説明

燃料電池へのガスの継続供給システム

【課題】漏洩検知機能を備えたガスメーターを介しても、燃料電池へガスを継続的に供給することが可能なシステムを提供する。
【解決手段】燃料電池ユニット1と、ガスの供給源から燃料電池ユニット1に至るガスの流路2と、流路2の途中に設けられる漏洩検知機能を備えたガスメーター3と、流路2のガスメーター3よりも下流側の部分に設けられるバルブ4と、を備える。流路2のバルブ4よりも下流側の部分にバッファタンク5を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏洩検知機能を備えたガスメーターを介してガスを燃料電池へ継続的に供給するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりガスの需要家等において、供給源からガスメーターを介して都市ガス等の燃料ガス(単にガスという)が供給されており、このガスを使用してガス使用機器を利用している。ガスメーターは通常、漏洩検知機能を備えており、本発明におけるガスメーターも漏洩検知機能を備えたものが対象となる。漏洩検知機能は一般的に、所定計測期間(例えば30日等)において、単位時間当たりの流量が所定流量(例えば1.5[L/h])を下回ることが一度も無いかまたは所定回数に達しない場合に、「漏洩有り」と判定して漏洩を検知するものである。なおガスメーターは、超音波式メーターや膜式メーター等、計測方式は特に限定されない。
【0003】
このような従来のガスメーターは、ガス使用機器として、ガスコンロや湯沸し器等のようにガスを継続的に(例えば数時間、数日に亘って)使用しないものを想定して設計されている。この想定下では、所定計測期間(例えば30日等)中にガスが所定流量(例えば1.5[L/h])を下回ることが無いのは漏洩以外に有り得ないため、この場合に「漏洩有り」と判定することで漏洩を精度よく検知することができていた。
【0004】
ところで近年、ガスを継続的に使用する燃料電池を用いた発電システムが利用されるようになってきている。ガスを継続的に使用する燃料電池を使用する場合、ガスの漏洩が無い場合でも、所定計測期間中にガスの流量が所定流量を下回ることが無くなるため、「漏洩有り」と判定されて漏洩が誤検知されてしまうものであった。
【0005】
そこで、ガスメーターによる漏洩の誤検知を回避する方法として、発電システム側でガスの流量を調整するものが多数考案されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
漏洩の誤検知を回避する一般的な方法は、ガスの流量を一時的に所定流量未満にまで下げることで、「漏洩有り」と判定されるのを回避するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−185916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この場合、燃料電池へのガスの供給が一時的にせよ停止されるため、燃料電池への継続的な使用ができなくなるものであった。燃料電池においては、停止と起動が繰り返されると、劣化が促進されてしまうとともに省エネ性が低下してしまうという問題がある。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、漏洩検知機能を備えたガスメーターを介しても、燃料電池へガスを継続的に供給することが可能なシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る燃料電池へのガスの継続供給システムは、
燃料電池ユニット1と、ガスの供給源から前記燃料電池ユニット1に至るガスの流路2と、前記流路2の途中に設けられる漏洩検知機能を備えたガスメーター3と、前記流路2の前記ガスメーター3よりも下流側の部分に設けられるバルブ4と、を備え、
前記流路2の前記バルブ4よりも下流側の部分にバッファタンク5を設けることを特徴とする。
【0011】
これにより、ガスメーター3による漏洩の誤検知を回避するため、供給源からのガスの供給を一時的に停止した場合でも、バッファタンク5に充填されたガスを使用することで、燃料電池ユニット1にガスを継続的に供給することが可能となる。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、
前記流路2の前記バルブ4よりも下流側で且つ前記バッファタンク5よりも上流側の部分にコンプレッサー6を設けることを特徴とする。
【0013】
これにより、バッファタンク5に(重量比で)より多くのガスを充填することができ、バッファタンク5の小型化と設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0014】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、
前記燃料電池ユニット1は、ガスの流量を調整する流量調整部19と、前記流量調整部19を制御する制御部18とを備え、
