説明

燃料電池用電極及びその製造方法

【課題】燃料電池用電極において、ガス拡散性、排水性等が良好な触媒層を形成することで触媒利用効率が向上して、高価な触媒の使用量を低減しても従来の性能を維持できること。
【解決手段】各配合成分をサンドミルで混合分散させてペーストとし(S10)、作製したカソード触媒ペーストをPTFEシート上に目的のPt目付量になるようにドクターブレードで塗布して(S11)、50℃で乾燥し(S12)、この触媒塗膜上に触媒ペーストAを目的のPt目付量になるようにドクターブレードで塗布して(S13)、50℃で乾燥してカソード転写シートを作製した(S14)。同様にしてアノード転写シートを作製した(S15,S16,S17)。アノード転写シートとカソード転写シートとでイオン交換電解質膜を挟み込んでホットプレスで触媒層を転写して、膜電極接合体を作製した(S18)。従来の60%のPt目付量でも従来と同等の出力性能を示した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子型燃料電池に用いられる電極及びその製造方法に関し、特に固体高分子型燃料電池の低コスト化と高出力化を図ることができる燃料電池用電極及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体高分子型燃料電池においては、高分子電解質膜の両面にカソード側電極及びアノード側電極を形成しており、これらのカソード側電極及びアノード側電極は、白金等の触媒を担持したカーボンブラックとイオン交換樹脂からなる触媒層と、カーボンクロスやカーボンペーパー等の基材に導電性を付与するためのカーボン粉末と撥水性を付与するためのポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」という。)を混練したペーストを含浸したり塗布したりしてなるガス拡散層によって構成されている。
【0003】
しかし、触媒として使用される白金は高価であるため、固体高分子型燃料電池の実用化に向けて、燃料電池としての性能を低下させることなく、白金の使用量を低減する必要がある。そのためには、ガス拡散性、排水性、電子伝達性が良好な触媒層を形成することが極めて重要である。
【0004】
そこで、特許文献1に開示された発明においては、凝集させた粉末粒子を拡散層上に塗布した後に自然沈降させて触媒層の厚み方向への密度分布を形成させている。また、触媒層中のカーボン分に対するイオン交換樹脂の量を拡散層側に近づくに従って減少させている。また、特許文献2に開示された発明においては、触媒層に含まれるイオン交換樹脂の含水率を拡散層側ほど減少させている。更に、特許文献3に開示された発明においては、熱転写プロセスを繰り返すことによって、先に転写したものの密度を高くして密度勾配を形成することとしている。また、特許文献4に開示された発明においては、触媒層組成の膜液比、触媒担持量等を厚み方向に異ならせている。
【特許文献1】特開平8−162123号公報
【特許文献2】特開2002−15743号公報
【特許文献3】特開2005−56583号公報
【特許文献4】特開平9−245802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術においては、自然沈降は時間がかかる上に状態の再現性が悪い。また、触媒層中のカーボン分に対するイオン交換樹脂の量を拡散層側に近づくに従って減少させているが、このようにすると触媒層の拡散層側でのイオン交換樹脂量が必要量より少なくなってしまい、拡散層に近いところの触媒を活かすことができない。また、特許文献2に記載された技術においては、触媒層に含まれるイオン交換樹脂の含水率を拡散層側ほど減少させているが、このように含水率を減少させてもガス拡散性・排水性は向上せず、大きな効果は得られない。
【0006】
