説明

燻煙消化装置並びにその方法

【課題】
窒息作用を燻煙放射による酸素の希薄化に応用し合理的かつ効果的に一瞬に消火すること。
【解決手段】
地球で起こる燃焼は、燃焼材が発火点に達する温度を得ようとも燃焼に必要とされる酸素の供給量が不足する限り起こらないのである。本願発明では、燻煙を燃焼箇所に放射することで酸素濃度を希薄化させるという手段を採ることで一瞬のうちに消火しようとするものである。例えば、その原理を簡単な物象で証明するには、少量の新聞紙などを燃やし煙の発生しているところに火を灯したローソクを近づけると炎は一瞬のうちに消え去るその自然現象を利用すべく設計製造した装置を利用することを手段とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
木竹草花などの燃焼し得る燃焼資材を不完全燃焼させることにより発生させた燻煙を燃焼箇所に放射し酸素濃度を希薄化することによる消化装置並びにその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消火3原則は、冷却作用、窒息作用、抑制作用の応用により消火することであるが、本願発明に関する窒息作用は、敷物、布等で覆って火を消す、火消壷で熾火を消す、焚き火を土に埋める等が従来の消火分野におけるその一例であった。
つまりそれは、窒息作用を応用した消火が社会的に通用し得る方策でないことを意味するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
窒息作用を応用した先行技術文献を以下に記載する。
【0004】
【特許文献1】特開第2004−283480
【0005】
【特許文献2】特開第2002−165897
【0006】
【特許文献3】特開平10−146399
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
窒息作用を燻煙放射による酸素の希薄化に応用し合理的かつ効果的に消火すること。
【課題を解決するための手段】
【0008】
地球で起こる燃焼は、燃焼材が発火点に達する温度を得ようとも燃焼に必要とされる酸素の供給量が不足する限り起こらないのである。本願発明では、消火3原則のうち、窒息作用を木竹草花などの燃焼し得る燃焼資材を不完全燃焼させることにより発生させた燻煙を燃焼箇所に放射することで酸素濃度を希薄化させるという手段を採ることで消火しようとするものである。
【0009】
例えば、その原理を簡単な物象で証明するには、少量の新聞紙などを燃やし煙の発生しているところに火を灯したローソクを近づけると炎は一瞬のうちに消え去るその自然現象を応用して利用すべく設計製造した装置を利用することを手段とするものである。
【0010】
大規模火災であれば「図1」記載のように、移動体に燃焼室とコンプレッサーなどの消火に必要とされる装備を行った燻煙消防車を火災発生現場に出動させ、燃焼室に収容した燃焼資材を不完全燃焼させることで発生した燻煙を燻煙圧送ホースで消火箇所に導入、放射し酸素濃度を希薄化させ得る装置を用いることを本願発明における消火作業の実施手段とするものである。
【0011】
また、小規模の火災であれば「図2」記載のように、消防士が携帯式燻煙処理装置を背負い消火作業が行え得るものである。
【0012】
ここで本願発明における燻煙を定義する。それは再三記載するとおり木竹草花など燃焼し得る燃焼資材を不完全燃焼させることにより発生させた燻煙である。そのため燃焼し得る燃焼資材であれば、社会的、消火作業的環境などから許容される燃焼資材すべてを含むものである。
【0013】
例えば、薬剤を不完全燃焼させること。つまり、完全燃焼させれば爆発現象を起こし得る火薬を不完全燃焼させるものであってもよいものである。但し、それは爆発現象を起こし得ないという技術的検証がなされたうえに、それを取り巻く環境が許容することが前提条件にあることは言うに及ばぬことである。
【0014】
またそれは木竹草花であっても燃焼させるに適した質や形状に加工することでも利用し得るものである。 例えば、チップ化し燻煙で燻し水分を除去することで重量も軽く容積も少なくなることや不完全燃焼させる部分に燃焼度の高い燃焼資材を用い燃焼度の低い燃焼資材でそれを覆うことでより多くの燻煙を発生させることも可能である。
【0015】
このように燃焼資材ひとつにしても本願発明の原理を利用することで技術的知識や技能を有する者であれば設計製造はなし得るものである。そのため本願発明における説明は、大規模火災を想定した燻煙消防車と燃焼資材は、加工を施さない木竹草花などを燃焼させる方法をもって行うものである。
