説明

燃焼芯構造体及びカートリッジキャンドル

【課題】キャンドル形状体の燃焼カートリッジ体本体の凹部に収容されたカートリッジキャンドルの燃焼芯に着火した炎が、あたかもキャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体の燃焼芯が燃焼しているように見える燃焼カートリッジ体を提供する。
【解決手段】上面に設けられた凹部にカートリッジキャンドルが収容されたキャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体に設けられる予定の燃焼芯の燃焼位置を予測して、該カートリッジキャンドルを構成する金属製筒状体の先端を、予測された燃焼芯の燃焼位置とほぼ同じ位置となるように長さを調整し、該カートリッジキャンドルの燃焼炎が、燃焼カートリッジ体本体の燃焼炎のごとく見えるよう構成したキャンドル形状の燃焼カートリッジ体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャンドル用の燃焼芯構造体、該燃焼芯構造体と燃焼剤成型体からなるカートリッジキャンドル及びキャンドル形状の燃焼カートリッジ体に関するものである。特に炎の大きさと位置が一定で、安定した燃焼状態を維持する燃焼芯構造体及びカートリッジキャンドルに関するものである。更にカートリッジキャンドルをキャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体の上部に設けられた凹部に収容し、カートリッジキャンドルの燃焼芯に着火すると、燃焼炎が、あたかも燃焼カートリッジ体本体の燃焼芯が燃焼しているように見えるキャンドル形状の燃焼カートリッジ体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、キャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体の頂部に設けられた凹部に、カップ状容器に収容された小型のカートリッジキャンドルを収容したキャンドル形状の燃焼カートリッジ体が提案されている。このキャンドル形状の燃焼カートリッジ体はカートリッジキャンドルの燃焼炎がキャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体の外観を損なうことがなく、あたかも大型キャンドルの燃焼炎として楽しむことができる。使用後は小型のカートリッジキャンドルは捨てられ、新しいカートリッジキャンドルと交換される。
【0003】
また、本出願人は、燃焼カートリッジ体本体に設けられた凹部へのカップ状容器とカートリッジキャンドルの脱着作業を容易化するために、カートリッジキャンドルとカップ状容器を一体化した燃焼カートリッジ体を提案した(特許文献1参照)。更に、キャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体の頂部に設けられた凹部に、カートリッジキャンドルが収容されたプラスチック製のツバ付きカップ状容器を収容した燃焼カートリッジ体を提案した(特許文献2参照)。かかる燃焼カートリッジ体は、カートリッジキャンドルの交換が容易で、カップ状容器の熱変形がなく、しかも燃焼芯に着火した炎が、あたかも大型キャンドルが燃焼しているかのように見え、大型キャンドルのコスト低減の一つとして最近広く採用されている。
【0004】
さらにキャンドルをカップ状容器中で燃焼させる場合、カップ状容器の熱変形による不安定な燃焼状態を防ぐことができ、しかも炎が途中で消えることなく、所定位置で安定に燃焼するカートリッジキャンドルの燃焼芯構造体を提案した(特許文献3参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3028708号公報
【特許文献2】特許登録第4280879号公報
【特許文献3】特開2003−292988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2で提案されたキャンドル形状の燃焼カートリッジ体は、カップ状容器に収容された小型のカートリッジキャンドルを灯す際に、カップ状容器の開口径が小さい場合にはカートリッジキャンドルの燃焼時間の経過と共にカップ状容器中の燃焼剤が減少して、炎の位置が次第に下がり、燃焼カートリッジ体の頂部に設けられた凹部内に隠れることがある。そのためカートリッジキャンドルの炎が大型キャンドルが燃焼しているようにみえなくなり、灯火としての演出効果を減じることになる。また燃焼時間の経過とともにカートリッジキャンドルの燃焼炎がカップ状容器の開口端より低い位置に下がると、カップ状容器内で気流の乱れが生じて燃焼炎がゆらぎ、炎がカップ状容器の上縁部に当たって容器の上縁部が熱変形や、燃えたりして、カートリッジキャンドルの燃焼状態が不安定になることがあった。
