燃焼器ライナの同心支持とその方法
【課題】燃焼器において摩耗を生じる運動を低減させるシステム及び方法を提供する。
【解決手段】この方法は、燃焼器ライナ404の第1の端部を取り囲むリテーナ402に燃焼器ライナ404の第1の端部を取り付けるステップと、リテーナ402を燃焼器ケーシング406に取り付けるステップであって、このリテーナ402は、燃焼器ライナ404と燃焼器ケーシング406との間でばねとして機能するステップと、燃焼器ライナ404の長手軸及び周方向の軸に沿った燃焼器ケーシング406と燃焼器ライナ404との間の相対的な運動をリテーナ402により低減させるステップと、燃焼器ライナ404を燃焼器ケーシング406内に実質的に同心状に配置するステップと、を含む。
【解決手段】この方法は、燃焼器ライナ404の第1の端部を取り囲むリテーナ402に燃焼器ライナ404の第1の端部を取り付けるステップと、リテーナ402を燃焼器ケーシング406に取り付けるステップであって、このリテーナ402は、燃焼器ライナ404と燃焼器ケーシング406との間でばねとして機能するステップと、燃焼器ライナ404の長手軸及び周方向の軸に沿った燃焼器ケーシング406と燃焼器ライナ404との間の相対的な運動をリテーナ402により低減させるステップと、燃焼器ライナ404を燃焼器ケーシング406内に実質的に同心状に配置するステップと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する主題の実施形態は、概して摩耗の低減に関し、特に、ガスタービンシステムの燃焼機器における摩耗の低減に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼器は、ガスタービンにおいて高温の燃焼ガスをタービンの第1段に送給するために用いられる。ガスタービンに用いられる各燃焼器は通常、1つ以上の燃料ノズルと1つの燃焼室とを有する燃料噴射システムを含む。一般的な燃焼室は、燃焼器ライナと、燃焼室とタービンの第1段との間に接続された、これら両者間に延在するトランジションピースと、フロースリーブとを含む。燃焼器ライナとフロースリーブとの間には、燃料ノズルを介して噴射される燃料との混合を行うために、及び冷却を行うために、圧縮機吐出空気の少なくとも一部を、燃焼器ライナ内に導入するための通路が画成されている。加えて、トランジションピースは、動力生成及び膨張のために、高温の燃焼ガスをタービンの第1段に誘導及び送給する。
【0003】
具体的に、燃焼器とこれに付随するトランジションピースを、図1に関連して説明する。ガスタービン用の燃焼器2は、円筒形の燃焼器ライナ6の内側にある燃焼室4を有する。燃料は、燃焼室4に流入し、バーナ12で点火される。この点火と関連して、燃焼器ライナ6内で火炎を形成するキャップ部16(裏板を含む)がある。燃焼器ライナ6は、燃焼器ケーシング8としても既知の、実質的に円筒状のフロースリーブによって包囲されている。しかし、燃焼器ライナ6と燃焼器ケーシング8との間には、燃焼室4内に空気を導入して送給された燃料と混合するための空気流路として機能する、半径方向の隙間が存在する。トランジションピース10が燃焼器ライナ6に接続される位置において、フラシール14が燃焼器ライナ6の端部を取り囲み、トランジションピース10と接触する。加えて、トランジションピース10は、燃焼器ライナ6をタービンの第1段(図示せず)と接続する。
【0004】
図2に、従来式の燃焼器ライナ6をより詳細に示す。具体的に、燃焼器ライナ6は、バーナカラー202、3つのケーシングライナストッパ204とクロスファイアカラー206(燃焼器ライナ6は、更に多数のクロスファイアカラー206を有し得るが、図2には1つのみを示す)。ガスタービン用の燃焼器に関して更に詳しくは、発明の名称が「ガスタービン燃焼器用摩耗低減キット(Wear Reduction Kit for Gas Turbine Combustors)」である、米国特許第5,749,218号に記載されており、この特許の内容全体が、参照により本明細書に援用されている。
【0005】
運転時、一部の燃焼部品は、例えば機械設備の振動に起因する摩耗の影響を受ける。一般に、摩耗部品は、燃焼器ライナ6の様々な部分に付随する接触部品である。例えば、燃焼器2の動作時、時間が経つにつれて摩耗する一部の接触部品として、バーナカラー202、ケーシングライナストッパ204、フラシール14、クロスファイアカラー206、及びこれらのそれぞれの嵌合部品が挙げられる。これらの部品で摩耗が大きくなると、嵌合部品間の隙間が大きくなり、別の摩耗問題に繋がることがある。例えば、ケーシングライナストッパ204が摩耗すると、燃焼器ライナ6が軸方向又は周方向に運動可能な空間が大きくなり、燃焼器ライナ6と燃焼器ケーシング8との間の相対的な運動が相応に増大する。また、フラシール14は、このフラシール14がトランジションピース10と係合する位置でヒンジとして機能するが、こうしたことが起こると、フラシール14に固有の摩耗が更に生じ、ひいては潜在的な機械的破損に繋がる。
【0006】
図1では単一の燃焼器として示されているが、一般的なガスタービンエンジンは複数の燃焼器を有する。図3aに、クロスファイア管302を有する2つの燃焼器ライナを示し、図3bには、機械に組み付けられた燃焼器構造を示す。通常は、クロスファイアカラー206の嵌合部品であるクロスファイア管302によって相互に連結された、12個の燃焼器2がある(図3bに、トランジションピース10に接続された燃焼器ケーシング8の様々な構成を示す)。クロスファイア管302は、燃焼を継続させるために必要な火炎を喪失した燃焼器2内に火炎を伝播させるために用いられる。このように、ガスタービンエンジンには複数の燃焼器2があるが、このことは、ガスタービンエンジン内の摩耗を生じる機械部品の点数が、単一の燃焼器に想定される点数よりも多いことを意味する。
【0007】
