説明

燃料電池の活性化方法

【課題】固体高分子形燃料電池を有効に活性化する。
【解決手段】製造直後の固体高分子形燃料電池12に対し、アノード電極26に加湿した水素を供給するとともに、カソード電極28に加湿した窒素を供給しながら電圧を印加する。その後、アノード電極26を基準とし、カソード電極28に対して少なくとも0.8Vまで上昇させた後に少なくとも0.6Vまで下降させるサイクルを繰り返す。電圧の変化速度が5mV/秒以上50mV/秒未満である場合には、電圧を下降させる際に0.7V〜0.6Vの間に還元ピークが出現し、その後、該還元ピーク値が負方向に上昇して最大値となる。さらに、前記サイクルを、前記還元ピークの値が前記最大値から正方向に下降するまで継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子からなる電解質膜を具備する固体高分子形燃料電池を活性化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子からなる電解質膜を具備する燃料電池は、周知の通り、前記電解質膜をアノード電極とカソード電極で挟持した電解質膜・電極接合体を含んで構成され、固体高分子形燃料電池とも呼称される。
【0003】
この種の燃料電池は、十分な発電特性を発現させるべく、組み立て後にエージングが行われるのが通例となっている。ここで、エージングとは、例えば、特許文献1に記載されるように、燃料電池を本運転する前に電解質膜に十分な湿分を付与する予備運転である。
【0004】
このようなエージングとは別に、特許文献2には、アノード電極及びカソード電極を構成する電極触媒層に含まれる触媒の担体であるカーボンブラックとしてLc値が5以上の結晶度が高いものを用いるとともに、アノード電極とカソード電極の間に、1.0〜1.5Vの電圧を印加することが提案されている。なお、電圧は、1.0〜1.5Vの間で上昇・下降が繰り返される。
【0005】
該特許文献2によれば、このように変動する電圧を印加することにより、前記触媒の効率が向上する、とのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−217622号公報
【特許文献2】特開2008−204799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載された活性化方法は、触媒担体のカーボンブラックの結晶性が高いときに有効である、とされている。すなわち、汎用性に制限がある。
【0008】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、触媒を清浄化することで固体高分子形燃料電池の発電特性を向上させることが可能であり、しかも、汎用性に優れる燃料電池の活性化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、固体高分子からなる電解質膜を具備する燃料電池の活性化方法であって、
前記燃料電池に対して電圧を印加する工程と、
前記燃料電池に印加した電圧を少なくとも0.8Vまで上昇させた後に少なくとも0.6Vまで下降させるサイクルを、電圧を下降させる際に0.7V〜0.6Vの間に還元ピークが出現し、さらに、該還元ピークの値が負方向に上昇して最大値となるまで繰り返す工程と、
前記サイクルを、前記還元ピークの値が前記最大値から正方向に下降するまで継続する工程と、
を有することを特徴とする。
【0010】
0.7V〜0.6Vの間の還元ピークは、触媒に吸着した酸素等の不純物が除去される反応が生起されることに基づいて出現すると考えられる。従って、この電圧間に還元ピークを出現させ、その値が負方向に上昇して最大値となった後、正方向に下降するように前記サイクルを継続すると、触媒に吸着している酸素等の不純物が除去され、その結果、該触媒を清浄化することができると推察される。すなわち、触媒の活性な表面が露呈し、活性面積が増大する。その結果、反応場が広域化することにより、固体高分子形燃料電池の発電特性が向上する。すなわち、固体高分子形燃料電池を活性化することができる。
【0011】
しかも、本発明においては、触媒の表面を清浄化することで活性化を図るようにしているので、活性化の度合いが、触媒担体の結晶性に依存して相違することが回避される。すなわち、この活性化方法は、汎用性に優れる。