前記制御部18は、前記バルブ4が閉となる時にガスの流量を使用状態における最小流量となるように前記流量調整部19を制御することを特徴とする。
【0015】
これにより、ガスの流量を最小に抑えることができて、より一層バッファタンク5の小型化と設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、燃料電池ユニットの停止と起動を繰り返すことにより劣化が促進されるのを抑えるとともに、起動に要する大きなエネルギーが不要となって省エネ性が低下するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の燃料電池へのガスの継続供給システムの一実施形態の概略構成図である。
【図2】同上における燃料電池ユニットの概略構成図である。
【図3】同上におけるガスメーターの概略構成図である。
【図4】他の実施形態の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図1乃至図3に基いて説明する。本発明は漏洩検知機能を備えたガスメーターを介してガスを燃料電池へ継続的に供給するシステムに関し、図1に示すように、燃料電池ユニット1と、燃料電池ユニット1にガスを供給するための流路2と、流路2の途中に設けられるガスメーター3とバルブ4とを備えている。
【0019】
ガスの供給源は、ガスボンベやその他でもよく特に限定されない。本実施形態では、ガスは都市ガスであり、ガスの供給源から燃料電池ユニット1に至るガスの流路2は、本実施形態ではガスの本管から分岐する支管とする。燃料電池ユニット1については後述する。
【0020】
ガスメーター3は、漏洩検知機能を備えたもので、流路2の途中に設けられる。また、ガスメーター3の流量計測方式は、超音波式の他、膜式等、特に限定されない。本実施形態におけるガスメーター3は、超音波式のガスメーター3であり、後述する。
【0021】
バルブ4は、流路2のガスメーター3よりも下流側の部分に設けられるもので、本実施形態では電磁バルブであるが、特に電磁バルブに限定されない。
【0022】
燃料電池ユニット1について概略説明するが、燃料電池ユニット1は特に下記の形態に限定されないものである。
【0023】
燃料電池ユニット1は、図2の概略構成図に示すように、燃料改質部1aと燃料電池部1bとで主体が構成される。
【0024】
燃料改質部1aは、ガスから水素を製造するためのもので、上流側から順に脱硫器11、改質器12、CO変成器13、CO除去器14を備えている。脱硫器11はガスを脱硫するためのもので、脱硫器11で脱硫されたガスには、水蒸気を混合するようになっており、脱硫され且つ水蒸気が混合されたガスは改質器12に送られる。改質器12は、バーナ12aを有しており、バーナ12aを燃焼させることで、改質触媒を加熱しながら水蒸気が混合されたガスを水蒸気改質反応により改質するようになっている。そして、改質器12で改質されたガスはCO変成器13でCO変成を行い、CO変成器13でCO変成を行ったCO変成ガスはCO除去器14に送られ、CO除去器14でCO選択酸化を行って一酸化炭素を除去してCO濃度の低い水素リッチの改質ガスを製造するようになっている。
【0025】
燃料電池部1bは、アノード(燃料極)15と電解質16とカソード(空気極)17が層となって構成されるセルを、セパレータを介して多数積層して構成してある。そして、燃料改質部1aで製造した水素リッチの改質ガスをアノード15に供給し、カソード17にブロアから空気(酸素)を供給することで、水素と酸素が電気化学的反応をして発電される。また、この発電の際の発熱を回収する熱交換部が燃料電池部1bに設けられている。また、発電により生じた直流を交流にするインバーターが設けられている。
【0026】
また、脱硫器11内の温度を検出する温度センサと、CO変成器13内の温度を検出する温度センサが設けられており、これらの温度センサによる脱硫器11内の検出温度又は/及びCO変成器13内の検出温度の情報に基づいて、マイクロコンピュータからなる制御部18がバーナ12aを制御して、改質器12の温度を制御するようになっている。また、脱硫器11とバーナ12aへのガスの供給路の流量を調整する流量調整部19としての調整弁19a,19bが設けられており、制御部18が調整弁19a,19bを調整することでガスの流量を調整し、発電量を調整するようになっている。
【0027】
次に、本実施形態におけるガスメーター3について説明する。
【0028】
ガスメーター3は、図3に示すように、ガスの流路31の適宜箇所に配置され、遮断弁32と流量計測部33とを備えている。流量計測部33は、流路31の上流側と下流側とにそれぞれ超音波の送受波を行う超音波センサ33a,33bを配置した構成を有する。2個の超音波センサ33a,33bは、互いに対向するとともに、超音波センサ33a,33bの間で送受される超音波の進行方向とガスが流路31を通過する方向とが角度θをなして交差するように配置される。両超音波センサ33a,33bは、メーター制御部34に接続される。メーター制御部34は、マイクロコンピュータからなり、レジスタやタイマー機能を備え、流量計測部33の動作の制御、流量計測部33の出力によるガスの流量の計測(後述する)、流量計測部33の出力に基づく遮断弁2の制御などを行う。ガスの使用量は流量計測部33でのガスの流量の計測結果に基づいてメーター制御部34で求められメーター制御部34に接続した液晶表示器からなる表示部35に表示される。
【0029】
メーター制御部34にはEEPROMのような書換可能な不揮発性のメモリ36が接続される。また、メーター制御部34には制御信号によって遮断弁32を駆動する遮断弁駆動回路37、超音波センサ33a,33bの各一方を駆動して超音波パルスを送波させるとともに他方で受波した超音波パルスの波形整形を行う超音波センサ駆動回路38も接続される。メーター制御部34では超音波センサ駆動回路8を介して超音波センサ33a,33bの送波タイミングを制御しており、送波を指示してから超音波センサ駆動回路38により受波に対応する出力が得られるまでの時間を超音波の伝播時間として求める。
【0030】
図3に示すガスメーター3を用いて流量を計測するには、上流側の超音波センサ33aから下流側の超音波センサ33bに向かって超音波を送波したときの超音波の伝播時間t1と、下流側の超音波センサ33bから上流側の超音波センサ33aに向かって超音波を送波したときの超音波の伝播時間t2とを用いる。いま、両超音波センサ33a,33bの間の距離をd、ガスの流速をv、音速をcとすると、以下の関係が得られる。
(c+v・cosθ)t1=d
(c−v・cosθ)t2=d
従って、流速vは、
v=(d/2cosθ){(1/t1)−(1/t2)}
のように表すことができる。ここで、一般に超音波センサ33a,33bの間の距離dは8〜10[cm]程度に設定され、流路31内での音速cは約400[m/sec]であるから、伝播時間t1,t2は200〜250[μsec]程度になる。
【0031】
このように求めた流速vに流路31の断面積Sを乗じた値が瞬時流量qになる。つまり、瞬時流量qは次式で表される。
q=v・S
ガスメーター3では各超音波センサ33a,33bをそれぞれ送波側として超音波パルスを1回ずつ送受波する動作が1組の動作になり、少なくとも1組の動作を行えば瞬時流量qを求めることができる。また、瞬時流量qは間欠的に計測され、瞬時流量qを求めた時間間隔(例えば2〜3[sec])を瞬時流量qに乗じることによって積算流量Qが求められる。このようにして求めた各時間間隔毎の積算流量Qを積算した値は流路31を通過したガスの総量(ガスの使用量)に相当する。
【0032】
ここで、上記のように1個の超音波パルスのみで流速vを決定すると十分な計測精度が得られないため、計測精度を高めるためにシングアラウンド法と称される方法により計測処理を行う。すなわち、シングアラウンド法においては、両超音波センサ33a,33bのうちの一方から複数個の超音波パルスを繰り返して発生させた後、遅延時間をおいて他方から複数個の超音波パルスを繰り返して発生させ、複数個の平均をとるものである。例えば、一方の超音波センサ33aから100個の超音波パルスを繰り返して発生させて計測した合計伝播時間を個数の100で除した値が、平均された伝播時間t1となり、その後に他方の超音波センサ33bから100個の超音波パルスを繰り返して発生させて計測した合計伝播時間を個数の100で除した値が、平均された伝播時間t2となる。各合計伝播時間は200〜250[μsec]×100=20〜25[msec]程度であり、両合計伝播時間を合わせても40〜50[msec]程度であり、瞬時流量qを求めるための上記時間間隔(例えば2〜3[sec])内に充分に収まるものである。
【0033】
ガスメーター3の漏洩検知機能について説明する。
【0034】
本実施形態では、ガスメーター3は、所定計測時間(例えば2[min])における単位時間当たりの流量の計測を間欠的に行う。更に説明すると、所定計測時間の2[min]の間、上記のように2[sec]の時間間隔で60個の瞬時流量qを計測し、その平均値qave,最大値qmax,最小値qminを求めて記憶する。
【0035】
次に、求めた平均値qave,最大値qmax,最小値qminから漏洩判定を行う。漏洩判定は、「所定計測時間における流量の平均値qaveが所定流量(例えば1.5[L/h])を下回っており、かつ、所定計測時間における流量のばらつき(最大値qmax−最小値qmin)が所定範囲(例えば10[L/h])に収まっている」場合に「漏洩無し(暫定)」と判定され、「漏洩無し(暫定)」と判定された回数がカウントされていく。このため、ガスの漏洩時やガスの使用中には「漏洩無し(暫定)」と判定されることはない。
【0036】
そして、所定計測期間(例えば27日)に亘って「漏洩判定」が行われ、「漏洩無し(暫定)」と判定された回数が所定回数(例えば10回)に達した場合に「漏洩無し」と判定され、所定回数に達しなかった場合に「漏洩有り」と判定される。
【0037】
「漏洩無し」と判定された場合には、所定計測期間の途中であっても、「漏洩無し(暫定)」の判定回数をリセットすると共にタイマーをリセットして当該漏洩検知を終了し、改めてタイマーを開始させるとともに「漏洩無し(暫定)」の判定回数のカウントを開始して、次の漏洩検知を行う。
【0038】
「漏洩有り」と判定された場合には、表示部35において「漏洩有り」の旨の表示を行うものである。なお、上述した所定計測時間、所定流量、所定範囲、所定計測期間、所定回数は特に限定されるものではない。
【0039】
そして、燃料電池ユニット1を利用し継続的にガスを使用する場合に「漏洩有り」と判定されるのを回避するため、所定計測期間内に、ガスメーター3を通過するガスの所定計測時間における流量の平均値qaveが所定流量を下回り、かつ、所定計測時間における流量のばらつきが所定範囲に収まる状態を、実際に所定回数作り出すものである。すなわち、少なくとも所定計測時間、バルブ4を閉じて供給源からのガスの供給を停止する「漏洩有り判定回避処理」を、所定計測期間内に所定回数行うものである。
【0040】
ところが、燃料電池ユニット1は、停止と起動を繰り返すと、温度変化のサイクルが生じて劣化が促進されてしまうとともに、起動時に大きなエネルギーが必要で省エネ性が低下してしまうため、停止と起動は好ましくない。
【0041】
そこで本発明においては、供給源からのガスの供給を停止して漏洩有り判定回避処理を行う場合でも、燃料電池ユニット1において好ましくない停止と起動を行わず、燃料電池ユニット1へガスを継続的に供給することを可能にしている。
【0042】
具体的には、流路2のバルブ4よりも下流側の部分に、バッファタンク5を設けるものである。
【0043】
バッファタンク5の容量は、供給源からのガスの供給が停止される間(少なくとも所定計測時間より長い時間)に、燃料電池ユニット1で消費されるガスの量に設定される。例えば、一般的な燃料電池ユニット1でのガスの消費量は200[L/h]であり、供給源からのガスの供給が停止される時間を5[min]とすると、この間のガスの消費量は約17[L]となる。なお、バッファタンク5の容量は適宜設定されるもので、前記容量に限定されるものではない。
【0044】
バッファタンク5は、開閉弁(図示せず)を備えており、通常は開閉弁を閉じてバッファタンク5にはガスが充填されない状態とし、バルブ4を閉じて漏洩有り判定回避処理を行う前に、開閉弁を開いてバッファタンク5にガスを充填する。その後、バルブ4を閉じて漏洩有り判定回避処理を行う間、バッファタンク5に充填されたガスを使用して燃料電池ユニット1を駆動するものである。また、バッファタンク5の開閉弁は、特に設けなくてもよい。本実施形態では、電磁バルブ4の開閉は所定の操作部を手動で操作して行うものとする。漏洩有り判定回避処理においてバルブ4を閉じておく時間は、所定計測時間の2倍よりも短いと、ガスメーター3での2回分の所定計測時間にまたがってしまい、所定計測時間全体に亘って漏洩有り判定回避処理が行われない場合がある。この場合、「漏洩無し(暫定)」の判定は行われない。このため、漏洩有り判定回避処理を継続する時間(「回避処理継続時間」とする)は、所定計測時間の2倍以上とするのが好ましい。
【0045】
以上のようなシステムにおいては、供給源からのガスの供給を停止して漏洩有り判定回避処理を行う間も、バッファタンク5に充填されたガスを使用して燃料電池ユニット1を駆動することが可能となり、燃料電池ユニット1へのガスの供給を停止することなく継続して行うことができる。これにより、燃料電池ユニット1の停止と起動を繰り返すことによる劣化の促進を抑えるとともに、起動に要する大きなエネルギーが不要となって、省エネ性が低下するのを防止することができる。
【0046】
また本実施形態では、流路2のバルブ4よりも下流側で且つバッファタンク5よりも上流側の部分にコンプレッサー6を設けてある。コンプレッサー6を設ける場合には、バッファタンク5は耐圧性を備えるものとする。これにより、コンプレッサー6を設けない場合に比べ、バッファタンク5に(重量比で)より多くのガスを充填することができ、バッファタンク5の小型化と設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0047】
次に、他の実施形態について図4に基いて説明する。本実施形態は、図1乃至図3に示す上記実施形態と大部分において同じであるため、同じ構成については同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0048】
本実施形態においては、燃料電池ユニット1の制御部18とガスメーター3のメーター制御部34とが有線または無線による通信回線で接続されると共に、制御部18はバルブ4とコンプレッサー6とバッファタンク5の開閉弁を制御するものである。そして、上記実施形態においては、バルブ4を手動で開閉して漏洩有り判定回避処理を行っていたが、本実施形態においては、制御部18により、自動で漏洩有り判定回避処理を行う「漏洩有り判定回避処理モード」が実行可能である。
