燃料電池モジュール
【課題】 セル電圧測定端子の配列間隔を狭めることが可能な燃料電池モジュールを提供する。
【解決手段】 燃料電池モジュール1は、複数の電池セル11と複数のセル電圧測定端子21を備えている。各セル電圧測定端子21は、本体部23と当接部24と接続部25とを有している。本体部23は、当接部24が引き出される引出部23aと、接続部25が引き出される引出部23bとを含む。引出部23aは、電池セル11の積層方向に突出しており、引出部23bは、引出部23aの突出方向と反対の方向に突出している。このため、互いに隣り合うセル電圧測定端子21の引出部23aと引出部23bとが干渉することを避けつつ、セル電圧測定端子21を配列することができる。その結果、セル電圧測定端子21同士の絶縁を確保しつつ、セル電圧測定端子21を密接に配列することが可能となる。
【解決手段】 燃料電池モジュール1は、複数の電池セル11と複数のセル電圧測定端子21を備えている。各セル電圧測定端子21は、本体部23と当接部24と接続部25とを有している。本体部23は、当接部24が引き出される引出部23aと、接続部25が引き出される引出部23bとを含む。引出部23aは、電池セル11の積層方向に突出しており、引出部23bは、引出部23aの突出方向と反対の方向に突出している。このため、互いに隣り合うセル電圧測定端子21の引出部23aと引出部23bとが干渉することを避けつつ、セル電圧測定端子21を配列することができる。その結果、セル電圧測定端子21同士の絶縁を確保しつつ、セル電圧測定端子21を密接に配列することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルを複数積層して構成される燃料電池と、電池セルの電圧を測定するための端子とを備える燃料電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の燃料電池モジュールとして、例えば、特許文献1に記載のセル電圧検出構造を有する燃料電池モジュールが知られている。特許文献1に記載の燃料電池モジュールは、膜電極接合体を一対のセパレータで挟んでなる電池セルを複数積層して構成される燃料電池と、電池セルの積層方向に沿って配列されセパレータに当接される複数のセル電圧測定端子とを備えている。この燃料電池モジュールでは、隣接するセパレータのうちの一方のセパレータに設けられた面取り部と、他方のセパレータに設けられた面取り部とでV溝を形成し、そのV溝の内面にセル電圧測定端子を当接させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−184434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、上述したような燃料電池モジュールにあっては、燃料電池を構成する電池セルの薄化が進んでいる。このため、薄化され積層された状態の電池セルの電圧を測定するために、セル電圧測定端子を密接に配列することが望まれている。
【0005】
本発明は、そのような事情に鑑みてなされたものであり、セル電圧測定端子を密接に配列可能な燃料電池モジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の燃料電池モジュールは、第1のセパレータ、膜電極接合体、及び第2のセパレータを順に積層してなる電池セルを複数積層して構成される燃料電池スタックと、電池セルの電圧を測定するための複数のセル電圧測定端子とを備える燃料電池モジュールであって、燃料電池スタックは、互いに隣接する2つの電池セルのうちの一方の電池セルの第1のセパレータと、他方の電池セルの第2のセパレータとに渡って形成された凹部を有し、セル電圧測定端子は、本体部と、本体部から引き出され凹部の内面に当接される当接部と、本体部から引き出され所定の電圧測定回路に接続される接続部とを有し、本体部は、電池セルの積層方向に突出する第1の引出部と、第1の引出部の突出方向と反対の方向に突出する第2の引出部とを含み、当接部は、第1の引出部から引き出されており、接続部は、第2の引出部から引き出されている、ことを特徴とする。
【0007】
この燃料電池モジュールは、電池セルの電圧を測定するための複数のセル電圧測定端子を備えている。各セル電圧測定端子は、本体部と、電池セルのセパレータに当接される当接部と、電圧測定回路に接続される接続部とを有している。本体部は、当接部が引き出される第1の引出部と、接続部が引き出される第2の引出部とを含む。第1の引出部は、電池セルの積層方向に突出しており、第2の引出部は、第1の引出部の突出方向と反対の方向に突出している。このため、互いに隣り合うセル電圧測定端子の第1の引出部と第2の引出部とが干渉することを避けつつセル電圧測定端子を配列することができる。このため、この燃料電池モジュールによれば、セル電圧測定端子を密接に配列することが可能となる。
【0008】
本発明の燃料電池モジュールは、複数のセル電圧測定端子を、互いに電気的に絶縁した状態で保持する保持部材をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、複数のセル電圧測定端子をまとめて取り扱うことができるので、セル電圧測定端子の取り扱いが容易となる。
【0009】
また、そのような本発明の燃料電池モジュールにおいては、保持部材は、弾性材料からなることが好ましい。この構成によれば、電池セルを積層した際に凹部の位置がずれても、保持部材を弾性変形させて当接部の位置を調整することにより、当接部を確実に凹部の内面に当接することが可能となる。
【0010】
さらに、本発明の燃料電池モジュールにおいては、当接部の先端部には、凹部の内面に当接される突起が形成されていることが好ましい。この構成によれば、当接部と各セパレータとの接触面積を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、セル電圧測定端子を密接に配列可能な燃料電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の燃料電池モジュールの第1実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示された領域Aの拡大図である。
【図3】図1に示された燃料電池モジュールの平面図である。
【図4】図1に示された燃料電池モジュールの分解斜視図である。
【図5】図4に示された領域Bの拡大図である。
【図6】セル電圧測定端子の斜視図である。
【図7】図1のVII−VII線に沿っての部分断面図である。