【0006】
特許文献3で提案したカートリッジキャンドルの燃焼芯構造体は、燃焼芯をセラミックス、ガラス、金属等からなる筒状体内に挿通しているため、燃焼炎を常に筒状体の頂部に保つことができ、しかも筒状体の頂部をカップ状容器の開口部付近に設定することにより燃焼炎の熱によるカップ状容器上縁部の熱変形と、カートリッジキャンドルの不安定な燃焼状態を防ぐことのできる画期的な提案である。しかし筒状体として、例えばセラミックスやガラスなどの熱伝導の低い素材を使用すると、燃焼炎の熱が筒状体の上端から下端に速やかに伝わらないため、筒状体の周囲の燃焼剤成型体の溶融が不十分となり、燃焼芯への溶融燃焼剤のスムースな吸い上げが行なわれず燃焼炎が小さくなったり、途中で消火してしまうことがあった。また、熱伝導の優れた金属製の筒状体であっても、燃焼芯への着火直後は、金属製筒状体の加熱が不十分なため、金属製筒状体の周囲の燃焼剤成型体を充分に溶融させることができず、着火した炎が消えることがあった。燃焼芯へ確実に着火させるために長時間ライターの炎を燃焼芯にあてて金属製筒状体を加熱するなどの対策がなされていた。
【0007】
したがって、本発明の第1の目的は、カートリッジキャンドルの燃焼時間の経過と共に燃焼剤が減少しても、炎の位置が変わらずに常に安定した燃焼性能を維持できる燃焼芯構造体を提供することである。
本発明の第2の目的は、燃焼剤成型体に設けられた挿通孔に第1の発明記載の燃焼芯構造体を挿通して取着したカートリッジキャンドルを提供することである。
【0008】
本発明の第3の目的は、キャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体の上面に設けられた凹部に、第2の発明記載のカートリッジキャンドルを収容し、該カートリッジキャンドルの炎が、あたかも燃焼カートリッジ本体が燃焼するように構成され、かつ燃焼状態が安定で、カートリッジキャンドルを収容したカップ状容器の上縁部の熱変形が防止されるキャンドル形状の燃焼カートリッジ体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。すなわち第1の発明は、先端に溶融した燃焼剤をキャンドル燃焼芯へ供給する流路となる切り欠き部、他端に芯座金が装着され、かつ炎の位置が一定となるよう長さが設定された金属製筒状体と、該金属製筒状体に挿入されたキャンドル燃焼芯からなる燃焼芯構造体であって、該金属製筒状体に挿入されたキャンドル燃焼芯の下端部が芯座金または金属製筒状体の下端に取着され、他端部が金属製筒状体の先端から突出されるよう構成した燃焼芯構造体である。
第2の発明は、該切り欠き部が、金属製筒状体の先端から他端まで設けられたスリット状開孔である第1の発明記載の燃焼芯構造体である。
【0010】
第3の発明は、貫通孔を有する燃焼剤成型体と、第1の発明記載の燃焼芯構造体を挿通させたカートリッジキャンドルであって、該燃焼芯の先端を燃焼剤成形体の上面から突出させ、かつ金属製筒状体の先端を燃焼剤成形体に埋没させるとともに、該金属製筒状体の他端に装着された芯座金を燃焼剤成形体の下面に取着したカートリッジキャンドルである。
【0011】
第4の発明は、カップ状容器内に、第3の発明記載のカートリッジキャンドルが収容されたカートリッジキャンドルである。
【0012】
第5の発明は、上面に設けられた凹部に第4の発明記載のカートリッジキャンドルが収容されたキャンドル形状の燃焼カートリッジ体であって、該燃焼カートリッジ体本体に設けられる予定の燃焼芯の突出開始位置を予測して、該カートリッジキャンドルを構成する金属製筒状体の先端を、予測された燃焼芯の突出開始位置とほぼ同じ位置となるよう長さを調整するとともに、該カートリッジキャンドルの燃焼炎が、燃焼カートリッジ体本体の燃焼炎のように見えるよう構成したキャンドル形状の燃焼カートリッジ体である。
【本発明の実施の形態】
【0013】
