説明

燃料電池発電装置の脱硫器及びイオン交換樹脂保持装置

【課題】 脱硫器とイオン交換樹脂のメンテナンスを容易にする。
【解決手段】 燃料電池発電装置の筐体35の前面部の所要個所に、脱硫器36とイオン交換樹脂37を左右に並べた状態で通過できる開口部38を設ける。開口部38にはパネル状の蓋39を備える。脱硫器36とイオン交換樹脂37を左右に並べて据え付けることができるようにしてある据付台40の右端部に一体に設けた円筒部材43を、筐体35における開口部38の内側右端部位置に設けた支柱部材42に回転自在に嵌合させる。開口部38の蓋39を取り外し、更に、支柱部材42を中心に据付台40を前方へ回転させて、据付台40上における脱硫器36とイオン交換樹脂37の据付個所を、開口部38を通して筐体35の外側へ引き出した状態で、据付台40に対する脱硫器36とイオン交換樹脂37の交換作業を実施させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料の有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するエネルギー部門で用いる燃料電池にて、燃料処理装置へ供給する燃料を脱硫処理するための脱硫器と、燃料電池の冷却水を処理するためのイオン交換樹脂を、該燃料電池発電装置の筐体内に保持させるための燃料電池発電装置の脱硫器及びイオン交換樹脂保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料を用いた他の発電方法に比して熱効率が高く、又、環境汚染が少ないため、有効な発電装置として期待されている。特に、固体高分子型燃料電池(PEFC)は、100℃以下という低温で発電が行われ、出力密度が高いので、他の形式の燃料電池に比して小型化でき、しかも、電池構成材料の劣化が少ないこと、起動が容易であること、等の長所があることから、近年、小規模な業務用あるいは家庭用等の発電装置として使用されるようになってきている。
【0003】
上記固体高分子型燃料電池を用いた燃料電池発電装置(PEFC発電装置)の一般的な構成は、以下のようにしてある。すなわち、図4に示す如く、電解質としてフッ素系のイオン交換膜が用いられている固体高分子電解質膜の両面をカソード(空気極)2とアノード(燃料極)3の両ガス拡散電極で挟持させてなるセルを、セパレータ(図示せず)を介し積層してスタックとしてなる構成として固体高分子型燃料電池1を形成する。上記固体高分子型燃料電池1におけるアノード3の入口側には、改質器5、低温シフトコンバータ6、CO選択酸化反応器(CO除去器)7を順に備えてなる燃料処理装置4を、途中に加湿器8を備えた改質ガスライン9を介して接続するようにしてある。これにより、燃料供給部より原料供給ライン11を経て供給される都市ガス(天然ガス)やLPG、灯油等の原料(原燃料)10を、該原料供給ライン11上に設けてある脱硫器12にて脱硫した後、原料予熱器13にて予熱してから上記燃料処理装置4へ供給し、同時に、水供給ライン14上の水蒸発器15で水蒸気の状態とした改質水16を上記燃料処理装置4へ供給することで、該燃料処理装置4の改質器5にて水蒸気改質を行わせるようにしてある。この水蒸気改質により得られる改質ガス(燃料ガス)17は、上記低温シフトコンバータ6及びCO選択酸化反応器7にて処理した後、改質ガスライン9上の加湿器8を経た後、上記固体高分子型燃料電池1のアノード3へ供給されるようにしてある。一方、上記カソード2の入口側には、酸化ガスとして空気18が、空気ブロワ19で加圧された後、上記加湿器8を経てから供給されるようにしてある。
【0004】
かかる構成としてあることにより、上記固体高分子型燃料電池1にて、アノード3側に供給される改質ガス17中の水素と、カソード2側に供給される空気18中の酸素とを電気化学反応(燃料電池反応)させて、発生する起電力を取り出すようにしてある。
【0005】
