燃料電池
【課題】積層方向に延在する反応ガス連通孔と電極面方向に延在する反応ガス流路との間で反応ガスを良好に流すことができ、しかも前記積層方向の薄型化を図ることを可能にする。
【解決手段】燃料電池10は、単位セル12a、12bを交互に積層する。単位セル12aは、第1電解質膜・電極構造体20aを第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24で挟持する。単位セル12bは、第2電解質膜・電極構造体20bを第3金属セパレータ26及び第4金属セパレータ28で挟持する。積層方向に隣接する第1電解質・電極構造体20a及び第2電解質・電極構造体20bに設けられ、第1通路部76a及び第2通路部76bを形成する第1凹凸形状部38a及び第2凹凸形状部38bは、前記積層方向に互いにオフセットして配置されている。
【解決手段】燃料電池10は、単位セル12a、12bを交互に積層する。単位セル12aは、第1電解質膜・電極構造体20aを第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24で挟持する。単位セル12bは、第2電解質膜・電極構造体20bを第3金属セパレータ26及び第4金属セパレータ28で挟持する。積層方向に隣接する第1電解質・電極構造体20a及び第2電解質・電極構造体20bに設けられ、第1通路部76a及び第2通路部76bを形成する第1凹凸形状部38a及び第2凹凸形状部38bは、前記積層方向に互いにオフセットして配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質の両側に一対の電極を配設した電解質・電極構造体を備え、前記電解質・電極構造体を第1セパレータ及び第2セパレータで挟持する単位セルを積層するとともに、少なくとも電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路と、積層方向に貫通する反応ガス連通孔とを設ける燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。この燃料電池では、固体高分子電解質膜の両側に、それぞれ電極触媒層と多孔質カーボンからなるアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持することにより単位セルが構成されている。通常、この単位セルを所定数だけ積層した燃料電池スタックが使用されている。
【0003】
一般的に、燃料電池は、セパレータの積層方向に貫通する入口連通孔及び出口連通孔が設けた、所謂、内部マニホールドを構成している。そして、燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却媒体は、それぞれの入口連通孔から燃料ガス流路、酸化剤ガス流路及び冷却媒体流路に供給された後、それぞれの出口連通孔に排出されている。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されているプロセス制御装置では、図18に示すように、互いに平行に配置される2つの板1a、1bを重ね合わせた積層板がユニット2と交互に積層されている。ユニット2は、MEA2aを陽極2b及び陰極2cで挟持するとともに、これらが一対の接触板2dに挟持されて構成されている。
【0005】
板1aとユニット2との間に第1室3aが形成され、板1bと前記ユニット2との間に第2室3bが形成され、前記板1a、1b間に第3室3cが形成されている。板1a、1bの端部には、パッキン4を介して積層方向に連通孔5が形成される。
【0006】
この連通孔5は、板1a、1b間に形成される流路6を介して、例えば、第2室3bに連通している。図示していないが、積層方向には、他の2つの連通孔が設けられており、他の2つの連通孔は、板1a、1b間の流路(図示せず)を介して第1室3a及び第3室3cにそれぞれ連通している。
【0007】
【特許文献1】特開平6−218275号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の特許文献1では、積層方向に形成されている連通孔5を第2室3bに連通するための流路6は、流体を良好に導入するために積層方向の流路高さを確保するとともに、パッキン4によるシール高さを確保する必要がある。このため、ユニット2同士の間隔が相当に大きくなり、燃料電池の小型化が図られないという問題がある。
【0009】
特に、車載用燃料電池スタックでは、多数、例えば、数百の燃料電池を積層して構成されている。従って、各燃料電池同士の間隔が大きくなっており、燃料電池スタック全体としての小型化が図られないという問題がある。
【0010】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、積層方向に延在する反応ガス連通孔と電極面方向に延在する反応ガス流路との間で反応ガスを良好に流すことができ、しかも前記積層方向の薄型化を図ることが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、電解質の両側に一対の電極を配設した電解質・電極構造体を備え、前記電解質・電極構造体を第1セパレータ及び第2セパレータで挟持する単位セルを積層するとともに、少なくとも電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路と、積層方向に貫通する反応ガス連通孔とを設ける燃料電池に関するものである。
【0012】
そして、電解質・電極接合体は、反応ガス流路と反応ガス連通孔とを連通する連通部を形成する凹凸形状部を電極面方向に有し、積層方向に隣接する電解質・電極接合体に設けられる各凹凸形状部は、前記積層方向に互いにオフセットして配置されている。
【0013】
また、連通部は、凹凸形状部を構成する凹部と第1セパレータ及び第2セパレータとの間に形成される第1反応ガス連通路と、前記凹凸形状部を構成する凸部と前記第2セパレータ又は前記第1セパレータとの間に形成される第2反応ガス連通路とを有することが好ましい。
【0014】
さらに、第2セパレータ又は第1セパレータのいずれか一方には、相対的に外形寸法の小さな他方の外形端部外方に位置し、反応ガス連通孔である反応ガス入口連通孔及び反応ガス出口連通孔と、冷却媒体入口連通孔及び冷却媒体出口連通孔とが積層方向に貫通して形成されることが好ましい。
【0015】
さらにまた、第2セパレータ又は第1セパレータには、連通部を反応ガス入口連通孔及び反応ガス出口連通孔に連通する開口部が積層方向に形成されることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、電解質の両側に一対の電極を配設した第1電解質・電極構造体及び第2電解質・電極接合体を備え、前記第1電解質・電極構造体を第1セパレータ及び第2セパレータで挟持する第1単位セルと、前記第2電解質・電極接合体を第3セパレータ及び第4セパレータで挟持する第2単位セルとを交互に積層するとともに、少なくとも電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路と、積層方向に貫通する反応ガス連通孔とを設ける燃料電池に関するものである。
【0017】
そして、第1電解質・電極接合体は、電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路と反応ガス連通孔とを連通する第1連通部を形成する第1凹凸形状部を電極面方向に有し、第2電解質・電極接合体は、電極面に沿って前記反応ガスを供給する反応ガス流路と前記反応ガス連通孔とを連通する第2連通部を形成する第2凹凸形状部を前記電極面方向に有し、前記第1凹凸形状部と前記第2凹凸形状部とは、前記積層方向に互いにオフセットして配置されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、積層方向に隣接する電解質・電極接合体に設けられる各凹凸形状部が、前記積層方向に互いにオフセットして配置されるため、隣接する通路部同士が前記積層方向に重なることがない。従って、反応ガス流路と反応ガス連通孔とを連通する通路部における流路高さ及びシール高さを維持した状態で、各単位セルの積層方向の薄型化を図ることが可能になる。これにより、燃料電池全体の小型化が容易に遂行され、特に車載用燃料電池スタックを良好にコンパクト化することができる。
【0019】
また、本発明では、積層方向に隣接する第1電解質・電極接合体及び第2電解質・電極接合体に設けられる第1凹凸形状部及び第2凹凸形状部が、前記積層方向に互いにオフセットして配置されるため、隣接する第1通路部及び第2通路部同士が前記積層方向に重なることがない。従って、反応ガス流路と反応ガス連通孔とを連通する第1通路部及び第2通路部における流路高さ及びシール高さを維持した状態で、第1単位セル及び第2単位セルの積層方向の薄型化を図ることが可能になる。これにより、燃料電池全体の小型化が容易に遂行され、特に車載用燃料電池スタックを良好にコンパクト化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池10の概略斜視説明図であり、図2は、前記燃料電池10の断面説明図である。
【0021】
燃料電池10は、単位セル12a、12bを交互に矢印A方向(水平方向)に積層する積層体14を備えるとともに、前記積層体14の積層方向両端には、エンドプレート16a、16bが配設される。なお、エンドプレート16a、16b間は、図示しないタイロッドにより締め付けられているが、例えば、積層体14全体をケーシング(図示せず)内に収容して構成してもよい。
【0022】
単位セル12aは、第1電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)20aを第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24で挟持するとともに、単位セル12bは、第2電解質膜・電極構造体20bを第3金属セパレータ26及び第4金属セパレータ28で挟持する。単位セル12bは、単位セル12aを面方向に180°回転させることにより構成されている。実際上、第2電解質膜・電極構造体20bは、第1電解質膜・電極構造体20aと同一であり、第3金属セパレータ26は、第1金属セパレータ22と同一であり、第4金属セパレータ28は、第2金属セパレータ24と同一である。
【0023】
