説明

燃焼機器

【課題】簡易な構成で組み付けも容易にして燃料タンクを引き上げたとき確実にこれを検知して自動消火させる自動消火機構を実現でき、しかもメンテナンスも極めて容易となる燃焼機器を提供すること。
【解決手段】タンクガイド板6の正面の制御回路基板7の下方に、可動部10を回動自在に設けたタンク収納検知ユニット本体9を付設し、この可動部10の内側一端部を開口部8を介してタンクガイド板6の裏側のタンク収納部5内に突出状態に設け、燃料タンク3を取り出し可動部10が自動的に突出方向に戻り回動した際、可動部10の磁石12がタンク収納検知ユニット本体9の非接触式検知部11に検知されることで、強制消火する自動消火機構13を備えた燃焼機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクを取り出したときは自動的に強制消火させる自動消火機構を備えた燃焼機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石油ストーブや石油ファンヒータ等の石油燃焼機器では、機器の燃焼装置に燃料(灯油)を供給する手段として、機器に取り出し自在に設ける燃料タンク(カートリッジタンク)を使用している。
【0003】
例えば、石油ストーブや石油ファンヒータの場合、機器本体の側部に上部取出口から引き上げ取り出し自在に燃料タンクを収納するタンク収納部を設け、この収納部に灯油を給油した燃料タンクを逆さにして収納し、下端部の弁付き給油キャップから受皿部へ灯油が供給され、ここから燃焼装置へ灯油が供給されつつ燃焼するように構成している。
【0004】
灯油が減り燃料タンク内に灯油を補充給油する場合は、この燃料タンクを取り出し、給油キャップを外してタンク内に給油し、再びタンク収納部に逆さにして収納することになるが、この給油時に燃料タンクを引き上げる際、下端部の給油キャップが外れたり、給油キャップから灯油が漏れ落ちることはないが、万全を期するため、燃料タンクを引き上げると、例え消火せずに燃焼装置が燃焼中であっても自動的に強制消火する自動消火機構を備えた石油燃焼機器が提案されている。
【0005】
更に、最近、安全性強化のため、前述のように燃焼装置が作動中(燃焼中)であっても、燃料タンクを引き上げると強制的に自動消火させる前記自動消火機構を備えることが技術基準(JIS規格)となった。
【0006】
しかしながら、例えば引用文献1(特開2000−9309号公報)のように単に燃料タンクを収納するとスイッチレバーがマイクロスイッチを押圧し、燃料タンクを取り出すと、このスイッチレバーの押圧が解除され、燃料タンクの引き上げを検知する構成としたものがあるが、これではこの燃料タンクの有無を検知するためのスイッチレバーの作動ストロークの管理が厄介となるため、簡易な構成とすると作動誤差が多くなり、それ故製作や組み付けに高い精度を要し簡易な構成で組み付けも容易な検知装置を実現できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−9309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、燃料タンクの有無により回動変化する可動部(回転部)に磁石を設け、この磁石を近接検知することで燃料タンクの取り出しを検知する非接触式検知部をタンク収納検知ユニット本体(固定部)に設けて検知ユニットを構成し、更にこの検知ユニットを燃焼装置の制御回路基板を設けるタンクガイド板の正面に設けることで、複雑なストローク管理が不要となり製作精度や組み付け精度も簡易で済むため、簡易な構成で組み付けも容易にして燃料タンクを引き上げたとき確実にこれを検知して自動消火させる自動消火機構を実現でき、しかも燃料装置の制御回路基板と共に容易に組み付けでき、メンテナンスも極めて容易となるなど極めて画期的な燃焼機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
燃焼機器本体1の燃焼装置2に燃料を供給する燃料タンク3を上方取出口4から取り出し自在にして収納するタンク収納部5を前記燃焼機器本体1の側部に設け、このタンク収納部5の正面側内壁面となるタンクガイド板6の正面に、前記燃焼装置2の燃焼を制御する制御回路基板7を設け、このタンクガイド板6の正面の制御回路基板7の下方に開口部8を設け、この開口部8にタンク収納検知ユニット本体9を付設し、このタンク収納検知ユニット本体9には可動部10を回動自在に設け、この可動部10の内側一端部を前記開口部8を介して前記タンク収納部5内に突出状態に設け、前記上方取出口4から前記タンク収納部5に前記燃料タンク3を収納した際、この燃料タンク3の外面に前記内側一端部が当