又、上記固体高分子型燃料電池1の冷却部20の入口側には、純水タンク21を、冷却水ポンプ23、ラジエータ24を上流側より順に備えた冷却水ライン22を介し接続し、且つ上記冷却部20の出口側に一端を接続してある冷却水戻しライン25の他端を、上記純水タンク21へ接続する。これにより、上記固体高分子型燃料電池1の運転中に、上記冷却水ポンプ23を運転することにより、上記純水タンク21より冷却水ライン22へ導かれる冷却水26を、ラジエータ24を経て固体高分子型燃料電池1の冷却部20へ供給して、固体高分子型燃料電池1における電気化学反応(燃料電池反応)の生成熱と熱交換させて、電池温度を冷却できるようにしてある。この電池温度の冷却に供された後に昇温されて排出される冷却水26は、冷却水戻しライン25を経て上記純水タンク21へ戻して循環させるようにしてある。
【0006】
なお、上記のような燃料電池発電装置にて、総合的熱効率の向上化を図るための手段の1つとして、上記燃料処理装置の改質器から排出される燃焼排ガスと、燃料電池のカソードより排出されるカソードオフガス中に存在する水分を排ガス凝縮器にて凝縮させて回収し、この回収された回収水を、上記燃料電池の冷却水循環系に供給して再利用することが考えられている。
【0007】
このように、改質器の燃焼排ガスとカソードオフガスからの回収水を燃料電池の冷却水循環系に供給する場合は、上記冷却水循環系の機器に腐食等の悪影響を及ぼす虞を未然に防止するために、上記回収水は、予めイオン交換樹脂を具備した純水装置へ供給して、該純水装置により処理することで、溶存酸素量、電気電導度、濁度、pH等を所定の水準に調整してから、冷却水として使用するようにしてある。
【0008】
ところで、燃料電池発電装置における脱硫器や、冷却水中の不純物を除去するための浄化装置や、純水装置におけるイオン交換樹脂は、燃料電池発電装置の運転時間が長くなるに伴い、その性能が次第に低下するようになるため、そのままでは燃料電池発電装置の運転が維持できなくなる。そのために、上記脱硫器、浄化装置、イオン交換樹脂については、交換やメンテナンスが必要とされる。
【0009】
そこで、上記燃料電池発電装置の運転を継続するのに交換や再生が必要な部品である上記脱硫器と、浄化装置と、イオン交換装置(イオン交換樹脂)を、燃料電池発電装置の筐体(パッケージ)の外面パネルの近傍に配置できるようにするための構成として、図5に示す如く、燃料電池発電装置の筐体27の前面部における右端部の所要個所に、縦方向に配置する浄化装置28とイオン交換装置29の取付位置に対応させた小窓30を設けて、該小窓30の内側に上記浄化装置28とイオン交換装置29とを取り付けると共に、上記筐体27の前面部における左寄りの所要個所に、脱硫器31の取付位置に対応させた小窓32を設けて、該小窓32の内側に上記脱硫器31を取り付けてなる構成とし、更に、上記各小窓30,32に、蓋体33,34をそれぞれ着脱可能に取り付けた構成とすることが提案されている。
【0010】
上記構成によれば、各小窓30,32を覆っている蓋体33,34を取り外すことにより、小窓30を介して上記浄化装置28とイオン交換装置29のメンテナンスを、又、小窓32を通して脱硫器31のメンテナンスを、それぞれ簡単に行うことができるとされている(たとえば、特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】特開2006−140164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、上記のような燃料電池発電装置の運転を継続するのに交換や再生が必要とされる部品の取外しや取付けを、該燃料電池発電装置のエンドユーザ(客先)が行うことがあり、このようにエンドユーザによる上記燃料電池発電装置の運転を継続するのに交換や再生が必要とされる部品の取外しと取付け作業を実施させるようにするためには、該部品の脱着作業をできるだけ簡便にすることが望まれる。
【0013】
そこで、本発明者は、上記のような燃料電池発電装置の運転を継続するのに交換や再生が必要とされる部品の脱着に要する作業をより容易なものとするための工夫、研究を重ねた結果、固体高分子型燃料電池を用いた燃料電池発電装置では、脱硫器と、イオン交換樹脂が、共に数千時間程度の運転時間という比較的高い頻度での交換が必要になるという点に着目して、燃料電池発電装置の筐体内にて上記脱硫器とイオン交換樹脂を集約して保持させておくようにすれば、該脱硫器とイオン交換樹脂を筐体より一度の作業で取り出して、メンテナンスに要する時間と手間を削減できることを見出して本発明をなした。
