説明

燃焼装置

【課題】火炎検知用の半導体式光センサにより拡炎板の脱落も検知して、燃焼不良が継続するのを防止した燃焼装置を提供する。
【解決手段】燃料噴霧用のノズル体11より噴霧された燃料を燃焼させ旋回火炎から成るバーナ火炎として、前方の燃焼室3に吹き出すようにすると共に、前記燃焼室3への吹き出し口34に対向して拡炎板33を備え、この拡炎板33によって燃焼室3に吹き出されたバーナ火炎を該燃焼室3内に拡散させるようにした燃焼装置に於いて、前記バーナ火炎を検知する半導体式光センサ37を設け、この半導体式光センサ37によって前記拡炎板33の脱落も検知するようにしたので、知らないうちに燃焼不良が継続することを防止出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石油給湯機等の熱源として使用されるガンタイプ式の燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものでは、バーナ部から吹き出されるバーナ火炎が、中央部分に集中することで、火足が長い火炎となり、下方に位置する給湯用熱交換器に火炎が接触することで、燃焼不良が発生することを阻止する為に、バーナ部の先端に吹き出されるバーナ火炎を横切る拡炎板を備えることで、バーナ火炎を拡散させて火足を短くして、燃焼不良を防止するものであった。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特許第3588950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、拡炎板がバーナ部の先端で常にバーナ火炎中に晒されているので、長期間の使用で劣化して脱落する危険があり、脱落するとバーナ火炎の拡散がされず、火炎が延びて燃焼不良を防止することが出来なくなると共に、拡炎板の脱落自体を検知することが出来ず、燃焼不良が継続する危険を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し上記欠点を解決するため、特にその構成を、請求項1では、燃料噴霧用のノズル体より噴霧された燃料を燃焼させ旋回火炎から成るバーナ火炎として、前方の燃焼室に吹き出すようにすると共に、前記燃焼室への吹き出し口に対向して拡炎板を備え、この拡炎板によって燃焼室に吹き出されたバーナ火炎を該燃焼室内に拡散させるようにした燃焼装置に於いて、前記バーナ火炎を検知する半導体式光センサを設け、この半導体式光センサによって前記拡炎板の脱落も検知するようにしたものである。
【0005】
又請求項2では、前記半導体式光センサによる拡炎板の脱落検知は、所定燃焼量での燃焼が所定時間以上継続したことを条件として消火時に自動的に検知するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明の請求項1によれば、拡炎板によってバーナ火炎の拡散が行え、燃焼不良を防止出来ることは勿論、この拡炎板の脱落をバーナ火炎検知の半導体式光センサで検知するので、確実に拡炎板の脱落を知って修理依頼等の行動を起こすことが出来、知らないで何時までも燃焼不良状態を継続する危険がなく、長期に渡り安心して使用出来るものである。
【0007】
更に請求項2によれば、大きな燃焼量での燃焼が数分間継続したことを条件として、半導体式光センサによる脱落検知を行うので、脱落が起こりうる燃焼時には確実に脱落検知が行われ、無駄なく的確に検知することが出来、安心して使用出来ると言う効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次にこの発明の一実施形態を示す燃焼装置を図面に基づき説明する。
1は底部に給湯用熱交換器2を備えた給湯機の燃焼室3上方に下向きに設けられたガンタイプ式のバーナ部で、有底筒状で先端に向かって二段階に絞られたバーナ外筒4と、後端部には横向きに取り付けらた送風機5と、該送風機5からの燃焼空気を流入させる風胴6とから構成されている。
【0009】