接して前記可動部10が没動方向に回動するように構成し、前記タンク収納検知ユニット本体9には磁力を検知する非接触式検知部11を設け、前記可動部10に前記燃料タンク3の取り出し時に前記可動部10が突出方向に戻り回動した位置で前記非接触式検知部11に検知される若しくは前記燃料タンク3収納時に没動方向に回動した位置で前記非接触式検知部11に検知される磁石12を設けて、前記燃料タンク3を取り出し前記可動部10が自動的に突出方向に戻り回動して前記タンク収納部5内に内側一端部が突出状態となった際、前記磁石12が前記非接触式検知部11に検知される若しくは前記磁石12が前記非接触式検知部11に検知されなくなることで、前記燃焼装置2による燃焼を自動的に強制消火する自動消火機構13を備えたことを特徴とする燃焼機器に係るものである。
【0011】
また、前記タンク収納検知ユニット本体9に前記可動部10を回動自在に軸着し、前記燃料タンク3が取り出され燃料タンク3と接触しない無負荷時には、この可動部10の内側一端部が前記開口部8を介して前記タンク収納部5に突出状態となるように前記可動部10の形状及び軸着位置を設定し、前記燃料タンク3を取り出すことで燃料タンク3により押しやられて没動回動していた前記可動部10が自重により戻り回動して前記内側一端部が前記タンク収納部5内に突出状態となった際、前記可動部10に設けた前記磁石12が近接して検知される位置に前記非接触式検知部11を設け、この燃料タンク3を取り出した際の前記非接触式検知部11の検知によって強制消火するように前記自動消火機構13を構成したことを特徴とする請求項1記載の燃焼機器に係るものである。
【0012】
また、前記可動部10の没動方向への回動軌道内への他部材の侵入を防止する防護壁部14を前記タンク収納検知ユニット本体9に設けたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の燃焼機器に係るものである。
【0013】
また、金属製の前記タンクガイド板6に設けた前記開口部8の孔縁若しくは周辺部と、前記燃料タンク3を取り出して突出状態となった前記可動部10の前記磁石12との距離を、この磁石12による吸着力が前記突出状態を保持する力として作用する距離に近接したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃焼機器に係るものである。
【0014】
また、前記可動部10の前記燃料タンク3の外面に当接する前記内側一端部に、先端部を上方に折曲した形状として基端側に比して上方に折曲突出した折曲状凸部18を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃焼機器に係るものである。
【0015】
また、前記可動部10の前記燃料タンク3の外面に当接する前記内側一端部の先端端面に、基端側へ押圧された際没動方向への回動力が生じる傾斜端面19を形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃焼機器に係るものである。
【0016】
また、前記可動部10の厚みを変化させ可動部10の重心位置を調整した構成として、前記燃料タンク3を前記タンク収納部5から取り出した際、燃料タンク3により押しやられて没動回動していた可動部10が自重により自動的に前記突出状態に戻り回動するように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃焼機器に係るものである。
【0017】
また、前記可動部10の軸着部周囲の回動摺動面に点接触用突部17を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃焼機器に係るものである。
【0018】
また、前記可動部10を軸着する前記タンク収納検知ユニット本体9の軸受孔15を、外側の孔底部を閉塞した外側閉塞収納孔15としたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃焼機器に係るものである。
【0019】
また、前記可動部10を軸着する前記タンク収納検知ユニット本体9の軸受孔15に連通するホコリ排除用スリット16を設けたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の燃焼装機器に係るものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上述のように構成したから、燃料タンクの有無により回動変化する可動部に磁石を設け、この磁石を近接検知することで燃料タンクの取り出しを検知する非接触式検知部11をタンク収納検知ユニット本体に設けて検知ユニットを構成し、更にこの検知ユニットを燃焼装置の制御回路基板を設けるタンクガイド板の正面に設けることで、複雑なストローク管理が不要となり製作精度や組み付け精度も簡易で済むため、簡易な構成で組み付けも容易にして燃料タンクを引き上げたとき確実にこれを検知して自動消火させる自動消火機構を実現でき、しかも燃料装置の制御回路基板と共に容易に組み付けでき、メンテナンスも極めて容易となるなど極めて画期的な燃焼機器となる。