上述のこうした様々な部品の機械的摩耗により、ダウンタイム及び交換部品に関連する維持費と経費が生じる。ガスタービンにおいて2つの互いに嵌合する燃焼器部品間の摩耗を低減させる方法の1つが溶射である。例えば、高速フレーム溶射(HVOF)が、摩耗による損傷を受けることがわかっている部品の摩耗特性を改善するために用いられている。これらの溶射で摩耗特性が改善するものの、厚い被覆を得ること又は厚い被覆を費用効果的に得ることはできず、通常は、約0.5mm以下の厚さの被覆用に用いられる。加えて、これらの溶射工程は、所望の被覆面に対して約90°の角度で実施される。被覆することが望ましい一部の部品形状、例えばコーナー部分や様々なカーブ面では、必要な傾斜(溶射ノズルと部品面との間の)を得られず、結果的に、薄い被覆になるか、場合によっては全く被覆されないかのいずれかとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6434821号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、ガスタービンの燃焼器に関連する部品の摩耗を低減させ、寿命を延ばし、コストを削減できるシステム及び方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施例に従って、燃焼器において摩耗を生じる運動を低減させる方法を提供する。この方法は、燃焼器ライナの第1の端部を取り囲むリテーナに燃焼器ライナの第1の端部を取り付けるステップと、このリテーナを燃焼器ケーシングに取り付けるステップであって、このリテーナは、燃焼器ライナと燃焼器ケーシングとの間でばねとして機能するステップと、燃焼器ライナの長手軸及び周方向の軸に沿った、燃焼器ケーシングと燃焼器ライナとの間の相対的な運動を、リテーナにより低減させるステップと、燃焼器ライナを燃焼器ケーシング内で実質的に同心状に配置するステップとを含む。
【0011】
別の実施例に従って、摩耗を低減させるように構成された燃焼器を提供する。この燃焼器は、燃焼器ライナの第1の端部を取り囲むリテーナに取り付けられた第1の端部を有する燃焼器ライナと、燃焼器ケーシングであって、この燃焼器ケーシング内に燃焼器ライナが実質的に同心状に配置された燃焼器ケーシングとを含み、このとき、リテーナは、燃焼器ケーシングに取り付けられ、燃焼器ライナと燃焼器ケーシングとの間でばねとして機能するように構成され、リテーナは、燃焼器ライナの長手軸及び周方向の軸に沿った燃焼器ケーシングと燃焼器ライナとの間の相対的な運動を低減させるように構成され、リテーナは、このリテーナを燃焼器ケーシングの内側に取り付けるように構成された第1の部分と、このリテーナを燃焼器ライナの外面に取り付けるように構成された第2の部分と、燃焼器ライナを燃焼器ケーシング内で実質的に同心状に配置するように構成されたばね状部分とを含み、このばね状部分は、第1の部分と第2の部分との間に配置される。
【0012】
また別の実施例に従って、燃焼器内において部品の位置を実質的に正位置に固定するリテーナを提供する。リテーナは、このリテーナを燃焼器ケーシングの内側に取り付けるように構成された第1の部分と、このリテーナを燃焼器ライナの外面に取り付けるように構成された第2の部分と、燃焼器ライナを燃焼器ケーシング内で実質的に同心状に配置するように構成されたばね状部分とを含み、このばね状部分は、第1の部分と第2の部分との間に配置される。
【0013】
更に別の実施例に従って、燃焼器内において部品の位置を実質的に正位置に固定するリテーナを提供する。リテーナは、このリテーナを燃焼器ケーシングの内側に取り付けるように構成された第1の部分と、組み付け後、燃焼器ライナを燃焼器ケーシング内で実質的に同心状に配置するように構成された2つの部分とを含み、これらの2つの部分の一部は更に、リテーナを燃焼器ライナの外面に取り付けるように構成される。
【0014】
添付図面に、実施例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】燃焼器とトランジションピースを示した図である。
【図2】燃焼器ライナの図である。
【図3a】クロスファイア管により接続される2つの燃焼器ライナの図である。
【図3b】機械に組み付けられた燃焼器の構成を示す図である。
【図4】実施例に従ったリテーナを有する燃焼器の図である。
【図5】実施例に従ったリテーナを有する燃焼器の斜視図である。
【図6】実施例に従ったリテーナを有する燃焼器の斜視図である。
【図7】実施例に従った、別のリテーナを有する燃焼器の図である。
【図8】実施例に従った、リテーナに空気を通す穴を有するリテーナの断面図である。
【図9】実施例に従った、リテーナに空気を通す穴を有するリテーナの断面図である。
【図10】実施例に従った、リテーナに空気を通す穴を有するリテーナの断面図である。
【図11】実施例に従った、燃焼器において摩耗を生じる運動を低減させる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施例の以下の詳細な説明では、添付図面を参照する。別の図面における同一の参照符号は、同一又は類似の要素を示している。加えて、図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。また、以下の詳細な説明が本発明を限定することはない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に規定されている。
【0017】
本明細書全体を通じて、「一実施形態」又は「一実施例」という文言は、或る実施形態に関連して記述される個々の特徴、構造、又は特性は、開示の主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の様々な部分で見られる「一実施形態において」又は「一実施例において」という表現は、必ずしも同一の実施形態を指しているわけではない。更に、個々の特徴、構造、又は特性を、1つ以上の実施形態と組み合わせて如何様にも適合させることができる。
【0018】
燃焼器ライナ6は通常、燃焼器ライナ6の前端の3つの軸方向ストッパ204と燃焼器ライナ6の後端部のフラシール14とにより支持される(図1及び2参照)。燃焼器ライナストッパ204は、燃焼器ケーシング8上の嵌合相手のストッパとの間に相対的に緩い隙間を有するが、時間が経つにつれて振動によって侵食が生じ、摩耗が進行し、隙間が一層拡大する。これにより、燃焼器ライナ6が移動して、フラシール14がより激しく摩耗する配置となり、その時点からフラシールは、燃焼器ライナ6と燃焼器ケーシング8との間でヒンジとして機能する。実施例によると、燃焼器ライナ6の軸方向ストッパ204と燃焼器ケーシング8上の嵌合相手のストッパ(図示せず)とが不要になり、これらは、燃焼器ケーシング8と燃焼器ライナ6との間の相対的な運動を大幅に低減させる、所謂リス籠状設計(squirrel−cage design)又はリテーナに置き換えられ、ひいては、以下により詳細に説明するように、付随する様々な嵌合部品の摩耗が低減する。
