説明

燃焼装置

【課題】 気化室の底面と回転部材との間に形成される空間に燃料ガスやこれを含む気体が滞留するのを防止可能な燃焼装置の提供を目的とする。
【解決手段】 燃焼装置1は、液体燃料を回転部材8上に滴下し、これを加熱された気化室70の内周面に向けて飛散させ、気化させることにより発生する燃焼ガスを燃焼するものである。回転部材8は、滴下部の裏面側に旋回羽根43が取り付けられた構成とされている。そのため、燃焼装置1は、回転部材8を回転させると空間77内において気流が発生し、これにより気化室70内で発生した燃焼ガスが空間77内に侵入するのを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料を気化して発生する燃料ガスを燃焼する燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、下記特許文献1に開示されているように、液体燃料を気化して燃焼する燃焼装置が提供されている。この種の燃焼装置の多くは、液体燃料を気化するために設けられた有底筒状の気化室内に板状の回転部材を配し、当該回転部材に対して液体燃料を滴下し、これを加熱状態にある気化室の内周面に向けて拡散させて気化させる構成とされている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−327905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したような回転部材を備えた燃焼装置では、回転部材に滴下された液体燃料を気化部の内周面に向けて略均一に分散させるべく、回転部材の表面積が大きく取られる傾向にある。これにより、従来技術の燃焼装置では、回転部材の外周に隣接する気化室の内周壁と回転部材との隙間が狭くなる傾向にある。そのため、従来技術の燃焼装置では、回転部材と気化室の底面との間の空間に燃焼ガスが溜まると、この空間から燃焼ガスが抜けにくい。
【0005】
また、従来技術の加熱装置では、燃焼作動中に気化室の底面との間に形成された空間内に未燃状態のまま滞留した燃焼ガスが、燃焼作動の終了後にそのまま排気筒から排出されてしまったり、ごく低温の条件下においては気化室の底面付近でタール状に固化して付着してしまうという問題がある。
【0006】
上記した問題に鑑み、本発明は、気化室の底面と回転部材との間に形成される空間に燃料ガスやこれを含む気体が滞留するのを防止可能な燃焼装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項1に記載の発明は、液体燃料を気化して燃料ガスを生成する気化部を有し、気化部において生成された燃料ガス、あるいは、当該燃料ガスと空気とが混合された混合ガスを燃焼部に供給して燃焼させる燃焼装置において、前記気化部に、一端が閉塞面によって閉塞され、他端に開口を有する筒状の気化室と、当該気化室内において所定の回転軸を中心として回転可能な回転部材とが設けられており、当該回転部材が、液体燃料が滴下される滴下部を有し、当該滴下部が気化室の閉塞面に沿うように配されており、気化室の開口側から前記滴下部に向けて滴下された液体燃料を気化室の壁面に向けて拡散するものであり、前記滴下部と気化室の閉塞面との間に所定の空間が形成されており、当該空間内に回転部材の回転に伴って回転する翼状部が設けられていることを特徴とする燃焼装置である。
【0008】
本発明の燃焼装置では、滴下部を回転させることにより、翼状部が滴下部と気化室の閉塞面との間に形成される空間内で回転し、当該空間内で気流が発生する。そのため、本発明の燃焼装置では、滴下部の外周部分と気化室の内周面との隙間から滴下部と気化室の閉塞面との間に形成される空間内に燃焼ガスや混合ガスが流入したり、これらのガスが前記空間内に滞留するのを抑制できる。
【0009】
上記したように、本発明の燃焼装置では滴下部と気化室の閉塞面との間に形成される空間内に燃焼ガスや混合ガスが滞留しにくいため、燃焼作動の終了後に燃焼ガスや混合ガスが未燃状態のまま排出される等の不具合が起こりにくい。
【0010】
ここで、上記請求項1に記載の燃焼装置は、滴下部が、気化室の閉塞面に対向する対向面を有し、翼状部が、前記対向面に沿う方向に気流を発生可能なものであることが望ましい(請求項2)。
【0011】
かかる構成によれば、滴下部の外周部分と気化室の内周面との隙間から滴下部と気化室の閉塞面との間に形成される空間内に燃焼ガスや混合ガスが流入したり、これらのガスが前記空間内に滞留するのを抑制できる。従って、本発明の燃焼装置では、前記空間内に燃焼ガス等が滞留することによる不具合が起こりにくい。
【0012】
上記請求項1又は2に記載の燃焼装置において、翼状部は、回転部材の回転方向に対して交差する方向に面状に拡がるものであってもよい(請求項3)。
【0013】
かかる構成によれば、回転部材の回転に伴って回転部材と気化部の閉塞面との間に形成される空間内で強い気流を発生させることができる。そのため、本発明の燃焼装置では、前記空間内に燃焼ガスや、燃焼ガスを含む混合ガスが流入したり滞留するのを抑制でき、燃焼ガス等が前記空間内に滞留することに伴う不具合も起こりにくい。
【0014】
ここで、翼状部を設ける場合、回転部材と気化室の閉塞面との間に形成される空間内で効率よく気流を発生させるためには、翼状部の表面積が大きいことが望ましい。そこで、かかる知見に基づき、上記請求項1〜3のいずれかに記載の燃焼装置は、翼状部が、回転部材の回転中心側から回転部材の外接円の径方向外側に向かって面状に拡がるものであり、中途で回転部材の回転の正方向あるいは逆方向に屈曲した構成とすることも可能である(請求項4)。