【0021】
また、請求項2記載の発明においては、本発明の作用・効果が一層良好に確実に発揮される一層実用性に優れた燃焼機器となる。
【0022】
また、請求項3記載の発明においては、落下や衝撃を受けた時など可動部が周辺部品と接触して動作不良となることや、メンテナンス時などに配線を回動軌道内へ侵入させたままとなって動作不良となることなどを防止でき、極めて優れた燃焼機器となる。
【0023】
また、請求項4記載の発明においては、可動部が回動通過する(逃がし用の)開口部の孔縁やその周囲と、この可動部の磁石との距離を小さくして磁力(吸着力)が作用する距離としたので、この吸着力が保持力となって、機器が傾斜した場合や衝撃により可動部が誤って揺動回動することを抑制して、誤作動を少なくできる一層優れた燃焼機器となる。
【0024】
また、請求項5記載の発明においては、可動部の接触アーム部となる内側一端部が折曲状(屈曲状)に形成されて基端側に比して上方に突出した折曲状凸部を設けたため、燃料タンクを挿入しこの外面が接触して可動部を回動させるに際して、燃料タンク外面に早めに接触して大きく回動できる形状となることから、この可動部の内側一端部(接触アーム部)の長さを短縮でき、検知ユニットの小型化が可能となるなど一層優れた燃焼機器となる。
【0025】
また、請求項6記載の発明においては、先端端面に傾斜端面を有するため、衝撃時可動部が回動し易くなり、検知ユニット(固定部であるタンク収納検知ユニット本体)に衝撃が加わる(伝わる)ことを防止できそれだけ耐久性を向上できる一層優れた燃焼機器となる。
【0026】
また、請求項7記載の発明においては、厚みを変化させて重心調整するため外形状変更の必要がないから、可動部の設計自由度が増加する、即ち、適用する機種によって異なる燃料タンクまでの間隙長さや取付位置での配置スペースなどによって可動部の外形状を設計する際、バランス調整のための前記重心位置の調整は厚みを変化させて調整する構成、言い換えると外形状が同じでも各所で厚みを異ならせた形状としたから、可動部の設計自由度が増加し、一層実用性に優れた燃焼機器となる。
【0027】
また、請求項8記載の発明においては、可動部とタンク収納検知ユニット本体との摺動面に点接触用の突部を設けたから回動時の摺動接触面積を少なくでき、粘着性物質により固着してしまうことや回動動作がスムーズに行かなくなることを抑制できる一層優れた燃焼機器となる。
【0028】
また、請求項9記載の発明においては、軸着部にホコリなどが侵入することを抑制でき、また請求項10記載の発明においては侵入するホコリを容易に排除させたり排除し易くなる一層優れた燃焼機器となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施例の説明分解斜視図である。
【図2】本実施例の燃料タンク収納時の説明側面図である。
【図3】本実施例の検知ユニットの説明分解斜視図である。
【図4】本実施例の燃料タンク収納時の要部の説明側断面図である。
【図5】本実施例の燃料タンク取り出し途中の要部の説明側断面図である。
【図6】本実施例の燃料タンク取り出し時の要部の説明側断面図である。
【図7】本実施例の要部の説明平面図である。
【図8】本実施例の磁石による吸着力が傾斜時の保持力となることを示す作動説明図である。
【図9】本実施例の要部の説明裏面図である。
【図10】本実施例のタンク収納検知ユニット本体の底部に非接触式検知部を設けた場合の実施例を示す説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0031】
常態、即ち燃料タンク3を取り出した無負荷な状態では、接触アーム部となる内側一端部がタンク収納部5の内方へ突出状態となるようにタンク収納検知ユニット本体9に可動部10を回動自在に設け、このタンク収納検知ユニット本体9には、この可動部10に設けた磁石12が近接することで検知される非接触式検知部11を設けている。この検知ユニットを、タンクガイド板6の正面の燃焼装置2を制御する制御回路基板7の下方に設けるが、この位置に設けた開口部8を介して可動部10の内側一端部が裏側のタンク収納部5内に突出するように取り付ける。
【0032】
