説明

燃料電池用燃料カートリッジおよびその製造方法

要約
燃料電池用の燃料供給装置が開示される。燃料供給装置は加圧または非加圧カートリッジでよく、任意の燃料電池とともに使用できる。燃料電池はこれに限定されないが直接メタノール燃料電池または改質燃料電池を含む。1つの側面では、燃料供給装置は反応室部を含んで燃料を水素に変換してもよい。燃料供給装置はポンスを含んでも良い。燃料供給装置は、燃料を燃料電池に連結するバルブを含んでよく、燃料供給装置からガスを排気する排気機構を含んでも良い。種々の燃料供給装置を製造する方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般に、燃料を種々の燃料電池に供給する燃料カートリッジに関し、またカートリッジ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、直接すなわち、反応物質、すなわち燃料および酸素の化学エネルギを直流(DC)電気に直接変換する装置である。多くの漸増している用途において、燃料電池は、化石燃焼などの従来の発電よりも効率的であり、リチウムイオンバッテリーなどの携帯型蓄電池より効率的である。
【0003】
一般に、燃料電池技術はアルカリ燃料電池、高分子電解質燃料電池、りん酸燃料電池、溶融炭酸塩燃料電池および固体酸化物燃料電池等の、様々な異なった燃料電池を含む。今日の、より重要な燃料電池は3つの一般的なカテゴリに分割することができる。すなわち、圧縮水素(H)を燃料として利用したもの;燃料としての水素に改質されるメタノール(CHOH)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、炭化水素(例えばブタン)又は他の燃料を使用する陽子交換膜(PEM)の燃料電池;および直接メタノール(CHOH)燃料を使用するPEM燃料電池(「ダイレクトメタノール燃料電池」すなわちDMFC)である。圧縮された水素は一般に、高い圧力の下で保たれ、そのため、扱いが難しい。その上、大きい貯蔵タンクが通常必要で、消費者向け電子製品(電子装置、電子デバイス)用に十分小さくすることができない。通常の改質燃料電池は、燃料を水素に変換して燃料電池中で酸化剤と反応させるために、改質材が必要であり、また他の気化および補助システムを必要とする。近年の技術進歩により、改室材または改室燃料電池は消費者向け電子製品に有望である。DMFCでは、メタノールが直接に燃料電池中で酸素と反応し、このDMFCは、最も簡単で可能性としては最も小さくなる燃料電池であり、消費者向け電子製品用の電力供給に最も有望である。
【0004】
比較的供給が大きなアプリケーションでは、DMFCは、酸化剤、典型的には空気か酸素を陰極電極に供給するためのファンかコンプレッサーと、水/メタノール混合物を陽極電極へ供給するポンプと、膜電極アセンブリ(MEA)とを典型的に具備する。MEAは、典型的には、陰極、PEMおよび陽極を含む。動作中、水/メタノール燃料の混合液体が直接に陽極に供給され、酸化剤が陰極に供給される。各電極での化学電気反応と燃料電池に関する総合的な反応は以下の通り記述される:
【0005】
陽極での反応:
CHOH + HO → CO + 6H + 6e
陰極での反応:
+ 4H + 4e → 2H
全体の燃料電池反応:
CHOH + 1.5O → CO + 2H
【0006】
PEMを通る水素イオン(H)が陽極から陰極を通り抜けてマイグレーションするために、また、自由電子(e)がPEMを通り抜けられないため、電子は外部回路を通って流れなければならず、外部回路を通して電流を生じさせる。この外部回路は、モバイルすなわちセル電話、計算機、パーソナルデジタツアシスタンツ、ラップトップコンピュータ、電力ツールなどの有益な消費者向けの電子製品であってよい。DMFCは、特許文献1および特許文献2に開示されており、詳細はこれらに記載のとおりである。一般に、PEMはNafion(商標)などの高分子から作られており、DuPontから入手可能であり、厚さが約0.05mm〜約0.50mmの範囲のペルフルオ化合物材料、その他である。陽極は、典型的には、白金ルテニウムなどの触媒の薄層によってサポートされたテフロン(Teflonized、商標)のカーボン紙から製造される。陰極は、典型的には、白金粒子が膜の半面に接着されるガス拡散電極である。
【0007】
水素化ホウ素ナトリウム改質燃料電池の燃料反応は以下のようなものである:
【0008】
NaBH(液体)+2HO→(加熱または触媒)→4(H)+(NaBO)(液体)
→2H+2e(陽極で)
2(2H+2e)+O→2HO(陰極で)
適切な触媒は白金およびルテニウム、その他である。水素化ホウ素ナトリウムを改質して生成された水素燃料は燃料電池中で、酸化剤例えばOと反応させられ、電気(すなわち電子の流れ)および水の副産物を生成する。ホウ酸ナトリウム(NaBO)の副産物も改質プロセスで生成される。水素化ホウ素ナトリウム燃料電池は特許文献3に検討されており、参照してここに組み入れる。
【0009】
燃料電池アプリケーションの最も重要な特徴の1つは燃料貯蔵である。燃料サプライ(燃料貯蔵装置)は、また、燃料電池または燃料電池が電力供給する電子製品に容易に挿入できなくてはならない。さらに、燃料貯蔵装置は容易に交換または再充填できなければならない。
【特許文献1】米国特許第5992008号
【特許文献2】米国特許第5945231号
【特許文献3】米国公開特許出願2003/0082427
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、この発明は任意の燃料電池用に適合化された燃料貯蔵装置に向けられている。
【0011】
この発明は、また、直接メタノール燃料電離用に適合化された燃料貯蔵装置に向けられている。
【0012】
この発明は、また、改質燃料電池用に適合化された燃料貯蔵装置に向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の実施例は、燃料を含有する燃料用区画、反応物質用区画、および反応室部を包囲する外側ケーシングを有する燃料供給装置に向けられている。燃料は燃料用区画から反応室部に搬送されて水素ガスおよび液体反応物質を含む反応物質を生成するように反応する。この後、上記反応物質が反応物質用区画に搬送され、ここで、上記液体反応物質は上記反応物質用区画に残り、上記水素ガスが上記反応物質用区画から上記燃料電池へと通過する。上記反応物質用区画は、ガス透過性で液体非透過性の隔膜を具備し、これが水素ガスを通過させる。
【0014】
上記燃料カートリッジはバルブを有し、このバルブが水素ガスを選択的に上記燃料電池へと通過させる。上記燃料カートリッジは、また、燃料を上記燃料用区画から上記反応室部へとポンピングするポンプを有してもよい。上記燃料用区画および上記反応物質用区画の壁部は一体に形成されてもよく、上記壁部との間のシールを形成する可動壁部により分離されてもよい。上記区画の各々はライナーを具備して燃料または反応物質を含んでもよい。