【0019】
実施例によると、燃焼器400は、図4〜6に示すように燃焼器ライナ404を燃焼器ケーシング406に取り付け可能なリテーナ402を有し得る。リテーナ402は、燃焼器ライナ404を燃焼器ケーシング406と同心状態に保つ単一の一体部品であってよい。リテーナ402は、製造と溶接と組み立てを容易にする特性を有しつつ、更にガスタービン環境において機能するための所望の材料特性を有する燃焼器ライナ材料と適合する材料を用いて作製される。このような材料の例として、コバルト基合金、HAST−X、FSX−414、及びL−605が挙げられるが、これらに限定されることはない。一実施例によると、リテーナ402は、燃焼器ケーシング406に取り付けられる部分412と、ばね状部分410と、燃焼器ライナ404の外側に取り付けられる部分408と、の3つの部分から成ると考えてよい。部分412は、例えば燃焼器ケーシング406のフランジ部分414に部分412をボルト止めすることにより、燃焼器ケーシング406のフランジ部分414に取り付けられる。しかし、その他の機械的な取り付け方法及び/又は溶接等のその他の取り付け方法を用いてもよい。部分408は、例えば溶接、リベット結合、ボルト止め又は任意のその他の所望の取り付け方法により、燃焼器ライナ404(及び/又はキャップ部422)に取り付けられる。ばね状部分410は、所定の弾性定数を有し得る。加えて、図5に示すように、部分410の側部領域の一部を中実(例えば領域424参照)とし、ばね状部分410の側部領域の一部を切り欠き、これによって空気が流れるようにしてもよい(例えば領域426参照)。領域426の大きさ及び形状は、必要に応じて変更可能である。そのため、領域426から覗くと、部分408の一部が見えることになる。
【0020】
燃焼器ライナ404と燃焼器ケーシング406との両方に対して、リテーナ402をこのように設計することにより、従来の燃焼器に用いられる軸方向ストッパを設ける必要がなくなる。リテーナ402は、燃焼器ケーシング406に対する燃焼器ライナ404の長手軸方向及び周方向の運動を、低減又は解消するので、リテーナ402を設置すると、様々な接触点における摩耗が低減する。ばね状部分410は、燃焼器ケーシング内で燃焼器ライナ404を同心状に配置する役割を果たすが、これによって様々な接触点における摩耗が更に低減する。この摩耗の低減によって、燃焼器の耐用寿命が延びる。加えて、実施例によると、これらのリテーナは、必要に応じて一部の既存の燃焼器に後付け可能であり、従来の燃焼器の軸方向ストッパは不要になる。
【0021】
上記のように、実施例によると、リテーナ402を用いると、燃焼器における摩耗を低減できる。長手軸方向の運動の低減により、摩耗の可能性はあるものの摩耗量が減少したこれらの接触点の一部が図5及び6に示されており、この接触点には、バーナカラー420と、クロスファイア管416とクロスファイアカラー418との間の接点とが含まれる。燃焼器ライナ404を燃焼器ケーシング406内で同心配置することで、バーナカラー420とバーナ(図示せず)との間の摩耗が低減する。このような燃焼器内の摩耗の低減により、燃焼器の耐用寿命を延ばすことができる。リテーナ402を用いることにより、燃焼器の設計を摩耗対応型から疲労対応型に変更できるが、このことが、燃焼器部品を設計する上で、この設計上の特徴を生かしたその他の改変形態に繋がる。
【0022】
別の実施例によると、リテーナ402を、複数の独立した小区分、例えば2つの小区分又は3つ以上の小区分から構成できる。例えば、リテーナ402の小区分408、410、412は、互いに独立して作製される。そして、これらの小区分408、410、412が組み付けられた後、又はこれらの小区分の組み付けプロセス中のいずれかに、これらの小区分408、410、412を用いて、燃焼器ライナ404が燃焼器ケーシング406に対して取り付けられ、同心状に配置される。
【0023】
実施例に従って、別の形態のリス籠状設計を、図7にリテーナ702として示す。リテーナ702は、一実施例によると、燃焼器ケーシング406に取り付けられる部分704と、部分708と共働してばねとして機能する部分706の、3つの部分を有すると考えられる。部分706及び708は凸状であるが、その他の形状を用いてもよい。取り付けられる部分706及び708は、所定の弾性定数を有し得る。部分704は、例えば部分704を燃焼器ケーシング406のフランジ部分414にボルト止めすることにより、燃焼器ケーシング406のフランジ部分414に取り付けられる。しかし、その他の機械的な取り付け方法及び/又は溶接等のその他の取り付け方法を用いてもよい。部分708は、例えば溶接、リベット結合、ボルト止め、又は任意のその他の所望の取り付け方法により、燃焼器ライナ404(及び/又はキャップ部422)に取り付けられる。
【0024】
実施例に従って、図8〜10に、燃焼器ケーシング406と燃焼器ライナ404との間で所望の空気流が得られるように、空気がリテーナ702を通過するようにするための、部分706及び708の様々な設計を示す。図8〜10には、3つの可能な設計を示すが、所望の空気流を得られ、リテーナ702の構造的完全性と所望のばね状の性能を維持し得る、その他の形状及び形態も可能である。一実施例によると、リテーナ702の各部分704、706、708は、別々に製造された後、例えば溶接により組み立てられる。加えて、リテーナ702は、長手方向の運動の減少、周方向の運動の減少、従来の燃焼器に用いられる軸方向ストッパを設ける必要性が無くなること、及び嵌合する燃焼器部品間の摩耗の減少等、リテーナ402と同様の成果をもたらす。実施例によると、リテーナ702の部分708をキャップ部422に溶接又はボルト止めし、後付けしてもよい。
【0025】
上記の実施例を用いて、燃焼器における摩耗を生じる運動を低減させる方法を図11のフローチャートに示す。この方法は、燃焼器ライナの第1の端部を取り囲むリテーナに燃焼器ライナの第1の端部を取り付けるステップ1102と、リテーナを燃焼器ケーシングに取り付けるステップであって、このリテーナは、燃焼器ライナと燃焼器ケーシングとの間でばねとして機能するステップ1104と、燃焼器ライナの長手軸及び周方向の軸に沿った、燃焼器ケーシングと燃焼器ライナとの間の相対的な運動を、リテーナにより低減させるステップ1106と、燃焼器ライナを燃焼器ケーシング内で実質的に同心状に配置するステップ1108と、を含む。
【0026】
上述の実施例は、いかなる点でも、限定的なものではなく、本発明を説明することを意図したものである。したがって、本明細書に含まれる記述から当業者に想到可能な多数の改変が、本発明の実施の細部において可能である。こうした改変及び修正は全て、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲及び概念に含まれるとみなされる。別途明記しない限り、本願の説明において用いられたいかなる要素、動作、又は教示も、本発明に必須又は不可欠であるとみなされるべきではない。また、本明細書で使用する冠詞「a」は、1つ以上の項目を含むことを意図している。
【0027】
本明細書では、最適な態様も含め、例を用いて本発明を開示したが、これによってまた、当業者は、任意の装置又はシステムの作製及び使用、並びに付随する任意の方法の実施を含め、本発明を構成及び利用できる。本発明の特許請求の範囲は、請求項に定義されているが、当業者に想到可能なその他の例も含み得る。こうした他の例は、請求項の文言と相違ない構成要素を有する場合、又は請求項の文言と実質的な相違を有さない等価の構成要素を有する場合、特許請求の範囲に含まれるものとする。
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する主題の実施形態は、概して摩耗の低減に関し、特に、ガスタービンシステムの燃焼機器における摩耗の低減に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼器は、ガスタービンにおいて高温の燃焼ガスをタービンの第1段に送給するために用いられる。ガスタービンに用いられる各燃焼器は通常、1つ以上の燃料ノズルと1つの燃焼室とを有する燃料噴射システムを含む。一般的な燃焼室は、燃焼器ライナと、燃焼室とタービンの第1段との間に接続された、これら両者間に延在するトランジションピースと、フロースリーブとを含む。燃焼器ライナとフロースリーブとの間には、燃料ノズルを介して噴射される燃料との混合を行うために、及び冷却を行うために、圧縮機吐出空気の少なくとも一部を、燃焼器ライナ内に導入するための通路が画成されている。加えて、トランジションピースは、動力生成及び膨張のために、高温の燃焼ガスをタービンの第1段に誘導及び送給する。
【0003】
具体的に、燃焼器とこれに付随するトランジションピースを、図1に関連して説明する。ガスタービン用の燃焼器2は、円筒形の燃焼器ライナ6の内側にある燃焼室4を有する。燃料は、燃焼室4に流入し、バーナ12で点火される。この点火と関連して、燃焼器ライナ6内で火炎を形成するキャップ部16(裏板を含む)がある。燃焼器ライナ6は、燃焼器ケーシング8としても既知の、実質的に円筒状のフロースリーブによって包囲されている。しかし、燃焼器ライナ6と燃焼器ケーシング8との間には、燃焼室4内に空気を導入して送給された燃料と混合するための空気流路として機能する、半径方向の隙間が存在する。トランジションピース10が燃焼器ライナ6に接続される位置において、フラシール14が燃焼器ライナ6の端部を取り囲み、トランジションピース10と接触する。加えて、トランジションピース10は、燃焼器ライナ6をタービンの第1段(図示せず)と接続する。
【0004】
図2に、従来式の燃焼器ライナ6をより詳細に示す。具体的に、燃焼器ライナ6は、バーナカラー202、3つのケーシングライナストッパ204とクロスファイアカラー206(燃焼器ライナ6は、更に多数のクロスファイアカラー206を有し得るが、図2には1つのみを示す)。ガスタービン用の燃焼器に関して更に詳しくは、発明の名称が「ガスタービン燃焼器用摩耗低減キット(Wear Reduction Kit for Gas Turbine Combustors)」である、米国特許第5,749,218号に記載されており、この特許の内容全体が、参照により本明細書に援用されている。
【0005】
運転時、一部の燃焼部品は、例えば機械設備の振動に起因する摩耗の影響を受ける。一般に、摩耗部品は、燃焼器ライナ6の様々な部分に付随する接触部品である。例えば、燃焼器2の動作時、時間が経つにつれて摩耗する一部の接触部品として、バーナカラー202、ケーシングライナストッパ204、フラシール14、クロスファイアカラー206、及びこれらのそれぞれの嵌合部品が挙げられる。これらの部品で摩耗が大きくなると、嵌合部品間の隙間が大きくなり、別の摩耗問題に繋がることがある。例えば、ケーシングライナストッパ204が摩耗すると、燃焼器ライナ6が軸方向又は周方向に運動可能な空間が大きくなり、燃焼器ライナ6と燃焼器ケーシング8との間の相対的な運動が相応に増大する。また、フラシール14は、このフラシール14がトランジションピース10と係合する位置でヒンジとして機能するが、こうしたことが起こると、フラシール14に固有の摩耗が更に生じ、ひいては潜在的な機械的破損に繋がる。
【0006】
図1では単一の燃焼器として示されているが、一般的なガスタービンエンジンは複数の燃焼器を有する。図3aに、クロスファイア管302を有する2つの燃焼器ライナを示し、図3bには、機械に組み付けられた燃焼器構造を示す。通常は、クロスファイアカラー206の嵌合部品であるクロスファイア管302によって相互に連結された、12個の燃焼器2がある(図3bに、トランジションピース10に接続された燃焼器ケーシング8の様々な構成を示す)。クロスファイア管302は、燃焼を継続させるために必要な火炎を喪失した燃焼器2内に火炎を伝播させるために用いられる。このように、ガスタービンエンジンには複数の燃焼器2があるが、このことは、ガスタービンエンジン内の摩耗を生じる機械部品の点数が、単一の燃焼器に想定される点数よりも多いことを意味する。
【0007】
上述のこうした様々な部品の機械的摩耗により、ダウンタイム及び交換部品に関連する維持費と経費が生じる。ガスタービンにおいて2つの互いに嵌合する燃焼器部品間の摩耗を低減させる方法の1つが溶射である。例えば、高速フレーム溶射(HVOF)が、摩耗による損傷を受けることがわかっている部品の摩耗特性を改善するために用いられている。これらの溶射で摩耗特性が改善するものの、厚い被覆を得ること又は厚い被覆を費用効果的に得ることはできず、通常は、約0.5mm以下の厚さの被覆用に用いられる。加えて、これらの溶射工程は、所望の被覆面に対して約90°の角度で実施される。被覆することが望ましい一部の部品形状、例えばコーナー部分や様々なカーブ面では、必要な傾斜(溶射ノズルと部品面との間の)を得られず、結果的に、薄い被覆になるか、場合によっては全く被覆されないかのいずれかとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6434821号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、ガスタービンの燃焼器に関連する部品の摩耗を低減させ、寿命を延ばし、コストを削減できるシステム及び方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施例に従って、燃焼器において摩耗を生じる運動を低減させる方法を提供する。この方法は、燃焼器ライナの第1の端部を取り囲むリテーナに燃焼器ライナの第1の端部を取り付けるステップと、このリテーナを燃焼器ケーシングに取り付けるステップであって、このリテーナは、燃焼器ライナと燃焼器ケーシングとの間でばねとして機能するステップと、燃焼器ライナの長手軸及び周方向の軸に沿った、燃焼器ケーシングと燃焼器ライナとの間の相対的な運動を、リテーナにより低減させるステップと、燃焼器ライナを燃焼器ケーシング内で実質的に同心状に配置するステップとを含む。
【0011】
別の実施例に従って、摩耗を低減させるように構成された燃焼器を提供する。この燃焼器は、燃焼器ライナの第1の端部を取り囲むリテーナに取り付けられた第1の端部を有する燃焼器ライナと、燃焼器ケーシングであって、この燃焼器ケーシング内に燃焼器ライナが実質的に同心状に配置された燃焼器ケーシングとを含み、このとき、リテーナは、燃焼器ケーシングに取り付けられ、燃焼器ライナと燃焼器ケーシングとの間でばねとして機能するように構成され、リテーナは、燃焼器ライナの長手軸及び周方向の軸に沿った燃焼器ケーシングと燃焼器ライナとの間の相対的な運動を低減させるように構成され、リテーナは、このリテーナを燃焼器ケーシングの内側に取り付けるように構成された第1の部分と、このリテーナを燃焼器ライナの外面に取り付けるように構成された第2の部分と、燃焼器ライナを燃焼器ケーシング内で実質的に同心状に配置するように構成されたばね状部分とを含み、このばね状部分は、第1の部分と第2の部分との間に配置される。
【0012】
また別の実施例に従って、燃焼器内において部品の位置を実質的に正位置に固定するリテーナを提供する。リテーナは、このリテーナを燃焼器ケーシングの内側に取り付けるように構成された第1の部分と、このリテーナを燃焼器ライナの外面に取り付けるように構成された第2の部分と、燃焼器ライナを燃焼器ケーシング内で実質的に同心状に配置するように構成されたばね状部分とを含み、このばね状部分は、第1の部分と第2の部分との間に配置される。
【0013】
更に別の実施例に従って、燃焼器内において部品の位置を実質的に正位置に固定するリテーナを提供する。リテーナは、このリテーナを燃焼器ケーシングの内側に取り付けるように構成された第1の部分と、組み付け後、燃焼器ライナを燃焼器ケーシング内で実質的に同心状に配置するように構成された2つの部分とを含み、これらの2つの部分の一部は更に、リテーナを燃焼器ライナの外面に取り付けるように構成される。
【0014】
添付図面に、実施例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】燃焼器とトランジションピースを示した図である。
【図2】燃焼器ライナの図である。
【図3a】クロスファイア管により接続される2つの燃焼器ライナの図である。
【図3b】機械に組み付けられた燃焼器の構成を示す図である。
【図4】実施例に従ったリテーナを有する燃焼器の図である。
【図5】実施例に従ったリテーナを有する燃焼器の斜視図である。
【図6】実施例に従ったリテーナを有する燃焼器の斜視図である。
【図7】実施例に従った、別のリテーナを有する燃焼器の図である。
【図8】実施例に従った、リテーナに空気を通す穴を有するリテーナの断面図である。
【図9】実施例に従った、リテーナに空気を通す穴を有するリテーナの断面図である。
【図10】実施例に従った、リテーナに空気を通す穴を有するリテーナの断面図である。
【図11】実施例に従った、燃焼器において摩耗を生じる運動を低減させる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施例の以下の詳細な説明では、添付図面を参照する。別の図面における同一の参照符号は、同一又は類似の要素を示している。加えて、図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。また、以下の詳細な説明が本発明を限定することはない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に規定されている。
【0017】
本明細書全体を通じて、「一実施形態」又は「一実施例」という文言は、或る実施形態に関連して記述される個々の特徴、構造、又は特性は、開示の主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の様々な部分で見られる「一実施形態において」又は「一実施例において」という表現は、必ずしも同一の実施形態を指しているわけではない。更に、個々の特徴、構造、又は特性を、1つ以上の実施形態と組み合わせて如何様にも適合させることができる。
【0018】
燃焼器ライナ6は通常、燃焼器ライナ6の前端の3つの軸方向ストッパ204と燃焼器ライナ6の後端部のフラシール14とにより支持される(図1及び2参照)。燃焼器ライナストッパ204は、燃焼器ケーシング8上の嵌合相手のストッパとの間に相対的に緩い隙間を有するが、時間が経つにつれて振動によって侵食が生じ、摩耗が進行し、隙間が一層拡大する。これにより、燃焼器ライナ6が移動して、フラシール14がより激しく摩耗する配置となり、その時点からフラシールは、燃焼器ライナ6と燃焼器ケーシング8との間でヒンジとして機能する。実施例によると、燃焼器ライナ6の軸方向ストッパ204と燃焼器ケーシング8上の嵌合相手のストッパ(図示せず)とが不要になり、これらは、燃焼器ケーシング8と燃焼器ライナ6との間の相対的な運動を大幅に低減させる、所謂リス籠状設計(squirrel−cage design)又はリテーナに置き換えられ、ひいては、以下により詳細に説明するように、付随する様々な嵌合部品の摩耗が低減する。
