説明

燃焼炉の燃焼制御システムおよびその燃焼制御方法

【課題】 燃焼モデルに基づくシミュレーションによって実プラントを構築し、静調整実施や新しい自動燃焼制御開発にも適応できる燃焼炉の燃焼制御システムおよびその燃焼制御方法を提供すること。
【解決手段】 燃焼炉に投入される燃焼対象物の量、燃焼対象物の質、空気量、空気の温度、ストーカ速度のいずれかを制御対象とし、炉内の温度、ガス濃度、ガス流れ方向、ガス流速、蒸発量のいずれかを制御指標とする、制御機構OPおよび測定手段SEが設けられた焼却炉10において、制御装置20、シミュレーション装置30および通信手段を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃焼炉の燃焼制御システムおよびその燃焼制御方法に関し、特に、ごみ焼却炉などの燃焼制御に好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ごみ処理施設においては、排ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度の引下げやダイオキシン類の発生防止を図って環境汚染を防止するとともに、熱回収の高効率化および排ガス処理設備の小型化等を可能とした次世代型燃焼方式が多く提案されている。この次世代型燃焼方式においては、安定した燃焼制御が要求され、具体的には(i)燃焼熱量の安定化、(ii)目標とする空気比での安定燃焼、(iii)ダイオキシンや一酸化炭素(CO)の発生抑制およびNOxの変動抑制などが要求されることになる。
【0003】
また、燃焼炉の設計を行う場合には、焼却炉内のごみ厚み、炉内の温度分布、O分布、CO分布などの制御対象を各種センサによって検出して、個々の制御ループで最適な燃焼を行うように制御することが行われ、ストーカ式ごみ焼却炉の自動燃焼制御は、主にボイラ蒸発量を制御対象として、制御対象が安定化するように、ストーカ速度や燃焼空気量が自動的に制御される。
【0004】
例えば、図8に例示するような燃焼制御装置を挙げることができる。一次燃焼部111の代表温度であるごみ表面温度と二次燃焼部112の代表温度である炉内温度を精度良く計測して燃焼制御を行うことで燃焼制御の信頼性を高め、ダイオキシン類等の有害ガスを低減させることができる。具体的には、ごみ焼却炉100における一次燃焼部111のごみ表面温度を赤外線を介して測定するごみ表面温度測定器220と、炉内温度を測定する炉内温度センサ210と、ごみ表面温度および炉内温度に基づいて、燃焼制御を行う制御装置300とを備えている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
さらに、ごみ処理施設においては、ごみホッパから供給されるごみの大きさや発熱量が一定でないため、蒸発量(換算蒸発量)を指標として一次燃焼空気量とごみ送り量を制御し、蒸発量が一定となるように調整していた。このとき、ごみを確実に燃し切り未燃分を出さないようにするために、燃切り点の位置によって、一次燃焼空気量とごみ送り量を制御していた。また、この燃焼空気量の変動によるCOの発生を抑制するために、炉出口の酸素濃度が一定になるように二次空気量を制御していた。さらに、二次空気の吹込みにより完全燃焼(COの抑制)を実現するために、炉出口からの排ガスを炉内に吹き込む排ガス再循環や炉内後燃焼ストーカ上部から排ガスを引き抜き炉内に吹き込む還流ガス方式などを用いることもあった。
【0006】
【特許文献1】特開2003−106509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術には、次のような課題があった。すなわち、焼却炉はひとつの操作量を変更すると、その影響が多くの状態量(ボイラ蒸発量、燃焼ガス温度、排ガス中の酸素濃度等)に波及し、操作量と状態量の因果関係を明確化するのが非常に困難である。特に、炉内の条件によっては、こうした状態量を把握するための測定手段などの設置が困難な場合が多く、正確な状態量を把握することが難しく、適切な操作量の設定ができないこともあった。また、多数の状態量を一様に安定化させることが要求されており、近年ストーカ式ごみ焼却炉の自動燃焼制御は非常に高度化されており、自動燃焼制御の理解も調整も非常に困難になってきている。
【0008】
さらに、従来、ストーカ式ごみ焼却炉の自動燃焼制御の静調整・動調整は、調整員が試運転期間の燃焼調整中に直接プラントを運転しながら実施しているが、この期間は他の調整事項も多く存在するために、十分な時間を自動燃焼制御の静調整・動調整に当てることができない。また実プラント操業に直接的に大きな影響を及ぼす危険性の中での調整であるために、通常の運転員が直接プラントを運転することで非常に高度化された自動燃焼制御装置の理解を深め、調整技術を習得することは非常に困難な状況となっている。ここで「静調整」とは、燃焼制御装置据付後、負荷運転(ごみ焼却処理の実施)前に行う各機器や制御系の動作確認などをいい、例えば計器の入出力(I/O)チェックやポンプの動作チェックなどが該当する。また「動調整」とは、実際の操業運転前に行う、各機器や制御系の動作確認などをいい、例えば乾燥焚やソーダ煮などが該当する。
