説明

燃焼排ガスの処理方法

【課題】燃焼炉からの排ガス中のダイオキシン類の排出を抑制する処理方法において、メモリー効果によって排出されるダイオキシン類をも抑制することができるとともにダイオキシン類濃度の大幅な変動があっても冷却媒体、吸着剤粉末の使用量を過剰にすることがなく、適切量とする。
【解決手段】焼却炉1からの排ガスをガス冷却装置3にて冷却媒体と接触させて冷却し、集塵装置4にて吸着剤粉末と接触させ、固形分を捕集する際、集塵装置から排出される排ガス中の高揮発性有機ハロゲンおよび低揮発性有機ハロゲンの濃度を同時に有機ハロゲン測定装置6で測定し、高揮発性有機ハロゲン濃度の時間変化量ΔHと、低揮発性有機ハロゲン濃度の時間変化量ΔLと、低揮発性有機ハロゲン濃度と高揮発性有機ハロゲン濃度との比の時間変化量Δ(L/H)を算出し、この変化量に基づいて、前記冷却媒体および吸着剤粉末の使用量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種燃焼炉から排出される燃焼排ガスに含まれるダイオキシン類の排出量を制御するための燃焼排ガスの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来の燃焼排ガスの処理方法に用いられる装置を示すもので、燃焼炉1からの燃焼排ガス(以下、排ガスと言うことがある。)は煙道2を通り冷却塔3に送られ、冷却塔3において水、空気などの冷却媒体と接触して冷却される。
前記排ガス中にダイオキシン類が存在しなくとも、未燃炭素粒子、多環芳香族ハロゲン化合物が存在すれば、一定条件下でダイオキシン類が合成されることが、デノボ合成として知られている。
【0003】
このデノボ合成反応は300℃付近で最も顕著になると言われている。このため、排ガスを300℃以下に急速に冷却することが好ましく、冷却塔3において排ガスを急速冷却し、デノボ合成によるダイオキシン類の生成を抑えるようにしている。
冷却塔3からの排ガスは、煙道2を経てバグフィルター4に送られる。バグフィルター4では、活性炭粉末、消石灰粉末、活性炭粉末と消石灰粉末との混合粉末などの吸着剤粉末を排ガス中に噴霧し、排ガス中のダイオキシン類を吸着剤粉末に吸着させ、この吸着剤粉末を排ガス中の煤、埃などの固形分とともに捕集する。
バグフィルター4からの排ガスは煙突5から大気中に放散される。
【0004】
この従来の処理方法では、冷却塔3の下流において温度計31および流量計32により排ガスの温度および流量を計測し、排ガス温度により冷却媒体の冷却塔3への投入量を制御し、排ガス流量により吸着剤粉末のバグフィルター4への投入量を制御するようにしている。
これは、排ガス中のダイオキシン類濃度を直接計測して、この濃度に基づいて冷却媒体および吸着剤粉末の投入量を制御する技術が確立されていないためである。
【0005】
この処理方法では、したがって、排ガス中のダイオキシン類濃度が大きく変動した場合に十分な排出抑制効果が得られず、その変動を見越して過剰に冷却媒体、吸着剤粉末を投入する必要があった。
この問題を解消するために、特開2004−141821号公報には、排ガス中の全有機ハロゲン化合物を計測し、この濃度をダイオキシン類濃度の代替指標として、吸着剤粉末の投入量を制御する技術が開示されている。
【0006】
ところで、燃焼炉の立ち上げによる排ガス温度の上昇に伴って煙道内面に吸着していたダイオキシン類が排出される現象が「メモリー効果」として知られている。このメモリー効果によって排出されるダイオキシン類は、全有機ハロゲン化合物との相関性が低く、上述の全有機ハロゲン化合物を指標として制御する方法では、ダイオキシン類の排出抑制が十分行われない不具合がある。
【特許文献1】特開2004−141821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、本発明における課題は、メモリー効果によって排出されるダイオキシン類をも十分排出抑制することができるようにするとともにダイオキシン類濃度の大幅な変動があっても冷却媒体、吸着剤粉末の使用量を過剰にすることがなく、適切量とすることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、焼却炉からの燃焼排ガスをガス冷却装置に導入し、冷却媒体と接触させて冷却し、ついで集塵装置に導入して吸着剤粉末と接触させつつ、固形分を捕集する燃焼排ガスの処理方法であって、