【0019】
実施例によると、燃焼器400は、図4〜6に示すように燃焼器ライナ404を燃焼器ケーシング406に取り付け可能なリテーナ402を有し得る。リテーナ402は、燃焼器ライナ404を燃焼器ケーシング406と同心状態に保つ単一の一体部品であってよい。リテーナ402は、製造と溶接と組み立てを容易にする特性を有しつつ、更にガスタービン環境において機能するための所望の材料特性を有する燃焼器ライナ材料と適合する材料を用いて作製される。このような材料の例として、コバルト基合金、HAST−X、FSX−414、及びL−605が挙げられるが、これらに限定されることはない。一実施例によると、リテーナ402は、燃焼器ケーシング406に取り付けられる部分412と、ばね状部分410と、燃焼器ライナ404の外側に取り付けられる部分408と、の3つの部分から成ると考えてよい。部分412は、例えば燃焼器ケーシング406のフランジ部分414に部分412をボルト止めすることにより、燃焼器ケーシング406のフランジ部分414に取り付けられる。しかし、その他の機械的な取り付け方法及び/又は溶接等のその他の取り付け方法を用いてもよい。部分408は、例えば溶接、リベット結合、ボルト止め又は任意のその他の所望の取り付け方法により、燃焼器ライナ404(及び/又はキャップ部422)に取り付けられる。ばね状部分410は、所定の弾性定数を有し得る。加えて、図5に示すように、部分410の側部領域の一部を中実(例えば領域424参照)とし、ばね状部分410の側部領域の一部を切り欠き、これによって空気が流れるようにしてもよい(例えば領域426参照)。領域426の大きさ及び形状は、必要に応じて変更可能である。そのため、領域426から覗くと、部分408の一部が見えることになる。
【0020】
燃焼器ライナ404と燃焼器ケーシング406との両方に対して、リテーナ402をこのように設計することにより、従来の燃焼器に用いられる軸方向ストッパを設ける必要がなくなる。リテーナ402は、燃焼器ケーシング406に対する燃焼器ライナ404の長手軸方向及び周方向の運動を、低減又は解消するので、リテーナ402を設置すると、様々な接触点における摩耗が低減する。ばね状部分410は、燃焼器ケーシング内で燃焼器ライナ404を同心状に配置する役割を果たすが、これによって様々な接触点における摩耗が更に低減する。この摩耗の低減によって、燃焼器の耐用寿命が延びる。加えて、実施例によると、これらのリテーナは、必要に応じて一部の既存の燃焼器に後付け可能であり、従来の燃焼器の軸方向ストッパは不要になる。
【0021】
上記のように、実施例によると、リテーナ402を用いると、燃焼器における摩耗を低減できる。長手軸方向の運動の低減により、摩耗の可能性はあるものの摩耗量が減少したこれらの接触点の一部が図5及び6に示されており、この接触点には、バーナカラー420と、クロスファイア管416とクロスファイアカラー418との間の接点とが含まれる。燃焼器ライナ404を燃焼器ケーシング406内で同心配置することで、バーナカラー420とバーナ(図示せず)との間の摩耗が低減する。このような燃焼器内の摩耗の低減により、燃焼器の耐用寿命を延ばすことができる。リテーナ402を用いることにより、燃焼器の設計を摩耗対応型から疲労対応型に変更できるが、このことが、燃焼器部品を設計する上で、この設計上の特徴を生かしたその他の改変形態に繋がる。
【0022】
別の実施例によると、リテーナ402を、複数の独立した小区分、例えば2つの小区分又は3つ以上の小区分から構成できる。例えば、リテーナ402の小区分408、410、412は、互いに独立して作製される。そして、これらの小区分408、410、412が組み付けられた後、又はこれらの小区分の組み付けプロセス中のいずれかに、これらの小区分408、410、412を用いて、燃焼器ライナ404が燃焼器ケーシング406に対して取り付けられ、同心状に配置される。
【0023】
実施例に従って、別の形態のリス籠状設計を、図7にリテーナ702として示す。リテーナ702は、一実施例によると、燃焼器ケーシング406に取り付けられる部分704と、部分708と共働してばねとして機能する部分706の、3つの部分を有すると考えられる。部分706及び708は凸状であるが、その他の形状を用いてもよい。取り付けられる部分706及び708は、所定の弾性定数を有し得る。部分704は、例えば部分704を燃焼器ケーシング406のフランジ部分414にボルト止めすることにより、燃焼器ケーシング406のフランジ部分414に取り付けられる。しかし、その他の機械的な取り付け方法及び/又は溶接等のその他の取り付け方法を用いてもよい。部分708は、例えば溶接、リベット結合、ボルト止め、又は任意のその他の所望の取り付け方法により、燃焼器ライナ404(及び/又はキャップ部422)に取り付けられる。
【0024】
実施例に従って、図8〜10に、燃焼器ケーシング406と燃焼器ライナ404との間で所望の空気流が得られるように、空気がリテーナ702を通過するようにするための、部分706及び708の様々な設計を示す。図8〜10には、3つの可能な設計を示すが、所望の空気流を得られ、リテーナ702の構造的完全性と所望のばね状の性能を維持し得る、その他の形状及び形態も可能である。一実施例によると、リテーナ702の各部分704、706、708は、別々に製造された後、例えば溶接により組み立てられる。加えて、リテーナ702は、長手方向の運動の減少、周方向の運動の減少、従来の燃焼器に用いられる軸方向ストッパを設ける必要性が無くなること、及び嵌合する燃焼器部品間の摩耗の減少等、リテーナ402と同様の成果をもたらす。実施例によると、リテーナ702の部分708をキャップ部422に溶接又はボルト止めし、後付けしてもよい。
【0025】
上記の実施例を用いて、燃焼器における摩耗を生じる運動を低減させる方法を図11のフローチャートに示す。この方法は、燃焼器ライナの第1の端部を取り囲むリテーナに燃焼器ライナの第1の端部を取り付けるステップ1102と、リテーナを燃焼器ケーシングに取り付けるステップであって、このリテーナは、燃焼器ライナと燃焼器ケーシングとの間でばねとして機能するステップ1104と、燃焼器ライナの長手軸及び周方向の軸に沿った、燃焼器ケーシングと燃焼器ライナとの間の相対的な運動を、リテーナにより低減させるステップ1106と、燃焼器ライナを燃焼器ケーシング内で実質的に同心状に配置するステップ1108と、を含む。
