説明

牡蠣の殻むき装置及び殻むき方法

【課題】高い衛生レベルを維持し、低い生産コストで最終品の高い商業的価値を達成する、牡蠣の殻むき装置を提供する。
【解決手段】牡蠣の殻むき装置270は、取付け組立体に取り付けられるようになっている殻むきヘッド272を含む。殻むきヘッドは、牡蠣の下側殻が支持部材274、276の一対のアーム282、284に支持されるような位置において、牡蠣を支持するための手段を含む。殻むきヘッドはまた、牡蠣の端部を、選択されたくさび留め部材278、280に押しつけてくさび留めされるような位置において、牡蠣をくさび留めするための手段を含む。支持部材及びくさび留め部材の配置は、牡蠣が、人がナイフを用いて一方の手で牡蠣の殻をむくことを可能とする安定的な位置に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牡蠣の殻むき装置に関し、特に、牡蠣を安定的な位置に保持して、ナイフを用いて牡蠣の殻をむく人の手際を向上させるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
牡蠣の閉じた殻をむき或いは開いて、その中の有機体に接触するための従来の方法は、一方の手を用いて牡蠣を持ちつつ、他方の手でナイフを持って一方の殻を他方の殻から分離するように用いることであり、大抵の場合は、殻の一方に有機体を固定する筋肉から有機体を分離することであった。通常、これをなすためには、ナイフの刃の先端が、弁の位置にある、開いていない牡蠣の最も弱い点を貫通するようにし、ナイフの位置を操作して上側及び下側の殻を分離し、その後、殻間の牡蠣の片側に沿ってナイフの刃をさっと通して筋肉を切断し、それによって、牡蠣は開かれてその処理の次の段階へ送られる。牡蠣の殻をむくこの処理の後、手、ナイフ、牡蠣に対して水流を落とし、最終品を汚染するであろう殻の破片又は他の物質を取り除く。
【0003】
そのような方法には問題があることが分かっており、その中でも小さくないものとして、その方法はしばしば作業者にとって水疱や他の怪我を生じ、それによって、彼らの全体的な手際の速さや彼らの生産性のレベルを低下させることがある。水疱及び切り傷などの他の怪我によって作業者から出血する可能性があり、その血液が牡蠣を汚染し、作業環境を不衛生にするであろう。更に、そのような方法において作業台スペースを使用することもまた、不衛生の可能性を増大させる。
【0004】
考慮を要する怪我及び衛生面の要素があるだけでなく、従来の手による方法はコストもかかる。その方法はしばしば最終品に損傷を与え、牡蠣の商業的価値を減ずる結果となる。また、人間の血液又は損傷した牡蠣の破片があればそれを洗い流す過程で、水も浪費される。
【0005】
従来の方法には、反復的な手の動きを要するため、しばしば、特に手首の関節及び筋肉の問題が引き起こされる可能性があるという別の問題がある。反復的な酷使による障害は、そのような作業者の間で珍しいことではなく、作業者から賠償請求がなされる危険性がある。
【0006】
これらの問題は全て、牡蠣の殻むきに関わる企業に対して、大きなコストを負わせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、上記先行技術による方法の不都合な点及び欠点を克服し、或いは少なくとも実質的に改善することである。
【0008】
本発明の別の目的は、殻むき工程の間、一方の手を用いて牡蠣を持つ必要を無くし、それによって、他方の手で持ったナイフで牡蠣を持った手を傷つけることによって生じるであろう怪我を避ける、牡蠣の殻むき装置を提供することである。怪我の可能性が減るだけでなく、作業者の快適さのレベルも上がり、それによって、全体のスピード及び生産性レベルが増加する結果となる。
【0009】