【図8】図4に示された燃料電池モジュールの部分拡大図である。
【図9】本発明の燃料電池モジュールの第2実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図10】図9のX−X線に沿っての部分断面図である。
【図11】図9に示された端子ユニットの裏面図である。
【図12】本発明の燃料電池モジュールの第3実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図13】セル電圧測定端子の斜視図である。
【図14】セル電圧測定端子の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
【0014】
図1は、本発明の燃料電池モジュールの第1実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示された領域Aの拡大図である。図3は、図1に示された燃料電池モジュールの平面図である。図1〜3に示されるように、燃料電池モジュール1は、燃料電池スタック10と端子ユニット20とを備えている。
【0015】
燃料電池スタック10は、電池セル11が複数積層され直列に接続されて構成されている。電池セル11は、例えば、PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell)やSOFC(Solid Oxide Fuel Cell)等とすることができる。複数積層された電池セル11は、その積層方向の両端に配置されたエンドプレート13によって挟まれることで固定されている。電池セル11は、アノード側セパレータ(第1のセパレータ)14、膜電極接合体15、及びカソード側セパレータ(第2のセパレータ)16を順に積層して構成されている。
【0016】
膜電極接合体15は、所定の電解質膜(不図示)をアノード(不図示)とカソード(不図示)とで挟んで構成されている。アノード側セパレータ14はアノードに当接されており、カソード側セパレータ16はカソードに当接されている。アノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16は、例えば、導電性を有する炭素材料等から構成することができる。
【0017】
このように構成される電池セル11は、アノードに供給される水素含有ガス中の水素と、カソードに供給される酸素含有ガス中の酸素とを用いて電力を発生させる。水素含有ガスとしては、例えば、改質器(不図示)から供給される改質ガスや、水素ボンベ(不図示)等から供給される純水素ガス等を用いることができる。酸素含有ガスとしては、例えば、純酸素ガス、酸素富化空気及び空気等を用いることができる。
【0018】
図4は、図1に示された燃料電池モジュールの分解斜視図である。図5は、図4に示された領域Bの拡大図である。図5に示されるように、アノード側セパレータ14の側面14aには、そのアノード側セパレータ14に接するカソード側セパレータ16の側に開放された矩形状の切り欠き部14bが形成されている。また、カソード側セパレータ16の側面16aには、そのカソード側セパレータ16に接するアノード側セパレータ14の側に開放された矩形状の切り欠き部16bが形成されている。
【0019】
切り欠き部14bと切り欠き部16bとは互いに対向している。したがって、互いに接するアノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16の切り欠き部14b及び切り欠き部16bによって、矩形状の凹部30が形成されている。換言すれば、燃料電池スタック10は、隣接する2つの電池セル11のうちの一方の電池セル11のアノード側セパレータ14と、他方の電池セル11のカソード側セパレータ16とに渡って形成された凹部30を有している。凹部30は、電池セル11の積層方向に沿って配列されている。
【0020】
ここで、図4及び図5に示されるように、端子ユニット20は、電池セル11の積層方向に沿って配列された複数のセル電圧測定端子21と、複数のセル電圧測定端子21を保持して単一のユニットとする樹脂レール(保持部材)22とからなる。セル電圧測定端子21は、アノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16に当接されている。
【0021】
図6は、セル電圧測定端子21の斜視図である。図7は、図1のVII−VII線に沿っての部分断面図である。図6及び図7に示されるように、セル電圧測定端子21は、本体部23と、本体部23から引き出され凹部30の内面に当接される当接部24と、本体部23から引き出され所定の電圧測定回路(不図示)に接続される接続部25とを有している。本体部23、当接部24、及び接続部25は、長尺板状に形成されている。
【0022】
本体部23は、電池セル11の積層方向(x軸方向)に突出する引出部(第1の引出部)23aと、引出部23aの突出方向(x軸方向)の反対の方向に突出する引出部(第2の引出部)23bとを有している。引出部23aは、本体部23の長手方向の一方の端部23cに位置している。引出部23bは、本体部23の長手方向の他方の端部23dに位置している。したがって、引出部23aと引出部23bとは、本体部23の長手方向において互いに離間した位置に設けられている。
【0023】
当接部24は、本体部23の引出部23aから引き出され、本体部23の長手方向に交差する方向(すなわち、本体部23からアノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16に向かう方向)に延在している。当接部24は、アノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16に当接される。より具体的には、当接部24の先端部24aが、アノード側セパレータ14とカソード側セパレータ16とで形成された凹部30の内面(ここでは上面)に当接される。当接部24の先端部24aは、凹部30の内面との接触が線接触となるように湾曲している。
【0024】
接続部25は、本体部23の突出部23bから引き出され、本体部23の長手方向に延在している。接続部25は、その先端部25aに圧着される配線ケーブル(不図示)を介して、所定の電圧測定回路に接続される。このように、燃料電池モジュール1においては、セル電圧測定端子21を用いて電池セル11の電圧を測定することができる。
【0025】