【0016】
本願発明における手段を総括すると燻煙を燃焼箇所に放射することで酸素の希薄化を図るという基本原理を燻煙処理装置によって実現させるものであるが、燃焼資材を収容する燃焼室は着火口からの酸素の供給と燻煙口や外部排気口からの燃焼ガスの排気に限定さるため構造的に不完全燃焼が発生するものであるが、更に最大限の不完全燃焼を発生させるために後述する手法を採るものである。
【0017】
また更に、従来の炭焼き窯がそうであるように不完全燃焼であっても長時間に及ぶことで燃焼資材の含水比が減少し完全燃焼に至ることは燃焼原理から避けられないものである。そのため本願発明では、燃焼資材に散水することで常時不完全燃焼をさせるために後述する散水手法を採るものである。
【0018】
以上のとおり、燃焼における酸素の吸気と燃焼ガスの排気と燃焼資材の含水比の3点を制御することで効果的に燻煙を発生し得る燻煙処理装置を用いることを消火手段とする。
【発明の効果】
【0019】
木竹草花などの燃焼資材を不完全燃焼させることで発生する燻煙を利用でき得るため、特に燃焼資材が容易に調達できる森林火災などでは合理的かつ効果的に消火でき得る利点がある。また、建造物の火災であっても燻煙を放射することで酸素濃度を希薄化し消火し得る点を最大の効果とするものである。
更にそれは、必要であれば従来の散水消防車を利用して鎮火後に散水を行うことで効果的な冷却作用を施し得る利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】燻煙消防車を利用した大規模な消火方法を示す消火体系図である。
【図2】携帯式燻煙処理装置を利用した消火方法を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願発明における以下に記載する説明は、大規模なさまざまな火災を想定して多様な装置の利用方法や消火方法の採り方を記載して進めるものであるが、いかなる火災であれ規模に応じた燻煙を放射することで、燃焼箇所の酸素の希薄化を図り鎮火しようとするものである。つまりそれは、火災規模に応じた燻煙をコンプレッサーで強制的に圧送し放射することで酸素の希薄化を図ることができれば燃焼という現象は起こり得ないという自然現象を応用するものである。
【0022】
そのため従来家庭などに置かれている消火器のような形態でも燻煙消火器として利用し得るものである。つまりそれは、消火器内に燻煙発生に要する燃焼資材を装填し燃焼し得る構造に設計製造することで可能になるものである。
【0023】
これは後述する燻煙処理装置を小型化することや原理を応用して設計製造することは、技術的知識や技能を有する者であれば可能なものであるため本願発明における説明では除外する。
【0024】
それでは、以下に「図1」を参照し説明する。本願発明における消火原理は、燻煙を燃焼箇所に放射することで酸素濃度の希薄化を図り消火するという極めて単純な手法を採ることを特徴とするものであるため燻煙処理装置自体もシンプルである。
しかしながら単純なる手法なるが故に、利用方法は従来の消火方法を根底から覆し得るものであるため、先ず、消火に必要とされる要因を「符号の説明」項に記載する順位を追って詳細に説明を進めることとする。
【0025】
「符号の説明」項1に記載する燻煙消防車 1とは、移動体 2に木竹草花などの不完全燃焼し得る燃焼資材 5を収容する燃焼室 4と燃焼資材 5を不完全燃焼させ発生した図示されない燻煙を圧送し得るコンプレッサー 12からなる燻煙処理装置 3を装備した燻煙消防車 1であるが、図示するように移動体 2はトラックに限定されるものではない。
【0026】
それは例えば、広範囲に及ぶ森林火災などでは、図示されない建設機械の油圧ショベルやブルドーザーに燃焼室 4とコンプレッサー 12を装備することで必要に応じて複数の図示されない燻煙消防車自体が、消火作業のための自走道を作りつつ昼夜を問わない連続消火作業も行え得るものである。
【0027】
それを可能にする要因のひとつとして、燻煙消防車 1が燃料を補給するように図示されない燻煙を発生させる燃焼資材 5を現地で伐採し適宜燃焼室 4に補給することが可能であること。更に必要に応じて燃焼資材 5が供給可能であることは、燃焼室 4も必要最小限の容積を保つことで最大限の機能を維持でき得るため機動性に富む図示されない燻煙消防車が極めてシンプルな構造で製造可能であること。従って、それが利用し得る点にある。