本発明の更に別の目的は、作業台スペースの使用を無くし、その方法から生じる血液及び破片に牡蠣が接触するのを制限することによって、高い衛生レベルを維持し、低い生産コストで最終品の高い商業的価値を達成する、牡蠣の殻むき装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、取付け組立体に取り付けられるようになっている一以上の殻むきヘッドを含む牡蠣の殻むき装置であって、各殻むきヘッドは、牡蠣の下側殻が一以上の支持部材に支持されるような位置に牡蠣を支持する手段と、牡蠣の端部を一以上のくさび留め部材に押しつけてくさび留めするような位置に牡蠣をくさび留めする手段とを含み、支持手段及びくさび留め手段の配置は、牡蠣が、人がナイフを用いて一方の手で牡蠣の殻をむくことを可能とする安定的な位置に保持されるものである装置が提供される。
【0011】
好ましくは、離間したアームを含んでなる二つの支持部材を含み、牡蠣の下側殻は、対向するアームによって支持される。
【0012】
本装置は、大きさ及び形状が異なる牡蠣に対応するように、アームのうち少なくとも一つの位置を調整するための手段を含むのが好適である。
【0013】
好適な一形態では、アームの位置調整手段は、一方のアームの位置が他方のアームの位置に対して回転可能に調整される回転可能接続を含む。
【0014】
別の好適な形態では、アームの位置調整手段は、両方のアームの位置がくさび留め手段の位置に対して摺動可能に調整される摺動可能接続を含む。
【0015】
好ましくは、離間した突起面を含む複数のくさび留め部材を有し、牡蠣の端部を、突起面のうち選択された一つに押しつけてくさび留めする。
【0016】
或いは、突起面を含む一つのくさび留め部材を有し、本装置は、大きさ及び形状が異なる牡蠣に対応するように、突起面の位置を調整するための手段を含んでもよい。
【0017】
好適な形態では、突起の位置調整手段は、突起面の位置が支持部材の位置に対して摺動可能に調整される摺動可能接続を含む。
【0018】
好ましくは、くさび留め部材は、複数の歯を含む。
【0019】
或いは、くさび留め部材は、板又は円筒状バーを含んでもよい。
【0020】
好ましくは、一つの殻むきヘッドを有し、本装置は、牡蠣の殻をむく人の手の位置に対応し、或いは、異なる構造のナイフに対応するように、取付け組立体に対する殻むきヘッドの位置を調整するためのコネクタ手段を含んでもよい。
【0021】
或いは、マルチヘッドを形成する複数の殻むきヘッドを有し、各殻むきヘッドは、互いに離間し、且つ、互いの殻むきヘッドの距離とは異なる距離だけくさび留め部材から離間する一対の支持部材を有し、本装置は、殻むきヘッドのうち選択された一つが牡蠣を安定的な位置に保持するのを可能とするように、マルチヘッドの位置を調整する手段を含んでもよい。
【0022】
好ましくは、マルチヘッドの位置調整手段は、マルチヘッドの位置が取付け組立体の位置に対して回転可能に調整される回転可能接続を含む。
【0023】
本装置は、好ましくは、殻むきヘッドに対して水供給デバイスを設けるための手段を含む。
【0024】
本装置は、取付け組立体が固定されるスタンドを含むのが好適である。
【0025】
別の好適な形態では、取付け組立体は、その最上端部に固定されるナットを有する直立支柱と、ナットに受けられるネジ部材を有する結合リムとを含み、結合リムは、一以上の殻むきヘッドを安定的な位置に向けるようになっている。
【0026】
更に別の好適な形態では、結合リムは、マルチヘッドの位置が取付け組立体の位置に対して回転可能に調整されることを可能とする回転可能接続を支持する。
【0027】
前記結合リムは、上記又は各殻むきヘッドが取り付けられる一以上の連結式リム部分を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第一の好ましい実施の形態に係る牡蠣の殻むき装置の斜視図である。
【図2】図1の装置の側面図である。
【図3】図1の装置の正面図である。
【図4】本発明の第二の好ましい実施の形態に係る牡蠣の殻むき装置の斜視図である。
【図5】図4の装置の側面図である。
【図6】図4の装置の正面図である。
【図7】本発明の第三の好ましい実施の形態に係る牡蠣の殻むき装置の斜視図である。
【図8】図7の装置の側面図である。
【図9】図7の装置の正面図である。
【図10】本発明の第四の好ましい実施の形態に係る牡蠣の殻むき装置の斜視図である。