前記集塵装置から排出される燃焼排ガス中の高揮発性有機ハロゲンおよび低揮発性有機ハロゲンの濃度を同時に測定し、
高揮発性有機ハロゲン濃度の時間変化量:ΔHと、低揮発性有機ハロゲン濃度の時間変化量:ΔLと、低揮発性有機ハロゲン濃度と高揮発性有機ハロゲン濃度との比の時間変化量:Δ(L/H)を算出し、
これらの変化量に基づいて、前記冷却媒体および吸着剤粉末の使用量を制御することを特徴とする燃焼排ガスの処理方法である。
【0009】
請求項2にかかる発明は、前記ΔHとΔLとΔ(L/H)がすべてゼロである場合には、吸着剤粉末と冷却媒体の使用量を変動せず、
前記ΔHとΔLとが正で、Δ(L/H)がゼロである場合には、吸着剤粉末と冷却媒体の使用量を大幅に増加し、
前記ΔHが負で、ΔLが正で、Δ(L/H)が負である場合には、吸着剤粉末の使用量を増加し、冷却媒体の使用量を変動せず、
前記ΔHとΔLとが負で、Δ(L/H)がゼロである場合には、吸着剤粉末と冷却媒体の使用量を減少し、
前記ΔHが正で、ΔLがゼロで、Δ(L/H)が負である場合には、吸着剤粉末と冷却媒体の使用量を増加するように制御することを特徴とする請求項1記載の燃焼排ガスの処理方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明にあっては、燃焼排ガス中の高揮発性有機ハロゲンおよび低揮発性有機ハロゲンの濃度を同時に測定し、そのΔHとΔLとΔ(L/H)を算出することで、メモリー効果によって排出されたダイオキシン類をも検知することができ、これらの値を指標として冷却媒体および吸着剤粉末の使用量を制御することで、ダイオキシン類濃度の大幅な変動があっても過剰量を使用しなくともダイオキシン類の排出を効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、この発明の処理方法を実施するための処理装置の例を示すものである。
燃焼炉1からの排ガスは、煙道2を介して冷却塔などのガス冷却装置3に送られる。ガス冷却装置3には、常温の水、空気などの冷却媒体が流量調整弁31を介して投入され、排ガスが冷却媒体と接触して300℃以下に急速冷却されるようになっている。
【0012】
ガス冷却装置3からの冷却された排ガスは、煙道2を流れ、その温度が温度計32により、その流量が流量計33により計測されたのち、バグフィルターなどの集塵装置4に送られる。集塵装置4には、微粉状の吸着剤粉末がキャリアガスに伴われ、流量調整弁41を介して投入され、排ガス中のダイオキシン類を吸着剤粉末に吸着するようになっている。
ここでの吸着剤粉末としては、活性炭粉末、消石灰粉末、活性炭粉末と消石灰粉末との混合粉末などが主に使用されるが、これ以外のダイオキシン類を吸着する吸着剤を用いることもできる。
集塵装置4では、この吸着剤粉末と排ガス中の煤、埃などの固形分とが捕集される。
【0013】
集塵装置4からの排ガスは煙道2を流れ、ここを流れる排ガス中の高揮発性有機ハロゲンおよび低揮発性有機ハロゲンの濃度が集塵装置4の下流に配置された有機ハロゲン測定装置6により同時に測定される。排ガスはその後煙突5から大気中に放出される。
【0014】
有機ハロゲン測定装置6により計測された高揮発性有機ハロゲン濃度および低揮発性有機ハロゲン濃度は制御装置7に入力され、ここで演算処理されて、制御装置7から冷却媒体投入量制御信号が前記流量調整弁31に送られ、吸着剤粉末投入量制御信号が前記流量調整弁41に送られ、それぞれの投入量が制御されるように構成されている。
ここで、冷却媒体の投入は、主に排ガス温度を制御してダイオキシン類の二次生成を制御(抑制)するものであり、吸着剤粉末の投入は、ダイオキシン類の吸着捕集量を制御するものである。
【0015】
図2は、前記有機ハロゲン測定装置6の構成例を示すもので、以下のこの測定装置6を用いて排ガス中の高揮発性有機ハロゲン濃度および低揮発性有機ハロゲン濃度を測定する方法を説明する。
この測定装置6では、予めダスト、水分を除去した被測定ガス(排ガス)が無機ハロゲン化合物除去装置62に送られ、ここで被測定ガス中の無機ハロゲン化合物、例えば塩化水素、塩素ガス等が除去される。