【0014】
したがって、本発明の目的とするところは、燃料電池発電装置の脱硫器とイオン交換樹脂のメンテナンスに要する作業を容易なものとすることができるように、該脱硫器とイオン交換樹脂を燃料電池発電装置の筐体内に保持させるようにするための燃料電池発電装置の脱硫器及びイオン交換樹脂保持装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、燃料電池発電装置の筐体のメンテナンス面となる面部の所要個所に、脱硫器とイオン交換樹脂を並べて出し入れ可能な開口部を設けると共に、該開口部の内側の筐体内スペースに、脱硫器とイオン交換樹脂を並べて据え付けるための据付台を設け、更に、上記開口部を開閉するための蓋を備えてなる構成とする。
【0016】
又、上記構成において、開口部の内側に設けた据付台を、脱硫器とイオン交換樹脂と共に上記開口部を通して筐体の外方へ引き出すことができるようにした構成とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の燃料電池発電装置の脱硫器及びイオン交換樹脂保持装置によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)燃料電池発電装置の筐体のメンテナンス面となる面部の所要個所に、脱硫器とイオン交換樹脂を並べて出し入れ可能な開口部を設けると共に、該開口部の内側の筐体内スペースに、脱硫器とイオン交換樹脂を並べて据え付けるための据付台を設け、上記開口部に開閉するための蓋を備えてなる構成としてあるので、燃料電池発電装置の運転に伴い同時期に、しかも、高い頻度で交換時期を迎える脱硫器とイオン交換樹脂の取り外しと取り付け作業を、筐体に設けた1つの開口部の蓋を取外すのみで実施できるため、上記脱硫器とイオン交換樹脂のメンテナンスを容易なものとすることができて、メンテナンス作業に要する手間及び時間を削減することができる。
(2)開口部の内側に設けた据付台を、脱硫器とイオン交換樹脂と共に上記開口部を通して筐体の外方へ引き出すことができるようにした構成とすることにより、上記脱硫器とイオン交換樹脂の据付台への脱着作業を、開口部を通して筐体の外方へ引出した状態の据付台に対して行うことができるようになるため、脱硫器及びイオン交換樹脂のメンテナンスを、更に容易なものとすることができて、該メンテナンス作業に要する手間及び時間の更なる削減化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1(イ)(ロ)及び図2(イ)(ロ)は本発明の燃料電池発電装置の脱硫器及びイオン交換樹脂保持装置の実施の一形態を示すもので、以下のようにしてある。
【0020】
すなわち、燃料電池発電装置の筐体35のメンテナンス面となる前面部35aの所要個所、たとえば、右端部に、脱硫器36とイオン交換樹脂37とを左右に並べて配置した状態で内外方向に通過できるサイズの開口部38を設ける。該開口部38には、上記筐体35の前面パネルの一部となるパネル状の蓋39を着脱可能に備える。
【0021】
上記開口部38の内側には、左右方向に所要寸法延びて上記脱硫器36とイオン交換樹脂37とを左右に並べて据付けることができるようにした据付台40を配置する。更に、該据付台40と、上記筐体35における開口部38の内側の固定部となる内底面との間に、据付台40における上記脱硫器36とイオン交換樹脂37の据付個所を上記開口部38を通して筐体35の外方へ引出すことができるようにするため可動機構41を介在させて設ける。
【0022】
具体的には、上記可動機構41は、図2(イ)(ロ)に示す如く、上記筐体35の開口部38における左右いずれか一方の端部、たとえば、右端部の内側位置に、鉛直方向に所要寸法延びる円柱形状の支柱部材42を立設すると共に、該支柱部材42の外周に、上記据付台40の右端部に一体に取り付けた上下方向の円筒部材43を回転自在に嵌合させてなる構成としてある。これにより、上記据付台40を、上記円筒部材43と一体に上記支柱部材42を中心に水平方向へ回動させることで、据付台40全体を上記筐体35における開口部38の内側に収納した配置から、該据付台40における上記円筒部材43の近傍となる右端部を除く領域を、上記開口部38を通して筐体35の外方へ突出させた配置まで、前後に移動させることができるようにしてある。