【0009】
そこで、実プラントを使用せずに、実プラントとはオフラインで、非常に高度化された自動燃焼制御装置の理解や、調整技術の向上を経験できる自動制御装置用プロセスシミュレータの要求が高まっている。また、これが実現すれば、PIDオートチューニング機能やカオス理論や自動学習機能などで構成された新しい自動燃焼制御装置の開発の際にも大きな一翼を担うこととなる。
【0010】
本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、燃焼モデルに基づくシミュレーションによって実プラントを構築し、非常に高度化された自動燃焼制御装置の理解を深め、調整技術を習得、または静調整実施、さらには新しい自動燃焼制御開発にも適応できる燃焼炉の燃焼制御システムおよびその燃焼制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す燃焼炉の燃焼制御システムおよびその燃焼制御方法により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0012】
本発明は、少なくとも燃焼炉に投入される燃焼対象物の量、燃焼対象物の質、空気量、空気の温度、ストーカ速度のいずれかを制御対象とし、少なくとも炉内の温度、ガス濃度、ガス流れ方向、ガス流速、蒸発量のいずれかを制御指標として、該燃焼炉の燃焼状態を制御する燃焼制御システムであって、少なくとも
(a)制御操作が行われる前記各制御対象に係る制御機構と、(b)プロセスデータが得られる前記各制御指標に係る測定手段と、(c)該プロセスデータを受信し、前記燃焼炉の設計条件から前記制御指標のうちの特定の制御指標についてのシミュレーションを行い、該特定の制御指標についての境界条件をシミュレーションデータとして作成し、該シミュレーションデータを送信するシミュレーション装置と、(d)該シミュレーションデータまたはこれと前記プロセスデータを受信し、前記制御対象に係る操作量を演算し、前記制御機構に制御信号を送信して制御する自動燃焼制御装置と、(e)前記制御機構と自動燃焼制御装置、前記測定手段とシミュレーション装置および自動燃焼制御装置、前記シミュレーション装置と自動燃焼制御装置との信号あるいはデータの交信が可能な通信手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
かかる構成の燃焼制御システムによれば、蒸発量や炉内温度等のプロセスデータのいくつかを制御指標として取得して、炉内燃焼状況をリアルタイムにシミュレーションし、最適な燃焼状態(設計条件)を形成するために必要なごみ送りや燃焼空気量を制御することが可能となる。特に、ごみの質(組成)や含有水分量などが時々刻々変化するごみ焼却炉などにおいては、ごみの燃焼状態の変化に伴う炉内燃焼状況の変化を局部的な観点ではなく、システム全体としての燃焼状況を把握しながら、燃焼モデルによって設定された設計条件に近づけるような境界条件を設定することによって、常に最適な燃焼制御を行うことが可能となる。と同時に、こうした燃焼モデルに基づくシミュレーションによって、従前の燃焼制御システムでは困難であったシミュレーションによる実プラントを構築することが可能となり、非常に高度化された自動燃焼制御装置の理解を深め、調整技術を習得、または静調整実施、さらには新しい自動燃焼制御開発にも適応できる燃焼炉の燃焼制御システムおよびその燃焼制御方法を提供することが可能となった。
【0014】
つまり、従前の制御システムでは、実動条件における情報(制御対象における操作量および制御指標についてのプロセスデータ)と、これに対応する設計条件における情報との比較によって、調整すべき操作量を設定していたために、上記のように、ごみ質の変化やストーカでの燃焼状態の変化などに追随した制御ができなかった。本発明においては、設置条件や要求仕様あるいは設計条件から、理想の燃焼状態における制御指標の境界条件Foを設定することによって、実機の最適な燃焼制御システムの基準を明確にすることができる。次に、実動条件における情報からシミュレーションを行い、その境界条件Fnあるいは炉内分布Mnを作成することによって、従前での部分的な情報ではなく、システム全体のより正確な燃焼状態を把握することができる。このとき、境界条件(シミュレーションデータ)は、複数の特定の制御指標について行うとともに、各制御指標について理想の燃焼状態と実動状態を比較し、制御調整することによって、システム全体の最適な燃焼制御を行うことができる。
【0015】
ここで、「境界条件」とは、制御対象における操作量および制御指標のプロセスデータの最適値あるいは最適数値範囲をいい、例えば、炉内温度については、一次燃焼ゾーンの温度やストーカ上のごみ表面の温度などの特定部位の温度だけではなく、その特定部位を含む特定領域の平均温度、二次燃焼ゾーン断面の最高温度の部位(壁面からの距離)やそのときの所定温度(例えば800℃)以上の特定領域の面積あるいは境界の位置などを境界条件として設定することができる。また、「シミュレーションデータ」とは、ここでいう「シミュレーション」、つまり、実動条件における具体的な制御指標となる特定の情報(プロセスデータ)を用い、設計条件に近い燃焼状態を形成できるように制御対象における操作量を設定した場合の、該操作量のデータおよびそのときの制御指標のプロセスデータをいう。