セル電圧測定端子21は、例えば、以下のようにして作製することができる。まず、長尺板状の導電性部材を用意する。導電性部材の長手方向の一方の端から、導電性部材の長手方向に沿って第1の切れ目を入れる。また、導電性部材の長手方向の他方の端から、導電性部材の長手方向に沿って第2の切れ目を入れる。そして、第1の切れ目と第2の切れ目のそれぞれに沿って導電性部材を折り曲げる。これにより、セル電圧測定端子21が作製される。
【0026】
以上のように構成されるセル電圧測定端子21は、樹脂レール22によって保持されて単一のユニット(端子ユニット20)として構成される。より具体的には、樹脂レール22の開口部22aの底部22bに設けられたスリット22cに、各セル電圧測定端子21の本体部23の端部23c及び23dを挿入することにより、セル電圧測定端子21が樹脂レール22に把持される。セル電圧測定端子21の当接部24及び接続部25は、樹脂レール22の開口部22aから引き出されている。
【0027】
端子ユニット20においては、セル電圧測定端子21は互いに離間している。また、樹脂レール22は、セル電圧測定端子21同士の絶縁を確保できる樹脂材料からなる。したがって、端子ユニット20においては、セル電圧測定端子21は、互いに電気的に絶縁された状態で保持されている。
【0028】
端子ユニット20は、当接部24の先端部24aを凹部30に挿入した後に、上側に持ち上げることで当接部24の先端部24aを凹部30の上面に当接させた状態において、樹脂レール22の両端部をエンドプレート13に固定する。これにより、セル電圧測定端子21の弾性力によって、当接部24の先端部24aと凹部30の上面とを当接させた状態を確実に維持することができる。
【0029】
以上説明したように、燃料電池モジュール1は、電池セル11の電圧を測定するための複数のセル電圧測定端子21を備えている。各セル電圧測定端子21は、本体部23と、電池セル11のアノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16に当接される当接部24と、電圧測定回路に接続される接続部25とを有している。本体部23は、当接部24が引き出される引出部23aと、接続部25が引き出される引出部23bとを含む。引出部23aは、電池セル11の積層方向に突出しており、引出部23bは、引出部23aの突出方向と反対の方向に突出している。
【0030】
このため、図8に示されるように、互いに隣り合うセル電圧測定端子21の引出部23aと引出部23bとが干渉することを避けつつ、セル電圧測定端子21を配列することができる。その結果、この燃料電池モジュール1によれば、セル電圧測定端子21同士の絶縁を確保しつつ、セル電圧測定端子21を密接に配列することが可能となる。
【0031】
また、セル電圧測定端子21は、樹脂レール22によって単一の端子ユニット20とされている。このため、例えば、セル電圧測定端子21をアノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16に当接させる際等に、複数のセル電圧測定端子21をまとめて取り扱うことができるので、セル電圧測定端子21の取り扱いが容易となる。
[第2実施形態]
【0032】
図9は、本発明の燃料電池モジュールの第2実施形態を模式的に示す斜視図である。図10は、図9のX−X線に沿っての部分断面図である。図11は、図9に示された端子ユニットの裏面図である。図9〜11に示されるように、本実施形態の燃料電池モジュール1Aは、端子ユニット20に替えて端子ユニット20Aを備える点で、第1実施形態の燃料電池モジュール1と異なっている。
【0033】
端子ユニット20Aは、電池セル11の積層方向に沿って配列された複数のセル電圧測定端子21と、複数のセル電圧測定端子21を保持して単一のユニットとする長尺板状の樹脂板(保持部材)40とを有している。端子ユニット20Aにおいては、セル電圧測定端子21は樹脂板40に埋設されている。
【0034】
より具体的には、セル電圧測定端子21の本体部23が樹脂板40に埋設されている。これにより、複数のセル電圧測定端子が保持されて単一の端子ユニット20Aとされている。端子ユニット20Aにおいては、セル電圧測定端子21は互いに離間している。また、樹脂板40は、セル電圧測定端子21同士の絶縁を確保できる樹脂材料からなる。したがって、端子ユニット20Aにおいては、セル電圧測定端子21同士は、互いに電気的に絶縁された状態で保持されている。なお、当接部24及び接続部25は、樹脂板40の裏面40aから突出している。
【0035】
このような燃料電池モジュール1Aにおいても、燃料電池モジュール1と同様に、セル電圧測定端子21同士の絶縁を確保しつつ、セル電圧測定端子21を密接に配列することが可能となる。また、セル電圧測定端子21は、樹脂板40によって保持されて単一の端子ユニット20Aとされている。このため、燃料電池モジュール1Aにおいても、セル電圧測定端子21の取り扱いが容易となる。
[第3実施形態]
【0036】
図12は、本発明の燃料電池モジュールの第3実施形態を模式的に示す斜視図である。図12に示されるように、本実施形態の燃料電池モジュール1Bは、端子ユニット20に替えて端子ユニット20Bを備える点で、第1実施形態の燃料電池モジュール1と異なっている。
【0037】
端子ユニット20Bは、電池セル11の積層方向に沿って配列された複数のセル電圧測定端子21と、セル電圧測定端子21を個別に覆うように設けられた複数の樹脂部材50と、複数の樹脂部材50(すなわち複数のセル電圧測定端子21)を保持して単一のユニットとする金属レール(保持部材)60とを有している。
【0038】
図13は、セル電圧測定端子21の斜視図である。図13に示されるように、セル電圧測定端子21は、樹脂部材50に埋設されている。より具体的には、セル電圧測定端子21の本体部23が樹脂部材50に埋設されている。セル電圧測定端子21の当接部24及び接続部25は樹脂部材50に埋設されておらず、樹脂部材50から露出している。
【0039】
樹脂部材50は、直方体状の樹脂部50a及び樹脂部50bからなる。樹脂部50aは、セル電圧測定端子21の本体部23の引出部23aを含む半身を覆うように設けられている。樹脂部50bは、セル電圧測定端子21の本体部23の引出部23bを含む半身を覆うように設けられている。樹脂部50a及び樹脂部50bは、その長手方向に沿った中心軸La及び中心軸Lbを、電池セル11の積層方向(x軸方向)に互いにずらした状態で接合されている。このため、樹脂部材50を配列したとき、互いに隣り合う樹脂部材50において、樹脂部50aと樹脂部50bとを部分的に重複させることができる。