【0015】
他の実施例では、水素ガス副産物が燃料電池に搬送される際に、液体反応物質が反応物質用区画に搬送される。
【0016】
他の実施例は外側ケーシングと少なくとも2つの内側ライナーを有する燃料供給装置に向けられている。吸収材料がこれら内側ライナーの間に配置され、ライナーの1つが燃料を含み当該ライナーを燃料電池に連結するバルブと液体連通される。他のライナーは燃料電池により生成される副産物を含んでも良い。好ましくは少なくとも1つの位置エネルギー貯蔵要素が燃料含有ライナーに作用する。
【0017】
他の実施例は柔軟性のある外側ケーシングと燃料含有の柔軟性のある内側ライナーとを有する燃料供給装置に向けられている。燃料供給装置は電子装置中の区画に収容されるようなサイズおよび形状をしており、内側ライナーは当該ライナーを電子装置中の燃料電池と結合するバルブと液体連通される。
【0018】
他の実施例は、電子装置中へ挿入するように適合化された燃料供給装置に向けられている。燃料供給装置は当該燃料供給装置状に設けられた回転可能なガイドアームを有する。このガイドアームは、上記燃料供給装置を上記電子装置に挿入する前に第1の位置から第2の位置に移動させられる。好ましくは、ガイドアームはバネバイアス負荷されている。挿入位置において、ガイドアームは、上記電子装置の対応するチャネルに整合される。ガイドアームは、燃料供給装置を電子装置中の燃料電池に結合する制御バルブと同軸または離れて配置される。燃料供給装置を電子装置に挿入したのちは、ガイドアームは元の位置に戻り、燃料供給装置を電子装置内に保持する。
【0019】
他の実施例は、外側ケーシングと、少なくとも1つの内側ライナーと、位置エネルギー貯蔵要素とを有する燃料供給装置に向けられており、ここで、上記ライナーは燃料を含み、かつ、上記ライナーを燃料電池に結合するバルブと液体連通状態であり、さらに、上記外側ケーシングは、上記燃料が上記ライナーに入り、上記ライナーから出るときに、上記ライナーおよび上記位置エネルギー貯蔵要素の移動を案内する内側リブを有する。
【0020】
他の実施例は、外側ケーシングと、少なくとも1つの内側ライナーと、位置エネルギー貯蔵発泡体とを有する燃料供給装置に向けられており、ここで、上記ライナーは燃料を含み、かつ、上記ライナーを燃料電池に結合するバルブと液体連通状態であり、さらに、上記発泡体は異なる多孔性の複数の領域を有する。
【0021】
この発明はまた燃料供給装置(燃料サプライ)を製造する方法にも向けられている。1つの方法は、(i)上側層を供給するステップと、(ii)上記宇和が和装の上に少なくとも1つのブリスタを形成するステップと、(iii)上記上側層にバッキング層を積層して上記上側層およびバッキング層の間に少なくとも1つの燃料貯蔵部を形成するステップと、(iv)バルブを少なくとも1つのブリスタ貯蔵部に結合するステップとを有する。
【0022】
他の方法は、(i)上記燃料供給装置の使用に適した複数の材料を供給するステップと、(ii)上記複数の材料から同時押し出しによりシームレスチューブを形成するステップと、(iii)予め定められた形状の少なくとも1つの端部キャップを上記シームレスチューブに結合して上記燃料供給装置を形成するステップと、(iv)バルブを上記燃料供給装置に結合するステップとを有する。
【0023】
他の方法は、(i)燃料を含有するのに相性がよい内側ライナーを供給するステップと、(ii)バルブを上記内側ライナーに結合するステップと、(iii)少なくとも2つの部分を有する外側ケーシングを供給するステップと、(iv)上記外側ケーシングの一部を上記内側ライナーの首部分に上記バルブの近傍で結合するステップと、(v)上記外側ケーシングの他の部分を上記内側ライナーの上記首部分に結合するステップと、上記外側ケーシングの上記2つの部分を相互に結合するステップとを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
添付図面に例示され、以下で詳細に説明されるように、この発明は、メタノールと水、メタノール/水混合液、濃度が変化するメタノール/水混合液または純粋なメタノールなどの燃料電池用の燃料を格納する燃料供給装置に向けられている。メタノールは多くのタイプの燃料電池、例えば、酵素(enzyme)燃料電池、改質燃料電池、その他に使用できる。燃料供給装置は他のタイプの燃料電池の燃料、例えば、エタノールまたはアルコール、水素に改質できる化学物質、または、燃料電池の性能や効率を改善することができる他の化学物質を含んでも良い。燃料は、またh、水酸化カリウム(KOH)電解質を含んでも良く、これは金属燃料電池またはアルカリ燃料電池とともに用いることができ、燃料供給装置に貯蔵することができる。金属燃料電池に対しては、燃料はKOH電解質反応溶液に浸漬された液体担持亜鉛の形態をしており、電池空洞中の陽極は亜鉛粒子からなる粒状陽極である。KOH電解質溶液は、「1または複数の負荷に電力供給するように構成された燃料電池システムの使用方法」という題名で2003年4月24日に公開された米国公開特許出願2003/0077493に開示されており、参照してここに組みこむ。燃料は、また、メタノール、過酸化水素、および硫酸の混合物を含み、これはシリコンチップ状に形成された触媒を通過して流れ燃料電池反応を生成する。燃料は、また、液体水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)および水を含み、これは上述のとおりである。燃料はさらに炭化水素燃料を含み、炭化水素燃料は、これに限定されないが、ブタン、灯油、アルコール、および天然ガスを含み、これは、「液体ヘテロインタフェース燃料電池デバイス」という題名で、2003年5月22日に公開された米国公開特許出願2003/0096150に開示されており、参照してここに組みこむ。燃料は、また、燃料と反応する液体酸化物を含む。したがって、この発明は、供給装置中に含有される、任意のタイプの燃料、電解質溶液、酸化物溶液または液体に制約されない。ここで使用される用語「燃料」は、燃料電池または燃料供給装置中で反応することができるすべての燃料を含み、また、上述の適切な燃料、電解質溶液、酸化物溶液、液体、および/または化学物質ならびにこれらの混合物のすべてを含むが、これに限定されない。
【0025】
ここで使用される用語「燃料供給装置」は、これに限定されないが、使い捨てカートリッジ、再充填可能/再使用可能カートリッジ、電子製品内に配置されるカートリッジ、電子製品の外部に配置されるカートリッジ、燃料タンク、燃料再充填タンク、燃料を貯蔵する他のコンテナ、および、燃料タンク、コンテナ、燃料電離又は燃料電池が電力供給する電子製品に結合された管材を含む。カートリッジはこの発明の例示的な実施例との関連で以下に説明されるが、これら実施例は他の燃料供給装置にも適用可能であり、この発明は燃料供給装置のいかなる特定のタイプにも限定されないことに留意されたい。