【0016】
また、本発明は、上記燃焼炉の燃焼制御システムであって、前記シミュレーション装置が、前記制御対象あるいは/および制御指標を基に、燃焼モデルを作成する機能を有し、該燃焼モデルを用いてシミュレーションを行い、前記自動燃焼制御装置からの指示に従い、シミュレーションデータの作成を行うことを特徴とする。
【0017】
燃焼炉の燃焼制御は、その燃焼炉の仕様や機能が決定されることによって、制御対象あるいは/および制御指標(ここでは「要素」という)が決まるとともに、各要素を単純化し、相関関係を設定することができる。こうした相関関係を明確にすることによって、いわゆる「燃焼モデル」を作成することが可能となり、燃焼制御の優先度、あるいは特定の要素に対して制御操作することによる他の要素への影響を明確にすることができるとともに、燃焼モデルに用いてより正確なシミュレーションを行うことが可能となる。本発明に係る燃焼制御システムにおいては、さらにシミュレーション装置から一方的にシミュレーションデータ(境界条件)を送信するのではなく、自動燃焼制御装置において必要とされる制御指標の境界条件が限定されて指示され、そのシミュレーションデータに基づきリアルタイムにシミュレーションを行うことによって、より迅速に現状のプロセスデータに対応した燃焼制御が可能となる。
【0018】
また、本発明は、上記燃焼炉の燃焼制御システムであって、前記自動燃焼制御装置における制御システムとして、瞬時のデータに対して安定化制御を行うPID制御系と、瞬時のデータ変動量に対して動的最適化制御を行う自己回帰モデル制御系と、予め設定した制御範囲を逸脱する瞬時のデータあるいはその変動量に対して定常復帰制御を行うファジイ制御系と、を備えることを特徴とする。
【0019】
こうした構成の自動燃焼制御装置を用いた燃焼制御システムによれば、実プラントの稼動状態に応じた燃焼制御が可能となり、実プラントでの稼動状態の自動燃焼制御装置として上記シミュレーション装置との組合せによって、実プラントを操業することなく、静調整(デバッグ作業)が可能となる。また、PID制御系、自己回帰モデル制御系、ファジイ制御系の各機能を有効に連結して使用することによって、より実プラントの稼動状態における設計条件に近い最適な燃焼状態での制御を行うことができる。と同時に、実稼動状態においても、リアルタイムのプロセスデータあるいは境界条件を制御指標として最適な燃焼状態での制御を行うことができる。
【0020】
また、本発明は、少なくとも燃焼炉に投入される燃焼対象物の量、燃焼対象物の質、空気量、空気の温度、ストーカ速度のいずれかを制御対象とし、少なくとも炉内の温度、ガス濃度、ガス流れ方向、ガス流速、蒸発量のいずれかを制御指標として、該燃焼炉の燃焼状態を制御する燃焼制御方法であって、前記燃焼炉の制御系として、上位制御である自己回帰モデル制御または/および非定常制御系であるファジイ制御が組み込まれるとともに、受信した前記プロセスデータまたはシミュレーションデータを用い、瞬時のデータに対してPID制御系を基に安定化制御を行い、瞬時のデータ変動量に対して自己回帰モデル制御系を基に動的最適化制御を行い、予め設定した制御範囲を逸脱する瞬時のデータあるいはその変動量に対してファジイ制御系を基に定常復帰制御を行い、燃焼制御を行うことを特徴とする。
【0021】
かかる燃焼制御方法によって、実プラントとはオフラインで、より実プラントの稼動状態における設計条件に近い最適な燃焼状態での制御を行うことができる。と同時に、実稼動状態においても、リアルタイムのプロセスデータあるいは境界条件を制御指標として最適な燃焼状態での制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。すなわち、本発明に係る燃焼炉の燃焼制御システムと燃焼制御方法を、例えばストーカ式ごみ焼却炉の燃焼制御に適用した場合を1つの実施態様として説明する。
【0023】
<本発明に係る燃焼炉の燃焼制御システム>
本発明に係る燃焼炉の燃焼制御システム(以下「本燃焼システム」という)は、ストーカ式ごみ焼却炉(燃焼炉に相当し、以下「焼却炉」という)に対し、処理されるごみ(燃焼対象物に相当)および助燃用空気を入力とし、発生する熱量、排ガスおよび塵灰を出力とするとともに、少なくとも燃焼炉に投入される燃焼対象物の量、燃焼対象物の質、空気量、空気の温度およびストーカ速度のいずれかを制御対象とし、少なくとも炉内の温度、ガス濃度、ガス流れ方向、ガス流速、蒸発量のいずれかを制御指標として制御する。
【0024】
このとき、本燃焼システムは、少なくとも
(a)制御操作が行われる制御対象に係る制御機構と、(b)プロセスデータが得られる各制御指標に係る測定手段と、(c)該プロセスデータを受信し、燃焼炉の設計条件から制御指標のうちの特定の制御指標についてのシミュレーションを行い、該特定の制御指標についての境界条件をシミュレーションデータとして作成し、該シミュレーションデータを送信するシミュレーション装置と、(d)該シミュレーションデータあるいは/およびプロセスデータを受信し、制御対象に係る操作量を演算し、該制御機構に制御信号を送信し、該制御機構を制御する自動燃焼制御装置と、(e)制御機構と自動燃焼制御装置、測定手段とシミュレーション装置および自動燃焼制御装置、シミュレーション装置と自動燃焼制御装置との信号あるいはデータの交信が可能な通信手段と、を備える。