図3に示すように、第1電解質膜・電極構造体20aは、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜(電解質)30aと、該固体高分子電解質膜30aを挟持するカソード側電極32a及びアノード側電極34aとを備える。カソード側電極32aは、アノード側電極34aよりも大きな表面積に設定されるとともに、前記カソード側電極32aは、固体高分子電解質膜30aの全面を覆って設けられる(所謂、段差MEA)。
【0024】
カソード側電極32a及びアノード側電極34aは、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子を前記ガス拡散層の表面に一様に塗布して形成された電極触媒層(図示せず)とを有し、触媒塗布範囲36aが設けられる。
【0025】
第1電解質膜・電極構造体20aは、全体として略四角形状に構成されるとともに、矢印B方向両端部には、電極面方向に沿って第1凹凸形状部38aが設けられる。第1凹凸形状部38aは、第1電解質膜・電極構造体20aの矢印B方向一端部上部から下部に向かって形成される第1凸部37a、第1凹部39a、第2凸部37b及び第2凹部39bを有する。第1凹凸形状部38aは、第1電解質膜・電極構造体20aの矢印B方向他端部上部から下部に向かって形成される第3凸部37c、第3凹部39c、第4凸部37d及び第4凹部39dを有する。
【0026】
第1金属セパレータ22は、第2金属セパレータ24よりも小さな外形寸法に設定される。図3及び図4に示すように、第1金属セパレータ22の第1電解質膜・電極構造体20aに向かう面22aには、前記第1電解質膜・電極構造体20aの触媒塗布範囲36aに対応して第1酸化剤ガス流路40が形成される。この第1酸化剤ガス流路40は、面22a側に突出する凸部40aと凹部40bとを設けることにより、矢印B方向に直線状に延在して形成されるとともに、前記第1酸化剤ガス流路40の両側には、エンボス部40cが形成される。第1酸化剤ガス流路40の矢印B方向一端側には、波状に成形された入口部41aが設けられるとともに、矢印B方向他端側には、同様に波状に成形された出口部41bが設けられる。図4に示すように、入口部41a及び出口部41bは、第1電解質膜・電極構造体20aの外形形状の外方に突出している。
【0027】
第1金属セパレータ22は、所望の凹凸形状を有する外形形状部42を有するとともに、この外形形状部42は、第1電解質膜・電極構造体20aの外形形状部よりも大きな寸法に設定される。第1金属セパレータ22の面22b側には、第1酸化剤ガス流路40を形成することにより、凹凸形状を反転させた第1冷却媒体流路44が形成される。
【0028】
図3に示すように、第2金属セパレータ24は、横長な長方形状を有している。この第2金属セパレータ24及び第4金属セパレータ28の矢印B方向の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス(反応ガス)、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔46a、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔48a、及び燃料ガス(反応ガス)、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔50bが、矢印C方向(鉛直方向)に配列して設けられる。
【0029】
第2金属セパレータ24及び第4金属セパレータ28の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔50a、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔48b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔46bが、矢印C方向に配列して設けられる。
【0030】
図5に示すように、第2金属セパレータ24の第1電解質膜・電極構造体20aに向かう面24aには、触媒塗布範囲36aに対応して第1燃料ガス流路52が形成される。第1燃料ガス流路52は、面24a側に突出する凸部52a及び凹部52bが交互に設けられることによって、矢印B方向に延在して形成される。この第1燃料ガス流路52の両側には、エンボス部52cが形成される。
【0031】
図6に示すように、第2金属セパレータ24の面24bには、面24a側に第1燃料ガス流路52を形成することによって、第2冷却媒体流路54が形成される。第2冷却媒体流路54の矢印B方向一端側には、波状に成形された入口部56aが設けられるとともに、矢印B方向他端側には、同様に波状に成形された出口部56bが設けられる。
【0032】
入口部56a及び出口部56bは、第2金属セパレータ24に第3金属セパレータ26が重ね合わされた際に、この第3金属セパレータ26の切り欠き形状部に対応している。冷却媒体入口連通孔48aは、入口部56aを介して第2冷却媒体流路54に連通する一方、冷却媒体出口連通孔48bは、出口部56bを介して第2冷却媒体流路54に連通する。
【0033】
第2金属セパレータ24には、燃料ガス入口連通孔50aに近接して2つの燃料ガス用入口孔部58aが設けられるとともに、燃料ガス出口連通孔50bに近接して2つの燃料ガス用出口孔部58bが設けられる。酸化剤ガス入口連通孔46a近傍には、3つの酸化剤ガス用入口孔部60aが形成される一方、酸化剤ガス出口連通孔46bの近傍には、3つの酸化剤ガス用出口孔部60bが形成される。
【0034】
図5に示すように、面24aには、第1燃料ガス流路52を周回して第1シール部材62a、第2シール部材62b及び第3シール部材62cが、順次、外方に向かって一体成形される。第1シール部材62aは、第1電解質膜・電極構造体20aの周縁部、すなわち、固体高分子電解質膜30aの周縁部に接触し、第2シール部材62bは、第1金属セパレータ22の周縁部に接触し、第3シール部材62cは、隣り合う単位セル12bを構成する第2金属セパレータに相当する第4金属セパレータ28に接触する。
【0035】
第1シール部材62aは、燃料ガスの漏れを防止するための内側シール部材を構成し、第2シール部材62bは、酸化剤ガスの漏れを防止するための中間シール部材を構成し、第3シール部材62cは、冷却媒体の漏れを阻止するための外側シール部材を構成している。
【0036】
第2電解質膜・電極構造体20bは、上記の第1電解質膜・電極構造体20aと同様に構成され、矢印B方向両端部には、電極面方向に沿って第2凹凸形状部38bが設けられる。第2凹凸形状部38bは、第2電解質膜・電極構造体20bの矢印B方向一端部上部から下部に向かって形成される第5凹部39e、第5凸部37e、第6凹部39f及び第6凸部37fを有する。第2凹凸形状部38bは、第2電解質膜・電極構造体20bの矢印B方向他端部上部から下部に向かって形成される第7凹部39g、第7凸部37g、第8凹部39h及び第8凸部37hを有する。
【0037】
第3金属セパレータ26は、第2電解質膜・電極構造体20b側の面26bに、第2酸化剤ガス流路64が形成される。第2酸化剤ガス流路64の矢印B方向一端側には、波状に成形された入口部63aが設けられるとともに、矢印B方向他端側には、同様に波状に成形された出口部63bが設けられる。入口部63a及び出口部63bは、第2電解質膜・電極構造体20bの外形形状の外方に突出している。第3金属セパレータ26の面26bは、第2金属セパレータ24の面24bに重なり合うことにより、第2冷却媒体流路54を一体的に形成する第3金属セパレータ26が所定の凹凸形状を有する外形形状部65を設ける。
【0038】
図7に示すように、第4金属セパレータ28の第2電解質膜・電極構造体20bに向かう面28aには、第2燃料ガス流路66が形成される。第2燃料ガス流路66は、凸部66aと凹部66bとによって矢印B方向に延在して形成されるとともに、両端側にはエンボス部66cが形成される。
【0039】
図8に示すように、第4金属セパレータ28の面28bには、面28aに第2燃料ガス流路66を形成することによって、第1冷却媒体流路44が形成される。この第1冷却媒体流路44は、第4金属セパレータ28と第1金属セパレータ22とが重なり合うことによって一体的に形成される。第1冷却媒体流路44の矢印B方向両端には、それぞれ外方に延在して波形状の入口部68aと出口部68bとが設けられる。
【0040】
入口部68aと出口部68bとは、第1金属セパレータ22の切り欠き形状部を介して第1冷却媒体流路44を冷却媒体入口連通孔48a及び冷却媒体出口連通孔48bに連通する。
【0041】
第4金属セパレータ28には、第2金属セパレータ24に設けられている入口孔部58a及び出口孔部58bに対して積層方向の位置をずらして2つの入口孔部70a及び2つの出口孔部70bが形成される。第4金属セパレータ28には、第2金属セパレータ24の3つの入口孔部60a及び3つの出口孔部60bに対して積層方向の位置をずらして3つの入口孔部72a及び3つの出口孔部72bが形成される。
【0042】
図7に示すように、面28aには、第2燃料ガス流路66を周回して第1シール部材74a、第2シール部材74b及び第3シール部材74cが、順次、外方に沿って設けられている。燃料ガスシール用の内側シール部材である第1シール部材74aは、第2電解質膜・電極構造体20bを構成する固体高分子電解質膜30bの周端部に接触し、酸化剤ガスシール用の中間シール部材である第2シール部材74bは、第3金属セパレータ26の周端部に接触し、冷却媒体シール用の外側シール部材である第3シール部材74cは、単位セル12aを構成する第2金属セパレータ24の周縁部に接触する。
【0043】
単位セル12aには、第1凹凸形状部38aを介して第1通路部76aが形成されるとともに、単位セル12bには、第2凹凸形状部38bを介して第2通路部76bが形成される。
【0044】
第1通路部76aは、図9に示すように、第1凹部39aと、第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24との間に形成され、酸化剤ガス入口連通孔46aを第1酸化剤ガス流路40に連通する第1酸化剤ガス供給連通路78aを有する。第1通路部76aは、図11に示すように、第3凸部37cと、第2金属セパレータ24との間に形成され、燃料ガス入口連通孔50aを第1燃料ガス流路52に連通する第1燃料ガス供給連通路80aを有する。
【0045】