即ち、タンク収納検知ユニット本体9に設けた可動部10が開口部8を介してタンクガイド板6の裏側のタンク収納部5内へ回動突出・没動退避回動自在となるようにして、タンク収納検知ユニット本体9をタンクガイド板6の正面の制御回路基板7の下方に位置するように取り付ける。
【0033】
このタンク収納部5内に燃料タンク3がないときは、タンク収納検知ユニット本体9に設けた可動部10の内側一端部はタンク収納部5内へ突出状態となり、このタンク収納部5内に燃料タンク3を挿入すると、開口部8から突出している内側一端部は燃料タンク3の外面に押圧されて(押しやられて)この可動部10は没動方向に退避回動して、燃料タンク3有の状態となる(例えば非接触式検知部11に磁石12が検知されていない状態となる)。
【0034】
この燃料タンク3を取り出すと、可動部10は自動的に戻り回動して内側一端部はタンク収納部5内へ再び突出状態となると共に、この可動部10の磁石12は再びタンク収納検知ユニット本体9の非接触式検知部11に近接して検知され、燃料タンク3が取り出されることあるいは取り出されたことが検知される。
【0035】
この検知によって燃焼装置2はたとえ燃焼中であっても自動的に強制消火することとなる。
【0036】
従って、燃料タンク3の有無によって可動部10は確実に回動すると共にこの可動部10の動きが磁石12と非接触式検知部11とによって非接触で近接検知されるため、管理が厄介なストローク管理は必要なく、高い製作精度も組み付け精度も不要となり、また単にこの可動部10を回動自在に設けたタンク収納検知ユニット本体9(検知ユニット)をタンクガイド板6に取り付けるだけで良く、しかもタンクガイド板6の正面の開口部8に合わせて取り付けるだけで良いから、この上方に同じくタンクガイド板6に組み付ける燃焼装置2の制御回路基板7と共に順次組み付けできるため、組み付け作業も一層簡単になり、また制御回路基板7と共にメンテナンスも非常に簡単に行えることとなる。
【実施例】
【0037】
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
【0038】
本実施例は、カートリッジタンク(燃料タンク3)を給油に際して引き上げると消火信号が燃焼装置2へ出力されて自動的に強制消火する自動消火機構12を備えた石油ファンヒータなどの燃焼機器に本発明を適用している。
【0039】
即ち、本実施例では、燃焼機器本体1の側部に開閉天蓋付き上方取出口4から燃料タンク3を取り出し自在にして収納するタンク収納部5を設け、この燃焼機器本体1の中央部には燃焼装置2の燃焼部を設け、例えば逆さ収納した燃料タンク3の下端部の弁付給油キャップを介して灯油が受皿部に供給されこの受皿部から燃焼装置2の気化器へ送り込まれて気化して噴出し燃焼部で燃焼する構成としている。
【0040】
このタンク収納部5の正面側内壁面となるタンクガイド板6の正面の上部に、従来通り前記燃焼装置2の燃焼(気化器による燃焼など)を制御する制御回路基板7を設け、このタンクガイド板6の正面の制御回路基板7と上下に並設するようにこの制御回路基板7の下方に開口部8を設け、この開口部8に検知ユニット(可動部10を回動自在に設けたタンク収納検知ユニット本体9)を付設している。
【0041】
従って、検知ユニットをタンクガイド板6の正面に取り付けることで、燃焼機器本体1の正面カバー板を取り去ると、制御回路基板7と共に上下に並設したこの検知ユニットが正面に露出し、配線や気化器などと共に露出することで、メンテナンスや組み付けが極めて容易な構成となる。
【0042】
具体的には、金属板製のタンクガイド板6に開口部8を形成しておき、この開口部8にタンク収納検知ユニット本体9の係止部を係止させビス止めなどによって固定し、このタンク収納検知ユニット本体9に回動自在に設けた可動部10の内側一端部が前記開口部8を介して前記タンク収納部5内に突出状態となるように構成している。
【0043】
また、この突出長をタンクガイド板6と収納時の燃焼タンク3との間隙より長くなるように設定し、この突出している状態で、上方取出口4からタンク収納部5に燃料タンク3を収納した際、この燃料タンク3の外面に内側一端部が当接して可動部10が押しやられて没動方向に回動するように構成している。
【0044】
また、タンク収納検知ユニット本体9には可動部10に設けた磁石12の磁力を検知する非接触式検知部11(例えばリードスイッチ)を設け、燃料タンク3の取り出し時に可動部10が自動的に突出方向に戻り回動して前記タンク収納部5内に突出状態となった際、前記磁石12が前記非接触式検知部11に検知されることで、前記燃焼装置2による燃焼を強制消火する消火信号を出力あるいは消火のためのトリガー又は制御回路に消化モードに切替えさせる信号を出力するように自動消火機構13を構成している。