【0023】
上記据付台40の上側には、たとえば、左右長手方向の中間部に、上下方向に所要寸法延びる支持プレート44が立設してあり、該据付台40上における上記支持プレート44を挟んだ両側位置に、上記脱硫器36とイオン交換樹脂37を配置すると共に、該脱硫器36及びイオン交換樹脂37の上下方向所要個所を、上記支持プレート44にUボルトやバンド等の図示しない取付部材を介して着脱可能にそれぞれ取り付けることで、上記脱硫器36及びイオン交換樹脂37を、上記据付台40上に据え付けて支持させることができるようにしてある。
【0024】
なお、図示してないが、上記脱硫器36に接続する燃料供給側と燃料送出側の各ライン、及び、上記イオン交換樹脂37に接続する水供給側と水送出側の各ラインは、いずれもフレキシブルなラインとして、上記据付台40の上記支柱部材42を中心とする前後方向の回動に伴う該据付台40上の脱硫器36やイオン交換樹脂37の前後方向への変位に追従できるようにしてあるものとする。
【0025】
更に、上記筐体35における開口部38の内側に据付台40全体を収納した状態にて、地震時等に該据付台40が筐体35内で前後方向へ想定外の変位をしないように拘束するための拘束機構として、たとえば、上記据付台40全体を上記開口部38の内側に収納した状態のときに上記円筒部材43の周壁部にて開口部38に臨む配置となる所要個所に、内外方向に貫通させた図示しないねじ穴を設けると共に、該ねじ穴に、外側から止めねじ45を取り付けてなる構成としてある。これにより、上記筐体35における開口部38の内側に据付台40全体を収納した状態で上記止めねじ45を締め込んで、該止めねじ45の先端部を上記円筒部材43の内側の支柱部材42の外周面に押し付けることで、上記据付台40の前後方向への回動を拘束できるようにし、一方、上記止めねじ45を緩めることで、上記据付台40の拘束を解除できるようにしてある。
【0026】
以上の構成としてある燃料電池発電装置の脱硫器及びイオン交換樹脂の保持装置を使用する場合は、先ず、筐体35の開口部38の蓋39を取り外し、上記止めねじ45を緩めた状態で上記据付台40を開口部38より筐体35の外方へ突出する配置となるように引き出した後、該筐体35の外方へ突出している据付台40の上側に、脱硫器36とイオン交換樹脂37を配置すると共に、該脱硫器36とイオン交換樹脂37を、上記支持プレート44に図示しない取付部材を介しそれぞれ取り付けて、上記据付台40上に支持させる。更に、この開口部38より外方に突出させて配置してある据付台40上に支持させた状態の上記脱硫器36に、図示しない燃料供給側と送出側の各ラインを接続すると共に、上記イオン交換樹脂37に図示しない水供給側と水送出側の各ラインを接続するようにしておく。
【0027】
その後、上記据付台40を支柱部材42を中心に後方へ回動させて上記筐体35の開口部38の内側へ移動させることで、該据付台40上に据え付けてある脱硫器36及びイオン交換樹脂37を上記筐体35における開口部38の内側へ収納させる。
【0028】
上記のようにして上記脱硫器36及びイオン交換樹脂37が筐体35内に収納された後は、上記円筒部材43に設けてある止めねじ45を締めて、該止めねじ45の先端部を支柱部材42の外周面に押し付けて、上記据付台40を回動しないように拘束してから、上記開口部38に蓋39を取り付けて閉塞させる。しかる後、この状態で、上記燃料電池発電装置の運転を行わせるようにする。
【0029】
上記燃料電池発電装置の運転時間が数千時間程度に達して、上記脱硫器36とイオン交換樹脂37の交換時期を迎えた場合は、上記した脱硫器36とイオン交換樹脂37の装着手順とは逆の手順、すなわち、先ず、上記筐体35の開口部38の蓋39を取外した後、上記止めねじ45を緩めてから、上記据付台40を開口部38より筐体35の外方へ突出する配置となるまで引出し、次いで、上記脱硫器36より図示しない燃料供給側と燃料送出側の各ラインを取外すと共に、上記イオン交換樹脂37より図示しない水供給側と水送出側の各ラインをそれぞれ取外し、更に、上記脱硫器36とイオン交換樹脂37を、支持プレート44より取外すことで、上記据付台40上より撤去するようにする。
