説明

物体位置決め固定装置

【課題】手動クランプ用ボルトにより締結可能な位置決め固定装置を提供する。
【解決手段】ベース部材2の上にパレット3を水平方向と鉛直方向に位置決めして固定するパレット位置決め固定装置1において、ベース部材に、位置決めの為の第1基準部材10と、第1基準部材の軸心の回りの回転規制の為の第2基準部材20と、鉛直方向位置決めの為の基準座面5とを設け、第1,第2基準部材のフランジ部をボルトでベース部材に固定し、第1,第2基準部材の係合凸部12,22の外周部分に第1,第2テーパ係合面18,28を形成する。ワークパレット側の環状係合部材の環状係合部を係合凸部の第1,第2テーパ係合面に係合させ、クランプ用ボルト4をワークパレットのボルト挿通孔7に挿通し、係合凸部のボルト孔13,23に螺合させることで、環状係合部を外径拡大側へ弾性変形させ第1,第2テーパ係合面に密着状に係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース部材の上に位置決め固定の対象である対象物体を水平方向と鉛直方向に位置決めして固定する物体位置決め固定装置に関し、特に複数のクランプ用ボルトを手動でクランプ駆動することで対象物体を固定するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、機械加工に供するワークを固定する為の種々のワークパレット(対象物体に相当する)と、このワークパレットをベース部材に位置決め固定するワークパレット位置決め固定装置とが広く実用に供されている。
例えば、特許文献1に記載のワークパレット位置決め固定装置においては、ベース部材側に4組のテーパスリーブ方式の位置決め機構及びボールロック方式のクランプ機構を装備し、ワークパレットに4組の位置決め機構とクランプ機構に対応する4組の位置決めとクランプ用のリング部材を装備し、ワークパレットを水平方向と鉛直方向に位置決めしてクランプするようになっている。
【0003】
前記クランプ機構は、皿バネ積層体によってクランプ駆動し、油圧シリンダの油圧力によりクランプ解除する。この位置決め固定装置においては、1組の基準側の位置決め機構により、ワークパレットを水平方向と鉛直方向に位置決めし、この位置決め機構と対角関係にある他の1組の位置決め機構により、水平面内において基準側のクランプ機構の軸心回りに回転しないように規制している。
【0004】
他方、特許文献2に記載のワークパレット位置決め固定装置においては、ベース部材側に4組の位置決め機構及びボールロック方式のクランプ機構を装備し、ワークパレットに4組の位置決め機構とクランプ機構に対応する4組の位置決めとクランプ用のリング部材を装備し、ワークパレットを水平方向と鉛直方向に位置決めしてクランプするようになっている。クランプ機構は、皿バネ積層体によってクランプ駆動し、油圧シリンダの油圧力によりクランプ解除するように構成されている。
【0005】
各位置決め機構において、外周面に環状テーパ面を有する筒状軸部をベース部材に設けてある。ワークパレット側のリング部材には、外径拡大方向へ弾性変形可能な環状係合部を形成し、ワークパレットをベース部材に上方から載置し、リング部材の環状係合部を筒状軸部に外嵌させ、クランプ機構によるクランプ力により環状係合部を外径拡大側へ弾性変形させて筒状軸部の環状テーパ面に密着状に係合させることにより、ワークパレットを水平方向に位置決めするように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−38564号公報
【特許文献2】特開2003−39264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2の装置では、クランプ機構のアクチュエータとして、皿バネ積層体を内蔵した油圧シリンダを適用している。しかし、油圧シリンダは大型で、構造も複雑であるため、パレット位置決め固定装置の製作コストが非常に高価になる。そこで、クランプ機構のアクチュエータの代わりに、手動にて締結可能なクランプ用ボルトを採用することも考えられる。しかし、従来のワークパレットでは、パレット上面にワークを取り付け、切粉等の侵入を防止する関係上、パレットの下側にクランプ用ボルトを配置することになる。このように、クランプ用ボルトをベース部材側に装備すると、クランプ機構の構造が複雑化し、クランプ用ボルトを操作する操作性が悪くなる。しかも、従来の位置決め機構とクランプ用ボルトを組み合わせて協働させる構成は、未だ何ら提案されておらず、実用化されていない。
【0008】
