説明

燃料電池システム、燃料電池制御システム、燃料電池システム制御方法、及びプログラム

【課題】安定的に電力を供給することができる燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】
複数の燃料電池と、燃料電池を起動させるために要する時間である起動時間を予め格納する起動時間格納部と、複数の燃料電池のうちで現在駆動している燃料電池によって発電可能な電力量の合計である総発電量を算出する総発電量算出部と、現在から起動時間格納部が格納している起動時間後の電力需要量が、総発電量算出部が算出した総発電量より大きくなる確率であるオーバーロード確率を算出するオーバーロード確率算出部と、オーバーロード確率算出部が算出したオーバーロード確率が、予め定められた確率である基準確率よりも大きい場合に、複数の燃料電池のうちで現在駆動していない少なくとも1つの燃料電池を起動させる起動制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム、燃料電池制御システム、燃料電池システム制御方法、及びプログラムに関する。特に本発明は、燃料電池を制御する燃料電池制御システム、当該燃料電池制御システムを備えた燃料電池システム、及び当該燃料電池制御システム用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池を電源として用いた分散型電源システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このシステムでは、電力系統に接続された負荷の要求電力が燃料電池の発電電力を超えた場合、系統から電力が負荷に供給される。
【特許文献1】特開2004-039506
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
燃料電池が発電するためには、燃料電池に含まれる改質装置、燃料電池セル等の機器を動作温度にまで加温する必要がある。したがって、燃料電池が停止している状態から電力を供給し始めることができるまでには数十分程度の時間を要する。このため、例えば上記特許文献1のシステムにおいて、運転中の燃料電池による発電電力を要求電力が超えてから新たに燃料電池を駆動し始めた場合、発電電力が要求電力に達するまでに不足する量の電力を系統から供給を受ける必要がある。この場合、系統からの電力の供給コストが嵩んでしまう。このため、系統等外部から供給される電力量を削減することができ、かつ燃料電池から負荷に電力を安定的に供給することができるシステムが望まれている。
【0004】
そこで本発明は、上記の課題を解決することができる燃料電池システム、燃料電池制御システム、燃料電池システム制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の形態における燃料電池システムは、複数の燃料電池と、燃料電池を起動させるために要する時間である起動時間を予め格納する起動時間格納部と、複数の燃料電池のうちで現在駆動している燃料電池によって発電可能な電力量の合計である総発電量を算出する総発電量算出部と、現在から起動時間格納部が格納している起動時間後の電力需要量が、総発電量算出部が算出した総発電量より大きくなる確率であるオーバーロード確率を算出するオーバーロード確率算出部と、オーバーロード確率算出部が算出したオーバーロード確率が、予め定められた確率である基準確率よりも大きい場合に、複数の燃料電池のうちで現在駆動していない少なくとも1つの燃料電池を起動させる起動制御部とを備える。
【0006】
本発明の第2の形態における燃料電池制御システムは、燃料電池を起動させるために要する時間である起動時間を予め格納する起動時間格納部と、複数の燃料電池のうちで現在駆動している燃料電池によって発電可能な電力量の合計である総発電量を算出する総発電量算出部と、現在から起動時間格納部が格納している起動時間後の電力需要量が、総発電量算出部が算出した総発電量より大きくなる確率であるオーバーロード確率を算出するオーバーロード確率算出部と、オーバーロード確率算出部が算出したオーバーロード確率が、予め定められた確率である基準確率よりも大きい場合に、複数の燃料電池のうちで現在駆動していない少なくとも1つの燃料電池を起動させる起動制御部とを備える。
【0007】
起動制御部は、燃料電池を新たに起動させた場合に、既に駆動している燃料電池の発電量の合計を低減させてよい。起動制御部は、既に駆動している燃料電池の発電量の合計を、新たに起動させた燃料電池の発電量の分だけ低減させてよい。
【0008】
複数の日における電力需要量の変動履歴を格納する履歴格納部と、現在の時刻から所定範囲内の時刻の電力需要量が、現在の電力需要量から所定範囲内である少なくとも1つの変動履歴を履歴格納部から抽出する履歴抽出部と、履歴抽出部が抽出した変動履歴に基づいて、現在から起動時間格納部が格納している起動時間後の電力需要量の確率分布を算出する需要量分布算出部とをさらに備え、オーバーロード確率算出部は、需要量分布算出部が算出した電力需要量の確率分布からオーバーロード確率を算出してよい。
【0009】
時刻毎の電力需要量の確率分布を格納する需要量分布格納部と、現在から起動時間格納部が格納している起動時間後の電力需要量の確率分布を需要量分布格納部から取得する需要量分布取得部とをさらに備え、オーバーロード確率算出部は、需要量分布取得部が取得した電力需要量の確率分布からオーバーロード確率を算出してよい。
【0010】