【0012】
この場合において、電圧を上昇及び下降させる際の変化速度は50mV/秒未満とすることが好ましい。50mV/秒以上とすると、同一時間では固体高分子形燃料電池の活性化の度合いが小さくなる。
【0013】
一方、1mV/秒以下とすると、活性化に長時間が必要となる。従って、変化速度を5〜20mV/秒とすることがより好ましい。
【0014】
なお、このようなサイクルを繰り返すためには、例えば、固体高分子形燃料電池に印加する電圧を、0〜1.0Vの範囲内で上昇及び下降させるようにすればよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、燃料電池に印加した電圧を少なくとも0.6V〜0.8Vの範囲で上昇・下降させるサイクルを、電圧を下降させる際に0.7V〜0.6Vの間に還元ピークが出現し、負方向に次第に上昇して最大値となった後、正方向に下降するまで継続して繰り返すようにしている。これにより触媒の表面が清浄化されて活性表面が増大するので、固体高分子形燃料電池が優れた発電特性を示すようになる。すなわち、固体高分子形燃料電池を有効に活性化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態に係る燃料電池の活性化方法を実施するための活性化処理装置を固体高分子形燃料電池(単位セル)に取り付けた状態を模式的に示した要部概略縦断面図である。
【図2】電圧の変化速度を5mV/秒として活性化処理を行ったとき(実施例2)の所定のサイクルにおける電圧−電流変化曲線である。
【図3】電圧の変化速度を50mV/秒として活性化処理を行ったとき(参考例)の所定のサイクルにおける電圧−電流変化曲線である。
【図4】電圧の変化速度を20mV/秒として活性化処理を行ったとき(実施例1)の所定のサイクルにおける電圧−電流変化曲線である。
【図5】電圧の変化速度を1mV/秒として活性化処理を行ったとき(実施例3)の所定のサイクルにおける電圧−電流変化曲線である。
【図6】参考例、実施例1〜4及び比較例の各単位セルの活性化処理条件、及び出力電圧(セル電圧)を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る燃料電池の活性化方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
はじめに、図1を参照し、活性化処理装置10につき説明する。この活性化処理装置10は、固体高分子形燃料電池(以下、単に燃料電池とも表記する)12に対して電気的に接続されたポテンショスタット14と、該ポテンショスタット14を制御するポテンシャルスイーパ16を有する。
【0019】
図1には、燃料電池12を単位セルとして示している。この単位セルにつき説明すると、該単位セルは、電解質膜・電極構造体18と、この電解質膜・電極構造体18を挟持する第1及び第2セパレータ20、22とを備える。
【0020】
電解質膜・電極構造体18は、電解質膜24がアノード電極26とカソード電極28の間に介装されることで構成される。この中の電解質膜24は、プロトン伝導性を備えるポリマーからなる固体高分子膜で形成される。なお、この種のポリマーとしては、パーフルオロスルホン酸系フッ素樹脂等が例示される。
【0021】
アノード電極26は、電解質膜24の一端面に設けられる。該アノード電極26は、水素等の燃料ガスが供給されるガス拡散層30と、電解質膜24に臨む電極触媒層32とを有する。
【0022】
一方、電解質膜24の他端面には、前記カソード電極28が設けられる。カソード電極28は、アノード電極26と同様に、空気や酸素等の酸化剤ガスが供給されるガス拡散層34と、電解質膜24に臨む電極触媒層36とを有する。
【0023】
上記したアノード電極26及びカソード電極28の構成は周知であり、従って、ガス拡散層30、34及び電極触媒層32、36の詳細な説明は省略する。
【0024】
第1及び第2セパレータ20、22は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板等の金属板からなる。また、これらの金属板の表面に防食用の表面処理が施されたものやカーボン板が用いられる場合もある。
【0025】
