説明

燃焼炉の燃え滓取出装置

【課題】 燃焼炉の燃え滓を容易に取り出すことができる装置の提供。
【解決手段】本発明の燃焼炉の燃え滓取出装置は、燃料投入用の扉口が側面に設けられた燃焼室の底面に燃え滓を前記燃焼室外に送り出すスクリューコンベアを設けて、燃焼炉の燃え滓を容易に取り出すことができる構成としたことを特徴とするものであって、当該スクリューコンベアは、スクリュー軸の延在方向の上面側が燃焼室底面側に開放された略U字状のコンベアケースを備えていることを特徴の一つとし、更に又、略U字状のコンベアケースの両端縁側を、燃焼室の燃え滓が当該コンベアケースに落下し易い傾斜面を介して燃焼室の底面と接続させたことをも特徴とする装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薪ストーブや石炭ストーブ等の主として燃え滓を生ずる固形物を燃料として利用するストーブやハウス栽培用の暖房装置等の燃焼炉、詳しくは、燃焼炉内に発生する灰等の燃え滓を炉内から取り出す燃焼炉の燃え滓取出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の燃焼炉内に発生した灰等の燃え滓の取出し方は、例えば、家庭用やハウス栽培用等のストーブにおいては、棒状の柄の先にへら(板状片)の付いた掻出具を手に持ち、炉即ち燃焼室の燃料投入口でもある扉口から炉内を覗き込みながら、炉底即ち燃焼室の底面に散乱する燃え滓を視認しつつ、手作業で幾度も幾度も炉底を引っ掻くようにして扉口側即ち手許側に掻き集めて扉口から外へと掻き出していた。以下、掻き集め及び掻き出し作業を総称して取出作業ともいう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような燃え滓の取出作業では、余熱の未だ残る炉内を、扉口に顔を寄せて覗き込みながらの作業となるため、余熱の日照りで顔が焼けるのを我慢してのキツイ作業であった。
この顔焼けを避けるためには、燃焼炉が十分に冷却してから作業すればよいのであるが、燃焼炉が十分に冷却するには相応の比較的長い冷却時間を要するため、殊に、ハウス暖房等のように連続的燃焼の必要がある用途には不向きである。
【0004】
又、炉底の燃え滓を掻出具で幾度も掻き集める作業では灰が舞い上がり易く、余熱で火照って汗ばん顔や目許や鼻孔や口許に、舞い上がった灰が付着するだけでなく、舞い上がった灰を肺に吸い込まないように呼吸をも制限せねばならず、この点でもキツイ作業となっていた。
【0005】
更に、燃焼炉の炉底は一般に燃え滓を掻出具で掻き集め易いように平面とされているため、炉底の全面にわたって掻出具のへらを当てて掻き集めることが必要となり、炉の奥から手許側(顔側)への掻き出し工程を幾度も幾度も繰り返して行わねばならず、多大の労力を要していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の燃焼炉の燃え滓取出装置の発明は、燃料投入用の扉口が側面に設けられた燃焼室の底面に、燃え滓を前記燃焼室外に送り出すスクリューコンベアが設けられたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、スクリューコンベアは、当該スクリューコンベアの軸の延在方向の上面側が燃焼室底面側に開放された略U字状のコンベアケースを備えていることを特徴とする請求項1の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【0008】
請求項3の発明は、略U字状のコンベアケースの両端縁側は燃焼室の燃え滓が当該コンベアケースに落下し易い傾斜面を介して燃焼室の底面と接続されていることを特徴とする請求項2の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【0009】
請求項4の発明は、燃焼室の底面は、当該燃焼室内の燃え滓がコンベアケースに落下し易いよう当該略U字状のコンベアケースの両端縁側を各々下端として接続する少なくとも2つの傾斜面で形成されていることを特徴とする請求項2の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【0010】
請求項5の発明は、スクリューコンベアは当該スクリューコンベアの軸が燃焼室の底面の一方端側からこれと反対側の他方端側に向かって当該燃焼室底面を横断して下り傾斜で延在するように設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【0011】
請求項6の発明は、一方端側が燃焼室の扉口側で、他方端側が当該燃焼室の奥側であることを特徴とする請求項5に記載の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【0012】
請求項7の発明は、スクリューコンベアは当該スクリューコンベアの上面側の開放部分に開閉自在な蓋を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【0013】
請求項8の発明は、スクリューコンベアは当該スクリューコンベアの上面側の開放部分に取り外し自在の落とし蓋を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【0014】
請求項9の発明は、蓋は少なくとも灰の通過を許す網目又は無数の透孔を有することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【0015】
請求項10の発明は、スクリューコンベアは手動駆動手段又は電動駆動手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れかに記載の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【発明の効果】
【0016】
請求項1乃至請求項9の各発明によれば、スクリューコンベアの駆動で灰等の燃え滓を炉外に除去できるので、従来のように、余熱の未だ残る炉内を覗き込みながらのキツイ取出作業を長時間行う必要が無い。
【0017】
又、炉底の燃え滓を掻出具で幾度も掻き集める作業を行う必要が無くなり、余熱で顔が火照ったり、目許や鼻孔や口許に灰が付着したり、舞い上がった灰を肺に吸い込んだりする弊害を減少させ、従来に比べて、衛生的で楽に取出作業を行うことができ、取出作業の効率を向上させることができる。
【0018】
請求項3や請求項4の発明によれば、燃焼室底面がスクリューコンベアのコンベアケースに向かって下る傾斜面を有するので、当該スクリューコンベアへの燃え滓の掻き落とし作業が容易となる。
【0019】
請求項5乃至請求項6の各発明によれば、スクリューコンベアの軸を送り出し方向に下り傾斜に設けてあるので、スクリューコンベアによる燃え滓の取出即ち燃え滓の搬送を効率よく行わせることができる。
【0020】
請求項7や請求項8の発明によれば、スクリューコンベアの加熱による歪発生等の弊害を減少させることができる。
【0021】
請求項9の発明によれば、燃焼室を稼働中でも、蓋を通過して自然落下した灰を排除することができるので、従来に比べて、燃焼稼働を中止して灰を排除する頻度を少なくすることができ、連続稼働効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は薪ストーブの全体斜視図である。
【図2】図2は薪ストーブの軸方向に沿った縦断側面面図である。
【図3】図3は薪ストーブの軸方向と直交する縦断側面面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、薪ストーブの実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0024】
図1乃至図3において、図示の薪ストーブ1は、その本体である燃焼炉即ち燃焼室2が直方体状で、当該燃焼室2の一側面に、燃料である薪を燃焼室2である炉内に入れる燃料投入用の投入口であり、比較的大きな燃え滓である炭や薪の燃え残り等(図示せず)の取出口でもある扉口21が設けられている。この扉口21は開閉扉として観音扉22を備えている。
尚、図中の符号23は排煙筒(煙突)を示す。又、燃焼室2は必ずしも直方体形状である必要はなく、円筒形状やだるまストーブのような略紡錘形状であってもよい。
【0025】
燃焼室2の底面には、炉内の燃え滓を当該燃焼室即ち炉の外に送り出すスクリューコンベア3が設けられている。
スクリューコンベア3は、軸回転によって当該軸方向の何れかに、スクリュー羽根の間に落ち込んだ物、即ち、本実施例の場合は炭や薪の燃え残り等の燃え滓を送り出すように搬送するスクリュー31と、当該スクリューコンベア3の軸でもある当該スクリューの軸33の延在方向の上面側が燃焼室2の底面側に開放された略U字状のコンベアケース32とを備えている。
【0026】
この略U字状のコンベアケース32の両端縁側は、燃焼室2の燃え滓が当該コンベアケース32内に落下し易いように、傾斜面を介して燃焼室2の底面と接続させるとよい(図示せず)。
図2及び図3に示す例では、燃焼室2の底面を、当該燃焼室内の燃え滓がコンベアケースに落下し易いように、略U字状のコンベアケース32の両端縁側を各々下端として接続する少なくとも2つの傾斜面24,24で形成してある。
【0027】
上記のように、燃料室2の底面を少なくとも2つの傾斜面(24,24)で形成するには、スクリューコンベア3を当該スクリューコンベア3の軸(33)が燃焼室2の底面の一方端側からこれと反対側の他方端側に向かって当該燃焼室2の底面を2分して横断するように延在させるとよい。
【0028】
この実施例では、燃焼室2の扉口21側を一方端側、当該扉口21の反対側即ち燃焼室2の奥側を他方端側として、スクリューコンベア3の軸(33)が扉口21側から奥側にむかって下り傾斜となるように延在させ、傾斜下端側にスクリュー31の羽根で搬送された燃え滓(図示せず)を落下させる排出口35を設けている。
このように、スクリューコンベア3を排出口35側に向けて下り傾斜に配設すると搬送効率を高めることができる。
【0029】
更に、スクリューコンベア3の上面側の開放部分には、当該開放部分を開閉自在に塞ぐ蓋(36)を設けて、燃焼熱をできるだけ遮断し、燃焼熱によるスクリューコンベア3への悪影響を減少させている。
図示のスクリューコンベア3の例では、2つの傾斜面34,34の谷間に相当する開放部分に取り外し自在の落とし蓋36、この例では長板状の蓋36を被せてあり、この蓋36には、少なくとも、灰の通過を許す網目状或いは又、無数の透孔等を適宜設けて(図示せず)炉内で生ずる灰が自然にスクリューコンベア3に落下するように構成してもよい。
【0030】
尚、このスクリューコンベア3は手動駆動手段としてスクリューコンベア3の軸端にハンドル37を設けてあるが、これに限らず、モータ等の電動駆動手段を用いて駆動させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、薪ストーブや石炭ストーブ等に限らず、燃焼室用の燃え滓取出装置として広く産業上利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 薪ストーブ
2 燃焼室(炉)
21 扉口
22 観音扉(扉口)
24 傾斜面(燃焼室底面)
3 スクリューコンベア
31 スクリュー
32 コンベアケース
33 軸(スクリュー)
35 排出口
36 落とし蓋
37 ハンドル(手動駆動手段)




【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料投入用の扉口が側面に設けられた燃焼室の底面に、燃え滓を前記燃焼室外に送り出すスクリューコンベアが設けられたことを特徴とする燃焼炉の燃え滓取出装置。
【請求項2】
スクリューコンベアは、当該スクリューコンベアの軸の延在方向の上面側が燃焼室底面側に開放された略U字状のコンベアケースを備えていることを特徴とする請求項1の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【請求項3】
略U字状のコンベアケースの両端縁側は燃焼室の燃え滓が当該コンベアケースに落下し易い傾斜面を介して燃焼室の底面と接続されていることを特徴とする請求項2の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【請求項4】
燃焼室の底面は、当該燃焼室内の燃え滓がコンベアケースに落下し易いよう当該略U字状のコンベアケースの両端縁側を各々下端として接続する少なくとも2つの傾斜面で形成されていることを特徴とする請求項2の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【請求項5】
スクリューコンベアは当該スクリューコンベアの軸が燃焼室の底面の一方端側からこれと反対側の他方端側に向かって当該燃焼室底面を横断して下り傾斜で延在するように設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【請求項6】
一方端側が燃焼室の扉口側で、他方端側が当該燃焼室の奥側であることを特徴とする請求項5に記載の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【請求項7】
スクリューコンベアは当該スクリューコンベアの上面側の開放部分に開閉自在な蓋を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【請求項8】
スクリューコンベアは当該スクリューコンベアの上面側の開放部分に取り外し自在の落とし蓋を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【請求項9】
蓋は少なくとも灰の通過を許す網目又は無数の透孔をゆうすることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の燃焼炉の燃え滓取出装置。
【請求項10】
スクリューコンベアは手動駆動手段又は電動駆動手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れかに記載の燃焼炉の燃え滓取出装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−36723(P2013−36723A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175629(P2011−175629)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(504129261)タカマツ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】