【0040】
本実施形態においては、このように構成される樹脂部材50の両端が金属レール60に把持されることにより、セル電圧測定端子21が単一の端子ユニット20Bとして構成されている。端子ユニット20Bにおいては、セル電圧測定端子21は、樹脂部材50の厚みの分だけ互いに離間している。また、樹脂部材50は、セル電圧測定端子21同士の絶縁を確保できる樹脂材料からなる。したがって、端子ユニット20Bにおいては、セル電圧測定端子21同士は、互いに電気的に絶縁された状態で保持されている。
【0041】
このような燃料電池モジュール1Bにおいても、燃料電池モジュール1と同様に、セル電圧測定端子21同士の絶縁を確保しつつ、セル電圧測定端子21を密接に配列することが可能となる。また、セル電圧測定端子21は、金属レール60によって単一の端子ユニット20Bとされている。このため、燃料電池モジュール1Bにおいても、セル電圧測定端子21の取り扱いが容易となる。
【0042】
以上の第1〜3実施形態は、本発明の燃料電池モジュールの一実施形態を説明したものであり、本発明の燃料電池モジュールは、上記の燃料電池モジュール1,1A,1Bに限定されるものではない。本発明の燃料電池モジュールは、各請求項の要旨を変更しない範囲において、燃料電池モジュール1,1A,1Bを変形したものとすることができる。
【0043】
例えば、セル電圧測定端子21においては、図14(a)に示されるように、当接部24の先端部24aに半球状の突起24bを設けることができる。この場合には、この突起24bが凹部30の上面に当接される。このため、当接部24とアノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16との接触面積が低減し、接触面圧を向上させることが可能となる。
【0044】
また、セル電圧測定端子21においては、図14(b)に示されるように、当接部24を、その延在方向の中程において90°程度捻って構成することができる。この場合、当接部24の先端部24aの向きが90°程度回転されるので、先端部24aを凹部30の側面に当接させることが可能となる。
【0045】
また、樹脂レール22、樹脂板40、及び金属レール60は、弾性材料(例えばゴムやばね)からなることが好ましい。この場合、電池セル11を積層した際に凹部30の位置がずれても、樹脂レール22や樹脂板40や金属レール60を弾性変形させて当接部24の位置を調整することにより、当接部24の先端部24aを確実に凹部30の内面に当接することができる。
【0046】
また、上述した第1〜3実施形態においては、複数のセル電圧測定端子21を保持部材(樹脂レール22、樹脂板40、及び金属レール60)によって保持して単一のユニットとしたが、例えば、複数の保持部材を用いて、セル電圧測定端子21を所定の個数ごとに保持し、複数のユニットとしてもよい。このようにセル電圧測定端子21を複数のユニットに分ければ、電池セル11を積層した際に凹部30の位置がずれても、ユニットごとにその位置を調整することによって、当接部24の先端部24aを確実に凹部30の内面に当接することができる。
【0047】
また、燃料電池スタック10の凹部30の開口寸法は、セル電圧測定端子21の当接部24の先端部24aの幅よりも大きく設定されることが好ましい。より具体的には、凹部30の開口寸法は、電池セル11を積層した際に凹部30の位置がずれた場合においても、当接部24の先端部24aを挿入可能な程度に先端部24aの幅よりも大きく設定されることが好ましい。
【0048】
また、燃料電池スタック10の凹部30の上面を平らに形成することが好ましい。凹部30の上面を平らにすることにより、当接部24の先端部24aが凹部30の上面に当接された際に、その凹部30を構成するアノード側セパレータ14とカソード側セパレータ16との隙間が広がる方向に力が働くことが防止される。
【0049】
また、セル電圧測定端子21の当接部24は、斜め下方に(すなわち、接続部25から離れる方向に)延在していてもよい。その場合、当接部24の先端部24aは、凹部30の下面に当接されることとなる。したがって、そのような場合には、凹部30の下面を平らに形成することが好ましい。凹部30の下面を平らにすることにより、当接部24の先端部24aが凹部30の下面に当接された際に、その凹部30を構成するアノード側セパレータ14とカソード側セパレータ16との隙間が広がる方向に力が働くことが防止される。
【0050】
さらに、第3実施形態においては、金属レール60を樹脂製としてもよい。この場合、セル電圧測定端子同士の絶縁がより確実となる。
【符号の説明】
【0051】
1,1A,1B…燃料電池モジュール、10…燃料電池スタック、11…電池セル、14…アノード側セパレータ(第1のセパレータ)、15…膜電極接合体、16…カソード側セパレータ(第2のセパレータ)、21…セル電圧測定端子、22…樹脂レール(保持部材)、23…本体部、23a…引出部(第1の引出部)、23b…引出部(第2の引出部)、24…当接部、24a…先端部、24b…突起、25…接続部、30…凹部、40…樹脂板(保持部材)、60…金属レール(保持部材)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルを複数積層して構成される燃料電池と、電池セルの電圧を測定するための端子とを備える燃料電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の燃料電池モジュールとして、例えば、特許文献1に記載のセル電圧検出構造を有する燃料電池モジュールが知られている。特許文献1に記載の燃料電池モジュールは、膜電極接合体を一対のセパレータで挟んでなる電池セルを複数積層して構成される燃料電池と、電池セルの積層方向に沿って配列されセパレータに当接される複数のセル電圧測定端子とを備えている。この燃料電池モジュールでは、隣接するセパレータのうちの一方のセパレータに設けられた面取り部と、他方のセパレータに設けられた面取り部とでV溝を形成し、そのV溝の内面にセル電圧測定端子を当接させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−184434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、上述したような燃料電池モジュールにあっては、燃料電池を構成する電池セルの薄化が進んでいる。このため、薄化され積層された状態の電池セルの電圧を測定するために、セル電圧測定端子を密接に配列することが望まれている。