【図11】図10の装置の側面図である。
【図12】図10の装置の正面図である。
【図13】本発明の第五の好ましい実施の形態に係る牡蠣の殻むき装置の斜視図である。
【図14】図13の装置の側面図である。
【図15】図13の装置の正面図である。
【図16】本発明の第六の好ましい実施の形態に係る牡蠣の殻むき装置の斜視図である。
【図17】図16の装置の側面図である。
【図18】図16の装置の正面図である。
【図19】本発明の第七の好ましい実施の形態に係る牡蠣の殻むき装置の斜視図である。
【図20】図19の装置の側面図である。
【図21】図19の装置の正面図である。
【図22】本発明の第八の好ましい実施の形態に係る牡蠣の殻むき装置の斜視図である。
【図23】図22の装置の側面図である。
【図24】図22の装置の正面図である。
【図25】概して真っ直ぐな牡蠣を安定的な位置に保持する、図22から24の装置の斜視図である。
【図26】概して湾曲した牡蠣を安定的な位置に保持する、図22から24の装置の斜視図である。
【図27】牡蠣の殻むき方法の第一ステップにおいて用いられるナイフを含む、図25の装置及び牡蠣の斜視図である。
【図28】牡蠣の殻むき方法の第二ステップにおいて用いられるナイフを含む、図27と同様の図である。
【図29】牡蠣の殻むき方法の第三ステップにおいて用いられるナイフを含む、図28と同様の図である。
【図30】牡蠣の殻むき方法の第四ステップにおいて用いられるナイフを含む、図29と同様の図である。
【図31】水供給デバイスに接続された図19から21の牡蠣の殻むき装置を含む組立体の側面図である。
【図32】図31に示す組立体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1から3に示す装置10は、複数の殻むきヘッド12、14、16が接続される本体11を含む。複数の殻むきヘッド12、14、16の各々は、牡蠣支持手段及び牡蠣くさび留め手段を有する。各牡蠣支持手段は、二つの支持部材30、32を含み、各牡蠣くさび留め手段は、くさび留め部材34、36の配置を含む。
【0030】
支持部材30、32は、離間したアーム38、40を含む。アーム38、40は、対向する各側において牡蠣の下側殻を支持するようになっている、概して平行なアーム部を有する。
【0031】
くさび留め部材34、36は、牡蠣の端部を、突起面のうち選択された一つに押しつけてくさび留めするようになっている、離間した突起面を含む。上側くさび留め部材34は、矩形ブロック88の上部に固定される前方へ延びるパネル89と、該パネルの下側のブロック内へ形成される湾曲凹部90とを有する矩形ブロック88である。下側くさび留め部材36もまた、円筒状バー91の中へ形成される湾曲凹部92を有する円筒状バー91の形状をしている。牡蠣は、その大きさ及び形状に応じて、凹部90に押しつけられる場合、その端部をパネル89の下側面に押しつけてくさび留めされ、或いは、凹部92に押しつけられる場合、その端部をブロック88の下側面に押しつけてくさび留めされ、或いは、その端部を円筒状バー91の下側面に押しつけてくさび留めされるであろう。
【0032】
装置10は、このようにマルチヘッドの形をとる。
【0033】
各殻むきヘッド12、14、16について、アーム38、40は、互いに、且つ、他の二つの殻むきヘッドの距離とは異なる距離だけ各突起面から離間している。支持アーム38、40及びくさび留め突起面の配置は、牡蠣が、人がナイフを用いて片手で該牡蠣の殻をむくことを可能とする安定的な位置に保持されるような配置である。
【0034】
また、マルチヘッド装置10の位置を、殻むきヘッド12、14、16のうち選択された一つがそのような安定的な位置に牡蠣を保持可能に、そして、牡蠣の殻をむく人の手の位置に対応し、或いは、異なる構造のナイフに対応するように調整してもよい。本明細書において後に詳細に説明する位置調整手段は、装置10が取り付けられる取付け組立体の一部である。
【0035】
取付け組立体は結合リムを含み、結合リムには、本体11の後部に固定されるナット48とともに、ネジ付きシャフト46を取外し可能に接続することができる。
