圧接合ローラは、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを前記治具と重合された状態で搬送して加圧するものである。さらに、ローラ間調整手段は、加圧手段の一体に連結された複数の加圧接合ローラを支持して複数の固定ローラに対して近接・遠退移動させるものである。セパレータを製造するに際しては、第1プレートと第2プレートとの間に配置された樹脂フレームを変形可能に加熱するとともに、間に流路プレートと樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートの少なくとも一方に治具を重合する。そして、加圧手段の固定ローラから加圧接合ローラを退避させた状態で、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを搬送させ、そして、第1プレートと第2プレートの流路プレートを配置された領域が前記一体に連結された複数の加圧接合ローラのうちの搬送方向最上流側の加圧接合ローラと対応する位置に搬送されたときに、クリアランスをローラ間調整手段によって複数対の固定ローラと一体に連結された加圧接合ローラの間のクリアランスを調整して、間に流路プレートおよび樹脂フレームが配置された第1プレートおよび第2プレートと重合された治具とを加圧させて前記治具の凸部が第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の流路プレートと対応する部分を加圧して第1プレートおよび第2プレートと流路プレートとを接合させると共に、前記治具の凹部が第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の樹脂フレームと対応する部分を加圧して流路プレートの厚さに樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さを加えた厚さに樹脂フレームを成形する。この状態でさらに加圧手段を駆動させて、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートおよび第2プレートと治具を複数対の固定ローラと一体に連結された加圧接合ローラとの間で搬送して順次複数回加圧させる。ここで、流路プレートは、加圧されても厚さが変化しない定寸部である。そのため、間に流路プレートおよび樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートの少なくと一方の樹脂フレームと対応する位置は、治具の凹部によって安定して正確な厚さに加圧されて、流路プレートの厚さに樹脂フレームの溶着時から固化するときの収縮量を加えた厚さに樹脂フレームを正確且つ容易に成形する。そのため、樹脂フレームが固化し収縮すると、均一な厚さのセパレータを製造することができる。また、第1プレートと第2プレートの搬送方向先端が前記一体に連結された複数の加圧接合ローラのうちの搬送方向最上流側の加圧接合ローラ(搬送方向と反対側に位置する加圧接合ローラ)と対応する位置を通過して、流路プレートと対応する位置が固定ローラと加圧接合ローラとを近接させることにより加圧されるため、間に配置された流路プレートと樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートの搬送方向先端が固定ローラと加圧接合ローラに衝突してずれるのを防止することができる。そして、間に流路プレートと加熱された樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートを治具と積重して複数対の固定ローラと一体に連結された加圧接合ローラとの間で搬送するだけで順次複数回で加圧することができることから、従来の平面ホットプレスを使用する場合と比較して成形サイクルタイムを短くすることができ、また設備コストを低減させることができ、したがって生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
最初に、本発明の燃料電池のセパレータを製造するための装置の、第1の実施の形態を、図1〜図6に基づいて詳細に説明する。なお、図において同じ符号は、同様または相当する部分を示すものとする。
本発明の燃料電池のセパレータSの製造装置は、概略、第1プレート1と第2プレート2との間に、流路プレート3と樹脂フレーム4を配置し熱圧着して、流路プレート3を挟持した第1プレート1と第2プレート2とを樹脂フレーム4で溶着することにより、内部に流体流路が形成された燃料電池のセパレータSを製造するためのものであって、第1プレート1と第2プレート2と流路プレート3の合計の板厚T1を測定する板厚測定手段10と、第1プレート1と第2プレート2との間に配置された樹脂フレーム4を変形可能に加熱する加熱手段20と、複数の固定ローラ31、および、一体に連結された複数の加圧接合ローラ32を有し、流路プレート3と加熱された樹脂フレーム4が間に配置された第1プレート1と第2プレート2を搬送して加圧する加圧手段30と、加圧手段30の固定ローラ31と加圧接合ローラ32との間のクリアランスCを調整するローラ間調整手段40と、固定ローラ31と加圧接合ローラ32との間のクリアランスCを、板厚測定手段10により測定された第1プレート1と第2プレート2と流路プレート3の合計の板厚T1と、樹脂フレーム4の溶着時から固化するときに収縮する厚さT2とを加えた間隔に調整させるようローラ間調整手段40を制御する制御手段(後述する)と、を備えている。
