説明

爆風放散口の屋外カバー固定構造体

【課題】 爆風放散口に対する屋外カバーの固定状態を苛酷な自然環境の下でも良好に維持できるようにし、爆風放散口に屋外カバーを固定するに際しての作業性を良好にする。
【解決手段】 爆風放散口302の周辺に円周状に形成されたフランジ307に沿う曲率を有し、フランジ307の上下面にそれぞれ対向する上片311と下片312とを連結片313によって連結し、分割された複数個が集合してフランジ307の全周を覆うリング状体310を設け、下片312の複数箇所にネジ316を取り付けられるように構成し、上片311に沿って配置されるパッキング319と下片312に沿って配置される裏板320との間に屋外カバー303の端部が折り込まれたフランジ307を位置させた状態でネジ316を締付け、フランジ307を屋外カバー303の端部と共に裏板320とパッキング319とで強固に挟持固定できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕機の爆風放散口を覆う屋外カバーを爆風放散口に固定するための爆風放散口の屋外カバー固定構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
破砕機で破砕処理を行なう廃棄物には、可燃性の気体が残留したガスボンベやスプレー缶などが混在していることがある。このような可燃性の気体が残留した廃棄物を破砕処理すると、破砕処理によって発生した発火が可燃性の気体に引火し、破砕機内で爆発が生ずることがある。
【0003】
このようなことから、例えば図11に例示するように、建屋内に設置された破砕機101の内部で爆発が生ずることにより発生した爆風を、煙突状の爆風放散パイプ102によって建屋外に導くようにしている。図11に例示する爆風放散パイプ102は、その爆風放散口103が鉛直方向を向けられているため、爆風放散口103から破砕機101の内部への雨水の侵入を防止するため、ビニールシート等の屋外カバーを被せる必要がある。
【0004】
図12に例示するものは、爆風放散口103に屋外カバー104を被せる場合の爆風放散口103と屋外カバー104との固定構造である。図12に示す一例では、爆風放散口103の周辺に円周状に形成されたフランジ105に屋外カバー104の端部を折り込み、この状態で断面コの字型のゴムパッキング106をフランジ105に取り付けている。したがって、ゴムパッキング106は、屋外カバー104の端部もろともフランジ105を挟持することになる。そして、図12には図示しないが、ゴムパッキング106の端部を図示しないコーキング部材でコーキングし、シールしている。
【0005】
なお、屋外に設置されない爆風放散口に対するカバー構造については、例えば特許文献1の特開2001−62328公報の「破砕装置の爆風排除装置」に開示されている。
【特許文献1】特開2001−62328
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図12に例示する屋外カバー104の固定構造では、屋外カバー104に対する固定力として、専らゴムパッキング106によるフランジ105の挟持力に依存しているに過ぎない。このため、屋外カバー104を固定する力が弱く、強風時に屋外カバー104が煽られて屋外カバー104が爆風放散口103の中心に向けて寄ってしまうことがある。この場合、屋外カバー104に皺が寄ってしまうばかりでなく、屋外カバー104がずれてコーキング部材によるシール作用が不完全となり、爆風放散口103から破砕機101の内部へ雨水が侵入し易くなってしまうという問題がある。
【0007】
また、ゴムパッキング106は屋外に置かれて直射日光や風雨に晒されるため、経年変化し易い。このため、ゴムパッキング106によるフランジ105の挟持力が益々低下してしまうという問題もある。
【0008】