【0036】
図4から6に示す装置50は本体51を含み、本体51には、牡蠣支持手段及び牡蠣くさび留め手段を有する単一の殻むきヘッド52が接続される。牡蠣支持手段は、二つの支持部材58、60を含み、牡蠣くさび留め手段は、くさび留め部材62、64の配置を含む。
【0037】
支持部材58、60は、離間したアーム66、68を含む。アーム66、68は、対向する各側において牡蠣の下側殻を支持するようになっている、概して平行なアーム部を有する。アーム66、68の位置は、異なる大きさ及び形状の牡蠣に対応するための手段によって調整されてもよい。アーム位置調整手段は、アーム66、68の位置をくさび留め部材62、64の位置に対して摺動可能に調整することを可能とする、支持部材58、60と本体51との間の摺動可能接続を含む。摺動可能接続は、本体51内の通路を通って摺動するようになっており、位置決めデバイス74のシャフトに選択的に係合されるようになっている複数の穴72を有する摺動バー70を含む。位置決めデバイス74は、取っ手75の巻き動作によってシャフトと位置合わせされた場合に、穴72の何れか一つに係合及び離脱することができる。
【0038】
くさび留め部材62、64は、牡蠣の端部を、突起面のうち選択された一つに押しつけてくさび留めするようになっている、離間した突起面を含む。突起面の位置は、異なる大きさ及び形状の牡蠣に対応するための手段によって調整されてもよい。突起位置調整手段は、突起面の位置を支持部材58、60の位置に対して摺動可能に調整することを可能とする、くさび留め部材62、64と本体51との間の摺動可能接続を含む。摺動可能接続は、本体51内の開放軌道80と、開放軌道80に沿って摺動する滑走部(図示せず)とを含む。滑走部は、前端においてくさび留め部材62、64に接続され、後端において位置決めデバイス82を有する。位置決めデバイス82は、軌道80上の選択された位置にて、くさび留め部材62、64に接触して、デバイス82を締めたり緩めたりすることができるネジ締め部材84に動作可能に接続される。
【0039】
上述の摺動可能接続によって、アーム66、68が、摺動可能な調整によって達成される所望の距離だけ、各突起面から離間されることが可能となる。支持アーム66、68及びくさび留め突起面の配置は、牡蠣が、人がナイフを用いて一方の手で該牡蠣の殻をむくことを可能とする安定的な位置に保持されるようなものである。
【0040】
摺動バー70の後部に、ナット88とともにネジ付きシャフト86が固定され、これに、取付け組立体の結合リムを取外し可能に接続することができる。
【0041】
図7から9に示す装置100は、各々が牡蠣支持手段及び牡蠣くさび留め手段を有する複数の殻むきヘッド102、103、104、105、106が接続される本体101を含む。各牡蠣支持手段は、二つの支持部材108、110を含み、各牡蠣くさび留め手段は、くさび留め部材112を含む。幾つかの殻むきヘッドは、支持部材を共有する。
【0042】
支持部材108、110は、対向する各側において牡蠣の下側殻を支持するようになっている、弓形のアーム部を有する離間したアーム113、114を含む。
【0043】
くさび留め部材112は、牡蠣の端部を押しつけてくさび留めするようになっている突起面を含む。
【0044】
装置100は、このようにマルチヘッドの形をとる。
【0045】
各殻むきヘッド102から106について、アーム113、114は、互いに、且つ、他の殻むきヘッドの距離とは異なる距離だけ突起面から離間している。支持アーム113、114及びくさび留め突起面の配置は、牡蠣が、人がナイフを用いて一方の手で該牡蠣の殻をむくことを可能とする安定的な位置に保持されるような配置である。
【0046】
本体101の後部に、ナット120とともにネジ付きシャフト118が固定され、これに、取付け組立体の結合リムを取外し可能に接続することができる。
【0047】
図10から12に示す装置130は本体131を含み、本体131には、牡蠣支持手段及び牡蠣くさび留め手段を有する単一の殻むきヘッド132が接続される。牡蠣支持手段は、二つの支持部材134、136を含み、牡蠣くさび留め手段は、くさび留め部材138、140の配置を含む。
