燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置、その搬送方法、および燃料電池の複数のセルを構成する連続したシート
【課題】簡単な構成で、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートに弛みを発生させることなく、確実に搬送することができる燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置と、その搬送方法を提供する。
【解決手段】本発明の装置は、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシート1を送り出すためのものであって、連続したシート1の両側縁に搬送穴11を形成する搬送穴形成手段30と、連続したシート1を中抜きして窓12を形成する中抜き手段40と、連続したシートの両側縁に形成された搬送穴に係合可能な突起を有する送り出しローラ50、60と、この送り出しローラの回転と同期して駆動されシートの搬送穴の周囲を送り出しローラの突起の周囲に押し付け拘束する拘束手段70とを有している。そして、拘束手段70が、送り出しローラ50,60の周面に面接合するベルト71を含んでいる。
【解決手段】本発明の装置は、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシート1を送り出すためのものであって、連続したシート1の両側縁に搬送穴11を形成する搬送穴形成手段30と、連続したシート1を中抜きして窓12を形成する中抜き手段40と、連続したシートの両側縁に形成された搬送穴に係合可能な突起を有する送り出しローラ50、60と、この送り出しローラの回転と同期して駆動されシートの搬送穴の周囲を送り出しローラの突起の周囲に押し付け拘束する拘束手段70とを有している。そして、拘束手段70が、送り出しローラ50,60の周面に面接合するベルト71を含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置、その搬送方法、および燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートに関し、さらに詳しくは、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートを送り出す搬送装置、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートを送り出し搬送する方法、および送り出しローラに設けられた突起と係合される搬送穴が側縁に形成された、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃料電池は、複数のセルを積層することにより構成されている。各セルは、燃料電池構成部品とセパレータとにより構成され、燃料電池構成部品は、図7および図8に参照されるように、電解質膜2の両面に電極層3をそれぞれ設けてなるMEA(Membrane Electrode Assembly:膜−電極アセンブリ)と、MEAの両面にそれぞれ配置されたガス拡散層4と、ガス拡散層4へガスをそれぞれ流通させる多孔質体を含んでいる。電解質膜2と電極層3が積層されてなるMEAとその両側に配置されたガス拡散層4とにより構成される部品は、一般にMEGAと呼ばれる。
【0003】
ところで、電解質膜2は非常に薄く、また、ガス拡散層4はカーボンなどからなる多孔質シートやメッシュ状シートなどより構成されており、たとえばガス拡散層4によって電解質膜2が破られると、そのセルが短絡し所定の発電性能を得ることができなくなる。そこで、図7および図8に示したように、電解質膜2の電極層3が形成されない端縁に保護フィルム1を積層したものが知られている。また、燃料電池によっては、各セルのMEAの周囲にガスケットを一体成形するものがあり、そのガスケットの成形用金型内にインサートされた電解質膜2の端部を保持するために、電解質膜2の端部を補強フィルム(以下、補強フィルムも含めて保護フィルムと称する)によって挟持することも知られている。保護フィルム1は、電解質膜2と略同じ大きさを有しており、電解質膜2の電解層3が形成される部分を中抜きすることにより窓12が形成された、枠状に形成されている。
【0004】
このような燃料電池構成部品を製造するために、一般に、保護フィルム1は、連続した帯状に形成され、ロール状に巻かれており、図9に示すように、送り出しローラ50’とロータリカッタ40’の間で送り出されると共に中抜きされ、一対の加熱プレスロール60’、61’の間を電解質膜2と共に送られることによって積層され、その後、保護フィルム1が中抜きされ窓12が形成されていることにより電解質膜2が露出している部分に電極層3の素材を塗布し、セルの大きさに応じて切断され分離される。すなわち、保護フィルム1は、電解質膜2の電極層3が形成されない端縁に積層されるものである場合にも、ガスケットの成形用金型内にインサートされた電解質膜の端部を保持するためのものである場合にも、燃料電池構成部品として燃料電池のセルに組み込まれる。
【0005】
また、電解質膜を保護シートと共にリールにロール状に巻かれて投入するものが知られている(たとえば特許文献1)。特許文献1には、保護シートと共にリールにロール状に巻かれた電解質膜を、ロール状態から巻戻して巻端から保護シート共に送り出すようにした、電解質膜および固体高分子膜型燃料電池セルの製造方法が開示されている。
【0006】
そして、特許文献1には、保護シートと共にシート状に展開して燃料電池セルの製造装置に供給する電解質膜であり、電解質膜の少なくとも一方の縁部分に搬送ローラの送り突起に順次係合する搬送穴と、所定の間隔をもって設けられ、触媒層、ガス拡散層、セパレータの少なくとも一つを電解質膜に接合させる際の位置決め用の位置決めマークと、を備えることを特徴とする電解質膜が開示されている。
【0007】
また、特許文献1には、保護シートと共にシート状に展開して燃料電池セルの製造装置に供給する電解質膜の少なくとも一方の縁部分に搬送ローラの送り突起に順次係合する搬送穴を設け且つ所定の間隔をもって位置決めマークを配置し、前記位置決めマークおよび/または搬送穴を基準として、触媒層、ガス拡散層、若しくは、セパレータのいずれかを電解質膜に位置決めして接合させることを特徴とする燃料電池セルの製造方法が開示されている。
【0008】
そして、特許文献1には、「 前記MEA搬送装置2で用いられるMEAフィルム1(電解質膜)は、その第1実施例を図3に示すように、所定の処理が施されて保護シート8と共にリール9にロール状に巻かれて投入されるものであり、ロール状態から巻戻して巻端からMEAフィルム1を保護シート8と共に送出すようにしている。MEAフィルム1には、その両側に搬送穴10が配列されており、この搬送穴10に搬送ローラ外周に設けた送り突起を順次係合させ、搬送ローラ同士を同期して回転させることで、MEAフィルム1の膜面をたるむことなく搬送することができる。」などと記載されている(0011)。
【0009】
さらに特許文献1には、その図4に示された第2実施例の場合に「 前記MEAフィルム1は、燃料電池セルとして組立完了時に分離される中央部分に貼付いた保護シート8Aのみが剥がされ回収され、搬送穴10を備える縁部分に貼付いた保護シート8Bは剥がされることなく、MEA搬送装置2により燃料電池セルの製造装置に供給するようにした。このように、搬送穴10を備える縁部分に貼付いた保護シート8BをMEAフィルム1上に残すことにより、搬送時にMEAフィルム1に加えられる負荷により搬送穴10が破損するのを防止することができる。また、搬送されるMEAフィルム1の伸びを防止することができ、MEAフィルム1の位置決め精度を向上できる。」などと記載されている(0016)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−183182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の技術のうち、図9に示したものの場合には、中抜きされた保護フィルム1は、送り出しローラ50’およびロータリカッタ40’と加熱プレスロール60’,61’との間で送り出されるときに、テンションがかかることにより、図10に示すように、中抜きされ窓12が形成された部分の側縁が幅方向内側に変位したり、また、図11に示すように、保護フィルム1が搬送されるのに伴って、その中抜きされていない窓12と窓12の間の部分が幅方向に縮小するよう弛む傾向にある。このような状態のシートを保護フィルム1として電解質膜2と積層する場合には、シワが発生したり、保護フィルム1がガス拡散層4から電解質膜2を保護できるように拡がらないなどの問題が発生することとなる。
【0012】
また、上記従来の技術のうち、特許文献1にあっては、その図3に示されたものの場合、MEAフィルムには、触媒層が既に形成されており(図3に破線で示された符号12を参照)、MEAフィルムの全面にわたって保護フィルムが貼り付けられたものであった。そして、特許文献1には、「 なお、供給される電解質膜に触媒12がコーティングされていないMEAフィルムの場合には、ガス拡散層6を電解質膜に接合する前段階において、前記位置決めマーク11に対応して触媒をコーティングして電解質膜上に触媒層12を形成する。若しくは、ガス拡散層6の表面に触媒層を形成し、ガス拡散層6の電解質膜1への接合時に、前記位置決めマーク11に対応して触媒層を電解質膜1に接触させて接合するようにする。」などと記載されている(0014)。また、その図4に示されたものの場合、「電解質膜1は、燃料電池セルとして組立完了時に分離される中央部分8Aと搬送ローラに係合する搬送穴10を備える縁部分8Bとに分割して貼付けるようにしたものである。」などと記載されており(0015)、図3の場合と同様に、MEAフィルムの触媒層が既に形成されている部分(図4に破線で示された符号12を参照)に全面にわたって保護フィルムが貼り付けられたものであった。すなわち、特許文献1は、いずれの場合にも、中抜きされた保護フィルムをMEAフィルムに積層して、その保護フィルムが中抜きされた部分に電解層を形成するものではなく、したがって、電解質膜の電極層が形成されない端縁を全周にわたって保護したり、ガスケットの成形用金型内で電解質膜の端部を保持することができるものではなかった。
【0013】
さらに、特許文献1にあっては、MEAフィルム(すなわち、電解質膜)の両側に配列された搬送穴に搬送ローラ外周に設けた送り突起を単に係合させるものであったため、実際には薄いMEAフィルムと保護フィルムの搬送穴の周囲が搬送ローラの突起に係合され搬送されることにより変形し、搬送ローラの突起から搬送穴の周囲が浮き上がり、MEAフィルムと保護フィルムを確実に搬送することが困難となる場合があるという問題があった。
【0014】
さらにまた、特許文献1にあっては、「MEAフィルム1(電解質膜)は、・・・所定の処理が施されて保護シート8と共にリール9にロール状に巻かれて投入されるものであり、」と記載されているが(0011)、どのような処理が施されて保護シートと共にリールにロール状に巻かれているのかは記載されていない。さらに特許文献1にあっては、ロール状態からMEAフィルムと共に巻戻された保護フィルムは、セルの構成部品として組み込まれることなく、回収リールに巻き取られ回収されるものであった(0026)。そのため、特許文献1にあっては、その図4に示された第2実施例の場合に、搬送穴10を備える縁部分に貼付いた保護シート8BをMEAフィルム1上に残すことにより、搬送時にMEAフィルム1に加えられる負荷により搬送穴10が破損するのを防止することができ、また、搬送されるMEAフィルム1の長手方向の伸びを防止することができたとしても、幅方向の弛みを防止することはできなかった。
【0015】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートが、たとえ中抜きされた保護フィルムのようなものである場合であっても、簡単な構成で、弛みを発生させることなく、確実に搬送することができる燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置と、その搬送方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートが、たとえ中抜きされた保護フィルムのようなものである場合であっても、簡単な構成で、弛みが発生することなく、確実に搬送することができ、しかも、安価なコストで製造することができる構造の燃料電池のセルを構成する連続したシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置に係る発明は、上記目的を達成するため、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートを送り出す搬送装置であって、前記シートの側縁に形成された搬送穴に係合可能な突起を有する送り出しローラと、前記シートの搬送穴の周囲を前記送り出しローラの突起の周囲に押し付け拘束する拘束手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項5の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送方法に係る発明は、上記目的を達成するため、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートを送り出し搬送する方法であって、前記シートの側縁に形成された搬送穴に送り出しローラに設けられた突起を係合し、該送り出しローラの突起の周囲に前記シートの搬送穴の周囲を押し付け拘束しつつ、前記送り出しローラを回転駆動することを特徴とするものである。