本発明の第3の形態における燃料電池制御方法は、燃料電池を起動させるために要する時間である起動時間を予め格納する起動時間格納段階と、複数の燃料電池のうちで現在駆動している燃料電池によって発電可能な電力量の合計である総発電量を算出する総発電量算出段階と、現在から、起動時間格納段階において格納されている起動時間後の電力需要量が、総発電量算出段階において算出された総発電量より大きくなる確率であるオーバーロード確率を算出するオーバーロード確率算出段階と、オーバーロード確率算出段階において算出されたオーバーロード確率が、予め定められた確率である基準確率よりも大きい場合に、複数の燃料電池のうちで現在駆動していない少なくとも1つの燃料電池を起動させる起動制御段階とを備える。
【0011】
本発明の第4の形態によると、複数の燃料電池を制御する燃料電池制御システム用のプログラムであって、燃料電池制御システムを、燃料電池を起動させるために要する時間である起動時間を予め格納する起動時間格納部、複数の燃料電池のうちで現在駆動している燃料電池によって発電可能な電力量の合計である総発電量を算出する総発電量算出部、現在から起動時間格納部が格納している起動時間後の電力需要量が、総発電量算出部が算出した総発電量より大きくなる確率であるオーバーロード確率を算出するオーバーロード確率算出部、オーバーロード確率算出部が算出したオーバーロード確率が、予め定められた確率である基準確率よりも大きい場合に、複数の燃料電池のうちで現在駆動していない少なくとも1つの燃料電池を起動させる起動制御部として機能させる。
【0012】
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となりうる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、燃料電池の発電量が電力需要に対して将来不足することが予測される場合に、予め燃料電池を起動することができる燃料電池システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
図1は、一実施形態に係る燃料電池システム100のブロック構成の一例を示す。燃料電池システム100は、燃料電池の発電効率が低くなることを防ぎつつ、安定的に電力を供給することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。燃料電池システム100は、電力供給装置110、燃料電池制御システム102、及び電力負荷105を備える。電力供給装置110は、複数の燃料電池120及び蓄電池125を有する。燃料電池制御システム102は、総発電量算出部130、駆動判断部135、起動制御部140、起動時間格納部150、履歴格納部160、オーバーロード確率算出部170、非効率確率算出部180、最小発電量格納部190、最小発電量算出部192、発電効率格納部194、及び電力需要量提供部162を有する。電力需要量提供部162は、履歴抽出部163及び需要量分布算出部164を含む。燃料電池システム100は、例えば集合住宅に設けられて、集合住宅の各戸に設けられた電力負荷105に電力及び熱を供給する。
【0016】
燃料電池120は、集合住宅の複数の住戸毎に設けられ、各住戸に電力及び温水を供給する。そして、各住戸に設けられた複数の燃料電池120は、各住戸に設けられたいずれの電力負荷105にも電力を供給可能に設けられている。電力負荷105は、電力供給装置110から供給される電力を消費する。具体的には、電力負荷105は、燃料電池120が発電する電力及び蓄電池125から供給される電力を消費する。なお、電力負荷105は、電力会社等から供給される商用電力など、外部の電源から供給される電力を消費してもよい。燃料電池制御システム102は、電力負荷105が消費する電力量及び電力供給装置110が発電する電力量に基づいて、燃料電池120が発電する電力を制御する。
【0017】
なお、燃料電池120は、例えば固体高分子形燃料電池(PEFC)、りん酸形燃料電池(PAFC)等の、種々の形式の燃料電池を用いることができる。また、燃料電池120は、各住戸に供給される都市ガス、プロパンガス、灯油等を改質して水素ガスを生成する改質装置から供給される水素ガスを燃料として発電してよいし、外部から供給される水素ガスを燃料として発電してもよい。
【0018】
起動時間格納部150は、燃料電池120を起動させるために要する時間である起動時間を予め格納する。例えば、起動時間格納部150は、複数の燃料電池120を識別する識別情報に対応づけて、複数の燃料電池120のそれぞれの起動時間を予め格納する。なお、複数の燃料電池120が略同一の起動時間を有する場合には、起動時間格納部150は一の起動時間を予め格納してよいことは言うまでもない。なお、起動時間とは、燃料電池120が起動するのに要する厳密な時間である必要はなく、起動するのに要する厳密な時間に多少の余裕を持たせた時間であってよい。つまり、起動時間とは、燃料電池120が停止状態から起動時間内に電力を供給し始めることができる時間であってよい。
【0019】
駆動判断部135は、現在駆動している燃料電池120を判断する。例えば、駆動判断部135は、燃料電池120が駆動している場合に定期的に発せられる駆動信号を燃料電池120に対応づけて受信して、駆動信号を受信した燃料電池120を、現在駆動している燃料電池120として判断する。
【0020】
総発電量算出部130は、複数の燃料電池120のうちで現在駆動している燃料電池120によって発電可能な電力量の合計である総発電量を算出する。具体的には、総発電量算出部130は、複数の燃料電池120のそれぞれの定格運転時の発電量を予め記憶しており、駆動判断部135が現在駆動していると判断した燃料電池120の定格運転時の発電量の合計値を、総発電量として算出する。