更に、屋外カバー104の端部が折り込まれたフランジ105をゴムパッキング106で挟持する作業に際しては、ゴムパッキング106を変形させたり、屋外カバー104に対してフランジ105に嵌め込んだゴムパッキング106を滑らせて位置合わせしたりしなければならないため、その作業性が悪いという問題もある。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、爆風放散口に対する屋外カバーの固定状態を苛酷な自然環境の下でも良好に維持できると共に、爆風放散口に屋外カバーを固定するに際しての作業性が良好な爆風放散口の屋外カバー固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、破砕機(202、203)での破砕作業によって発生した爆風を逃がすために鉛直方向に向けて開口する爆風放散口(302)の周辺に円周状に形成されたフランジ(307)に沿う曲率を有し、前記フランジ(307)の上面に対向する上片(311)と前記フランジ(307)の下面に対向する下片(312)とが連結片(313)によって連結され、分割された複数個が集合して前記フランジ(307)の全周を覆うリング状体(310)と、前記下片(312)の複数箇所を貫通する貫通孔(314)と、前記貫通孔(314)に対応して設けられて軸方向が前記上片(311)に向かう方向に設定された複数個のネジ孔と、前記ネジ孔に螺合して回転することにより先端部(317a)が前記上片(311)に近接離反する複数個のネジ(316)と、前記上片(311)に沿って前記上片(311)と前記下片(312)との間に配置されるパッキング(319)と、前記ネジ(316)の軸上で前記下片(312)に沿って前記上片(311)と前記下片(312)との間に配置される裏板(320)と、を備え、前記ネジ(316)のストローク量は、前記パッキング(319)と前記裏板(320)との間の隙間を、前記爆風放散口(302)を覆うように取り付けられて前記フランジ(307)を包むように縁部(303a)が折り返された屋外カバー(303)と前記フランジ(307)とからなる固定対象物に対して、前記リング状体(310)の着脱を許容する間隔と挟持固定を許容する間隔との間で変化させる量に設定されている、ことを特徴とする爆風放散口の屋外カバー固定構造体が提供される。
【0011】
前記リング状体(310)は、四分割されている。前記パッキング(319)は、前記リング状体(310)の大きさに合わせて複数分割されている。前記パッキング(319)は、前記リング状体(310)の上片(311)の幅と略同一の幅を有する。
【0012】
前記裏板(320)は、前記リング状体(310)の大きさに合わせて複数分割されている。前記上片(311)と前記下片(312)と前記連結片(313)とは、断面コの字型に連結されている。前記ネジ孔は、前記貫通孔(314)に対応して前記リング状体(310)の下片(312)の下面に固着されたナット(315)に形成されている。 前記ネジ(316)は、ボルトネジによって形成されている。
【発明の効果】
【0013】
上記発明の構成では、フランジ(307)とこのフランジ(307)の部分で縁部が折り返された屋外カバー(303)とを、ネジの締付け力によって裏板(320)とパッキング(319)との間に強固に固定することができ、したがって、爆風放散口(302)に対する屋外カバー(303)の固定状態を苛酷な自然環境の下でも良好に維持することができ、しかも、爆風放散口(302)に屋外カバー(303)を固定するに際しての作業性を良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の爆風放散口の屋外カバー固定構造体は、爆風放散口の周辺に円周状に形成されたフランジの全周を覆うリング状体に、屋外カバーの縁部を固定したものである。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施の一形態である爆風放散口の屋外カバー固定構造体が用いられる破砕機を概略的に例示する正面図である。
破砕設備201には二機の破砕機202、203が設置されている。第一の破砕機202は、図示しない廃棄物を受け入れるための受入ホッパ204から第一の受入コンベア205に受け渡され、この第一の受入コンベア205によって搬送されてきた廃棄物に対して破砕処理を実行する。第二の破砕機203は、第一の破砕機202によって破砕処理された廃棄物に対して更に破砕処理を実行する。そのための構造として、第一の破砕機202によって破砕されて排出された廃棄物を第二の破砕機203に向けて搬送する第二の受入コンベア206が設けられている。第二の破砕機203によって破砕されて排出された廃棄物は、廃棄物搬送コンベア207によって廃棄物貯留場208に搬送される。
【0016】