【0028】
つまり、昼夜を問わず連続消火作業を行える図示されない燻煙消防車であれば、消防士 15を適宜交代させることで連続消火作業に必要とされる体制が整い得るものである。
【0029】
更にまた、図示では燻煙ホース 14を利用して消防士 15が放射ガン 16から燻煙 20を放射することで消火作業を行うものであるがこれに限定されるものではない。それはつまり、図示されない燻煙消防車自体に図示されない燻煙噴射装置を装備することも可能だからである。
【0030】
それは、バックホーやブルドーザーに燃焼室 4とコンプレッサー 12を装備することや散水用水槽 11、燻煙圧送ホース 14、放射ガン 16を取り付けることは、技術的知識や技能を有する者であれば本願発明の意図する原理を利用し構造設計、製造をし得ることは容易であるため、本願発明では図示のとおり移動体 2にトラックを利用し燃焼室 4とコンプレッサー 12などを装備する態様で実施の形態を説明するものである。
【0031】
またそれは、特に広範囲に及ぶ森林火災では風向きや天候、施設や建造物などへの延焼防止の観点から本願発明による燻煙処理装置 3を装備しない建設機械であるバックホーやブルドーザーで自走道を施工した後に図示されない燻煙消防車を搬入し消火作業も行え得るものである。それはまた、並行同時作業をも可能にするものである。
【0032】
更にまた、建設機械特有の装軌車両に散水装置を装備した散水消防車を鎮火に至った火災現場に搬入することで冷却作用を応用した効果的な散水消火なし得るものである。
【0033】
それはまた、森林火災に限定されることではなく建造物や施設などの火災現場でも再燃焼が懸念され必要であれば、鎮火に至った火災現場に従来の散水消防車を搬入し散水することで効果的な冷却は行え得るものである。
【0034】
それでは、「符号の説明」項2に記載する移動体 2について説明する。
前記燻煙消防車 1の説明でも記載するとおり建設機械であるバックホーやブルドーザーに装備することで、建設機械が本来有する機能に消火作業という機能を更に加えることで高機能な機動性に富む燻煙消防車ができ得るものである。
【0035】
そのため、移動体自体を特に限定するものではない。つまりそれは、大型クレーンに燻煙処理装置 3を装備することで大型クレーン特有の機能に消火機能を加えることで更なる高機能な燻煙消防車ができ得るものである。
【0036】
これは後述の燻煙圧送ホース 14で詳細説明を行うものであるが、燻煙は空気と同等程度の重量に加えて不完全燃焼ガスは低温であるため設計構造上の観点からもさまざまな優位性を生じさせるものである。
【0037】
例えばそれは、大型クレーンはモノを吊るという機能が必然的に最優先されるため設計構造上それに応じた強度や重量になるものであるが、比較的軽い燻煙圧送ホース 14を装備することを最優先とする構造であるならば、ブームを更に長くすることは容易になし得るものである。
【0038】
つまりそれは、超高層ビルの消火方法をも一変させ得るものである。更にまた、燻煙処理装置 3を装備した車両と燻煙圧送ホース 14を分離搬入することによって、超高層ビルの屋上へ燻煙圧送ホース 14をヘリコプターなどで空輸した後に燻煙圧送ホース 14を適宜連結することで更なる消火方法も採り得るものである。
【0039】
またそれは更に、地下街などの消火作業では移動体 2に燻煙圧送ホースを装備し搬入することでより機能的な消火作業が行え得るものである。また、その場合の移動体は図示されるトラックに限定されるものではない。それはつまり、高気圧コンプレッサーを装備した図示されない移動体を適地に搬入することで燻煙圧送ホース 14を適宜連結し消火作業をなし得るものである。
【0040】
更にまた、前記する燻煙圧送ホース 14を装備した図示されない移動体にコンプレッサー12を加えて消火作業を行うことも可能である。そのように装備方法も特に限定されず利用し得るものであるため利用し得る移動体の種類も限定されるものではない。
【0041】
また更に、コンパクトで軽量なるが故に燻煙処理装置 3を必要とされる箇所に配置することで移動を要しない消火作業をし得ることも可能なものである。

【0042】
それでは続いて、「符号の説明」項3に記載する燻煙処理装置 3について説明する。