【0022】
セパレータ構成部材sのうち、第1プレート1と第2プレート2は、たとえばチタンなどからなる薄板状のものであり、燃料電池の各セルのMEAのカソード側に配置されるカソードプレートとアノード側に配置されるアノードプレートのいずれかをそれぞれ構成する。流路プレ−ト3は、第1プレート1と第2プレート2との間に挟みこまれることによりセパレータSの内部に反応ガスや冷却媒体などの所定の流体を流通させるための流路を形成する溝または長孔などが形成された板状のもので、第1プレート1と第2プレート2よりも小さく成形されている。流路プレート3は、後述する板厚測定手段10の接触子13,14によって加圧される程度では厚さが変化することなく一定の寸法を維持する定寸部である。また、樹脂フレーム4は、中央に流路プレート3を収容するよう窓部4aが形成された枠状の樹脂シート材からなるもので、流路プレート3の厚さよりも厚く成形されている。そして、樹脂フレーム4は、加熱されることにより変形可能となり、第1プレート1と第2プレート2の間に配置されて加熱されると共に加圧(熱圧着)されて溶着した状態から固化または硬化すると、第1プレート1と第2プレート2を接着して一体に保持し、流路プレート3の周囲を取り囲みシールすることができる材質により構成されている。このような材質の樹脂フレーム4では、一般に、変形可能に加熱されたときには膨張し、室温程度に冷却されて固化または硬化するときには収縮する。
【0023】
板厚測定手段10は、所定の高さに固定された回転駆動可能な搬送ローラ11,11間に配設された一対の接触子13,14を有するもので、間に流路プレート3と樹脂フレーム4が配置された第1プレート1と第2プレート2の略中央部(流路プレート3と対応する位置)を両接触子13,14で挟むように押圧することにより、第1プレート1と第2プレート2と流路プレート3の合計の厚さT1を測定する。ここで、流路プレート3は、樹脂フレーム4よりも薄いため、樹脂フレーム4に収容された状態でただ単に第1プレート1と第2プレート2との間に積重された状態(溶着する前の状態)では、図2に示した実施の形態の場合、第2プレート2から離間した状態となっている。しかしながら、第1プレート1と第2プレート2は、上述したように薄板状のものであるため、図3に示すように、両接触子13,14で挟むように押圧することにより弾性的に撓むため、流路プレート3と合わせた厚さT1を測定することができる。板厚測定手段10により測定された第1プレート1と第2プレート2と流路プレート3の合計の板厚T1は、制御手段に出力される。
【0024】
加熱手段20は、板厚測定手段10と加圧手段20の固定ローラ31および加圧接合ローラ32との間に配設された予備加熱手段20Aを含んでいる。予備加熱手段20Aは、板厚測定手段10の搬送ローラ11と略同じ所定の高さに固定された回転駆動可能な搬送ローラ21の上方に配設されて、第1プレート1と第2プレート2の間に挟まれ流路プレート3を窓部4aに収容した状態の樹脂フレーム4を所定の温度に加熱するもので、たとえば誘導加熱(IH)を利用するものやジュール熱による抵抗加熱(IR)を利用するものなどを採用することができる。また、加熱手段20には、予備加熱手段20Aで加熱された樹脂フレーム4の温度を維持し、または、溶着に必要な温度にさらに加熱するために、後述する固定ローラ31と加圧接合ローラ32の内部または周囲に設けられるヒータを含めることができる。
【0025】
加圧手段30の固定ローラ31と加圧接合ローラ32は、互いに対応するよう対で配設されており、図1、図4、および図5に示した実施の形態では3対で構成されている。3個の固定ローラ31は、板厚測定手段10と予備加熱手段20Aの搬送ローラ11,22と略同じ高さに昇降移動不能に配列され固定されており、その軸の周りに制御可能に回転駆動され、積重されたセパレータ構成部材sの搬送と停止を任意に行うことができるよう構成されている。また、3個の加圧接合ローラ32はその回転軸が連結部材33によって一体に同じ高さで連結されており、連結部材33はローラ間調整手段40に支持されている。さらに、連結部材33には、リニアガイド34が設けられており、固定ローラ31の列と加圧接合ローラ32の列とがそれぞれ同じクリアランスCで平行に昇降移動するよう案内される。なお、この実施の形態においては、セパレータ構成部材sを各図の左方から右方に搬送するもとして示したため、図1、図4、図5において最も左方に位置する固定ローラ31と加圧接合ローラ32が搬送方向最上流側となる。
【0026】
ローラ間調整手段40は、サーボモータによって任意の量で伸長・退縮することが可能な作動杆41を備えている。作動杆41の先端に加圧接合ローラ32の連結部材33が接続されている。ローラ間調整手段40の作動杆41を伸長・退縮駆動することにより、3個の加圧接合ローラ33が一体で、固定ローラ31に対して近接・遠退するよう昇降移動され、固定ローラ31と加圧接合ローラ32との間のクリアランスCを調整し維持することができる。
【0027】