無機ハロゲン化合物除去装置62には、金属銀を担持したプラスチック、セラミックからなる粒子あるいはフィルターを充填した除去筒などが用いられ、例えば本出願人が先に特許出願した特開2006−284423号公報に開示した装置などが用いられる。
【0016】
無機ハロゲン化合物除去装置62から導出された被測定ガスは、第1の切替弁63を介して第1の吸着筒64または第2の吸着筒65に送られる。
第1の切替弁63は、被測定ガスの流路を切り替えて第1の吸着筒64または第2の吸着筒65に被測定ガスを流すとともに、後述する脱着用ガスの流路を切り替えて第1の吸着筒64または第2の吸着筒65に流すためのものである。
【0017】
第1の吸着筒64または第2の吸着筒65内には、表面積(BET法による測定値)が10〜240m/g、好ましくは90〜110m/gの炭素系、好ましくはグラファイト系の吸着剤が充填されている。吸着剤の表面積が10m/g未満では低揮発性有機ハロゲン化合物の吸着が困難であり、240m/gを越えると吸着した低揮発性有機ハロゲン化合物の脱着が困難となる。活性炭やゼオライトでは表面積が大き過ぎ、樹脂系では加熱に弱い。
【0018】
被測定ガスは、第1の吸着筒64に導入され、吸着剤に吸着されるが、その際の吸着温度は、100℃とされる。
このような吸着温度条件においては、被測定ガス中の全有機ハロゲンのうち、低揮発性有機ハロゲンが選択的に吸着され、高揮発性有機ハロゲンが吸着されずにそのまま第1の吸着筒64から第2の切替弁66を経て系外に排出される。
この発明において、高揮発性有機ハロゲンとは、その沸点が100℃未満である有機ハロゲン化合物を呼称し、低揮発性有機ハロゲンとは、その沸点が100℃以上である有機ハロゲン化合物を呼称するものとする。
【0019】
第1の吸着筒64の吸着剤が破過する寸前に、第1および第2の切替弁63、66を切り替えて、第2の吸着筒65に被測定ガスを流し、第1の吸着筒64には、脱着用ガスの窒素、アルゴン、ヘリウムなどの脱着用ガスを第1の切替弁63を介して送り込み、ここに吸着されている低揮発性有機ハロゲンを吸着剤から脱着する。
この際の脱着温度は、400〜450℃とされる。
【0020】
第1の吸着筒64からの脱着ガスは放電管67に送られる。放電管67の一対の電極68、68には高周波高圧電源69からの高周波高電圧が印加され、内部でプラズマ放電が生じ、導入された高揮発性有機ハロゲンが励起されて、ハロゲン元素に特有の波長で発光する。この発光は、レンズ70、70で集光され、光ファイバ71に伝送されて分光器72に送られて、特有波長での光強度が計測されて、低揮発性有機ハロゲンの濃度が求められるようになっている。
測定装置の校正は、定期的に標準ガス源73から、既知量の1,1,1−トリクロロエタンなどの有機ハロゲン化合物とヘリウムとの混合ガスからなる標準ガスを放電管67に送り込んで同様の定量操作を行う。
【0021】
第2の吸着筒65での被測定ガスの吸着温度は50℃とされ、この吸着温度条件では、被測定ガス中の全有機ハロゲン化合物が吸着される。
第2の吸着筒65の吸着剤が破過寸前になると、第1および第2の切替弁63、66を切り替えて、第2の吸着筒65に脱着用ガスを流し、第2の吸着筒65から全有機ハロゲン化合物を脱着し、これを先と同様の操作を行って、全有機ハロゲン化合物の濃度を求める。第1の吸着筒64には再び被測定ガスを流す。
【0022】
以下、同様の操作を繰り返すことで、被測定ガス中の低揮発性有機ハロゲンの濃度と全有機ハロゲン化合物の濃度が求められ、全有機ハロゲン化合物の濃度から低揮発性有機ハロゲンの濃度を差し引くことで高揮発性有機ハロゲンの濃度が求められ、結果的に高揮発性有機ハロゲンの濃度と低揮発性有機ハロゲンの濃度を同時に測定できる。
【0023】
次に、本発明の処理方法を具体的に説明する。
前記制御装置7では、入力された高揮発性有機ハロゲン濃度および低揮発性有機ハロゲン濃度から高揮発性有機ハロゲン濃度の時間変化量:ΔHと、低揮発性有機ハロゲン濃度の時間変化量:ΔLと、低揮発性有機ハロゲン濃度と高揮発性有機ハロゲン濃度との比の時間変化量:Δ(L/H)を算出する。
【0024】
これらの時間変化量は以下の式により求められる。
ΔH=(H2−H1)/(t2−t1)
ΔL=(L2−L1)/(t2−t1)
Δ(L/H)=(L2/H2−L1/H1)/(t2−t1)