これら第1及び第2セパレータ20、22におけるガス拡散層30、34に臨む端面には、燃料ガス流路38、酸化剤ガス流路40が形成される。
【0026】
なお、燃料電池12は、一般的には、上記した単位セルの複数個が互いに積層されたスタックとして構成されるが、ここでは、理解を容易にするために単位セルとして示すものとする。ただし、単位セルであるかスタックであるかに関わらず、後述する活性化処理方法によって活性化することが可能である。
【0027】
活性化処理装置10を構成する前記ポテンショスタット14は、制御線42、44を介して燃料電池12(単位セル)に電気的に接続される。ここで、制御線42、44は、第1及び第2セパレータ20、22に個別に隣接する集電板(図示せず)に接続されるが、電気的に等価であることから、図1では、第1及び第2セパレータ20、22に制御線42、44を接続した状態を示している。
【0028】
ポテンショスタット14には、さらに、制御線46を介してポテンシャルスイーパ16が電気的に接続される。周知の通り、ポテンショスタット14は、燃料電池12に対して所定の電圧を印加する装置であり、ポテンシャルスイーパ16は、ポテンショスタット14が印加する電圧を制御する装置である。すなわち、活性化処理装置10は、例えば、燃料電池12に印加する電圧を、ある任意の値から別の任意の値まで、所定の変化速度で変化させることが可能である。換言すれば、活性化処理装置10は、サイクリックボルタンメトリにおいていう電位の掃引と同様の制御によって印加電圧を経時変化させることや、該経時変化を繰り返すことができる。
【0029】
ポテンショスタット14及びポテンシャルスイーパ16の構成、及び上記した電圧の経時変化(電位の掃引)は、サイクリックボルタンメトリにおいて周知であるので、その詳細な説明は省略する。
【0030】
次に、本実施の形態に係る燃料電池12の活性化方法について説明する。
【0031】
本実施の形態では、製造直後の燃料電池12(単位セル)に対して活性化処理を行う。このため、先ず、組み立てられた燃料電池12(単位セル)を、活性化処理装置10に電気的に接続する。
【0032】
そして、アノード電極26に加湿した水素を供給するとともに、カソード電極28に加湿した窒素を供給する。勿論、水素及び窒素は、それぞれ、第1セパレータ20の燃料ガス流路38、第2セパレータ22の酸化剤ガス流路40を流通する。
【0033】
この状態で、ポテンショスタット14及びポテンシャルスイーパ16の制御作用下に、サイクリックボルタンメトリでいう電位の掃引と同様にして、燃料電池12に対して電圧を印加する。この際には、アノード電極26を基準とし、アノード電極26とカソード電極28との電位差を印加電圧とする。
【0034】
なお、カソード電極28の電極触媒層36の近傍には、組み立て時に進入した空気(酸素)が残留している。この空気がカソード電極28に供給される窒素によって置換されて除去されるに至るまでは、酸素と水素が反応することによって酸化還元電位が生じる。このため、燃料電池12に対する電圧の印加は、アノード電極26、カソード電極28に水素、窒素をそれぞれ供給し、さらに、カソード電極28の電位が0.1V付近で略一定値を示すようになった後に開始することが好ましい。
【0035】
次に、ポテンシャルスイーパ16の制御作用下に、電圧を、0.6〜0.8Vを含むようにして上昇させる。例えば、0〜1.0Vの間で上昇させるようにすればよい。
【0036】
この際の電圧の変化速度は、50mV/秒よりも小さいことが好ましく、5〜20mV/秒であることがより好ましい。変化速度が過度に大きいと、触媒(Pt等)に吸着した酸素を除去する反応が起こり難くなる。また、変化速度が過度に小さいと、後述するサイクルを繰り返すのに長時間を要することになるので、活性化が終了するまでに長時間が必要となる。
【0037】
電圧が所定の値に上昇した後、次に、電圧を、0.8〜0.6Vを含むようにして下降させる。例えば、1.0〜0Vの間で下降させるようにすればよい。勿論、この際の電圧の変化速度は、上昇時の変化速度と同一である。
【0038】
以上の電圧の上昇及び下降を1サイクルとし、以降は、このサイクルを繰り返し行う。換言すれば、カソード電極28の電位を周期的に掃引する。勿論、この際の電圧の変化速度は、上記した上昇及び下降時の変化速度と同一である。