次に本発明のキャンドルの燃焼芯構造体、該燃焼芯構造体と燃焼剤成型体本体の上面に設けられた凹部にカップ状容器とカートリッジキャンドルを収容したキャンドル形状の燃焼カートリッジ体の一実施例について図面にて説明する。
【0014】
図1は本発明の燃焼芯構造体Aの斜視図であり、図2は断面図である。図に示すように本発明の燃焼芯構造体Aは、上端に溶融した燃焼剤をキャンドル燃焼芯4へ供給する流路となる切り欠き部1と、下端に装着された芯座金2と、炎の位置が一定となるよう長さが設定された金属製筒状体3と、該金属製筒状体3に挿通されたキャンドル燃焼芯4で構成されている。
【0015】
該金属製筒状体3の上端に設けられた切り欠き部1は、燃焼芯4に着火後、燃焼炎の熱で金属製筒状体3の先端部周辺の燃焼剤成型体が溶融し、該溶融した燃焼剤は切り欠き部1を経て燃焼芯4に吸い上げられて燃焼する。切り欠き部1は、燃焼炎で加熱された金属製筒状体3の周囲の固形状燃焼剤を加熱溶融して、燃焼芯が該溶融された燃焼剤を金属製筒状体の下端から安定して吸い上げるまでの間、燃焼を継続させるように長さを設定すればよい。切り欠き部1の長さは、少なくとも3〜6mmが適当である。切り欠き部として金属製筒状体の上端から下端に連続したスリット状の開孔とすると、燃焼芯が溶融された燃焼剤を連続的に確実に吸い上げることができて好ましい。スリット状の開孔は金属製筒状体の上端から下端へ連続した開孔であればよい。通常、直線、ラセン、直線とラセン組合わせた形状などが採用される。該切り欠き部1の幅は溶融した液体状の燃焼剤が通過する僅かな幅があれば良いが、加工の容易性から通常0.3〜3mm幅が適当である。
【0016】
金属製筒状体3は熱伝導性及び加工性が良く、安価で、耐食性の優れた金属が使用される。通常、鉄や鉄合金、アルミニウムやアルミニウム合金、銅や銅合金などが用いられる。また、金属製筒状体3の寸法は、燃焼剤成型体Bの大きさ、コスト、カートリッジキャンドルの使用状態を勘案して選択される。カートリッジキャンドルをキャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体に設けられた凹部に収容して使用する場合には、カートリッジキャンドルの燃焼炎が、燃焼カートリッジ体本体の燃焼炎のように見えるようにするために、金属製筒状体の先端を、キャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体に燃焼芯を取り付けた場合に予想される燃焼芯の突出開始位置とほぼ同じ位置となるように予め金属製筒状体の長さを調整しておく必要がある
【0017】
金属製筒状体の切り欠き部1は、通常アルミニュウム、真ちゅう、ステンレス、銅パイプなどを適当な長さに切断した後、パイプの上端を金属切断ハサミやレーザー等で加工される。スリット状の切り欠き部は、金属製パイプの上端から下端までレーザーや回転刃等で加工するか、金属板を曲げ加工によりスリットを有するパイプを成型することができる。スリット状の切り欠き部は加工が容易で、燃焼芯が溶融燃焼剤を確実に吸い上げるため好ましい。金属製筒状体3の下端は芯座金2に設けられたリブ5付き開口に挿入固定されている。燃焼芯4は芯座金2に設けられた開口から金属製筒状体3に挿入され、金属製筒状体3の上端から所定の長さ突出した状態で切断される。金属製筒状体3の下端部を押圧すると金属製筒状体3の下端部または芯座金のリブに燃焼芯が挟み込まれた状態で取着される。芯座金の開口を金属製筒状体の内径より小さくして芯座金が燃焼芯の下端を挟み込んだ状態で取着しても良い。金属製筒状体3と芯座金2は別々であっても、一体に成形されていても、溶着手段等で一体化されていてもよい。加熱された金属製筒状体の熱が芯座金に伝わるよう少なくとも一部接触していることが重要である。
【0018】
カートリッジキャンドルBは、燃焼芯構造体Aと、該燃焼芯構造体Aを挿通させる貫通孔を有する燃焼剤成型体6から構成されている。
燃焼剤成形体6に設けられた貫通孔に挿入される金属製筒状体3は、その先端が燃焼剤成形体6の上面から下方に位置するよう長さが設定される。燃焼剤成形体6に設けられた貫通孔に挿入された金属製筒状体3の先端が燃焼剤成形体に埋設される。埋設とは、次の2つの状態をいう。▲1▼燃焼剤成型体6に設けられた貫通孔を図3(1)に示すように、上部と下部の貫通孔の直径が異なる二段構造とし、下部の大口径部に金属製筒状体3、上部の小口径部に燃焼芯を挿入して金属製筒状体3の先端が燃焼剤成形体に被せられた状態。