【0025】
〔本燃焼システムを用いた燃焼炉の構成〕
図1は、本燃焼システムを用いた燃焼炉の概略全体構成例を示す。(a)制御機構(詳細は後述)および(b)測定手段(詳細は後述)が設けられた焼却炉10が、(c)制御装置20、(d)シミュレーション装置30および(e)通信手段(図中の一点鎖線部)と連携して所定の制御を行う。このとき、制御装置20とシミュレーション装置30は、別の計算機ではなく、プロセスシミュレータ内に構築して、1台の計算機内で、自動燃焼制御(ACC)の調整ができるようにしてもよい。また、既設の燃焼炉のACCが、制御装置20と同様の機能を有する場合には、実プラントのACCを利用することも可能であり、実プラントのACCと本発明に係るシミュレーション装置30と連結することにより、実プラントを操業することなく、静調整(デバッグ作業)が可能となる。
【0026】
焼却炉10は、ごみを貯留するホッパ1とごみを燃焼させるストーカ3が炉本体2に設けられ、ホッパ1のごみは、ごみ供給装置4によってストーカ3に送られる。ストーカ3は、乾燥ストーカ3Aと燃焼ストーカ3Bと後燃焼ストーカ3Cとから構成され、それぞれ別々に往復移動駆動されてごみを送給する。炉本体2は、ストーカ3の上部に設けられた一次燃焼ゾーン2Aと、さらにその上部の二次燃焼ゾーン2Bと、ストーカ3および一次燃焼ゾーン2Aに空気を供給する一次燃焼空気供給装置5と、二次燃焼ゾーン2Bに二次燃焼空気を供給する二次燃焼空気供給装置6と、塵灰を排出する灰排出部7と、炉内の排ガスを排出する排ガス排出部8が設けられる。一次燃焼空気は、送風機5F、一次空気ダクト5Dおよび調整弁5A,5B,5Cを介して供給される。二次燃焼空気は、送風機6F、二次空気ダクト6Dおよび第1,第2,第3空気ノズル6A,6B,6Cを介して供給される。
【0027】
ホッパ1に投入されたごみは、乾燥ストーカ3A・燃焼ストーカ3B・後燃焼ストーカ3Cの順に送られながら、一次燃焼空気によって一次燃焼する。乾燥ストーカ3Aでは、後段の燃焼ストーカ3B・後燃焼ストーカ3Cでの燃焼により生じる高温燃焼ガスによって主としてごみが乾燥し、一部燃焼が始まる。乾燥ストーカ3A上のごみから発生するガスは、水分の蒸発による水蒸気、乾留によって生じる炭化水素ガス、不完全燃焼によって生じるCOや完全燃焼による二酸化炭素(CO)などである。燃焼ストーカ3Bでは、一次燃焼空気により、主としてごみが燃焼する。燃焼ストーカ3Bに供給される一次燃焼空気はごみの燃焼に必要十分な量であり、燃焼ストーカ3B上のごみから発生するガスは高濃度のNOxを含んでいる。後燃焼ストーカ3Cでは、焼却灰中の未燃分の燃え切りを図る。二次燃焼ゾーン2Bでは、その下部,中部,上部に二次燃焼空気を供給して、一次燃焼ゾーン2Aからの未燃物または不完全燃焼物を完全燃焼させる。燃焼によって発生した塵灰は、灰排出部7から排出され、炉内の排ガスは、排ガス排出部8から排出される。このとき、排ガス中のCOやNOxおよび酸素(O)などが所定濃度以下となるように管理される。
【0028】
〔本燃焼システムの構成要素〕
次に、本燃焼システムの構成要素について、図1および図2に基づき詳述する。
【0029】
(a)制御機構
本燃焼システムの制御機構は、図1に示すように、
(a−1)ごみの投入量を制御操作するごみ供給装置4、
(a−2)ストーカ速度を制御操作するストーカ駆動装置3D、
(a−3)一次燃焼空気供給装置5に設けられ、一次燃焼空気の全量を制御操作する送風機5Fと、ストーカ3A,3B,3Cに対応するように各空気量を制御操作する調整弁5A,5B,5C、
(a−4)二次燃焼空気供給装置6に設けられ、二次燃焼空気の全量を制御操作する送風機6Fと、二次燃焼ゾーン2Bの下部,中部,上部に対応するように各空気量を制御操作するノズル6A,6B,6C、
(a−5)一次燃焼空気の温度を制御操作する一次燃焼空気予熱器5E、
(a−6)二次燃焼空気の温度を制御操作する二次燃焼空気予熱器6E
を有する。他に、図示していないが、一次燃焼空気ダンパ駆動装置、二次燃焼空気ダンパ駆動装置、還流ガスファン駆動装置などを制御機構としてもよい。燃焼空気供給の配置あるいは供給量は、炉内分布に大きな影響を与えることから、一次・二次燃焼空気量のバランスおよび一次燃焼空気の調整弁5A,5B,5Cや二次燃焼空気の第1,第2,第3空気ノズル6A,6B,6Cの配置とそこから供給する空気量のバランスを適切に制御することが必要となる。配置については、本燃焼システムの設計条件から、理想の燃焼状態を形成できるように設定され、空気量は、実動条件での燃焼状態から制御操作される。
【0030】
(b)測定手段
本燃焼システムの測定手段は、図1に示すように、
(b−1)ホッパ1に投入されるごみの量と質を測定するセンサ部として、ごみ投入重量検出センサ12とレーザ距離計13とが設けられている。レーザ距離計13により、ごみ表面までの距離を測定して、投入されるごみ体積を測定する。ごみ投入重量検出センサ12は、ごみの重量を測定する。ごみの体積と重量を検出することにより、ごみの比重の変化を所定時間間隔で検出することができる。ごみ比重が分かれば、ある程度ごみ質を予測することができる。
