説明

片口金ランプ用ソケット

【課題】 片口金ランプ用ソケットにおいてランプの口金の接触箇所におけるトラッキング現象を防止する。
【解決手段】 底面に複数本の口金ピンを突設した口金を有する片口金ランプの口金底面が表面に接すると共に、表面に設けたピン挿通孔に導通用のピンが挿通される口金受け止め座をソケット本体の底板表面に設けた片口金ランプ用ソケットにおいて、口金受け止め座10A、10Bの異極のピン挿通孔7A、7B間に谷部分Tを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は片口金ランプのソケットに関し、特にランプの口金の接触箇所におけるトラッキング現象の防止に意を払ったソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
底面に複数本の口金ピンを突設した口金を有するランプとしていわゆる片口金ランプが公知である。この種のランプの代表的なものとしては、一本のチューブを中央において折曲し、折曲両端を近接する形状とし、この折曲両端基部を耐熱絶縁素材により成形された口金により固定し、この口金底面に一対二組の導通用のピンが突設されたものが挙げられる。
【0003】
そしてこの種のランプを装着するソケットとしては、口金の両端の突起を含む口金の片側面を抱持する壁体を成形し、このソケット本体の底板にランプの導通用のピンを挿通するピン挿通孔を設け、一方、壁体の両端面の内側には口金の両端の突起が収容されるべき切欠凹部を設けると共に、この切欠凹部内にはこの突起の一側に沿った形状にして、且つその頂上を庇状に覆う形状に先端を折曲した係止具を設けたもの(特許文献1)や、口金の両端の突起を含む口金の片側面を抱持する壁体を成形し、このソケット本体の底板にランプの導通用のピンを挿通するピン挿通孔を設け、一方、壁体の両端面の内側には口金の両端の突起が係止すべき係止部を設けたもの(特許文献2)が公知である。これらのソケットにおいては、ソケットの底板に口金の外側エッジを接し、これを支点としてランプを起こすように回動することによりピン挿通孔にピンが、係止部に突起が挿入嵌合係止されてランプがソケットに圧接力をもって装着された。
【0004】
又、底面に導通用のピンを突設すると共に、両端側壁に係止用の突起を設けた片口金ランプの口金を挿入可能な口金収容部をソケット本体に対し回動自在に軸着し、ソケット本体の底板に口金収容部の底板が重合される装着位置とソケット本体の底板から口金収容部の底板が離れる着脱位置を回動により切り換える形式のソケットも公知である(特許文献3)。
【特許文献1】特開平9−161922号公報
【特許文献2】特開平1−161686号公報
【特許文献3】特開2002−75565公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、ソケットに差し込んだピンの周辺に埃、湿気などが付着し、局部的に絶縁性能が低下した際に電流が流れ、微少なショートを起こして火花放電が繰り返され、その熱が絶縁部を加熱し表面に炭化経路(トラック)が形成され出火するトラッキング現象が大きな問題となっている。
【0006】
前記の片口金ランプ用ソケットの場合、ランプの異極の導通用のピンが接近して配されるのでピン間の空間距離を充分確保できず、トラッキング現象が生じる余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、以上の課題を解決するために創作されたものであり、底面に複数本の口金ピンを突設した口金を有する片口金ランプの口金底面が表面に接すると共に、表面に設けたピン挿通孔に導通用のピンが挿通される口金受け止め座をソケット本体の底板表面に設けた片口金ランプ用ソケットにおいて、口金受け止め座の異極のピン挿通孔間に谷部分を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
片口金ランプの口金のピン同士のピッチは規格によって決定されるので、ピン間の空間距離を動かすことはできない。しかしながら、この発明においては口金受け止め座の異極のピン挿通孔間に谷部分を設けているので、絶縁体である口金受け止め座の表面に沿った最短距離である沿面距離をピン間の空間距離に対して長くすることが可能となり、耐トラッキング性が向上する効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。ここでは、この発明が実施されるソケットとして、ソケット本体1とこのソケット本体に対し回動自在に軸着される口金収容部20から構成される特許文献3において公知なソケットを例にとる。
【0010】