図3(2)は図3(1)のX詳細部を示す。▲2▼燃焼剤成型体6に設けられた貫通孔に燃焼芯構造体Aを挿通して,燃焼芯4の先端を燃焼剤成形体6の上面から突出させた後、燃焼剤成型体6の上面と金属製筒状体の先端との隙間に溶融した燃焼剤を滴下して埋める。
【0019】
金属製筒状体3の先端を燃焼剤成形体に埋設すると、燃焼芯4に着火後、燃焼剤成形体6の上面の燃焼剤が直ちに加熱溶融されて燃焼芯4に吸い上げられて燃焼する。焼剤剤成形体6の上面の燃焼剤が燃焼に消費されている間に燃焼炎の輻射熱で金属製筒状体が加熱されて、周囲の燃焼剤が溶融される。そのため燃焼剤の燃焼芯への吸い上げが途切れることがなく、途中で炎が小さくなったり、消えることはない。一方、金属製筒状体の先端を燃焼剤成型体6の上面から突出させると燃焼芯に着火した後、燃焼炎が金属製筒状体を加熱し、加熱された金属製筒状体が周囲の燃焼剤を溶融するまでに若干時間を要するため炎が途中で消えるという問題がある。
【0020】
カートリッジキャンドルBは、燃焼芯構造体Aを保持した成形型に、溶融した燃焼剤を流し込んで冷却、固形化することにより容易に製造できる。また、燃焼剤成形体を予め成形し、該成形体に設けられた貫通孔に燃焼芯構造体Aを挿通して製造することもできる。通常プレス成形法により貫通孔を有する燃焼剤成形体を成型し、その後貫通孔に燃焼芯構造体を挿入する方法が採用される。
【0021】
次に、本発明のカートリッジキャンドルBをプラスチック容器7に収容して燃焼させたときの燃焼状態を図4(1)〜図4(4)にて説明する。
図4(1)は、燃焼芯4に点火した状態であり、燃焼炎8の輻射熱が燃焼芯4に含浸された燃焼剤を加熱溶融して燃焼する。次いで燃焼炎8は燃焼芯周囲の燃焼剤成形体6の上面を加熱して溶融させる。9は燃焼炎8で加熱溶融された部分である。燃焼炎で金属製筒状体3を覆った部分の燃焼剤が溶融すると、次に金属製筒状体3が加熱される。図4(2)に示すように、燃焼剤成形体6の上部が燃焼炎8の輻射熱で加熱された金属製筒状体3で溶融される。該溶融された燃焼剤9は金属製筒状体3の上部に設けられた切り欠き部1から燃焼芯4に吸い上げられて燃焼する。燃焼が継続すると図4(3)に示すように、燃焼炎8で加熱された金属製筒状体3の周囲の燃焼剤が溶融する。溶融した燃焼剤9が芯座金2と金属製筒状体3の間に形成された隙間、または、芯座金2とプラスチック容器7の底面の間に形成される隙間11から燃焼芯4に吸い上げられて燃焼する。芯座金2に設けられたリブ5付き開口に金属製筒状体3の下端を挿入して固定した際に形成される隙間が溶融燃焼剤の通路となる。また芯座金2、またはプラスチック容器7の底面に形成された僅かな凹凸が隙間となり、溶融燃焼剤はこの僅かな隙間を通過して燃焼芯4に吸い上げられる。芯座金2に下向きの突起を設けると確実に隙間11を形成することができるため好ましい。
【0022】
更に燃焼が継続すると図4(4)に示すように、燃焼剤成形体6が完全に加熱溶融される。溶融した燃焼剤9は芯座金2とプラスチック容器7の間に形成された隙間11から燃焼芯4に吸い上げられるため燃焼剤成形体をほぼ完全に消費することができる。切り欠き部1の切り欠き長さが短いと図4(2)から図4(3)へスムースに移行せず燃焼炎が小さくなったり、消える恐れがある。金属製筒状体3の上端から下端に連続するスリット状の切り欠き部とすると、燃焼芯が燃焼炎で溶融された燃焼剤を常時吸い上げるため燃焼炎が小さくなったり、消える心配がない。
【0023】
特許文献3に開示された切り欠き部のない金属製筒状体12は、図5に示すように、着火後は燃焼芯に含浸された燃焼剤が加熱溶融されて燃焼し、次いで燃焼炎で金属製筒状体12が加熱されて周囲の燃焼剤を溶融する。溶融された燃焼剤の液面が金属製筒状体12の先端を越えている間は燃焼芯が溶融燃焼剤9を吸い上げて燃焼する。しかし溶融燃焼剤の液面が金属製筒状体12の先端より低下すると金属製筒状体で燃焼芯への吸い上げが阻害されて燃焼火炎が次第に小さくなり、その後自然消火する。
一方、本発明では図4(2)に示すように燃焼が進行して、金属製筒状体3の先端が溶融燃焼剤9の上面より突出しても切り欠き部1が溶融燃焼剤9の燃焼芯4へ供給流路となるため安定な燃焼状態が維持される。
【0024】