(b−2)焼却炉10内の燃焼状態を検出するセンサ部が設けられている。つまり、ガス分布に関するプロセスデータを検出するセンサ部として、例えば、NOx濃度計14、O濃度計15、CO濃度計16が二次燃焼ゾーン2B、一次燃焼ゾーン2Aの少なくとも一方に設けられている(図1では二次燃焼ゾーン2Bのみに設けた例を示す)。ここで、NOx濃度計14、O濃度計15、CO濃度計16としては、レーザ発信器(図示せず)が波長をスキャンしながら強さ一定のレーザ光をガスに照射し、レーザ受信器によって残存のレーザ光を測定することにより、ガスの濃度や温度を検出する方式を採用してもよい。また、各ガスの濃度を検出する公知のセンサを使用しても良い。さらに、図1においては、ガス流れ方向に関するセンサ部として、ガス流速計17が例えば、一次燃焼ゾーン2Aに設けられ、温度分布に関するプロセスデータを検出するセンサ部として、赤外線放射温度計18が一次燃焼ゾーン2Aに設けられている。燃焼炉10の終端には、燃焼に伴うエネルギー量に相当する蒸発量を測定するセンサとして、ごみから生じる蒸気流量を検出する蒸気流量計19が設けられている。他のセンサ部としては、発電量検出計などを用いることが可能である。これらセンサ部からの各検出信号(検出情報)が、プロセスデータとしてそれぞれ制御装置20に入力される。
【0031】
(c)制御装置
制御装置20は、図2に示すように、制御機構OPとの間の制御信号およびシミュレーション装置30との間のシミュレーションデータ(境界条件)を送受信するとともに、シミュレーション装置30からのシミュレーションデータに基づいて制御機構OPを制御操作する操作量を算出する操作量算出部20Bとを備える。なお、必要な場合には、図2のように、測定手段SEからの出力信号を受信するプロセスデータ取得部20Aを設け、シミュレーションデータまたは/およびプロセスデータに基づいて操作量を算出する。制御装置20からは、こうして算出された操作量が制御機構OPに送信され、制御操作が行われる。このとき、制御操作を複数次行い、1次制御操作後の実動条件における制御指標nに係るプロセスデータを、境界条件Fnと比較し、所定の差異があれば、2次制御操作すべき制御対象を特定して制御操作することが好ましい。
【0032】
このとき、制御システムとしては、図3に示すように、瞬時のデータに対して安定化制御を行うPID制御系を基本とし、上位制御として、瞬時のデータ変動量に対して動的最適化制御を行う自己回帰モデル制御系(AR制御系)と、予め設定した制御範囲を逸脱する瞬時のデータあるいはその変動量に対して定常復帰制御を行うファジイ制御系とを備え、各制御系の機能を有効に連結して使用することが好ましい。より実プラントの稼動状態における設計条件に近い最適な燃焼状態での制御を行うことができると同時に、実稼動状態においても、リアルタイムの最適な燃焼制御を行うことができる。また、各制御系を構成する演算式や係数などについては、本燃焼システムにおける模擬試験あるいは実装試験の結果や従前の炉内燃焼実績などに合致するように、修正された手法を用いることが好ましい。さらに、シミュレーション装置30を用いて、自動燃焼制御(ACC)の調整を実施する場合、ACCは主としてPID制御で構成されているおり、安定した燃焼を実現する為に、最適なパラメータ(PIDパラメータ等)に設定する必要がある。ただし、ごみ焼却炉はひとつの操作量を変更すると、その影響が多くの状態量に波及するうえに、多数の状態量(ボイラ蒸発量、燃焼ガス温度、排ガス酸素濃度等)を一様に安定化させることが求められ、燃焼状態の良否の判断も非常に難しい。そこで、ファジイ制御内のファジイ推論を用いた燃焼状態判定を利用して、ACC調整の良否を判断することも好ましい。このようなシステムを利用すれば、PIDオートチューニング機能やカオス理論や自動学習機能などで構成された新しい自動燃焼制御装置の開発の際にも、その制御効果の是非等を判断することができ、自動燃焼制御装置の開発の支援をすることができる。
【0033】
また、操作量算出部20Bには、操作量を決定するための「規則」を記憶する規則記憶部20Cが設けられ、「規則」に基づき、シミュレーション装置30からの境界条件Foと境界条件Fnとの差異に対応した操作量が算出されるとともに、制御機構OPが制御操作される。規則記憶部20Cに記憶されている「規則」には、制御操作すべき制御対象の操作量を決定するための演算条件、演算式などがある。このとき、演算前にプロセスデータに対し次のような所定の処理を行うことが好ましく、こうした処理機能を有することが好ましい。具体的には、(c1)所定時間あるいは所定数のデータの平均処理、特に移動平均処理や、(c2)いわゆるスパイクノイズを削除するために、所定時間内のデータあるいは所定数のデータから上位値および下位値を削除して平均するデータの平均処理、(c3)特定のプロセスデータを基準にした他のプロセスデータの時間遅れの補正処理、などを行うことによってより正確な演算処理を行うことができる。
【0034】