【0026】
図1は、カートリッジ10を示しており、これは、水素改質燃料、すなわち、他の材料と反応し、または触媒の存在下で反応して水素を生成する任意の燃料を貯蔵するためのものである。水素は、この後、燃料電池、具体的には、PEMに搬送されて電気および副産物に変換される。具体的な改質燃料、水素化ホウ素ナトリウムが、この発明の本側面を説明するために採用される。ただし、水素を生成するために改質できる任意の燃料をカートリッジに用いることができ、任意の燃料がこの発明の範囲に入る事を理解されたい。
【0027】
カートリッジ10は室部12を含み、これが燃料用区画14および反応物質用区画16に分割される。これら区画は可動壁部18により分離され、これはワイパー20を具備している。ワイパー20または弾性体Oリングが室部12の内側面とシールを形成し、この結果、燃料用区画14は区画16と液体連通しない。反応物質用区画16の体積が増加したときに燃料用区画14の体積が減少するという条件下で、可動隔膜、拡張可能隔膜、その他を可動壁部18と交換できる。代替的には、燃料用区画14および反応物質用区画16が燃料および反応物質を貯蔵する内側ライナーを内包する場合には、ワイパー20または〜リングで形成されたシールを省略しても良い。このようなライナーは本出願人の出願に係る、「柔軟性のあるライナーを具備する燃料カートリッジ」という題名で2003年7月29日に出願された米国特許出願10/629004に十分に開示されている。この開示内容は参照してここに組みこむ。
【0028】
燃料は区画14に貯蔵され、必要なときに、反応室部22に搬送されて触媒の存在下、または加熱されて反応する。適切な触媒は、白金、またはルテニウム、または他の金属である。区画14が加圧されていても、燃料をポンプ24により搬送できる。なぜならば、ポンプは、オン・オフ起動により燃料流を開始・停止するときに制御を行え、またポンプは流速を計測または制御できるからである。代替的には、吸い上げ(wicking)すなわち毛管現象媒体により搬送できる。吸い上げすなわち毛管現象により燃料電池燃料の搬送は、本出願人の別出願である「燃料電池用の燃料カートリッジ」という題名で2003年1月31日に出願された米国特許出願10/356793に十分開示されており、参照してここに組み込む。オプションのチェックバルブ26すなわち一方向流バルブを反応室部22および燃料用区画14の間に配置してもよい。区画14に貯蔵される適切な燃料は水素化ホウ素ナトリウムおよび水の混合物である。代替的には、区画14が液体水素化ホウ素ナトリウムを貯蔵し、他の区画(図示しない)が水を貯蔵し、水が第2ポンプ28により反応室部22にポンピングされる。反応物質の水素ガス(H)および液体ホウ酸ナトリウム(NaBO)が反応室22内の反応により生成される。有益なことに、水素燃料を水素化ホウ素ナトリウムおよび水の双方から取得して、この結果、水素出力効率が増大する。反応物質は、この後、チャネル30中を通って室部12の反応物質用区画16に搬送される。
【0029】
反応物質用区画16は隔膜32を具備し、これにより、水素ガスがカートリッジ10内部の内側スペース34へと通過できる。この結果、液体ホウ酸ナトリウムが反応物質用区画16内部に保持される。破線で示すように、水素ガスを選択的にカートリッジ10の外部に制御バルブ36を介して搬送して電気を生成できる。制御バルブ36は、本出願人の出願に係る「連結バルブを具備する燃料カートリッジ」という題名で2003年7月29日に出願された米国特許出願10/629006に十分に開示されている。その開示内容は参照してここに組み入れる。隔膜32を選択して、水素ガスを隔膜を横切って移動させるために所定の圧力差が隔膜を横切って必要なようにする。水素が存在するために、反応質用区画16内の圧力は燃料用区画14内の圧力より大きく、この圧力差により可動壁部18が押されて燃料用区画14から反応室部22へと燃料を押し出す。反応物質用区画16内の圧力が燃料用区画14より確実に大きくするために、先の”004”出願に記載されているポペットバルブを隔膜32と関連づけて採用してもよい。代替的には、ポペットバルブに代えて多孔質部材、例えばフィラー、発泡体、その他を用いてもよい。このような多孔質部材には、水素が反応物質用区画16から内側スペース34およびバルブ36に移動するように、その間で圧力降下が必要である。
【0030】
この発明の一側面によれば、ポンプに代えて毛管現象すなわち吸い上げ材料により、燃料を燃料用区画14から反応室部22へ搬送する。この実施例では、水素燃料がもはや必要でないときに、バルブ36が遮断される。内側スペース34内の水素は流れ出しを停止し、この結果、戻り圧力が生成される。この戻り圧力は反応物質室部16への流入を停止し、これが回路の流れを停止する。この結果、反応および燃料生成が停止する。燃料が再び必要になると、バルブ36が開成して加圧水素ガスがカートリッジから流れ出、この結果、内側スペース34の圧力が降下して、水素ガスが反応物質室部16から内側スペース34へ流れることが可能になる。この流れにより燃料を燃料用区画14から反応室部22へと引き出し、反応を再開させる。ポンプ24は、ポンプからの流速およびポンプのオン時間を検知することにより、区画14からの燃料の流れを測定するのに採用できる。カートリッジ10は逃がしバルブ33例えばポペットバルブを用いてもよく、これは、内側スペース内の圧力が予め定められたレベルに達したときに開成するように構成される。
【0031】
隔膜32は気体透過性、液体非透過性の隔膜である。そのような隔膜はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロン、ポリアミド、ポリビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、又は他のパリマー隔膜から製造できる。商業的に入手可能な撥水性PTFEは微細多孔質隔膜はW.L.Gore Associates社、またはMilspore社、その他から取得できる。Goretex(商標)は適切な隔膜である。Goretex(商標)は、液体が通過するには小さすぎ、気体を通過させるに足るだけ大きい微細孔を含む微細多孔質隔膜である。
【0032】