【0026】
上述の実施例は、いかなる点でも、限定的なものではなく、本発明を説明することを意図したものである。したがって、本明細書に含まれる記述から当業者に想到可能な多数の改変が、本発明の実施の細部において可能である。こうした改変及び修正は全て、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲及び概念に含まれるとみなされる。別途明記しない限り、本願の説明において用いられたいかなる要素、動作、又は教示も、本発明に必須又は不可欠であるとみなされるべきではない。また、本明細書で使用する冠詞「a」は、1つ以上の項目を含むことを意図している。
【0027】
本明細書では、最適な態様も含め、例を用いて本発明を開示したが、これによってまた、当業者は、任意の装置又はシステムの作製及び使用、並びに付随する任意の方法の実施を含め、本発明を構成及び利用できる。本発明の特許請求の範囲は、請求項に定義されているが、当業者に想到可能なその他の例も含み得る。こうした他の例は、請求項の文言と相違ない構成要素を有する場合、又は請求項の文言と実質的な相違を有さない等価の構成要素を有する場合、特許請求の範囲に含まれるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器(400)において摩耗を生じる運動を低減させる方法であって、
燃焼器ライナ(404)の第1の端部を取り囲むリテーナ(402)に前記燃焼器ライナ(404)の前記第1の端部を取り付けるステップと、
前記リテーナ(402)を燃焼器ケーシング(406)に取り付けるステップであって、前記リテーナ(402)が前記燃焼器ライナ(404)と前記燃焼器ケーシング(406)との間でばねとして機能するステップと、
前記燃焼器ライナ(404)の長手軸及び周方向の軸に沿った、前記燃焼器ケーシング(406)と前記燃焼器ライナ(404)との間の相対的な運動を、前記リテーナ(402)により低減させるステップと、
前記燃焼器ライナ(404)を前記燃焼器ケーシング(406)内で実質的に同心状に配置するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記リテーナは、空気流が該リテーナを通過するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
穴が前記リテーナのばね状部分に設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ばね状部分は、所定の弾性定数を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記リテーナは、互いに組み付けられる複数の部品として製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記リテーナを前記燃焼器ケーシングに取り付けるステップは、前記リテーナを前記燃焼器ケーシングにボルト止めすることによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記燃焼器ライナは、前記燃焼器ライナの外面上に3つの軸方向ストッパを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
燃焼器ライナ(404)であって、該燃焼器ライナ(404)の第1の端部を取り囲むリテーナ(402)に、前記第1の端部が取り付けられた燃焼器ライナ(404)と、
燃焼器ケーシング(406)であって、該燃焼器ケーシング(406)内で前記燃焼器ライナ(404)が実質的に同心状に配置された燃焼器ケーシング(406)と、を含む、摩耗を低減させるように構成された燃焼器(400)であって、
前記リテーナ(402)は、前記燃焼器ケーシング(406)に取り付けられており、前記燃焼器ライナ(404)と前記燃焼器ケーシング(406)との間でばねとして機能するように構成され、
前記リテーナ(402)は、前記燃焼器ライナ(404)の長手軸及び周方向の軸に沿った、前記燃焼器ケーシング(406)と前記燃焼器ライナ(404)との間の相対的な運動を低減させるように構成されており、
前記リテーナ(402)は、前記リテーナ(402)を前記燃焼器ケーシング(406)の内側に取り付けるように構成された第1の部分(412)と、前記リテーナ(402)を前記燃焼器ライナ(404)の外面に取り付けるように構成された第2の部分(408)と、前記燃焼器ライナ(404)を前記燃焼器ケーシング(406)内で実質的に同心状に配置するように構成されたばね状部分(410)と、を含み、該ばね状部分(410)は、前記第1の部分(412)と前記第2の部分(408)との間に配置される、燃焼器。
【請求項9】
前記リテーナは、空気流が該リテーナを通過するように構成される、請求項8に記載の燃焼器。
【請求項10】
前記ばね状部分は、所定の弾性定数を有する、請求項8に記載の燃焼器。
【請求項11】
前記リテーナは、単一部品として製造される、請求項8に記載の燃焼器。
【請求項12】
前記リテーナは、互いに組み付けられる複数の部品として製造される、請求項8に記載の燃焼器。
【請求項13】
前記燃焼器ライナは、前記燃焼器ライナの外面上に3つの軸方向ストッパを含まない、請求項8に記載の燃焼器。
【請求項14】
燃焼器(400)内の部品の位置を実質的に正位置に固定するリテーナ(402)であって、
該リテーナ(402)を燃焼器ケーシング(406)の内側に取り付けるように構成された第1の部分(412)と、
該リテーナ(402)を燃焼器ライナ(404)の外面に取り付けるように構成された第2の部分(408)と、
前記燃焼器ライナ(404)を前記燃焼器ケーシング(406)内で実質的に同心状に配置するように構成されたばね状部分(410)であって、前記第1の部分(412)と前記第2の部分(408)との間に配置されたばね状部分(410)と、を含むリテーナ(402)。
【請求項15】
燃焼器(400)内の部品の位置を実質的に正位置に固定するリテーナ(702)であって、
該リテーナ(702)を燃焼器ケーシング(406)の内側に取り付けるように構成された第1の部分(704)と、
組み付け後、燃焼器ライナ(404)を前記燃焼器ケーシング(406)内で実質的に同心状に配置するように構成された2つの部分(706及び708)であって、該2つの部分の一部が更に、該リテーナ(702)を前記燃焼器ライナ(404)の外面に取り付けるように構成された2つの部分(706及び708)と、を含むリテーナ(702)。