第1通路部76aは、図3に示すように、第4凹部39dと、第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24との間に形成され、酸化剤ガス出口連通孔46bを第1酸化剤ガス流路40に連通する第1酸化剤ガス排出連通路78bを有する。第1通路部76aは、第2凸部37bと、第2金属セパレータ24との間に形成され、燃料ガス入口連通孔50aを第1燃料ガス流路52に連通する第1燃料ガス排出連通路80bを有する。
【0046】
第2通路部76bは、図10に示すように、第5凹部39eと、第3金属セパレータ26及び第4金属セパレータ28との間に形成され、酸化剤ガス入口連通孔46aを第2酸化剤ガス流路64に連通する第2酸化剤ガス供給連通路82aを有する。第2通路部76bは、図12に示すように、第7凸部37gと、第4金属セパレータ28との間に形成され、燃料ガス入口連通孔50aを第2燃料ガス流路66に連通する第2燃料ガス供給連通路84aを有する。
【0047】
第2通路部76bは、図3に示すように、第8凹部39hと、第3金属セパレータ26及び第4金属セパレータ28との間に形成され、酸化剤ガス出口連通孔46bを第2酸化剤ガス流路64に連通する第2酸化剤ガス排出連通路82bを有する。第2通路部76bは、第6凸部37fと、第4金属セパレータ28との間に形成され、燃料ガス入口連通孔50aを第2燃料ガス流路66に連通する第2燃料ガス排出連通路84bを有する。
【0048】
このように構成される燃料電池10の動作について、以下に説明する。
【0049】
図1に示すように、エンドプレート16aの酸化剤ガス入口連通孔46aには、酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔50aには、水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔48aには、純水やエチレングリコール等の冷却媒体が供給される。
【0050】
ここで、単位セル12aを構成する第2金属セパレータ24には、図6に示すように、酸化剤ガス入口連通孔46aに面24b側から連通する3つの入口孔部60aが形成される。一方、単位セル12bを構成する第4金属セパレータ28には、図8に示すように、酸化剤ガス入口連通孔46aに面28b側から連通する3つの入口孔部72aが形成されている。
【0051】
このため、図9に示すように、酸化剤ガス入口連通孔46aに供給された酸化剤ガスの一部は、第2金属セパレータ24の入口孔部60aを通って面24a側の第1酸化剤ガス供給連通路78aに導入され、第1金属セパレータ22に設けられている入口部41aから第1酸化剤ガス流路40に供給される。
【0052】
一方、図10に示すように、単位セル12bでは、酸化剤ガス入口連通孔46aに供給された酸化剤ガスの一部が、第4金属セパレータ28に設けられている入口孔部72aから面28a側の第2酸化剤ガス供給連通路82aに導入され、第3金属セパレータ26の入口部63aから第2酸化剤ガス流路64に供給される。
【0053】
また、第2金属セパレータ24には、図6に示すように、面24b側で燃料ガス入口連通孔50aに連通する2つの入口孔部58aが形成されている。第4金属セパレータ28には、図8に示すように、面28b側で燃料ガス入口連通孔50aに連通する2つの入口孔部70aが形成されている。
【0054】
従って、図11に示すように、燃料ガス入口連通孔50aに供給された燃料ガスの一部は、第2金属セパレータ24の入口孔部58aを通って面24a側の第1燃料ガス供給連通路80aに導入され、この第1燃料ガス供給連通路80aに連通する第1燃料ガス流路52に供給される。
【0055】
さらに、図12に示すように、燃料ガス入口連通孔50aに供給された燃料ガスガスの一部は、第4金属セパレータ28の入口孔部70aから面28a側の第2燃料ガス供給連通路84aに導入され、この第2燃料ガス供給連通路84aに連通する第2燃料ガス流路66に供給される。
【0056】
これにより、図3に示すように、第1電解質膜・電極構造体20aでは、カソード側電極32aに供給される酸化剤ガスと、アノード側電極34aに供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。同様に、第2電解質膜・電極構造体20bでは、カソード側電極32bに供給される酸化剤ガスと、アノード側電極34bに供給される燃料ガスとにより発電が行われる。
【0057】
単位セル12aの第1酸化剤ガス流路40を流れた酸化剤ガスは、出口部41bから第1酸化剤ガス排出連通路78bに導入され、第2金属セパレータ24に設けられた出口孔部60bを通って面24b側に移動し、酸化剤ガス出口連通孔46bに排出される。同様に、単位セル12bの第2酸化剤ガス流路64を流れた酸化剤ガスは、出口部63bから第2酸化剤ガス排出連通路82bに導入され、第4金属セパレータ28に設けられた出口孔部72bを通って酸化剤ガス出口連通孔46bに排出される。
【0058】
また、第2金属セパレータ24の第1燃料ガス流路52を流れた燃料ガスは、第1燃料ガス排出連通路80bに導入され、出口孔部58bを通って面24b側に移動した後、燃料ガス出口連通孔50bに排出される。同様に、第4金属セパレータ28の第2燃料ガス流路66を流れた燃料ガスは、第2燃料ガス排出連通路84bに導入され、出口孔部70bから面28b側に移動した後、燃料ガス出口連通孔50bに排出される。
【0059】
さらにまた、図8に示すように、第4金属セパレータ28の面28bには、第1冷却媒体流路44に連通する入口部68a及び出口部68bが設けられるとともに、前記入口部68a及び前記出口部68bは、第1金属セパレータ22の切り欠き形状部に対応している。
【0060】
このため、冷却媒体入口連通孔48aに供給された冷却媒体は、図13に示すように、第4金属セパレータ28の面28b側から入口部68aを通って前記第4金属セパレータ28と第1金属セパレータ22との間に形成された第1冷却媒体流路44に導入される。この第1冷却媒体流路44を通って冷却処理を施した冷却媒体は、出口部68bを通って面28b側から冷却媒体出口連通孔48bに排出される(図3参照)。
【0061】
一方、図6に示すように、第2金属セパレータ24の面24bには、第2冷却媒体流路54に連通するとともに、第3金属セパレータ26の切り欠き形状部に対応して入口部56a及び出口部56bが形成されている。
【0062】
従って、冷却媒体入口連通孔48aに供給された冷却媒体は、図14に示すように、面24b側から入口部56aを通って第2金属セパレータ24と第3金属セパレータ26との間に形成された第2冷却媒体流路54に供給される。この第2冷却媒体流路54を流れた冷却媒体は、出口部56bから面24b側に流動し、冷却媒体出口連通孔48bに排出される(図3参照)。
【0063】
この場合、第1の実施形態では、積層方向に隣接する第1電解質・電極構造体20a及び第2電解質・電極構造体20bに設けられる第1凹凸形状部38a及び第2凹凸形状部38bが、前記積層方向に互いにオフセットして配置されている。このため、隣接する第1通路部76a及び第2通路部76b同士は、積層方向に重なることがない。
【0064】
具体的には、例えば、第1酸化剤ガス流路40と酸化剤ガス入口連通孔46aとを連通する第1酸化剤ガス供給連通路78aと、第2酸化剤ガス流路64と酸化剤ガス入口連通孔46aとを連通する第2酸化剤ガス供給連通路82aとでは、積層方向に互いにオフセットしている。従って、第1酸化剤ガス供給連通路78aと第2酸化剤ガス供給連通路82aとにおける流路高さ及びシール高さを維持した状態で、単位セル12a及び12bの積層方向の薄型化を図ることが可能になる。これにより、燃料電池10全体の小型化が容易に遂行され、特に車載用燃料電池スタックを良好にコンパクト化することができるという効果が獲られる。
【0065】
図15は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池100の一部断面説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3及び第4の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0066】
燃料電池100は、単位セル102a、102bを交互に矢印A方向に積層する。単位セル102aは、第1電解質膜・電極構造体104aを第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24で挟持する一方、単位セル102bは、第2電解質膜・電極構造体104bを第3金属セパレータ26及び第4金属セパレータ28で挟持する。
【0067】
第1電解質膜・電極構造体104aは、全体として略四角形状に構成されるとともに、矢印B方向両端部には、電極面方向に沿って第1通路部76aを形成する第1凹凸形状部106aが設けられる。第1凹凸形状部106aは、第1電解質膜・電極構造体104aの矢印B方向一端部上部から下部に向かって形成される第1凸部37a、第1凹部39a、第2凸部37b及び第2凹部39bを有する。第1凹凸形状部106aは、第1電解質膜・電極構造体104aの矢印B方向他端部上部から下部に向かって形成される第3凸部37c、第3凹部39c、第4凸部37d及び第4凹部39dを有する。
【0068】
第2電解質膜・電極構造体104bは、上記の第1電解質膜・電極構造体104aと同様に構成され、矢印B方向両端部には、電極面方向に沿って第2通路部76bを形成する第2凹凸形状部106bが設けられる。第2凹凸形状部106bは、第2電解質膜・電極構造体104bの矢印B方向一端部上部から下部に向かって形成される第5凹部39e、第5凸部37e、第6凹部39f及び第6凸部37fを有する。第2凹凸形状部106bは、第2電解質膜・電極構造体20bの矢印B方向他端部上部から下部に向かって形成される第7凹部39g、第7凸部37g、第8凹部39h及び第8凸部37hを有する。
【0069】
このように構成される第2の実施形態では、第1凹凸形状部104aと第2凹凸形状部104bとが、積層方向に互いにオフセットしており、上記の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
図16は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池110の一部断面説明図である。
【0071】