図2は水素ガスを生成するために改質できる任意の液体燃料、例えば水素化ホウ素ナトリウムに適した他の実施例を示している。カートリッジ10も室部12を有し、これが燃料用区画14および反応物質用区画16に分割される。これら区画は可動壁部18により分離される。燃料は反応室部22に搬送される。この実施例では、反応物質のホウ酸ナトリウム(NaBO)がチャネル30を介して反応物質用区画16に戻されるが、反応物質の水素はチャネル38を介してバルブ36へ搬送され、さらに、燃料電池へと搬送される。反応物質用区画16は付加的な反応物質39または触媒を含み、これがホウ酸ナトリウムまたは残留すなわち未反応の水素化ホウ素ナトリウムと反応してガスを生成し、これにより反応物質室部16が加圧されて可動壁部18を押して燃料を燃料用区画14から排出する。好ましくは、チャネル30および反応物質用区画16はチェックバルブにより分離され加圧ガスが反応物質用区画16から流出しないようにする。この実施例では、ポンプ24を測定装置または計測装置として用いてよく、またバルブで置換しても良い。反応物質40は、ホウ酸ナトリウムと反応する金属または他の材料であって良く、また、反応物質40は室部22に用いされて残留水素化ホウ素ナトリウムと反応させるための触媒でも良い。燃料がもはや必要でないときに、バルブ36が遮断され、戻り圧力がチャネル38中に生成されて触媒上の燃料の流れが停止し、反応が停止する。燃料が再び必要になると、バルブ36が開成してチャネル38中の圧力を引いて流れを開始させる。代替的には、燃料の流れはポンプ24または測定装置によりオン・オフ駆動されても良い。
【0033】
加圧カートリッジの他の実施例が図3に示される。カートリッジ40は、任意のタイプの燃料を含んで良く、これは上述のとおりである。ただし、この実施例では、燃料改質プロセスがある場合には、これをカートリッジの外部で行う。カートリッジ40はハウジングトップ42およびハウジング本体44を有する。本体44には、燃料ライナー46を収容するような形状・寸法が採用される。燃料ライナーは、本出願人の出願に係る上述の”004”特許出願に十分に開示されている。ライナー46は遮断バルブ36に連結されている。バルブ36はライナー46に燃料を詰めるのに使用でき、また、燃料をライナーから燃料電池へ選択的に搬送するのに用いることができる。一側面においては、バルブ36は本体44の直立した端壁部50に実装される。端壁部50にはスロット48が形成され、これがバルブ38を収容するように構成される。図3Aに示すように、バルブ36は2個の外部鍔部51を有し、これらが端壁部50にまたがり、バルブ36を位置固定する。好ましくは、図示のように、外側鍔部は端壁部50の外側表面と面一である。スロット48は、当該スロット48に挿入されたプラグ、Oリング、またはガスケット、またはバルブと別体のシール部材によりシールされる。プラグ、Oリングまたはガスケットは弾性またはゴム材料、フィラー材料、その他の適切なシール材料から製造できる。
【0034】
トップ42は、圧縮可能発泡体52をその内側表面に取り付けている。発泡体52の多孔性はその厚さ方向に変化し、発泡体52は単一層または複数層を有する。発泡体52は、ライナー46が満たされる前には、トップ42が図4に示すように本54およびガイド穴56により本体44に取り付けられるときに、ライナー46に隣接して配置できる。トップ42は、当業界で知られている任意の手段、例えば、接着剤結合、超音波結合、溶着、電磁波結合、ホット接着シール、その他により、本体44に固着される。端壁部50および他の側壁部は同様に相互にまたは底部58に固着される。代替的には、端壁部50および他の側壁部は、圧縮成型、または射出成型により、底部58と一体に形成される。端壁部50および他の側壁部は好ましくは複数のガイド60を具備し発泡体52およびライナー46の圧縮・伸長を案内する。
【0035】
端壁部50は排気バルブ62および/または気体透過性、液体非透過性の隔膜64を具備して、カートリッジ40の充填時に空気が排出され、また、使用時、燃料電池の反応により生成された気体が排出されるようにしてもよい。排気バルブ62については以下にさらに説明し、また、隔膜64を上述した隔膜32と同様の材料から製造できる。本体44はライナー46に隣接して畝部(リッジ)61を生成して、ライナー46において流れのチャネルを形成してもよい。
【0036】
図4に示すように、トップ42を本体44に組付けた後、発泡体52は空のライナー46および底部58と面一とならなければならない。燃料がポンプによって制御または遮断バルブ36を介してカートリッジ内に供給されるとき、ライナー46は膨らんで発泡体52を圧縮する。発泡体52は圧縮されるときに、バネ位置エネルギーを蓄えてライナー46を圧縮し、使用中に燃料が燃料電池へ搬送されるのを助長する。また、発泡体52が膨らむときに、これがカートリッジ内に部分的に真空を形成して燃料が戻るのを助長する。代替的には、ライナー46を本体44に装着する前に充填する。トップ42を本体44に固着するときに、発泡体52が圧縮されてバネ位置エネルギーを蓄える。
【0037】
また、燃料をポンプによりカートリッジに入れるときに、カートリッジ内に残されている空気を隔膜64を介して排気する。代替的には、排気バルブ62を介して空気を排気してもよい。一実施例においては、バルブ62はチャネル68および70を具備し、これは図4A、4Bに示すとおりである。チャネル68により空気および他の気体が排気され、同時にチャネル70により燃料電離により生成された液体および副産物がカートリッジへと搬送される。図4Aおよび4Bに示すように、チャネル68および70は相互に同軸であり、すなわち、これらは相互に並んで配置されても良いし、または、一方が他方の内部に配置されても良い。他の適切な排気機構は、本出願人の出願に係る”004”特許出願に説明されており、参照してここに組み入れる。
【0038】
図4Cに示すように、発泡体52はその厚さ方向に多孔性を変えても良い。好ましくはライナー46に近い発泡体52の部分の発泡性が低く、すなわち空隙の大きさが小さく、燃料電池で生成された液体副産物、例えば直接メタノール燃料電池からの水をより多く保持することができる。発泡体52の、ライナー46から離れた頂部部分は好ましくは高い多孔性を有し、すなわち、空隙のサイズが大きく蒸発を助長する。一実施例では、発泡体52は少なくとも2つの領域を有する。下側領域68は小さな多孔性を有し、上側領域70は大きな多孔性を有する。このような多孔性の分布により副産物の水が通期され水の蒸発を助長する。発泡体52は、液体を蒸発させるために複数の排気穴72を具備しても良い。代替的には、発泡体52は、隔膜32に類似した、液体非透過性、気体透過性隔膜によりシールしてもよい。さらに、発泡体52は液体副産物が吸収されたときに膨らんでも良く、この膨らみによりライナー46に圧力が加えられる。また図6に示すように、発泡体52を、波状または板バネ74およびバイアス板76に置き換えても良い。
【0039】
カートリッジ40を、図4Dに示すように、保護バッグ41中に貯蔵しシールしてその在庫期間を長くしても良い。バッグ41は、アルミフォイル、または、食料品の貯蔵に用いられる材料や、プリンタのトナーやカートリッジを包む材料に類似した他の材料から製造できる。バッグ41はカートリッジ40をシュリンクラップするものでもよい。バッグ41任意の燃料電池カートリッジに使用して好適であり、これに限定されないが、ここに説明されるカートリッジに使用して好適である。バッグ41は単一層でも良いし多層でもよい。
【0040】