【0015】
かかる構成によれば、翼状部の表面積を大きく取ることができ、回転部材と気化室の閉塞面との間に形成される空間内への燃焼ガス等の流入を抑制するのに十分な気流を発生させることができる。
【0016】
上記したように、回転部材と気化室の閉塞面との間に形成される空間内に燃焼ガス等が流入するのを抑制するためには、前記空間内において回転部材に沿う方向に流れる気流を発生させることが望ましい。また、回転部材に沿って流れる気流は、回転部材と気化室の内周面との間に形成される隙間から燃料ガスが流入するのを阻止可能な程度の勢いを持つことが望ましい。
【0017】
そこで、かかる観点に基づき、上記請求項1〜4のいずれかに記載の燃焼装置は、翼状部が、回転部材の回転中心側から回転部材の径方向外側に向かって面状に拡がるものであり、回転部材の回転中心側の部位における接線S1と、回転部材の径方向外側の部位における接線S2とを想定した場合に、前記接線S1が接線S2に対して回転部材の回転方向に傾いた構成とすることも可能である(請求項5)。
【0018】
かかる構成によれば、回転部材と気化室の閉塞面との間に形成される空間内への燃焼ガス等の流入を抑制するのに十分な気流を回転部材に沿う方向に発生させることができる。
【0019】
ここで、本発明者らの鋭意研究により、上記請求項1〜5に記載の燃焼装置において、回転部材の外周部分と気化室の内周面との間に形成される隙間から回転部材と気化室の閉塞面との間に形成される空間内に燃焼ガス等が流入するのを効率よく抑制するためには、前記空間内で気化室の内周面に向かう気流を発生させることが有効であることが判明した。
【0020】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項6に記載の発明は、複数の翼状部が回転部材の回転方向に所定の間隔を開けて配されており、隣接する翼状部同士の間隔が、回転部材の回転中心側から外周側に向けて拡がっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0021】
かかる構成とすれば、回転部材を回転させることにより、回転部材の回転中心側から回転部材の外周側、すなわち気化室の内周面側に向かう気流を発生させることができる。そのため、本発明の燃焼装置では、回転部材の回転に伴って発生する気流によって燃焼ガスや混合ガスが回転部材と気化室の閉塞面との間に形成される空間内に流入するのを抑制できる。従って、本発明の燃焼装置では、前記空間内に燃焼ガス等が流入したり滞留するなどして起こる不具合の発生を抑制できる。
【0022】
ここで、上記した燃焼装置において採用されている回転部材は、滴下部が凹凸等を持たない平坦な板状のものとすることができる。しかし、回転部材をこのような構成とした場合、滴下部に滴下された液体燃料は、滴下部の回転方向(周方向)に余り拡がらず、滴下部の回転に伴って作用する遠心力の影響を受けて滴下部の径方向外側に向かってほぼまっすぐに飛散することとなる。
【0023】
さらに詳細に説明すると、滴下部が平坦な場合は、滴下された液体燃料が滴下部上で十分拡がらず、そのまま滴下部から気化室の内周面に向けて飛散することとなる。このため、回転部材の回転速度や液体燃料の滴下量等の条件次第では、滴下部に対して液体燃料が滴下される位置において気化室の内周面に向けて飛散する燃料の量と、これよりも回転部材の回転方向下流側において気化室の内周面に向けて飛散する燃料の量との間に不均衡が生じる可能性がある。すなわち、滴下部が平坦であると、条件によっては、滴下された液体燃料の多くがそのまま滴下部の径方向外側に向けて飛散し、滴下部の回転方向下流側において飛散する液体燃料が減ってしまうこととなり、回転部材の回転方向に液体燃料の飛散量のバラツキが発生する可能性がある。
【0024】
上記したように、回転部材から気化室の内周面への液体燃料の飛散量がばらつくと、液体燃料が気化して発生する燃料ガスの濃度が不均一となり、燃料ガス濃度の濃い部分から気化室の閉塞面と滴下部との間に形成された空間内に燃料ガスが流入したり滞留してしまう可能性がある。また、このような不具合が進行すると、燃焼部において燃焼不良が起こったり、燃焼部にススやタールが付着してしまう可能性もある。
【0025】
そこで、かかる知見に基づいて本発明者らが鋭意研究したところ、上記請求項1〜6のいずれかに記載の燃焼装置は、滴下部が、気化室の開口側に向けて凹形状あるいは凸形状の起伏部を有する構成とすることにより、滴下部に滴下された液体燃料が滴下部の周方向に拡がるのを促進し、径方向外側に向かってほぼまっすぐに飛散してしまうのを抑制できることを見いだした(請求項7)。
【0026】
上記したように滴下部に起伏部を設けることにより液体燃料の飛散状態を改善できる理由は、概ね以下の通りであると推定できる。
すなわち、例えば起伏部として気化室の開口側に凹形状のものを設けた場合は、滴下部に滴下された液体燃料の一部が凹部に流入するものと想定される。この場合、凹部に流入した液体燃料が、回転力を受けて回転しつつ遠心力によって徐々に飛散する。従って、滴下部に凹状の起伏部を設ければ、液体燃料を気化室内にほぼ均一に飛散させることができる。
【0027】
また、例えば起伏部として気化室の開口側に向けて凸形状のものを設けた場合は、滴下部に滴下された液体燃料の一部が起伏部近傍において拡散するものと想定される。このようにして拡散した液体燃料は、起伏部から回転力を受けて回転しつつ、遠心力によって徐々に飛散するものと想定される。そのため、起伏部として凸形状のものを設けた場合についても、液体燃料を気化室内にほぼ均一に飛散させることができる。