(d)シミュレーション装置
シミュレーション装置30は、図2に示すように、測定手段SEからのプロセスデータを受信するプロセスデータ取得部30Aとプロセスデータ記憶部30Bと、燃焼モデルに基づき境界条件を作成する境界条件設定部30Cと、燃焼モデル設定部30Dと、設計条件設定部30Eとを備えている。設計条件設定部30Eには、最適な燃焼条件を確保するための燃焼炉の設置条件や要求仕様あるいは設計条件が入力可能に記憶される。燃焼モデル設定部30Dでは、こうした設計条件等を基に、燃焼モデルが作成される。燃焼モデルの詳細は後述する。このとき、上記(c)と同様、演算前にプロセスデータに対し所定の処理(c1)〜(c3)を行うことが好ましく、こうした処理機能を有することが好ましい。
【0035】
境界条件設定部30Cは、境界条件を作成するために必要となる演算条件、演算式などが記憶される。また、制御対象に係る操作量あるいは/および例えば、要求蒸発量や法規制の対象となる排ガス中のCOやNOx等の濃度なども記憶される。これらの演算式等を用い、制御指標についてのプロセスデータおよび燃焼モデルを基にシミュレーションを行い、シミュレーションデータを作成するとともに、得られたシミュレーションデータからその境界条件を作成する。具体的には、本燃焼システムの設計条件等から設定された燃焼モデルと制御指標についてのプロセスデータ(制御対象に係る操作量を含む)を基に、理想の燃焼状態(設計条件)における境界条件Foを算出し作成し、実稼動状態での制御対象に係る操作量あるいは制御指標についてのプロセスデータから境界条件Fnを算出し作成する。作成された境界条件FoあるいはFnは、実際には燃焼炉において存在しない測定手段SEからの出力と同様に、実プラントにおけるプロセスデータの一部を構成する出力とすることができる。このとき、シミュレーションのための解析手段としては、多変量解析法やARアルゴリズムを用いた自己回帰推定法などを基本とし、本燃焼システムにおける模擬試験あるいは実装試験の結果や従前の炉内燃焼実績などに合致するように、修正された手法を用いることが好ましい。このとき、上記(c)と同様、演算前にプロセスデータに対し所定の処理(c1)〜(c3)を行うことが好ましく、こうした処理機能を有することが好ましい。
【0036】
(e)燃焼状態表示装置(図示せず)
燃焼状態表示装置(図示せず)は、シミュレーションデータを表示されるために設けられる。例えば、後述するような炉内分布(図4参照)を可視化することによって、操作量やプロセスデータを基に燃焼状態の適否を判断するだけではなく、燃焼炉全体の動きから燃焼状態の適否を判断することができる。起動時あるいは実動運転時に定期的に点検確認作業を行うときに有用である。また、こうした表示からセンサの配置や本燃焼システムの制御方法全体の見直しを図ることが可能となる。
【0037】
以上の各構成要素が結合し、例えば図4に示す本燃焼システムを構成する。それぞれの構成要素が、複数のプロセスデータや操作量を処理・操作する。具体的には、蒸発量、燃焼対象物の量や質、ガス濃度、ガス流速、炉内温度等のプロセスデータを基に、燃切点位置、ボイラ蒸発量、ごみ層レベル、排ガスO濃度、一次空気量、二次空気量、燃焼室出口温度等のシミュレーションデータがシミュレーション装置30で算出される。これらのシミュレーションデータが制御装置(ACC)20に取り込まれて、ボイラ蒸発量や空気過剰率が設定値となるように最適な給じん速度、ストーカ速度、空気ダンパ開度等の操作量が算出される本燃焼システムを例示している。また、この操作量は、再びシミュレーション装置30に転送され、シミュレーションを行い、新たなシミュレーションデータが算出され、再度ACCに取り込まれる。これを何度となく繰り返すことにより、実プラントを操業しなくても、あたかも実プラントであるかのごとく、ACCの動作確認ができ、調整訓練や静調整(デバッグ作業)へと応用することができる。
【0038】
〔燃焼モデルについて〕
本燃焼システムにおいては、シミュレーションデータの作成や境界条件Fo,Fnを設定する機能が重要な役割を果たしている。ここで、制御対象あるいは/および制御指標を基に、燃焼モデルを作成し、該燃焼モデルに用いて、こうしたシミュレーションや境界条件の作成を行うことが好ましい。本燃焼システムにおいては上記のような種々の制御対象や制御指標(要素)が関与する。そこで各要素を単純化し相関関係を明確にする、いわゆる「燃焼モデル」を作成することによって、燃焼制御の優先度、あるいは特定の要素に対して制御操作することによる他の要素への影響を明確にすることができるとともに、燃焼モデルを用いてより正確なシミュレーションを行うことが可能となる。燃焼モデルとしては、例えば、ボイラモデル、燃焼室モデル、ストーカモデルなどが考えられるが、具体的には、図5(A)に例示するような「ごみ焼却炉の燃焼シミュレーションにおける燃焼モデル」を挙げることができる。「燃焼反応モデル」を中心として、物質の収支を主にモデル化する「物質移動モデル」および関連する「ガス状態モデル」と「塵灰モデル」、エネルギーの収支を主にモデル化する「エネルギー移動モデル」および関連する「輻射・伝熱モデル」が、相互に結びつき燃焼モデルを構成する。さらに、これを利用して、図5(B)に例示するように、本燃焼システムにおける制御対象(括弧内はそれに関連する制御指標を示す)を体系的に表すことができる。