さらに、請求項8の燃料電池のセルを構成する連続したシートに係る発明は、上記目的を達成するため、送り出しローラに設けられた突起と係合される搬送穴が側縁に形成された、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートであって、連続したシートの搬送穴を形成される側縁が幅方向に折り重ねられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートの両側縁に形成された搬送穴に送り出しローラの突起を係合し、送り出しローラを駆動して、連続したシートを送り出し搬送する。このとき、拘束手段により連続したシートの搬送穴の周囲が送り出しローラの突起の周囲に押し付け拘束されるため、連続したシートが薄く剛性がない場合や中抜きされたものである場合であっても変形することなく、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に連続したシートを送り出し搬送することができる。
請求項5の発明によれば、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートの両側縁に形成された搬送穴に送り出しローラに設けられた突起を係合し、送り出しローラの突起の周囲にシートの搬送穴の周囲を押し付け拘束しつつ、送り出しローラを回転駆動することにより、連続したシートが薄く剛性がない場合や中抜きされたものである場合であっても変形することなく、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に連続したシートを送り出し搬送することができる。
請求項8の発明によれば、連続したシートの搬送穴を形成される側縁が幅方向に複数折り重ねられていることにより、連続したシートの搬送穴を形成する部分の厚さが増すこととなり、剛性が向上して送り出しローラの突起に係合されたときの変形を防止することができ、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に送り出し搬送することが可能な構成とすることができる。
【0018】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(4)項が請求項2に相当し、(5)項が請求項3に相当し、(6)項が請求項4に相当し、(7)項が請求項5に相当し、(10)項が請求項6に相当し、(12)項が請求項7に相当し、(13)項が請求項8に相当し、(16)項が請求項9に相当する。
【0019】
(1) 燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートを送り出す搬送装置であって、
前記シートの側縁に形成された搬送穴に係合可能な突起を有する送り出しローラと、
前記シートの搬送穴の周囲を前記送り出しローラの突起の周囲に押し付け拘束する拘束手段とを有することを特徴とする燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【0020】
(1)項の発明では、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートの両側縁に形成された搬送穴に送り出しローラの突起を係合し、拘束手段により連続したシートの搬送穴の周囲を送り出しローラの突起の周囲に押し付け拘束した状態で、送り出しローラを駆動することにより、連続したシートが薄く剛性がない場合であっても変形することなく、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に連続したシートを送り出し搬送することができる。
【0021】
(2) 拘束手段が、前記送り出しローラの周面に面接合するベルトを含むことを特徴とする(1)項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【0022】
(2)項の発明では、(1)項に記載の発明において、拘束手段が、前記送り出しローラの周面に連続したシートを介して面接合するベルトを含むことにより、連続したシートの搬送穴の周囲を送り出しローラの突起の周囲に所定の長さにわたって確実に押し付け拘束することができる。
【0023】
(3) 連続したシートの搬送穴が形成される側縁を幅方向に折り重ねる折り重ね手段を備えていることを特徴とする(1)または(2)項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【0024】
(3)項の発明では、(1)または(2)項に記載の発明において、折り重ね手段によって連続したシートの搬送穴を形成される側縁を幅方向に複数折り重ねるため、連続したシートの搬送穴を形成する部分の厚さを増加させて剛性を向上させることができるため、送り出しローラの突起に係合されたときの変形を防止することができ、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に送り出し搬送することができる。
【0025】
(4) シートの折り重ねられた部分を互いに接合する接合手段を含むことを特徴とする(3)項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【0026】
(4)項の発明では、(3)項に記載の発明において、接合手段によってシートの折り重ねられた部分を互いに接合することにより、確実に連続したシートの搬送穴を形成する部分の厚さを増加させて剛性を向上させ、また、搬送穴のズレを防止して、送り出しローラの突起に係合されたときの変形を防止して、適切に送り出し搬送することができる。
【0027】
(5) 連続したシートの搬送穴を形成する搬送穴形成手段を有しており、該搬送穴形成手段は、一部を残して搬送穴の形状に応じて剪断し、該剪断された部分を折り返すものであることを特徴とする(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【0028】
(5)項の発明では、(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の発明において、連続したシートの搬送穴を形成する搬送穴形成手段が、一部を残して搬送穴の形状に応じて剪断し、この剪断された部分を折り返すものであることにより、完全に剪断する穿孔によるシートのカスが発生することがなく、したがって、かかるカスを受けるための設備を必要としないことから、設備コストを低減させることができる。
【0029】
(6) 前記連続したシートを中抜きして複数の窓を形成する中抜き手段を備えていることを特徴とする(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【0030】
(6)項の発明では、(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の発明において、中抜き手段により連続したシートを中抜きして複数の窓を形成した場合であっても、連続したシートの搬送穴の周囲が拘束手段によって拘束されるために変形することなく、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に連続したシートを送り出し搬送することができ、また、燃料電池を構成するために窓内に必要な処理を確実に行うことができる。
【0031】
(7) 燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートを送り出し搬送する方法であって、
前記シートの側縁に形成された搬送穴に送り出しローラに設けられた突起を係合し、
該送り出しローラの突起の周囲に前記シートの搬送穴の周囲を押し付け拘束しつつ、前記送り出しローラを回転駆動することを特徴とする燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送方法。
【0032】
(7)項の発明では、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートの両側縁に形成された搬送穴に送り出しローラに設けられた突起を係合し、送り出しローラを回転駆動して連続したシートを送り出し搬送する。このとき、送り出しローラの突起の周囲にシートの搬送穴の周囲を押し付け拘束するため、連続したシートが薄く剛性がない場合や中抜きされたものである場合であっても変形することなく、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に連続したシートを送り出し搬送することができる。
【0033】
(8) 前記連続したシートが、中抜きされて複数の窓を形成されたものであることを特徴とする(7)項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送方法。
【0034】
(8)項の発明では、(7)項に記載の発明において、連続したシートが、中抜きされて複数の窓を形成されたものであっても、送り出しローラの突起の周囲にシートの搬送穴の周囲を押し付け拘束することにより変形することなく、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に連続したシートを送り出し搬送することができる。
【0035】
(9) 前記送り出しローラの周面に面接合するベルトを前記送り出しローラと同期駆動することにより、送り出しローラの突起の周囲に前記シートの搬送穴の周囲を押し付け拘束することを特徴とする(7)または(8)項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送方法。
【0036】
(9)項の発明では、(7)または(8)項に記載の発明において、前記送り出しローラの周面に連続したシートを介して面接合するベルトを前記送り出しローラと同期駆動することにより、送り出しローラの突起の周囲に前記シートの搬送穴の周囲を所定の長さにわたって確実に押し付け拘束することができる。
【0037】
(10) 連続したシートの搬送穴が形成される側縁を幅方向に折り重ねることを特徴とする(7)〜(9)項のいずれか1項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送方法。
【0038】
(10)項の発明では、(7)〜(9)項のいずれか1項に記載の発明において、連続したシートの搬送穴を形成される側縁を幅方向に複数折り重ねることにより、連続したシートの搬送穴を形成する部分の厚さを増加させて剛性を向上させることができるため、送り出しローラの突起に係合されたときの変形を防止することができ、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に送り出し搬送することができる。
【0039】
(11) シートの折り重ねられた部分を互いに接合することを特徴とする(10)項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送方法。
【0040】
(11)項の発明では、(10)項に記載の発明において、シートの折り重ねられた部分を互いに接合することにより、確実に連続したシートの搬送穴を形成する部分の厚さを増加させて剛性を向上させ、また、搬送穴のズレを防止して、送り出しローラの突起に係合されたときの変形を防止して、適切に送り出し搬送することができる。
【0041】
(12) 連続したシートの搬送穴の一部を残して剪断し、該剪断された部分を折り返すことにより搬送穴を形成することを特徴とする(7)〜(11)項のいずれか1項に記載の連続したシートの搬送方法。
【0042】
(12)項の発明では、(7)〜(11)項のいずれか1項に記載の発明において、連続したシートの搬送穴の一部を残して剪断し、この剪断された部分を折り返して搬送穴を形成することにより、穿孔によるシートのカスが発生することがなく、したがって、かかるカスを受けて集めることが不要であることから、工程数を低減させることができる。
【0043】
(13) 送り出しローラに設けられた突起と係合される搬送穴が側縁に形成された、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートであって、
連続したシートの搬送穴を形成される側縁が幅方向に折り重ねられていることを特徴とする燃料電池のセルを構成する連続したシート。
【0044】
(13)項の発明では、連続したシートの搬送穴を形成される側縁が幅方向に複数折り重ねられていることにより、連続したシートの搬送穴を形成する部分の厚さが増すこととなり、剛性が向上して送り出しローラの突起に係合されたときの変形を防止することができ、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に送り出し搬送することが可能な構成とすることができる。
【0045】
(14) シートの折り重ねられた部分が互いに接合されていることを特徴とする(13)項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシート。
【0046】
(14)項の発明では、(13)項に記載の発明において、シートの折り重ねられた部分が互いに接合されていることにより、確実に連続したシートの搬送穴を形成する部分の厚さが増加して剛性が向上し、また、搬送穴のズレが防止されて、送り出しローラの突起に係合されたときの変形を防止して、適切に送り出し搬送することが可能な構造とすることができる。