【0028】
上記したように、本発明の燃焼装置では、気化室内に液体燃料をほぼ均一に飛散させることができるため、燃料ガスの濃度についても気化室内においてほぼ均一になるものと想定される。そのため、本発明によれば、液体燃料の飛散量の不均衡に起因して燃料ガスや混合ガスが気化室の閉塞面と滴下部との間に形成された空間内に流入するのを抑制でき、前記空間内に燃料ガスが滞留することによる不具合を軽減あるいは解消することができる。
【0029】
上記したように、請求項7に記載の発明において、起伏部は、滴下手段から滴下された液体燃料が回転部材の径方向外側に向けて流れるのを抑制する効果を発揮する。そのため、この効果を確実に発揮させるためには、起伏部の近傍や、起伏部よりも回転部材の回転中心寄りの位置に液体燃料が滴下されることが望ましい。
【0030】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項8に記載の発明は、液体燃料を回転部材の回転軸から所定の距離だけ離れた位置に滴下可能な滴下手段を有し、回転部材を回転させた状態で前記滴下手段によって液体燃料を滴下して形成される仮想円を想定した場合に、起伏部が、当該仮想円の近傍、あるいは、当該仮想円を基準として回転軸から離れた領域に配されていることを特徴とする請求項7に記載の燃焼装置である。
【0031】
かかる構成とした場合、滴下手段から滴下部に向けて滴下された液体燃料が滴下部上で拡がる前に滴下部の径方向外側に向けて飛散してしまうのを抑制できる。そのため、本発明によれば、滴下手段から滴下された液体燃料を、回転部材を取り巻く気化室の内周面全体に略均一に飛散させることができ、液体燃料の気化状態を安定化することができる。従って、本発明によれば、液体燃料の気化状態による燃料ガスの濃度分布の発生を抑制でき、燃料ガスや混合ガスが気化室の閉塞面と滴下部との間に形成された空間内に流入したり、前記空間内に燃料ガスが滞留することによる不具合を最小限に抑制できる。
【0032】
上記したように、請求項1〜8に記載の発明によれば、気化室の閉塞面と回転部材の滴下部との間に形成される空間に燃料ガスやこれを含む気体が流入するのを阻止できる。そのため、上記請求項1〜8に記載の発明は、滴下部の外接円の直径と気化室の内周壁の直径との比率が、85:100〜95:100の範囲内にある構成の燃焼装置に好適に適用することができる(請求項9)。
【0033】
また、本発明によれば、気化室の大きさに対して滴下部の大きさを大きくとることができる。そのため、本発明の構成を採用すれば、液体燃料を効率よく飛散させ、気化させることができる。従って、本発明によれば、気化部や燃焼装置の小型化に資することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、気化室の底面と回転部材との間に形成される空間内に、燃料ガスやこれを含む気体が滞留するのを防止し、燃料ガス等が滞留することによる不具合の発生を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
続いて、本発明の一実施形態にかかる燃焼装置について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態の燃焼装置は、後述する回転部材に特徴を有するものであるが、回転部材の詳細な説明に先立って、燃焼装置の全体構造および動作について説明する。
【0036】
図1において、1は本実施形態の燃焼装置である。燃焼装置1は、灯油等の液体燃料を気化して燃焼する、いわゆる「気化式」の燃焼装置である。また、燃焼装置1は、炎孔から下方に向けて燃料を噴出させて燃焼させる、いわゆる「下方燃焼型」の燃焼装置である。
【0037】
図1に示すように、燃焼装置1は、上から送風機2、駆動機械部3、空気量調整手段4、混合部5及び燃焼部6に大別される。混合部5及び燃焼部6の近傍には気化部(気化器)7が設けられており、空気量調整手段4と気化器7の間には、流路形成部材13が配されて空気流路が形成されている。
【0038】
順次説明すると、図1に示すように、送風機2は、鋼板を曲げ加工して作られた凹状のハウジング20の内部にファン(回転翼)21が回転可能に配されたものである。ハウジング20の中央部には、吸気開口22が設けられている。
【0039】
駆動機械部3は、箱体10を有し、その天板12の中央にモータ30が取り付けられている。モータ30は、両端部から回転軸30a,30bが突出しており、回転軸30a,30bは、燃焼装置1の略全長を上下へ向けて貫通している。そして、モータ30の上方側の回転軸30aは、ファン21に接続され、下方側の回転軸30bは、気化器7の回転部材8に接続されている。すなわち、モータ30の回転駆動により、ファン21が回転し、空気が吸気開口22から取り込まれて下方へ向けて送風(空気供給)されると共に、回転部材8が気化器7内で回転する。
【0040】
箱体10の内側は、燃焼部6に対して空気を供給する空気供給流路として機能する部分である。箱体10内には、天板12と空気量調整手段4とによって囲まれた空気室15が形成されている。すなわち、空気供給流路の中途には、空気量調整手段4が設けられており、この上方に空気室15が形成されている。空気室15には、天板12に設けられた空気孔(図示せず)を介して空気が導入される。
【0041】