【0021】
履歴格納部160は、複数の日における電力需要量の変動履歴を格納する。履歴格納部160は、例えば、現在から予め定められた日数だけ前の日から前日までにわたる複数の日における電力需要量の変動履歴を時刻毎に格納してよい。なお、電力需要量とは、電力負荷105によって消費される電力量であってよい。他にも、電力需要量とは、電力供給装置110から電力負荷105に供給される電力量であってよいし、複数の燃料電池120の全体から電力負荷105に供給される電力量であってもよい。
【0022】
履歴抽出部163は、現在の時刻から所定範囲内の時刻の電力需要量が、現在の電力需要量から所定範囲内である少なくとも1つの変動履歴を履歴格納部160から抽出する。需要量分布算出部164は、履歴抽出部163が抽出した変動履歴に基づいて、現在から起動時間格納部150が格納している起動時間後の電力需要量の確率分布を算出する。なお、起動時間格納部150が格納している起動時間とは、新たに駆動する燃料電池120が定まっている場合には、その燃料電池120に対応づけて起動時間格納部150が格納している起動時間であってよいし、新たに駆動する燃料電池120が定まっていない場合には、駆動判断部135によって現在駆動されていると判断された燃料電池120以外の燃料電池120に対応づけて起動時間格納部150が格納している起動時間のうち、最大の起動時間であってよい。
【0023】
そして、オーバーロード確率算出部170は、現在から起動時間格納部150が格納している起動時間後の電力需要量が、総発電量算出部130が算出した総発電量より大きくなる確率であるオーバーロード確率を算出する。具体的には、オーバーロード確率算出部170は、需要量分布算出部164が算出した電力需要量の確率分布からオーバーロード確率を算出する。そして、起動制御部140は、オーバーロード確率算出部170が算出したオーバーロード確率が、予め定められた確率である基準確率よりも大きい場合に、複数の燃料電池120のうちで現在駆動していない少なくとも1つの燃料電池120を起動させる。
【0024】
そして、起動制御部140は、燃料電池120を新たに起動させた場合に、既に駆動している燃料電池120の発電量の合計を低減させる。具体的には、起動制御部140は、既に駆動している燃料電池120の発電量の合計を、新たに起動させた燃料電池120の発電量の分だけ低減させる。このとき、起動制御部140は、新たに起動させた燃料電池120の発電量を既に駆動している燃料電池120の数で除して得られる値だけ、既に駆動している燃料電池120のそれぞれの発電量を低減させてよい。
【0025】
このように、燃料電池システム100によると、現在から起動時間が経過したときのオーバーロード確率が予め定められた設計値を超えると予測される場合に、少なくとも1つの燃料電池120を予め起動する。したがって、燃料電池システム100によると、電力負荷105に電力を安定的に供給することができる。また、燃料電池システム100によると、電力需要量に対して過剰の電力供給能力を持つ数の燃料電池120を常に駆動しておく必要はないので、燃料電池120が低負荷で駆動される期間を削減することがでる。その結果、燃料電池システム100では、燃料電池120を効率的に駆動することができる。
【0026】
また、最小発電量格納部190は、燃料電池120の発電量が最大の場合の発電効率と実質的に同一の発電効率で発電することができる最小の発電量である最小発電量を格納する。具体的には、最小発電量格納部190は、最小発電量を、燃料電池120に対応づけて格納する。
【0027】
具体的には、発電効率格納部194は、燃料電池120の発電量毎の発電効率を予め格納する。具体的には、発電効率格納部194は、燃料電池120に対応づけて、それぞれの燃料電池120の発電量毎の発電効率を予め格納する。そして、最小発電量算出部192は、発電効率格納部194が格納している燃料電池120の発電量毎の発電効率に基づいて、燃料電池120の最小発電量を算出する。例えば、最小発電量算出部192は、燃料電池120の発電効率が燃料電池120の最大発電効率に対して予め定められた比率以上の比率となる最小の発電量を、燃料電池120毎に算出する。他にも、最小発電量算出部192は、燃料電池120の発電効率が、燃料電池120の定格運転時の発電効率に対して予め定められた比率以上の比率となる最小の発電量を、燃料電池120毎に算出する。そして、最小発電量格納部190は、最小発電量算出部192が算出した燃料電池120の最小発電量を格納する。
【0028】
そして、非効率確率算出部180は、複数の燃料電池120のうちで現在駆動している燃料電池120の最小発電量の合計が、現在から所定時間後の電力需要量より大きくなる確率である非効率確率を算出する。このとき、非効率確率算出部180は、需要量分布算出部164が算出した電力需要量の確率分布から非効率確率を算出する。具体的には、非効率確率算出部180は、現在駆動していると駆動判断部135が判断した燃料電池120に対応づけて最小発電量格納部190が格納する最小発電量の合計が、現在から所定時間後の電力需要量より大きくなる確率である非効率確率を、電力需要量の確率分布から算出する。
【0029】