制御手段は、セパレータSに使用する樹脂フレーム4の変形可能に加熱された状態から室温程度に冷却されて固化または硬化するときに収縮する厚さT2(図5を参照)が予め記憶されている。そして、制御手段は、この収縮する厚さT2を板厚測定手段10から入力された第1プレート1と第2プレート2と流路プレート3の合計の板厚T1の測定結果に加える演算を行って、任意のタイミングで、その演算結果にしたがって固定ローラ31と加圧接合ローラ32との間のクリアランスCを調整し、また固定ローラ31から加圧接合ローラ32を離間させるようにローラ間調整手段40の駆動を制御する。また、制御手段は、セパレータ構成部材sの位置を検出して、その位置の検出結果に応じて搬送ローラ11,21と固定ローラ31の回転駆動およびその停止を制御することができる。
【0028】
次に、本発明の燃料電池の製造方法の第1の実施の形態を、上述したように構成された装置を使用する場合により、この装置の作動と共に図1〜図6に基づいて説明する。
本発明のセパレータSの製造方法は、概略、第1プレート1と第2プレート2との間に、流路プレート3と樹脂フレーム4を配置し熱圧着して、流路プレート3を挟持した第1プレート1と第2プレート2とを樹脂フレーム4で溶着することにより、内部に流体流路が形成された燃料電池のセパレータSを製造するための方法であって、第1プレート1と第2プレート2と流路プレート3の合計の板厚T1を測定する板厚測定手段10と、第1プレート1と第2プレート2との間に配置された樹脂フレーム4を変形可能に加熱する加熱手段20と、複数の固定ローラ31、および、一体に連結された複数の加圧接合ローラ32を有し、流路プレート3と加熱された樹脂フレーム4が間に配置された第1プレート31と第2プレート32を搬送して加圧する加圧手段30と、加圧手段30の固定ローラ31と加圧接合ローラ32との間のクリアランスCを調整するローラ間調整手段40とを用意し、板厚測定手段10により第1プレート1と第2プレート2と流路プレート3の合計の板厚T1を測定し、第1プレート1と第2プレート2との間に配置された樹脂フレーム4を変形可能に加熱し、板厚測定手段10により測定された第1プレート1と第2プレート2と流路プレート3の合計の板厚T1と、樹脂フレーム4の溶着時から固化するときに収縮する厚さT2とを加えた間隔に、固定ローラ31と加圧接合ローラ32との間のクリアランスCを調整させるようローラ間調整手段40を駆動し、この状態でさらに加圧手段30を駆動させて、流路プレート3と加熱された樹脂フレーム4が間に配置された第1プレート1と第2プレート2を複数対の固定ローラ31と加圧接合ローラ32との間で搬送することにより加圧させるものである。
【0029】
最初に、上述したように構成された装置を予め用意する。そして、セパレータSを製造するに際しては、第1プレート1上に樹脂フレーム4を位置決め載置し、樹脂フレーム4の窓部4a内に流路プレート3を位置決め収容し、その上に第2プレート2を位置決め載置するなどして、図2に示したように、第1プレート1と第2プレート2との間に流路プレート3および樹脂フレーム4が配置されたセパレータ構成部材sとする。そして、このセパレータ構成部材sを搬送ローラ11上に配置して、その略中央が板厚測定手段10の測定子11,11と対応する位置まで搬送する。続いて、測定子11,11を伸長させて第1プレート1と第2プレート2を押圧すると、図3に示したように、第1プレート1と第2プレート2の少なくとも一方が弾性的に撓み、流路プレート3が第1プレート1と第2プレート2に接合することとなる。板厚測定手段10は、このときの測定子11,11の先端間の間隔を第1プレート1と第2プレート2と流路プレート3の合計の板厚T1として測定し、その板厚測定結果を制御手段に出力する。
【0030】
第1プレート1と第2プレート2と流路プレート3の合計の板厚T1の測定が完了したら、測定子13,14が退縮され、搬送ロ−ラ11,21が駆動されて、加熱手段20の予備加熱手段20Aの下を所定の速度で通過させ、または、予備加熱手段20Aの下で所定時間停止させて、第1プレート1と第2プレート2との間に配置された樹脂フレーム4を所定温度に加熱する。なお、樹脂フレーム4を加熱する温度は、その材料特性によって異なり、また、固定ローラ31と加圧接合ローラ32にヒータが設けられている場合には、変形可能な温度まで加熱する必要はなく、変形可能な温度以下に加熱される。
【0031】
樹脂フレーム4が予備加熱手段20Aによって所定温度まで加熱され加圧手段3へと搬出されるまでには、ローラ間調整手段40の作動杆41が退縮されて、その先端に接続された連結部材33に支持されている加圧接合ローラ32は、固定ローラ31から遠退しており(図4に示した実線を参照)、セパレータ構成部材sの搬送経路から上方に退避した状態とされている。そして、図4に示すように、セパレータ構成部材sの搬送方向先端部(図4の右方端面)が搬送方向最上流側の固定ローラ31と加圧接合ローラ32を通過したら、この通過をセンサなどによって検出し、制御手段に出力する。そして、制御手段は、ローラ間調整手段40の作動杆41を伸長駆動して加圧接合ローラ32を固定ローラ31に近接移動させる。このとき、制御手段は、図4に鎖線で示すように、固定ローラ31と加圧接合ローラ32のクリアランスCが、先に測定された第1プレート1、第2プレート2と流路プレート3の合計の板厚T1に、予め設定され記憶された樹脂フレームの所定温度に加熱された状態から室温に冷却されるときの収縮する厚さT2を加えた間隔(長さ)となるように調整する。この固定ローラ31と加圧接合ローラ32のクリアランスCの調整を行うときには、セパレータ構成部材sの搬送を停止させてもよく、また、セパレータ構成部材sを搬送しながらでもよい。