空気量調整手段4と後述する炎孔ベース60との間には、空気分流部16が形成されている。すなわち、空気供給流路の中途に設けられた空気量調整手段4の下方に、空気分流部16が形成されている。空気分流部16内の空間は、流路形成部材13により、一次空気流入部17と、二次空気流入部18とに仕切られている。
【0042】
空気量調整手段4は、空気室15から空気分流部16側に流入する空気量を調整するダンパとして機能するものである。空気量調整手段4は、図3に示すように略矩形で板状の固定側板状部材4aと、略円盤形で板状の回転側板状部材4bとを組み合わせて構成されるものである。固定側板状部材4aおよび回転側板状部材4bの略中心部には、固定具4c,4dを装着するための挿通孔4e,4fが設けられている。固定側板状部材4aおよび回転側板状部材4bは、固定具4c,4dを中心として、互いに相対回転可能とされている。
【0043】
固定側板状部材4aおよび回転側板状部材4bには、挿通孔4e,4fを中心として複数の一次開口4g,4hが周方向に所定の間隔を開けて放射状に設けられており、その外周側に複数の二次開口4i,4jが設けられている。そのため、空気量調整手段4は、回転側板状部材4bを固定側板状部材4aに対して相対回転させることにより、一次開口4g,4hおよび二次開口4i,4jを連通させたり、閉塞させることができる。よって、空気量調整手段4は、回転側板状部材4bの回転量を調整することにより、一次開口4g,4hおよび二次開口4i,4jの連通領域(開口領域)を調整し、空気室15から空気分流部16側に流入する空気量を調整できる。
【0044】
混合部5、燃焼部6及び気化部7は、炎孔ベース60を中心として構成され、ハウジング11内に収納されている。また、炎孔ベース60の中央部には、気化部7が設けられている。
【0045】
さらに具体的には、炎孔ベース60は、アルミダイカストによって作られており、図2に示すように複雑な枠組と開口及び溝が設けられたものである。炎孔ベース60の上面側(図2において上方側)は、主として燃料ガス及び二次空気の流路構成面として機能し、下面側(図2において下方側)は炎孔取付け面として機能する。
【0046】
すなわち、炎孔ベース60には、多数のループ状の垂直壁62で仕切られた空気溝63が設けられている。そして、隣接する垂直壁62同士の間には、ガス溝64が設けられている。これにより、炎孔ベース60は、後述する気化部7で生成された燃料ガスを上面壁61と垂直壁62との間を介してガス溝64に連通した炎孔から噴出させ、火炎を発生させることができる構成とされている。
【0047】
空気溝63は、空気分流部16内の空間であって、流路形成部材13の外側に形成された二次空気流入部18に連通している。そのため、空気量調整手段4を介して空気室15から二次空気流入部18に流入した空気(二次空気)は、空気溝63を介してガス溝64に連通した炎孔の両側に噴出され、炎孔に形成された火炎の側方から二次空気を供給する。
【0048】
気化部7は、気化室70と、回転部材8とを備えた構成とされている。気化室70は、図2に示すように、底面部71と周部72を持つ円筒体である。気化室70は、下端側の底面部71が閉塞し、上端部が開口している。すなわち、気化室70は、底面部71及び周部72によって構成された有底で略円筒状の形状となっており、気密性および液密性を有する。
【0049】
気化室70には、電気ヒーター73と温度センサ(図示せず)とが取り付けられている。電気ヒーター73は、気化室70の底面部71側の部位に内蔵されており、通電することによって気化室70を全体的に加熱できる。また、気化室70には、上端側の開口から燃料パイプ14が差し込まれており、これを介して気化室70内に配された回転部材8に液体燃料を滴下(供給)可能な構成とされている。
【0050】
回転部材8は、金属製の板体を切り起こすなどして作製されるものであり、図4や図5、図6に示すように平板状の滴下部40と、これに対して略垂直に立ち上がった攪拌羽根42および旋回羽根43(翼状部)を有する。
【0051】
回転部材8は、図4(a)や図5(a)に示すように、滴下部40の中央に設けられた固定孔41に回転軸30bを挿通し、これにナットNを装着することにより、滴下部40が気化室70の底面部71に対して略平行となるように設置されている。また、図4(b)に示すように、回転部材8は、滴下部40を表面40a側から正面視した状態における外接円C1の直径D1が気化室70の内径D2、すなわち内周面70aの直径よりも僅かに小さい程度である。さらに具体的には、回転部材C1の直径D1と気化室70の内径D2との比率は、85:100〜95:100の範囲内にある。そのため、気化部7は、滴下部40の外周部と気化室70の70aとの隙間Gがごく僅かである。すなわち、回転部材8の滴下部40は、図4(a)に示すように気化室70の開口領域の大部分を横断するように配されており、回転部材8と気化室70の底面部71との間に形成される空間77と、回転部材8よりも気化室70の開口端側の空間78との連通領域がごく僅かである。
【0052】
攪拌羽根42は、図4(a)に示すように滴下部40の表面40a側、すなわち気化室70内に滴下部40を配した場合に気化室70の開口に向く面から立ち上がる部分である。攪拌羽根42は、図5(b)に示すように、滴下部40の周縁に沿って等間隔に9組設けられている。また、隣接する撹拌羽根42同士の間は、開放され、スリット44が形成されている。
【0053】
攪拌羽根42は、回転部材8を平面視した際に略「L」字形に折れ曲がった形状とされている。さらに具体的には、攪拌羽根42は、滴下部40の外周に沿って略垂直に立ち上がる長方形状の主翼部42aと、これに対して滴下部40の中心方向に略垂直に折れ曲がった台形状の補助翼部42bとを有する。