口金収容部20は片口金ランプLの口金Sを開口Hから挿入して保持するために内部を口金の形状に沿った形状としたプラスチック製の容器状のものであり、口金を受け止めるための底板23の周囲に口金の周側を抱持するための周側壁21が起立する構成とされる。この周側壁21には挿入時に口金Sの両端側壁の係止用の突起S1を逃がし、それを露出させるための一対のスリット22が設けられる(図3参照)。又、底板23には装着位置において後記するソケット本体1の底板2の口金受け止め座10A、10Bが露出する窓24が設けられる。
【0011】
ソケット本体1は装着位置において前記の口金収容部20を重合状態で受け止める上方及び前方が開口したプラスチック製の半容器状のものであり、口金収容部の底板23が重合可能な底板2の三方に背板5及び両側壁3が起立する構成とされ、背板5の裏面が照明器具Wへの取り付け面となる(図5及び6参照)。この両側壁3には装着位置において口金収容部20の一対のスリット22から露出したランプLの口金Sの両端側壁の係止用の突起S1が係止されるよう、これらの突起の一側に沿った形状の抜け止め凹部4が設けられる。
【0012】
図2及び図7はこの発明の要部を示す図である。前記の底板2の表面には、ここに口金収容部20の底板23が重合された際に、窓24から露出された口金Sの底面が表面に接すると共に表面に設けたピン挿通孔7A、7Bに導通用のピンP1、P2が挿通される口金受け止め座10A、10Bが隆起して設けられる。この発明においては、上記の口金受け止め座を異極のピン挿通孔7A、7Bごとに独立して間隔を開けて隆起させることにより、それぞれの口金受け止め座10A、10B間に谷部分Tを形成して、ピンP1、P2間の空間距離に対しソケット本体の表面に沿った沿面距離を長くしている。又、この実施例においてはそれぞれの口金受け止め座10A、10B同士の対向する立ち上がり壁の中央付近に壁を弧状に後退させた切り欠き部11A、11Bを設けることにより、沿面距離を更に長くしている。尚、図7における図中符号30は、前記のピン挿通孔7A、7B下方に配されることにより、ピンP1、P2の挿通時にこれらが接触すべき刃受け状の接触金具である。
【0013】
以上の口金収容部20はソケット本体1に対し軸着部をもって回動自在に軸着される。そのため、ソケット本体1の底板2の背板5に対向する開放側両端には軸8が突設されると共に、口金収容部20の周側壁両端から垂下された張り出し片25にはこの軸8が挿入されるべき軸孔26が設けられる。これらの軸と軸孔の形状は真円でなく回転時に互いが係止する係止部が生じるように構成されると共に、強制的に回転した場合に互いの変形により係止部を乗り越えることが可能な程度の弾性を有する素材により軸又は軸孔又はこれらの双方が構成される。
【0014】
以上の構成よりなるこの発明のソケットは、天井等の壁面に取り付けられた照明器具Wに取り付けられ、口金収容部20をその開口Hがソケット本体1に対し傾斜して位置するよう回動することによりランプLの着脱位置にセットされ(図5参照)、ランプLの口金Sを口金収容部20にその開口Hより挿入し、装着位置まで回動する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の片口金ランプ用ソケットの斜視図。
【図2】同上、要部の斜視図。
【図3】同上、口金収容部の斜視図。
【図4】同上、ランプの着脱位置の斜視図。
【図5】同上、ランプの着脱位置の側面図。
【図6】同上、要部の断面図。
【符号の説明】
【0016】
T 谷部分
1 ソケット本体
2 (ソケット本体の)底板
7A ピン挿通孔
7B ピン挿通孔
10A 口金受け止め座
10B 口金受け止め座
20 口金収容部
23 (口金収容部の)底板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に複数本の口金ピンを突設した口金を有する片口金ランプの口金底面が表面に接すると共に、表面に設けたピン挿通孔に導通用のピンが挿通される口金受け止め座をソケット本体の底板表面に設けた片口金ランプ用ソケットにおいて、口金受け止め座の異極のピン挿通孔間に谷部分を設けたことを特徴とする片口金ランプ用ソケット。
【請求項2】
片口金ランプの口金を挿入可能な口金収容部をソケット本体に対し回動自在に軸着し、ソケット本体の底板に口金収容部の底板が重合される装着位置とソケット本体の底板から口金収容部の底板が離れる着脱位置を回動により切り換えるソケットにおいて、ソケット本体の底板に口金収容部の底板が重合された際に、口金底面が表面に接すると共に表面に設けたピン挿通孔に導通用のピンが挿通される口金受け止め座を、ソケット本体の底板表面に対し異極のピン挿通孔ごとに独立して隆起させて設けると共にこれらの口金受け止め座間に間隔を設け、口金収容部の底板には上記口金受け止め座が露出する窓を設けた請求項1記載の片口金ランプ用ソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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