燃料電池110は、単位セル112a、112bを交互に矢印A方向に積層する。単位セル112aは、第1電解質膜・電極構造体114aを第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24で挟持する一方、単位セル112bは、第2電解質膜・電極構造体114bを第3金属セパレータ26及び第4金属セパレータ28で挟持する。
【0072】
第1電解質膜・電極構造体114aは、全体として略四角形状に構成されるとともに、矢印B方向両端部には、電極面方向に沿って第1通路部76aを形成する第1凹凸形状部116aが設けられる。第1凹凸形状部116aは、第1電解質膜・電極構造体104aの矢印B方向一端部上部から下部に向かって形成される第1凹部118a、第1凸部120a及び第2凹部118bを有する。第1凹凸形状部106aは、第1電解質膜・電極構造体114aの矢印B方向他端部上部から下部に向かって形成される第2凸部120b及び第3凹部118cを有する。
【0073】
第2電解質膜・電極構造体114bは、上記の第1電解質膜・電極構造体114aと同様に構成され、矢印B方向両端部には、電極面方向に沿って第2通路部76bを形成する第2凹凸形状部116bが設けられる。第2凹凸形状部116bは、第2電解質膜・電極構造体114bの矢印B方向一端部上部から下部に向かって形成される第4凹部118d及び第3凸部120cを有する。第2凹凸形状部116bは、第2電解質膜・電極構造体20bの矢印B方向他端部上部から下部に向かって形成される第5凹部118e、第4凸部120d及び第6凹部118fを有する。
【0074】
第1凹部118aと、第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24との間に第1酸化剤ガス供給連通路78aが形成されるとともに、第1凸部120aと、第2金属セパレータ24との間に第1燃料ガス供給連通路80aが形成される。第3凹部118cと、第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24との間に第1酸化剤ガス排出連通路78bが形成されるとともに、第1凸部120aと、第2金属セパレータ24との間に第1燃料ガス排出連通路80bが形成される。
【0075】
第4凹部118dと、第3金属セパレータ26及び第4金属セパレータ28との間に第2酸化剤ガス供給連通路82aが形成されるとともに、第4凸部120dと、第4金属セパレータ28との間に第2燃料ガス供給連通路84aが形成される。第6凹部118fと、第3金属セパレータ26及び第4金属セパレータ28との間に第2酸化剤ガス排出連通路82bが形成されるとともに、第3凸部120cと第4金属セパレータ28との間に第2燃料ガス排出連通路84bが形成される。
【0076】
このように構成される第3の実施形態では、第1凹凸形状部116aと第2凹凸形状部116bとが、積層方向に互いにオフセットしており、上記の第1及び第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0077】
図17は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池130の一部断面説明図である。
【0078】
燃料電池130は、単位セル132a、132bを交互に矢印A方向に積層する。単位セル132aは、第1電解質膜・電極構造体134aを第1金属セパレータ136及び第2金属セパレータ138で挟持する一方、単位セル132bは、第2電解質膜・電極構造体114bを第3金属セパレータ140及び第4金属セパレータ142で挟持する。
【0079】
第1電解質膜・電極構造体134aは、全体として略四角形状に構成されるとともに、矢印B方向両端部には、電極面方向に沿って第1通路部76aを形成する第1凹凸形状部136aが設けられる。第1凹凸形状部136aは、第1電解質膜・電極構造体104aの矢印B方向両端部に形成される第1凸部37a、第1凹部39a、第2凸部37b、第2凹部39b、第3凸部37c、第3凹部39c、第4凸部37d及び第4凹部39dを有する。
【0080】
第2電解質膜・電極構造体134bは、上記の第1電解質膜・電極構造体134aと同様に構成され、矢印B方向両端部には、電極面方向に沿って第2通路部76bを形成する第2凹凸形状部136bが設けられる。第2凹凸形状部136bは、第5凹部39e、第5凸部37e、第6凹部39f、第6凸部37f、第7凹部39g、第7凸部37g、第8凹部39h及び第8凸部37hを有する。第1凸部37a〜第8凸部37h及び第1凹部39a〜第8凹部39hは、鉛直方向に対してそれぞれ所定の方向に傾斜する。
【0081】
第1金属セパレータ136〜第4金属セパレータ142は、上記の第1電解質膜・電極構造体134a及び第2電解質膜・電極構造体134bの形状に対応する形状に設定される。同様に、酸化剤ガス入口連通孔46a、冷却媒体入口連通孔48a、燃料ガス出口連通孔50b、燃料ガス入口連通孔50a、冷却媒体出口連通孔48b及び酸化剤ガス出口連通孔46bは、第1電解質膜・電極構造体134a及び第2電解質膜・電極構造体134bの形状に対応する形状に設定される。
【0082】
このように構成される第4の実施形態では、第1凹凸形状部136aと第2凹凸形状部136bとが、積層方向に互いにオフセットしており、上記の第1〜第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池の概略斜視説明図である。
【図2】前記燃料電池の断面説明図である。
【図3】前記燃料電池を構成する単位セルの分解斜視説明図である。
【図4】第1金属セパレータの一方の面の説明図である。
【図5】第2金属セパレータの一方の面の説明図である。
【図6】前記第2金属セパレータの他方の面の説明図である。
【図7】第4金属セパレータの一方の面の説明図である。
【図8】前記第4金属セパレータの他方の面の説明図である。
【図9】前記燃料電池内での酸化剤ガスの流れ説明図である。
【図10】前記燃料電池内での前記酸化剤ガスの別の流れ説明図である。
【図11】前記燃料電池内での燃料ガスの流れ説明図である。
【図12】前記燃料電池内での前記燃料ガスの別の流れ説明図である。
【図13】前記燃料電池内での冷却媒体の流れ説明図である。
【図14】前記燃料電池内での前記冷却媒体の別の流れ説明図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池の分解斜視説明図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池の分解斜視説明図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に係る燃料電池の分解斜視説明図である。
【図18】特許文献1のプロセス制御装置の説明図である。
【符号の説明】
【0084】
10、100、110、130…燃料電池
12a、12b、102a、102b、112a、112b、132a、132b…単位セル
14…積層体
20a、20b、104a、104b、114a、114b、134a…電解質膜・電極構造体
22、24、26、28、136、138、140、142…金属セパレータ
30a、30b…固体高分子電解質膜 32a、32b…カソード側電極
34a、34b…アノード側電極
37a、37b、37c、37d、37e、37f、37g、37h、120a、120b、120c、120d…凸部
38a、38b、106a、106b、116a、116b…凹凸形状部
39a、39b、39c、39d、39e、39f、39g、39h、118a、118b、118c、118d、118e、118f…凹部
40、64…酸化剤ガス流路 44、54…冷却媒体流路
46a…酸化剤ガス入口連通孔 46b…酸化剤ガス出口連通孔
48a…冷却媒体入口連通孔 48b…冷却媒体出口連通孔
50a…燃料ガス入口連通孔 50b…燃料ガス出口連通孔
52、66…燃料ガス流路 76a、76b…通路部
78a、82a…酸化剤ガス供給連通路 78b、82b…酸化剤ガス排出連通路
80a、84a…燃料ガス供給連通路 80b、84b…燃料ガス排出連通路
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質の両側に一対の電極を配設した電解質・電極構造体を備え、前記電解質・電極構造体を第1セパレータ及び第2セパレータで挟持する単位セルを積層するとともに、少なくとも電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路と、積層方向に貫通する反応ガス連通孔とを設ける燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。この燃料電池では、固体高分子電解質膜の両側に、それぞれ電極触媒層と多孔質カーボンからなるアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持することにより単位セルが構成されている。通常、この単位セルを所定数だけ積層した燃料電池スタックが使用されている。
【0003】
一般的に、燃料電池は、セパレータの積層方向に貫通する入口連通孔及び出口連通孔が設けた、所謂、内部マニホールドを構成している。そして、燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却媒体は、それぞれの入口連通孔から燃料ガス流路、酸化剤ガス流路及び冷却媒体流路に供給された後、それぞれの出口連通孔に排出されている。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されているプロセス制御装置では、図18に示すように、互いに平行に配置される2つの板1a、1bを重ね合わせた積層板がユニット2と交互に積層されている。ユニット2は、MEA2aを陽極2b及び陰極2cで挟持するとともに、これらが一対の接触板2dに挟持されて構成されている。
【0005】
板1aとユニット2との間に第1室3aが形成され、板1bと前記ユニット2との間に第2室3bが形成され、前記板1a、1b間に第3室3cが形成されている。板1a、1bの端部には、パッキン4を介して積層方向に連通孔5が形成される。
【0006】
この連通孔5は、板1a、1b間に形成される流路6を介して、例えば、第2室3bに連通している。図示していないが、積層方向には、他の2つの連通孔が設けられており、他の2つの連通孔は、板1a、1b間の流路(図示せず)を介して第1室3a及び第3室3cにそれぞれ連通している。
【0007】