【請求項1】
燃焼器(400)において摩耗を生じる運動を低減させる方法であって、
燃焼器ライナ(404)の第1の端部を取り囲むリテーナ(402)に前記燃焼器ライナ(404)の前記第1の端部を取り付けるステップと、
前記リテーナ(402)を燃焼器ケーシング(406)に取り付けるステップであって、前記リテーナ(402)が前記燃焼器ライナ(404)と前記燃焼器ケーシング(406)との間でばねとして機能するステップと、
前記燃焼器ライナ(404)の長手軸及び周方向の軸に沿った、前記燃焼器ケーシング(406)と前記燃焼器ライナ(404)との間の相対的な運動を、前記リテーナ(402)により低減させるステップと、
前記燃焼器ライナ(404)を前記燃焼器ケーシング(406)内で実質的に同心状に配置するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記リテーナは、空気流が該リテーナを通過するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
穴が前記リテーナのばね状部分に設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ばね状部分は、所定の弾性定数を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記リテーナは、互いに組み付けられる複数の部品として製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記リテーナを前記燃焼器ケーシングに取り付けるステップは、前記リテーナを前記燃焼器ケーシングにボルト止めすることによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記燃焼器ライナは、前記燃焼器ライナの外面上に3つの軸方向ストッパを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
燃焼器ライナ(404)であって、該燃焼器ライナ(404)の第1の端部を取り囲むリテーナ(402)に、前記第1の端部が取り付けられた燃焼器ライナ(404)と、
燃焼器ケーシング(406)であって、該燃焼器ケーシング(406)内で前記燃焼器ライナ(404)が実質的に同心状に配置された燃焼器ケーシング(406)と、を含む、摩耗を低減させるように構成された燃焼器(400)であって、
前記リテーナ(402)は、前記燃焼器ケーシング(406)に取り付けられており、前記燃焼器ライナ(404)と前記燃焼器ケーシング(406)との間でばねとして機能するように構成され、
前記リテーナ(402)は、前記燃焼器ライナ(404)の長手軸及び周方向の軸に沿った、前記燃焼器ケーシング(406)と前記燃焼器ライナ(404)との間の相対的な運動を低減させるように構成されており、
前記リテーナ(402)は、前記リテーナ(402)を前記燃焼器ケーシング(406)の内側に取り付けるように構成された第1の部分(412)と、前記リテーナ(402)を前記燃焼器ライナ(404)の外面に取り付けるように構成された第2の部分(408)と、前記燃焼器ライナ(404)を前記燃焼器ケーシング(406)内で実質的に同心状に配置するように構成されたばね状部分(410)と、を含み、該ばね状部分(410)は、前記第1の部分(412)と前記第2の部分(408)との間に配置される、燃焼器。
【請求項9】
前記リテーナは、空気流が該リテーナを通過するように構成される、請求項8に記載の燃焼器。
【請求項10】
前記ばね状部分は、所定の弾性定数を有する、請求項8に記載の燃焼器。
【請求項11】
前記リテーナは、単一部品として製造される、請求項8に記載の燃焼器。
【請求項12】
前記リテーナは、互いに組み付けられる複数の部品として製造される、請求項8に記載の燃焼器。
【請求項13】
前記燃焼器ライナは、前記燃焼器ライナの外面上に3つの軸方向ストッパを含まない、請求項8に記載の燃焼器。
【請求項14】
燃焼器(400)内の部品の位置を実質的に正位置に固定するリテーナ(402)であって、
該リテーナ(402)を燃焼器ケーシング(406)の内側に取り付けるように構成された第1の部分(412)と、
該リテーナ(402)を燃焼器ライナ(404)の外面に取り付けるように構成された第2の部分(408)と、
前記燃焼器ライナ(404)を前記燃焼器ケーシング(406)内で実質的に同心状に配置するように構成されたばね状部分(410)であって、前記第1の部分(412)と前記第2の部分(408)との間に配置されたばね状部分(410)と、を含むリテーナ(402)。
【請求項15】
燃焼器(400)内の部品の位置を実質的に正位置に固定するリテーナ(702)であって、
該リテーナ(702)を燃焼器ケーシング(406)の内側に取り付けるように構成された第1の部分(704)と、
組み付け後、燃焼器ライナ(404)を前記燃焼器ケーシング(406)内で実質的に同心状に配置するように構成された2つの部分(706及び708)であって、該2つの部分の一部が更に、該リテーナ(702)を前記燃焼器ライナ(404)の外面に取り付けるように構成された2つの部分(706及び708)と、を含むリテーナ(702)。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−52790(P2012−52790A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−180057(P2011−180057)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(505347503)ヌオーヴォ ピニォーネ ソシエタ ペル アチオニ (112)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180057(P2011−180057)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(505347503)ヌオーヴォ ピニォーネ ソシエタ ペル アチオニ (112)
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