更に、特許文献3に記載された技術においては、熱転写プロセスを繰り返すことで先に転写したものの密度を高くして密度勾配を形成するとしているが、触媒層を構成する成分の物性から一度プレスを行うと最大限に圧縮されてしまいこのような密度分布は形成されない。また、特許文献4に記載された技術においては、厚み方向の比率の検討が行われておらず、特許文献4の実施例1のように厚み方向の比率が1:1では触媒使用量低減の効果は得られず、物質移動性と反応活性との兼ね合いから、組成を変化させた層の厚み方向の比率を適正な範囲に入れないと電池出力を維持したまま触媒使用量を低減することができないという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、ガス拡散性、排水性、電子伝達性が良好な触媒層を形成することによって触媒利用効率が向上して、白金等の高価な触媒の使用量を低減しても従来の性能を維持することができる燃料電池用電極及びその製造方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明にかかる燃料電池用電極は、高分子電解質膜を中心として構成される固体高分子型燃料電池の燃料電池用電極であって、ガス拡散層と、前記高分子電解質膜と前記ガス拡散層との間に配置される二層の触媒層とを具備しており、前記二層の触媒層のうち前記高分子電解質膜に近い内側触媒層は触媒担持カーボンブラックとイオン交換樹脂で形成され、前記内側触媒層よりも前記ガス拡散層側の外側触媒層は触媒担持カーボンブラックの触媒担持量が前記内側触媒層の前記触媒担持カーボンブラックの0.6倍〜0.8倍の範囲内で触媒目付量が15%〜35%の範囲内の触媒担持カーボンブラックと前記イオン交換樹脂からなるものである。
【0009】
請求項2の発明にかかる燃料電池用電極の製造方法は、高分子電解質膜を中心として構成される固体高分子型燃料電池の燃料電池用電極の製造方法であって、触媒担持カーボンブラックとイオン交換樹脂からなる前記高分子電解質膜に近い内側触媒層を形成する工程と、前記内側触媒層の外側に配置される触媒担持量が前記内側触媒層の前記触媒担持カーボンブラックの0.6倍〜0.8倍の範囲内で触媒目付量が15%〜35%の範囲内の触媒担持カーボンブラックと前記イオン交換樹脂からなる外側触媒層を形成する工程と、 前記外側触媒層の外側に配置されるガス拡散層を形成する工程とを具備するものである。
【0010】
請求項3の発明にかかる燃料電池用電極または燃料電池用電極の製造方法は、請求項1または請求項2の構成において、前記燃料電池用電極はカソード側電極であるものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明にかかる燃料電池用電極は、高分子電解質膜を中心として構成される固体高分子型燃料電池の燃料電池用電極であって、ガス拡散層と、高分子電解質膜とガス拡散層との間に配置される二層の触媒層とを具備しており、二層の触媒層のうち高分子電解質膜に近い内側触媒層は触媒担持カーボンブラックとイオン交換樹脂で形成され、内側触媒層よりもガス拡散層側の外側触媒層は触媒担持カーボンブラックの触媒担持量が内側触媒層の触媒担持カーボンブラックの0.6倍〜0.8倍の範囲内で触媒目付量が15%〜35%の範囲内の触媒担持カーボンブラックとイオン交換樹脂からなる。
【0012】
このように触媒層を二層からなるものとすることによって、ホットプレス等による触媒層を圧縮する工程があっても触媒層の厚み方向への構造を維持することができるため、従来の単一の層からなる触媒層に比較してガス拡散性・排水性・電子伝達性が良好な触媒層となり、触媒利用効率が向上して白金等の触媒の使用量を低減しても従来の出力を維持することができる。また、ガス拡散性、排水性の制御は内側触媒層と外側触媒層のカーボンブラック量の比によって行われるため、触媒層中の総カーボンブラック量とイオン交換樹脂量との比率を一定とすることによって、最もガス拡散層側の触媒層の触媒も十分に機能させることができる。
【0013】
更に、ガス拡散性、排水性を確保しながら必要十分な量のイオン交換樹脂を配合することができることから、良好なプロトン伝導性を実現でき過酸化水素の発生を抑制することができるため、過酸化水素によるイオン交換膜の分解を抑制し燃料電池の耐久性を向上させることができる。そして、外側触媒層のカーボンブラック量が増加することによって、電子伝達経路の量を拡散層側で増やすことができ、燃料電池の出力特性を改善することができる。
【0014】
このようにして、ガス拡散性、排水性、電子伝達性が良好な触媒層を形成することによって触媒利用効率が向上して、白金等の高価な触媒の使用量を低減しても従来の性能を維持することができる燃料電池用電極となる。
【0015】