【0045】
更に説明すると、樹脂で形成したタンク収納検知ユニット本体9にブランコのように前記可動部10を回動自在に軸着し、前記燃料タンク3が取り出され燃料タンク3と接触しない無負荷時には、この可動部10の接触アーム部となる内側一端部が前記開口部8を介して前記タンク収納部5に突出状態となるように前記可動部10の形状及び軸着位置を設定し、燃料タンク3を取り出すことで燃焼タンク3により押しやられて没動回動していた前記可動部10が自重により戻り回動して前記内側一端部が前記タンク収納部5内に突出状態となって、可動部10に設けた磁石12が近接して前記非接触式検知部11に検知されるように構成している。
【0046】
具体的には、回転部となる可動部10も、検知ユニットの固定部となるタンク収納検知ユニット本体9も、前述のように樹脂成形品としているが、このタンク収納ユニット本体9は、非接触式検知部11を側部に収納配設し下部をビス止め取付部とし、この下部左右に立設した対向立設部20の各上端部にT字状に形成した前記開口部8の左右部分に係止する係止部を設けた構成としている。
【0047】
更に説明すると、下部のビス止め取付部の左右の対向立設部20の一方に非接触式検知部11を配設し、この対向立設部20の上端部内側夫々に軸受孔15を設け、この軸受孔15に左右の軸部を嵌合して可動部10をブランコのように対向立設部20間に回動自在に設け、この可動部10の下部には磁石12を収納配設し、この可動部10のウェイト部や磁石12などを含めた重心位置の設置によって無負荷状態では磁石12が下部になり、内側一端部が対向立設部20間から水平突出した状態でバランスし、この磁石12が対向立設部20間に位置してこの一方に設けた非接触式検知部11に検知されるように構成している。
【0048】
即ち、可動部10は上部に設けた軸部を軸受孔15に軸着して対向立設部20間に吊下する構成とし、またこの可動部10の本体部下部に設けた磁石12が下方に位置して非接触式検知部11に検知される際、開口部8を介してタンクガイド板6の裏側のタンク収納部5に水平突出する接触アーム部としての内側一端部を本体部から突出形成した構成として、前述のように無負荷状態(常態)では磁石12が非接触式検知部11に近接検知され且つこの内側一端部がタンク収納部5内へ水平突出した状態でバランスするように構成している。
【0049】
また、前記可動部10の没動方向への回動軌道内への他部材の侵入を防止する防護壁部14を前記タンク収納検知ユニット本体9に設けている。
【0050】
即ち、可動部10の回動範囲をカバーするように可動部10の側方に板状の防護壁部14をタンク収納検知ユニット本体9に設けている。
【0051】
具体的には、本実施例では前記対向立設部20の少なくとも一方に一体成形によりこの防護壁部14を連設し燃料タンク3収納時に可動部10が没動回動して外方へ突出する範囲までを少なくともカバーするようにしている。即ち、対向立設部20の形状を外方へ大きく突出した形状として防護壁部14を形成している。従って、落下や衝撃などにより周辺部品や配線が侵入して可動部10に接触することを防止できるが、特にメンテナンス時に配線のクリップを外してしまうことにより配線が軌道内に侵入したままとなり、回動動作に支障が生じてしまうことなどを防止できることとなる。
【0052】
尚、可動部10の回動を許容するように対向立設部20の上部をU状に連設して囲ってしまっても良いが、この場合はこの検知ユニットがそれだけ大きくなってしまうので、側方のみカバーする防護壁部14として小形化を図っている。
【0053】
また、金属製の前記タンクガイド板6に設けた前記開口部8の孔縁若しくは周辺部と、前記燃料タンク3を取り出して突出状態となった可動部10の磁石12との距離を、この磁石12による吸着力が前記突出状態を保持する力として作用する距離に近接している。
【0054】
即ち、可動部10が回動通過する(逃がし用の)開口部8の孔縁やその周囲と、この可動部10の磁石12の距離を小さくして磁力(吸着力)が作用する距離とすることで、この吸着力が保持力あるいは突出状態となろうとする付勢力となって、機器が傾斜した場合や衝撃により可動部10が誤って揺動回動したり、あるいは突出状態に戻り回動復帰しないことを抑制して、誤作動を少なくしている。
【0055】
バネなどで付勢することも考えられるが、部品点数が増え量産性に劣るし、また、磁石12自体を強力にすると誤作動の原因になりかねないので、本実施例では開口部8の孔形状や周辺部を膨らませるなどの孔及び周辺形状の設定によって、磁石12に金属部分を近づけることにより、この磁石12による吸着力によって保持力を生じさせている。