【0032】
セパレータ構成部材sの搬送方向先端部が搬送方向最上流側の固定ローラ31と加圧接合ローラ32を通過してから、固定ローラ31に対して退避していた加圧接合ローラ32のクリアランスCを調整することにより、セパレータ構成部材sは、その搬送方向の中間部が固定ローラ31と加圧接合ローラ32によって搬送されつつ加圧される。そして、最初にセパレータ構成部材sの搬送方向中間部が搬送方向最上流側の固定ローラ31と加圧接合ローラ32によって既に押さえられた状態で、図4および図5における中央と右方の固定ローラ31と加圧接合ローラ32によって搬送方向先端部から順次複数回加圧されて樹脂フレーム4が成形され、全面にわたって第1プレート1、第2プレート2、流路プレート3の合計の板厚T1に樹脂フレーム4の冷却により収縮する厚さT2を加えたクリアランスCと同じ均一な厚さとなる。
【0033】
その後、樹脂フレーム4が室温程度まで冷却されることにより収縮すると、図6に示すように、流路プレート3が第1プレート1と第2プレート2にそれぞれ接し、樹脂フレーム4が第1プレート1と第2プレート2を溶着して流路プレート3の周囲をシールしてなるセパレータSを、全面にわたって安定した均一な厚さで容易に製造することができる。
【0034】
この発明では、特に、図12に示したような治具50,51などを使用する必要がないので、設備コストがかからず、また、樹脂フレーム4を変形可能とすべく加熱するときの熱容量が小さくなるため、加熱エネルギを少なくするとができると共に昇温時間を短くすることができることから、搬送速度を早くすることができるので、生産性を向上させることができる。また、この発明では、各セパレータ構成部材sの第1プレート1と第2プレート2と流路プレート3の合計の板厚T1を測定して、その測定結果に基づいて固定ローラ31と加圧接合ローラ32の間のクリアランスCを設定し調整するため、第1プレート1と第2プレート2と流路プレート3の板厚にバラツキがある場合であっても、精度よく第1プレート1と第2プレート2と流路プレート3の合計の板厚T1に樹脂フレーム4の冷却に伴う厚さ方向の収縮量T2を加えた所定の厚さに樹脂フレーム4を安定して確実に成形することができる。
【0035】
次に、本発明の燃料電池のセパレータSを製造するための装置の、第2の実施の形態を、図7〜図9に基づいて詳細に説明する。なお、上述した第1の実施の形態と同様または相当する部分については同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明することとする。
本発明の燃料電池のセパレータSの製造装置は、概略、第1プレート1と第2プレート2との間に、流路プレート3と樹脂フレーム4を配置し熱圧着して、流路プレート3を挟持した第1プレート1と第2プレート2とを樹脂フレーム4で溶着することにより、内部に流体流路が形成された燃料電池のセパレータSを製造するためのものであって、間に流路プレート3と樹脂フレーム4が配置された第1プレート1と第2プレート2の少なくとも一方に重合され、第1プレート1および第2プレート2の少なくとも一方の流路プレート3と対応する部分を、第1プレート1および第2プレート2と流路プレート3とが接合する厚さまで加圧する凸部50a、および、第1プレート1および第2プレート2の少なくとも一方の樹脂フレーム4と対応する部分を、流路プレート3の厚さT3に樹脂フレーム4の溶着時から固化するときに収縮する厚さT2を加えた厚さT4まで加圧する凹部50bを有する治具50と、第1プレート1と第2プレート2との間に配置された樹脂フレーム4を変形可能に加熱する加熱手段20と、複数の固定ローラ31、および、一体に連結された複数の加圧接合ローラ32を有し、流路プレート3と加熱された樹脂フレーム4が間に配置された第1プレート1と第2プレート2を前記治具31と重合された状態で搬送して加圧する加圧手段30と、加圧手段30の固定ローラ31と加圧接合ローラ32との間のクリアランスCを調整するローラ間調整手段40と、加圧手段30の固定ローラ31から加圧接合ローラ32を退避させた状態で、流路プレート3と加熱された樹脂フレーム4が間に配置された第1プレート1と第2プレート2を搬送させ、そして、第1プレート1と第2プレート2の流路プレート3を配置された領域Rが前記加圧接合ローラ32のうちの搬送方向最上流側の加圧接合ローラ32と対応する位置Pに搬送されたときに、間に流路プレート3および樹脂フレーム4が配置された第1プレート1および第2プレート2と重合された治具50とを加圧させて前記治具50の凸部50aが第1プレート1および第2プレート2の少なくとも一方の流路プレート3と対応する部分を加圧して第1プレート1および第2プレート2と流路プレート3とを接合させると共に、前記治具50の凹部50bが第1プレート1および第2プレート2の少なくとも一方の樹脂フレーム3と対応する部分の領域Rを加圧して流路プレート3の厚さT3に樹脂フレーム4の溶着時から固化するときに収縮する厚さT2を加えた厚さT4に樹脂フレーム4を成形するように、固定ローラ31と加圧接合ローラ32との間のクリアランスCを調整させるようローラ間調整手段40を制御する制御手段と、を備えている。