請求項2の発明にかかる燃料電池用電極の製造方法は、高分子電解質膜を中心として構成される固体高分子型燃料電池の燃料電池用電極の製造方法であって、触媒担持カーボンブラックとイオン交換樹脂からなる高分子電解質膜に近い内側触媒層を形成する工程と、内側触媒層の外側に配置される触媒担持量が内側触媒層の触媒担持カーボンブラックの0.6倍〜0.8倍の範囲内で触媒目付量が15%〜35%の範囲内の触媒担持カーボンブラックとイオン交換樹脂からなる外側触媒層を形成する工程と、外側触媒層の外側に配置されるガス拡散層を形成する工程とを具備する。
【0016】
このように触媒層を二層からなるものとすることによって、ホットプレス等による触媒層を圧縮する工程があっても触媒層の厚み方向への構造を維持することができるため、従来の単一の層からなる触媒層に比較してガス拡散性・排水性・電子伝達性が良好な触媒層となり、触媒利用効率が向上して白金等の触媒の使用量を低減しても従来の出力を維持することができる。また、ガス拡散性、排水性の制御は内側触媒層と外側触媒層のカーボンブラック量の比によって行われるため、触媒層中の総カーボンブラック量とイオン交換樹脂量との比率を一定とすることによって、最もガス拡散層側の触媒層の触媒も十分に機能させることができる。
【0017】
更に、ガス拡散性、排水性を確保しながら必要十分な量のイオン交換樹脂を配合することができることから、良好なプロトン伝導性を実現でき過酸化水素の発生を抑制することができるため、過酸化水素によるイオン交換膜の分解を抑制し燃料電池の耐久性を向上させることができる。そして、外側触媒層のカーボンブラック量が増加することによって、電子伝達経路の量を拡散層側で増やすことができ、燃料電池の出力特性を改善することができる。
【0018】
このようにして、ガス拡散性、排水性、電子伝達性が良好な触媒層を形成することによって触媒利用効率が向上して、白金等の高価な触媒の使用量を低減しても従来の性能を維持することができる燃料電池用電極の製造方法となる。
【0019】
請求項3の発明にかかる燃料電池用電極または燃料電池用電極の製造方法においては、燃料電池用電極がカソード側電極である。カソード側電極とアノード側電極とでは、内部で起こる反応の種類が異なるため、請求項1または請求項2に記載の構成を有するアノード側電極を作製しても、本発明をカソード側電極に適用した場合のような顕著な作用効果を得ることができない。そこで、請求項1または請求項2に記載の構成を有するカソード側電極を作製して、アノード側電極は従来の構成としても、十分に顕著な上述したような作用効果を得ることができ、アノード側電極の製造工程はより簡単になるという利点が得られる。
【0020】
このようにして、ガス拡散性、排水性、電子伝達性が良好なカソード側電極の触媒層を形成することによって触媒利用効率が向上して、白金等の高価な触媒の使用量を低減しても従来の性能を維持することができる燃料電池用電極またはその製造方法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態にかかる燃料電池用電極及びその製造方法について、図1を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態にかかる燃料電池用電極の製造方法の概略の手順を示すフローチャートである。
【0022】
まず、本実施の形態にかかる燃料電池用電極を構成する触媒ペーストの製造方法について説明する。本実施の形態においては、6種類の触媒ペースト(ペーストA,ペーストB,ペーストC,ペーストD,ペーストE及びペーストF)を製造して、これらのうちペーストAと他の5種類のペーストのいずれかを組み合わせて、またはペーストAのみを用いて、触媒層を形成した。6種類の触媒ペーストの配合を、表1に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
表1に示されるように、ペーストAは、Pt65%担持ケッチェンブラックEC300Jを10g、蒸留水を33g、Nafion溶液DE520を70g、配合して製造される。また、ペーストBは、Pt60%担持ケッチェンブラックEC300Jを10g、蒸留水を33g、Nafion溶液DE520を80g、配合して製造される。更に、ペーストCは、Pt50%担持ケッチェンブラックEC300Jを10g、蒸留水を33g、Nafion溶液DE520を100g、配合して製造される。
【0025】