第一の破砕機202及び第二の破砕機203は、いずれも爆風放散パイプ301を有している。二つの爆風放散パイプ301は、それぞれ、第一の破砕機202と第二の破砕機203との内部で爆発が生じた場合、爆風を建屋外に逃がす役割を担っている。このような爆風放散パイプ301は、その上部に鉛直方向に向けて開口する爆風放散口302が設けられ、これらの爆風放散口302にはそれぞれ屋外カバー303が固定されている。
【0017】
以下、爆風放散口302に対して屋外カバー303を固定する屋外カバー固定構造体304について説明する。
図2は爆風放散パイプ301の正面図である。
爆風放散パイプ301は、接合フランジ305を両端に有する複数個のパイプ状体306がそれぞれの接合フランジ305の部分で接合固定されて構成されている。接合フランジ305同士の固定は、例えば溶接による。そして、爆風放散パイプ301は、その最上部に鉛直方向に開口する爆風放散口302を有する。この爆風放散口302は、図2に示すように、正面から見て一方(図2では右側)が高く傾斜した形状を有する。そして、爆風放散口302の周辺には円周状にフランジ307が形成されている。
【0018】
このような爆風放散パイプ301は、爆風放散口302の近傍の外周面に複数個の引掛け部308が突出して設けられている。このような引掛け部308は、溶接等の手法で爆風放散パイプ301の外周面に固定されている。引掛け部308の役割は、破砕設備201のフレーム構造体209に形成された爆風放散パイプ301の取り付け用の筒部210に引っ掛かり、破砕設備201のフレーム構造体209に爆風放散パイプ301を取り付けることにある。引掛け部308の上方には、爆風放散パイプ301の外周面に円筒状の防水カバー309が固定され、フレーム構造体209の筒部210と爆風放散パイプ301との間の隙間から雨水が破砕設備201に浸入するのを防止している。
【0019】
図3は爆風放散パイプ301の側面図である。
側面から見ることで、爆風放散口302の周辺に形成されたフランジ307の形状が良く分かる。なお、爆風放散パイプ301は、一例として、その直径が1m〜2m程度に形成されている。
【0020】
図4は屋外カバー固定構造体304によって屋外カバー303が固定された爆風放散口302を示す正面図である。
屋外カバー固定構造体304は、フランジ307に差し込まれてネジ固定されるリング状体310を主体として構成されている。以下、その構成の詳細を図5ないし図10を参照して説明する。
【0021】
図5は屋外カバー固定構造体304による屋外カバー303の固定構造を示す縦断正面図である。
リング状体310は、フランジ307の上方に対向配置される上片311とフランジ307の下方に対向配置される下片312とが連結片313で連結された断面コの字形状をした部材である。下片312には、複数個の貫通孔314が空けられており、これらの貫通孔314に位置合わせされて下片312の下面にはナット315が溶接等の手法で固着されている。ナット315は図示しないネジ孔を有する。ネジ孔は、その軸方向を上片311に向かう方向に設定されている。
【0022】
このようなナット315には、その図示しないネジ孔に螺合させてボルトネジであるネジ316が取り付けられている。ネジ316は、ネジ部317にボルト状のヘッド部318が固着された構造のものである。このようなネジ316は、ナット315に形成された図示しないネジ孔にネジ部317が螺合しており、これによって、例えば図示しないレンチによってヘッド部318を回転させることで、ネジ部317の先端部317aが上片311に近接離反する。
【0023】
屋外カバー固定構造体304は、更に、パッキング319と裏板320とを有する。パッキング319は、上片311に沿ってこの上片311と下片312との間に配置される。裏板320は、ネジ316の軸上で下片312に沿って上片311と下片312との間に配置される。
【0024】
図6はリング状体310の平面図である。
図6(a)に示すように、リング状体310は、円周状に形成されたフランジ307の曲率に沿う曲率を有してリング状に形成されている。但し、図6(b)に示すように、リング状体310は、実際には四分割されている。つまり、リング状体310は、四分割されながらも、四分割された複数個の各部が集合してフランジ307の全周を覆うように構成されている。もっとも、図6(a)に示すように、リング状体310は、フランジ307の全周を覆う状態にあって、分割された各部同士の間には隙間Gが開くように寸法が管理されている。
【0025】
図7はリング状体310の底面図である。