【特許文献1】特開平6−218275号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の特許文献1では、積層方向に形成されている連通孔5を第2室3bに連通するための流路6は、流体を良好に導入するために積層方向の流路高さを確保するとともに、パッキン4によるシール高さを確保する必要がある。このため、ユニット2同士の間隔が相当に大きくなり、燃料電池の小型化が図られないという問題がある。
【0009】
特に、車載用燃料電池スタックでは、多数、例えば、数百の燃料電池を積層して構成されている。従って、各燃料電池同士の間隔が大きくなっており、燃料電池スタック全体としての小型化が図られないという問題がある。
【0010】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、積層方向に延在する反応ガス連通孔と電極面方向に延在する反応ガス流路との間で反応ガスを良好に流すことができ、しかも前記積層方向の薄型化を図ることが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、電解質の両側に一対の電極を配設した電解質・電極構造体を備え、前記電解質・電極構造体を第1セパレータ及び第2セパレータで挟持する単位セルを積層するとともに、少なくとも電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路と、積層方向に貫通する反応ガス連通孔とを設ける燃料電池に関するものである。
【0012】
そして、電解質・電極接合体は、反応ガス流路と反応ガス連通孔とを連通する連通部を形成する凹凸形状部を電極面方向に有し、積層方向に隣接する電解質・電極接合体に設けられる各凹凸形状部は、前記積層方向に互いにオフセットして配置されている。
【0013】
また、連通部は、凹凸形状部を構成する凹部と第1セパレータ及び第2セパレータとの間に形成される第1反応ガス連通路と、前記凹凸形状部を構成する凸部と前記第2セパレータ又は前記第1セパレータとの間に形成される第2反応ガス連通路とを有することが好ましい。
【0014】
さらに、第2セパレータ又は第1セパレータのいずれか一方には、相対的に外形寸法の小さな他方の外形端部外方に位置し、反応ガス連通孔である反応ガス入口連通孔及び反応ガス出口連通孔と、冷却媒体入口連通孔及び冷却媒体出口連通孔とが積層方向に貫通して形成されることが好ましい。
【0015】
さらにまた、第2セパレータ又は第1セパレータには、連通部を反応ガス入口連通孔及び反応ガス出口連通孔に連通する開口部が積層方向に形成されることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、電解質の両側に一対の電極を配設した第1電解質・電極構造体及び第2電解質・電極接合体を備え、前記第1電解質・電極構造体を第1セパレータ及び第2セパレータで挟持する第1単位セルと、前記第2電解質・電極接合体を第3セパレータ及び第4セパレータで挟持する第2単位セルとを交互に積層するとともに、少なくとも電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路と、積層方向に貫通する反応ガス連通孔とを設ける燃料電池に関するものである。
【0017】
そして、第1電解質・電極接合体は、電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路と反応ガス連通孔とを連通する第1連通部を形成する第1凹凸形状部を電極面方向に有し、第2電解質・電極接合体は、電極面に沿って前記反応ガスを供給する反応ガス流路と前記反応ガス連通孔とを連通する第2連通部を形成する第2凹凸形状部を前記電極面方向に有し、前記第1凹凸形状部と前記第2凹凸形状部とは、前記積層方向に互いにオフセットして配置されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、積層方向に隣接する電解質・電極接合体に設けられる各凹凸形状部が、前記積層方向に互いにオフセットして配置されるため、隣接する通路部同士が前記積層方向に重なることがない。従って、反応ガス流路と反応ガス連通孔とを連通する通路部における流路高さ及びシール高さを維持した状態で、各単位セルの積層方向の薄型化を図ることが可能になる。これにより、燃料電池全体の小型化が容易に遂行され、特に車載用燃料電池スタックを良好にコンパクト化することができる。
【0019】
また、本発明では、積層方向に隣接する第1電解質・電極接合体及び第2電解質・電極接合体に設けられる第1凹凸形状部及び第2凹凸形状部が、前記積層方向に互いにオフセットして配置されるため、隣接する第1通路部及び第2通路部同士が前記積層方向に重なることがない。従って、反応ガス流路と反応ガス連通孔とを連通する第1通路部及び第2通路部における流路高さ及びシール高さを維持した状態で、第1単位セル及び第2単位セルの積層方向の薄型化を図ることが可能になる。これにより、燃料電池全体の小型化が容易に遂行され、特に車載用燃料電池スタックを良好にコンパクト化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池10の概略斜視説明図であり、図2は、前記燃料電池10の断面説明図である。
【0021】
燃料電池10は、単位セル12a、12bを交互に矢印A方向(水平方向)に積層する積層体14を備えるとともに、前記積層体14の積層方向両端には、エンドプレート16a、16bが配設される。なお、エンドプレート16a、16b間は、図示しないタイロッドにより締め付けられているが、例えば、積層体14全体をケーシング(図示せず)内に収容して構成してもよい。
【0022】
単位セル12aは、第1電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)20aを第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24で挟持するとともに、単位セル12bは、第2電解質膜・電極構造体20bを第3金属セパレータ26及び第4金属セパレータ28で挟持する。単位セル12bは、単位セル12aを面方向に180°回転させることにより構成されている。実際上、第2電解質膜・電極構造体20bは、第1電解質膜・電極構造体20aと同一であり、第3金属セパレータ26は、第1金属セパレータ22と同一であり、第4金属セパレータ28は、第2金属セパレータ24と同一である。
【0023】
図3に示すように、第1電解質膜・電極構造体20aは、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜(電解質)30aと、該固体高分子電解質膜30aを挟持するカソード側電極32a及びアノード側電極34aとを備える。カソード側電極32aは、アノード側電極34aよりも大きな表面積に設定されるとともに、前記カソード側電極32aは、固体高分子電解質膜30aの全面を覆って設けられる(所謂、段差MEA)。
【0024】
カソード側電極32a及びアノード側電極34aは、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子を前記ガス拡散層の表面に一様に塗布して形成された電極触媒層(図示せず)とを有し、触媒塗布範囲36aが設けられる。
【0025】
第1電解質膜・電極構造体20aは、全体として略四角形状に構成されるとともに、矢印B方向両端部には、電極面方向に沿って第1凹凸形状部38aが設けられる。第1凹凸形状部38aは、第1電解質膜・電極構造体20aの矢印B方向一端部上部から下部に向かって形成される第1凸部37a、第1凹部39a、第2凸部37b及び第2凹部39bを有する。第1凹凸形状部38aは、第1電解質膜・電極構造体20aの矢印B方向他端部上部から下部に向かって形成される第3凸部37c、第3凹部39c、第4凸部37d及び第4凹部39dを有する。
【0026】
第1金属セパレータ22は、第2金属セパレータ24よりも小さな外形寸法に設定される。図3及び図4に示すように、第1金属セパレータ22の第1電解質膜・電極構造体20aに向かう面22aには、前記第1電解質膜・電極構造体20aの触媒塗布範囲36aに対応して第1酸化剤ガス流路40が形成される。この第1酸化剤ガス流路40は、面22a側に突出する凸部40aと凹部40bとを設けることにより、矢印B方向に直線状に延在して形成されるとともに、前記第1酸化剤ガス流路40の両側には、エンボス部40cが形成される。第1酸化剤ガス流路40の矢印B方向一端側には、波状に成形された入口部41aが設けられるとともに、矢印B方向他端側には、同様に波状に成形された出口部41bが設けられる。図4に示すように、入口部41a及び出口部41bは、第1電解質膜・電極構造体20aの外形形状の外方に突出している。
【0027】
第1金属セパレータ22は、所望の凹凸形状を有する外形形状部42を有するとともに、この外形形状部42は、第1電解質膜・電極構造体20aの外形形状部よりも大きな寸法に設定される。第1金属セパレータ22の面22b側には、第1酸化剤ガス流路40を形成することにより、凹凸形状を反転させた第1冷却媒体流路44が形成される。
【0028】
図3に示すように、第2金属セパレータ24は、横長な長方形状を有している。この第2金属セパレータ24及び第4金属セパレータ28の矢印B方向の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス(反応ガス)、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔46a、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔48a、及び燃料ガス(反応ガス)、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔50bが、矢印C方向(鉛直方向)に配列して設けられる。
【0029】
第2金属セパレータ24及び第4金属セパレータ28の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔50a、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔48b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔46bが、矢印C方向に配列して設けられる。
【0030】