この発明の他の側面によれば、カートリッジ40では、カートリッジ40の端壁部50がカートリッジ50の頂部をなし、他方、トップ42が本体44の一部をなすように、その向きや形状を採用する。これは図5に示すとおりである。遮断バルブ36および排気バルブ62は、カートリッジ40の組立の前に、端壁部50に固着される。端壁部50は識別部材66を配置して、カートリッジに関する適切な情報、例えば、製造者、燃料タイプ、互換燃料電池等を表示しても良い。
【0041】
この発明の他の側面によれば、カートリッジ40は2以上のライナーを具備しても良い。図6に示すように、カートリッジ40はライナー46およびライナー136を有する。ライナー46は上述のとおり燃料を含んでよい。ライナー136は副産物の液体または第2の燃料または電解質溶液を含んでよい。こられ2つのライナーは2つの圧縮部品、すなわち波状バネ74および板76の間に配置される。これは図示のとおりである。上述の圧縮発泡体を波状バネの代わりに用いても良い。吸収または保持材料138は2つのライナーの間および/または圧縮部品の間に配置され、存在することが予定される任意の液体を吸収または保持する。
【0042】
この発明の他の側面によれば、カートリッジ140は電子製品の室部142に直接フィットするように適合化される。このような室部は、図7に示すように、ラップトップコンピュータに形成されるDVDまたはCDドライブと同様な寸法に形成される。カートリッジ140は好ましくは柔軟性のある内側ライナー46を有し、これが燃料を含有し、外側ライナー144が内側ライナー46を包み込む。外側ライナー144も柔軟であってよく、耐久性のある材料、例えば、アルミフォイルまたは多層複合シートからなり内側ライナーを防護する。このようなフォイルや複合シートもテトラパックとして知られており、個々のジュースのパッケージやインクジェットおよびレーザプリンタのカートリッジの包装に使用されている。カートリッジ140は、好都合なことに柔らかく、折り曲げることができ、またそれを収容する室部に適合できる。外側ライナー144が柔らかく耐久性がある場合には、内側ライナー46を省略しても良い。さらに、2つのライナーの間の空間に図6に示すように吸収材料または保持材料138を満たしても良い。第3のライナー(図示しない)を吸収または保持材料から形成してライナー46および144の間に挿入しても良い。
【0043】
制御バルブ36はカートリッジ140を、電子製品の対応するバルブ部品146に係合させて電子製品に結合する。燃料をポンプにより電子製品内部の燃料電池に送ることができる。代替的には、室部142がバネまたはバネバイアスされた可動壁部(図示しない)を具備し、これが、カートリッジを製品に装着したときに、カートリッジ140を押してもよい。さらに、外側ライナー144が実質的に堅固な材料で形成されてもよく、カートリッジ140が室部142に装着できるサイズ、形状とされる。
【0044】
この発明の他の側面によれば、カートリッジ40はさらに少なくとも1つの可動ガイドアーム148を具備し、これが当初の位置では図8Aに示すように端壁部50の高さすなわち幅を越えて伸びる。このように伸びるので、カートリッジ40が電子製品に不正確に挿入されることがない。可動ガイドアーム148は好ましくはバネ負荷を受け、図8Aに実線で示すように当初の位置にバイアスされる。カートリッジを適切に挿入するためには、利用者はガイドアーム148を時計回り方向または反時計回り方向に、図8Aに破線で示す、予め定められた挿脱位置まで回動させて延長部を解除する。カートリッジが十分にかつ適切に挿入されたのち、バネ負荷のガイドアーム148は当初の位置に戻り、カートリッジが電子製品から不適切に取り外されないようにする。この構成では、ガイドアーム148はバルブ36の回りに実装される。カートリッジを取り外すには、電子製品がガイドアームを回転させて挿脱位置に戻しカートリッジを排出する。
【0045】
図8Bにおいて、ガイドアーム148はバネ負荷であり、バルブ36と独立に離間されて端壁部50に実装されている。当初の位置では、ガイドアーム148は、実線で示すように端壁部50の高さを越えて伸び、挿入できない。カートリッジを装着するには、利用者はこれを図示のように時計回り方向または反時計回り方向に予め定められた挿脱位置、例えば図8Bに破線で示すような平行位置まで回動させて整合させる。この位置で、ガイドアーム148は電子製品のチャネル(図示しない)と整合してカートリッジを正しく装着できる。装着後、ガイドアーム148を元の位置に戻してカートリッジをその位置にロックする。カートリッジを取り外すには、電子製品がガイドアームを回転させて挿脱位置に戻してカートリッジを排出させる。
【0046】
ガイドアーム148の他の実施例を図8Cおよび8Dに示す。ガイドアーム148はピボット147を中心に回転可能であり、バルブ62とバルブ36の間に配置される。ガイドアーム148はさらにカバー149を有し、これは燃料非透過性隔膜であって良い。図8Cに示すように、カバー149は、カートリッジ40が最初に使用される前には、バルブ36をシールする。カバー149はシール用のOリング弾性部材または接着剤でバルブ36に対してシールできる。図8Cに示す当初の位置では、ガイドアーム148は端壁部50を越えて伸び、カートリッジ40が間違って電子製品に装着されるのを防止する。カートリッジを正しく装着するには、利用者はガイドアーム148を時計回り方向に図8Dに示す挿脱位置まで回動させる。この位置で、バネアーム148は端壁部を越えて伸びずバルブ36が露出される。カートリッジ40は電子製品に装着でき、バルブ36が電子製品中の対応するバルブと係合して燃料をカートリッジ40から燃料電池へ搬送できる。燃料電池は電子製品に電力供給する。
【0047】
オプションの戻り止め151を設けてガイドアーム148を図8Dに示す挿脱位置に保持しても良い。戻り止め151はバネバイアスされてもよく、この場合、ガイドアーム148が図8Cに示す当初の位置にあるときには戻り止め151はガイドアーム148の下に圧縮され、ガイドアーム148が図8Dに示す位置にあるときには戻り止め151が外側に出る。さらに、ガイドアーム148はカートリッジの背面に向けて後方に伸び、利用者がガイドアームを装着位置とカートリッジの側部または背面との間で移動させるようにしてもよい。ガイドアーム148には多くの構成および形状を採用でき、ここで示したものを含むが、これに限定されない。
【0048】
可動ガイドアーム148を上述のとおり回転可能にするのに加えて、端壁部50に対してスライド可能にしてもよい。ガイドアーム148は端壁部50に固定しても良く、この場合、屈曲可能である。屈曲可能なガイドアームは柔らかくても良く、挿脱位置に移動させた後に当初の位置に復帰できる。可動ガイドアーム148の他の構成も可能であり、この発明の範囲に含まれる。
【0049】