【0030】
その後、新たなあるいは再生した脱硫器36とイオン交換樹脂37を、前述の取り付け手順にしたがって取り付けることで、上記脱硫器36とイオン交換樹脂37の脱着、交換作業が行われるようになる。
【0031】
このように、本発明の燃料電池発電装置の脱硫器及びイオン交換樹脂保持装置によれば、燃料電池発電装置の運転に伴い同時期に且つ高い頻度で交換時期を迎える脱硫器36とイオン交換樹脂37の取り外しと取り付け作業を、筐体35に設けた1つの開口部38の蓋39を取外すのみで実施できる。しかも、上記脱硫器36とイオン交換樹脂37が据え付けてある据付台40を上記開口部38を通して筐体35の外方へ引出した状態で実施できるため、上記脱硫器36及びイオン交換樹脂37のメンテナンスを容易なものとすることができて、該メンテナンス作業に要する手間及び時間の削減化を図ることができる。
【0032】
次に、図3(イ)(ロ)は本発明の実施の他の形態を示すもので、図1(イ)(ロ)及び図2(イ)(ロ)に示したと同様の構成において、筐体35の開口部38の内側に収納する脱硫器36とイオン交換樹脂37の据付台40と、上記筐体35内の固定部との間に設けて、上記据付台40上における上記脱硫器36とイオン交換樹脂37の据付個所を上記開口部38を通して筐体35の外方へ引出すことができるようにするため可動機構41を、上記筐体35側に設けた支柱部材42と、上記据付台40の右端部に一体に取り付けて上記支柱部材42の外周に回転自在に嵌合させた円筒部材43とからなる構成とすることに代えて、上記筐体35の内部における開口部38の下端部と対応する高さ位置に、該開口部38の左右両端部付近より後方へ延びる左右一対のガイドレール46、たとえば、左右で対向する一対の溝型のガイドレール46を設けると共に、該ガイドレール46に上下方向の変位を拘束した状態で長手方向へスライド可能に保持させたガイドブロック47を、上記据付台40の後端部の左右両側位置にそれぞれ取り付けてなる構成の可動機構41aとしたものである。これにより、上記据付台40を、その後端部の左右位置に取り付けてある各ガイドブロック47と一体に各ガイドレール46に沿わせて後方へ移動させることで、該据付台40全体を筐体35の開口部38の内側へ収納できるようにしてある。一方、上記据付台40を、上記各ガイドブロック47と一体に各ガイドレール46に沿わせて前方へ移動させることで、該据付台40の後端部を除く領域を上記開口部38を通して筐体35の外方へ引き出すことができるようにしてある。
【0033】
なお、上記筐体35における開口部38の内側に据付台40全体を収納した状態にて、地震時等に該据付台40が筐体35内で前後方向へ想定外の変位をしないように拘束するための拘束機構としては、たとえば、上記据付台40の前端部所要個所にピン孔49を備えたブラケット48を取り付けると共に、上記据付台40全体を上記筐体35の開口部38を内側に収納した状態で上記ブラケット48のピン孔49の位置と対応する上記筐体35における内底部の所要個所に図示しないピン孔を設けて、該据付台40側のブラケット48のピン孔49と、上記筐体35側に設けてある図示しないピン孔にピン50を上方より挿通させることで、上記据付台40を、筐体35内に全体を収納した状態で前後方向の変位を拘束できるようにしてある。
【0034】
51は上記ガイドブロック47のガイドレール46に沿った前方への過剰な移動を防止するためのストッパである。その他の構成は図1(イ)(ロ)及び図2(イ)(ロ)に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0035】