図5に示すように、第2金属セパレータ24の第1電解質膜・電極構造体20aに向かう面24aには、触媒塗布範囲36aに対応して第1燃料ガス流路52が形成される。第1燃料ガス流路52は、面24a側に突出する凸部52a及び凹部52bが交互に設けられることによって、矢印B方向に延在して形成される。この第1燃料ガス流路52の両側には、エンボス部52cが形成される。
【0031】
図6に示すように、第2金属セパレータ24の面24bには、面24a側に第1燃料ガス流路52を形成することによって、第2冷却媒体流路54が形成される。第2冷却媒体流路54の矢印B方向一端側には、波状に成形された入口部56aが設けられるとともに、矢印B方向他端側には、同様に波状に成形された出口部56bが設けられる。
【0032】
入口部56a及び出口部56bは、第2金属セパレータ24に第3金属セパレータ26が重ね合わされた際に、この第3金属セパレータ26の切り欠き形状部に対応している。冷却媒体入口連通孔48aは、入口部56aを介して第2冷却媒体流路54に連通する一方、冷却媒体出口連通孔48bは、出口部56bを介して第2冷却媒体流路54に連通する。
【0033】
第2金属セパレータ24には、燃料ガス入口連通孔50aに近接して2つの燃料ガス用入口孔部58aが設けられるとともに、燃料ガス出口連通孔50bに近接して2つの燃料ガス用出口孔部58bが設けられる。酸化剤ガス入口連通孔46a近傍には、3つの酸化剤ガス用入口孔部60aが形成される一方、酸化剤ガス出口連通孔46bの近傍には、3つの酸化剤ガス用出口孔部60bが形成される。
【0034】
図5に示すように、面24aには、第1燃料ガス流路52を周回して第1シール部材62a、第2シール部材62b及び第3シール部材62cが、順次、外方に向かって一体成形される。第1シール部材62aは、第1電解質膜・電極構造体20aの周縁部、すなわち、固体高分子電解質膜30aの周縁部に接触し、第2シール部材62bは、第1金属セパレータ22の周縁部に接触し、第3シール部材62cは、隣り合う単位セル12bを構成する第2金属セパレータに相当する第4金属セパレータ28に接触する。
【0035】
第1シール部材62aは、燃料ガスの漏れを防止するための内側シール部材を構成し、第2シール部材62bは、酸化剤ガスの漏れを防止するための中間シール部材を構成し、第3シール部材62cは、冷却媒体の漏れを阻止するための外側シール部材を構成している。
【0036】
第2電解質膜・電極構造体20bは、上記の第1電解質膜・電極構造体20aと同様に構成され、矢印B方向両端部には、電極面方向に沿って第2凹凸形状部38bが設けられる。第2凹凸形状部38bは、第2電解質膜・電極構造体20bの矢印B方向一端部上部から下部に向かって形成される第5凹部39e、第5凸部37e、第6凹部39f及び第6凸部37fを有する。第2凹凸形状部38bは、第2電解質膜・電極構造体20bの矢印B方向他端部上部から下部に向かって形成される第7凹部39g、第7凸部37g、第8凹部39h及び第8凸部37hを有する。
【0037】
第3金属セパレータ26は、第2電解質膜・電極構造体20b側の面26bに、第2酸化剤ガス流路64が形成される。第2酸化剤ガス流路64の矢印B方向一端側には、波状に成形された入口部63aが設けられるとともに、矢印B方向他端側には、同様に波状に成形された出口部63bが設けられる。入口部63a及び出口部63bは、第2電解質膜・電極構造体20bの外形形状の外方に突出している。第3金属セパレータ26の面26bは、第2金属セパレータ24の面24bに重なり合うことにより、第2冷却媒体流路54を一体的に形成する第3金属セパレータ26が所定の凹凸形状を有する外形形状部65を設ける。
【0038】
図7に示すように、第4金属セパレータ28の第2電解質膜・電極構造体20bに向かう面28aには、第2燃料ガス流路66が形成される。第2燃料ガス流路66は、凸部66aと凹部66bとによって矢印B方向に延在して形成されるとともに、両端側にはエンボス部66cが形成される。
【0039】
図8に示すように、第4金属セパレータ28の面28bには、面28aに第2燃料ガス流路66を形成することによって、第1冷却媒体流路44が形成される。この第1冷却媒体流路44は、第4金属セパレータ28と第1金属セパレータ22とが重なり合うことによって一体的に形成される。第1冷却媒体流路44の矢印B方向両端には、それぞれ外方に延在して波形状の入口部68aと出口部68bとが設けられる。
【0040】
入口部68aと出口部68bとは、第1金属セパレータ22の切り欠き形状部を介して第1冷却媒体流路44を冷却媒体入口連通孔48a及び冷却媒体出口連通孔48bに連通する。
【0041】
第4金属セパレータ28には、第2金属セパレータ24に設けられている入口孔部58a及び出口孔部58bに対して積層方向の位置をずらして2つの入口孔部70a及び2つの出口孔部70bが形成される。第4金属セパレータ28には、第2金属セパレータ24の3つの入口孔部60a及び3つの出口孔部60bに対して積層方向の位置をずらして3つの入口孔部72a及び3つの出口孔部72bが形成される。
【0042】
図7に示すように、面28aには、第2燃料ガス流路66を周回して第1シール部材74a、第2シール部材74b及び第3シール部材74cが、順次、外方に沿って設けられている。燃料ガスシール用の内側シール部材である第1シール部材74aは、第2電解質膜・電極構造体20bを構成する固体高分子電解質膜30bの周端部に接触し、酸化剤ガスシール用の中間シール部材である第2シール部材74bは、第3金属セパレータ26の周端部に接触し、冷却媒体シール用の外側シール部材である第3シール部材74cは、単位セル12aを構成する第2金属セパレータ24の周縁部に接触する。
【0043】
単位セル12aには、第1凹凸形状部38aを介して第1通路部76aが形成されるとともに、単位セル12bには、第2凹凸形状部38bを介して第2通路部76bが形成される。
【0044】
第1通路部76aは、図9に示すように、第1凹部39aと、第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24との間に形成され、酸化剤ガス入口連通孔46aを第1酸化剤ガス流路40に連通する第1酸化剤ガス供給連通路78aを有する。第1通路部76aは、図11に示すように、第3凸部37cと、第2金属セパレータ24との間に形成され、燃料ガス入口連通孔50aを第1燃料ガス流路52に連通する第1燃料ガス供給連通路80aを有する。
【0045】
第1通路部76aは、図3に示すように、第4凹部39dと、第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24との間に形成され、酸化剤ガス出口連通孔46bを第1酸化剤ガス流路40に連通する第1酸化剤ガス排出連通路78bを有する。第1通路部76aは、第2凸部37bと、第2金属セパレータ24との間に形成され、燃料ガス入口連通孔50aを第1燃料ガス流路52に連通する第1燃料ガス排出連通路80bを有する。
【0046】
第2通路部76bは、図10に示すように、第5凹部39eと、第3金属セパレータ26及び第4金属セパレータ28との間に形成され、酸化剤ガス入口連通孔46aを第2酸化剤ガス流路64に連通する第2酸化剤ガス供給連通路82aを有する。第2通路部76bは、図12に示すように、第7凸部37gと、第4金属セパレータ28との間に形成され、燃料ガス入口連通孔50aを第2燃料ガス流路66に連通する第2燃料ガス供給連通路84aを有する。
【0047】
第2通路部76bは、図3に示すように、第8凹部39hと、第3金属セパレータ26及び第4金属セパレータ28との間に形成され、酸化剤ガス出口連通孔46bを第2酸化剤ガス流路64に連通する第2酸化剤ガス排出連通路82bを有する。第2通路部76bは、第6凸部37fと、第4金属セパレータ28との間に形成され、燃料ガス入口連通孔50aを第2燃料ガス流路66に連通する第2燃料ガス排出連通路84bを有する。
【0048】
このように構成される燃料電池10の動作について、以下に説明する。
【0049】
図1に示すように、エンドプレート16aの酸化剤ガス入口連通孔46aには、酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔50aには、水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔48aには、純水やエチレングリコール等の冷却媒体が供給される。
【0050】
ここで、単位セル12aを構成する第2金属セパレータ24には、図6に示すように、酸化剤ガス入口連通孔46aに面24b側から連通する3つの入口孔部60aが形成される。一方、単位セル12bを構成する第4金属セパレータ28には、図8に示すように、酸化剤ガス入口連通孔46aに面28b側から連通する3つの入口孔部72aが形成されている。
【0051】
このため、図9に示すように、酸化剤ガス入口連通孔46aに供給された酸化剤ガスの一部は、第2金属セパレータ24の入口孔部60aを通って面24a側の第1酸化剤ガス供給連通路78aに導入され、第1金属セパレータ22に設けられている入口部41aから第1酸化剤ガス流路40に供給される。
【0052】
一方、図10に示すように、単位セル12bでは、酸化剤ガス入口連通孔46aに供給された酸化剤ガスの一部が、第4金属セパレータ28に設けられている入口孔部72aから面28a側の第2酸化剤ガス供給連通路82aに導入され、第3金属セパレータ26の入口部63aから第2酸化剤ガス流路64に供給される。
【0053】
また、第2金属セパレータ24には、図6に示すように、面24b側で燃料ガス入口連通孔50aに連通する2つの入口孔部58aが形成されている。第4金属セパレータ28には、図8に示すように、面28b側で燃料ガス入口連通孔50aに連通する2つの入口孔部70aが形成されている。
【0054】
従って、図11に示すように、燃料ガス入口連通孔50aに供給された燃料ガスの一部は、第2金属セパレータ24の入口孔部58aを通って面24a側の第1燃料ガス供給連通路80aに導入され、この第1燃料ガス供給連通路80aに連通する第1燃料ガス流路52に供給される。
【0055】
さらに、図12に示すように、燃料ガス入口連通孔50aに供給された燃料ガスガスの一部は、第4金属セパレータ28の入口孔部70aから面28a側の第2燃料ガス供給連通路84aに導入され、この第2燃料ガス供給連通路84aに連通する第2燃料ガス流路66に供給される。
【0056】