この発明の他の側面は図9Aおよび9Bに示されている。ライナー150は連続熱形成処理により生成されたブリスタタイプ(気泡タイプ)の燃料サプライである。この処理では、トップ層が一対の加熱プラテンの間に供給される。プラテンはトップ層状にブリスタを形成する突起を含む。形成されたトップ層は、この後、バック層152に積層される。加熱ローラを用いても良い。バッキングは複数層で形成して燃料サプライに強固で構造的なサポートを実現しても良い。ミシン目156を熱成型品に付加して各燃料サプライがパックから容易に離せるようにしても良い。制御バルブ36は各ブリスタ150に加えられ、燃料が制御バルブを介して充填される。燃料サプライ150は、容易に理解できるように、比較的固い側面タブ158を有するという利点がもつ。これら側面タブは十分に硬く、燃料電池の対応するスロット(図示しない)に挿入するためのガイドアームとして使用したときに正しい装着を保証する。
【0050】
この発明に従う燃料サプライを製造する他の方法は図10に示すように多層フィルムをシームレスチューブ160に同時押出することである。最も内側の層は燃料電池燃料と相性がよく、すんわち、燃料に対する耐性があり、かつ透過率が小さなものである。中間層は、燃料電池燃料のバリアであり、非透過である。最も外側の層は他のバリア層であり、使用期限の間、ライナーが露出される燃料または化学物質への耐性を有するものであってよい。位置実施例では、最も内側の層はフッ素処理されたポリエチレン(LDPEまたはHDPE)であってよく、中間の層はナイロンまたはシリカンであってよく、最も外側の層はアルミフォイルであってよい。各層は好ましくは同一の製造プロセスで押し出し、積層されて大きな結合一体性を保証する。
【0051】
押し出しチューブ160は柔らかく、任意の形状をとることができる。ライナーの最終形状は、チューブ160が結合される端部キャップ162の形状に一部左右される。チューブ160は図示のように多角形でもよく、プリーツを具備しても良い。チューブ160は、高周波、超音波または他の加熱原により生成される熱により端部キャップ162にシールされても良い。代替的には、チューブ160は一端で端部キャップ162およびバルブ36に結合されてもよく、それ自体を畳んでシールしても良い。これは図10に示すように歯磨き粉チューブと同様である。ライナーはアルミフォイル中にシュリンクラップされてもよい。これによりカートリッジの在庫寿命が伸びる。なぜならば、最も内側の層は燃料の腐食効果に耐え、中間層及び外側層がバリアを形成して燃料をライナー内に維持し、外側層が紫外線によるライナーの劣化を防止できるからである。多層ライナーは、上述の本出願人の出願に係る”004”米国特許出願に十分に開示されている。この開示内容は参照してここに組み入れる。
【0052】
この発明の他の側面によれば、外側ケーシングは2つの半体164を有し、これらが高周波、超音波または他の熱源で内側ライナー46へ溶着される。これは図11に示すとおりである。好ましくは、内側ライナー46は、これに結合される制御バルブ36をすでに含んでいる。各半体164は図示のとおりライナー46の首領域166に溶着され、相互に用着されこの発明に従う燃料サプライを形成する。
【0053】
ここに開示された発明の例示的な実施例がこの発明の目的を達成することは明らかであるが、当業者が種々の変形や他の実施例を構成できることは容易に理解できる。添付の特許請求の範囲は、これらすべての変形例や実施例を、その趣旨を逸脱することなくカバーすることを意図するものであることは、容易に理解できる。
【0054】
添付図面は明細書の一部を形成し、明細書との関連において理解されるべきであり、種々の図において類似の参照番号は類似の部分を示すために用いられる。添付図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明の1実施例に従う圧縮燃料カートリッジの断面図である。
【図2】この発明の他の実施例に従う圧縮燃料カートリッジの断面図である。
【図3】この発明の他の実施例に従う他の圧縮燃料カートリッジの開放位置での分解図であり、図3Aは、図3の燃料カートリッジのライナーへ接続可能なバルブの断面図である。
【図4】図3の燃料カートリッジの閉止位置での斜視図であり、図4Aおよび図4Bは図3のライナーへ接続可能な他のバルブの斜視図であり、図4Cは、多数領域についての燃料ライナーおよび発泡体バネの斜視図であり、図4Dは保護バッグ内の燃料カートリッジの斜視図である。
【図5】この発明に従う他の燃料カートリッジの模式表現である。
【図6】この発明に従う燃料カートリッジの他の実施例の断面図である。
【図7】この発明に従う他の燃料電池を伴う電子製品の分解斜視図である。
【図8A】ガイドアーム機構を示す、図3および図4のカートリッジの部分前面斜視図である。
【図8B】ガイドアーム機構を示す、図3および図4のカートリッジの部分前面斜視図である。
【図8C】ガイドアーム機構を示す、図3および図4のカートリッジの部分前面斜視図である。
【図8D】ガイドアーム機構を示す、図3および図4のカートリッジの部分前面斜視図である。
【図9A】図9Aはこの発明に従う熱成形燃料供給装置の斜視図である。
【図9B】図9Aの9B−9B線に沿う断面図である。
【図10】この発明に従う同時押出成形ライナーの例示的な形状を説明する。
【図11】この発明に従う、外側ケーシングをライナーに結像する例示的な方法を説明する。
【符号の説明】
【0056】
10 カートリッジ
12 室部
14 燃料用区画
16 反応質用区画
18 可動壁部
20 ワイパー
22 反応室部
24 ポンプ
26 チェックバルブ
28 ポンプ
30 チャネル
32 隔膜
33 バルブ
34 内側スペース
36 バルブ
38 チャネル
39 反応物質
40 カートリッジ
40 反応物質
41 保護バッグ
42 ハウジングトップ
44 ハウジング本体
46 内側ライナー
48 スロット
50 端壁部
51 外部鍔部
52 発泡体
56 ガイド穴
58 底部
60 ガイド
62 排気バルブ
64 隔膜
66 識別部材
68 チャネル
70 チャネル
72 排気穴
74 バネ
76 バイアス板
136 ライナー
138 保持材料
140 カートリッジ
142 室部
144 外側ライナー
146 バルブ部品
147 ピボット
148 ガイドアーム
149 カバー
150 燃料サプライ
156 ミシン目
158 側面タブ
160 シームレスチューブ
162 端部キャップ
164 半体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池により使用される燃料を含有する燃料供給装置において、
燃料を含有する燃料用区画、反応物質用区画、および反応室部を包囲する外側ケーシングを有し、
上記燃料は反応室部に搬送されて水素ガスおよび液体反応物質を含む反応物質を生成するように反応し、この後上記反応物質が反応物質用区画に搬送され、かつ、