前記移動体 2の説明でも述べるとおり特殊な火災現場を想定した図示されない燻煙消防車の場合では、燃焼室 4とコンプレッサー 12を分離させることが望ましいケースも想定されるため特に限定され得るものではないが、一般的仕様形態としては燃焼室 4とコンプレッサー 12に加え図示のとおり、着火室 6や散水用水槽 11及び燻煙圧送ホース収納室 13を装備することによって、一式が装備された図示されない燻煙消防車の形態をなし得るものである。
【0043】
つまり、燻煙処理装置 3においても技術的知識や技能を有する者であれば本願発明の意図する原理を利用し構造設計、製造をし得ることは容易であるため、図示形態やそれ以外の形態にも限定されるものではなく設計製造をなし得るものである。
【0044】
それでは更に続いて、「符号の説明」項4に記載する燃焼室 4について説明する。
再三記載するとおり、必要とする燻煙は不完全燃焼によって得られるため最大限の不完全燃焼を得るために、酸素の吸入量と燃焼ガスの排気量及び燃焼資材 5上部に装備される図示されない温湿度計によって温湿度が管理されるため、燃焼資材 5下部における燃焼部直下の最大燃焼温度も500度以下が想定されるものである。
【0045】
そのため燃焼資材 5が燃焼をしていない上部では極めて低い室温になることが想定されるものである。以上によって設計する燃焼室 4を構成する材質も最大500度に耐え得る材質を採用し得るものである。
【0046】
また燃焼室 4の容積も前記するとおり必要に応じて燃焼資材 5を適宜補給できるため必要とされる最小限度の容積で最大限の機動性や機能を発揮し得るものである。
【0047】
更にまた、燃焼室 4に装備する図示されない扉については、技術的知識や技能を有する者であれば本願発明の意図に基づき構造設計、製造をし得ることは容易であるため、説明を省略するものである
【0048】
それでは更に続いて、「符号の説明」項5に記載する燃焼資材 5について説明する。
これについても一部前記するものであるが、技術や社会的環境及び消火作業環境などに応じて利用し得るものであるため特に限定されない。
【0049】
それはつまり、前記する山林火災では延焼防止などの観点から森林を伐採することが想定されることに加えて不完全燃焼させることが目的であるため単位燃焼速度が遅いため消火作業に必要とされる燃焼資材 5の使用量は極めて少ないものである。
【0050】
例えば、2トン車クラスのトラックに燃焼室 4を装備し樫や椎の原木を燃焼資材 5に利用した場合の標準的な燻煙を発生させる燃焼時間は20時間以上に及ぶものである。これは大量の燻煙を得るためにコンプレッサー 12を稼動させ強制的に排気をさせるにも関わらず20時間以上にも及ぶ最大の理由は、燃焼資材 5上部に散水することで常時不完全燃焼が得られることに起因するものである。
【0051】
つまり、炭焼き窯は炭化させることを目的とするため時間をかけて不完全燃焼させることによって、炭化資材の含水比が徐々に減少することで最終的に完全燃焼が誘発されることに従い発煙量も減少し消滅するものであるが、本願発明による燻煙処理装置 3で採る手法は燃焼資材 5上部に適宜散水することで常に不完全燃焼を維持するため極めて長時間に及ぶ大量の燻煙を発生し続けるものである。
【0052】
また更に、建物などで利用されていた建設廃材などを利用する場合、燃焼資材 5の含水比が極端に低いものであっても適度に散水することで効果的に不完全燃焼が得られるものである。またそれは、特に燃焼度の高い燃焼資材 5を用いる場合は、上部に大鋸屑や籾殻及び草花などで覆うことで効果的な不完全燃焼が得られるものである。
【0053】
そのように前記する森林火災や建造物の火災など状況に応じて、燃焼資材 5は設定されるものである。更にその組み合わせ方や散水の頻度や度合いなど消火作業に応じた手法も採り得るものである。
【0054】
それでは更に続いて、「符号の説明」項6に記載する着火室 6について説明する。
これも特に限定されるものではないが、燃焼室 4に燃焼資材 5が収容され次第着火室 6に装備された図示されないガスバーナーが点火し、それによって燃焼資材 5が不完全燃焼を始める方法であってもよい。
【0055】
また更に、従来の炭焼き窯の着火のように、着火室 6に燃焼資材 5を収容しそれを燃焼させることで燃焼室 4に収容される燃焼資材 5が発火点に達し不完全燃焼を始めるものであってもよい。
【0056】
更にまた、図示されるものは着火室 6を設けているが、着火室 6を設けず燃焼室 4に取り付けられている図示されない扉を開放しガスバーナーなどで燃焼資材 5をダイレクトに発火させる方法も利用でき得るものである。
【0057】
それでは続いて、「符号の説明」項7に記載する着火室 6に取り付けられた着火室扉 7について説明する。
着火室扉 7は、消火作業中常時開放されるものであって、燃焼室 4に収容される燃焼資材 5が不完全燃焼を始めても吸気口を兼ねるため着火室扉 7は、開放され続けるものである。
【0058】
それはつまり、着火室 6に後述する着火口 8が常時開放された状態で備えられているものであるが、着火室扉 7も消火作業中常時開放されていても燃焼資材 5が不完全燃焼するために不可欠である排気が制御されることによって、結果的に燃焼資材 5に不可欠な酸素の吸入量も制御されるため着火室扉 7は常時開放された状態であっても支障を来たさないため開放状態が維持されるものである。
【0059】
つまりそれは、排気が閉ざされると吸気も閉ざされるという燃焼原理に基づくものであるが、ここで排気が制御されることについて説明する。
それは消防士 15が消火箇所 18に応じた燻煙 20を調整するために、消火作業に利用する放射ガン 16に付属する調整バルブ 17を操作することによって、排気量=燻煙量が制御されるものである。
【0060】
それでは続いて、「符号の説明」項8に記載する着火口 8について説明する。
着火口 8とは、燃焼室 4と着火室 6を結ぶ常時開放された孔であって、燃焼室 4に収容された燃焼資材 5を着火点に導き不完全燃焼させる孔であると同時に燃焼資材 5を不完全燃焼させるに不可欠な酸素の吸気孔を兼ねる機能を有するものである。
【0061】
それは従来の炭焼き窯の着火口同様の機能を有するものであって、燃焼室 4の容量に応じた酸素の吸気を果たし得る形状、容積に設計製造されるものである。
【0062】
それでは続いて、「符号の説明」項9に記載する燻煙口 9について説明する。
燻煙口 9とは、燃焼室 4と燻煙圧送ホース収納室 13に収納される燻煙圧送ホース 14を結ぶ燃焼室 4上部に設置された常時開放された孔であって、燃焼室 4に収容された燃焼資材 5が不完全燃焼することによって発生する燻煙を燃焼箇所 18に導くに不可欠な孔であると同時に燃焼資材 5を不完全燃焼させるに不可欠な排気孔を兼ねる機能を有するものである。
【0063】
それはまた、従来の炭焼き窯の排気口同様の機能を有するものであって、燃焼室 4の容量に応じた排気を果たし得る形状、容積に設計製造されるものである。
この場合、炭焼き窯の排気口は窯の底部に設けられるものであるが、本願発明による燻煙口 9は、燃焼資材 5を常時不完全燃焼させ燻煙を得ることを目的とするため燃焼室 4の上部に設けられるものである。
【0064】
それでは続いて、「符号の説明」項10に記載する外部排気口 10について説明する。
外部排気口 10とは、燃焼室 4の上部に設けられた燃焼資材 5が燃焼するための排気口であって、通常は閉ざされているものである。例えば、消防士 15の判断により、消火作業が休止などの理由で調整バルブ 17が閉ざされることは、燃焼資材 5の排気が閉ざされることを意味するものである。
【0065】
それはすなわち、燃焼資材 5の燃焼がストップすることであるため一時的に消火作業が休止する場合には、燻煙口 9からの燻煙流出が閉ざされると同時に外部排気口 10が開放され燃焼資材 5の排気がなされるものである。
【0066】
それでは続いて、「符号の説明」項11に記載する燃焼室散水用水槽 11について説明する。燃焼室散水用水槽 11とは、前記するとおり不完全燃焼させ燻煙を発生させる燃焼資材 5の含水比が少ない場合や不完全燃焼を継続させた場合、燃焼資材 5の含水比は低下しやがて燃焼資材 5が完全燃焼に至ることを防止するための散水用貯水をすることを目的に装備するものである。
【0067】
それは燃焼室散水用水槽 11に装備された図示されない吸水ホースによって、燃焼室上部の天板に装備された図示されない散水口へ水が導入され燃焼資材 5上部に散水するものである。
【0068】
またその稼動は、燃焼室 4上部に装備された図示されない温湿度計によって得られるデータを基に図示されないコンピュータによりコンプレッサー 12を制御することによって、燃焼室散水用水槽 11に装備された吸水ホースを経て散水口から散水されるものでもよい。
【0069】
またそれについても本願発明の技術的思想を基に技術的知識や技能を有する者が設計製造し得るものである。
【0070】
それでは更に続いて、符号説明欄12に記載する燻煙を燃焼箇所まで圧送するためのコンプレッサー 12について説明する。
コンプレッサー 12とは、消防士 15が消火作業に用いる放射ガン 16に装備する調整バルブ 17の操作に応じてコンプレッサー 12の稼動は制御されるものである。
つまりそれは、調整バルブ 17が全開になれば、それに応じてコンプレッサー 12の稼動は図示されないコンピュータによって制御されているため最大量の燻煙が燻煙圧送ホース 14によって送られるものである。
【0071】
それはつまり、燃焼資材 5が最大の不完全燃焼に必要とされる排気効率が得られるものである。それに従い吸気効率も最大になるため時間を経ることによって、燃焼資材 5の含水比は低下し完全燃焼することは前記のとおり燃焼原理に基づくものである。
【0072】
そこで必要となることが前記の燃焼室散水用水槽 11から吸水パイプを経て散水口からの散水である。このように、消防士 15が操作する調整バルブ 17の開度によってコンピュータがコンプレッサー 12を制御することで燻煙圧送量(排気量)が変わり、それに従い吸気量が変わるため燃焼度合いが変化するものである。
【0073】
また更に、変化した燃焼度合いを図示されない温湿度計が検知するデータに基づき散水がなされるものである。またこれについても本願発明の技術的思想を基に技術的知識や技能を有する者が設計製造し得るものであるため記載内容に限定されるものではない。
【0074】
続いて、符号説明欄13に記載する燻煙消防車 1から燃焼箇所 18へ燻煙を導入することを目的とする燻煙圧送ホース 14を収納する燻煙圧送ホース収納室 13について説明する。
【0075】
燻煙圧送ホース収納室 13とは、消火作業に応じて燻煙圧送ホース 14を出し入れする出納モータを備えたものであって、消防士 15が消火作業に用いる放射ガン 17に装備されている図示されない操作スイッチの動作をコンピュータが検知しそれに応じて出納モータを制御するものである。
【0076】
つまりそれは、燻煙圧送ホース 14を延長する場合はスイッチオンで巻き出されオフで巻き込まれるというように出納モータが稼動するものである。またこれについても本願発明の技術的思想を基に技術的知識や技能を有する者が設計製造し得るものであるため記載内容に限定されるものではない。
【0077】
更に続いて、符号説明欄14に記載する燻煙圧送ホース 14について説明する。
燻煙圧送ホース 14とは、前記するとおり燻煙処理装置 3から燃焼箇所 18まで燻煙を圧送することを目的とするホースである。
【0078】
材質や機能性などから建設現場などで用いられる圧縮空気を送るためのコンプレッサーに装着されるホースが利用でき得るものであるが、個人は元より社会的資産を失う火災の消火作業に用いるものであるため更なる軽量化や高機能化がなされ得るものである。
【0079】
本願発明では、前記するとおり燻煙圧送ホース 14を装備した図示されない移動体やそれに更にコンプレッサー 12を装備することなどで更なる延長を図り高機能的に利用し得るものである。
これについてもそれに限定されず本願発明の技術的思想を基に技術的知識や技能を有する者が設計製造し得るものであるため記載内容に限定されるものではない。
【0080】
更に続いて、符号説明欄15に記載する消防士 15について説明する。
前記するとおり、燃焼箇所 18に燻煙 20を放射することによって、比較的早く鎮火するものであることや従来用いられている水のような重量物ではなく空気と同等程度の重量である煙を利用するため、より機動性の高い防護服を着用することによって消火作業を行え得るものである。
【0081】
「図2」記載の携帯し得る燻煙処理装置 3aの装備する場合においても消防士 15の機動性が消火能力を左右するものである。つまりそれは、再三記載するとおり燻煙放射で比較的早く鎮火するため従来の消火作業のように一定の場所に留まって消火することがないことに起因するものである。
【0082】
次から次へと消火作業を必要とし得る燃焼箇所 18へ消防士 15が移動することが消火効率を左右するため、高機能な防護服など本願発明の技術的思想を基に技術的知識や技能を有する者が設計製造することで更なる消火効率の向上に資するものである。
【0083】
更に続いて、符号説明欄16に記載する放射ガン 16について説明する。
放射ガン 16とは、前記するとおり燻煙 20を燃焼箇所 18へ放射させるために消防士 15が利用するものである。
【0084】