また、ペーストDは、Pt45%担持ケッチェンブラックEC300Jを10g、蒸留水を33g、Nafion溶液DE520を110g、配合して製造される。更に、ペーストEは、Pt40%担持ケッチェンブラックEC300Jを10g、蒸留水を33g、Nafion溶液DE520を120g、配合して製造される。そして、ペーストFは、Pt35%担持ケッチェンブラックEC300Jを10g、蒸留水を33g、Nafion溶液DE520を130g、配合して製造される。
【0026】
即ち、ペーストAからペーストFまで、触媒である白金(Pt)の担持量が徐々に減っていくのに従って、カーボンブラック量とNafion成分の比率を合わせるために、イオン交換樹脂であるNafion溶液DE520の量が徐々に増えていくことになる。これらのカソード触媒ペーストを、種々のPt目付量になるように用いて、実施例1〜実施例8及び比較例1〜比較例3にかかるカソード触媒層及びカソード電極を製造した。実施例1〜実施例8及び比較例1〜比較例3にかかるカソード触媒層における1平方センチ当たりの触媒使用量を、表2の上段に示す。
【0027】
【表2】

【0028】
表2に示されるように、本実施の形態にかかる実施例1〜実施例4においてはいずれもペーストA及びペーストDを使用しているが、使用量がそれぞれ異なっており、更に合計の触媒使用量が、従来例となる比較例1の0.5mg/cm2 と比較して0.3mg/cm2 と少なくなっている。
【0029】
また、本実施の形態にかかる実施例5〜実施例8においては、それぞれペーストAとペーストB、ペーストC、ペーストE、ペーストFを使用しており、使用量の割合は実施例3と同じであり、合計の触媒使用量も、従来例となる比較例1の0.5mg/cm2 と比較して0.3mg/cm2 と少なくなっている。
【0030】
これらの実施例1〜実施例8に対して、比較例1〜比較例3にかかるカソード触媒層においては、ペーストAのみを使用しており、比較例2は0.15mg/cm2 との二回塗りで合計0.3mg/cm2 であり、比較例3は0.3mg/cm2 の一回塗りである。 なお、アノード触媒ペーストは、Pt25%Ru25%担持ケッチェンブラックEC300Jを10g、蒸留水を33g、Nafion溶液DE520を100g、配合して製造される。
【0031】
このような各配合で、MEAを作製して、放電特性の測定試験を行った。本実施の形態にかかる燃料電池用電極を用いたMEAの製造方法について、図1を参照して説明する。
【0032】
図1に示されるように、まずカソード触媒ペーストを作製した。具体的には、表1に示される各配合成分をサンドミルに入れて、回転混合分散させてペーストとした(ステップS10)。続いて、作製したカソード触媒ペースト(ペーストA,ペーストB,ペーストC,ペーストD,ペーストEまたはペーストF)をPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シート上に、目的のPt目付量になるようにドクターブレードで塗布して(ステップS11)、50℃で乾燥した(ステップS12)。
【0033】
次に、この触媒塗膜上に、作製したカソード触媒ペーストAを目的のPt目付量になるようにドクターブレードで塗布して(ステップS13)、50℃で乾燥してカソード転写シートを作製した(ステップS14)。
【0034】
一方、同様にして上述した配合成分をサンドミルに入れて回転混合分散させて、アノード触媒ペーストを作製し(ステップS15)、PTFEシート上にPt目付量が0.2mg/cm2 になるようにドクターブレードで塗布して(ステップS16)、50℃で乾燥してアノード転写シートを作製した(ステップS17)。
【0035】
こうして作製したアノード転写シートと、ステップS14で作製したカソード転写シートとで、イオン交換電解質膜を挟み込んでホットプレスで触媒層を転写して、膜電極接合体を作製した(ステップS18)。更に、拡散層として、カーボンブラック/PTFEディスパージョン混合物で導電撥水処理を行ったカーボンペーパーを両方の外側にホットプレスで接合して、MEAを作製した(ステップS19)。なお、MEAの電極サイズは、15cm2 とした。
【0036】
こうして作製したMEAを用いて、単セル電池放電試験を行い、性能を比較した。単セル電池の運転条件は、セル温度75℃、アノード/カソードバブラー温度:70℃/70℃、燃料ガス利用率60%、空気利用率40%、燃料ガスとしては純水素を使用した。単セル電池放電試験の結果を、表2の下段に示す。
【0037】