そして、起動制御部140は、非効率確率算出部180が算出した非効率確率が、予め定められた確率である基準確率よりも大きい場合に、複数の燃料電池120のうちで現在駆動している少なくとも1つの燃料電池120の駆動を停止させる。なお、起動制御部140は、燃料電池120の駆動を新たに停止させた場合に、駆動している燃料電池120の発電量の合計を増加させる。具体的には、起動制御部140は、駆動している燃料電池120の発電量の合計を、新たに停止させた燃料電池120の発電量の分だけ増加させる。このとき、起動制御部140は、新たに停止させた燃料電池120が発電していた発電量を、駆動し続ける燃料電池120の数で除して得られる値だけ、駆動しつづける燃料電池120のそれぞれの発電量を増加させてよい。
【0030】
このように、燃料電池システム100では、電力需要が急激に低下することが予測される場合等、燃料電池120の発電効率が非効率となる確率が予め定められた設計値を超えることが予測される場合には、少なくとも1つの燃料電池120を予め停止させることによって、燃料電池120の発電効率が著しく下がらないように制御することができる。したがって、燃料電池システム100では、発電効率が著しく低くない発電量を発電している燃料電池120を多数維持するよう制御することができる。したがって、燃料電池システム100では、燃料電池120の全体の発電効率を著しく低下させることなく、将来の電力需要量の増加に対処する余裕をそれぞれの燃料電池120に持たせることができる。したがって、燃料電池システム100は、電力負荷105に安定的に電力を供給することができる。
【0031】
図2は、100戸の住戸を有する集合住宅における1日の電力需要量の時間発展の一例を示す。各戸における電力需要量は、場合によっては各戸に設けられた一の燃料電池120が供給することができる最大の電力供給量を超える場合もある。しかし、集合住宅全体における電力需要量は、各戸での電力需要量が平均化された結果、本図に示すように最大でも約80kWとなる。したがって、例えば定格1kWの燃料電池120を各住戸に1台ずつ設ける設計例においては、全ての住戸の燃料電池120を終日駆動しておくことは発電効率の観点からして非効率的である。本図の時間発展例からは、最大でも約80台の燃料電池120を駆動しておけば、電力が不足する可能性を著しく削減することができることが理解される。しかも、1/3程度の数の燃料電池120しか必要としない時間帯も存在する。このような時間帯においては、少数の燃料電池120を駆動することによって、より高い発電効率で燃料電池120を駆動することが望ましい。
【0032】
このような電力需要量の時間変動に対して、起動制御部140は、複数の燃料電池120のうちのより多くの燃料電池120に発電させ、かつ発電している燃料電池120のそれぞれの発電量を最小発電量より大きく制御する。これにより、燃料電池120の発電効率が著しく低下することを防ぎつつ、将来の電力需要の増加に対応することができる数の燃料電池120を駆動状態にしておくことができる。また、燃料電池制御システム102では、電力需要量が急激に増加する場合に備えて、燃料電池120の起動に要する時間だけ後の電力需要量を逐次予測される。そして、起動制御部140は、起動時間後にオーバーロードとなる確率が高い場合には、予め燃料電池120を起動しておく。これにより、燃料電池システム100では、安定的かつ効率的に電力を電力負荷105に供給される。なお、燃料電池システム100が含む燃料電池120の数は、燃料電池システム100を備える集合住宅の全戸数より少なくてよい。
【0033】
図3は、オーバーロード確率が設計値を超えないように燃料電池制御システム102が燃料電池120を制御する制御フローの一例を示す。需要量分布算出部164は、現在から起動時間だけ後の電力需要量の確率分布を算出する(S302)。そして、総発電量算出部130は、現在駆動している燃料電池120の最大発電量(例えば、定格運転時の発電量の合計値)Pgmaxを算出する(S304)。そして、オーバーロード確率算出部170は、S302において算出された電力需要量の確率分布から、電力需要量がPgmaxを超える確率pαを算出する(S306)。そして、起動制御部140は、pαが基準確率αより大きいか否かを判断する(S308)。なお、基準確率αは、例えば燃料電池システム100を備える集合住宅の事業者が自由に設定することができる。
【0034】
起動制御部140は、S308においてPαが基準確率αより大きいと判断される場合には、駆動していない燃料電池120を新たに駆動させ(S310)、処理を終了する。また、起動制御部140は、S308においてPαが基準確率αより小さいと判断される場合には、燃料電池120を新たに駆動させることなく処理を終了する。なお、S310においては、起動制御部140は、所定の期間だけ後の予想される電力需要量に応じて、新たに駆動する燃料電池120の台数を決定してもよい。また、S310において1台新たに駆動した後に、S304に処理を移行させて、新たに駆動させた後の燃料電池120から算出されるPgmaxに応じて、S306以降の処理を実行してよい。
【0035】
なお、燃料電池システム100は、それぞれの燃料電池120が生成した温水をそれぞれ貯湯する複数の貯湯槽を有してよい。それぞれの貯湯槽に貯湯された温水は、それぞれ各戸に供給される。そして、S310において、起動制御部140は、現在駆動していない燃料電池120のうち、貯湯量がより少ない貯湯槽に温水を供給する燃料電池120を、新たに起動させる燃料電池120としてより優先的に選択してもよい。他にも、S310において起動制御部140は、現在駆動していない燃料電池120のうち、各戸における温水の需要量に対する貯湯量の比がより小さい貯湯槽に温水を供給する燃料電池120を、新たに起動させる燃料電池120としてより優先的に選択してもよい。
【0036】