ここで、H1は時刻t1における高揮発性有機ハロゲン濃度、H2は時刻t2における高揮発性有機ハロゲン濃度、L1は時刻t1における低揮発性有機ハロゲン濃度、L2は時刻t2における低揮発性有機ハロゲン濃度で、t1<t2である。t2−t1は通常30分〜120分とされる。
【0025】
そして、図3に示すように、高揮発性有機ハロゲン濃度(HV)および低揮発性有機ハロゲン濃度(LV)の時間的変化がない場合、すなわちΔH=0、ΔL=0、Δ(L/H)=0である場合には、冷却媒体および吸着剤粉末の投入量を一定量とし増減を行わない。この場合の冷却媒体投入量を100とし、吸着剤粉末投入量を100とする。
【0026】
図4に示すように、高揮発性有機ハロゲン濃度(HV)および低揮発性有機ハロゲン濃度(LV)が時間とともに増大する場合、すなわちΔH>0、ΔL>0、Δ(L/H)=0である場合には、冷却媒体および吸着剤粉末の投入量を図3に示したものよりも大幅に増量する。この場合の冷却媒体投入量を200とし、吸着剤粉末投入量を200とする。
【0027】
図5に示すように、高揮発性有機ハロゲン濃度(HV)が減少し、低揮発性有機ハロゲン濃度(LV)が時間とともに増大する場合、すなわちΔH<0、ΔL>0、Δ(L/H)<0である場合には、図3に示したものよりも冷却媒体の投入量を変化させず、吸着剤粉末の投入量を増量する。この場合の冷却媒体投入量を100とし、吸着剤粉末投入量を150とする。
図5に示すような変化が表れる場合は、メモリー効果が発現された場合である。
【0028】
図6に示すように、高揮発性有機ハロゲン濃度(HV)および低揮発性有機ハロゲン濃度(LV)の時間的にともに減少した場合、すなわちΔH<0、ΔL<0、Δ(L/H)=0である場合には、冷却媒体および吸着剤粉末の投入量をともに図3のものよりも減少する。この場合の冷却媒体投入量を50とし、吸着剤粉末投入量を50とする。
【0029】
さらに、図7に示すように、高揮発性有機ハロゲン濃度(HV)が時間的に増加し、低揮発性有機ハロゲン濃度(LV)の時間的変化がない場合、すなわちΔH>0、ΔL=0、Δ(L/H)<0である場合には、冷却媒体の投入量と吸着剤粉末の投入量をともに図3のものよりも増量する。この場合の冷却媒体投入量を150とし、吸着剤粉末投入量を150とする。
【0030】
表1に上述の高揮発性有機ハロゲン濃度の時間変化量:ΔHと、低揮発性有機ハロゲン濃度の時間変化量:ΔLと、低揮発性有機ハロゲン濃度と高揮発性有機ハロゲン濃度との比の時間変化量:Δ(L/H)と冷却媒体および吸着剤粉末の投入量の増加あるいは減少の関係をまとめて示す。
【0031】
【表1】

【0032】
このような制御操作において、ダイオキシン類と相関性が高い低揮発性有機ハロゲン濃度変化(ΔL)を基本制御指標とする。すなわち、Δ(L/H)とΔLとの挙動からダイオキシン類の発生を推定し、排ガス温度制御(冷却媒体投入量)と吸着捕集制御(吸着剤粉末投入量)を行う。
また、変化量の大きい高揮発性有機ハロゲン濃度変化(ΔH)を予測制御指標とする。すなわち、(ΔH)と(ΔL/H)との挙動からダイオキシン類の発生を推定し、先行的な排ガス温度制御と吸着捕集制御を行う。
【0033】
実際の排ガス中の高揮発性有機ハロゲン濃度(HV)および低揮発性有機ハロゲン濃度(LV)の時間的変化の変動パターンは、上述の5種以外にも存在し、これらのパターンの複合的なパターン、例えばメモリー効果に起因するHV、LVの変動中に燃焼不良が発生した場合などがある。
このような変動があっても、上述の5種の制御操作を基本としてこれらを組み合わせた制御操作によって対応できる。
【0034】
以下、具体例を示す。
図1に示す装置によって、排ガスの処理を行った。図2に示す有機ハロゲン測定装置により排ガス中のLV、HVを連続的に計測した。図8は、その計測結果を示すもので、その横軸は実際の時刻を目盛ってある。
【0035】
図8のグラフにおいて、LVおよびHVの時間的変化がない領域Aでは、冷却水の冷却装置への投入量を相対値で100とし、吸着剤粉末の集塵装置への投入量を相対値で100とする。
ついで、図8のグラフにおいて、HVが急激に増加し、LVもそれにつれて増加した領域Bでは、冷却水の冷却装置への投入量を相対値で150とし、吸着剤粉末の集塵装置への投入量を相対値で150とした。