表2に示されるように、本実施の形態にかかる実施例3,実施例6,実施例7においては従来例となる比較例1と比較して良好な電池性能を示しており、また本実施の形態にかかる実施例2においては、Pt目付量が比較例1の60%であるにも関わらず同等の性能を有している。これに対して、比較例2,比較例3は、比較例1よりも性能が劣るという結果となっている。
【0038】
ここで、実施例2,実施例3,実施例6,実施例7においては、それぞれペーストC,ペーストD,ペーストEを用いている。これら3種類のペーストにおける触媒担持量を内側触媒層に用いられるペーストAと比較すると、表1に示されるように、ペーストCが0.77倍、ペーストDが0.69倍、ペーストEが0.62倍であって、いずれも請求項1及び請求項2にかかる発明に記載された0.6倍〜0.8倍の範囲内に入っている。
【0039】
また、触媒目付量は、実施例3,実施例6,実施例7のいずれにおいても25%であって、請求項1及び請求項2にかかる発明に記載された15%〜35%の範囲内に入っている。このように、本実施の形態にかかる燃料電池用電極においては、実施例2に示されるように、従来の60%のPt目付量でも従来と同等の出力性能を示し、また実施例3,実施例6,実施例7に示されるように、従来のPt目付量とした場合にはより優れた出力性能を示している。
【0040】
このようにして、本実施の形態にかかる燃料電池用電極においては、ガス拡散性、排水性、電子伝達性が良好な触媒層を形成することによって触媒利用効率が向上して、白金の使用量を低減しても従来の性能を維持することができる。
【0041】
本実施の形態にかかる燃料電池用電極の製造方法においては、触媒層の作製方法としてPTFEシートに触媒ペーストをドクターブレードで塗布して乾燥し、高分子電解質膜に転写する方法によっているが、これに限られるものではなく、どのような作製方法によって作製しても良い。
【0042】
本発明を実施するに際しては、燃料電池用電極のその他の構成、成分、材料、配合、形状、大きさ、接続関係等についても、また燃料電池用電極の製造方法のその他の工程についても、本実施の形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は本発明の実施の形態にかかる燃料電池用電極の製造方法の概略の手順を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子電解質膜を中心として構成される固体高分子型燃料電池の燃料電池用電極であって、
ガス拡散層と、前記高分子電解質膜と前記ガス拡散層との間に配置される二層の触媒層とを具備しており、
前記二層の触媒層のうち前記高分子電解質膜に近い内側触媒層は触媒担持カーボンブラックとイオン交換樹脂で形成され、
前記内側触媒層よりも前記ガス拡散層側の外側触媒層は触媒担持カーボンブラックの触媒担持量が前記内側触媒層の前記触媒担持カーボンブラックの0.6倍〜0.8倍の範囲内で触媒目付量が15%〜35%の範囲内の触媒担持カーボンブラックと前記イオン交換樹脂からなることを特徴とする燃料電池用電極。
【請求項2】
高分子電解質膜を中心として構成される固体高分子型燃料電池の燃料電池用電極の製造方法であって、
触媒担持カーボンブラックとイオン交換樹脂からなる前記高分子電解質膜に近い内側触媒層を形成する工程と、
前記内側触媒層の外側に配置される触媒担持量が前記内側触媒層の前記触媒担持カーボンブラックの0.6倍〜0.8倍の範囲内で触媒目付量が15%〜35%の範囲内の触媒担持カーボンブラックと前記イオン交換樹脂からなる外側触媒層を形成する工程と、
前記外側触媒層の外側に配置されるガス拡散層を形成する工程と
を具備することを特徴とする燃料電池用電極の製造方法。
【請求項3】
前記燃料電池用電極はカソード側電極であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用電極または請求項2に記載の燃料電池用電極の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−311291(P2007−311291A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141392(P2006−141392)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(000100780)アイシン化工株式会社 (171)
【Fターム(参考)】