【0054】
主翼部42aは、図5(b)のように、撹拌羽根42の主翼部42aと補助翼部42bとの境界部分を通る仮想円C2を想定した場合に、この仮想円C2の外接線Tに対して僅かに仮想円C2の外方へ傾斜した形状とされている。そのため、回転部材8を図5(b)等に矢印で示すように反時計方向に回転させると、主翼部42aによって回転気流が発生し、気化室70内に存在する気体の撹拌を促進させることができる。
【0055】
補助翼部42bは、主翼部42aの一端側、さらに詳細には滴下部40の周方向一端側の端部において滴下部40の中央側に向けて屈曲している。また、図5(b)に示すように、補助翼部42bの幅W1は、主翼部42aの幅W2とほぼ同一である。補助翼部42bは、図5(a)に示すように下部(滴下部40側の部位)が斜めに切り欠かれており、滴下部40との間に隙間が形成されている。
【0056】
滴下部40の中央に設けられた固定孔41の周囲には、5個の凸部45(起伏部)が配列されている。凸部45は、攪拌羽根42の立ち上がり方向と同一方向に突出している。すなわち、凸部45は、図4に示すように気化室70内に回転部材8を配置した際に、気化室70の開口側に向けて突出するように設けられている。
【0057】
図4(b)に示すように、凸部45は、回転部材8を回転軸30bに固定した際に、燃料パイプ14の先端部分の鉛直下方よりも僅かに滴下部40の径方向外側にずれた位置に来るように設けられている。換言すれば、燃焼装置1において、燃料パイプ14の先端部は、回転部材8に設けた凸部45よりも僅かに内方側にずれた位置にある。すなわち、図4(b)に示すように、回転部材8が回転軸30bを中心として回転している状態において燃料パイプ14から液体燃料を滴下して形成される仮想円C3を想定した場合、凸部45は、仮想円C3上あるいは仮想円C3よりも滴下部40の径方向外側(回転軸30bから離れる方向)にずれた位置に形成されている。
【0058】
図6に示すように、滴下部40の裏面40b(対向面)側、すなわち気化室70内に回転部材8を配した際に底面部71と対向する面には、金属製の円板体46が取り付けられている。円板体46は、中心に挿通孔46aを有し、その外周側の部位に6つの旋回羽根43を有する。円板体46は、旋回羽根43が滴下部40の裏面40b側、すなわち気化室70内に回転部材8を配した際に底面部71と対向する面から下方に向けて垂直に立ち下がるように取り付けられている。そのため、回転部材8をモータ30の回転軸30bに取り付けると、旋回羽根43が滴下部40と底面部71との間に形成される空間77内に収容された状態になる。
【0059】
旋回羽根43は、いずれも円板体46を構成する金属板を同一方向に切り起こして形成されたものであり、円板体46の周方向に所定の間隔を開けて設けられている。旋回羽根43は、図6に示すように、円板体46の中心側から外周側に向かう中途の部分で屈曲した形状とされている。さらに具体的には、旋回羽根43は、円板体46の中心側の部位(内周部43a)および円板体46の外周側の部位(外周部43b)とに大別され、両者の境界部分において屈曲している。すなわち、図6(b)に示すように、旋回羽根43の内周部43aおよび外周部43bの接線S1,S2は、所定の角度θで交わっている。また、内周部43aの接線S1は、外周部43bの接線S2に対して回転部材8の回転方向にθだけずれている。
【0060】
また、上記したように、旋回羽根43は、中途で屈曲した形状であるため、円板体46の中心側から外周側に向けてまっすぐに拡がる形状とした場合に比べて表面積が大きい。そのため、回転部材8が回転すると、滴下部40の裏面40bと気化室70の底面部71との間に形成される空間77に存在する気体を効率よく攪拌することができる。
【0061】
続いて、燃焼作動中における回転部材8の動作について説明する。本実施形態の燃焼装置1において、回転部材8は、図4(b)に矢印で示すように滴下部40の表面40a側から見て反時計方向に回転する。燃焼装置1が燃焼作動する際は、燃料パイプ14を介して回転部材8の滴下部40上に灯油などの液体燃料が滴下される。さらに具体的には、燃焼装置1では、液体燃料が滴下部40に設けられた凸部45上、あるいは、これよりも滴下部40の中心側(回転軸30b側)に外れた位置に滴下される。
【0062】
滴下部40の表面40aに滴下された液体燃料は、図4(b)の様に、滴下部40の周方向に並べて配された凸部45同士の間に分散して拡散する。凸部45同士の間に拡散した液体燃料は、凸部45から回転力を受けて回転しつつ、滴下部40の回転に伴う遠心力によって径方向外方へ向けて流動する。そして、径方向外方へ向けて流動する液体燃料の一部は、そのままスリット44を介して気化室70の内周面70aに向けて飛散する。また、径方向外方へ向けて流動する液体燃料の残部は、さらに撹拌羽根42に沿って滞留し、徐々にスリット44に向けて流動して内周面70aへ向けて飛散する。
【0063】
すなわち、回転部材8によれば、滴下部40に設けられた凸部45によって液体燃料に充分な回転力が付与される。これにより、液体燃料は、滴下部40上において回転移動しつつ、徐々に気化室70の内周面70a側に飛散される。従って、回転部材8は、凸部45を設けない構成とした場合に比べて、滴下された液体燃料が滴下部40上に滞留する時間が長くなり、液体燃料を気化室70の全周に渡ってほぼ均一に飛散させることが可能となる。これにより、燃焼量に拘わらず、気化室70の内部における燃料ガスの濃度を均一化することができ、濃度の安定した燃料ガスを燃焼部6へ供給することが可能となる。