【0039】
電圧の変化速度を5mV/秒、50mV/秒とし同一の所定時間でサイクルを終了したときの任意のサイクルにおける電圧−電流変化曲線(サイクリックボルタンメトリでいうサイクリックボルタモグラムに相当する)を図2、図3にそれぞれ示す。なお、図2においては、2サイクル、5サイクル、10サイクル、15サイクル、30サイクル及び49サイクルの各曲線を抽出して図示しており、図3においては、2サイクル、20サイクル、50サイクル、200サイクル及び490サイクルの各曲線を抽出して図示している。
【0040】
変化速度5mV/秒では、10サイクルまでは0.6〜0.8V付近に還元ピーク(電流)が認められないが、15サイクルから0.65V付近に還元ピークP1が出現している。この0.65V付近の還元ピークP1の値は、30サイクルまで負方向に上昇して最大となった後、0.75V付近の還元ピークP2が大きくなるに連れて正方向に下降している。
【0041】
0.65V付近の還元ピークP1は、触媒である白金に吸着している酸素が白金から脱離するとともに、水素イオンと結合して過酸化水素が生成する反応が生じることに対応して出現したものと推察される。なお、この反応式は、下記の式(1)で表される。
2Pt・O+2H+2e → 2Pt+H …(1)
【0042】
なお、式(1)ではPtを例示しているが、金であっても同様である。
【0043】
そして、還元ピークP1の負方向への上昇、及び正方向への下降は、それぞれ、式(1)に示される反応の進行、及び終息に対応すると考えられる。すなわち、該反応が進行して活発化することに対応して還元ピークP1が負方向に上昇する。一方、Ptが清浄化されると、反応に関与し得る吸着Oの量が低減して該反応が進行することが困難となり、これに対応して還元ピークP1が正方向に下降すると推察される。
【0044】
その一方で、変化速度を50mV/秒に設定した場合、図3に示すように、いずれのサイクルにおいても還元ピークP1が認められない。すなわち、この場合、サイクル回数が増しても、0.65V付近に還元ピークP1が出現することはなく、0.75V付近に還元ピークP2のみが出現する。還元ピークP2は、50サイクルを超えると顕著となる。
【0045】
このことから、電圧の変化速度が大きくなると、上記式(1)に示される反応に関与して消費されるOの量が少なくなると推察される。このことは、図2に示されるサイクルを繰り返した燃料電池12と、図3に示されるサイクルを繰り返した燃料電池12とでは、前者の方が出力電圧(セル電圧)が高いこと、すなわち、活性化の度合いが大きいことからも支持される。
【0046】
以上のように、印可する電圧の変化速度を調整して0.65V付近の還元ピークP1が出現するようにすることで、上記式(1)に示される反応を生じさせ、これにより、触媒表面を清浄化することができる。その結果、触媒の活性な表面の露呈面積が大きくなるので、燃料電池12の発電特性が向上する。換言すれば、燃料電池12が有効に活性化される。
【0047】
なお、上記した実施の形態では、製造直後の燃料電池12に対して活性化処理を行う場合について説明したが、本発明は特にこの場合に限定されるものではなく、例えば、燃料電池12の運転(発電)を一旦停止した後に再開する場合や、長時間運転を行って触媒の活性が低下した場合等に適用することもできる。
【実施例】
【0048】
図1に示すように、燃料電池12を単位セルとして組み立てた。この単位セルに対して活性化処理装置10を電気的に接続するとともに、燃料ガス流路38を介して加湿した水素をアノード電極26に供給し、且つ酸化剤ガス流路40を介して加湿した窒素をカソード電極28に供給した。その後、カソード電極28の電位が0.1V付近で略一定値となったことを確認し、0.08〜1.0Vの範囲で電圧を上昇及び下降させるサイクルを開始した。
【0049】
なお、電圧の変化速度は、50mV/秒、20mV/秒、5mV/秒、1mV/秒、0.1mV/秒のいずれかとした。各々を参考例、実施例1〜4とする。
【0050】
また、同一構成の単位セルを組み立てたが、電圧印加は行わなかった。これを比較例とする。
【0051】
実施例1、実施例3の電圧−電流変化曲線を、図4及び図5にそれぞれ示す。なお、図2及び図3は、それぞれ、実施例2、参考例の電圧−電流変化曲線である。