【0005】
本発明は、そのような事情に鑑みてなされたものであり、セル電圧測定端子を密接に配列可能な燃料電池モジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の燃料電池モジュールは、第1のセパレータ、膜電極接合体、及び第2のセパレータを順に積層してなる電池セルを複数積層して構成される燃料電池スタックと、電池セルの電圧を測定するための複数のセル電圧測定端子とを備える燃料電池モジュールであって、燃料電池スタックは、互いに隣接する2つの電池セルのうちの一方の電池セルの第1のセパレータと、他方の電池セルの第2のセパレータとに渡って形成された凹部を有し、セル電圧測定端子は、本体部と、本体部から引き出され凹部の内面に当接される当接部と、本体部から引き出され所定の電圧測定回路に接続される接続部とを有し、本体部は、電池セルの積層方向に突出する第1の引出部と、第1の引出部の突出方向と反対の方向に突出する第2の引出部とを含み、当接部は、第1の引出部から引き出されており、接続部は、第2の引出部から引き出されている、ことを特徴とする。
【0007】
この燃料電池モジュールは、電池セルの電圧を測定するための複数のセル電圧測定端子を備えている。各セル電圧測定端子は、本体部と、電池セルのセパレータに当接される当接部と、電圧測定回路に接続される接続部とを有している。本体部は、当接部が引き出される第1の引出部と、接続部が引き出される第2の引出部とを含む。第1の引出部は、電池セルの積層方向に突出しており、第2の引出部は、第1の引出部の突出方向と反対の方向に突出している。このため、互いに隣り合うセル電圧測定端子の第1の引出部と第2の引出部とが干渉することを避けつつセル電圧測定端子を配列することができる。このため、この燃料電池モジュールによれば、セル電圧測定端子を密接に配列することが可能となる。
【0008】
本発明の燃料電池モジュールは、複数のセル電圧測定端子を、互いに電気的に絶縁した状態で保持する保持部材をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、複数のセル電圧測定端子をまとめて取り扱うことができるので、セル電圧測定端子の取り扱いが容易となる。
【0009】
また、そのような本発明の燃料電池モジュールにおいては、保持部材は、弾性材料からなることが好ましい。この構成によれば、電池セルを積層した際に凹部の位置がずれても、保持部材を弾性変形させて当接部の位置を調整することにより、当接部を確実に凹部の内面に当接することが可能となる。
【0010】
さらに、本発明の燃料電池モジュールにおいては、当接部の先端部には、凹部の内面に当接される突起が形成されていることが好ましい。この構成によれば、当接部と各セパレータとの接触面積を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、セル電圧測定端子を密接に配列可能な燃料電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の燃料電池モジュールの第1実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示された領域Aの拡大図である。
【図3】図1に示された燃料電池モジュールの平面図である。
【図4】図1に示された燃料電池モジュールの分解斜視図である。
【図5】図4に示された領域Bの拡大図である。
【図6】セル電圧測定端子の斜視図である。
【図7】図1のVII−VII線に沿っての部分断面図である。
【図8】図4に示された燃料電池モジュールの部分拡大図である。
【図9】本発明の燃料電池モジュールの第2実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図10】図9のX−X線に沿っての部分断面図である。
【図11】図9に示された端子ユニットの裏面図である。
【図12】本発明の燃料電池モジュールの第3実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図13】セル電圧測定端子の斜視図である。
【図14】セル電圧測定端子の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
【0014】
図1は、本発明の燃料電池モジュールの第1実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示された領域Aの拡大図である。図3は、図1に示された燃料電池モジュールの平面図である。図1〜3に示されるように、燃料電池モジュール1は、燃料電池スタック10と端子ユニット20とを備えている。
【0015】
燃料電池スタック10は、電池セル11が複数積層され直列に接続されて構成されている。電池セル11は、例えば、PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell)やSOFC(Solid Oxide Fuel Cell)等とすることができる。複数積層された電池セル11は、その積層方向の両端に配置されたエンドプレート13によって挟まれることで固定されている。電池セル11は、アノード側セパレータ(第1のセパレータ)14、膜電極接合体15、及びカソード側セパレータ(第2のセパレータ)16を順に積層して構成されている。
【0016】
膜電極接合体15は、所定の電解質膜(不図示)をアノード(不図示)とカソード(不図示)とで挟んで構成されている。アノード側セパレータ14はアノードに当接されており、カソード側セパレータ16はカソードに当接されている。アノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16は、例えば、導電性を有する炭素材料等から構成することができる。
【0017】
このように構成される電池セル11は、アノードに供給される水素含有ガス中の水素と、カソードに供給される酸素含有ガス中の酸素とを用いて電力を発生させる。水素含有ガスとしては、例えば、改質器(不図示)から供給される改質ガスや、水素ボンベ(不図示)等から供給される純水素ガス等を用いることができる。酸素含有ガスとしては、例えば、純酸素ガス、酸素富化空気及び空気等を用いることができる。
【0018】