リング状体310を構成する上片311と下片312とは、その外形形状として見た場合には、全くの対象形をなしており、寸法も同一寸法に形成されている。したがって、図7(a)に示すように、リング状体310は、その底面から見た場合にも、円周状に形成されたフランジ307の曲率に沿う曲率を有してリング状に形成されていながら、図7(b)に示すように、実際には四分割されている。したがって、上面から見た場合と同様に、リング状体310は、四分割されながらも、四分割された複数個の各部が集合してフランジ307の全周を覆うように構成されている。そして、図7(a)に示すように、上面から見た場合と同様に、リング状体310は、フランジ307の全周を覆う状態にあって、分割された各部同士の間には隙間Gが開くように寸法が管理されている。
【0026】
図8はパッキング319の平面図である。
図8(a)に示すように、パッキング319は、リング状体310における上片311の底面形状に沿うように、円周状に形成されたフランジ307の曲率に沿う曲率を有してリング状に形成されている。但し、図8(b)に示すように、パッキング319は、実際にはリング状体310の大きさに合わせて四分割されている。そして、図8(a)に示すように、パッキング319は、分割された各部同士の間には、リング状体310と同様なだけの隙間Gが開くように寸法が管理されている。
【0027】
図9は裏板320の平面図である。
図9(a)に示すように、裏板320は、リング状体310における下片312の上面形状に沿うように、円周状に形成されたフランジ307の曲率に沿う曲率を有してリング状に形成されている。但し、図9(b)に示すように、裏板320は、実際にはリング状体310の大きさに合わせて四分割されている。そして、図9(a)に示すように、裏板320は、分割された各部同士の間には、リング状体310と同様なだけの隙間Gが開くように寸法が管理されている。
【0028】
図10は単一のリング状体310を取り出して示す屋外カバー固定構造体304の分解斜視図である。
図10を参照することで、単一のリング状体310での屋外カバー固定構造体304の構造を容易に把握することができる。
【0029】
ここで、図6及び図7に例示したように、リング状体310は四分割されている。そこで、リング状体310の製造に際しては、例えば板金をプレス加工することによって、容易にリング状体310を製造することができる。この場合、一例として、平板状の板金を断面コの字形状にプレス加工し、複数回のプレス加工によって曲率を付けることで、四分割されたリング状体310の個々の要素を得ることができる。別の製造方法の一例としては、上片311と下片312と連結片313とを別個独立した板金からプレス加工により製造し、これらを接合して四分割されたリング状体310の個々の要素を製造することもできる。
【0030】
パッキング319は、例えばゴムによって形成されている。パッキング319は、ゴムに限らず、リング状体310の上片311及び屋外カバー303との間である程度の摩擦力が得られる材料によって形成されていることが望ましい。このため、屋外カバー303の材料もパッキング319の材料の選定に際して参照されるべきである。屋外カバー303は、ビニール、キャンバス布地等、防水性が期待できる材料によって形成されていることが望ましい。
【0031】
裏板320は、図5に示すように、ネジ316の先端部317aが点接触し、ネジ316が締め付けられることによって屋外カバー303を介してフランジ307の下面に圧接される。この際、ネジ316の先端部317aは裏板320に対して点圧状態となる。このため、ネジ316の締付けによって屋外カバー303を介したフランジ307の下面への圧接力を高めるためには、裏板320は硬度が高いほど良い。そこで、裏板320は、板金等の硬度が高い材料によって形成されていることが望ましい。
【0032】