【0048】
支持部材134、136は、離間したアーム142、144を含む。アーム142、144は、対向する各側において牡蠣の下側殻を支持するようになっている、オフセットしたアーム部を有する。アーム142、144の位置は、異なる大きさ及び形状の牡蠣に対応するための種々の手段によって調整されてもよい。第一のアーム位置調整手段は、アーム142、144の位置をくさび留め部材138、140の位置に対して摺動可能に調整することを可能とする、支持部材134、136と本体131との間の摺動可能接続を含む。摺動可能接続は、本体131内の通路を通って摺動するようになっており、位置決めデバイス151のシャフトに選択的に係合されるようになっている複数の穴150を有する摺動バー146を含む。位置決め装置151は、取っ手152の巻き動作によって、シャフトと位置合わせされた場合に、穴150の何れか一つに係合及び離脱することができる。
【0049】
第二のアーム位置調整手段は、一方のアーム144の位置を他方のアーム142の位置に対して回転可能に調整することを可能とする、アーム142、144間の回転可能接続を含む。回転可能接続はネジ付きロッド154を含み、その一端にはアーム144が固定される。ロッド154は、摺動バー146の開口を貫いて回転するようになっており、摺動バー146にはアーム142が固定される。位置決めデバイス156は、アーム142に対して選択された位置にて、アーム144に接触して、デバイス156を締めたり緩めたりすることができるネジ締め部材158に動作可能に接続される。
【0050】
くさび留め部材138、140は、牡蠣の末端部を、突起面のうち選択された一つに押しつけてくさび留めするようになっている、離間した突起面を含む。
【0051】
くさび留め手段の底部には、必要であれば、牡蠣の下側を支持するのに用いることができる台(platform)163が固定される。
【0052】
支持アーム142、144及びくさび留め突起面、及び必要な場合の支持台163の配置は、牡蠣が、人がナイフを用いて一方の手で該牡蠣の殻をむくことを可能とする安定的な位置に保持されるような配置である。
【0053】
摺動バー146の後部にはネジ付きマウント164が固定され、これに、取付け組立体の結合リム166が取外し可能に接続される。結合リム166は、装置130を安定的な位置に向けるようになっており、取付け組立体の直立支柱の最上端に留められるナットによって受けることができるネジ付き部材168を有する。
【0054】
図13から15に示す装置180は本体181を含み、本体181には、牡蠣支持手段及び牡蠣くさび留め手段を有する単一の殻むきヘッド182が接続される。牡蠣支持手段は、二つの支持部材184、186を含み、牡蠣くさび留め手段は、くさび留め部材188、190の配置を含む。
【0055】
支持部材184、186は、離間したアーム192、194を含む。アーム192、194は、対向する各側において牡蠣の下側殻を支持するようになっている、概して平行なアーム部を有する。
【0056】
くさび留め部材188、190は、牡蠣の端部を、突起面のうち選択された一つに押しつけてくさび留めするようになっている、離間した突起面を含む。
【0057】
支持アーム192、194及びくさび留め突起面の配置は、牡蠣が、人がナイフを用いて一方の手で該牡蠣の殻をむくことを可能とする安定的な位置に保持されるような配置である。
【0058】
本体181(ひいては取付け組立体)に対する殻むきヘッド182の位置を、牡蠣の殻をむく人の手の位置に対応し、或いは、異なる構造のナイフに対応するように、摺動可能接続によって調整してもよい。摺動可能接続は、殻むきヘッド182に固定され、本体181の通路202内に摺動可能に係合することができる摺動バー200を含む。位置決めデバイス204は、本体181に対して選択された位置に、摺動バー200に接触して(ひいては殻むきヘッドに接触して)、デバイス204を締めたり緩めたりすることができるネジ締め部材206に動作可能に接続される。
【0059】