【0064】
一方、回転部材8が回転すると、回転部材8の下方に形成された空間77内で旋回羽根43が回転軸30bを中心に回転する。これにより、空間77内には、図4(a)や図6(b)に矢印Cで示すように、回転部材8の裏面40bに沿って流れる気流(以下、必要に応じて気流Cと称す)が発生する。空間77内で発生する気流Cは、回転部材8の中心側から外周側に向けて流れる。
【0065】
ここで、上記したように、旋回羽根43は、回転部材8の回転方向に対して交差する方向に面状に拡がる形状とされており、回転部材8の回転に伴って空間77内の気体を効率よく掻くことができる。また、旋回羽根43は、回転部材8の径方向に延伸すると共に、その中途で屈曲した構成とされている。そのため、旋回羽根43は、回転部材8の径方向にまっすぐ延びる形状とした場合に比べて表面積が大きい。
【0066】
さらに、旋回羽根43は、回転部材8の回転方向に所定の間隔を開けて複数(本実施形態では6つ)配されており、隣接する旋回羽根43同士の間隔が、回転部材8の回転中心側から外周側に向けて拡がっている。旋回羽根43は、回転部材8の中心側の部位(内周部43a)の接線S1が、回転部材8の径方向外側の部位(外周部43b)の接線S2に対して回転部材8の回転方向に角θだけ傾斜した構造となっている。すなわち、本実施形態では、滴下部40の裏面側に形成される空間77内に、いわゆるターボファン等に代表される遠心ファンのように、羽根出口が回転方向と反対側に傾いている羽根(旋回羽根43)を持つ構成とされている。また、旋回羽根43は、回転部材8を構成する滴下部40の裏面40b側に固定されている。そのため、回転部材8を回転させると、滴下部40の裏面40b側に沿い、滴下部40の中央側から外周側(気化室70の内周面70a側)に向けて流れる強い気流Cが発生する。
【0067】
上記したようにして発生する気流Cは、十分な勢いを有するため、気化室70の内周面70aまで到達する。そのため、燃焼装置1の燃焼作動中に気化室70の空間78内において発生する燃焼ガスは、回転部材8の外周と気化室70の内周面70aとの隙間Gから空間77に流入しようとしても滴下部40の裏面40bに沿って流れる気流Cによって遮られ、空間77内に殆ど流入できない。よって、本実施形態の燃焼装置1では、空間77に流入したり滞留する燃焼ガスやこれを含む混合ガスの量が極めて少ない。従って、燃焼装置1は、燃焼動作の停止後に未燃状態の燃焼ガスが白煙状になって排出されたり、空間77内にタール状の固化物が付着するといったような不具合が起こりにくい。
【0068】
本実施形態の燃焼装置1は、空間77内にタール状の固化物が付着しにくいため、長年にわたって使用を続けても気化部7における熱伝導特性が損なわれない。そのため、燃焼装置1は、気化部7において気化がスムーズに起こり、液体燃料の気化に要する電気エネルギーが最小限で済む。
【0069】
なお、上記実施形態では、旋回羽根43の表面積を大きくして空間77内に強い気流Cを発生させるという観点から、旋回羽根43として回転部材8の中心側から外周側に向けて延伸し、その中途で屈曲した形状のものを採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく中途で屈曲せず、まっすぐ延びる形状とすることも可能である。
【0070】
上記した旋回羽根43は、内周部43aおよび外周部43bが共に直線的に延びる形状とされていたが、例えば内周部43aおよび外周部43bのいずれか一方又は双方が湾曲した形状とされてもよい。また、旋回羽根43は、内周部43aと外周部43bとの境界部分が角張った形状であったが、両者の境界部分がなだらかに屈曲した形状であってもよい。旋回羽根43は、内周部43aと外周部43bとの境界部分だけでなく、内周部43aや外周部43bの中途においてさらに屈曲された形状であってもよい。
【0071】
上記実施形態では、図7(a)に示すようにナットNの装着の都合等を考慮して旋回羽根43の内周部43aの高さH1が回転中心側に向けて先細りとなっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、図7(b)のように外周部43bの高さH2と同一とされてもよい。また、旋回羽根43は、図7(c),(d)に示すように旋回羽根43の内周部43a側から外周部43b側に向けて表面積が拡大あるいは縮小する形状としてもよい。さらに、図7(a),(c),(d)に示す例では、旋回羽根43の形状が直線的に変化する構成を例示したが、曲線的に変化するものであってもよい。
【0072】
旋回羽根43は、内周部43aと外周部43bとが連続し、一体化されたものであったが、内周部43aと外周部43bとの境界部分等、旋回羽根43の延伸方向中間部分で途切れた構成とされてもよい。すなわち、旋回羽根43は、内周部43aと外周部43bとが独立した構成であってもよい。
【0073】
上記実施形態では、滴下部40の裏面40bに金属板を成形した円板体46を取り付けることにより旋回羽根43を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば滴下部40を構成する金属板を裏面40側に切り起こす等してもよい。かかる構成とすれば、燃焼装置1の構成部材の数を抑制することができる。
【0074】