このような構成において、爆風放散口302に屋外カバー303を取り付けるには、ネジ316を緩めてネジ316の先端部317aとリング状体310の上片311との対向間隔を拡げておく。この際、爆風放散口302にはこの爆風放散口302を覆うように予め屋外カバー303を取り付けておく。屋外カバー303は、フランジ307を包み込むようにその縁部303aを折り返しておく。この状態で、リング状体310の上片311と下片312との間にパッキング319と裏板320とを介在させ、これらのパッキング319と裏板320とでフランジ307及び屋外カバー303の縁部303aを挟み込むようにしてリング状体310をセットする。あるいは、フランジ307を包み込むように折り返した屋外カバー303の縁部303aの上に予めパッキング319を載置した状態でリング状体310をセットしても良い。そして、屋外カバー303の縁部303aで包まれたフランジ307に対してリング状体310をセットしたならば、ネジ316を締め付ける。この際、例えば図示しないレンチによってネジ316のヘッド部318を回転させることで、ネジ316を容易に締め付けることができる。その結果、ネジ316の先端部317aに裏板320が押し上げられて裏板320とパッキング319との間の隙間が狭まり、フランジ307とこのフランジ307を包み込んでいる屋外カバー303の縁部303aとが裏板320とパッキング319とに強固に挟持される。このような作用からして、ネジ316のストローク量は、パッキング319と裏板320との間の隙間を、フランジ307を包むように縁部303aが折り返された屋外カバー303とフランジ307とからなる固定対象物に対して、リング状体310の着脱を許容する間隔と挟持固定を許容する間隔との間で変化させる量に設定されていることになる。
【0033】
以上説明したように、フランジ307とこのフランジ307の部分で縁部303aが折り曲げられた屋外カバー303とは、ネジ316の締付け力によって裏板320とパッキング319との間に強固に固定される。したがって、爆風放散口302に対する屋外カバー303の固定状態を苛酷な自然環境の下でも良好に維持することができる。
【0034】
また、ネジ316のストローク量は、前述したように、パッキング319と裏板320との間の隙間をフランジ307とこのフランジ307を包むように縁部303aが折り返された屋外カバー303とに対してリング状体310の着脱を許容し得る間隔に設定されていることから、爆風放散口302に屋外カバー303を固定するに際しての作業性を良好にすることもできる。リング状体310が四分割されていることも、爆風放散口302に屋外カバー303を固定するための作業性の向上に貢献する。
【0035】
加えて、図6(a)及び図7(a)に示すように、リング状体310は、フランジ307の全周を覆う状態にあって、分割された各部同士の間には隙間Gが開くように寸法が管理されている。また、図8(a)に示すように、パッキング319も、分割された各部同士の間には、リング状体310と同様なだけの隙間Gが開くように寸法が管理されている。更に、図9(a)に示すように、裏板320も、分割された各部同士の間には、リング状体310と同様なだけの隙間Gが開くように寸法が管理されている。したがって、屋外カバー固定構造体304は、全体としてみても、四分割されて分割された各部同士の間に隙間Gが開くように寸法が管理されている。そこで、屋外カバー固定構造体304によって屋外カバー303を固定するに際しては、図2〜図4に示すように傾斜した爆風放散口302の最下位置に隙間Gが位置付けられるように屋外カバー固定構造体304を取り付けることで、屋外カバー303に溜まろうとする水をその隙間Gから排水することが可能となる。
【0036】
なお、上述した例では、爆風放散口302の周辺に円周状に形成されたフランジ307の全周を覆うリング状体310に、屋外カバー303の縁部303aを固定した構造について詳述したが、爆風放散口302に対する屋外カバー303の固定状態を苛酷な自然環境の下でも良好に維持できる構造であれば、上述した構造に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の爆風放散口の屋外カバー固定構造体は、破砕処理等の処理施設以外に何ら爆発が生ずるおそれがない一般の施設の開口に取り付けて利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の一形態である爆風放散口の屋外カバー固定構造体が用いられる破砕機を概略的に例示する正面図である。
【図2】爆風放散パイプの正面図である。
【図3】爆風放散パイプの側面図である。
【図4】屋外カバーが固定された爆風放散口を示す正面図である。
【図5】屋外カバー固定構造体による屋外カバーの固定構造を示す縦断正面図である。
【図6】リング状体の平面図である。
【図7】リング状体の底面図である。
【図8】パッキングの平面図である。
【図9】裏板の平面図である。