図4は、履歴格納部160が格納している電力需要量の変動履歴400〜403の一例を示す。電力需要量の変動履歴400〜403は、それぞれ1日における電力需要量の変動履歴を示し、履歴格納部160は、このような変動履歴を所定の日数分格納している。
【0037】
そして、履歴抽出部163は、総発電量算出部130が現在(本図においては、18時)において算出した電力需要量から、変動履歴によって示される電力需要量が所定範囲内にある変動履歴(例えば、401、402、403等)を選択する。そして、需要量分布算出部164は、選択したそれぞれの変動履歴から、燃料電池120の起動時間だけ現在から後の電力需要量を特定して、その時刻における電力需要量の分布を算出する。これにより、需要量分布算出部164は、算出した電力需要量の分布から、電力需要量の確率分布を算出することができる。
【0038】
図5は、需要量分布算出部164が算出した電力需要量の確率分布の一例を示す。総発電量算出部130は、現在駆動している燃料電池120の定格における発電量の合計を、総発電量として算出する。そして、オーバーロード確率算出部170は、電力需要量の確率分布において当該総発電量以上の領域の面積を、オーバーロード確率pαとして算出する。以上図4及び5に関連して説明したように、オーバーロード確率算出部170は、現在と略同一の時刻において、現在の電力需要量に近い電力需要量を示す変動履歴から、オーバーロード確率を適切に算出することができる。そして、起動制御部140は、現在停止している燃料電池120の中からいずれかの燃料電池120を現在から起動すべきであるか否かを適切に決定することができる。
【0039】
なお、履歴格納部160は、複数の日のそれぞれにおける代表的な温度、湿度、気圧、天候等の環境情報に対応づけて、それぞれの日における電力需要量の変動履歴を時刻毎に格納してもよい。他にも、履歴格納部160は、複数の日のそれぞれを含む季節を示す季節情報に対応づけて、それぞれの日における電力需要量の変動履歴を時刻毎に格納してもよい。そして、履歴抽出部163は、当日の環境情報と所定の範囲内で一致する環境情報に対応づけて履歴格納部160が格納する変動履歴、又は現在の季節情報と所定の範囲内で一致する季節情報に対応づけて履歴格納部160が格納する変動履歴を抽出してよい。これにより、需要量分布算出部164は、当日の環境情報、季節情報と類似する環境情報、季節情報を持つ変動履歴から、電力需要の確率分布を適切に算出することができる。なお、履歴格納部160は、時刻毎の環境情報に対応づけて、時刻毎の電力需要量を示す変動履歴を格納してよい。そして、履歴抽出部163は、現在の時刻における環境情報と所定の範囲内で一致する環境情報に対応づけて、履歴格納部160が当該時刻又は当該時刻から所定の範囲内の時刻おいて格納している電力需要量を示す変動履歴を抽出してもよい。
【0040】
図6は、非効率確率が設計値を超えないように燃料電池制御システム102が燃料電池120を制御する制御フローの一例を示す。需要量分布算出部164は、現在から所定の時間だけ後の電力需要量の確率分布を算出する(S602)。そして、最小発電量算出部192は、現在駆動している燃料電池120による最小発電量の合計Pgminを算出する(604)。そして、非効率確率算出部180は、S602において算出された電力需要量の確率分布から、Pgminが電力需要量より大きくなる確率pβを算出する(S606)。そして、起動制御部140は、pβが基準確率βより大きいか否かを判断する(6308)。なお、基準確率βは、例えば燃料電池システム100を備える集合住宅の事業者が自由に設定することができる。
【0041】
そして、起動制御部140は、S608においてpβが基準確率βより大きいと判断される場合には、現在駆動している燃料電池120を1台停止させ(S610)、処理を終了する。また、起動制御部140は、S608においてpβが基準確率βより小さいと判断される場合には、燃料電池120を新たに停止させることなく処理を終了する。なお、S610においては、起動制御部140は、所定の期間だけ後の時刻において予想される電力需要量の分布に応じて、停止させる燃料電池120の数を決定してもよい。また、S610において1台停止させた後に、S604に処理を移行させて、停止させた後の燃料電池120から算出されるPgminに応じて、S606以降の処理を実行してよい。
【0042】
なお、S610において、起動制御部140は、現在駆動している燃料電池120のうち、貯湯量がより多い貯湯槽に温水を供給する燃料電池120を、停止させる燃料電池120としてより優先的に選択してもよい。他にも、S610において起動制御部140は、現在駆動している燃料電池120のうち、各戸における温水の需要量に対する貯湯量の比がより大きい貯湯槽に温水を供給する燃料電池120を、停止させる燃料電池120としてより優先的に選択してもよい。
【0043】
図7は、発電効率格納部194が格納している一の燃料電池120における発電効率の一例を示す。発電効率格納部194は、定格出力に対する比率毎に、発電効率を格納する。本図に示すように、発電量が低下するにつれて発電効率が低下する。これは、例えば発電量が低下すると、改質装置における発熱量、燃料電池セルにおける電池反応に伴う発熱量に比べて、改質装置・燃料電池セルスタック等からの熱ロスの割合が増加することによる。このため、改質装置の各種触媒温度を一定に保ち、改質用の水蒸気を作るために、改質装置のバーナの燃焼量の割合(発電量に対するバーナ熱量比)が増加する。つまり、発電量に比べてバーナ熱量の比率が増加するので、発電量が低下するにつれて発電効率が低下していく。しかし、本図の例に示すように、出力比が約50%以上の範囲においては、熱ロスに比べて発熱量に余裕があるので、バーナ燃料の割合をほぼ一定に保つことができる。したがって、本図の例では、出力が約50%以上における発電効率は最大の発電効率と実質的に同一といえる。