上記したように滴下部40を切り起こして旋回羽根43を作製する場合は、滴下部40に穴が開くことになり、この穴を介して燃料ガスや混合ガス等が空間77側に流入するおそれがある。かかる事態が懸念される場合は、空間77において燃料ガス等の淀みが発生する可能性があるため、例えば旋回羽根43の切り起こしに伴って形成される穴を金属板や金属片等で閉塞するなどの方策を取ることにより、空間77における燃料ガス等の淀みの発生や、当該淀みによる弊害を抑制できる。
【0075】
上記実施形態では、空間77の境界をなす位置、すなわち滴下部40の裏面40bを延長した際に気化室70の内周面70aと交差する位置を横切るように気流Cを発生させるべく、円板体46を滴下部40の裏面40b側に固定し、旋回羽根43の基部がほぼ裏面40bと接した状態で立ち下がる構成とし、滴下部40に沿って気流Cを発生させる構成を例示した。
【0076】
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図8(a),(b)に示すように、ワッシャ47等を設けることにより円板体46と滴下部40との間に隙間を形成するなどして、旋回羽根43を裏面40bから離れた位置に設けた構成としてもよい。かかる構成とする場合についても、回転部材8の外周部と気化室70の内周面70aとの隙間から燃料ガスが流入するのを阻止できる。なお、旋回羽根43を裏面40bから離れた位置に設ける場合についても、旋回羽根43は、なるべく裏面40bに近い位置に設けられることが望ましい。
【0077】
上記実施形態では、滴下部40に円形の凸部45を5つ設けた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、凸部45の数は5つに限定されるものではなく、燃焼作動中における回転部材8の回転速度等の観点から液体燃料の飛散状態が最適な状態となるように適宜増減させてもよい。
【0078】
また、回転部材8は、例えば図9(a)に示すように表面40aに円形の凹部90を設けた構成としたり、図9(b)に示すように環状の溝91を設けた構成としてもよい。かかる構成とした場合は、滴下部40の表面40aに滴下された液体燃料の一部が凹状の凹部90や溝91に一時的に流入した後、回転部材8に作用する回転力の影響を受けて回転しつつ遠心力によって徐々に気化室70の内周面70aに向けて飛散することとなる。そのため、凹部90や溝91を設けるなどして滴下部40の表面40aに起伏を設けることによっても気化室70内における液体燃料の飛散状態や燃料ガスの濃度分布をほぼ均一化することができる。
【0079】
上記したように、滴下部40に設けられた凸部45は、平面視がほぼ円形で表面40aから隆起したものであったが、図9(c)のように表面40aから畝状に隆起したリブ92を設けた構成としてもよい。かかる構成とした場合、リブ92よりも回転部材8の回転中心側にずれた位置に液体燃料を滴下すると、滴下された液体燃料がリブ92によって取り囲まれた領域内で一時的に留まった後、回転部材8に作用する回転力の影響を受けて回転しつつ遠心力によって徐々に気化室70の内周面70aに向けて飛散することとなる。そのため、図9(c)のようにリブ92を設けることによっても気化室70内における液体燃料の飛散状態を改善し、燃料ガスの濃度分布をほぼ均一化することができる。
【0080】
上記したように凸部45を設けたり凹部90や溝91、リブ92等を設け、気化室70内における燃料ガスの濃度分布を均一化すれば、燃焼状態の安定化を促進できるばかりか、回転部材8の上方(気化室70の開口側)の空間78側から下方(気化室70の底面部71側)に燃料ガスが流入したり滞留するのを抑制できる。
【0081】
上記実施形態や、図9に示す例では、滴下部40に凸部45のみを設けた構成や、凹部90、溝91、リブ92のみを設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、これらを適宜組み合わせて設けた構成としてもよい。また、図9には、回転部材8の周方向に連続した形状の溝91やリブ92を設けた例を例示したが、回転部材8の周方向の中途で断続した形状であってもよい。
【0082】
上記実施形態では、滴下部40を構成する金属板を加工することによって凸部45や凹部90、溝91、リブ92等を設ける構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば滴下部40とは別の金属板等を用いて凸部45や凹部90、溝91、リブ92等に相当するものを設けてもよい。かかる構成によっても、凸部45を設ける場合と同様に液体燃料の飛散量や、気化室70内における燃料ガスの濃度分布を略均一とすることができる。
【0083】
上記したように気化室70内における液体燃料の飛散状態を考慮すると、回転部材8は、凸部45や凹部90、溝91、リブ92等を設けた構成とすることが望ましい。しかし、回転部材8の回転状態等によっては凸部45や凹部90、溝91、リブ92を設けなくても液体燃料の飛散状態等に影響が及ばない場合や、液体燃料の飛散状態等まで考慮する必要がない場合は、凸部45等を設けない構成としてもよい。
【0084】
上記実施形態において例示した回転部材8は、滴下部40が凸部45等を設けた部位以外は起伏がなく平坦な構成であったが、湾曲した形状であってもよい。
【0085】
上記実施形態では、滴下部40の外周部に撹拌羽根42を9つ設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、燃焼作動中における回転部材8の回転速度等の観点から液体燃料の飛散状態が最適な状態となるように適宜増減させてもよい。
【0086】