【0049】
制御部18は、前回の漏洩有り判定回避処理モード終了時からの時間を、内部に備えるタイマー機能により計測し、所定期間(例えば20日等、所定計測期間より短い期間)が経過すると、漏洩有り判定回避処理モードを自動的に開始する。
【0050】
漏洩有り判定回避処理モードが開始すると、制御部18は、まず、燃料電池部1bでの発電量を最小の発電量に抑え、ガスの流量(消費量)を最小流量(最小消費量)に抑えるように制御する(これを「ミニマム抑制」とする)。
【0051】
次に、バッファタンク5の開閉弁を開き、コンプレッサー6を駆動して、バッファタンク5に所定の圧力でガスを充填する。なお、本実施形態ではコンプレッサー6が設けてあるが、コンプレッサー6は特に設けなくてもよく、また、バッファタンク5の開閉弁も特になくてもよい。
【0052】
そして、バルブ4を閉じ、回避処理継続時間バルブ4を閉じた状態を継続する。回避処理継続時間が経過すると、ガスメーター3にて「漏洩無し(暫定)」判定がなされて1回カウントされる。回避処理継続時間が経過するまでの間、バッファタンク5に充填されたガスを使用して燃料電池ユニット1を駆動する。その後、バルブ4を開くとともに、ミニマム抑制を解除する。このサイクルを上記所定回数繰り返した後、漏洩有り判定回避処理モードを終了する。
【0053】
本実施形態においては、自動で漏洩有り判定回避処理を行うことが可能である。また、ミニマム抑制を行ってガスの消費量を最小に抑えるため、より一層バッファタンク5の小型化と設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0054】
また、本実施形態では、バルブ4を閉じ、回避処理継続時間バルブ4を閉じた状態を継続した後、バルブ4を開き、ミニマム抑制を解除して1サイクルを終了しているが、バルブ4を開いてミニマム抑制を解除するサイクルの終了動作を、回避処理継続時間が経過した時点で行うのではなく、ガスメーター3が「漏洩無し(暫定)」判定を行ったことを制御部18が通信回線を介して認識した時点で行うようにしてもよい。
【0055】
また、制御部18が漏洩有り判定回避処理モードを開始する時にこの開始情報をメーター制御部34に通信回線を介して送信し、メーター制御部34は開始情報を受けて、漏洩判定における所定計測時間の計測を開始してもよい。これにより、回避処理継続時間を、所定計測時間と略同じにすることができ、回避処理継続時間の短縮化を図ることができる。これにより、回避処理継続時間におけるガスの消費量を抑えることが可能となり、より一層バッファタンク5の小型化と設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、継続的にガスを使用する機器として燃料電池ユニット1を例に挙げて説明したが、床暖房装置や、ガスエンジンやガスタービンを駆動源とする発電装置等、燃料電池ユニット1以外のガス使用機器の場合でも、本発明のガスの継続供給システムを適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 燃料電池ユニット
1a 燃料改質部
1b 燃料電池部
18 制御部
19 流量調整部
2 流路
3 ガスメーター
34 メーター制御部
4 バルブ
5 バッファタンク
6 コンプレッサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池ユニットと、ガスの供給源から前記燃料電池ユニットに至るガスの流路と、前記流路の途中に設けられる漏洩検知機能を備えたガスメーターと、前記流路の前記ガスメーターよりも下流側の部分に設けられるバルブと、を備え、
前記流路の前記バルブよりも下流側の部分にバッファタンクを設けることを特徴とする燃料電池へのガスの継続供給システム。
【請求項2】
前記流路の前記バルブよりも下流側で且つ前記バッファタンクよりも上流側の部分にコンプレッサーを設けることを特徴とする請求項1記載の燃料電池へのガスの継続供給システム。
【請求項3】
前記燃料電池ユニットは、ガスの流量を調整する流量調整部と、前記流量調整部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記バルブが閉となる時にガスの流量を使用状態における最小流量となるように前記流量調整部を制御することを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池へのガスの継続供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−197996(P2012−197996A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63586(P2011−63586)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】