【0047】
(15) 前記連続したシートが、中抜きされて複数の窓を形成されたものであることを特徴とする(13)または(14)項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシート。
【0048】
(15)項の発明では、(13)または(14)項に記載の発明において、連続したシートが、中抜きされて複数の窓を形成されたものであっても、搬送穴を形成される側縁の厚さが増して剛性が向上しているために、送り出しローラの突起に係合されたときの変形を防止することができ、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に送り出し搬送することが可能な構成とすることができる。
【0049】
(16) 搬送穴が、一部を残して剪断され、該剪断された部分を折り返すことにより形成されたものであることを特徴とする(13)〜(15)のいずれか1項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシート。
【0050】
(16)項の発明では、(13)〜(15)のいずれか1項に記載の発明において、搬送穴が、一部を残して剪断され、この剪断された部分を折り返すことにより、搬送穴を容易に形成することができる構造とすることができ、しかも、穿孔によるシートのカスが発生しない構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置の一実施の形態を説明するために示した概念図である。
【図2】図1の装置によって搬送される連続したシートの状態を説明するために示した平面図である。
【図3】図1に示した搬送装置をシートの搬送方向から見た場合の拡大図である。
【図4】連続したシートの両側縁に形成された搬送穴の実施の一形態を示す平面図である。
【図5】図4に示した搬送穴の拡大平面図である。
【図6】図5の断面図である。
【図7】一般的な燃料電池構成部品を説明するために示した分解斜視図である。
【図8】一般的な燃料電池構成部品を説明するために示した断面図である。
【図9】連続した帯状のシートとして、ロール状に巻かれた保護フィルムシートを送り出し中抜きして電解質膜と積層する一般的な場合を説明するために示した要部の斜視図である。
【図10】中抜きされた保護フィルムがその搬送方向にテンションをかけられて、中抜きされた部分の側縁が内側に変位した状態を説明するために示した平面図である。
【図11】保護フィルムが搬送されるのに伴って、その中抜きされていない窓と窓の間の部分が幅方向に弛む状態を説明するために示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
最初に、本発明の燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートの搬送装置の実施の一形態を、図1〜図5に基づいて詳細に説明する。図において同じ符号は、同様または相当する部分を示すものとする。この実施の形態では、連続したシートとして、電解質膜の電極層が形成されない端縁に積層される保護フィルム1であり、送り出された保護フィルム1は、中抜きされて複数の窓12が形成され、続いて、電解質膜2と積層されるものである場合により説明する。なお、中抜きされた保護フィルム1と電解質膜2とが積層されたものは、その後、保護フィルム1を中抜きしたことにより電解質膜2が露出している部分に電極層3の素材を塗布し、セルの大きさに応じて切断し、図7および図8に参照されるように、ガス拡散層4と多孔体とが積層されて燃料電池構成部品となり、セパレータの間に挟持される。
【0053】
本発明の装置は、概略、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシート1を送り出すためのものであって、連続したシート1の両側縁に搬送穴11を形成する搬送穴形成手段30と、連続したシート1を中抜きして窓12を形成する中抜き手段40と、連続したシート1の両側縁に形成された搬送穴11に係合可能な突起55を有する送り出しローラ50、60と、この送り出しローラ50,60の回転と同期して駆動されシート1の搬送穴11の周囲を送り出しローラ50,60の突起55の周囲に押し付け拘束する拘束手段70とを有している。そして、拘束手段70が、送り出しローラ50,60の周面に面接合するベルト71を含んでいる。
さらに、この実施の形態においては、連続したシート1の搬送穴11が形成される側縁を幅方向に折り重ねる折り重ね手段20を備えており、この折り重ねる折り重ね手段20は、シート1の折り重ねられた部分10を互いに接合する接合手段を含んでいる。
また、搬送穴形成手段30は、一部を残して搬送穴11の形状に応じて剪断し、この剪断された部分を折り返すものである。
さらにまた、この実施の形態においては、送り出される連続したシート1が保護フィルムであり、電解質膜2と積層するものであるため、保護フィルム1と電解質膜2とを連続して積層する積層手段80を備えている。
【0054】
保護シート1は、連続した帯状のもので、搬送穴11を形成する分だけ後に積層される電解質膜2の幅よりも幅広に形成されており、ロール状に巻かれてその中心軸が回転可能に支持されている。保護シート1は、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ガラス基材含有エポキシ樹脂などが挙げられ、具体的にはエンジニアリングプラスチックス(エンプラ)系フィルム、ポリエステルフィルムなどが好ましく、その厚みは10〜20μm程度と極めて薄いものである。
【0055】
折り重ね手段20は、連続した保護シート1が送り出されることによりその両側縁を幅方向にそれぞれ折り重ねるガイド機構と、この折り重ねられた部分10を加熱するとともに加圧して互いに接合する接合手段とにより構成されている。折り重ね手段20のガイド機構は、保護シート1の側縁を一度折り込むことにより二重に重ねるよう構成することができ、また、側縁を複数回折り込むことにより三重以上に重ねるよう構成することもできる。
【0056】
搬送穴形成手段30は、雄型31および雌型32と、図1に鎖線で示すように、雄型31と雌型32の相対的な近接・遠退移動と雄型31および雌型32を保護シート1の搬送と同期して進行移動および後退復帰移動させる移動手段33とを備えている。搬送穴形成手段30は、折り重ね手段20と、テンションロール35との間に配設されている。なお、図1では、単一の雄型31と雌型32を示したが、本発明は、この実施の形態に限定されることはなく、複数の雄型31と雌型32を保護シート1の側縁に沿って連設して、一度の工程で複数の搬送穴11を形成することができるように構成してもよい。なお、搬送穴11を形成するための雄型31と雌型32は、図4〜図6に示すように、搬送穴11の全周にわたって完全に剪断することなく、一部を残して搬送穴11の形状に応じてたとえば略C型などに剪断するよう形成されている。そして、搬送穴形成手段30は、剪断線の両端部を結ぶ線から剪断された部分11aを反対側に折り返すガイド機構を備えている。
【0057】
中抜き手段40は、この実施の形態では、ロータリカッタにより構成されており、送り出しローラ50と並列配置されている。ロータリカッタ40の周面には、中抜きすることにより形成される各窓12の、形状および送り出し方向のピッチに応じて、カッタ刃40aが形成されている。送り出しローラ50とロータリカッタ40の回転軸は、互いに同期して回転速度を制御することが可能なモータなどの駆動手段に接続されている。搬送穴形成手段30とロータリカッタ40および送り出しローラ50との間には、テンションロール35が設けられている。送り出しローラ50は、その周面の最下位置(ロータリカッタに最も近い位置ともいえる)50aがテンションロール35の保護フィルム1と接している周面の最上位置よりも低くなるように配置されている。送り出しローラ50は、その軸方向の幅が保護フィルム1の幅と略同じ幅に形成されており、保護フィルム1の両側縁に形成される搬送穴11に応じて、複数の突起55が送り出しローラ50の軸方向端縁において周方向に配列されている。
【0058】
積層手段80は、この実施の形態では、上下方向に並べて配設された一対の加圧ロール60,61からなる加熱ロールプレスにより構成されている。各加圧ロール60,61の回転軸は、互いに同期して回転速度を制御することが可能なモータなどの駆動手段に接続されている。加圧ロール60,61の少なくとも一方は、たとえば電気ヒータなどの加熱手段を供えており、所定の温度に制御可能に加熱されるよう構成されている。また、両加圧ロール60,61の間隔は、保護シート1と電解質膜2が重ねられた状態で所定の圧力で加圧し得るように設定されている。上方に位置する加圧ロール61は、その軸方向の幅が電解質膜2の幅と略同じ幅に形成されている。下方の加圧ロール60は、搬送穴11に係合可能な突起65が設けられており、送り出しローラとしても機能する。そのため、以下の説明では、場合によって下方の加圧ロール60を送り出しローラと称することがある。すなわち、下方の加圧ロール60は、ロータリカッタ40と並列配置された送り出しローラ50と同様に、その軸方向の幅が保護フィルム1の幅と略同じ幅に形成されており、保護フィルム1の両側縁に形成される搬送穴11に応じて、複数の突起65がその周面の軸方向端縁において周方向に配列されている。下方の加圧ロール60は、その周面の最上位置(上方の加圧ロールに最も近い位置ともいえる)60aが送り出しローラ50の周面の最下位置50aよりも高くなるように配置されている。また、積層された保護フィルム1と電解質膜2は、下方の加圧ロール(送り出しローラ)60から下方に向かって送り出される。積層手段80の後工程では、中抜きされた保護フィルム1の窓12内に露出している電解質膜2の表面に電極層3が塗布される(図7および図8を参照)。
【0059】
なお、各突起55,65は、軸回りに回転駆動される送り出しローラ50および加圧ロール60の回転位相に関わらず、保護シート1の搬送穴11に順次係合・離脱し得るように、その先端が漸次縮径するテーパ状や、断面の短径が送り出しローラ50および加圧ロール60の周方向に向くと共に、断面の長径が送り出しローラ50および加圧ロール60の軸方向に向くように形成された楕円または長円に形成することができる。
【0060】
保護シート1と積層される電解質膜2は、この実施の形態では連続した帯状のもので、搬送穴11が形成されない分だけ、積層される保護フィルム1の幅よりも狭く形成されており、ロール状に巻かれてその中心軸が回転可能に支持されている。電解質膜2のロールと加熱ロールプレス60、61との間にはテンションロール85が設けられている。
【0061】
拘束手段70は、中抜き手段40の送り出しローラ50および積層手段80の送り出しローラ60と対応してそれぞれ設けられている。図3は、図1に示した中抜き手段40に設けられた送り出しローラ50と対応して設けられた拘束手段70を、保護フィルム1の送り出し方向から見た場合の拡大図である。拘束手段70は、複数の支持ロール72A、72B、72C、72D・・・と、各支持ロール72A、72B、72C、72D・・・に架け渡された無端状のベルト71とを備えており、ベルト71は、中抜き手段40の送り出しローラ50および積層手段80の送り出しローラ60に設けられた突起55,65が挿通される穴75が配列されている。この実施の形態においては、4つの支持ロール72A,72B,72C,72Dが回動可能に設けられており、送り出しローラ50,60側に位置する支持ロール72A,72Bは、対応する送り出しローラ50,60の表面からその軸芯側にそれぞれオフセット配置されている。これにより、各支持ロール72A,72B,72C,72Dに架け渡されたベルト71は、その穴75aに送り出しローラ50,60の突起555,65がそれぞれ挿通されて、送り出しローラ50、60の周面に保護フィルム1を介して所定長さにわたって面接合し、保護フィルム1の搬送穴11の周囲を送り出しローラ50,60の突起55,65の周囲に押し付け拘束することができるよう構成されている。
【0062】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されることはなく、たとえば、中抜き手段40と積層手段80に突起55,65を有する送り出しローラ50、60を設けることなく、中抜き手段40と積層手段80との間に突起55,65を有する送り出しローラ50、60を独立して設けると共に、かかる送り出しローラ50、60と対応して拘束手段70を設けることもできる。
【0063】
次に、本発明の燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートの搬送方法を、上述したように構成された装置を用いて、送り出される連続したシートが、保護フィルム1であり、この保護フィルム1の側縁を折り重ねて搬送穴11を形成し、中抜きして複数の窓12を形成し、続いて、電解質膜2と積層して、後工程で保護フィルム1の中抜きされた窓12内であって電解質膜2の表面に電極層3を形成し、各セルの大きさに切断して、燃料電池構成部品の一部を製造する場合により説明する。
【0064】