これにより、図3に示すように、第1電解質膜・電極構造体20aでは、カソード側電極32aに供給される酸化剤ガスと、アノード側電極34aに供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。同様に、第2電解質膜・電極構造体20bでは、カソード側電極32bに供給される酸化剤ガスと、アノード側電極34bに供給される燃料ガスとにより発電が行われる。
【0057】
単位セル12aの第1酸化剤ガス流路40を流れた酸化剤ガスは、出口部41bから第1酸化剤ガス排出連通路78bに導入され、第2金属セパレータ24に設けられた出口孔部60bを通って面24b側に移動し、酸化剤ガス出口連通孔46bに排出される。同様に、単位セル12bの第2酸化剤ガス流路64を流れた酸化剤ガスは、出口部63bから第2酸化剤ガス排出連通路82bに導入され、第4金属セパレータ28に設けられた出口孔部72bを通って酸化剤ガス出口連通孔46bに排出される。
【0058】
また、第2金属セパレータ24の第1燃料ガス流路52を流れた燃料ガスは、第1燃料ガス排出連通路80bに導入され、出口孔部58bを通って面24b側に移動した後、燃料ガス出口連通孔50bに排出される。同様に、第4金属セパレータ28の第2燃料ガス流路66を流れた燃料ガスは、第2燃料ガス排出連通路84bに導入され、出口孔部70bから面28b側に移動した後、燃料ガス出口連通孔50bに排出される。
【0059】
さらにまた、図8に示すように、第4金属セパレータ28の面28bには、第1冷却媒体流路44に連通する入口部68a及び出口部68bが設けられるとともに、前記入口部68a及び前記出口部68bは、第1金属セパレータ22の切り欠き形状部に対応している。
【0060】
このため、冷却媒体入口連通孔48aに供給された冷却媒体は、図13に示すように、第4金属セパレータ28の面28b側から入口部68aを通って前記第4金属セパレータ28と第1金属セパレータ22との間に形成された第1冷却媒体流路44に導入される。この第1冷却媒体流路44を通って冷却処理を施した冷却媒体は、出口部68bを通って面28b側から冷却媒体出口連通孔48bに排出される(図3参照)。
【0061】
一方、図6に示すように、第2金属セパレータ24の面24bには、第2冷却媒体流路54に連通するとともに、第3金属セパレータ26の切り欠き形状部に対応して入口部56a及び出口部56bが形成されている。
【0062】
従って、冷却媒体入口連通孔48aに供給された冷却媒体は、図14に示すように、面24b側から入口部56aを通って第2金属セパレータ24と第3金属セパレータ26との間に形成された第2冷却媒体流路54に供給される。この第2冷却媒体流路54を流れた冷却媒体は、出口部56bから面24b側に流動し、冷却媒体出口連通孔48bに排出される(図3参照)。
【0063】
この場合、第1の実施形態では、積層方向に隣接する第1電解質・電極構造体20a及び第2電解質・電極構造体20bに設けられる第1凹凸形状部38a及び第2凹凸形状部38bが、前記積層方向に互いにオフセットして配置されている。このため、隣接する第1通路部76a及び第2通路部76b同士は、積層方向に重なることがない。
【0064】
具体的には、例えば、第1酸化剤ガス流路40と酸化剤ガス入口連通孔46aとを連通する第1酸化剤ガス供給連通路78aと、第2酸化剤ガス流路64と酸化剤ガス入口連通孔46aとを連通する第2酸化剤ガス供給連通路82aとでは、積層方向に互いにオフセットしている。従って、第1酸化剤ガス供給連通路78aと第2酸化剤ガス供給連通路82aとにおける流路高さ及びシール高さを維持した状態で、単位セル12a及び12bの積層方向の薄型化を図ることが可能になる。これにより、燃料電池10全体の小型化が容易に遂行され、特に車載用燃料電池スタックを良好にコンパクト化することができるという効果が獲られる。
【0065】
図15は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池100の一部断面説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3及び第4の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0066】
燃料電池100は、単位セル102a、102bを交互に矢印A方向に積層する。単位セル102aは、第1電解質膜・電極構造体104aを第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24で挟持する一方、単位セル102bは、第2電解質膜・電極構造体104bを第3金属セパレータ26及び第4金属セパレータ28で挟持する。
【0067】
第1電解質膜・電極構造体104aは、全体として略四角形状に構成されるとともに、矢印B方向両端部には、電極面方向に沿って第1通路部76aを形成する第1凹凸形状部106aが設けられる。第1凹凸形状部106aは、第1電解質膜・電極構造体104aの矢印B方向一端部上部から下部に向かって形成される第1凸部37a、第1凹部39a、第2凸部37b及び第2凹部39bを有する。第1凹凸形状部106aは、第1電解質膜・電極構造体104aの矢印B方向他端部上部から下部に向かって形成される第3凸部37c、第3凹部39c、第4凸部37d及び第4凹部39dを有する。
【0068】
第2電解質膜・電極構造体104bは、上記の第1電解質膜・電極構造体104aと同様に構成され、矢印B方向両端部には、電極面方向に沿って第2通路部76bを形成する第2凹凸形状部106bが設けられる。第2凹凸形状部106bは、第2電解質膜・電極構造体104bの矢印B方向一端部上部から下部に向かって形成される第5凹部39e、第5凸部37e、第6凹部39f及び第6凸部37fを有する。第2凹凸形状部106bは、第2電解質膜・電極構造体20bの矢印B方向他端部上部から下部に向かって形成される第7凹部39g、第7凸部37g、第8凹部39h及び第8凸部37hを有する。
【0069】
このように構成される第2の実施形態では、第1凹凸形状部104aと第2凹凸形状部104bとが、積層方向に互いにオフセットしており、上記の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
図16は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池110の一部断面説明図である。
【0071】
燃料電池110は、単位セル112a、112bを交互に矢印A方向に積層する。単位セル112aは、第1電解質膜・電極構造体114aを第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24で挟持する一方、単位セル112bは、第2電解質膜・電極構造体114bを第3金属セパレータ26及び第4金属セパレータ28で挟持する。
【0072】
第1電解質膜・電極構造体114aは、全体として略四角形状に構成されるとともに、矢印B方向両端部には、電極面方向に沿って第1通路部76aを形成する第1凹凸形状部116aが設けられる。第1凹凸形状部116aは、第1電解質膜・電極構造体104aの矢印B方向一端部上部から下部に向かって形成される第1凹部118a、第1凸部120a及び第2凹部118bを有する。第1凹凸形状部106aは、第1電解質膜・電極構造体114aの矢印B方向他端部上部から下部に向かって形成される第2凸部120b及び第3凹部118cを有する。
【0073】
第2電解質膜・電極構造体114bは、上記の第1電解質膜・電極構造体114aと同様に構成され、矢印B方向両端部には、電極面方向に沿って第2通路部76bを形成する第2凹凸形状部116bが設けられる。第2凹凸形状部116bは、第2電解質膜・電極構造体114bの矢印B方向一端部上部から下部に向かって形成される第4凹部118d及び第3凸部120cを有する。第2凹凸形状部116bは、第2電解質膜・電極構造体20bの矢印B方向他端部上部から下部に向かって形成される第5凹部118e、第4凸部120d及び第6凹部118fを有する。
【0074】
第1凹部118aと、第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24との間に第1酸化剤ガス供給連通路78aが形成されるとともに、第1凸部120aと、第2金属セパレータ24との間に第1燃料ガス供給連通路80aが形成される。第3凹部118cと、第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24との間に第1酸化剤ガス排出連通路78bが形成されるとともに、第1凸部120aと、第2金属セパレータ24との間に第1燃料ガス排出連通路80bが形成される。
【0075】
第4凹部118dと、第3金属セパレータ26及び第4金属セパレータ28との間に第2酸化剤ガス供給連通路82aが形成されるとともに、第4凸部120dと、第4金属セパレータ28との間に第2燃料ガス供給連通路84aが形成される。第6凹部118fと、第3金属セパレータ26及び第4金属セパレータ28との間に第2酸化剤ガス排出連通路82bが形成されるとともに、第3凸部120cと第4金属セパレータ28との間に第2燃料ガス排出連通路84bが形成される。
【0076】
このように構成される第3の実施形態では、第1凹凸形状部116aと第2凹凸形状部116bとが、積層方向に互いにオフセットしており、上記の第1及び第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0077】
図17は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池130の一部断面説明図である。
【0078】
燃料電池130は、単位セル132a、132bを交互に矢印A方向に積層する。単位セル132aは、第1電解質膜・電極構造体134aを第1金属セパレータ136及び第2金属セパレータ138で挟持する一方、単位セル132bは、第2電解質膜・電極構造体114bを第3金属セパレータ140及び第4金属セパレータ142で挟持する。
【0079】
第1電解質膜・電極構造体134aは、全体として略四角形状に構成されるとともに、矢印B方向両端部には、電極面方向に沿って第1通路部76aを形成する第1凹凸形状部136aが設けられる。第1凹凸形状部136aは、第1電解質膜・電極構造体104aの矢印B方向両端部に形成される第1凸部37a、第1凹部39a、第2凸部37b、第2凹部39b、第3凸部37c、第3凹部39c、第4凸部37d及び第4凹部39dを有する。