【0056】
また、本実施例では、可動部10の燃料タンク3の外面に当接する前記内側一端部に、先端側から内側に水平に延びる先端部を上方に折曲した形状として基端側に比して上方に折曲突出した折曲状凸部18を設けている。
【0057】
即ち、可動部10の接触アーム部となる内側一端部が折曲状(屈曲状)に形成されて基端側に比して上方に突出した折曲状凸部18を設けたため、燃料タンク3を挿入しこの外面が接触して可動部10を回動させるに際して、燃料タンク3外面に早めに接触して大きく回動できる形状となることから、この可動部10の内側一端部(接触アーム部)の長さを短縮でき、検知ユニットの小型化が可能となる。
【0058】
また、この内側一端部の先端端面に、基端側へ押圧された際没動方向への回動力が生じる傾斜端面19を形成している。
【0059】
即ち、先端端面を単なる平坦面でなく下方程突出する傾斜端面19に形成し、衝撃時この内側一端部が外方へ押圧されたとき、これを真向から受け止めず、可動部10が回転し易くなることから衝撃時の負荷をかわすように内側一端部は下方へ回動し、検知ユニット(固定部であるタンク収納検知ユニット本体9)に衝撃がくわわることを防止でき耐久性を向上できる。
【0060】
また、本実施例では、可動部10の厚みを変化させ可動部10の重心位置を調整した構成としている。具体的には、可動部10の内側一端部の反対側部分を肉厚として、燃料タンク3を取り出すと、燃料タンク3により押しやられて没動回動していた可動部10が自重により自動的に前記突出状態に戻り回動するように重心バランスを設定している。
【0061】
従って、厚みを変化させてこの重心調整をするため外形状変更の必要がないから、可動部10の設計自由度が増加する、即ち、適用する機種によって異なる燃料タンク3までの間隙長さや取付位置での配置スペースなどによって可動部10の外形状を設計する際、バランス調整のための前記重心位置の調整は厚みを変化させて調整する構成、言い換えると、外形状が同じでも各所で厚みを異ならせた形状としたから、可動部10の設計自由度が増加するようにしている。
【0062】
また、前記可動部10の軸着部周囲の回動摺動面に点接触用突部17を設けている。
【0063】
具体的には、可動部10の軸部の周囲の回動摺動面を構成し、この軸部を嵌合する軸受孔15を設ける前記タンク収納検知ユニット本体9の対向立設部20の上端部にもこれを受ける回摺動動面を設けるが、成形精度のバラツキなどに対応して常にスムーズな回動を確保するため、この回動摺動面のいずれかに点接触用凸部17を突出形成している。
【0064】
本実施例では、対向立設部20の回動摺動面に軸を境にして複数個各先端が丸みを帯びた球形状の突部を形成し、回動時の摺動接触面積を少なくし、粘着性物質による固着や回動動作がスムーズに行かなくなることを抑制している。
【0065】
また、可動部10の軸部を嵌合して軸着する前記タンク収納検知ユニット本体9の軸受孔15を、外側の孔底部を閉塞した外側閉塞収納孔15とし、また、この軸受孔15に連通するホコリ排除用スリット16を設けている。
【0066】
従って、軸着部にホコリなどが侵入することを抑制でき、また、侵入するホコリを容易に排除させたり排除し易くなり、特にホコリ侵入のための収納孔とした場合でもこのホコリ排除用スリット16により軸着も容易となる。
【0067】
尚、本発明は、前記実施例に限られるものではなく、例えば別例として図示したように非接触式検知部11をタンク収納検知ユニット本体9の対向立設部20の側部ではく、対向立設部20間の底部の下部に設けても良く、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0068】
1 燃焼機器本体
2 燃焼装置
3 燃料タンク
4 上方取出口
5 タンク収納部
6 タンクガイド板
7 制御回路基板
8 開口部
9 タンク収納検知ユニット本体
10 可動部
11 非接触検知部
12 磁石
13 自動消火機構
14 防護壁部
15 軸受孔,外側閉塞収納孔
16 ホコリ排除スリット
17 点接触用突部
18 折曲状凸部