本発明の方法は、概略、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシート1を送り出し搬送するためのものであって、連続したシート1を中抜きして複数の窓12を形成するとともに、連続したシート1の両側縁に搬送穴11を形成し、シート1の両側縁に形成された搬送穴11に送り出しローラ50,60に設けられた突起55,65を係合し、送り出しローラ50,60の突起55,65の周囲にシート1の搬送穴11の周囲を押し付け拘束しつつ、送り出しローラ50,60を回転駆動するものである。そして、拘束手段70のベルト71を送り出しローラ50,60の周面に面接合させて送り出しローラ50,60と同期駆動することにより、送り出しローラ50,60の突起55,65の周囲にシート1の搬送穴11の周囲を押し付け拘束する。
さらに、この実施の形態においては、連続したシート1の搬送穴11が形成される側縁を幅方向に折り重ね、このシート1の折り重ねられた部分10を互いに接合する。
また、搬送穴11は、その一部を残して搬送穴11の形状に応じて剪断し、この剪断された部分11aを折り返すことにより形成する。
【0065】
保護フィルム1は、複数のセルを連続して構成し得る長さで帯状に形成されており、ロール状に巻かれている。そして、図2に示しように、ロール状に巻かれた部分1aから既に送り出された保護フィルム1は、その両側縁が折り重ね手段20(図1を参照)のガイド機構によってそれぞれ幅方向に折り重ねられ、接合手段によって折り重ねられた部分10が互いに接合されている。そして、この保護フィルム1の折り重ねられ接合された側縁の、保護フィルム1を送り出す方向前方は、搬送穴形成手段30(図1を参照)によって搬送穴11が送り出しローラ50,60の突起55,65のピッチに応じたピッチで形成されており、また、搬送穴11の形成開始位置よりも保護フィルム1を送り出す方向前方であって、両側縁の幅方向の間には、ロータリカッタ40のカッタ刃40aにより中抜きされて、所定のピッチで電極層3を形成する大きさに応じた窓12が形成されている。さらに、保護フィルム1の中抜きされ窓12が形成された部分の保護フィルム1を送り出す方向前方は、電解質膜3が積層手段80(図1を参照)の加熱ロールプレス60,61によって加熱および加圧されることにより積層されている。
【0066】
このように、保護フィルム1は、ロール状に巻かれた部分1aから既に送り出されたことによって、両側縁の折り重ね・接合と、搬送穴11の形成と、中抜きと、電解質膜2の積層とが順次施されている。そして、ロータリカッタ40と送り出しローラ50、および、加熱ロールプレスの加圧ロール60,61をそれぞれ同期させて回転駆動することにより、保護フィルム1は、その搬送穴11が送り出しローラ50,60の突起55,65に係合されているために、ロール状に巻かれた部分1aからさらに送り出され、両側縁の折り重ね・接合と、搬送穴11の形成と、中抜きと、電解質膜2の積層とが順次施されることとなる。このとき、保護フィルム1の両側縁を折り重ね、しかも、この折り重ねた部分を互いに接合するため、保護フィルム1自体は薄く剛性がない場合であっても、搬送穴11を形成する両側縁の剛性が向上し、後に搬送穴11を送り出しローラ50,60の突起55,65に係合しても搬送穴11の周囲が変形することがない。
【0067】
そして、搬送穴形成手段30は、雄型31と雌型32が保護フィルム1の送り出しと同期して送り出し方向に移動しながら相対的に近接移動して、送り出しローラ50,60の突起55,65に応じたピッチで搬送穴11を形成する。このとき、図4〜図6に示したように、雄型31と雌型32がたとえば略C型などに形成されており、保護フィルム1の一部を残して剪断し、搬送穴11の形状の全周にわたって剪断することがなく、その剪断線の両端部を結ぶ線から剪断された部分11aがガイド機構によって反対側に折り返される。一方、搬送穴11を全周にわたって剪断し穿孔する場合には、その剪断された部分がカスとなり、この穿孔によるカスを集めて廃棄するための設備や手間が必要となる。しかしながら、本発明では、完全に穿孔することなく、保護フィルム1の一部を残して剪断し、この剪断された部分11aを反対側に折り返すことにより搬送穴11を形成するため、穿孔により発生するカスを集めて廃棄するための設備や手間を必要としなくて済む。
【0068】
送り出しローラ50の突起55に搬送穴11が係合された保護フィルム1は、この送り出しローラ50と同期して回転駆動されるロータリカッタ40のカッタ刃40aにより、送り出し方向に所定のピッチで、所定の大きさおよび形状の窓12が中抜き形成される。ここで、中抜きされた保護フィルム1は、従来の技術で説明したように送り出し方向にテンションがかかることにより、中抜きされた窓12の側縁が幅方向内側に変位したり(図10)、搬送されるのに伴って、その中抜きされていない部分が幅方向に縮小するよう弛む傾向にある(図11)。しかしながら、本発明では、拘束手段70のベルト71の穴75が保護フィルム1を介して送り出しローラ50の突起55に係合されているため、保護フィルム1の両側縁に形成され送り出しローラ50の突起55に係合された搬送穴12の周囲をベルト71によって拘束しており、保護フィルム1の搬送穴11の周囲を浮き上がらせないように送り出しローラ50の突起55の周囲に押し付けている。そして、図1に示したように、送り出しローラ50がテンションロール35よりも下方にオフセット配置されており、また、送り出しローラ60が送り出しローラ50よりも上方にオフセット配置されており、さらに、拘束手段の支持ロール72A,72Bが送り出しローラ50の軸芯側にオフセット配置されていることにより、保護フィルム1は、送り出しローラ50の周面に一定の長さが面接合された状態に維持されており、確実にその搬送穴11が送り出しローラ50の表面から浮き上がることがない。したがって、特に中抜きし窓12を形成た場合であっても、保護フィルム1が幅方向に縮小するよう弛むのを確実に防止することができる。
【0069】
また、加熱ロールプレスの下方の加圧ロール60の突起65に搬送穴11が係合された保護フィルム1は、上下の加圧ロール60,61が同期して回転駆動されることにより、さらに送り出されて電解質膜2と重ねられ、加熱手段によって加熱されると共に両加圧ロール60,61の間で加圧されることにより、連続して積層されることとなる。このとき、中抜き手段40と同様に、下方の加圧ロール60の突起65には拘束手段70のベルト71の穴75が保護フィルム1を介して係合されているため、保護フィルム1の両側縁に形成され下方の加圧ロール60の突起65に係合された搬送穴11の周囲をベルト71によって拘束しており、保護フィルム1の搬送穴11の周囲を浮き上がらせないように送り出しローラ60の突起65の周囲に押し付けており、しかも、下方の加圧ロール60が送り出しローラ50よりも上方にオフセット配置されると共に、拘束手段70の支持ロール72A,72Bが下方の加圧ロール60の軸芯側にオフセット配置されていることにより、保護フィルム1は、送り出しローラ60の周面に一定の長さが面接合された状態に維持されており、確実にその搬送穴11が送り出しローラ60の表面から浮き上がることがない。したがって、特に中抜きし窓12を形成した場合であっても、保護フィルム1が幅方向に縮小するように弛むのを確実に防止して、適切に電解質膜2と積層することができる。
【0070】
その後、積層された保護フィルム1と電解質膜2は、下方の加圧ロール(送り出しローラ)60から下方に向かって送り出され、たとえば、中抜きされた保護フィルム1の窓12内に露出している電解質膜2の表面に電極層3を塗布する工程、所定のピッチで切断して所定の大きさに成形する工程、折り重ね・接合されて搬送穴11が形成された両側縁を電解質膜2と同じ大きさとなるよう切断する工程などを、必要に応じて行う。
【0071】
次に、本発明の燃料電池のセルを構成する連続したシートの実施の一形態を、燃料電池の複数のセルをそれぞれ構成する連続したシートが保護フィルム1であり、上述したように構成された装置を用いて、上述したように構成された方法に従って製造されたものである場合より説明する。
【0072】
本発明の燃料電池のセルを構成する連続したシート1は、概略、送り出しローラ50,60に設けられた突起55,65と係合される搬送穴11が側縁に形成された、燃料電池の複数のセルを構成するもので、搬送穴11を形成される側縁が幅方向に折り重ねられており、さらに、このシートの折り重ねられた部分10が互いに接合されいる。そして、連続したシート1は、中抜きされて複数の窓12を形成されたものであり、搬送穴11が、一部を残して剪断され、この剪断された部分11aを折り返すことにより形成されたものである。
【0073】
図2に示したように、保護シート1の搬送穴11が形成される両側縁は、幅方向に折り重ねられており、しかも、この折り重ねられた部分10が互いに接合されていることにより、容易に且つ確実に厚さが増して剛性が向上し、折り重ねられた部分10に形成された搬送穴11のズレが防止されて、送り出しローラ50,60の突起55,65に係合されたときの変形を防止することができ、したがって、保護フィルム1が中抜きされて複数の窓12が形成されている場合にも、保護フィルム1は、従来の技術のように、送り出しローラ50,60の回転駆動によって送り出されるときにテンションがかることにより、中抜きされた窓12の側縁が幅方向内側に変位したり(図10を参照)、搬送されるのに伴って、その中抜きされていない窓12と窓12の間の部分が幅方向に縮小するよう弛む(図11を参照)ことがなく、確実且つ適切に送り出し搬送することが可能な構造となっている。
【0074】
さらに、保護フィルム1に形成された搬送穴11は、図4〜図6に示したように、保護フィルム1をたとえば略C型のように一部を残して剪断し、この剪断線の両端部を結ぶ線から剪断された部分11aが反対側に折り返されることにより形成されている。そのため、搬送穴11を全周にわたって完全に剪断し穿孔する場合に発生するカスが、本発明の構成では発生することがなく、したがって、カスを集めて廃棄する手間や設備が不要な構造とすることができる。
【0075】
以上のように構成された保護シート1は、電解質膜2と積層され、その後、保護フィルム1が中抜きされたことにより電解質膜2が露出している部分に電極層3の素材が塗布され、セルの大きさに応じて分離され、図7および図8に参照されるように、ガス拡散層4と多孔体とが積層されて燃料電池構成部品となり、セパレータの間に挟持される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、送り出される連続したシートとして、電解質膜2と積層されて電解質膜2の電極層3が形成されない端縁をガス拡散層4などから保護するためのる保護フィルム1の場合だけでなく、たとえば、ガスケットの成形用金型内にインサートされた電解質膜2の端部を保持するためのものである場合など、中抜きされて複数の窓12が形成されると共に、両側縁に搬送穴11が形成され、燃料電池構成部品として燃料電池のセルに組み込まれるものであれば、適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1:保護フィルム(燃料電池の複数のセルを構成する連続したシート)、 2:電解質膜、 3:電極層、 4:ガス拡散層、 10:側縁の折り重ねられた部分、 11:搬送穴、 11a:剪断されて折り返される部分、 12:窓、 20:折り重ね手段、 30:搬送孔形成手段、 40:ロータリカッタ(中抜き手段)、 50:送り出しローラ、 55:突起、 60下方の加圧ロール(送り出しローラ)、 65:突起、 70:拘束手段、 71:ベルト、 75:ベルトの穴、 80:積層手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置、その搬送方法、および燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートに関し、さらに詳しくは、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートを送り出す搬送装置、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートを送り出し搬送する方法、および送り出しローラに設けられた突起と係合される搬送穴が側縁に形成された、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃料電池は、複数のセルを積層することにより構成されている。各セルは、燃料電池構成部品とセパレータとにより構成され、燃料電池構成部品は、図7および図8に参照されるように、電解質膜2の両面に電極層3をそれぞれ設けてなるMEA(Membrane Electrode Assembly:膜−電極アセンブリ)と、MEAの両面にそれぞれ配置されたガス拡散層4と、ガス拡散層4へガスをそれぞれ流通させる多孔質体を含んでいる。電解質膜2と電極層3が積層されてなるMEAとその両側に配置されたガス拡散層4とにより構成される部品は、一般にMEGAと呼ばれる。
【0003】
ところで、電解質膜2は非常に薄く、また、ガス拡散層4はカーボンなどからなる多孔質シートやメッシュ状シートなどより構成されており、たとえばガス拡散層4によって電解質膜2が破られると、そのセルが短絡し所定の発電性能を得ることができなくなる。そこで、図7および図8に示したように、電解質膜2の電極層3が形成されない端縁に保護フィルム1を積層したものが知られている。また、燃料電池によっては、各セルのMEAの周囲にガスケットを一体成形するものがあり、そのガスケットの成形用金型内にインサートされた電解質膜2の端部を保持するために、電解質膜2の端部を補強フィルム(以下、補強フィルムも含めて保護フィルムと称する)によって挟持することも知られている。保護フィルム1は、電解質膜2と略同じ大きさを有しており、電解質膜2の電解層3が形成される部分を中抜きすることにより窓12が形成された、枠状に形成されている。