【0036】
さらに、図8のグラフにおいて、HVが急激に減少し、LVもそれにつれて減少した領域Cでは、冷却水の冷却装置への投入量を相対値で50とし、吸着剤粉末の集塵装置への投入量を相対値で50とした。
さらに、図8のグラフにおいて、HVの減少率が少なくなり、LVの変化がほぼなくなった領域Dでは、冷却水の冷却装置への投入量を相対値で80とし、吸着剤粉末の集塵装置への投入量を相対値で80とした。
【0037】
以上のような制御操作を行うことで、大気中に放散される排ガス中のダイオキシン類濃度は、規制値以下に抑えられ、冷却水の投入量は従来装置の1/2になり、吸着剤粉末の投入量は同じく1/2になった。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の排ガス処理方法に用いられる処理装置の例を示す概略構成図である。
【図2】本発明における有機ハロゲン測定装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】排ガス中の高揮発性有機ハロゲン濃度(HV)と低揮発性有機ハロゲン濃度(LV)との時間的変化の第1の例を示すグラフである。
【図4】排ガス中の高揮発性有機ハロゲン濃度(HV)と低揮発性有機ハロゲン濃度(LV)との時間的変化の第1の例を示すグラフである。
【図5】排ガス中の高揮発性有機ハロゲン濃度(HV)と低揮発性有機ハロゲン濃度(LV)との時間的変化の第1の例を示すグラフである。
【図6】排ガス中の高揮発性有機ハロゲン濃度(HV)と低揮発性有機ハロゲン濃度(LV)との時間的変化の第1の例を示すグラフである。
【図7】排ガス中の高揮発性有機ハロゲン濃度(HV)と低揮発性有機ハロゲン濃度(LV)との時間的変化の第1の例を示すグラフである。
【図8】具体例での排ガス中の高揮発性有機ハロゲン濃度(HV)と低揮発性有機ハロゲン濃度(LV)との時間的変化の例を示すグラフである。
【図9】従来の排ガス処理装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0039】
1・・燃焼炉、2・・煙道、3・・ガス冷却装置、4・・集塵装置、5・・煙突、6・・有機ハロゲン測定装置、7・・制御装置、31、41・・流量調整弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却炉からの燃焼排ガスをガス冷却装置に導入し、冷却媒体と接触させて冷却し、ついで集塵装置に導入して吸着剤粉末と接触させつつ、固形分を捕集する燃焼排ガスの処理方法であって、
前記集塵装置から排出される燃焼排ガス中の高揮発性有機ハロゲンおよび低揮発性有機ハロゲンの濃度を同時に測定し、
高揮発性有機ハロゲン濃度の時間変化量:ΔHと、低揮発性有機ハロゲン濃度の時間変化量:ΔLと、低揮発性有機ハロゲン濃度と高揮発性有機ハロゲン濃度との比の時間変化量:Δ(L/H)を算出し、
これらの変化量に基づいて、前記冷却媒体および吸着剤粉末の使用量を制御することを特徴とする燃焼排ガスの処理方法。
【請求項2】
前記ΔHとΔLとΔ(L/H)がすべてゼロである場合には、吸着剤粉末と冷却媒体の使用量を変動せず、
前記ΔHとΔLとが正で、Δ(L/H)がゼロである場合には、吸着剤粉末と冷却媒体の使用量を大幅に増加し、
前記ΔHが負で、ΔLが正で、Δ(L/H)が負である場合には、吸着剤粉末の使用量を増加し、冷却媒体の使用量を変動せず、
前記ΔHとΔLとが負で、Δ(L/H)がゼロである場合には、吸着剤粉末と冷却媒体の使用量を減少し、
前記ΔHが正で、ΔLがゼロで、Δ(L/H)が負である場合には、吸着剤粉末と冷却媒体の使用量を増加するように制御することを特徴とする請求項1記載の燃焼排ガスの処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−46643(P2010−46643A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215501(P2008−215501)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000217686)電源開発株式会社 (207)
【Fターム(参考)】