図4は、図1に示された燃料電池モジュールの分解斜視図である。図5は、図4に示された領域Bの拡大図である。図5に示されるように、アノード側セパレータ14の側面14aには、そのアノード側セパレータ14に接するカソード側セパレータ16の側に開放された矩形状の切り欠き部14bが形成されている。また、カソード側セパレータ16の側面16aには、そのカソード側セパレータ16に接するアノード側セパレータ14の側に開放された矩形状の切り欠き部16bが形成されている。
【0019】
切り欠き部14bと切り欠き部16bとは互いに対向している。したがって、互いに接するアノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16の切り欠き部14b及び切り欠き部16bによって、矩形状の凹部30が形成されている。換言すれば、燃料電池スタック10は、隣接する2つの電池セル11のうちの一方の電池セル11のアノード側セパレータ14と、他方の電池セル11のカソード側セパレータ16とに渡って形成された凹部30を有している。凹部30は、電池セル11の積層方向に沿って配列されている。
【0020】
ここで、図4及び図5に示されるように、端子ユニット20は、電池セル11の積層方向に沿って配列された複数のセル電圧測定端子21と、複数のセル電圧測定端子21を保持して単一のユニットとする樹脂レール(保持部材)22とからなる。セル電圧測定端子21は、アノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16に当接されている。
【0021】
図6は、セル電圧測定端子21の斜視図である。図7は、図1のVII−VII線に沿っての部分断面図である。図6及び図7に示されるように、セル電圧測定端子21は、本体部23と、本体部23から引き出され凹部30の内面に当接される当接部24と、本体部23から引き出され所定の電圧測定回路(不図示)に接続される接続部25とを有している。本体部23、当接部24、及び接続部25は、長尺板状に形成されている。
【0022】
本体部23は、電池セル11の積層方向(x軸方向)に突出する引出部(第1の引出部)23aと、引出部23aの突出方向(x軸方向)の反対の方向に突出する引出部(第2の引出部)23bとを有している。引出部23aは、本体部23の長手方向の一方の端部23cに位置している。引出部23bは、本体部23の長手方向の他方の端部23dに位置している。したがって、引出部23aと引出部23bとは、本体部23の長手方向において互いに離間した位置に設けられている。
【0023】
当接部24は、本体部23の引出部23aから引き出され、本体部23の長手方向に交差する方向(すなわち、本体部23からアノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16に向かう方向)に延在している。当接部24は、アノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16に当接される。より具体的には、当接部24の先端部24aが、アノード側セパレータ14とカソード側セパレータ16とで形成された凹部30の内面(ここでは上面)に当接される。当接部24の先端部24aは、凹部30の内面との接触が線接触となるように湾曲している。
【0024】
接続部25は、本体部23の突出部23bから引き出され、本体部23の長手方向に延在している。接続部25は、その先端部25aに圧着される配線ケーブル(不図示)を介して、所定の電圧測定回路に接続される。このように、燃料電池モジュール1においては、セル電圧測定端子21を用いて電池セル11の電圧を測定することができる。
【0025】
セル電圧測定端子21は、例えば、以下のようにして作製することができる。まず、長尺板状の導電性部材を用意する。導電性部材の長手方向の一方の端から、導電性部材の長手方向に沿って第1の切れ目を入れる。また、導電性部材の長手方向の他方の端から、導電性部材の長手方向に沿って第2の切れ目を入れる。そして、第1の切れ目と第2の切れ目のそれぞれに沿って導電性部材を折り曲げる。これにより、セル電圧測定端子21が作製される。
【0026】
以上のように構成されるセル電圧測定端子21は、樹脂レール22によって保持されて単一のユニット(端子ユニット20)として構成される。より具体的には、樹脂レール22の開口部22aの底部22bに設けられたスリット22cに、各セル電圧測定端子21の本体部23の端部23c及び23dを挿入することにより、セル電圧測定端子21が樹脂レール22に把持される。セル電圧測定端子21の当接部24及び接続部25は、樹脂レール22の開口部22aから引き出されている。
【0027】
端子ユニット20においては、セル電圧測定端子21は互いに離間している。また、樹脂レール22は、セル電圧測定端子21同士の絶縁を確保できる樹脂材料からなる。したがって、端子ユニット20においては、セル電圧測定端子21は、互いに電気的に絶縁された状態で保持されている。
【0028】
端子ユニット20は、当接部24の先端部24aを凹部30に挿入した後に、上側に持ち上げることで当接部24の先端部24aを凹部30の上面に当接させた状態において、樹脂レール22の両端部をエンドプレート13に固定する。これにより、セル電圧測定端子21の弾性力によって、当接部24の先端部24aと凹部30の上面とを当接させた状態を確実に維持することができる。
【0029】
以上説明したように、燃料電池モジュール1は、電池セル11の電圧を測定するための複数のセル電圧測定端子21を備えている。各セル電圧測定端子21は、本体部23と、電池セル11のアノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16に当接される当接部24と、電圧測定回路に接続される接続部25とを有している。本体部23は、当接部24が引き出される引出部23aと、接続部25が引き出される引出部23bとを含む。引出部23aは、電池セル11の積層方向に突出しており、引出部23bは、引出部23aの突出方向と反対の方向に突出している。
【0030】
このため、図8に示されるように、互いに隣り合うセル電圧測定端子21の引出部23aと引出部23bとが干渉することを避けつつ、セル電圧測定端子21を配列することができる。その結果、この燃料電池モジュール1によれば、セル電圧測定端子21同士の絶縁を確保しつつ、セル電圧測定端子21を密接に配列することが可能となる。
【0031】