【0004】
このような燃料電池構成部品を製造するために、一般に、保護フィルム1は、連続した帯状に形成され、ロール状に巻かれており、図9に示すように、送り出しローラ50’とロータリカッタ40’の間で送り出されると共に中抜きされ、一対の加熱プレスロール60’、61’の間を電解質膜2と共に送られることによって積層され、その後、保護フィルム1が中抜きされ窓12が形成されていることにより電解質膜2が露出している部分に電極層3の素材を塗布し、セルの大きさに応じて切断され分離される。すなわち、保護フィルム1は、電解質膜2の電極層3が形成されない端縁に積層されるものである場合にも、ガスケットの成形用金型内にインサートされた電解質膜の端部を保持するためのものである場合にも、燃料電池構成部品として燃料電池のセルに組み込まれる。
【0005】
また、電解質膜を保護シートと共にリールにロール状に巻かれて投入するものが知られている(たとえば特許文献1)。特許文献1には、保護シートと共にリールにロール状に巻かれた電解質膜を、ロール状態から巻戻して巻端から保護シート共に送り出すようにした、電解質膜および固体高分子膜型燃料電池セルの製造方法が開示されている。
【0006】
そして、特許文献1には、保護シートと共にシート状に展開して燃料電池セルの製造装置に供給する電解質膜であり、電解質膜の少なくとも一方の縁部分に搬送ローラの送り突起に順次係合する搬送穴と、所定の間隔をもって設けられ、触媒層、ガス拡散層、セパレータの少なくとも一つを電解質膜に接合させる際の位置決め用の位置決めマークと、を備えることを特徴とする電解質膜が開示されている。
【0007】
また、特許文献1には、保護シートと共にシート状に展開して燃料電池セルの製造装置に供給する電解質膜の少なくとも一方の縁部分に搬送ローラの送り突起に順次係合する搬送穴を設け且つ所定の間隔をもって位置決めマークを配置し、前記位置決めマークおよび/または搬送穴を基準として、触媒層、ガス拡散層、若しくは、セパレータのいずれかを電解質膜に位置決めして接合させることを特徴とする燃料電池セルの製造方法が開示されている。
【0008】
そして、特許文献1には、「 前記MEA搬送装置2で用いられるMEAフィルム1(電解質膜)は、その第1実施例を図3に示すように、所定の処理が施されて保護シート8と共にリール9にロール状に巻かれて投入されるものであり、ロール状態から巻戻して巻端からMEAフィルム1を保護シート8と共に送出すようにしている。MEAフィルム1には、その両側に搬送穴10が配列されており、この搬送穴10に搬送ローラ外周に設けた送り突起を順次係合させ、搬送ローラ同士を同期して回転させることで、MEAフィルム1の膜面をたるむことなく搬送することができる。」などと記載されている(0011)。
【0009】
さらに特許文献1には、その図4に示された第2実施例の場合に「 前記MEAフィルム1は、燃料電池セルとして組立完了時に分離される中央部分に貼付いた保護シート8Aのみが剥がされ回収され、搬送穴10を備える縁部分に貼付いた保護シート8Bは剥がされることなく、MEA搬送装置2により燃料電池セルの製造装置に供給するようにした。このように、搬送穴10を備える縁部分に貼付いた保護シート8BをMEAフィルム1上に残すことにより、搬送時にMEAフィルム1に加えられる負荷により搬送穴10が破損するのを防止することができる。また、搬送されるMEAフィルム1の伸びを防止することができ、MEAフィルム1の位置決め精度を向上できる。」などと記載されている(0016)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−183182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の技術のうち、図9に示したものの場合には、中抜きされた保護フィルム1は、送り出しローラ50’およびロータリカッタ40’と加熱プレスロール60’,61’との間で送り出されるときに、テンションがかかることにより、図10に示すように、中抜きされ窓12が形成された部分の側縁が幅方向内側に変位したり、また、図11に示すように、保護フィルム1が搬送されるのに伴って、その中抜きされていない窓12と窓12の間の部分が幅方向に縮小するよう弛む傾向にある。このような状態のシートを保護フィルム1として電解質膜2と積層する場合には、シワが発生したり、保護フィルム1がガス拡散層4から電解質膜2を保護できるように拡がらないなどの問題が発生することとなる。
【0012】
また、上記従来の技術のうち、特許文献1にあっては、その図3に示されたものの場合、MEAフィルムには、触媒層が既に形成されており(図3に破線で示された符号12を参照)、MEAフィルムの全面にわたって保護フィルムが貼り付けられたものであった。そして、特許文献1には、「 なお、供給される電解質膜に触媒12がコーティングされていないMEAフィルムの場合には、ガス拡散層6を電解質膜に接合する前段階において、前記位置決めマーク11に対応して触媒をコーティングして電解質膜上に触媒層12を形成する。若しくは、ガス拡散層6の表面に触媒層を形成し、ガス拡散層6の電解質膜1への接合時に、前記位置決めマーク11に対応して触媒層を電解質膜1に接触させて接合するようにする。」などと記載されている(0014)。また、その図4に示されたものの場合、「電解質膜1は、燃料電池セルとして組立完了時に分離される中央部分8Aと搬送ローラに係合する搬送穴10を備える縁部分8Bとに分割して貼付けるようにしたものである。」などと記載されており(0015)、図3の場合と同様に、MEAフィルムの触媒層が既に形成されている部分(図4に破線で示された符号12を参照)に全面にわたって保護フィルムが貼り付けられたものであった。すなわち、特許文献1は、いずれの場合にも、中抜きされた保護フィルムをMEAフィルムに積層して、その保護フィルムが中抜きされた部分に電解層を形成するものではなく、したがって、電解質膜の電極層が形成されない端縁を全周にわたって保護したり、ガスケットの成形用金型内で電解質膜の端部を保持することができるものではなかった。
【0013】
さらに、特許文献1にあっては、MEAフィルム(すなわち、電解質膜)の両側に配列された搬送穴に搬送ローラ外周に設けた送り突起を単に係合させるものであったため、実際には薄いMEAフィルムと保護フィルムの搬送穴の周囲が搬送ローラの突起に係合され搬送されることにより変形し、搬送ローラの突起から搬送穴の周囲が浮き上がり、MEAフィルムと保護フィルムを確実に搬送することが困難となる場合があるという問題があった。
【0014】
さらにまた、特許文献1にあっては、「MEAフィルム1(電解質膜)は、・・・所定の処理が施されて保護シート8と共にリール9にロール状に巻かれて投入されるものであり、」と記載されているが(0011)、どのような処理が施されて保護シートと共にリールにロール状に巻かれているのかは記載されていない。さらに特許文献1にあっては、ロール状態からMEAフィルムと共に巻戻された保護フィルムは、セルの構成部品として組み込まれることなく、回収リールに巻き取られ回収されるものであった(0026)。そのため、特許文献1にあっては、その図4に示された第2実施例の場合に、搬送穴10を備える縁部分に貼付いた保護シート8BをMEAフィルム1上に残すことにより、搬送時にMEAフィルム1に加えられる負荷により搬送穴10が破損するのを防止することができ、また、搬送されるMEAフィルム1の長手方向の伸びを防止することができたとしても、幅方向の弛みを防止することはできなかった。
【0015】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートが、たとえ中抜きされた保護フィルムのようなものである場合であっても、簡単な構成で、弛みを発生させることなく、確実に搬送することができる燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置と、その搬送方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートが、たとえ中抜きされた保護フィルムのようなものである場合であっても、簡単な構成で、弛みが発生することなく、確実に搬送することができ、しかも、安価なコストで製造することができる構造の燃料電池のセルを構成する連続したシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置に係る発明は、上記目的を達成するため、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートを送り出す搬送装置であって、前記シートの側縁に形成された搬送穴に係合可能な突起を有する送り出しローラと、前記シートの搬送穴の周囲を前記送り出しローラの突起の周囲に押し付け拘束する拘束手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項5の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送方法に係る発明は、上記目的を達成するため、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートを送り出し搬送する方法であって、前記シートの側縁に形成された搬送穴に送り出しローラに設けられた突起を係合し、該送り出しローラの突起の周囲に前記シートの搬送穴の周囲を押し付け拘束しつつ、前記送り出しローラを回転駆動することを特徴とするものである。
さらに、請求項8の燃料電池のセルを構成する連続したシートに係る発明は、上記目的を達成するため、送り出しローラに設けられた突起と係合される搬送穴が側縁に形成された、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートであって、連続したシートの搬送穴を形成される側縁が幅方向に折り重ねられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートの両側縁に形成された搬送穴に送り出しローラの突起を係合し、送り出しローラを駆動して、連続したシートを送り出し搬送する。このとき、拘束手段により連続したシートの搬送穴の周囲が送り出しローラの突起の周囲に押し付け拘束されるため、連続したシートが薄く剛性がない場合や中抜きされたものである場合であっても変形することなく、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に連続したシートを送り出し搬送することができる。
請求項5の発明によれば、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートの両側縁に形成された搬送穴に送り出しローラに設けられた突起を係合し、送り出しローラの突起の周囲にシートの搬送穴の周囲を押し付け拘束しつつ、送り出しローラを回転駆動することにより、連続したシートが薄く剛性がない場合や中抜きされたものである場合であっても変形することなく、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に連続したシートを送り出し搬送することができる。
請求項8の発明によれば、連続したシートの搬送穴を形成される側縁が幅方向に複数折り重ねられていることにより、連続したシートの搬送穴を形成する部分の厚さが増すこととなり、剛性が向上して送り出しローラの突起に係合されたときの変形を防止することができ、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に送り出し搬送することが可能な構成とすることができる。
【0018】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(4)項が請求項2に相当し、(5)項が請求項3に相当し、(6)項が請求項4に相当し、(7)項が請求項5に相当し、(10)項が請求項6に相当し、(12)項が請求項7に相当し、(13)項が請求項8に相当し、(16)項が請求項9に相当する。
【0019】
(1) 燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートを送り出す搬送装置であって、
前記シートの側縁に形成された搬送穴に係合可能な突起を有する送り出しローラと、
前記シートの搬送穴の周囲を前記送り出しローラの突起の周囲に押し付け拘束する拘束手段とを有することを特徴とする燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【0020】
(1)項の発明では、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートの両側縁に形成された搬送穴に送り出しローラの突起を係合し、拘束手段により連続したシートの搬送穴の周囲を送り出しローラの突起の周囲に押し付け拘束した状態で、送り出しローラを駆動することにより、連続したシートが薄く剛性がない場合であっても変形することなく、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に連続したシートを送り出し搬送することができる。
【0021】
(2) 拘束手段が、前記送り出しローラの周面に面接合するベルトを含むことを特徴とする(1)項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【0022】
(2)項の発明では、(1)項に記載の発明において、拘束手段が、前記送り出しローラの周面に連続したシートを介して面接合するベルトを含むことにより、連続したシートの搬送穴の周囲を送り出しローラの突起の周囲に所定の長さにわたって確実に押し付け拘束することができる。
【0023】
(3) 連続したシートの搬送穴が形成される側縁を幅方向に折り重ねる折り重ね手段を備えていることを特徴とする(1)または(2)項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【0024】
(3)項の発明では、(1)または(2)項に記載の発明において、折り重ね手段によって連続したシートの搬送穴を形成される側縁を幅方向に複数折り重ねるため、連続したシートの搬送穴を形成する部分の厚さを増加させて剛性を向上させることができるため、送り出しローラの突起に係合されたときの変形を防止することができ、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に送り出し搬送することができる。
【0025】
(4) シートの折り重ねられた部分を互いに接合する接合手段を含むことを特徴とする(3)項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【0026】
(4)項の発明では、(3)項に記載の発明において、接合手段によってシートの折り重ねられた部分を互いに接合することにより、確実に連続したシートの搬送穴を形成する部分の厚さを増加させて剛性を向上させ、また、搬送穴のズレを防止して、送り出しローラの突起に係合されたときの変形を防止して、適切に送り出し搬送することができる。
【0027】
(5) 連続したシートの搬送穴を形成する搬送穴形成手段を有しており、該搬送穴形成手段は、一部を残して搬送穴の形状に応じて剪断し、該剪断された部分を折り返すものであることを特徴とする(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【0028】
(5)項の発明では、(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の発明において、連続したシートの搬送穴を形成する搬送穴形成手段が、一部を残して搬送穴の形状に応じて剪断し、この剪断された部分を折り返すものであることにより、完全に剪断する穿孔によるシートのカスが発生することがなく、したがって、かかるカスを受けるための設備を必要としないことから、設備コストを低減させることができる。
【0029】
(6) 前記連続したシートを中抜きして複数の窓を形成する中抜き手段を備えていることを特徴とする(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【0030】
(6)項の発明では、(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の発明において、中抜き手段により連続したシートを中抜きして複数の窓を形成した場合であっても、連続したシートの搬送穴の周囲が拘束手段によって拘束されるために変形することなく、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に連続したシートを送り出し搬送することができ、また、燃料電池を構成するために窓内に必要な処理を確実に行うことができる。
【0031】
(7) 燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートを送り出し搬送する方法であって、
前記シートの側縁に形成された搬送穴に送り出しローラに設けられた突起を係合し、
該送り出しローラの突起の周囲に前記シートの搬送穴の周囲を押し付け拘束しつつ、前記送り出しローラを回転駆動することを特徴とする燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送方法。
【0032】
(7)項の発明では、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートの両側縁に形成された搬送穴に送り出しローラに設けられた突起を係合し、送り出しローラを回転駆動して連続したシートを送り出し搬送する。このとき、送り出しローラの突起の周囲にシートの搬送穴の周囲を押し付け拘束するため、連続したシートが薄く剛性がない場合や中抜きされたものである場合であっても変形することなく、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に連続したシートを送り出し搬送することができる。
【0033】
(8) 前記連続したシートが、中抜きされて複数の窓を形成されたものであることを特徴とする(7)項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送方法。
【0034】
(8)項の発明では、(7)項に記載の発明において、連続したシートが、中抜きされて複数の窓を形成されたものであっても、送り出しローラの突起の周囲にシートの搬送穴の周囲を押し付け拘束することにより変形することなく、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に連続したシートを送り出し搬送することができる。
【0035】
(9) 前記送り出しローラの周面に面接合するベルトを前記送り出しローラと同期駆動することにより、送り出しローラの突起の周囲に前記シートの搬送穴の周囲を押し付け拘束することを特徴とする(7)または(8)項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送方法。
【0036】
(9)項の発明では、(7)または(8)項に記載の発明において、前記送り出しローラの周面に連続したシートを介して面接合するベルトを前記送り出しローラと同期駆動することにより、送り出しローラの突起の周囲に前記シートの搬送穴の周囲を所定の長さにわたって確実に押し付け拘束することができる。
【0037】
(10) 連続したシートの搬送穴が形成される側縁を幅方向に折り重ねることを特徴とする(7)〜(9)項のいずれか1項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送方法。
【0038】
(10)項の発明では、(7)〜(9)項のいずれか1項に記載の発明において、連続したシートの搬送穴を形成される側縁を幅方向に複数折り重ねることにより、連続したシートの搬送穴を形成する部分の厚さを増加させて剛性を向上させることができるため、送り出しローラの突起に係合されたときの変形を防止することができ、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に送り出し搬送することができる。
【0039】
(11) シートの折り重ねられた部分を互いに接合することを特徴とする(10)項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送方法。
【0040】
(11)項の発明では、(10)項に記載の発明において、シートの折り重ねられた部分を互いに接合することにより、確実に連続したシートの搬送穴を形成する部分の厚さを増加させて剛性を向上させ、また、搬送穴のズレを防止して、送り出しローラの突起に係合されたときの変形を防止して、適切に送り出し搬送することができる。
【0041】
(12) 連続したシートの搬送穴の一部を残して剪断し、該剪断された部分を折り返すことにより搬送穴を形成することを特徴とする(7)〜(11)項のいずれか1項に記載の連続したシートの搬送方法。
【0042】
(12)項の発明では、(7)〜(11)項のいずれか1項に記載の発明において、連続したシートの搬送穴の一部を残して剪断し、この剪断された部分を折り返して搬送穴を形成することにより、穿孔によるシートのカスが発生することがなく、したがって、かかるカスを受けて集めることが不要であることから、工程数を低減させることができる。
【0043】
(13) 送り出しローラに設けられた突起と係合される搬送穴が側縁に形成された、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートであって、
連続したシートの搬送穴を形成される側縁が幅方向に折り重ねられていることを特徴とする燃料電池のセルを構成する連続したシート。
【0044】
(13)項の発明では、連続したシートの搬送穴を形成される側縁が幅方向に複数折り重ねられていることにより、連続したシートの搬送穴を形成する部分の厚さが増すこととなり、剛性が向上して送り出しローラの突起に係合されたときの変形を防止することができ、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に送り出し搬送することが可能な構成とすることができる。
【0045】
(14) シートの折り重ねられた部分が互いに接合されていることを特徴とする(13)項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシート。
【0046】
(14)項の発明では、(13)項に記載の発明において、シートの折り重ねられた部分が互いに接合されていることにより、確実に連続したシートの搬送穴を形成する部分の厚さが増加して剛性が向上し、また、搬送穴のズレが防止されて、送り出しローラの突起に係合されたときの変形を防止して、適切に送り出し搬送することが可能な構造とすることができる。
【0047】
(15) 前記連続したシートが、中抜きされて複数の窓を形成されたものであることを特徴とする(13)または(14)項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシート。
【0048】
(15)項の発明では、(13)または(14)項に記載の発明において、連続したシートが、中抜きされて複数の窓を形成されたものであっても、搬送穴を形成される側縁の厚さが増して剛性が向上しているために、送り出しローラの突起に係合されたときの変形を防止することができ、したがって、送り出しローラから浮き上がり弛むことがなく、確実且つ適切に送り出し搬送することが可能な構成とすることができる。
【0049】
(16) 搬送穴が、一部を残して剪断され、該剪断された部分を折り返すことにより形成されたものであることを特徴とする(13)〜(15)のいずれか1項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシート。
【0050】
(16)項の発明では、(13)〜(15)のいずれか1項に記載の発明において、搬送穴が、一部を残して剪断され、この剪断された部分を折り返すことにより、搬送穴を容易に形成することができる構造とすることができ、しかも、穿孔によるシートのカスが発生しない構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置の一実施の形態を説明するために示した概念図である。
【図2】図1の装置によって搬送される連続したシートの状態を説明するために示した平面図である。
【図3】図1に示した搬送装置をシートの搬送方向から見た場合の拡大図である。
【図4】連続したシートの両側縁に形成された搬送穴の実施の一形態を示す平面図である。
【図5】図4に示した搬送穴の拡大平面図である。
【図6】図5の断面図である。
【図7】一般的な燃料電池構成部品を説明するために示した分解斜視図である。
【図8】一般的な燃料電池構成部品を説明するために示した断面図である。
【図9】連続した帯状のシートとして、ロール状に巻かれた保護フィルムシートを送り出し中抜きして電解質膜と積層する一般的な場合を説明するために示した要部の斜視図である。
【図10】中抜きされた保護フィルムがその搬送方向にテンションをかけられて、中抜きされた部分の側縁が内側に変位した状態を説明するために示した平面図である。
【図11】保護フィルムが搬送されるのに伴って、その中抜きされていない窓と窓の間の部分が幅方向に弛む状態を説明するために示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
最初に、本発明の燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートの搬送装置の実施の一形態を、図1〜図5に基づいて詳細に説明する。図において同じ符号は、同様または相当する部分を示すものとする。この実施の形態では、連続したシートとして、電解質膜の電極層が形成されない端縁に積層される保護フィルム1であり、送り出された保護フィルム1は、中抜きされて複数の窓12が形成され、続いて、電解質膜2と積層されるものである場合により説明する。なお、中抜きされた保護フィルム1と電解質膜2とが積層されたものは、その後、保護フィルム1を中抜きしたことにより電解質膜2が露出している部分に電極層3の素材を塗布し、セルの大きさに応じて切断し、図7および図8に参照されるように、ガス拡散層4と多孔体とが積層されて燃料電池構成部品となり、セパレータの間に挟持される。
【0053】
本発明の装置は、概略、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシート1を送り出すためのものであって、連続したシート1の両側縁に搬送穴11を形成する搬送穴形成手段30と、連続したシート1を中抜きして窓12を形成する中抜き手段40と、連続したシート1の両側縁に形成された搬送穴11に係合可能な突起55を有する送り出しローラ50、60と、この送り出しローラ50,60の回転と同期して駆動されシート1の搬送穴11の周囲を送り出しローラ50,60の突起55の周囲に押し付け拘束する拘束手段70とを有している。そして、拘束手段70が、送り出しローラ50,60の周面に面接合するベルト71を含んでいる。