カートリッジキャンドルBは、通常ガラス製、金属製、プラスチック製のカップ状容器に収容して使用される。また大型のキャンドル形状体の上部に設けた凹部に収容して使用される。
その場合特許文献1に記載されているようにカートリッジキャンドルの底面をカップ状容器に接着剤、粘着剤、両面テープ、磁石などで固着するのが好ましい。カートリッジキャンドルとカップ状容器が一体化されているとカートリッジキャンドルの交換作業が容易となる。カップ状容器は周囲の雰囲気に合わせて任意な色が選択される。また、プラスチック製の容器の場合、その素材は、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネ―トなどのプラスチック、中でも、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネ―トが安価で成型性に優れ好ましく使用される。アルミ製の成形容器等を使用することもできる。カップ状容器入りカートリッジキャンドルは、キャンドル形状の燃焼カートリッジ体に使用するほか、卓上、床上、地面上など設置して使用することができる。
【0025】
更に、カートリッジキャンドルを特許文献1及び特許文献2に記載されているようにキャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体の上面に設けた凹部に収容して使用すると、燃焼後はカートリッジキャンドルを捨てて、新たなカートリッジキャンドルに交換するだけでキャンドル形状の燃焼カートリッジ体が提供できる。この方法はキャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体を繰り返し使用できる利点がある。この場合、キャンドル形状の燃焼カートリッジ本体に取り付けられる予定の燃焼芯の燃焼位置とほぼ同じ位置に燃焼芯構造体Aを構成する金属製筒状体の燃焼位置(上端)を設定する必要がある。カートリッジキャンドルの燃焼炎が燃焼カートリッジ体本体の凹部内に隠れたり、燃焼カートリッジ体本体の上面から突出すると、カートリッジキャンドルの燃焼炎がキャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体の燃焼炎と異なる炎となって、その場の雰囲気を損ねることになる。
【0026】
そのため図6に示すように、キャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体Cの上面に設けた凹部10に収容されるツバ付きの容器13内に収容されるカートリッジキャンドルBは、該カートリッジキャンドルBの燃焼炎の位置となる金属製筒状体3の上端の位置を調整する必要がある。該金属製筒状体3の上端の位置は、キャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体Cに設けられる予定の燃焼芯の燃焼位置(燃焼芯の突出開始位置)を予測し、その予測された位置とほぼ同じ位置となるように長さが調整される。カートリッジキャンドルBの燃焼炎の位置を調整することにより、カートリッジキャンドルBの燃焼炎8が燃焼カートリッジ体本体Cと一体になり、該燃焼炎8をあたかも燃焼カートリッジ体本体Cの燃焼炎のように見ることができる。また、カートリッジキャンドルBは燃焼後容器ごと交換するためカートリッジキャンドルの交換が容易である。また、カートリッジキャンドルBを収容するツバ付きの容器13は、特許文献2に記載されている側壁の先端部が外方に折り曲げられてツバ状に形成された末広形状のカップ状容器が好ましく使用される。
【0027】
次に本発明のカートリッジキャンドルと従来のカートリッジキャンドルの燃焼状態を観察した結果を示す。
まず、直径約15mm、厚み0.15mmのスチール製丸座金の中央部に3種類の異なる金属製筒状体を各々3個づつ用意し、各金属製筒状体に偏平状の木綿糸20番手30本よりなる、燃焼剤を含浸させた三組燃焼芯を挿入し、金属製筒状体の下端部をカシメて固定した9個を燃焼芯構造体を用意した。また金属製筒状体を使用せずに上記三組燃焼芯のみからなる燃焼芯構造体を3個用意した。さらにパラフィンワックスを主成分とした直径36mm、高さ20mmの燃焼剤成型体の中心部に設けた貫通孔に燃焼芯構造体または燃焼芯を挿入して4種類のカートリッジキャンドルを製作した。
次に上記カートリッジキャンドルを底部直径36.5mm、上部開口径40mm、高さ約28mmの透明なポリカーボネート製のカップ状容器に収容して4種類の容器入りカートリッジキャンドルを各々3個、合計12個製作した。