また、セル電圧測定端子21は、樹脂レール22によって単一の端子ユニット20とされている。このため、例えば、セル電圧測定端子21をアノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16に当接させる際等に、複数のセル電圧測定端子21をまとめて取り扱うことができるので、セル電圧測定端子21の取り扱いが容易となる。
[第2実施形態]
【0032】
図9は、本発明の燃料電池モジュールの第2実施形態を模式的に示す斜視図である。図10は、図9のX−X線に沿っての部分断面図である。図11は、図9に示された端子ユニットの裏面図である。図9〜11に示されるように、本実施形態の燃料電池モジュール1Aは、端子ユニット20に替えて端子ユニット20Aを備える点で、第1実施形態の燃料電池モジュール1と異なっている。
【0033】
端子ユニット20Aは、電池セル11の積層方向に沿って配列された複数のセル電圧測定端子21と、複数のセル電圧測定端子21を保持して単一のユニットとする長尺板状の樹脂板(保持部材)40とを有している。端子ユニット20Aにおいては、セル電圧測定端子21は樹脂板40に埋設されている。
【0034】
より具体的には、セル電圧測定端子21の本体部23が樹脂板40に埋設されている。これにより、複数のセル電圧測定端子が保持されて単一の端子ユニット20Aとされている。端子ユニット20Aにおいては、セル電圧測定端子21は互いに離間している。また、樹脂板40は、セル電圧測定端子21同士の絶縁を確保できる樹脂材料からなる。したがって、端子ユニット20Aにおいては、セル電圧測定端子21同士は、互いに電気的に絶縁された状態で保持されている。なお、当接部24及び接続部25は、樹脂板40の裏面40aから突出している。
【0035】
このような燃料電池モジュール1Aにおいても、燃料電池モジュール1と同様に、セル電圧測定端子21同士の絶縁を確保しつつ、セル電圧測定端子21を密接に配列することが可能となる。また、セル電圧測定端子21は、樹脂板40によって保持されて単一の端子ユニット20Aとされている。このため、燃料電池モジュール1Aにおいても、セル電圧測定端子21の取り扱いが容易となる。
[第3実施形態]
【0036】
図12は、本発明の燃料電池モジュールの第3実施形態を模式的に示す斜視図である。図12に示されるように、本実施形態の燃料電池モジュール1Bは、端子ユニット20に替えて端子ユニット20Bを備える点で、第1実施形態の燃料電池モジュール1と異なっている。
【0037】
端子ユニット20Bは、電池セル11の積層方向に沿って配列された複数のセル電圧測定端子21と、セル電圧測定端子21を個別に覆うように設けられた複数の樹脂部材50と、複数の樹脂部材50(すなわち複数のセル電圧測定端子21)を保持して単一のユニットとする金属レール(保持部材)60とを有している。
【0038】
図13は、セル電圧測定端子21の斜視図である。図13に示されるように、セル電圧測定端子21は、樹脂部材50に埋設されている。より具体的には、セル電圧測定端子21の本体部23が樹脂部材50に埋設されている。セル電圧測定端子21の当接部24及び接続部25は樹脂部材50に埋設されておらず、樹脂部材50から露出している。
【0039】
樹脂部材50は、直方体状の樹脂部50a及び樹脂部50bからなる。樹脂部50aは、セル電圧測定端子21の本体部23の引出部23aを含む半身を覆うように設けられている。樹脂部50bは、セル電圧測定端子21の本体部23の引出部23bを含む半身を覆うように設けられている。樹脂部50a及び樹脂部50bは、その長手方向に沿った中心軸La及び中心軸Lbを、電池セル11の積層方向(x軸方向)に互いにずらした状態で接合されている。このため、樹脂部材50を配列したとき、互いに隣り合う樹脂部材50において、樹脂部50aと樹脂部50bとを部分的に重複させることができる。
【0040】
本実施形態においては、このように構成される樹脂部材50の両端が金属レール60に把持されることにより、セル電圧測定端子21が単一の端子ユニット20Bとして構成されている。端子ユニット20Bにおいては、セル電圧測定端子21は、樹脂部材50の厚みの分だけ互いに離間している。また、樹脂部材50は、セル電圧測定端子21同士の絶縁を確保できる樹脂材料からなる。したがって、端子ユニット20Bにおいては、セル電圧測定端子21同士は、互いに電気的に絶縁された状態で保持されている。
【0041】
このような燃料電池モジュール1Bにおいても、燃料電池モジュール1と同様に、セル電圧測定端子21同士の絶縁を確保しつつ、セル電圧測定端子21を密接に配列することが可能となる。また、セル電圧測定端子21は、金属レール60によって単一の端子ユニット20Bとされている。このため、燃料電池モジュール1Bにおいても、セル電圧測定端子21の取り扱いが容易となる。
【0042】
以上の第1〜3実施形態は、本発明の燃料電池モジュールの一実施形態を説明したものであり、本発明の燃料電池モジュールは、上記の燃料電池モジュール1,1A,1Bに限定されるものではない。本発明の燃料電池モジュールは、各請求項の要旨を変更しない範囲において、燃料電池モジュール1,1A,1Bを変形したものとすることができる。
【0043】
例えば、セル電圧測定端子21においては、図14(a)に示されるように、当接部24の先端部24aに半球状の突起24bを設けることができる。この場合には、この突起24bが凹部30の上面に当接される。このため、当接部24とアノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16との接触面積が低減し、接触面圧を向上させることが可能となる。
【0044】
また、セル電圧測定端子21においては、図14(b)に示されるように、当接部24を、その延在方向の中程において90°程度捻って構成することができる。この場合、当接部24の先端部24aの向きが90°程度回転されるので、先端部24aを凹部30の側面に当接させることが可能となる。
【0045】
また、樹脂レール22、樹脂板40、及び金属レール60は、弾性材料(例えばゴムやばね)からなることが好ましい。この場合、電池セル11を積層した際に凹部30の位置がずれても、樹脂レール22や樹脂板40や金属レール60を弾性変形させて当接部24の位置を調整することにより、当接部24の先端部24aを確実に凹部30の内面に当接することができる。
【0046】
また、上述した第1〜3実施形態においては、複数のセル電圧測定端子21を保持部材(樹脂レール22、樹脂板40、及び金属レール60)によって保持して単一のユニットとしたが、例えば、複数の保持部材を用いて、セル電圧測定端子21を所定の個数ごとに保持し、複数のユニットとしてもよい。このようにセル電圧測定端子21を複数のユニットに分ければ、電池セル11を積層した際に凹部30の位置がずれても、ユニットごとにその位置を調整することによって、当接部24の先端部24aを確実に凹部30の内面に当接することができる。