消防士 15の機動性が消火効率を左右するように、放射ガン 16の性能もそれに劣らず重要な要因である。より遠くへ必要とされる形状で燻煙 20を放射し得るかがポイントである。
図示では、消防士 15が所持する形態であるが前記のとおり、火災発生現場に応じて燻煙消防車に装備した放射ガン 16を利用することなどでも利用し得るものである。
従来利用されている類似する放射ガンでは、洗車や農薬散布などに利用される放射ガンがあるように、これについても本願発明の技術的思想を基に技術的知識や技能を有する者がシュミレーションを繰り返し設計製造することが望まれるものである。
【0085】
更に続いて、符号説明欄17に記載する調整バルブ 17について説明する。
調整バルブ 17とは、前記するとおり消火作業に必要とされる燻煙 20の必要量に応じて操作するものである。つまり、最大限の燻煙 20を必要とするならば全開にすることでコンピュータがそれを検知しコンプレッサー 12を制御するものである。
これについても本願発明の技術的思想を基に技術的知識や技能を有する者が設計製造し得るものであるため記載内容に限定されるものではない。
【0086】
更に続いて、符号説明欄18に記載する燃焼箇所 18について説明する。
燃焼箇所 18とは、燃焼箇所 18に起因して発生する炎 19ではなく燃焼物自体が燃焼している箇所を示すものである。
【0087】
本願発明では、前記する森林火災のように広範囲に及ぶ消火作業であっても片っ端から火元の酸素濃度の希薄化を図る方法を採ることによって順次消火し得るものである。それは、従来から消火3原則のひとつに挙げられている窒息作用が示すとおり、酸欠状態では燃焼現象は起こり得ないことを応用するものなのである。
【0088】
つまり、燃焼に起因する物体が大きくそれが完全燃焼に近くなればなるほど炎 19は大きくなるものであるが、本願発明における燻煙 20の放射箇所は燃焼箇所 18なのである。
いかに炎 18が大きくとも燃焼箇所 18に燻煙20を放射することで消火し得るものである。
【0089】
更に続いて、符号説明欄19に記載する炎 19について説明する。
炎 19が大きければ燃焼温度も高くなるため、放射ガン 15の性能が問われるものであるが、それは前記のとおり燻煙消防車に放射ガン 15を装備することでより遠くへ正確に必要とされる形状で放射することで消火作業はなされるものである。
【0090】
更に続いて、符号説明欄20に記載する燻煙 20について説明する。
本願発明は、燻煙 20を放射することで消火し得るものである。本件以外でも燻煙放射によるさまざまな状況としての現象によって確認される効果が得られたため更なる出願を行うものであるが、それらにおいても学術的根拠は不明である。
【0091】
本件において、容易に現象を観られる手法は前記するとおり少量の新聞紙などを燃焼させ煙の発生しているところへローソクの炎を近づけると一瞬で消える状況証拠である。それは、僅かな煙でも炎は一瞬に消え去るのである。
【0092】
つまりそれを応用して、燃焼度合いに応じた燻煙 20を炎 19に放射すると炎 19は消え去るのである。本願発明では、その状況証拠を基に燻煙処理装置として提供するものである。
【実施例】
【0093】
前記する燻煙消防車 1を火災発生現場に出動させ燃焼室 4に収納された燃焼資材 5を着火させるために、着火室扉 7を開放し着火室 6に備えられた着火口 8を通じて燃焼資材 5を燃焼させるものである。
【0094】
前記のとおり、着火方法は、ガスバーナを点火させ着火する方法や着火室 6に燃焼資材 5を収納し、それを燃焼させることによって燃焼室 5に収容する燃焼資材 5を発火さる方法なども採り得るものであるため限定されない。
【0095】
火災発生現場では、コンプレッサー 12を稼動させているため燃焼資材 5が不完全燃焼することで発生する燻煙は、発生と同時に燻煙口 9を通じ吸引され燻煙圧送ホース 14を経て放射ガン 16から燃焼箇所 18へ放射されるものである。
【0096】
前記するとおり、燃焼室 4に収容された燃焼資材 5は、着火口 8と燻煙口 9が設けられているため、一定時間不完全燃焼を維持しなければ構造上完全燃焼にはなり得ないものである。
【0097】
そのため、消防士 15は、消火作業に必要とされる燻煙 20を利用し消火作業に専念でき得るものである。また、燃焼資材 5が完全燃焼に至る前に燃焼室散水用水槽 11に貯水されている水が吸引ホースを経て散水口から散水されるものである。
【0098】
それらも前記するとおり、コンピュータで制御されるため消防士 15は消火作業のみに専念し得るものである。
【0099】
本願発明における消火作業の特徴は、前記のとおり燻煙放射と同時に放射された燃焼箇所 18は消火し得る点である。
そのため、図示するような形態で消防士 15が消火する場合留意することは、消火を必要とする燃焼箇所 18への燻煙 20の放射方法である。
【0100】
つまり、火災現場が森林であれば燃焼箇所 18の片っ端から順次消火することである。それは、現場の風向きや建造物や施設の位置などを考慮した消火体制のチームワークによる効果が最大限に発揮されものである。
【0101】
消火作業を効果的に行うには、前記するとおり燻煙消防車 1や燻煙処理装置 3などや燻煙 20の放射方法が課題になるのではなく、再三記載することであるが、従来の消火作業のように一定箇所に留まり散水を続行するものではなく燻煙 20を放射した燃焼箇所 18は消火されるため、効果的な消火作業を行うには、それをなし得る消化体制が不可欠になるのである。
【0102】
以上、燻煙処理方法や燻煙処理装置についての説明を記載したが、消火原理自体が従来と異なるため、それに従って消防車の構造や消火方法も根底から異なるものである。そのため、本願発明の特徴とする技術的思想に基づき技術的知識や技能を有する者が設計製造を行え得るものであるため記載内容に限定されないものである。
【産業上の利用可能性】
【0103】
木竹草花などを不完全燃焼し得る燃焼資材を燃焼させることによって発生する燻煙は、空気と同等程度の軽い気体であるため燻煙を放射させる燻煙処理装置は、比較的単純構造で製造できることと消火作業が容易であるため利用価値を有するものである。
【符号の説明】
【0104】
1 燻煙を消火箇所に放射し得る燻煙消防車である。
2 燻煙処理装置を装備させた移動体である。
3 着火室、燃焼室、散水用水槽、コンプレッサーなどを装備した燻煙処理装置である。
4 燃焼資材を収容し不完全燃焼させる燃焼室である。
5 燻煙を発生させるための燃焼資材である。
6 燃焼資材を着火させるための着火室である。
7 着火室に設けられた着火室扉である。
8 着火室と燃焼室に通じる着火口である。
9 燃焼資材が燃焼するための排気口を兼ねた燻煙を送るための燻煙口である。
10 燻煙口からの排気が閉じられた場合、大気中へ排気する外部排気口である。
11 燃焼資材上部に散水するため散水用水槽である。
12 燻煙を燃焼箇所まで圧送するためのコンプレッサーである。
13 燻煙圧送ホースの収納室である。
14 燻煙を消火箇所へ導入するための燻煙圧送ホースである。
15 消火作業を行う消防士である。
16 燻煙を放射するための放射ガンである。
17 燻煙量を調整するための調整バルブである。
18 火災を発生させている燃焼箇所である。
19 火災現場の炎である。
20 燃焼箇所に放射された燻煙である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼資材を不完全燃焼させ発生した燻煙を燃焼箇所に放射し酸素濃度を希薄化させ消火し得ることを特徴とする燻煙消防車。
【請求項2】
燃焼資材を不完全燃焼させ燻煙を発生させる燃焼室と該燻煙を圧送させるコンプレッサーからなる燻煙処理装置を移動体に装備し、該燻煙を燃焼箇所に放射し酸素濃度を希薄化させ消火し得ることを特徴とする燻煙消防車。
【請求項3】
燃焼資材を不完全燃焼させ発生した燻煙を燃焼箇所に放射し酸素濃度を希薄化させ消火し得
ることを特徴とする前記「請求項1及至2」記載のいずれかの消火方法。
【請求項4】
燃焼資材を不完全燃焼させ発生した燻煙を燃焼箇所に放射し酸素濃度を希薄化させ消火し得
ることを特徴とする消火方法。
【請求項5】
燃焼資材を不完全燃焼させ発生した燻煙を燃焼箇所に放射し酸素濃度を希薄化させ消火し得ることを特徴とする燻煙消火装置。
【請求項6】
燃焼資材を不完全燃焼させ発生した燻煙を燃焼箇所に放射し酸素濃度を希薄化させ消火することを特徴とする前記「請求項5」記載の消火方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−201245(P2010−201245A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−143238(P2010−143238)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(597048414)
【Fターム(参考)】