本体181の後部にネジ付きシャフト208が固定され、これに、取付け組立体の結合リムを取外し可能に接続することができる。
【0060】
図16から18に示す装置210は本体211を含み、本体211には、牡蠣支持手段及び牡蠣くさび留め手段を有する単一の殻むきヘッド212が接続される。牡蠣支持手段は、二つの支持部材214、216を含み、牡蠣くさび留め手段は、くさび留め部材218を含む。
【0061】
支持部材214、216は、対向する各側において牡蠣の下側殻を支持するようになっている、弓形のアーム部を有する離間したアーム220、222を含む。
【0062】
くさび留め部材218は、牡蠣の端部を押しつけてくさび留めするようになっている突起面を含む。
【0063】
くさび留め手段の底部には、必要であれば、牡蠣の下側を支持するのに用いることができる台(platform)226が固定される。
【0064】
支持アーム220、222及びくさび留め突起面、及び必要な場合の支持台226の配置は、牡蠣が、人がナイフを用いて一方の手で該牡蠣の殻をむくことを可能とする安定的な位置に保持されるような配置である。
【0065】
本体211はネジ付きシャフト228を有し、これに、取付け組立体の結合リムを取外し可能に接続することができる。
【0066】
図19から21に示す装置240は本体241を含み、本体241には、牡蠣支持手段及び牡蠣くさび留め手段を有する単一の殻むきヘッド242が接続される。牡蠣支持手段は、二つの支持部材244、246を含み、牡蠣くさび留め手段は、くさび留め部材248、250、252の配置を含む。
【0067】
支持部材244、246は、それらの後部にて結合され、対向する各側において牡蠣の下側殻を支持するようになっている概して平行なアーム部を有する、離間したアーム254、256を含む。くさび留め部材248、250、252は、牡蠣の端部を突起面のうち選択された一対に押しつけてくさび留めするようになっている面を有する、歯の形をとる離間した突起の各対を含む。
【0068】
歯は、くさび留め支持スタンド257に固定され、くさび留め支持スタンド257の底部は、基部258に固定され、基部258は、同様に、支持部材244、246の後部に固定されている。
【0069】
支持アーム254、256、及び、歯248、250、252の形をとるくさび留め突起面の配置は、牡蠣が、人がナイフを用いて一方の手で該牡蠣の殻をむくことを可能とする安定的な位置に保持されるような配置である。
【0070】
本体241は、ナット260とともにネジ付きシャフト259を有し、これに、取付け組立体の結合リムを取外し可能に接続することができる。
【0071】
図22から24に示す装置270は本体271を含み、本体271には、牡蠣支持手段及び牡蠣くさび留め手段を有する単一の殻むきヘッド272が接続される。牡蠣支持手段は、二つの支持部材274、276を含み、牡蠣くさび留め手段は、くさび留め部材278、280の配置を含む。
【0072】
支持部材274、276は、それらの後部にて結合され、対向する各側において牡蠣の下側殻を支持するようになっている弓形のアーム部を有する、離間したアーム282、284を含む。
【0073】
くさび留め部材278、280は、牡蠣の端部を突起面のうち選択された一対に押しつけてくさび留めするようになっている離間した突起面を含む。
【0074】
支持アーム282、284及びくさび留め突起面の配置は、牡蠣が、人がナイフを用いて一方の手で前記牡蠣の殻をむくことを可能とする安定的な位置に保持されるような配置である。
【0075】
本体271は、ナット292とともにネジ付きシャフト290を有し、これに、取付け組立体の結合リムを取外し可能に接続することができる。
【0076】
図25及び26に装置270を再び示しており、装置270は、各牡蠣272、274を、人がナイフを用いて一方の手で牡蠣の殻をむくことを可能とする安定的な位置に保持している。
【0077】
牡蠣272、274は異なる形状をしており、図25に示す牡蠣272は概して真っ直ぐであり、図26に示す牡蠣274は概して湾曲している。
【0078】