【図10】単一のリング状体を取り出して示す屋外カバー固定構造体の分解斜視図である。
【図11】建屋内に設置された破砕機からの爆風を爆風放散パイプによって建屋外に導く状態を例示する模式図である。
【図12】爆風放散口と屋外カバーとの固定構造を締めす縦段側面図である。
【符号の説明】
【0039】
202、203 破砕機
302 爆風放散口
303 屋外カバー
303a 縁部
307 フランジ
310 リング状体
311 上片
312 下片
313 連結片
314 貫通孔
315 ナット
316 ネジ
317a 先端部
319 パッキング
320 裏板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕機(202、203)での破砕作業によって発生した爆風を逃がすために鉛直方向に向けて開口する爆風放散口(302)の周辺に円周状に形成されたフランジ(307)に沿う曲率を有し、前記フランジ(307)の上面に対向する上片(311)と前記フランジ(307)の下面に対向する下片(312)とが連結片(313)によって連結され、分割された複数個が集合して前記フランジ(307)の全周を覆うリング状体(310)と、
前記下片(312)の複数箇所を貫通する貫通孔(314)と、
前記貫通孔(314)に対応して設けられて軸方向が前記上片(311)に向かう方向に設定された複数個のネジ孔と、
前記ネジ孔に螺合して回転することにより先端部(317a)が前記上片(311)に近接離反する複数個のネジ(316)と、
前記上片(311)に沿って前記上片(311)と前記下片(312)との間に配置されるパッキング(319)と、
前記ネジ(316)の軸上で前記下片(312)に沿って前記上片(311)と前記下片(312)との間に配置される裏板(320)と、
を備え、前記ネジ(316)のストローク量は、前記パッキング(319)と前記裏板(320)との間の隙間を、前記爆風放散口(302)を覆うように取り付けられて前記フランジ(307)を包むように縁部(303a)が折り返された屋外カバー(303)と前記フランジ(307)とからなる固定対象物に対して、前記リング状体(310)の着脱を許容する間隔と挟持固定を許容する間隔との間で変化させる量に設定されている、ことを特徴とする爆風放散口の屋外カバー固定構造体。
【請求項2】
前記リング状体(310)は、四分割されている、ことを特徴とする請求項1記載の爆風放散口の屋外カバー固定構造体。
【請求項3】
前記パッキング(319)は、前記リング状体(310)の大きさに合わせて複数分割されている、ことを特徴とする請求項1記載の爆風放散口の屋外カバー固定構造体。
【請求項4】
前記パッキング(319)は、前記リング状体(310)の上片(311)の幅と略同一の幅を有する、ことを特徴とする請求項1記載の爆風放散口の屋外カバー固定構造体。
【請求項5】
前記裏板(320)は、前記リング状体(310)の大きさに合わせて複数分割されている、ことを特徴とする請求項1記載の爆風放散口の屋外カバー固定構造体。
【請求項6】
前記上片(311)と前記下片(312)と前記連結片(313)とは、断面コの字型に連結されている、ことを特徴とする請求項1記載の爆風放散口の屋外カバー固定構造体。
【請求項7】
前記ネジ孔は、前記貫通孔(314)に対応して前記リング状体(310)の下片(312)の下面に固着されたナット(315)に形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の爆風放散口の屋外カバー固定構造体。
【請求項8】
前記ネジ(316)は、ボルトネジによって形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の爆風放散口の屋外カバー固定構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−239500(P2006−239500A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56048(P2005−56048)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(596133119)中電プラント株式会社 (101)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】