7は前記バーナ外筒4の内側に該バーナ外筒4との間に空気通路8を形成して備えられた整流筒で、内方には電磁ポンプ9及び油比例弁10と連結した燃料噴射用のノズル体11と、該ノズル体11前方で流通して来る一次空気を集束させて中央穴12から放出する擂り鉢状の集束体13とが備えられており、更にこの集束体13の前方には、中央穴12より大径の開口14を有し、中央穴12部分で重合し周壁に形成された複数の二次空気孔15から流入する二次空気を、開口14周囲に切り起こしで形成した旋回羽根16で旋回させて供給する一次スタビライザ17が備えられている。
【0010】
更に前記集束体13と一次スタビライザ17とが接触する中央穴12周囲では、この2つの隙間からの二次空気が中央穴12からの一次空気に全周から垂直にぶつかることで、一次空気が乱れて噴射燃料との混合不良が発生して良好な燃焼が得られなくなることを防止する為に、中央穴12の周囲に一次スタビライザ17と密着する段押し部18を形成し、更に確実に二次空気の中央穴12から放出される一次空気への干渉を阻止するように、中央穴12端部には前方へ立ち上がった立設壁19を設けているものである。
【0011】
20は前記整流筒7と同じく空気通路8を保持してバーナ外筒4の内側に備えられたバーナ内筒で、一次スタビライザ17の先端に連結した小径燃焼筒21と大径燃焼筒22の二段状に形成され、小径燃焼筒21及び大径燃焼筒22の周壁には、上下二段に三次空気孔23が複数個形成されており、又大径燃焼筒22の底部で小径燃焼筒21との連結部分の外周には、一次スタビライザ17と同一方向に三次空気を旋回させる二次スタビライザ24が形成され、更にこの二次スタビライザ24と小径燃焼筒21の先端連結部分との間には、複数のスリットから成る噴流噴出部25が形成されて、三次空気を層流にして噴出するものである。
【0012】
前記風胴6は、一側面を送風機5と、底面をバーナ外筒4とそれぞれ連通し他を閉塞した箱状に形成され、送風機5から供給される燃焼空気を一旦貯めるものであり、又風胴6のバーナ外筒4と連通するノズル体11側には、燃焼空気と直交するように複数の一次整流孔26を円を描くように配置した第一整流板27が設けられると共に、この第一整流板27の下流側には一次整流孔26で描いた円とオーバーラップする径であって、一端開口では整流筒7端部を嵌合したコップ状の整流筒ガイド28が設けられており、更に整流筒ガイド28の燃焼空気の流れと平行になる周壁には複数の第二整流孔29を形成して、強制的に押し込むのではなく、自然のながれとして燃焼空気が流入して一次空気となるものである。
【0013】
30は整流筒7底部で燃料噴射用のノズル体11を固定すると共に、該整流筒7内に一次空気を流入させる為の第三整流板で、固定されたノズル体11周囲に複数個の第三整流孔31を設けており、整流筒ガイド28に流入して来た一次空気を第三整流孔31を通すことで、更に整流して整流筒7に供給するものである。
【0014】
32はバーナ外筒4先端とバーナ内筒20先端とで形成された隙間から成る三次空気噴出口で、バーナ外で形成される火炎に三次空気を供給すると共に、火炎の広がりを抑制するものである。
【0015】
33はバーナ部1の大径燃焼筒22先端の吹き出し口34に対向し、形成されるバーナ火炎を横切るように設けられた帯状の拡炎板で、中央部には貫通孔35を形成してバーナ火炎の吹き出し圧力を弱めるものであり、バーナ外筒4外方に沿ってフランジ部36に固定されるようにU字状に折り曲げられている。
【0016】
37はバーナ火炎からの光を受けることで電流値が変化することで、火炎を検知するフォトICダイオードから成る半導体式光センサで、整流筒7後方の第三整流板30に検知穴38を形成し、この検知穴38から一次スタビライザ17の中央穴12を介して拡炎板33の一部と火炎とを同時にみるものである。
【0017】
39は前記半導体式光センサ37による火炎検知で変動する電流値を電圧値に変換する電流電圧変換回路で、検知した電圧値及びこの電圧値の継続時間は判定処理部40へ入力させ、又この判定処理部40には判定基準記憶部41から予め記憶された基準電圧値及び基準継続時間が供給されて、検知された電圧値と該電圧値の継続時間とを比較して、その結果を燃焼を制御する燃焼制御部42に出力するものであり、この電流電圧変換回路39及び判定処理部40及び判定基準記憶部41及び燃焼制御部42は1つのマイコン43によって構成されている。
【0018】
更に半導体式光センサ37の検知電圧値は、火炎有りの場合は0〜1Vで、燃焼停止による消火時には、火炎の光がなくなることで0〜1V電圧値検知から徐々に電圧値が上昇し、拡炎板33が脱落していない時は、火炎と同時に赤熱していた拡炎板33の残光で、消火レベルである検知電圧値3Vに達するまで4秒かかるが、拡炎板33が脱落していた時は、拡炎板33の残光がなくなるので、消火レベルである検知電圧値3Vに達するまで2秒ですむので、この違いを前記判定処理部40で判定して脱落を検知し、表示部44に「燃焼不良が発生していますので、至急修理依頼下さい。」の文字表示をして、使用者に報知すると共に販売店への修理依頼が必要である報知で、燃焼不良状態を早期に改善するようにしたものである。
【0019】
又上記の拡炎板33の脱落検知は、残光の有無を判断基準とするものであるが、この残光の有無或いは強弱は燃焼量に大きく左右されるものであり、そこで、このバーナ部1の最大燃焼量ここでは30,000kcalでの燃焼が5分以上継続したことを燃焼制御部42が検知した時を条件として、燃焼停止した時には拡炎板33の脱落検知を含む消火検知を行うようにしたものであり、これにより確実に拡炎板33の脱落を検知出来ると共に、火力が強い最大燃焼で脱落の危険がある時には、必ず脱落検知が行え的確で安心して使用出来るものである。
【0020】
43はイグナイタ44からの電力の供給を受けて先端部で火花放電を行う一対の点火電極で、ノズル体11の側方から延ばした先端部を該ノズル体11の前方に位置させるようにし、噴霧される燃油に確実に着火出来るようにしている。
【0021】
次にこの発明の一実施形態の作動を説明する。
今燃焼制御部42により送風機5及び電磁ポンプ9を駆動すれば、燃焼空気は先ず風胴6内に供給されここで一旦貯めて、回転力による方向性をなくした後、下方に向かう流れとし、この流れと直交するように配置された第一整流板27の第一整流孔26を通過させることで、全体的に流れ方向を一致させる整流を行い、そして空気通路8に流し流れ方向と平行な整流筒ガイド28の第二整流孔29から自然に整流されながら該整流筒ガイド28内に流入させ、更に第三整流板30の第三整流孔31を通り最後の整流が行われ、完全な下方への一次空気の流となって整流筒7内へ供給されるものである。
【0022】
そして整流筒7内に流入した一次空気は、擂り鉢状の集束体13で集められて中央穴12からノズル体11の噴射燃料と共に、バーナ内筒20内に放出され、この時点火電極43の放電で着火されるものであり、又これと同時に一次スタビライザ17からは、一次空気と燃料の混合気の外周に二次空気の旋回流を形成して二次空気の混合を良好にして、小径燃焼筒21内で一次燃焼及び二次燃焼し、更に大径燃焼筒22内では、上下の三次空気孔23から新鮮な三次空気が供給されると共に、二次スタビライザ24からは旋回した三次空気が供給されて、三次燃焼が行われ、そしてバーナ部1先端に形成される火炎は、このバーナ部1先端の吹き出し口34を横切った帯状の拡炎板33によって、中央に集中することなく外方に拡散され、下方に位置する給湯用熱交換器2に火炎が当たり燃焼不良を引き起こすことを防止している。
【0023】
更にこの時、噴流噴出部25から層流の三次空気が、一次スタビライザ17による旋回流と、二次スタビライザ24の旋回流間に供給されることで、二つの旋回流は大径燃焼筒22内で直ぐには一体化せず、個々にきめ細かな拡散、混合作用した後に、大径燃焼筒22先のバーナ外方で混合して良好な四次燃焼が得られるものであり、又このバーナ外方の四次燃焼には三次空気噴出口32から火炎の外方への広がりを抑える三次空気が供給されて更に良好な燃焼が行えるものである。
【0024】
更に集束体13の中央穴12部分では、段押し部18と立設壁19とで隙間が完全に塞がれるので、外周から流速の早い二次空気が供給されることがなく、一次空気の流速が乱れる心配もいらず、常に良好な燃焼を得ることが出来るものである。
【0025】
更に一次空気、二次空気、三次空気として燃焼部に供給される燃焼空気を、入り口である風胴6及び整流筒ガイド28で確実に整流し、流れ方向や量の片寄りのない燃焼空気として供給され、特に一次空気は第二、第三と3回に渡って整流が行われ、異常燃焼の原因になることなく、常に良好な燃焼が行われるものである。
【0026】
又第一整流孔26が燃焼空気の流れと直交し、全燃焼空気を強制的に整流することが出来、基本的な流れ方向の整流が確実に行われるものであり、又第二整流孔29が燃焼空気の流れと平行し、一次空気を自然に流入させられるので、癖のないスムーズな燃焼が常に行えるものである。
【0027】
次に図4のフローチャートに示す消火シーケンスでは、先ずステップ45で送風機5と電磁ポンプ9の駆動を停止し、ステップ46に進んで燃焼制御部42に今回の燃焼中で30,000kcal燃焼が5分以上継続した記憶の有無を判断し、NOでは拡炎板33の残光が弱いので該拡炎板33の脱落検知はキャンセルされて通常の消火検知のみが行われるもので、ステップ47で半導体式光センサ37の火炎検知電圧値3Vを検知するまでに4秒以上かかったかを、判定処理部40で判定してYESでステップ48に進んで消火を確認し、NOではステップ47を繰り返すものである。
【0028】
そしてステップ46でYESでは30,000kcal燃焼が5分以上継続したのであれば、拡炎板33の残光は強いので該拡炎板33の脱落検知を行うもので、ステップ49に進んで半導体式光センサ37の火炎検知電圧値3Vを検知するまでに2秒ですんだかを、判定処理部40で判定してYESでステップ50に進んで表示部44に拡炎板33の脱落を表示して修理依頼の注意喚起するものであり、NOでは消火検知のみのステップ47に進ものである。
【0029】
このように、火炎検知用の半導体式光センサ37を利用してバーナ部1先端の拡炎板33の脱落検知も行われるので、知らない間に拡炎板33が脱落していて燃焼不良を継続する危険がなく、長期に渡って安心して使用出来るものであり、又この脱落検知は最大燃焼量での燃焼が5分以上継続した時の消火時に自動的に行われるので、一番焼損しやすい燃焼時には必ず脱落検知が行われ安心して使用出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の一実施形態を付した燃焼装置を備えた給湯機の要部断面図。
【図2】同燃焼装置の断面図。
【図3】同電気回路の要部ブロック図。
【図4】同燃焼装置の消火時の炎電圧特性図。
【図5】同消火シーケンスを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0031】
1 バーナ部
3 燃焼室
11 ノズル体
33 拡炎板
34 吹き出し口
37 半導体式光センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料噴霧用のノズル体より噴霧された燃料を燃焼させ旋回火炎から成るバーナ火炎として、前方の燃焼室に吹き出すようにすると共に、前記燃焼室への吹き出し口に対向して拡炎板を備え、この拡炎板によって燃焼室に吹き出されたバーナ火炎を該燃焼室内に拡散させるようにした燃焼装置に於いて、前記バーナ火炎を検知する半導体式光センサを設け、この半導体式光センサによって前記拡炎板の脱落も検知するようにした事を特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記半導体式光センサによる拡炎板の脱落検知は、所定燃焼量での燃焼が所定時間以上継続したことを条件として消火時に自動的に検知する事を特徴とする請求項1記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−48454(P2010−48454A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212437(P2008−212437)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】