【0044】
最小発電量算出部192は、このような最大の発電効率と実質的に同一となる発電効率を予め格納してもよい。他にも最小発電量算出部192は、発電効率が最大の発電効率に対して予め定められた比率以上の比率となる発電量を、最小発電量として予め格納してもよい。また、最小発電量算出部192は、燃料電池120の発電量、駆動時間、起動・停止の繰り返し回数、発電量の変動履歴等の運転履歴に応じて、発電量毎の発電効率を算出して格納してもよい。他にも、最小発電量算出部192は、所定の時間だけ前から現在までにわたる運転実績から、燃料電池120の実際の発電効率を計測して格納してもよい。そして、最小発電量算出部192は、それぞれの燃料電池120の最小発電量(本図の例では、出力比で約50%)を算出する。
【0045】
図8は、需要量分布算出部164が算出した電力需要量の確率分布の一例を示す。本電力需要量の確率分布は、図4に関連して説明した電力需要量の確率分布と同じである。ここで、非効率確率算出部180は、電力需要量の確率分布において、最小発電量格納部190が格納している最小発電量以下の領域の面積を、非効率確率pβとして算出する。このように、非効率確率算出部180は、現在と略同一の時刻において、現在の電力需要量に近い電力需要量を示す変動履歴から、非効率確率を適切に算出することができる。そして、起動制御部140は、駆動中の燃料電池120の中からいずれかの燃料電池120を現在停止すべきであるか否かを適切に決定することができる。
【0046】
図9は、電力需要量提供部162の他の構成例を示す。電力需要量提供部162は、需要量分布格納部165及び需要量分布取得部166を含む。需要量分布格納部165は、時刻毎の電力需要量の確率分布を格納する。具体的には、需要量分布格納部165は、履歴格納部160が格納している複数の日における電力需要量の時刻毎の変動履歴から、時刻毎の電力需要量の確率分布を算出する。
【0047】
そして、需要量分布取得部166は、現在から起動時間格納部150が格納している起動時間後の電力需要量の確率分布を、需要量分布格納部165から取得する。そして、オーバーロード確率算出部170は、需要量分布取得部166が取得した電力需要量の確率分布からオーバーロード確率を算出する。また、需要量分布取得部166は、現在から所定時間後の電力需要量の確率分布を、需要量分布格納部165から取得する。そして、非効率確率算出部180は、需要量分布取得部166が取得した電力需要量の確率分布から非効率確率を算出する。
【0048】
図10は、需要量分布格納部165が格納している確率分布の一例を示す。需要量分布格納部165は、図4に関連して説明した変動履歴から、複数の日のそれぞれの電力需要量を時刻毎に抽出して、時刻毎に電力需要量の分布を算出する。そして、需要量分布格納部165は、時刻における電力需要量の分布から、電力需要量の確率分布を時刻毎に算出する。本図では、一例として6時、9時、及び22時における確率分布の一例が示されている。そして、図5及び図8に関連して説明したのと同様の方法によって、オーバーロード確率算出部170及び非効率確率算出部180は、需要量分布取得部166によって決定された確率分布からそれぞれオーバーロード確率pα及び非効率確率pβを算出することができる。
【0049】
以上説明したように、燃料電池システム100によると、それぞれの燃料電池120がさらに発電量を増加させることができる余地を残しつつ、効率が著しく低下しない範囲の発電量で電力を供給し続けることができる。このため、駆動中の燃料電池120の出力をさらに増加させる余地が残っているので、電力需要量の増加に容易に対応することができる。したがって、燃料電池120を新たに駆動する状況が生じる確率を削減することができる。また、電力が不足する時に電力負荷105に電力を供給する蓄電池125の蓄電容量を削減することができる。また、燃料電池システム100では、燃料電池120の起動に要する時間だけ後の電力需要量を適切に予測することができるので、将来の電力需要量が著しく増加することによって駆動する燃料電池120の数を増加させる必要がある場合に、燃料電池120を予め駆動しておくことができる。したがって、燃料電池システム100は、電力負荷105に効率的かつ安定的に電力を供給することができる。
【0050】
図11は、本実施形態に係る燃料電池制御システム102のハードウェア構成の一例を示す。燃料電池制御システム102は、ホスト・コントローラ1582により相互に接続されるCPU1505、RAM1520、グラフィック・コントローラ1575、及び表示装置1580を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ1584によりホスト・コントローラ1582に接続される通信インターフェイス1530、ハードディスクドライブ1540、及びCD−ROMドライブ1560を有する入出力部と、入出力コントローラ1584に接続されるROM1510、フレキシブルディスク・ドライブ1550、及び入出力チップ1570を有するレガシー入出力部とを備える。
【0051】