19 傾斜端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼機器本体の燃焼装置に燃料を供給する燃料タンクを上方取出口から取り出し自在にして収納するタンク収納部を前記燃焼機器本体の側部に設け、このタンク収納部の正面側内壁面となるタンクガイド板の正面に、前記燃焼装置の燃焼を制御する制御回路基板を設け、このタンクガイド板の正面の制御回路基板の下方に開口部を設け、この開口部にタンク収納検知ユニット本体を付設し、このタンク収納検知ユニット本体には可動部を回動自在に設け、この可動部の内側一端部を前記開口部を介して前記タンク収納部内に突出状態に設け、前記上方取出口から前記タンク収納部に前記燃料タンクを収納した際、この燃料タンクの外面に前記内側一端部が当接して前記可動部が没動方向に回動するように構成し、前記タンク収納検知ユニット本体には磁力を検知する非接触式検知部を設け、前記可動部に前記燃料タンクの取り出し時に前記可動部が突出方向に戻り回動した位置で前記非接触式検知部に検知される若しくは前記燃料タンク収納時に没動方向に回動した位置で前記非接触式検知部に検知される磁石を設けて、前記燃料タンクを取り出し前記可動部が自動的に突出方向に戻り回動して前記タンク収納部内に内側一端部が突出状態となった際、前記磁石が前記非接触式検知部に検知される若しくは前記磁石が前記非接触式検知部に検知されなくなることで、前記燃焼装置による燃焼を自動的に強制消火する自動消火機構を備えたことを特徴とする燃焼機器。
【請求項2】
前記タンク収納検知ユニット本体に前記可動部を回動自在に軸着し、前記燃料タンクが取り出され燃料タンクと接触しない無負荷時には、この可動部の内側一端部が前記開口部を介して前記タンク収納部に突出状態となるように前記可動部の形状及び軸着位置を設定し、前記燃料タンクを取り出すことで燃料タンクにより押しやられて没動回動していた前記可動部が自重により戻り回動して前記内側一端部が前記タンク収納部内に突出状態となった際、前記可動部に設けた前記磁石が近接して検知される位置に前記非接触式検知部を設け、この燃料タンクを取り出した際の前記非接触式検知部の検知によって強制消火するように前記自動消火機構を構成したことを特徴とする請求項1記載の燃焼機器。
【請求項3】
前記可動部の没動方向への回動軌道内への他部材の侵入を防止する防護壁部を前記タンク収納検知ユニット本体に設けたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の燃焼機器。
【請求項4】
金属製の前記タンクガイド板に設けた前記開口部の孔縁若しくは周辺部と、前記燃料タンクを取り出して突出状態となった前記可動部の前記磁石との距離を、この磁石による吸着力が前記突出状態を保持する力として作用する距離に近接したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃焼機器。
【請求項5】
前記可動部の前記燃料タンクの外面に当接する前記内側一端部に、先端部を上方に折曲した形状として基端側に比して上方に折曲突出した折曲状凸部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃焼機器。
【請求項6】
前記可動部の前記燃料タンクの外面に当接する前記内側一端部の先端端面に、基端側へ押圧された際没動方向への回動力が生じる傾斜端面を形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃焼機器。
【請求項7】
前記可動部の厚みを変化させ可動部の重心位置を調整した構成として、前記燃料タンクを前記タンク収納部から取り出した際、燃料タンクにより押しやられて没動回動していた可動部が自重により自動的に前記突出状態に戻り回動するように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃焼機器。
【請求項8】
前記可動部の軸着部周囲の回動摺動面に点接触用突部を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃焼機器。
【請求項9】
前記可動部を軸着する前記タンク収納検知ユニット本体の軸受孔を、外側の孔底部を閉塞した外側閉塞収納孔としたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃焼機器。
【請求項10】
前記可動部を軸着する前記タンク収納検知ユニット本体の軸受孔に連通するホコリ排除用スリットを設けたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の燃焼装機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−276268(P2010−276268A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129036(P2009−129036)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000109026)ダイニチ工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】