さらに、この実施の形態においては、連続したシート1の搬送穴11が形成される側縁を幅方向に折り重ねる折り重ね手段20を備えており、この折り重ねる折り重ね手段20は、シート1の折り重ねられた部分10を互いに接合する接合手段を含んでいる。
また、搬送穴形成手段30は、一部を残して搬送穴11の形状に応じて剪断し、この剪断された部分を折り返すものである。
さらにまた、この実施の形態においては、送り出される連続したシート1が保護フィルムであり、電解質膜2と積層するものであるため、保護フィルム1と電解質膜2とを連続して積層する積層手段80を備えている。
【0054】
保護シート1は、連続した帯状のもので、搬送穴11を形成する分だけ後に積層される電解質膜2の幅よりも幅広に形成されており、ロール状に巻かれてその中心軸が回転可能に支持されている。保護シート1は、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ガラス基材含有エポキシ樹脂などが挙げられ、具体的にはエンジニアリングプラスチックス(エンプラ)系フィルム、ポリエステルフィルムなどが好ましく、その厚みは10〜20μm程度と極めて薄いものである。
【0055】
折り重ね手段20は、連続した保護シート1が送り出されることによりその両側縁を幅方向にそれぞれ折り重ねるガイド機構と、この折り重ねられた部分10を加熱するとともに加圧して互いに接合する接合手段とにより構成されている。折り重ね手段20のガイド機構は、保護シート1の側縁を一度折り込むことにより二重に重ねるよう構成することができ、また、側縁を複数回折り込むことにより三重以上に重ねるよう構成することもできる。
【0056】
搬送穴形成手段30は、雄型31および雌型32と、図1に鎖線で示すように、雄型31と雌型32の相対的な近接・遠退移動と雄型31および雌型32を保護シート1の搬送と同期して進行移動および後退復帰移動させる移動手段33とを備えている。搬送穴形成手段30は、折り重ね手段20と、テンションロール35との間に配設されている。なお、図1では、単一の雄型31と雌型32を示したが、本発明は、この実施の形態に限定されることはなく、複数の雄型31と雌型32を保護シート1の側縁に沿って連設して、一度の工程で複数の搬送穴11を形成することができるように構成してもよい。なお、搬送穴11を形成するための雄型31と雌型32は、図4〜図6に示すように、搬送穴11の全周にわたって完全に剪断することなく、一部を残して搬送穴11の形状に応じてたとえば略C型などに剪断するよう形成されている。そして、搬送穴形成手段30は、剪断線の両端部を結ぶ線から剪断された部分11aを反対側に折り返すガイド機構を備えている。
【0057】
中抜き手段40は、この実施の形態では、ロータリカッタにより構成されており、送り出しローラ50と並列配置されている。ロータリカッタ40の周面には、中抜きすることにより形成される各窓12の、形状および送り出し方向のピッチに応じて、カッタ刃40aが形成されている。送り出しローラ50とロータリカッタ40の回転軸は、互いに同期して回転速度を制御することが可能なモータなどの駆動手段に接続されている。搬送穴形成手段30とロータリカッタ40および送り出しローラ50との間には、テンションロール35が設けられている。送り出しローラ50は、その周面の最下位置(ロータリカッタに最も近い位置ともいえる)50aがテンションロール35の保護フィルム1と接している周面の最上位置よりも低くなるように配置されている。送り出しローラ50は、その軸方向の幅が保護フィルム1の幅と略同じ幅に形成されており、保護フィルム1の両側縁に形成される搬送穴11に応じて、複数の突起55が送り出しローラ50の軸方向端縁において周方向に配列されている。
【0058】
積層手段80は、この実施の形態では、上下方向に並べて配設された一対の加圧ロール60,61からなる加熱ロールプレスにより構成されている。各加圧ロール60,61の回転軸は、互いに同期して回転速度を制御することが可能なモータなどの駆動手段に接続されている。加圧ロール60,61の少なくとも一方は、たとえば電気ヒータなどの加熱手段を供えており、所定の温度に制御可能に加熱されるよう構成されている。また、両加圧ロール60,61の間隔は、保護シート1と電解質膜2が重ねられた状態で所定の圧力で加圧し得るように設定されている。上方に位置する加圧ロール61は、その軸方向の幅が電解質膜2の幅と略同じ幅に形成されている。下方の加圧ロール60は、搬送穴11に係合可能な突起65が設けられており、送り出しローラとしても機能する。そのため、以下の説明では、場合によって下方の加圧ロール60を送り出しローラと称することがある。すなわち、下方の加圧ロール60は、ロータリカッタ40と並列配置された送り出しローラ50と同様に、その軸方向の幅が保護フィルム1の幅と略同じ幅に形成されており、保護フィルム1の両側縁に形成される搬送穴11に応じて、複数の突起65がその周面の軸方向端縁において周方向に配列されている。下方の加圧ロール60は、その周面の最上位置(上方の加圧ロールに最も近い位置ともいえる)60aが送り出しローラ50の周面の最下位置50aよりも高くなるように配置されている。また、積層された保護フィルム1と電解質膜2は、下方の加圧ロール(送り出しローラ)60から下方に向かって送り出される。積層手段80の後工程では、中抜きされた保護フィルム1の窓12内に露出している電解質膜2の表面に電極層3が塗布される(図7および図8を参照)。
【0059】
なお、各突起55,65は、軸回りに回転駆動される送り出しローラ50および加圧ロール60の回転位相に関わらず、保護シート1の搬送穴11に順次係合・離脱し得るように、その先端が漸次縮径するテーパ状や、断面の短径が送り出しローラ50および加圧ロール60の周方向に向くと共に、断面の長径が送り出しローラ50および加圧ロール60の軸方向に向くように形成された楕円または長円に形成することができる。
【0060】
保護シート1と積層される電解質膜2は、この実施の形態では連続した帯状のもので、搬送穴11が形成されない分だけ、積層される保護フィルム1の幅よりも狭く形成されており、ロール状に巻かれてその中心軸が回転可能に支持されている。電解質膜2のロールと加熱ロールプレス60、61との間にはテンションロール85が設けられている。
【0061】
拘束手段70は、中抜き手段40の送り出しローラ50および積層手段80の送り出しローラ60と対応してそれぞれ設けられている。図3は、図1に示した中抜き手段40に設けられた送り出しローラ50と対応して設けられた拘束手段70を、保護フィルム1の送り出し方向から見た場合の拡大図である。拘束手段70は、複数の支持ロール72A、72B、72C、72D・・・と、各支持ロール72A、72B、72C、72D・・・に架け渡された無端状のベルト71とを備えており、ベルト71は、中抜き手段40の送り出しローラ50および積層手段80の送り出しローラ60に設けられた突起55,65が挿通される穴75が配列されている。この実施の形態においては、4つの支持ロール72A,72B,72C,72Dが回動可能に設けられており、送り出しローラ50,60側に位置する支持ロール72A,72Bは、対応する送り出しローラ50,60の表面からその軸芯側にそれぞれオフセット配置されている。これにより、各支持ロール72A,72B,72C,72Dに架け渡されたベルト71は、その穴75aに送り出しローラ50,60の突起555,65がそれぞれ挿通されて、送り出しローラ50、60の周面に保護フィルム1を介して所定長さにわたって面接合し、保護フィルム1の搬送穴11の周囲を送り出しローラ50,60の突起55,65の周囲に押し付け拘束することができるよう構成されている。
【0062】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されることはなく、たとえば、中抜き手段40と積層手段80に突起55,65を有する送り出しローラ50、60を設けることなく、中抜き手段40と積層手段80との間に突起55,65を有する送り出しローラ50、60を独立して設けると共に、かかる送り出しローラ50、60と対応して拘束手段70を設けることもできる。
【0063】
次に、本発明の燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートの搬送方法を、上述したように構成された装置を用いて、送り出される連続したシートが、保護フィルム1であり、この保護フィルム1の側縁を折り重ねて搬送穴11を形成し、中抜きして複数の窓12を形成し、続いて、電解質膜2と積層して、後工程で保護フィルム1の中抜きされた窓12内であって電解質膜2の表面に電極層3を形成し、各セルの大きさに切断して、燃料電池構成部品の一部を製造する場合により説明する。
【0064】
本発明の方法は、概略、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシート1を送り出し搬送するためのものであって、連続したシート1を中抜きして複数の窓12を形成するとともに、連続したシート1の両側縁に搬送穴11を形成し、シート1の両側縁に形成された搬送穴11に送り出しローラ50,60に設けられた突起55,65を係合し、送り出しローラ50,60の突起55,65の周囲にシート1の搬送穴11の周囲を押し付け拘束しつつ、送り出しローラ50,60を回転駆動するものである。そして、拘束手段70のベルト71を送り出しローラ50,60の周面に面接合させて送り出しローラ50,60と同期駆動することにより、送り出しローラ50,60の突起55,65の周囲にシート1の搬送穴11の周囲を押し付け拘束する。
さらに、この実施の形態においては、連続したシート1の搬送穴11が形成される側縁を幅方向に折り重ね、このシート1の折り重ねられた部分10を互いに接合する。
また、搬送穴11は、その一部を残して搬送穴11の形状に応じて剪断し、この剪断された部分11aを折り返すことにより形成する。
【0065】
保護フィルム1は、複数のセルを連続して構成し得る長さで帯状に形成されており、ロール状に巻かれている。そして、図2に示しように、ロール状に巻かれた部分1aから既に送り出された保護フィルム1は、その両側縁が折り重ね手段20(図1を参照)のガイド機構によってそれぞれ幅方向に折り重ねられ、接合手段によって折り重ねられた部分10が互いに接合されている。そして、この保護フィルム1の折り重ねられ接合された側縁の、保護フィルム1を送り出す方向前方は、搬送穴形成手段30(図1を参照)によって搬送穴11が送り出しローラ50,60の突起55,65のピッチに応じたピッチで形成されており、また、搬送穴11の形成開始位置よりも保護フィルム1を送り出す方向前方であって、両側縁の幅方向の間には、ロータリカッタ40のカッタ刃40aにより中抜きされて、所定のピッチで電極層3を形成する大きさに応じた窓12が形成されている。さらに、保護フィルム1の中抜きされ窓12が形成された部分の保護フィルム1を送り出す方向前方は、電解質膜3が積層手段80(図1を参照)の加熱ロールプレス60,61によって加熱および加圧されることにより積層されている。
【0066】
このように、保護フィルム1は、ロール状に巻かれた部分1aから既に送り出されたことによって、両側縁の折り重ね・接合と、搬送穴11の形成と、中抜きと、電解質膜2の積層とが順次施されている。そして、ロータリカッタ40と送り出しローラ50、および、加熱ロールプレスの加圧ロール60,61をそれぞれ同期させて回転駆動することにより、保護フィルム1は、その搬送穴11が送り出しローラ50,60の突起55,65に係合されているために、ロール状に巻かれた部分1aからさらに送り出され、両側縁の折り重ね・接合と、搬送穴11の形成と、中抜きと、電解質膜2の積層とが順次施されることとなる。このとき、保護フィルム1の両側縁を折り重ね、しかも、この折り重ねた部分を互いに接合するため、保護フィルム1自体は薄く剛性がない場合であっても、搬送穴11を形成する両側縁の剛性が向上し、後に搬送穴11を送り出しローラ50,60の突起55,65に係合しても搬送穴11の周囲が変形することがない。
【0067】
そして、搬送穴形成手段30は、雄型31と雌型32が保護フィルム1の送り出しと同期して送り出し方向に移動しながら相対的に近接移動して、送り出しローラ50,60の突起55,65に応じたピッチで搬送穴11を形成する。このとき、図4〜図6に示したように、雄型31と雌型32がたとえば略C型などに形成されており、保護フィルム1の一部を残して剪断し、搬送穴11の形状の全周にわたって剪断することがなく、その剪断線の両端部を結ぶ線から剪断された部分11aがガイド機構によって反対側に折り返される。一方、搬送穴11を全周にわたって剪断し穿孔する場合には、その剪断された部分がカスとなり、この穿孔によるカスを集めて廃棄するための設備や手間が必要となる。しかしながら、本発明では、完全に穿孔することなく、保護フィルム1の一部を残して剪断し、この剪断された部分11aを反対側に折り返すことにより搬送穴11を形成するため、穿孔により発生するカスを集めて廃棄するための設備や手間を必要としなくて済む。
【0068】
送り出しローラ50の突起55に搬送穴11が係合された保護フィルム1は、この送り出しローラ50と同期して回転駆動されるロータリカッタ40のカッタ刃40aにより、送り出し方向に所定のピッチで、所定の大きさおよび形状の窓12が中抜き形成される。ここで、中抜きされた保護フィルム1は、従来の技術で説明したように送り出し方向にテンションがかかることにより、中抜きされた窓12の側縁が幅方向内側に変位したり(図10)、搬送されるのに伴って、その中抜きされていない部分が幅方向に縮小するよう弛む傾向にある(図11)。しかしながら、本発明では、拘束手段70のベルト71の穴75が保護フィルム1を介して送り出しローラ50の突起55に係合されているため、保護フィルム1の両側縁に形成され送り出しローラ50の突起55に係合された搬送穴12の周囲をベルト71によって拘束しており、保護フィルム1の搬送穴11の周囲を浮き上がらせないように送り出しローラ50の突起55の周囲に押し付けている。そして、図1に示したように、送り出しローラ50がテンションロール35よりも下方にオフセット配置されており、また、送り出しローラ60が送り出しローラ50よりも上方にオフセット配置されており、さらに、拘束手段の支持ロール72A,72Bが送り出しローラ50の軸芯側にオフセット配置されていることにより、保護フィルム1は、送り出しローラ50の周面に一定の長さが面接合された状態に維持されており、確実にその搬送穴11が送り出しローラ50の表面から浮き上がることがない。したがって、特に中抜きし窓12を形成た場合であっても、保護フィルム1が幅方向に縮小するよう弛むのを確実に防止することができる。
【0069】
また、加熱ロールプレスの下方の加圧ロール60の突起65に搬送穴11が係合された保護フィルム1は、上下の加圧ロール60,61が同期して回転駆動されることにより、さらに送り出されて電解質膜2と重ねられ、加熱手段によって加熱されると共に両加圧ロール60,61の間で加圧されることにより、連続して積層されることとなる。このとき、中抜き手段40と同様に、下方の加圧ロール60の突起65には拘束手段70のベルト71の穴75が保護フィルム1を介して係合されているため、保護フィルム1の両側縁に形成され下方の加圧ロール60の突起65に係合された搬送穴11の周囲をベルト71によって拘束しており、保護フィルム1の搬送穴11の周囲を浮き上がらせないように送り出しローラ60の突起65の周囲に押し付けており、しかも、下方の加圧ロール60が送り出しローラ50よりも上方にオフセット配置されると共に、拘束手段70の支持ロール72A,72Bが下方の加圧ロール60の軸芯側にオフセット配置されていることにより、保護フィルム1は、送り出しローラ60の周面に一定の長さが面接合された状態に維持されており、確実にその搬送穴11が送り出しローラ60の表面から浮き上がることがない。したがって、特に中抜きし窓12を形成した場合であっても、保護フィルム1が幅方向に縮小するように弛むのを確実に防止して、適切に電解質膜2と積層することができる。
【0070】
その後、積層された保護フィルム1と電解質膜2は、下方の加圧ロール(送り出しローラ)60から下方に向かって送り出され、たとえば、中抜きされた保護フィルム1の窓12内に露出している電解質膜2の表面に電極層3を塗布する工程、所定のピッチで切断して所定の大きさに成形する工程、折り重ね・接合されて搬送穴11が形成された両側縁を電解質膜2と同じ大きさとなるよう切断する工程などを、必要に応じて行う。
【0071】
次に、本発明の燃料電池のセルを構成する連続したシートの実施の一形態を、燃料電池の複数のセルをそれぞれ構成する連続したシートが保護フィルム1であり、上述したように構成された装置を用いて、上述したように構成された方法に従って製造されたものである場合より説明する。
【0072】
本発明の燃料電池のセルを構成する連続したシート1は、概略、送り出しローラ50,60に設けられた突起55,65と係合される搬送穴11が側縁に形成された、燃料電池の複数のセルを構成するもので、搬送穴11を形成される側縁が幅方向に折り重ねられており、さらに、このシートの折り重ねられた部分10が互いに接合されいる。そして、連続したシート1は、中抜きされて複数の窓12を形成されたものであり、搬送穴11が、一部を残して剪断され、この剪断された部分11aを折り返すことにより形成されたものである。
【0073】
図2に示したように、保護シート1の搬送穴11が形成される両側縁は、幅方向に折り重ねられており、しかも、この折り重ねられた部分10が互いに接合されていることにより、容易に且つ確実に厚さが増して剛性が向上し、折り重ねられた部分10に形成された搬送穴11のズレが防止されて、送り出しローラ50,60の突起55,65に係合されたときの変形を防止することができ、したがって、保護フィルム1が中抜きされて複数の窓12が形成されている場合にも、保護フィルム1は、従来の技術のように、送り出しローラ50,60の回転駆動によって送り出されるときにテンションがかることにより、中抜きされた窓12の側縁が幅方向内側に変位したり(図10を参照)、搬送されるのに伴って、その中抜きされていない窓12と窓12の間の部分が幅方向に縮小するよう弛む(図11を参照)ことがなく、確実且つ適切に送り出し搬送することが可能な構造となっている。
【0074】
さらに、保護フィルム1に形成された搬送穴11は、図4〜図6に示したように、保護フィルム1をたとえば略C型のように一部を残して剪断し、この剪断線の両端部を結ぶ線から剪断された部分11aが反対側に折り返されることにより形成されている。そのため、搬送穴11を全周にわたって完全に剪断し穿孔する場合に発生するカスが、本発明の構成では発生することがなく、したがって、カスを集めて廃棄する手間や設備が不要な構造とすることができる。
【0075】
以上のように構成された保護シート1は、電解質膜2と積層され、その後、保護フィルム1が中抜きされたことにより電解質膜2が露出している部分に電極層3の素材が塗布され、セルの大きさに応じて分離され、図7および図8に参照されるように、ガス拡散層4と多孔体とが積層されて燃料電池構成部品となり、セパレータの間に挟持される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、送り出される連続したシートとして、電解質膜2と積層されて電解質膜2の電極層3が形成されない端縁をガス拡散層4などから保護するためのる保護フィルム1の場合だけでなく、たとえば、ガスケットの成形用金型内にインサートされた電解質膜2の端部を保持するためのものである場合など、中抜きされて複数の窓12が形成されると共に、両側縁に搬送穴11が形成され、燃料電池構成部品として燃料電池のセルに組み込まれるものであれば、適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1:保護フィルム(燃料電池の複数のセルを構成する連続したシート)、 2:電解質膜、 3:電極層、 4:ガス拡散層、 10:側縁の折り重ねられた部分、 11:搬送穴、 11a:剪断されて折り返される部分、 12:窓、 20:折り重ね手段、 30:搬送孔形成手段、 40:ロータリカッタ(中抜き手段)、 50:送り出しローラ、 55:突起、 60下方の加圧ロール(送り出しローラ)、 65:突起、 70:拘束手段、 71:ベルト、 75:ベルトの穴、 80:積層手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートを送り出す搬送装置であって、
前記シートの側縁に形成された搬送穴に係合可能な突起を有する送り出しローラと、
前記シートの搬送穴の周囲を前記送り出しローラの突起の周囲に押し付け拘束する拘束手段とを有することを特徴とする燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【請求項2】
連続したシートの搬送穴が形成される側縁を幅方向に折り重ねる折り重ね手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【請求項3】
連続したシートの搬送穴を形成する搬送穴形成手段を有しており、該搬送穴形成手段は、一部を残して搬送穴の形状に応じて剪断し、該剪断された部分を折り返すものであることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【請求項4】
前記連続したシートを中抜きして複数の窓を形成する中抜き手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【請求項5】
燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートを送り出し搬送する方法であって、
前記シートの側縁に形成された搬送穴に送り出しローラに設けられた突起を係合し、
該送り出しローラの突起の周囲に前記シートの搬送穴の周囲を押し付け拘束しつつ、前記送り出しローラを回転駆動することを特徴とする燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートの搬送方法。
【請求項6】
連続したシートの搬送穴が形成される側縁を幅方向に折り重ねることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送方法。
【請求項7】
連続したシートの搬送穴の一部を残して剪断し、該剪断された部分を折り返すことにより搬送穴を形成することを特徴とする請求項5または6に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送方法。
【請求項8】
送り出しローラに設けられた突起と係合される搬送穴が側縁に形成された、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートであって、
連続したシートの搬送穴を形成される側縁が幅方向に折り重ねられていることを特徴とする燃料電池のセルを構成する連続したシート。
【請求項9】
搬送穴が、一部を残して剪断され、該剪断された部分を折り返すことにより形成されたものであることを特徴とする請求項8に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシート。
【請求項1】
燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートを送り出す搬送装置であって、
前記シートの側縁に形成された搬送穴に係合可能な突起を有する送り出しローラと、
前記シートの搬送穴の周囲を前記送り出しローラの突起の周囲に押し付け拘束する拘束手段とを有することを特徴とする燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【請求項2】
連続したシートの搬送穴が形成される側縁を幅方向に折り重ねる折り重ね手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【請求項3】
連続したシートの搬送穴を形成する搬送穴形成手段を有しており、該搬送穴形成手段は、一部を残して搬送穴の形状に応じて剪断し、該剪断された部分を折り返すものであることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【請求項4】
前記連続したシートを中抜きして複数の窓を形成する中抜き手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送装置。
【請求項5】
燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートを送り出し搬送する方法であって、
前記シートの側縁に形成された搬送穴に送り出しローラに設けられた突起を係合し、
該送り出しローラの突起の周囲に前記シートの搬送穴の周囲を押し付け拘束しつつ、前記送り出しローラを回転駆動することを特徴とする燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートの搬送方法。
【請求項6】
連続したシートの搬送穴が形成される側縁を幅方向に折り重ねることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送方法。
【請求項7】
連続したシートの搬送穴の一部を残して剪断し、該剪断された部分を折り返すことにより搬送穴を形成することを特徴とする請求項5または6に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシートの搬送方法。
【請求項8】
送り出しローラに設けられた突起と係合される搬送穴が側縁に形成された、燃料電池の複数のセルを構成する連続したシートであって、
連続したシートの搬送穴を形成される側縁が幅方向に折り重ねられていることを特徴とする燃料電池のセルを構成する連続したシート。
【請求項9】
搬送穴が、一部を残して剪断され、該剪断された部分を折り返すことにより形成されたものであることを特徴とする請求項8に記載の燃料電池のセルを構成する連続したシート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−212002(P2010−212002A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54997(P2009−54997)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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