ホスト・コントローラ1582は、RAM1520と、高い転送レートでRAM1520をアクセスするCPU1505、及びグラフィック・コントローラ1575とを接続する。CPU1505は、ROM1510、及びRAM1520に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ1575は、CPU1505等がRAM1520内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置1580上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ1575は、CPU1505等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0052】
入出力コントローラ1584は、ホスト・コントローラ1582と、比較的高速な入出力装置であるハードディスクドライブ1540、通信インターフェイス1530、CD−ROMドライブ1560を接続する。ハードディスクドライブ1540は、CPU1505が使用するプログラム、及びデータを格納する。通信インターフェイス1530は、ネットワーク通信装置1598に接続してプログラムまたはデータを送受信する。CD−ROMドライブ1560は、CD−ROM1595からプログラムまたはデータを読み取り、RAM1520を介してハードディスクドライブ1540、及び通信インターフェイス1530に提供する。
【0053】
また、入出力コントローラ1584には、ROM1510と、フレキシブルディスク・ドライブ1550、及び入出力チップ1570の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM1510は、燃料電池制御システム102が起動時に実行するブート・プログラムや、燃料電池制御システム102のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ1550は、フレキシブルディスク1590からプログラムまたはデータを読み取り、RAM1520を介してハードディスクドライブ1540、及び通信インターフェイス1530に提供する。入出力チップ1570は、フレキシブルディスク・ドライブ1550や、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0054】
CPU1505が実行するプログラムは、フレキシブルディスク1590、CD−ROM1595、またはICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。記録媒体に格納されたプログラムは圧縮されていても非圧縮であってもよい。プログラムは、記録媒体からハードディスクドライブ1540にインストールされ、RAM1520に読み出されてCPU1505により実行される。
【0055】
CPU1505により実行されるプログラムは、燃料電池制御システム102を、図1から図10に関連して説明した電力供給装置110及び燃料電池制御システム102として機能させる。また、当該プログラムは、燃料電池制御システム102を、図1から図10に関連して説明した総発電量算出部130、駆動判断部135、起動制御部140、起動時間格納部150、履歴格納部160、オーバーロード確率算出部170、非効率確率算出部180、最小発電量格納部190、最小発電量算出部192、発電効率格納部194、及び電力需要量提供部162として機能させる。また、当該プログラムは、電力需要量提供部162を、図1から図8に関連して説明した履歴抽出部163及び需要量分布算出部164、又は図9及び図10に関連して説明した需要量分布格納部165及び需要量分布取得部166として機能させる。
【0056】
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク1590、CD−ROM1595の他に、DVDやPD等の光学記録媒体、MD等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークやインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスクまたはRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムを燃料電池制御システム102に提供してもよい。
【0057】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】一実施形態に係る燃料電池システム100のブロック構成の一例を示す図である。
【図2】集合住宅における1日の電力需要量の時間発展の一例を示す図である。
【図3】電力供給システムの構成の一例を示す図である。
【図4】履歴格納部160が格納している電力需要量の変動履歴の一例を示す図である。
【図5】需要量分布算出部164が算出した電力需要量の確率分布の一例を示す図である。
【図6】燃料電池制御システム102の制御フローの一例を示す図である。
【図7】燃料電池120における発電効率の一例を示す図である。
【図8】需要量分布算出部164が算出した電力需要量の確率分布の一例を示す図である。
【図9】電力需要量提供部162の他の構成例を示す図である。
【図10】需要量分布格納部165が格納している確率分布の一例を示す図である。
【図11】燃料電池制御システム102のハードウェア構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
100 燃料電池システム
105 電力負荷
110 電力供給装置
120 燃料電池
125 蓄電池
130 総発電量算出部
135 駆動判断部
140 起動制御部
150 起動時間格納部