【0028】
燃焼芯構造体または燃焼芯は下記の4種類である。
1.外径4mm、内径3mm、長さ10mmで上端から下端に連続する幅0.5mmのスリット状開孔を設けたアルミニウム製パイプ内に、木綿糸20番手30本よりなる三組燃焼芯を挿入
2.外径4mm、内径3mm、長さ10mmで上端に幅0.5mm、長さ3mmの4個の切り欠き部を等間隔で設けたアルミニウム製パイプに1と同じ三組燃焼芯を挿入
3.外径4mm、内径3mm、長さ10mmのアルミニウム製パイプに1と同じ三組燃焼芯を挿入(切り欠き部なし)
4.木綿糸20番手30本よりなる三組燃焼芯のみ(アルミニウム製パイプなし)
【0029】
3種類の異なる燃焼芯構造体と燃焼芯を使用した12個のカートリッジキャンドルを密集しないようにそれぞれ20cm間隔に配置して、燃焼芯に点火し、その後の燃焼状態を観察した。燃焼状態の観察結果を表−1に示す。
【0030】
【表−1】

【0031】
燃焼状態を観察した結果、1及び2の▲1▼、▲2▼、▲3▼は燃焼炎で燃焼剤成形体の上部が溶融して燃焼に消費され、パイプの上端が燃焼剤の溶融部より突出した際に、溶融燃焼剤が軸方向に設けられたスリットを通過して燃焼芯に吸い上げられるため炎が消えることはなかった。更に、露出したパイプ上部を燃焼火炎が加熱することでパイプ全体が加熱されてパイプの周囲の燃焼剤が溶融し、パイプ下部より燃焼芯に供給され、燃焼炎がパイプ上部に維持された状態で容器に燃焼剤がほとんどなくなるまで約3時間良好な燃焼状態を維持した。
【0032】
一方4の▲1▼、▲2▼、▲3▼はいずれも点火して約1〜1.3時間でカップ状容器の上縁が熱変形し始め、その後徐々に変形が進んだ。特に4の▲3▼は変形した上縁が炎でこげてしまった。3の▲2▼はパイプ上部で燃焼炎が維持され、容器が熱変形することなく良好な燃焼状態を維持した。3の▲1▼は着火して10分ほどで燃焼剤成形体の上面が溶融して、パイプの上端が露出した。その後、燃焼芯への溶融燃焼剤の吸い上げが滞り、燃焼炎が徐々に小さくなった。また、3の▲3▼は、着火して10分ほどで3の▲1▼と同じように燃焼炎が徐々に小さくなり、13分後には燃焼芯への溶融燃焼剤の吸い上げができなくなって消火した。
上記燃焼状態の観察結果から、金属製筒状体の上端に設けた切り欠き部や、金属製筒状体の上端から下端に設けた連続するスリット状切り欠き部により、燃焼芯が該切り欠き部を通過する溶融燃焼剤を吸い上げて良好な燃焼状態が維持されることが証明された。
【発明の効果】
【0033】
本発明の燃焼芯構造体は、該燃焼芯構造体を構成する金属製筒状体の先端に、溶融した燃焼剤をキャンドル燃焼芯へ供給する流路となる切り欠き部を設けている。燃焼剤成型体に燃焼芯構造体を装着したカートリッジキャンドルに灯火すると燃焼炎が燃焼芯に含浸された燃焼剤を加熱溶融し、次いで燃焼芯周囲の燃焼剤成形体6を加熱して溶融させるが、その際、燃焼炎で加熱溶融された燃焼剤が金属製筒状体の上端に設けられた切り欠き部から燃焼芯に吸い上げられるため、灯火後に燃焼炎が小さくなったり、消えることがない。さらに燃焼が継続すると、加熱溶融された燃焼剤が芯座金と金属製筒状体の間に形成された隙間から燃焼芯に吸い上げられるため燃焼剤成形体をほぼ完全に消費することができる。また、本発明のカートリッジキャンドルを大型のキャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体の上面に設けられた凹部に収容して、カートリッジキャンドルの燃焼芯に灯火すると、カートリッジキャンドルの燃焼炎が、あたかも燃焼カートリッジ体本体の燃焼炎のごとく見えるためキャンドルの灯火による演出効果を損なうことがない。カートリッジキャンドルの燃焼終了後は新しいカートリッジキャンドルと交換するだけでよいため、キャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体は繰り返し使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】 本発明の燃焼芯構造体の斜視図である。
【図2】 本発明の燃焼芯構造体の断面図である。
【図3(1)】 本発明のカートリッジキャンドルの断面図である。
【図3(2)】 図3(1)のカートリッジキャンドルのX部詳細図である。