【0036】
図7〜図9に示した実施の形態における治具50は、平板状の第1治具51と、凸部と凹部を有する第2治具52とにより構成されている。第2治具52の一方の面には、相対的に凸部50aと凹部50bが形成されている。第2治具52の凹部50bは、第1プレート1と第2プレート2よりも大きい面積を有しており、その略中央に凸部50aが形成されている。図7〜図9に示した第2治具52の凸部50aは、流路プレート3と略同じ大きさの面積を有しており、後述するように固定ローラ31と加圧接合ローラ32との間でセパレータ構成部材sが加圧されたときに、重合された第2プレート2の流路プレート3と対応する部分の領域Rを押圧して流路プレート3と第1プレート1および第2プレート2とを接合させ、且つ、凹部50bが第1プレート1と第2プレート2の樹脂フレーム4と対応する部分の領域Rを、流路プレート3の厚さT3に樹脂フレーム4の溶着時から固化するときに収縮する厚さT2を加えた厚さT4まで押圧するように、凹部50bから相対的に突出させて形成されている。なお、図7〜図9に示した実施の形態では、第2プレート2上に凸部50aと凹部50bとを有する第2治具52を積重し、セパレータ構成部材sを平板状の第1治具51上に配置するものであったが、本発明はこの実施の形態に限定されることはなく、図10に示すように、第1治具53と第2治具54の双方が凸部50cと凹部50dとを有しており、凹部50dに対して凸部50cが図7〜図9に示した第2治具52における凸部50aの略半分の厚さだけ突出するように成形されたものとすることもできる。
【0037】
なお、制御手段が行う制御内容については、本発明のセパレータの製造方法の第2の実施の形態(後述する)で併せて説明する。
【0038】
次に、本発明のセパレータの製造方法の第2の実施の形態を、上述した第2の実施の形態における製造装置を使用する場合により、その作動と共に図7〜図9に基づいて説明する。
本発明のセパレータの製造方法方は、概略、第1プレート1と第2プレート2との間に、流路プレート3と樹脂フレーム4を配置し熱圧着して、流路プレート3を挟持した第1プレート1と第2プレート2とを樹脂フレーム4で溶着することにより、内部に流体流路が形成された燃料電池のセパレータSを製造するものであって、第1プレート1および第2プレート2の少なくとも一方の流路プレート3と対応する部分を、第1プレート1および第2プレート2と流路プレート3とが接合する厚さまで加圧する凸部50a、並びに、第1プレート1および第2プレート2の少なくとも一方の樹脂フレーム4と対応する部分を、流路プレート3の厚さT3に樹脂フレーム4の溶着時から固化するときに収縮する厚さT2を加えた厚さT4まで加圧する凹部50bを有する治具50と、複数の固定ローラ31、および、一体に連結された複数の加圧接合ローラ32を有し、流路プレート3と加熱された樹脂フレーム4が間に配置された第1プレート1と第2プレート2を前記治具50と重合された状態で搬送して加圧する加圧手段30と、該加圧手段30の固定ローラ31と加圧接合ローラ32との間のクリアランスを調整するローラ間調整手段40とを用意し、第1プレート1と第2プレート2との間に配置された樹脂フレーム4を変形可能に加熱するとともに、間に流路プレート3と樹脂フレーム4が配置された第1プレート1と第2プレート2の少なくとも一方に治具50を重合し、加圧手段30の固定ローラ31から加圧接合ローラ32を退避させた状態で、流路プレート3と加熱された樹脂フレーム4が間に配置された第1プレート1と第2プレート2を搬送させ、そして、第1プレート1と第2プレート2の流路プレート3と対応する領域Rが搬送方向最上流側の加圧接合ローラ32と対応する位置Pに搬送されたときに、間に流路プレート3および樹脂フレーム4が配置された第1プレート1および第2プレート2と重合された治具50とを加圧させて治具50の凸部50aが第1プレート1および第2プレート2の少なくとも一方の流路プレート3と対応する部分を加圧して第1プレート1および第2プレート2と流路プレート3とを接合させると共に、治具50の凹部50bが第1プレート1および第2プレート2の少なくとも一方の樹脂フレーム4と対応する部分を加圧して流路プレート3の厚さT3に樹脂フレーム4の溶着時から固化するときに収縮する厚さT2を加えた厚さT4に樹脂フレーム4を成形するように、固定ローラ31と加圧接合ローラ32との間のクリアランスCをローラ間調整手段40によって調整し、この状態でさらに加圧手段30を駆動させて、流路プレート3と加熱された樹脂フレーム4が間に配置された第1プレート1および第2プレート2と治具50を複数対の固定ローラ31と加圧接合ローラ32との間で搬送して加圧させるものである。
【0039】
最初に、上述したように構成された装置を予め用意する。そして、セパレータSを製造するに際しては、第1治具51上に第1プレート1を位置決め載置し、第1プレート1上に樹脂フレーム4を位置決め載置し、樹脂フレーム4の窓部4a内に流路プレート3を位置決め収容し、その上に第2プレート2を位置決め載置し、第2プレート2上に第2治具52の凸部50aが接するように第2治具52を位置決め載置するなどして、図7に示したように、第1プレート1と第2プレート2との間に流路プレート3および樹脂フレーム4が配置されたセパレータ構成部材sを、第1治具51と第2治具52との間に挟みこむように積重する。そして、このセパレータ構成部材sが重合された第1治具51と第2治具52を搬送ローラ11,11上に配置して、搬送ローラ11,11を回転駆動することにより、加熱手段20の予備加熱手段20Aの下を所定の速度で通過させ、または、予備加熱手段20Aの下で所定時間停止させて、第1プレート1と第2プレート2との間に配置された樹脂フレーム4を所定温度に加熱する。