【0039】
さらに、本燃焼システムを用いた燃焼炉における他の燃焼モデルを図6に例示する。シミュレーションデータの範囲として、空気・排ガスラインの通風系、ボイラ給水・上記復水ラインのボイラ系、ごみの移送・燃焼を主とする燃焼系である。こうした燃焼モデルは、機器単位における質量・運動量・エネルギーの各保存則を基本式とする物理モデル法を用いて構築した。つまり、燃焼炉には、送風機、流量調整ダンパ、ボイラ設備、燃焼室、給じん装置、ストーカといった機器が複数存在し、これらが関連しあってプラントを構成しでいる。従って、これら機器単位における燃焼モデルを構成することによって、機器ごとの制御内容が明確になり、かつ制御システム全体の制御内容が明確となることから、最適な制御系を適用することができる。また、ごみ焼却炉特有の動特性を実現するために、物理モデルに経験則を付加した機器モデルを採用しており、各実プラントの操業データを用いて調整することで、各実プラントの独自の燃焼特性を再現することも可能である。
【0040】
<燃焼炉の燃焼制御方法>
図7は、燃焼制御システムの処理例を示すフローチャートであり、これに基づいて本燃焼制御システムによる処理方法(燃焼炉の燃焼制御方法、以下「本燃焼方法」という)を説明する。まず、燃焼制御システムを起動し、焼却炉10、制御装置20、シミュレーション装置30の各装置が機能する状態を形成し、処理プロセスは、ごみ焼却炉を具体例とし、以下のステップ
(S1)予め前記燃焼炉の設計条件を入力し、前記制御対象あるいは/および制御指標を基に、燃焼モデルを設定するステップと、
(S2)前記燃焼モデルから、基準となる特定の制御指標についての境界条件Foを設定するステップと、
(S3)前記制御指標に係るプロセスデータを受信し、記憶するステップと、
(S4)前記のプロセスデータを用い、前記燃焼モデルから前記制御指標のうちの特定の制御指標についてのシミュレーションを行うステップと、
(S5)シミュレーションによって得られた境界条件を、シミュレーションデータとして作成するステップと、
(S6)前記シミュレーションデータのうちから特定の制御指標nについての境界条件Fnを、前記境界条件Foと比較するステップと、
(S7)該比較時に、所定の差異があれば、前記境界条件Fnが前記境界条件Foに近接するように、制御操作すべき制御対象T1を特定し、その操作量を演算するステップと、
(S8)前記制御対象T1について、前記操作量を制御操作するステップと、
(S9)前記制御操作後の実動条件における前記制御指標nに係るプロセスデータを用いてシミュレーションを行い、シミュレーションデータとして境界条件Fn’を作成するステップと、
(S10)前記境界条件Fn’を前記境界条件Fnと比較するステップと、
(S11)該比較時に、所定の差異があれば、前記境界条件Fn’が、前記境界条件Fnに近接するように、制御操作すべき制御対象T2を特定し、その操作量を演算するステップと、
(S12)前記制御対象T2について、前記操作量を制御操作するステップと、
からなる。
【0041】
上記燃焼制御方法であっては、ステップ(S7)において設定された制御対象T1の操作量を基に、ステップ(S4)〜(S7)を繰返し、制御指標についての所定の差異をなくすステップ、および/またはステップ(S11)において設定された制御対象T2の操作量を基に、ステップ(S9)〜(S12)を繰返し、制御指標についての所定の差異をなくすステップ、を有することが好ましい。上記のように理想の燃焼状態に基づく制御では、不均質なごみが投入される実動条件を反映させた燃焼状態を形成することが難しいことがあり、シミュレーション時の理想の燃焼状態との比較による境界条件や炉内分布の設定や、実動条件におけるプロセスデータに基づく境界条件や炉内分布の設定を、反復して繰返すことによって、現実の運転状態において最適な燃焼制御方法が可能となった。なお、このとき、ステップ(S4)あるいはステップ(S9)の起点を、前回あるいはメモリされた従前のシミュレーション結果を用いてリスタートすることが可能であり、比較される境界条件等の変動分だけを、再シミュレーションあるいは境界条件や炉内分布の再設定を行うことによって、処理時間の短縮を図ることが可能である。
【0042】
以上のように、本発明に係る燃焼制御方法および燃焼制御システムを用いることによって、さらに以下のような優れた技術的効果を得ることができる。
(i)実プラントを操業することなく、自動燃焼制御の理解や操作・調整(パラメータ設定)訓練ができる。
(ii)実プラントを操業することなく、自動燃焼制御の静調整(デバッグ作業)ができる。