上記反応物質用区画が上記液体反応物質を保持し、かつ上記水素ガスは上記反応物質用区画から上記燃料電池に搬送されることを特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
上記反応物質用区画は、ガス透過性で液体非透過性の隔膜を有し、水素ガスが上記隔膜を介して上記燃料電池に供給される請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項3】
上記燃料カートリッジはバルブを有し、このバルブが水素ガスを選択的に上記燃料電池へと通過させる請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項4】
上記燃料カートリッジは燃料を上記燃料用区画から上記反応室部へとポンピングするポンプを有する請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項5】
上記外側ケーシングは実質的に水素ガスに対して非透過性である請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項6】
水素ガスは上記外側ケーシング内に貯蔵される請求項5記載の燃料供給装置。
【請求項7】
上記燃料用区画の壁部および上記反応物質用区画の壁部は一体に形成される請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項8】
上記燃料用区画および上記反応物質用区画は可動壁部により分離される請求項7記載の燃料供給装置。
【請求項9】
上記可動壁部は、上記反応物質用区画および上記燃料用区画の間のシールを形成する請求項8記載の燃料供給装置。
【請求項10】
上記シールは、上記反応物質用区画および上記燃料用区画の壁部に対して圧力を加えるワイパーまたはOリングを有する請求項9記載の燃料供給装置。
【請求項11】
上記燃料は水素化ホウ素ナトリウムを含む請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項12】
上記液体反応物質はホウ酸ナトリウムを含む請求項11記載の燃料供給装置。
【請求項13】
上記反応室部はプラチナまたはルテニウムを含む請求項11記載の燃料供給装置。
【請求項14】
上記燃料はメタノールである請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項15】
上記反応室部は触媒を含む請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項16】
上記燃料用区画はライナーを含み、上記燃料はライナー中に含まれる請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項17】
上記反応物質用区画はライナーを含み、上記反応物質はライナー中に含まれる請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項18】
燃料電池により使用される燃料を含有する燃料供給装置において、
燃料を含有する燃料用区画、反応物質用区画、および反応室部を包囲する外側ケーシングを有し、
上記燃料は反応室部に搬送されて水素ガスおよび液体反応物質を含む反応物質を生成するように反応し、この後上記水素ガスが上記燃料電池に搬送され、上記液体反応物質が上記反応物質用区画に搬送され、かつ、
上記液体反応物質がさらに付加的な反応物質と反応してガスを生成して、上記反応物質用区画内の圧力を増大させて燃料を上記燃料用区画から押し出すことを特徴とする燃料供給装置。
【請求項19】
上記付加的な反応物質は金属である請求項18記載の燃料供給装置。
【請求項20】
上記付加的な反応物質は触媒である請求項18記載の燃料供給装置。
【請求項21】
上記燃料カートリッジはバルブを有し、このバルブが水素ガスを選択的に上記燃料電池へと通過させる請求項18記載の燃料供給装置。
【請求項22】
上記燃料カートリッジは燃料を上記燃料用区画から上記反応室部へとポンピングするポンプを有する請求項18記載の燃料供給装置。
【請求項23】
上記燃料用区画の壁部および上記反応物質用区画の壁部は一体に形成される請求項18記載の燃料供給装置。
【請求項24】
上記燃料用区画および上記反応物質用区画は可動壁部により分離される請求項23記載の燃料供給装置。
【請求項25】
上記可動壁部は、上記反応物質用区画および上記燃料用区画の間のシールを形成する請求項24記載の燃料供給装置。
【請求項26】
上記シールは、上記反応物質用区画および上記燃料用区画の壁部に対して圧力を加えるワイパーまたはOリングを有する請求項25記載の燃料供給装置。
【請求項27】
上記燃料は水素化ホウ素ナトリウムを含む請求項18記載の燃料供給装置。
【請求項28】
上記液体反応物質はホウ酸ナトリウムを含む請求項27記載の燃料供給装置。
【請求項29】
上記燃料はメタノールである請求項18記載の燃料供給装置。
【請求項30】
上記燃料はメタノールである請求項18記載の燃料供給装置。
【請求項31】
上記反応室部は触媒を含む請求項18記載の燃料供給装置。
【請求項32】
上記燃料用区画はライナーを含み、上記燃料はライナー中に含まれる請求項18記載の燃料供給装置。
【請求項33】
上記反応物質用区画はライナーを含み、上記反応物質はライナー中に含まれる請求項18記載の燃料供給装置。
【請求項34】
上記反応物質用区画は第2のライナーを有し、上記2つのライナーは可動壁部により分離される請求項32記載の燃料供給装置。
【請求項35】
外側ケーシングと少なくとも2つの内側ライナーとを有し、吸収材料が上記ナイラー同士の間に配置され、上記ライナーのうちの1つが燃料を含み、当該1つのライナーが上記ライナーを上記燃料電池に結合するバルブに液体連通されることを特徴とする燃料供給装置。
【請求項36】
上記燃料を含有する上記ライナーに関して動作する少なくとも1つの位置エネルギー貯蔵部品を、さらに、有する請求項35記載の燃料供給装置。
【請求項37】
上記バネ位置エネルギー貯蔵部品は発泡体を含む請求項36記載の燃料供給装置。
【請求項38】
上記バネ位置エネルギー貯蔵部品はバネを含む請求項36記載の燃料供給装置。
【請求項39】
柔軟性がある外側ケーシングと燃料を含む柔軟性がある内側ライナーとを有する、燃料電池用の燃料供給装置において、上記燃料供給装置は電子装置の区画に収容できるサイズおよび形状であり、かつ上記内側ライナーが上記内側ライナーを上記電子装置内の燃料電池に結合するバルブと液体連通していることを特徴とする燃料供給装置。
【請求項40】
上記2つのライナーの間に配置された吸収材料をさらに有する請求項39記載の燃料供給装置。
【請求項41】
吸収材料から製造され、上記内側ライナーおよび外側ライナーの間に配置された第3のライナーをさらに有する請求項39記載の燃料供給装置。
【請求項42】
内側ライナーおよび外側ライナーの斎田に配置された吸収材料をさらに有する請求項39記載の燃料供給装置。