【0040】
樹脂フレーム4が予備加熱手段20Aによって所定温度まで加熱され搬出されるまでには、ローラ間調整手段40の作動杆41が退縮されて、その先端に接続された連結部材33に支持されている加圧接合ローラ32は、図8に示すように、固定ローラ31から遠退しており、セパレータ構成部材sの搬送経路の上方に退避した状態とされている。そして、第2プレート2の流路プレート3と対応する領域R(第2治具52の凸部50aと対応する領域ということもできる)が搬送方向最上流側の固定ローラ31と加圧接合ローラ32と対応する位置(図8の矢印の位置Pを参照)に搬送されたら、この位置Pへの搬送をセンサなどによって検出し、制御手段に出力するる。そして、制御手段は、ローラ間調整手段40の作動杆41を伸長駆動して加圧接合ローラ32を固定ローラ31に近接移動させる。このとき、制御手段は、図9に示すように、固定ローラ31と加圧接合ローラ32のクリアランスCが、第2治具52に形成された凸部50aによって第2プレート2の流路プレート3と対応する部分の領域Rを加圧して、第2プレート2が流路プレート3と接合するよう調整する。そして、この状態のとき、第2治具52の凹部50bは、図7にtで示したように、凸部50aに対して相対的に所定の高さで凹設されているため、第2プレート2の樹脂フレーム4と対応する部分を、流路プレート3の厚さT3に樹脂フレーム4の溶着時から固化するときに収縮する厚さT2を加えた厚さT4まで加圧することとなる。
【0041】
このクリアランスCを維持した状態で固定ローラ31と加圧接合ローラ32を回転駆動してセパレータ構成部材sを挟み込んだ第1および第2治具51,52を搬送することにより加圧する。ここで、流路プレート3は、第2治具52の凸部50aによって加圧されてもその厚さが変化しない定寸部である。したがって、第2プレート2の樹脂フレーム4と対応する部分を第2治具52の凸部50aが第2プレート2の流路プレート3と対応する部分によって位置決めされることとなり、その凹部50bは、流路プレート3の厚さT3に樹脂フレーム4の溶着時から固化するときの収縮する厚さT2を加えた厚さT4に樹脂フレーム4を成形するように、第2プレート2の樹脂フレーム4と対応する部分を精度よく且つ容易に加圧することができる。そのため、第2治具52の凹部50bは、樹脂フレーム4が、流路プレート3の厚さT3に樹脂フレーム4の固化に伴い収縮する厚さT2を加えた厚さT4に安定して正確に成形される。そして、最初に第2治具52の凸部50aが搬送方向最上流側の固定ローラ31と加圧接合ローラ32によって既に押さえられた状態で、図に9おける中央と右方の固定ローラ31と加圧接合ローラ52によって搬送方向先端部から順次複数回加圧されて樹脂フレーム4を略全面にわたって均一な厚さT4で成形することとなり、しかも、第2治具52が従来の技術のように(図12の右方を参照)加圧接合ローラ32に衝突して傾いたりずれたりするなどを防止することができる。
【0042】
その後、樹脂フレーム4が室温程度まで冷却されることにより収縮すると、図6に示したように、流路プレート3が第1プレート1と第2プレート2にそれぞれ接し、樹脂フレーム4が第1プレート1と第2プレート2を溶着して流路プレート3の周囲をシールしてなるセパレータSを、全面にわたって安定した均一な厚さで容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明のセパレータ製造装置の第1の実施の形態を示す概念図である。
【図2】セパレータ構成部材を単に積重した状態を示す断面図である。
【図3】板厚測定手段によって第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚を測定する状態を示す説明図である。
【図4】加圧手段の固定ローラに対して加圧接合ローラを退避させた状態から、所定のクリアランスに調整して加圧する状態を示す説明図である。
【図5】図4の状態から固定ローラと加圧接合ローラとの間でセパレータ構成部材を搬送して樹脂フレームを所定の厚さに成形した状態を示す説明図である。
【図6】図5の状態から樹脂フレームが冷却されて収縮し、流路プレートと同じ厚さとなったセパレータを示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を説明するために、治具の間にセパレータ構成部材を積重した状態を示す断面図である。
【図8】図7に示した治具とセパレータ構成部材を加圧手段の固定ローラと加圧接合ローラとの間に搬送した状態を示す説明図である。
【図9】図8の状態から固定ローラと加圧接合ローラとを所定のクリアランスに調整して搬送することにより第2プレートの流路プレートが対応する部分と樹脂フレームが対応する部分をそれぞれ治具の凸部と凹部により所定の形状に成形した状態を説明するために示した断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態の変形例を示すもので、第1治具と第2治具の双方に凸部と凹部を形成した場合を示す断面図である。
【図11】一般的な三層構造のセパレータの構成部材を説明するために示した斜視図である。
【図12】セパレータ構成部材に治具を積重して従来の加圧接合ローラ間に搬送し、治具が加圧接合ローラに衝突して傾斜した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0044】
S:セパレータ、 s:セパレータ構成部材、 1:第1プレート、 2:第2プレート、 3:流路プレート、 4:樹脂フレーム、 10:板厚測定手段、 20:加熱手段、 30:加圧手段、 31:固定ローラ、 32:加圧接合ローラ、 33:連結部材、 40:ローラ間調整手段、 50:治具、 50a:凸部、 50b:凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プレートと第2プレートとの間に、流路プレートと樹脂フレームを配置し熱圧着して、流路プレートを挟持した第1プレートと第2プレートとを樹脂フレームで溶着することにより、内部に流体流路が形成された燃料電池のセパレータを製造するための装置であって、
第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚を測定する板厚測定手段と、
第1プレートと第2プレートとの間に配置された樹脂フレームを変形可能に加熱する加熱手段と、
複数の固定ローラ、および、一体に連結された複数の加圧接合ローラを有し、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを搬送して加圧する加圧手段と、
該加圧手段の固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整するローラ間調整手段と、
固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスを、前記板厚測定手段により測定された第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚と、樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さとを加えた間隔に調整させるようローラ間調整手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする燃料電池のセパレータ製造装置。
【請求項2】
第1プレートと第2プレートとの間に、流路プレートと樹脂フレームを配置し熱圧着して、流路プレートを挟持した第1プレートと第2プレートとを樹脂フレームで溶着することにより、内部に流体流路が形成された燃料電池のセパレータを製造するための装置であって、
間に流路プレートと樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートの少なくとも一方に重合され、第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の流路プレートと対応する部分を、第1プレートおよび第2プレートと流路プレートとが接合する厚さまで加圧する凸部、および、第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の樹脂フレームと対応する部分を、流路プレートの厚さに樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さを加えた厚さまで加圧する凹部を有する治具と、
第1プレートと第2プレートとの間に配置された樹脂フレームを変形可能に加熱する加熱手段と、
複数の固定ローラ、および、一体に連結された複数の加圧接合ローラを有し、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを前記治具と重合された状態で搬送して加圧する加圧手段と、
該加圧手段の固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整するローラ間調整手段と、
加圧手段の固定ローラから加圧接合ローラを退避させた状態で、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを搬送させ、そして、第1プレートと第2プレートの流路プレートを配置された領域が前記加圧接合ローラのうちの搬送方向最上流側の加圧接合ローラと対応する位置に搬送されたときに、間に流路プレートおよび樹脂フレームが配置された第1プレートおよび第2プレートと重合された治具とを加圧させて前記治具の凸部が第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の流路プレートと対応する部分を加圧して第1プレートおよび第2プレートと流路プレートとを接合させると共に、前記治具の凹部が第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の樹脂フレームと対応する部分を加圧して流路プレートの厚さに樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さを加えた厚さに樹脂フレームを成形するように、固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整させるようローラ間調整手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする燃料電池のセパレータ製造装置。