(iii)実プラントを操業することなく、自動燃焼制御の開発を支援することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る燃焼制御方法および燃焼制御システムを適用できる燃焼炉としては、焼却炉に限定されるものではなく、電気式灰溶融炉、ガス化溶融炉などであってもよい。その場合、電気式灰溶融炉が取得するプロセスデータとしては、灰供給、スラグ流れ、電極間距離、温度分布、O分布、CO分布、NOx分布、ガス流れ方向、ガス流速などを例示できる。また、ガス化溶融炉が取得するプロセスデータとしては、温度分布、O分布、CO分布、NOx分布、ガス流れ方向、ガス流速などを例示できる。また、上記ではストーカ式ごみ焼却炉の自動燃焼制御装置を構成例としているが、ストーカ式以外のごみ焼却炉や電気式灰溶融炉、ガス化溶融炉などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る燃焼制御システムの概略全体構成を示す説明図
【図2】本発明に係る燃焼制御システムの一例を示す概略ブロック図
【図3】本発明に係る燃焼制御システムの制御システムの構成を例示する説明図
【図4】本発明に係る燃焼制御システムの構成要素と制御指標等を例示する説明図
【図5】本発明に係る燃焼制御システムにおける燃焼モデルを例示する説明図
【図6】本燃焼システムを用いた燃焼炉における他の燃焼モデルを例示する説明図
【図7】燃焼制御システムの処理例を示すフローチャート
【図8】従来技術に係る燃焼制御装置の構成例を示す説明図
【符号の説明】
【0045】
1 ホッパ
2 炉本体
2A 一次燃焼ゾーン
2B 二次燃焼ゾーン
3 ストーカ
3A 乾燥ストーカ
3B 燃焼ストーカ
3C 後燃焼ストーカ
3D ストーカ駆動装置
4 ごみ供給装置
5 一次燃焼空気供給装置
5A,5B,5C 調整弁
5D 一次空気ダクト
5E 一次燃焼空気予熱器
5F,6F 送風機
6 二次燃焼空気供給装置
6A 第1空気ノズル
6B 第2空気ノズル
6C 第3空気ノズル
6D 二次空気ダクト
6E 二次燃焼空気予熱器
7 灰排出部
8 排ガス排出部
10 燃焼炉
12 ごみ投入重量検出センサ
13 レーザ距離計
14 NOx濃度計
15 O濃度計
16 CO濃度計
17 ガス流速計
18 赤外線放射温度計
19 蒸気流量計
20 制御装置
20A プロセスデータ取得部
20B 操作量算出部
20C 規則記憶部
30 シミュレーション装置
30A プロセスデータ取得部
30B プロセスデータ記憶部
30C 境界条件設定部
30D 燃焼モデル設定部
30E 設計条件設定部
OP 制御機構
SE 測定手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも燃焼炉に投入される燃焼対象物の量、燃焼対象物の質、空気量、空気の温度、ストーカ速度のいずれかを制御対象とし、少なくとも炉内の温度、ガス濃度、ガス流れ方向、ガス流速、蒸発量のいずれかを制御指標として、該燃焼炉の燃焼状態を制御する燃焼制御システムであって、少なくとも
(a)制御操作が行われる前記各制御対象に係る制御機構と、(b)プロセスデータが得られる前記各制御指標に係る測定手段と、(c)該プロセスデータを受信し、前記燃焼炉の設計条件から前記制御指標のうちの特定の制御指標についてのシミュレーションを行い、該特定の制御指標についての境界条件をシミュレーションデータとして作成し、該シミュレーションデータを送信するシミュレーション装置と、(d)該シミュレーションデータまたはこれと前記プロセスデータを受信し、前記制御対象に係る操作量を演算し、前記制御機構に制御信号を送信して制御する自動燃焼制御装置と、(e)前記制御機構と自動燃焼制御装置、前記測定手段とシミュレーション装置および自動燃焼制御装置、前記シミュレーション装置と自動燃焼制御装置との信号あるいはデータの交信が可能な通信手段と、を備えることを特徴とする燃焼炉の燃焼制御システム。
【請求項2】
前記シミュレーション装置が、前記制御対象あるいは/および制御指標を基に、燃焼モデルを作成する機能を有し、該燃焼モデルを用いてシミュレーションを行い、前記自動燃焼制御装置からの指示に従い、シミュレーションデータの作成を行うことを特徴とする請求項1記載の燃焼炉の燃焼制御システム。
【請求項3】
前記自動燃焼制御装置における制御システムとして、瞬時のデータに対して安定化制御を行うPID制御系と、瞬時のデータ変動量に対して動的最適化制御を行う自己回帰モデル制御系と、予め設定した制御範囲を逸脱する瞬時のデータあるいはその変動量に対して定常復帰制御を行うファジイ制御系と、を備えることを特徴とする請求項1または2記載の燃焼炉の燃焼制御システム。
【請求項4】
少なくとも燃焼炉に投入される燃焼対象物の量、燃焼対象物の質、空気量、空気の温度、ストーカ速度のいずれかを制御対象とし、少なくとも炉内の温度、ガス濃度、ガス流れ方向、ガス流速、蒸発量のいずれかを制御指標として、該燃焼炉の燃焼状態を制御する燃焼制御方法であって、前記燃焼炉の制御系として、上位制御である自己回帰モデル制御または/および非定常制御系であるファジイ制御が組み込まれるとともに、受信した前記プロセスデータまたはシミュレーションデータを用い、瞬時のデータに対してPID制御系を基に安定化制御を行い、瞬時のデータ変動量に対して自己回帰モデル制御系を基に動的最適化制御を行い、予め設定した制御範囲を逸脱する瞬時のデータあるいはその変動量に対してファジイ制御系を基に定常復帰制御を行い、燃焼制御を行うことを特徴とする燃焼炉の燃焼制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate