説明

燃焼装置

【課題】フロート式と光学式のどちらの液面センサも搭載できる制御部と制御プログラムを備えた燃焼装置を提供すること。
【解決手段】制御部は信号入力部と電源供給部と基準電位部(0V)を有し、光学式液面センサを接続する場合は信号入力部と電源供給部と基準電位部(0V)に接続し、リードスイッチから成るフロート式液面センサを接続する場合は信号入力部と基準電位部(0V)に接続する。したがって、フロート式と光学式のどちらの液面センサも搭載できる制御部と制御プログラムを備えた燃焼装置を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温風暖房機等の燃焼装置に関し、特に液体燃料の有無を検出する液面センサを接続する制御部を備えた燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
温風暖房機等の燃焼装置に使用されている液面センサには、油受皿の液面の上昇または下降に同調してフロートが作動し、このフロートに埋没されたマグネットがリードスイッチをオープンまたはクローズさせることにより油受皿の液面を検知するフロート式がある。
【0003】
さらに、発光素子と受光素子を備えプリズム反射面の液体燃料の有無による光の変化により液体燃料の有無を検知する光学式もある。この光学式液面センサ1は図2(A)、(B)に示すように、側面にプリズム2を一体成型した円筒状の透明樹脂製ハウジング3と、発光ダイオード等の発光素子4及びフォトトランジスタ等の受光素子5を並列にプリズム2に向けて配置し、前記発光素子4、受光素子5及びその他の各種電子部品を固定して前記透明樹脂製ハウジング3内に収容したプリント配線基板6と、前記プリント配線基板6に接続された外部リード線7から構成されている。
【0004】
また、発光素子4の発光輝度はバラツキが大きいため、このバラツキを考慮して光学式液面センサ1には最大定格の電流を流し、これによって発光輝度を安定させる方法がとられている。この場合、多量の電流を流すための電源やこれに使用する基板上部品の放熱対策などにより基板が大型化するほか、発光素子4の輝度低下が進み寿命が短くなるという問題があるため、光学式液面センサ1の駆動信号をパルス状にしてパルス電流を供給し、発光素子4を間欠的に発光させ経時変化による発光素子4の輝度低下を緩和して寿命を延ばす方法がとられている。
【0005】
次に、光学式液面センサ1が油受皿内の液体燃料の有無を判定する原理を図3(A)(B)及び図4より説明する。まず、図3(A)に示すようにプリズム2の周囲が液体燃料で囲まれている場合、つまり油受皿内に液体燃料が有る場合には、発光素子4からの光はプリズム2内で反射されることなく液体燃料中に進むか、またはプリズム2内で異方向に進むため受光素子5に光は到達しない。つまり、受光素子5に光が入射しないため光が出力電流に変換されないので出力信号は出ないことになる。
【0006】
しかし、図3(B)に示すように油受皿内の液体燃料が少なくなった場合、つまりプリズム2の周囲が液体燃料で囲まれていないときには、発光素子4からの光はプリズム2内で反射され受光素子5に入射し、この入射した光が電流に変換されて出力信号となる。そして、この出力信号により油受皿内に液体燃料が無いと判定され給油表示やブザー等の報知手段により使用者への給油報知を行なうようになっている。(特許文献1)
【0007】
また、フロート式液面センサ8ではマグネットの磁力強度が変化してリードスイッチ9の動作が不安定になったり外形がフロートの比重に左右されるため小型化が難しく取り付け場所が制限されるが入手性が良いというメリットがある。一方、光学式液面センサ1ではフロートが無いことから小型化が可能であるが入手性が悪いというデメリットがある。したがって、光学式またはフロート式のどちらの液面センサを燃焼装置に搭載するかは、一般的に燃焼装置の仕様により決定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−35416公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、液面センサとしてフロート式または光学式を燃焼装置に搭載する場合には各方式専用の制御部と制御プログラムが必要であり、燃焼装置に搭載する液面センサの方式を変更する場合は制御部と制御プログラムをあらたに設計する必要があった。また、フロート式と光学式のどちらも搭載できる制御部を設計する場合には制御部の基板面積が大きくなるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、フロート式と光学式のどちらの液面センサも搭載できる制御部と制御プログラムを備えた燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、液体燃料の有無を検出する液面センサと、前記液面センサの検出により燃焼を制御する制御部を備えた燃焼装置において、前記制御部は、前記液面センサを接続するために少なくとも1つ以上の信号入力部と前記液面センサに直流電源を供給する電源供給部と基準電位部(0V)を有することを特徴とする燃焼装置に係わるものである。
【0012】
また、前記制御部は、光学式液面センサを接続する場合は前記信号入力部と前記電源供給部と前記基準電位部(0V)に接続し、リードスイッチから成るフロート式液面センサを接続する場合は前記信号入力部と前記基準電位部(0V)に接続することを特徴とする請求項1記載の燃焼装置に係わるものである。
【0013】
また、前記信号入力部への入力値は、光学式液面センサの場合はアナログ出力であり、フロート式液面センサの場合は接点出力であることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の燃焼装置に係わるものである。
【発明の効果】
【0014】
上述のように構成することにより、フロート式と光学式のどちらの液面センサも搭載できるので、燃焼装置に搭載する液面センサの方式が変更になっても制御部や制御プログラムを新に設計する必要が無く、さらに、それぞれの方式の液面センサを搭載した燃焼装置の制御部と制御プログラムを共通化できるので燃焼装置のコスト低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例の制御部に関する概略回路図である。
【図2】本発明及び従来の実施例の光学式液面センサの構造図である。(A)は要部断面図、(B)はAA断面図である。
【図3】本発明及び従来の実施例の光学式液面センサの原理を説明する説明図ある。(A)は液体燃料がある場合、(B)は液体燃料が無い場合である。
【図4】本発明の実施例の光学式液面センサを接続した概略回路図である。
【図5】本発明の実施例のフロート式液面センサを接続した概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0017】
本発明は、液体燃料の有無を検出する液面センサの検出結果により燃焼を制御する制御部を備えた燃焼装置であって、制御部はフロート式と光学式のどちらの液面センサも接続できる。
【0018】
具体的には、制御部は信号入力部と電源供給部と基準電位部(0V)を有し、光学式液面センサを接続する場合は信号入力部と電源供給部と基準電位部(0V)に接続し、リードスイッチから成るフロート式液面センサを接続する場合は信号入力部と基準電位部(0V)に接続する。また、信号入力部はアナログ値を読み込む。
【0019】
つまり、1つの制御部で光学式とフロート式の液面センサを接続できるので、燃焼装置に接続する液面センサの方式が変更になっても制御部をあらたに設計する必要が無く、それぞれの方式の液面センサを接続した燃焼装置の制御部を共通化できる。また、信号入力部はアナログ値を読み込むため、光学式液面センサのアナログ出力値とフロート式液面センサの接点出力値の両方を読み込みできるので制御プログラムが共通化できる。したがって、燃焼装置のコスト低減が可能となる。
【実施例】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施例について詳細な説明をする。尚、光学式及びフロート式の液面センサの構造については従来例と同一であるため説明は省略する。また、図1は本発明の制御部に関する概略回路図で光学式とフロート式の液面センサが両方接続されている図となっているが本実施例を説明するためであり、実際の燃焼装置ではどちらか1つの液面センサが接続される。
【0021】
図1より、光学式液面センサ1は信号入力部10、電源供給部11、基準電位部(0V)12の3極接続端子13を介して制御部14に接続される。そして、制御部14はマイクロコンピューター(マイコン)15を有しており、信号入力部10は受光素子5のコレクタ側に抵抗を介してマイコン15のアナログ信号入力ポート16へ接続される。電源供給部11は発光素子4のアノード側に抵抗を介してトランジスタ17へ接続され、このトランジスタ17のエミッタ側はDC5V電源、ベース側はマイコン15のパルス信号出力ポート18に接続される。さらに基準電位部(0V)12は発光素子4のカソード側及び受光素子5のエミッタ側から接地される。
【0022】
一方、フロート式液面センサ8のリードスイッチ9は信号入力部10と基準電位部(0V)12の2極接続端子19を介して制御部14に接続される。そして、信号入力部10は抵抗を介してマイコン15のアナログ信号入力ポート16へ接続され、基準電位部(0V)12は接地される。
【0023】
尚、マイコン15のアナログ信号入力ポート16は受光素子5に流れた電流のアナログ値またはリードスイッチ9の接点出力を読み込むもので、このアナログ信号入力ポート16の入力信号によりマイコン15が液体燃料の有無を判定する。また、パルス信号出力ポート18は光学式液面センサ1の発光素子4を間欠的に発光させるためにトランジスタ17のベース側にパルス信号を出力して発光素子4にパルス電流を供給するものである。
【0024】
次に、各方式の液面センサの動作について図4と図5の概略回路図により説明する。
【0025】
図4は光学式液面センサ1を接続した場合である。発光素子4にマイコン15のパルス信号出力ポート18からトランジスタ17のベース側にパルス信号が出力されるため、エミッタ側から発光素子4にパルス電流が流れ発光素子4が間欠的に発光する。そして、この状態で図3(A)に示すようにプリズム2の周囲が液体燃料で囲まれている場合、つまり油受皿内に液体燃料が有る場合には、発光素子4からの光はプリズム2内で反射されることなく液体燃料中に進むか、またはプリズム2内で異方向に進むため受光素子5に光は到達しない。つまり、受光素子5に光が入射しないため受光素子5では光が電流に変換されず信号入力部10には電流が流れない。したがって、マイコン15のアナログ信号入力ポート16は入力信号を読み込まないためマイコン15は液体燃料が有ると判定する。
【0026】
しかし、図3(B)に示すように油受皿内の液体燃料が少なくなった場合、つまり、プリズム2の周囲が液体燃料で囲まれていないときには、発光素子4からの光はプリズム2内で反射され、受光素子5に入射し、この入射した光が電流に変換されて信号入力部10に電流が流れる。したがって、マイコン15のアナログ信号入力ポート16が入力信号を読み込むのでマイコン15は液体燃料が無いと判定する。そして、マイコン15は給油表示やブザー等の報知手段により使用者への給油報知を行なう。
【0027】
図5はフロート式液面センサ8を接続した場合である。油受皿に液体燃料がある場合は液面が上昇するのと同調してフロートも上昇するので、フロート式液面センサ8本体内のリードスイッチ9の接点はフロートに埋没されたマグネットの磁力によりオープンとなるので信号入力部10には電流が流れない。したがって、マイコン15のアナログ信号入力ポート16は入力信号を読み込まないためマイコン15は液体燃料が有ると判定する。
【0028】
しかし、油受皿に液体燃料が無い場合は液面が下降するのと同調してフロートも下降するので、フロート式液面センサ8本体内のリードスイッチ9の接点はフロートに埋没されたマグネットの磁力の影響を受けないためリードスイッチ9はクローズとなるので信号入力部10に電流が流れる。したがって、マイコン15のアナログ信号入力ポート16は入力信号を読み込むのでマイコン15は液体燃料が無いと判定する。そして、マイコン15は給油表示やブザー等の報知手段により使用者への給油報知を行なう。
【0029】
前述のように本発明の制御部14は、信号入力部10と電源供給部11と基準電位部(0V)12を有し、光学式液面センサ1を接続する場合は信号入力部10と電源供給部11と基準電位部(0V)12に接続し、リードスイッチ9から成るフロート式液面センサ8を接続する場合は信号入力部10と基準電位部(0V)12に接続する。
【0030】
つまり、1つの制御部14で光学式とフロート式のどちらの液面センサも接続できるので、燃焼装置に接続する液面センサの方式が変更になっても制御部14を新に設計する必要が無く、それぞれの方式の液面センサを接続した燃焼装置の制御部14を共通化できる。また、信号入力部10はアナログ信号入力ポート16を介してアナログ値を読み込むため、光学式液面センサ1のアナログ出力値とフロート式液面センサ8の接点出力値の両方を読み込みできるので制御プログラムを共通化できる。したがって、燃焼装置のコスト低減が可能となるのである。
【符号の説明】
【0031】
1 光学式液面センサ
8 フロート式液面センサ
9 リードスイッチ
10 信号入力部
11 電源供給部
12 基準電位部
14 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体燃料の有無を検出する液面センサと、前記液面センサの検出により燃焼を制御する制御部を備えた燃焼装置において、前記制御部は、前記液面センサを接続するために少なくとも1つ以上の信号入力部と前記液面センサに直流電源を供給する電源供給部と基準電位部(0V)を有することを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記制御部は、光学式液面センサを接続する場合は前記信号入力部と前記電源供給部と前記基準電位部(0V)に接続し、リードスイッチから成るフロート式液面センサを接続する場合は前記信号入力部と前記基準電位部(0V)に接続することを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記信号入力部への入力値は、光学式液面センサの場合はアナログ出力であり、フロート式液面センサの場合は接点出力であることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−133119(P2011−133119A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290278(P2009−290278)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000109026)ダイニチ工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】