【請求項3】
第1プレートと第2プレートとの間に、流路プレートと樹脂フレームを配置し熱圧着して、流路プレートを挟持した第1プレートと第2プレートとを樹脂フレームで溶着することにより、内部に流体流路が形成された燃料電池のセパレータを製造する方法であって、
第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚を測定する板厚測定手段と、複数の固定ローラ、および、一体に連結された複数の加圧接合ローラを有し、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを搬送して加圧する加圧手段と、該加圧手段の固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整するローラ間調整手段とを用意し、
板厚測定手段により第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚を測定し、
第1プレートと第2プレートとの間に配置された樹脂フレームを変形可能に加熱し、
前記板厚測定手段により測定された第1プレートと第2プレートと流路プレートの合計の板厚と、樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さとを加えた間隔に、固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整させるようローラ間調整手段を駆動し、この状態でさらに加圧手段を駆動させて、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを複数対の固定ローラと加圧接合ローラとの間で搬送し加圧させることを特徴とする燃料電池のセパレータの製造方法。
【請求項4】
第1プレートと第2プレートとの間に、流路プレートと樹脂フレームを配置し熱圧着して、流路プレートを挟持した第1プレートと第2プレートとを樹脂フレームで溶着することにより、内部に流体流路が形成された燃料電池のセパレータを製造する方法であって、
第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の流路プレートと対応する部分を、第1プレートおよび第2プレートと流路プレートとが接合する厚さまで加圧する凸部、および、第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の樹脂フレームと対応する部分を、流路プレートの厚さに樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さを加えた厚さまで加圧する凹部を有する治具と、複数の固定ローラ、および、一体に連結された複数の加圧接合ローラを有し、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを前記治具と重合された状態で搬送して加圧する加圧手段と、該加圧手段の固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスを調整するローラ間調整手段とを用意し、
第1プレートと第2プレートとの間に配置された樹脂フレームを変形可能に加熱するとともに、間に流路プレートと樹脂フレームが配置された第1プレートと第2プレートの少なくとも一方に治具を重合し、
加圧手段の固定ローラから加圧接合ローラを退避させた状態で、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートと第2プレートを搬送させ、そして、第1プレートと第2プレートの流路プレートを配置された領域が前記加圧接合ローラのうちの搬送方向最上流側の加圧接合ローラと対応する位置に搬送されたときに、間に流路プレートおよび樹脂フレームが配置された第1プレートおよび第2プレートと重合された治具とを加圧させて前記治具の凸部が第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の流路プレートと対応する部分を加圧して第1プレートおよび第2プレートと流路プレートとを接合させると共に、前記治具の凹部が第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方の樹脂フレームと対応する部分を加圧して流路プレートの厚さに樹脂フレームの溶着時から固化するときに収縮する厚さを加えた厚さに樹脂フレームを成形するように、固定ローラと加圧接合ローラとの間のクリアランスをローラ間調整手段によって調整し、この状態でさらに加圧手段を駆動させて、流路プレートと加熱された樹脂フレームが間に配置された第1プレートおよび第2プレートと治具を複数対の固定ローラと加圧接合ローラとの間で搬送して加圧させることを特徴とする燃料電池のセパレータの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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