【0080】
第2電解質膜・電極構造体134bは、上記の第1電解質膜・電極構造体134aと同様に構成され、矢印B方向両端部には、電極面方向に沿って第2通路部76bを形成する第2凹凸形状部136bが設けられる。第2凹凸形状部136bは、第5凹部39e、第5凸部37e、第6凹部39f、第6凸部37f、第7凹部39g、第7凸部37g、第8凹部39h及び第8凸部37hを有する。第1凸部37a〜第8凸部37h及び第1凹部39a〜第8凹部39hは、鉛直方向に対してそれぞれ所定の方向に傾斜する。
【0081】
第1金属セパレータ136〜第4金属セパレータ142は、上記の第1電解質膜・電極構造体134a及び第2電解質膜・電極構造体134bの形状に対応する形状に設定される。同様に、酸化剤ガス入口連通孔46a、冷却媒体入口連通孔48a、燃料ガス出口連通孔50b、燃料ガス入口連通孔50a、冷却媒体出口連通孔48b及び酸化剤ガス出口連通孔46bは、第1電解質膜・電極構造体134a及び第2電解質膜・電極構造体134bの形状に対応する形状に設定される。
【0082】
このように構成される第4の実施形態では、第1凹凸形状部136aと第2凹凸形状部136bとが、積層方向に互いにオフセットしており、上記の第1〜第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池の概略斜視説明図である。
【図2】前記燃料電池の断面説明図である。
【図3】前記燃料電池を構成する単位セルの分解斜視説明図である。
【図4】第1金属セパレータの一方の面の説明図である。
【図5】第2金属セパレータの一方の面の説明図である。
【図6】前記第2金属セパレータの他方の面の説明図である。
【図7】第4金属セパレータの一方の面の説明図である。
【図8】前記第4金属セパレータの他方の面の説明図である。
【図9】前記燃料電池内での酸化剤ガスの流れ説明図である。
【図10】前記燃料電池内での前記酸化剤ガスの別の流れ説明図である。
【図11】前記燃料電池内での燃料ガスの流れ説明図である。
【図12】前記燃料電池内での前記燃料ガスの別の流れ説明図である。
【図13】前記燃料電池内での冷却媒体の流れ説明図である。
【図14】前記燃料電池内での前記冷却媒体の別の流れ説明図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池の分解斜視説明図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池の分解斜視説明図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に係る燃料電池の分解斜視説明図である。
【図18】特許文献1のプロセス制御装置の説明図である。
【符号の説明】
【0084】
10、100、110、130…燃料電池
12a、12b、102a、102b、112a、112b、132a、132b…単位セル
14…積層体
20a、20b、104a、104b、114a、114b、134a…電解質膜・電極構造体
22、24、26、28、136、138、140、142…金属セパレータ
30a、30b…固体高分子電解質膜 32a、32b…カソード側電極
34a、34b…アノード側電極
37a、37b、37c、37d、37e、37f、37g、37h、120a、120b、120c、120d…凸部
38a、38b、106a、106b、116a、116b…凹凸形状部
39a、39b、39c、39d、39e、39f、39g、39h、118a、118b、118c、118d、118e、118f…凹部
40、64…酸化剤ガス流路 44、54…冷却媒体流路
46a…酸化剤ガス入口連通孔 46b…酸化剤ガス出口連通孔
48a…冷却媒体入口連通孔 48b…冷却媒体出口連通孔
50a…燃料ガス入口連通孔 50b…燃料ガス出口連通孔
52、66…燃料ガス流路 76a、76b…通路部
78a、82a…酸化剤ガス供給連通路 78b、82b…酸化剤ガス排出連通路
80a、84a…燃料ガス供給連通路 80b、84b…燃料ガス排出連通路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質の両側に一対の電極を配設した電解質・電極構造体を備え、前記電解質・電極構造体を第1セパレータ及び第2セパレータで挟持する単位セルを積層するとともに、少なくとも電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路と、積層方向に貫通する反応ガス連通孔とを設ける燃料電池であって、
前記電解質・電極構造体は、前記反応ガス流路と前記反応ガス連通孔とを連通する連通部を形成する凹凸形状部を前記電極面方向に有し、
前記積層方向に隣接する前記電解質・電極構造体に設けられる各凹凸形状部は、前記積層方向に互いにオフセットして配置されることを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池において、前記連通部は、前記凹凸形状部を構成する凹部と前記第1セパレータ及び前記第2セパレータとの間に形成される第1反応ガス連通路と、
前記凹凸形状部を構成する凸部と前記第2セパレータ又は前記第1セパレータとの間に形成される第2反応ガス連通路と、
を有することを特徴とする燃料電池。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃料電池において、前記第2セパレータ又は前記第1セパレータのいずれか一方には、相対的に外形寸法の小さな他方の外形端部外方に位置し、前記反応ガス連通孔である反応ガス入口連通孔及び反応ガス出口連通孔と、冷却媒体入口連通孔及び冷却媒体出口連通孔とが積層方向に貫通して形成されることを特徴とする燃料電池。
【請求項4】
請求項3記載の燃料電池において、前記第2セパレータ又は前記第1セパレータには、前記連通部を前記反応ガス入口連通孔及び前記反応ガス出口連通孔に連通する開口部が前記積層方向に形成されることを特徴とする燃料電池。
【請求項5】
電解質の両側に一対の電極を配設した第1電解質・電極構造体及び第2電解質・電極接合体を備え、前記第1電解質・電極構造体を第1セパレータ及び第2セパレータで挟持する第1単位セルと、前記第2電解質・電極接合体を第3セパレータ及び第4セパレータで挟持する第2単位セルとを交互に積層するとともに、少なくとも電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路と、積層方向に貫通する反応ガス連通孔とを設ける燃料電池であって、
前記第1電解質・電極接合体は、電極面に沿って前記反応ガスを供給する反応ガス流路と前記反応ガス連通孔とを連通する第1連通部を形成する第1凹凸形状部を前記電極面方向に有し、
前記第2電解質・電極接合体は、電極面に沿って前記反応ガスを供給する反応ガス流路と前記反応ガス連通孔とを連通する第2連通部を形成する第2凹凸形状部を前記電極面方向に有し、
前記第1凹凸形状部と前記第2凹凸形状部とは、前記積層方向に互いにオフセットして配置されることを特徴とする燃料電池。
【請求項1】
電解質の両側に一対の電極を配設した電解質・電極構造体を備え、前記電解質・電極構造体を第1セパレータ及び第2セパレータで挟持する単位セルを積層するとともに、少なくとも電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路と、積層方向に貫通する反応ガス連通孔とを設ける燃料電池であって、
前記電解質・電極構造体は、前記反応ガス流路と前記反応ガス連通孔とを連通する連通部を形成する凹凸形状部を前記電極面方向に有し、
前記積層方向に隣接する前記電解質・電極構造体に設けられる各凹凸形状部は、前記積層方向に互いにオフセットして配置されることを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池において、前記連通部は、前記凹凸形状部を構成する凹部と前記第1セパレータ及び前記第2セパレータとの間に形成される第1反応ガス連通路と、
前記凹凸形状部を構成する凸部と前記第2セパレータ又は前記第1セパレータとの間に形成される第2反応ガス連通路と、
を有することを特徴とする燃料電池。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃料電池において、前記第2セパレータ又は前記第1セパレータのいずれか一方には、相対的に外形寸法の小さな他方の外形端部外方に位置し、前記反応ガス連通孔である反応ガス入口連通孔及び反応ガス出口連通孔と、冷却媒体入口連通孔及び冷却媒体出口連通孔とが積層方向に貫通して形成されることを特徴とする燃料電池。
【請求項4】
請求項3記載の燃料電池において、前記第2セパレータ又は前記第1セパレータには、前記連通部を前記反応ガス入口連通孔及び前記反応ガス出口連通孔に連通する開口部が前記積層方向に形成されることを特徴とする燃料電池。
【請求項5】
電解質の両側に一対の電極を配設した第1電解質・電極構造体及び第2電解質・電極接合体を備え、前記第1電解質・電極構造体を第1セパレータ及び第2セパレータで挟持する第1単位セルと、前記第2電解質・電極接合体を第3セパレータ及び第4セパレータで挟持する第2単位セルとを交互に積層するとともに、少なくとも電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路と、積層方向に貫通する反応ガス連通孔とを設ける燃料電池であって、
前記第1電解質・電極接合体は、電極面に沿って前記反応ガスを供給する反応ガス流路と前記反応ガス連通孔とを連通する第1連通部を形成する第1凹凸形状部を前記電極面方向に有し、
前記第2電解質・電極接合体は、電極面に沿って前記反応ガスを供給する反応ガス流路と前記反応ガス連通孔とを連通する第2連通部を形成する第2凹凸形状部を前記電極面方向に有し、
前記第1凹凸形状部と前記第2凹凸形状部とは、前記積層方向に互いにオフセットして配置されることを特徴とする燃料電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−324110(P2007−324110A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333305(P2006−333305)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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