【0052】
図4に示すように、変化速度が20mV/秒である実施例1においては、30サイクル辺りから0.65V付近に還元ピークP1が出現している。この還元ピークP1は、負方向に上昇して80サイクル辺りで最大となった後、0.75V付近の還元ピークP2が大きくなるにつれて正方向に下降している。
【0053】
また、変化速度5mV/秒の実施例2においても、上述の通り、0.65V付近に還元ピークP1が出現し、サイクル数が増すに従って負方向に上昇して最大値を示した後、正方向に下降している(図2参照)。
【0054】
さらに、変化速度が1mV/秒である実施例3においても、図5に示すように、0.65V付近に、13サイクル付近まで負方向に上昇して最大値を示した後、0.75V付近の還元ピークP2が負方向に大きくなるにつれて正方向に下降する還元ピークP1が認められる。
【0055】
以上の電圧印加を終えた参考例、実施例1〜4の単位セルと、比較例の単位セルにつき、アノード電極26に加湿した水素を供給するとともに、カソード電極28に加湿した空気を供給し、電流密度1.0A/cmで発電させ、このときの出力電圧(セル電圧)を測定した。参考例、実施例1〜4及び比較例の活性化処理条件及び出力電圧の測定結果を図6に示す。なお、図6中、参考例、実施例1〜4及び比較例の出力電圧は、電圧印加を行わなかった比較例の出力電圧を100%としたときの相対値(%)で表記した。
【0056】
この図6から、参考例、実施例1〜4における出力電圧が比較例に比して大きいことが分かる。このことは、上記の電圧印加によって単位セルが有効に活性化されていることを意味する。
【0057】
特に、実施例1、2では、参考例と電圧印加時間が同一でありながら、該参考例に比して出力電圧が向上している。上記したように、0.65V付近では式(1)に示される反応が起こることから、電圧の変化速度を5mV/秒以上50mV/秒未満とすることによって触媒から酸素が有効に除去され、その結果、該触媒の活性面積が比較的広範囲に露呈したと推察される。
【0058】
また、実施例1、2では、実施例3、4に比して電圧印加時間が短いにも関わらず、略同等の出力電圧が得られている。このことから、電圧の変化速度を5mV/秒以上50mV/秒未満とすることにより、燃料電池12を比較的短時間で効率よく活性化し得ることが分かる。
【符号の説明】
【0059】
10…活性化処理装置 12…固体高分子形燃料電池
14…ポテンショスタット 16…ポテンシャルスイーパ
18…電解質膜・電極接合体 20、22…セパレータ
24…電解質膜 26…アノード電極
28…カソード電極 30、34…ガス拡散層
32、36…電極触媒層 38…燃料ガス流路
40…酸化剤ガス流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体高分子からなる電解質膜を具備する燃料電池の活性化方法であって、
前記燃料電池に対して電圧を印加する工程と、
前記燃料電池に印加した電圧を少なくとも0.8Vまで上昇させた後に少なくとも0.6Vまで下降させるサイクルを、電圧を下降させる際に0.7V〜0.6Vの間に還元ピークが出現し、さらに、該還元ピークの値が負方向に上昇して最大値となるまで繰り返す工程と、
前記サイクルを、前記還元ピークの値が前記最大値から正方向に下降するまで継続する工程と、
を有することを特徴とする燃料電池の活性化方法。
【請求項2】
請求項1記載の活性化方法において、前記燃料電池に印加した電圧を上昇及び下降させる際の変化速度を50mV/秒未満とすることを特徴とする燃料電池の活性化方法。
【請求項3】
請求項2記載の活性化方法において、前記燃料電池に印加した電圧を上昇及び下降させる際の変化速度を5〜20mV/秒とすることを特徴とする燃料電池の活性化方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性化方法において、前記燃料電池に印加する電圧を0〜1.0Vの範囲内で上昇及び下降させることを特徴とする燃料電池の活性化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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