【0047】
また、燃料電池スタック10の凹部30の開口寸法は、セル電圧測定端子21の当接部24の先端部24aの幅よりも大きく設定されることが好ましい。より具体的には、凹部30の開口寸法は、電池セル11を積層した際に凹部30の位置がずれた場合においても、当接部24の先端部24aを挿入可能な程度に先端部24aの幅よりも大きく設定されることが好ましい。
【0048】
また、燃料電池スタック10の凹部30の上面を平らに形成することが好ましい。凹部30の上面を平らにすることにより、当接部24の先端部24aが凹部30の上面に当接された際に、その凹部30を構成するアノード側セパレータ14とカソード側セパレータ16との隙間が広がる方向に力が働くことが防止される。
【0049】
また、セル電圧測定端子21の当接部24は、斜め下方に(すなわち、接続部25から離れる方向に)延在していてもよい。その場合、当接部24の先端部24aは、凹部30の下面に当接されることとなる。したがって、そのような場合には、凹部30の下面を平らに形成することが好ましい。凹部30の下面を平らにすることにより、当接部24の先端部24aが凹部30の下面に当接された際に、その凹部30を構成するアノード側セパレータ14とカソード側セパレータ16との隙間が広がる方向に力が働くことが防止される。
【0050】
さらに、第3実施形態においては、金属レール60を樹脂製としてもよい。この場合、セル電圧測定端子同士の絶縁がより確実となる。
【符号の説明】
【0051】
1,1A,1B…燃料電池モジュール、10…燃料電池スタック、11…電池セル、14…アノード側セパレータ(第1のセパレータ)、15…膜電極接合体、16…カソード側セパレータ(第2のセパレータ)、21…セル電圧測定端子、22…樹脂レール(保持部材)、23…本体部、23a…引出部(第1の引出部)、23b…引出部(第2の引出部)、24…当接部、24a…先端部、24b…突起、25…接続部、30…凹部、40…樹脂板(保持部材)、60…金属レール(保持部材)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のセパレータ、膜電極接合体、及び第2のセパレータを順に積層してなる電池セルを複数積層して構成される燃料電池スタックと、前記電池セルの電圧を測定するための複数のセル電圧測定端子とを備える燃料電池モジュールであって、
前記燃料電池スタックは、互いに隣接する2つの前記電池セルのうちの一方の前記電池セルの前記第1のセパレータと、他方の前記電池セルの前記第2のセパレータとに渡って形成された凹部を有し、
前記セル電圧測定端子は、本体部と、前記本体部から引き出され前記凹部の内面に当接される当接部と、前記本体部から引き出され所定の電圧測定回路に接続される接続部とを有し、
前記本体部は、前記電池セルの積層方向に突出する第1の引出部と、前記第1の引出部の突出方向と反対の方向に突出する第2の引出部とを含み、
前記当接部は、前記第1の引出部から引き出されており、
前記接続部は、前記第2の引出部から引き出されている、
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項2】
複数の前記セル電圧測定端子を、互いに電気的に絶縁した状態で保持する保持部材をさらに備える、ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池モジュール。
【請求項3】
前記保持部材は、弾性材料からなる、ことを特徴とする請求項2記載の燃料電池モジュール。
【請求項4】
前記当接部の先端部には、前記凹部の内面に当接される突起が形成されている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の燃料電池モジュール。
【請求項1】
第1のセパレータ、膜電極接合体、及び第2のセパレータを順に積層してなる電池セルを複数積層して構成される燃料電池スタックと、前記電池セルの電圧を測定するための複数のセル電圧測定端子とを備える燃料電池モジュールであって、
前記燃料電池スタックは、互いに隣接する2つの前記電池セルのうちの一方の前記電池セルの前記第1のセパレータと、他方の前記電池セルの前記第2のセパレータとに渡って形成された凹部を有し、
前記セル電圧測定端子は、本体部と、前記本体部から引き出され前記凹部の内面に当接される当接部と、前記本体部から引き出され所定の電圧測定回路に接続される接続部とを有し、
前記本体部は、前記電池セルの積層方向に突出する第1の引出部と、前記第1の引出部の突出方向と反対の方向に突出する第2の引出部とを含み、
前記当接部は、前記第1の引出部から引き出されており、
前記接続部は、前記第2の引出部から引き出されている、
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項2】
複数の前記セル電圧測定端子を、互いに電気的に絶縁した状態で保持する保持部材をさらに備える、ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池モジュール。
【請求項3】
前記保持部材は、弾性材料からなる、ことを特徴とする請求項2記載の燃料電池モジュール。
【請求項4】
前記当接部の先端部には、前記凹部の内面に当接される突起が形成されている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の燃料電池モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−209231(P2012−209231A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76125(P2011−76125)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(308013252)株式会社ENEOSセルテック (67)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(308013252)株式会社ENEOSセルテック (67)
【Fターム(参考)】
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