【図4(1)】 プラスチック容器に収容した本発明のカートリッジキャンドルの燃焼状態を説明する断面図である。
【図4(2)】 プラスチック容器に収容した本発明のカートリッジキャンドルの燃焼状態を説明する断面図である。
【図4(3)】 プラスチック容器に収容した本発明のカートリッジキャンドルの燃焼状態を説明する断面図である。
【図4(4)】 プラスチック容器に収容した本発明のカートリッジキャンドルの燃焼状態を説明する断面図である。
【図5】 従来のカートリッジキャンドルの燃焼状態を説明する断面図である。
【図6】 本発明のキャンドル形状の燃焼カートリッジ体の説明図である。
【符号の説明】
【0035】
A 燃焼芯構造体
B カートリッジキャンドル
C キャンドル形状の燃焼カートリッジ体本体
D キャンドル形状の燃焼カートリッジ体
1 切り欠き部
2 芯座金
3 金属製筒状体
4 燃焼芯
5 リブ
6 燃焼剤成型体
7 プラスチック容器
8 燃焼炎
9 燃焼剤の溶融部
10 凹部
11 隙間
12 従来の金属製筒状体
13 ツバ付き容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に溶融した燃焼剤をキャンドル燃焼芯へ供給する流路となる切り欠き部、他端に芯座金が装着され、かつ炎の位置が一定となるよう長さが設定された金属製筒状体と、該金属製筒状体に挿入されたキャンドル燃焼芯からなる燃焼芯構造体であって、該金属製筒状体に挿入されたキャンドル燃焼芯の下端部が芯座金または金属製筒状体の下端に取着され、他端部が金属製筒状体の先端から突出されるよう構成したことを特徴とする燃焼芯構造体。
【請求項2】
該切り欠き部が、金属製筒状体の先端から他端まで設けられたスリット状開孔であることを特徴とする請求項1記載の燃焼芯構造体。
【請求項3】
貫通孔を有する燃焼剤成型体と、該貫通孔に請求項1記載の燃焼芯構造体を挿通させたカートリッジキャンドルであって、該燃焼芯の先端を燃焼剤成形体の上面から突出させ、かつ金属製筒状体の先端を燃焼剤成形体に埋没させるとともに、該金属製筒状体の他端に装着された芯座金を燃焼剤成形体の下面に取着したことを特徴とするカートリッジキャンドル。
【請求項4】
請求項3記載のカートリッジキャンドルがカップ状容器内に収容されてなることを特徴とするカートリッジキャンドル。
【請求項5】
上面に設けられた凹部に請求項4記載のカートリッジキャンドルが収容されたキャンドル形状の燃焼カートリッジ体であって、該燃焼カートリッジ体本体に設けられる予定の燃焼芯の突出開始位置を予測して、該カートリッジキャンドルを構成する金属製筒状体の先端を、予測された燃焼芯の突出開始位置とほぼ同じ位置となるように長さを調整し、該カートリッジキャンドルの燃焼炎が、燃焼カートリッジ体本体の燃焼炎のように見えるよう構成したことを特徴とするキャンドル形状の燃焼カートリッジ体。

【図1】
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【図2】
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【図3(1)】
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【図3(2)】
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【図4(1)】
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【図4(2)】
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【図4(3)】
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【図4(4)】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−178978(P2011−178978A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61492(P2010−61492)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(593121782)ペガサスキヤンドル株式会社 (9)
【Fターム(参考)】