また、回転部材8は、滴下部40の裏面40b側に6つの旋回羽根43を設けた構成であったが、旋回羽根43の個数(枚数)は、空間77の容積等を考慮して、空間77内に強い気流Cを発生可能なように適宜調整してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態に係る燃焼装置の断面図である。
【図2】図1の燃焼装置を構成する気化部周辺の構成を示す破断斜視図である。
【図3】図1の燃焼装置を構成する空気量調整手段の分解斜視図である。
【図4】(a)は図1の燃焼装置を構成する気化部の構成を示す断面図であり、(b)は気化部の平面図である。
【図5】(a)は図1の燃焼装置において採用されている回転部材の取り付け構造を示す分解斜視図であり、(b)は回転部材を表面側から観察した状態を示す平面図である。
【図6】(a)は図1の燃焼装置において採用されている回転部材を裏面側から観察した状態を示す斜視図であり、(b)は(a)の平面図である。
【図7】(a)は図5に示す回転部材の旋回羽根近傍の構造を示す断面図であり、(b)〜(d)は(a)の変形例を示す断面図である。
【図8】(a)は図1の燃焼装置を構成する気化部の変形例を示す断面図であり、(b)は(a)に示す気化部において採用されている回転部材の取り付け構造を回転部材の裏面側から観察した状態を示す斜視図である。
【図9】(a)〜(c)は、それぞれ図5に示す回転部材の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0088】
1 燃焼装置
6 燃焼部
7 気化部
8 回転部材
14 燃料パイプ(滴下手段)
40 滴下部
40b 裏面(対向面)
43 旋回羽根(翼状部)
43a 内周部
43b 外周部
45 凸部(起伏部)
70 気化室
70a 内周面
71 底面部(閉塞面)
77 空間
90 凹部(起伏部)
91 溝(起伏部)
92 リブ
S1,S2 接線
C3 仮想円

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体燃料を気化して燃料ガスを生成する気化部を有し、
気化部において生成された燃料ガス、あるいは、当該燃料ガスと空気とが混合された混合ガスを燃焼部に供給して燃焼させる燃焼装置において、
前記気化部には、一端が閉塞面によって閉塞され、他端に開口を有する筒状の気化室と、当該気化室内において所定の回転軸を中心として回転可能な回転部材とが設けられており、
当該回転部材は、液体燃料が滴下される滴下部を有し、当該滴下部が気化室の閉塞面に沿うように配されており、気化室の開口側から前記滴下部に向けて滴下された液体燃料を気化室の壁面に向けて拡散するものであり、
前記滴下部と気化室の閉塞面との間には所定の空間が形成されており、
当該空間内に回転部材の回転に伴って回転する翼状部が設けられていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
滴下部が、気化室の閉塞面に対向する対向面を有し、
翼状部が、前記対向面に沿う方向に気流を発生可能なものであることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
翼状部が、回転部材の回転方向に対して交差する方向に面状に拡がるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
翼状部が、回転部材の回転中心側から回転部材の外接円の径方向外側に向かって面状に拡がるものであり、中途で回転部材の回転の正方向あるいは逆方向に屈曲していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項5】
翼状部が、回転部材の回転中心側から回転部材の径方向外側に向かって面状に拡がるものであり、回転部材の回転中心側の部位における接線S1と、回転部材の径方向外側の部位における接線S2とを想定した場合に、前記接線S1が接線S2に対して回転部材の回転方向に傾いていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項6】
複数の翼状部が回転部材の回転方向に所定の間隔を開けて配されており、
隣接する翼状部同士の間隔が、回転部材の回転中心側から外周側に向けて拡がっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項7】
滴下部が、気化室の開口側に向けて凹形状あるいは凸形状の起伏部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項8】
液体燃料を回転部材の回転軸から所定の距離だけ離れた位置に滴下可能な滴下手段を有し、
回転部材を回転させた状態で前記滴下手段によって液体燃料を滴下して形成される仮想円を想定した場合に、起伏部が、当該仮想円の近傍、あるいは、当該仮想円を基準として回転軸から離れた領域に配されていることを特徴とする請求項7に記載の燃焼装置。
【請求項9】
滴下部の外接円の直径と気化室の内周壁の直径との比率が、85:100〜95:100の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−57181(P2007−57181A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245154(P2005−245154)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)