【請求項43】
電子装置に挿入可能にされた燃料電池用の燃料供給装置において、上記燃料供給装置に表面に実装された可動ガイドアームを有し、上記燃料供給装置を上記電子装置に挿入する前に上記可動ガイドアームを第1の位置から第2の位置に移動させることを特徴とする燃料供給装置。
【請求項44】
上記第1の位置は当初の位置である請求項43記載の燃料供給装置。
【請求項45】
上記第2の位置は挿脱位置である請求項44記載の燃料供給装置。
【請求項46】
上記挿脱位置において上記ガイドアームは上記電子装置の対応するチャネルに整合される請求項45記載の燃料供給装置。
【請求項47】
上記ガイドアームはバネバイアスされている請求項43記載の燃料供給装置。
【請求項48】
上記ガイドアームは、上記燃料供給装置を上記電子装置中の上記燃料電池に結合する制御バルブと同軸に実装される請求項43記載の燃料供給装置。
【請求項49】
上記ガイドアームは上記制御バルブから置換して設けられる請求項48記載の燃料供給装置。
【請求項50】
上記燃料供給装置が挿入された後に、上記ガイドアームが上記当初の位置に戻り上記燃料供給装置を上記電子装置内に保持する請求項43記載の燃料供給装置。
【請求項51】
上記ガイドアームは、上記燃料供給装置を上記電子装置内の燃料電池に連結する遮断バルブを最初の使用前においてシールするカバーを有する請求項43記載の燃料供給装置。
【請求項52】
上記が磯アームは上記遮断バルブを保護するカバーを有する請求項43記載の燃料供給装置。
【請求項53】
上記ガイドアームは上記燃料供給装置の前面部分から上記燃料供給装置の背面へ伸びる請求項43記載の燃料供給装置。
【請求項54】
上記可動ガイドアームは回転可能である請求項43記載の燃料供給装置。
【請求項55】
上記可動ガイドアームは屈曲可能である請求項43記載の燃料供給装置。
【請求項56】
上記屈曲可能ガイドアームは柔軟性を有する請求項53記載の燃料供給装置。
【請求項57】
上記可動ガイドアームはスライド可能である請求項43記載の燃料供給装置。
【請求項58】
燃料電池用の燃料供給装置を製造する方法において、
上側層を供給するステップと、
上記宇和が和装の上に少なくとも1つのブリスタを形成するステップと、
上記上側層にバッキング層を積層して上記上側層およびバッキング層の間に少なくとも1つの燃料貯蔵部を形成するステップと、
バルブを少なくとも1つのブリスタ貯蔵部に結合するステップとを有することを特徴とする燃料供給装置製造方法。
【請求項59】
上記少なくとも1つのブリスタ貯蔵部の回りにミシン目を形成するステップをさらに有する請求項58記載の燃料供給装置製造方法。
【請求項60】
上記少なくとも1つのブリスタ貯蔵部の周辺で上記バッキング層および上側層からの少なくとも1つのガイドタブを形成するステップをさらに有する請求項58記載の燃料供給装置製造方法。
【請求項61】
上記ガイドタブを電子装置上の対応するチャネルに整合させるステップと、上記燃料供給装置を上記電子装置に挿入するステップをさらに有する請求項60記載の燃料供給装置製造方法。
【請求項62】
燃料電池用の燃料供給装置を製造する方法において、
上記燃料供給装置の使用に適した複数の材料を供給するステップと、
上記複数の材料から同時押し出しによりシームレスチューブを形成するステップと、
予め定められた形状の少なくとも1つの端部キャップを上記シームレスチューブに結合して上記燃料供給装置を形成するステップと、
バルブを上記燃料供給装置に結合するステップとを有することを特徴とする燃料供給装置製造方法。
【請求項63】
上記チューブの一端を上記チューブ自体にシーツするステップをさらに有する請求項62記載の燃料供給装置製造方法。
【請求項64】
燃料電池用の燃料供給装置を製造する方法において、
燃料を含有するのに相性がよい内側ライナーを供給するステップと、
バルブを上記内側ライナーに結合するステップと、
少なくとも2つの部分を有する外側ケーシングを供給するステップと、
上記外側ケーシングの一部を上記内側ライナーの首部分に上記バルブの近傍で結合するステップと、
上記外側ケーシングの他の部分を上記内側ライナーの上記首部分に結合するステップと、
上記外側ケーシングの上記2つの部分を相互に結合するステップとを有することを特徴とする燃料供給装置製造方法。
【請求項65】
外側ケーシングと、少なくとも1つの内側ライナーと、位置エネルギー貯蔵要素とを有し、上記ライナーは燃料を含み、かつ、上記ライナーを燃料電池に結合するバルブと液体連通状態であり、さらに、上記外側ケーシングは、上記燃料が上記ライナーに入り、上記ライナーから出るときに、上記ライナーおよび上記位置エネルギー貯蔵要素の移動を案内する内側リブを有することを特徴とする燃料供給装置。
【請求項66】
上記位置エネルギー貯蔵要素は発泡体を有する請求項65記載の燃料供給装置。
【請求項67】
上記位置エネルギー貯蔵要素はバネを有する請求項65記載の燃料供給装置。
【請求項68】
外側ケーシングと、少なくとも1つの内側ライナーと、位置エネルギー貯蔵発泡体とを有し、上記ライナーは燃料を含み、かつ、上記ライナーを燃料電池に結合するバルブと液体連通状態であり、さらに、上記発泡体は異なる多孔性の複数の領域を有することを特徴とする燃料供給装置。
【請求項69】
上記領域の内多孔性が最も大きいものは上記ライナーから最も遠い位置に配置される請求項68記載の燃料供給装置。
【請求項70】
上記発泡体に複数の排気穴が形成される請求項68記載の燃料供給装置。
【請求項71】
シールされたバッグに包まれた燃料供給装置を有する燃料システムにおいて、上記燃料供給装置は、外側ケーシングを有し、かつ、燃料は上記外側ケーシング内に含まれ、さらに上記燃料は上記燃料供給装置状に配置された遮断バルブと液体連通状態となっていることを特徴とする燃料システム。
【請求項72】
上記燃料はライナー中に含まれ、上記ライナーは上記外側ケーシング中に配置される請求項71記載の燃料システム。
【請求項73】
上記バッグは燃料電池をシュリンクラップする請求項71記載の燃料システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−509463(P2007−509463A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534234(P2006−534234)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/032672
【国際公開番号】WO2005/036944
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(501436665)ソシエテ ビック (73)
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE BIC
【Fターム(参考)】