概して真っ直ぐな牡蠣272は、その端部を、円筒状バーの形をとる突起面を含む下側くさび留め部材280の下側面に押しつけてくさび留めされている。
【0079】
概して湾曲している牡蠣274は、パネルの下の円筒状バーに形成される湾曲凹部294を押圧しつつ、その端部を、パネルの形をとる突起面を含む上側くさび留め部材278の下側面に押しつけてくさび留めされている。
【0080】
図27から30に示すナイフ300は、装置270によって安定的に保持される牡蠣272の殻をむく方法の種々のステップで使用される。
【0081】
一方の手にナイフ300を持って、矢印Aの方向に、牡蠣の上側殻302と下側殻303との間の弁に、ナイフの刃301の先端を押し入れ、それによって牡蠣の最も弱い部分を貫通する(図27参照)。
【0082】
それからナイフの刃301を矢印Bの方向に押し下げ、それによって、牡蠣の上側及び下側殻を部分的に分離する(図28参照)。
【0083】
それからナイフの刃301を矢印Cの方向にひねることによって殻と殻とを更に分離し、刃の切断エッジ304を最上部且つ牡蠣の上側殻に押しつける前端位置に位置させる(図29参照)。
【0084】
それから刃301を矢印Dの方向に、殻と殻との間を牡蠣の内部に沿って後方へさっと動かして、刃の切断エッジ304で殻を保持する筋肉を切断し、それによって牡蠣が開かれる。
【0085】
手、ナイフ、及び開いた牡蠣に対して流水又は噴霧水を供給して、最終品を汚染する可能性のある殻の破片を取り除く。
【0086】
図31及び32に、アダプタ314を介して装置240に接続される水噴霧器310及びそのホルダ312を示す。アダプタ314は、取付け組立体に取外し可能に接続することが可能なネジ付きシャフト316及びナット318を含む。
【0087】
水噴霧器310は、ホルダ312の上側部分を摺動可能に受け、ネジ締め部材322の操作によって前記上側部分に堅く係合することができる調整可能な管状コネクタ320を有する。管状コネクタ320の位置(ひいては水噴霧器310の位置)は、水の方向を選択するために調整することができる。
【0088】
また水噴霧器310は、図31に断面を示すように、水源からの出口に螺合するためのネジ付き上側部分326と、水を放出するための小径下側部分327とを有する主パイプ324も有する。非腐食性金属又は同様の材料でできた、概してらせん状の縒り部328が、主パイプ324の内部にきつく設けられている。縒り部328は、そこから放出される水が、殻の破片の除去を効果的にできなくしたり或いは他の方法で開いた牡蠣の品質を低下させたりするほど、激しくなったり或いは集中したりしないように、パイプ324を貫流する水を効果的に「和らげる」ような形状とされている。
【0089】
本発明の範囲又は境界から逸脱することなく、上述した牡蠣の殻むき装置の設計、構造及び使用の詳細に種々の変形を行うことができることは、当業者にとって容易に明らかとなるであろう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付け組立体に取り付けられるようになっている一以上の殻むきヘッドを含む牡蠣の殻むき装置であって、
前記殻むきヘッドは、前記牡蠣の下側殻が一以上の支持部材に支持されるような位置に前記牡蠣を支持する手段と、前記牡蠣の端部を一以上のくさび留め部材に押しつけてくさび留めされるような位置に前記牡蠣をくさび留めする手段とを含み、前記支持手段と前記くさび留め手段の配置は、前記牡蠣が、人がナイフを用いて一方の手で前記牡蠣の殻をむくことを可能とする安定的な位置に保持されるものである装置。
【請求項2】
請求項1に記載の牡蠣の殻むき装置において
離間したアームを含んでなる2つの支持部材を含み、前記牡蠣の前記下側殻は、対向する前記アームによって支持されることを特徴とする牡蠣の殻むき装置。
【請求項3】
請求項2に記載の牡蠣の殻むき装置において、
大きさ及び形状が異なる牡蠣に対応するように、前記アームのうち少なくとも一つの位置を調整する手段を含むことを特徴とする牡蠣の殻むき装置。
【請求項4】
請求項3に記載の牡蠣の殻むき装置において、