本実施の形態によっても、筐体35の開口部38の蓋39を外し、上記ピン50を抜き取った状態にて、上記据付台40を開口部38を通して筐体35の外方へ引出した状態で、該据付台40への脱硫器36とイオン交換樹脂37の取り付けや取り外し作業を実施できることから、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0036】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、据付台40と筐体35内の固定部との間に介在させる可動機構は、据付台40を、筐体35の開口部38の内側に収納した配置と、該据付台40における脱硫器36とイオン交換樹脂37の据付個所を上記開口部38を通して筐体35の外方へ突出させた配置との間で変位させることができるようにしてあれば、図示した以外のいかなる可動機構を採用してもよい。
【0037】
据付台40の上に脱硫器36とイオン交換樹脂37とを並べて据え付けた状態で支持できるようにしてあれば、該据付台40上における上記脱硫器36とイオン交換樹脂37の支持は、該据付台40の長手方向中間部に立設した支持プレート44以外のいかなる支持構造を採用してもよい。
【0038】
燃料電池発電装置の筐体35における開口部38の内側に据付台40全体、すなわち、該据付台40上に据え付ける脱硫器36とイオン交換樹脂37を上記筐体35の開口部38の内側に収納した状態にて、地震時等に該据付台40が筐体35内で前後方向へ想定外の変位をしないように拘束するための拘束機構は、上記据付台40の前後方向の変位を解除可能に拘束できるようにしてあれば、図示した以外のいかなる構成のものを採用してもよい。又、筐体35の内部に据付台40を収納した段階で、該据付台40の前後の空間がごく狭く制限されていれば、上記拘束機構は省略してもよい。
【0039】
燃料電池発電装置の筐体35の前面部35aにおける上記脱硫器36とイオン交換樹脂37を集約して設置するための開口部38は、筐体35の内部に設ける他の機器の配置に応じて、上下及び左方向に位置を適宜変更してもよい。上記燃料電池発電装置の筐体35にて、メンテナンスのために作業者が近付くことが可能な面であれば、上記脱硫器36とイオン交換樹脂37を集約して設置するための開口部38は、該筐体35の左右の側面又は背面に設けるようにしてもよい。
【0040】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の燃料電池発電装置の脱硫器及びイオン交換樹脂保持装置の実施の一形態を示すもので、(イ)は燃料電池発電装置の筐体の開口部の蓋を取り外した状態を示す概略正面図、(ロ)は一部切断概略側面図である。
【図2】図1の装置における据付台の部分を拡大して示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は平面図である。
【図3】本発明の実施の他の形態を示すもので、(イ)は据付台の部分を拡大して示す正面図、(ロ)は据付台の部分を拡大して示す平面図である。
【図4】従来提案されている燃料電池発電装置の一例を示す概要図である。
【図5】従来提案されている燃料電池発電装置の筐体に据え付ける脱硫器とイオン交換装置の配置を示す概要図である。
【符号の説明】
【0042】
35 筐体
35a 前面部(メンテナンス面)
36 脱硫器
37 イオン交換樹脂
38 開口部
39 蓋
40 据付台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池発電装置の筐体のメンテナンス面となる面部の所要個所に、脱硫器とイオン交換樹脂を並べて出し入れ可能な開口部を設けると共に、該開口部の内側の筐体内スペースに、脱硫器とイオン交換樹脂を並べて据え付けるための据付台を設け、更に、上記開口部を開閉するための蓋を備えてなる構成を有することを特徴とする燃料電池発電装置の脱硫器及びイオン交換樹脂保持装置。
【請求項2】
開口部の内側に設けた据付台を、脱硫器とイオン交換樹脂と共に上記開口部を通して筐体の外方へ引き出すことができるようにした請求項1記載の燃料電池発電装置の脱硫器及びイオン交換樹脂保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−230908(P2009−230908A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72077(P2008−72077)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】