160 履歴格納部
162 電力需要量提供部
163 履歴抽出部
164 需要量分布算出部
165 需要量分布格納部
166 需要量分布取得部
170 オーバーロード確率算出部
180 非効率確率算出部
190 最小発電量格納部
192 最小発電量算出部
194 発電効率格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の燃料電池と、
前記燃料電池を起動させるために要する時間である起動時間を予め格納する起動時間格納部と、
前記複数の燃料電池のうちで現在駆動している前記燃料電池によって発電可能な電力量の合計である総発電量を算出する総発電量算出部と、
現在から前記起動時間格納部が格納している起動時間後の電力需要量が、前記総発電量算出部が算出した総発電量より大きくなる確率であるオーバーロード確率を算出するオーバーロード確率算出部と、
前記オーバーロード確率算出部が算出したオーバーロード確率が、予め定められた確率である基準確率よりも大きい場合に、前記複数の燃料電池のうちで現在駆動していない少なくとも1つの前記燃料電池を起動させる起動制御部と
を備える燃料電池システム。
【請求項2】
燃料電池を起動させるために要する時間である起動時間を予め格納する起動時間格納部と、
複数の前記燃料電池のうちで現在駆動している前記燃料電池によって発電可能な電力量の合計である総発電量を算出する総発電量算出部と、
現在から前記起動時間格納部が格納している起動時間後の電力需要量が、前記総発電量算出部が算出した総発電量より大きくなる確率であるオーバーロード確率を算出するオーバーロード確率算出部と、
前記オーバーロード確率算出部が算出したオーバーロード確率が、予め定められた確率である基準確率よりも大きい場合に、前記複数の燃料電池のうちで現在駆動していない少なくとも1つの前記燃料電池を起動させる起動制御部と
を備える燃料電池制御システム。
【請求項3】
前記起動制御部は、前記燃料電池を新たに起動させた場合に、既に駆動している前記燃料電池の発電量の合計を低減させる
請求項2に記載の燃料電池制御システム。
【請求項4】
前記起動制御部は、既に駆動している前記燃料電池の発電量の合計を、新たに起動させた前記燃料電池の発電量の分だけ低減させる
請求項3に記載の燃料電池制御システム。
【請求項5】
複数の日における電力需要量の変動履歴を格納する履歴格納部と、
現在の時刻から所定範囲内の時刻の電力需要量が、現在の電力需要量から所定範囲内である少なくとも1つの変動履歴を前記履歴格納部から抽出する履歴抽出部と、
前記履歴抽出部が抽出した変動履歴に基づいて、現在から前記起動時間格納部が格納している起動時間後の電力需要量の確率分布を算出する需要量分布算出部と
をさらに備え、
前記オーバーロード確率算出部は、前記需要量分布算出部が算出した電力需要量の確率分布からオーバーロード確率を算出する
請求項2に記載の燃料電池制御システム。
【請求項6】
時刻毎の電力需要量の確率分布を格納する需要量分布格納部と、
現在から前記起動時間格納部が格納している起動時間後の電力需要量の確率分布を前記需要量分布格納部から取得する需要量分布取得部と
をさらに備え、
前記オーバーロード確率算出部は、前記需要量分布取得部が取得した電力需要量の確率分布からオーバーロード確率を算出する
請求項2に記載の燃料電池制御システム。
【請求項7】
燃料電池を起動させるために要する時間である起動時間を予め格納する起動時間格納段階と、
複数の前記燃料電池のうちで現在駆動している前記燃料電池によって発電可能な電力量の合計である総発電量を算出する総発電量算出段階と、
現在から、前記起動時間格納段階において格納されている起動時間後の電力需要量が、前記総発電量算出段階において算出された総発電量より大きくなる確率であるオーバーロード確率を算出するオーバーロード確率算出段階と、
前記オーバーロード確率算出段階において算出されたオーバーロード確率が、予め定められた確率である基準確率よりも大きい場合に、前記複数の燃料電池のうちで現在駆動していない少なくとも1つの前記燃料電池を起動させる起動制御段階と
を備える燃料電池制御方法。
【請求項8】
複数の燃料電池を制御する燃料電池制御システム用のプログラムであって、前記燃料電池制御システムを、
前記燃料電池を起動させるために要する時間である起動時間を予め格納する起動時間格納部、
複数の前記燃料電池のうちで現在駆動している前記燃料電池によって発電可能な電力量の合計である総発電量を算出する総発電量算出部、
現在から前記起動時間格納部が格納している起動時間後の電力需要量が、前記総発電量算出部が算出した総発電量より大きくなる確率であるオーバーロード確率を算出するオーバーロード確率算出部、
前記オーバーロード確率算出部が算出したオーバーロード確率が、予め定められた確率である基準確率よりも大きい場合に、前記複数の燃料電池のうちで現在駆動していない少なくとも1つの前記燃料電池を起動させる起動制御部
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−194136(P2007−194136A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12961(P2006−12961)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(304003860)株式会社ジャパンエナジー (344)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【Fターム(参考)】