前記アームの位置調整手段は、一方のアームの位置が他方のアームの位置に対して回転可能に調整される回転可能接続を含むことを特徴とする牡蠣の殻むき装置。
【請求項5】
請求項3に記載の牡蠣の殻むき装置において、
前記アームの一様性手段は、両方のアームの位置が前記くさび留め手段の位置に対して摺動可能に調整される摺動可能接続を含むことを特徴とする牡蠣の殻むき装置。
【請求項6】
請求項1に記載の牡蠣の殻むき装置において、
離間した突起面を含む複数のくさび留め部材を有し、前記牡蠣の前記端部を、前記突起面のうち選択された一つに押しつけてくさび留めすることを特徴とする牡蠣の殻むき装置。
【請求項7】
請求項1に記載の牡蠣の殻むき装置において、突起面を含む一つのくさび留め部材を有することを特徴とする牡蠣の殻むき装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の牡蠣の殻むき装置において、
大きさ及び形状が異なる牡蠣に対応するように、前記突起面の位置を調整する手段を含むことを特徴とする牡蠣の殻むき装置。
【請求項9】
請求項8に記載の牡蠣の殻むき装置において、
前記突起の位置調整手段は、前記突起面の位置が前記支持部材の位置に対して摺動可能に調整される摺動可能接続を含むことを特徴とする牡蠣の殻むき装置。
【請求項10】
請求項1に記載の牡蠣の殻むき装置において、
一つの殻むきヘッドを有し、前記装置は、前記牡蠣の殻をむく人の手の位置に対応し、或いは、異なる構造のナイフに対応するように、前記取付け組立体に対する前記殻むきヘッドの位置を調整するコネクタ手段を含むことを特徴とする牡蠣の殻むき装置。
【請求項11】
請求項1に記載の牡蠣の殻むき装置において、
マルチヘッドを形成する複数の殻むきヘッドを有し、各殻むきヘッドは、互いに離間し、且つ、互いの前記殻むきヘッドの距離とは異なる距離だけ前記各くさび留め部材から離間する一対の支持部材を有し、前記装置は、前記殻むきヘッドのうち選択された一つが前記牡蠣を安定的な位置に保持するのを可能とするように、前記マルチヘッドの位置を調整する手段を含むことを特徴とする牡蠣の殻むき装置。
【請求項12】
請求項11の記載の牡蠣の殻むき装置において、
前記マルチヘッドの位置調整手段は、前記マルチヘッドの位置が前記取付け組立体の位置に対して回転可能に調整される回転可能接続を含むことを特徴とする牡蠣の殻むき装置。
【請求項13】
請求項1に記載の牡蠣の殻むき装置において、
前記殻むきヘッドに対して水を供給するデバイスを設ける手段を含むことを特徴とする牡蠣の殻むき装置。
【請求項14】
請求項1に記載の牡蠣の殻むき装置おいて、
前記取付け組立体は、その最上端部に固定されるナットを有する直立支柱と、前記ナットに受けられるネジ部材を有する結合リムとを含み、前記結合リムは、前記一以上の殻むきヘッドを安定的な位置に向けられるように形成される請求項1の装置。
【請求項15】
牡蠣の殻むき方法であって、
(a)請求項1の牡蠣の殻むき装置を準備することと、
(b)取付け組立体に前記装置を取り付けることと、
(c)牡蠣の下側殻が前記装置の一以上の支持部材に支持され、且つ、前記牡蠣の端部を前記装置の一以上のくさび留め部材に押しつけてくさび留めし、それによって前記牡蠣が安定的な位置に保持されるように、殻をむくべき前記牡蠣を前記装置に位置決めすることと、
(d)ナイフを用いて、一方の手で前記牡蠣の殻をむくことと、
を含む方法。
【請求項16】
添付図面を参照して本明細書において実質的に説明される、牡蠣の殻むき装置。
【請求項17】
添付図面を参照して本明細書において実質的に説明される、牡蠣の殻むき方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2011−229421(P2011−229421A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−100595(P2010−100595)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(510116303)
【Fターム(参考)】