本発明の目的は、手動にて締結可能なクランプ用ボルトによりクランプ力を発生可能な物体位置決め固定装置を提供すること、クランプ用ボルトを主体とするクランプ機構の構造が簡単で且つクランプ用ボルトを操作する操作性を高めた物体位置決め固定装置を提供すること、位置決め機構とクランプ用ボルトを組み合わせて協働可能にした物体位置決め固定装置を提供すること等である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の物体位置決め固定装置は、ベース部材の上に位置決め固定の対象である対象物体を水平方向と鉛直方向に位置決めして固定する対象物体位置決め固定装置において、前記ベース部材は、水平方向位置決めの為の第1基準部材と、この第1基準部材から離隔した位置に配設され且つ第1基準部材を中心とする水平面内回転の規制の為の第2基準部材と、鉛直方向位置決めの為の基準座面とを備え、前記第1,第2基準部材は、夫々、フランジ部と、このフランジ部の中央部から上方へ突出する係合凸部と、前記フランジ部をベース部材に固定する鉛直の複数の取付け用ボルト及び複数のボルト穴を備える共に、前記第1,第2基準部材の係合凸部は上方程小径化する第1,第2テーパ係合面を夫々有し、前記パレットは、外径拡大方向に弾性変形可能で且つ第1,第2基準部材の第1,第2テーパ係合面に夫々密着状に係合可能な環状係合部を有する複数の環状係合部材を備え、前記ベース部材の基準座面の上に前記対象物体を載置し、複数のクランプ用ボルトを前記対象物体に形成された複数のボルト挿通孔から前記ベース部材側の複数のボルト孔に締結して前記対象物体を前記基準座面に押圧することで、前記環状係合部の弾性変形を介して前記対象物体を位置決めして固定するように構成したことを特徴としている。
【0010】
請求項2の物体位置決め固定装置は、請求項1の発明において、前記第1,第2基準部材の中央部に前記ベース部材側のボルト孔が夫々形成され、前記対象物体に形成された複数のボルト挿通孔は、前記ボルト孔に対応する前記対象物体の部分に夫々形成され、前記ベース部材の基準座面の上に前記対象物体を載置し、複数のクランプ用ボルトを前記ボルト挿通孔から第1,第2基準部材の前記ボルト孔に夫々締結することを特徴としている。
【0011】
請求項3の物体位置決め固定装置は、請求項1の発明において、前記第1,第2基準部材の中央部に鉛直の中央部ボルト挿通孔が夫々形成され、前記ベース部材側の複数のボルト孔は、前記中央部ボルト挿通孔に対応する前記ベース部材の部分に夫々形成され、前記対象物体に形成された複数のボルト挿通孔は、前記中央部ボルト挿通孔に対応する前記対象物体の部分に夫々形成され、
前記ベース部材の基準座面の上に前記パレットを載置し、複数のクランプ用ボルトをボルト挿通孔から第1,第2基準部材の中央部ボルト挿通孔を介して前記ベース部材のボルト孔に夫々締結することを特徴としている。
【0012】
請求項4の物体位置決め固定装置は、請求項1の発明において、前記第2基準部材は、平面視において第1,第2基準部材の軸心同士を結ぶ中心線に直交する方向に対向する1対のテーパ係合面を有することを特徴としている。
【0013】
請求項5の物体位置決め固定装置は、請求項1の発明において、前記ベース部材の上面に、前記パレットの下面を着座させる基準座面を形成したことを特徴としている。
請求項6の物体位置決め固定装置は、請求項1〜5の何れか1つの発明において、前記第1,第2基準部材のフランジ部が、前記ベース部材に形成した取り付け穴に収容した状態で複数の取付け用ボルトで固定され、前記環状係合部材は、前記対象物体にその下面から凹設された取り付け凹部に圧入にて固定されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、対象物体に形成した複数のボルト挿通孔からベース部材側の複数のボルト孔に螺合する複数のクランプ用ボルトにより対象物体をベース部材に固定するため、対象物体をクランプする為の構造が簡単になり、対象物体位置決め固定装置の製作費を節減できる。対象物体の上方からクランプ用ボルトを取り付けて操作(締結、締結解除)できるため、クランプ用ボルトを操作する操作性を高めることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、第1,第2基準部材と環状係合部材とを係合させる際に、クランプ用ボルトを第1,第2基準部材に直接締結可能なので、第1,第2基準部材の中心部分にクランプ力を効率的に作用させて、位置決め精度を高めることができる。
また、クランプ用ボルトと第1,第2基準部材とを組み合わせて協働させる構成にしたので、クランプの為に第1,第2基準部材を有効活用することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、第1,第2基準部材の中央部に中央部ボルト挿通孔を形成して、クランプ用ボルトを対象物体のボルト挿通孔と中央部ボルト挿通孔を挿通させ、ベース部材側のボルト孔に螺合する構造であるから、第1,第2基準部材の中心部分にクランプ力を効率的に作用させることができ、位置決め精度を高める上で有利である。
【0017】
請求項4の発明によれば、第1基準部材の軸心の回りに対象物体が回転するのを確実に規制することができる。
請求項5の発明によれば、ベース部材の上面に、対象物体の下面を着座させる基準座面を形成したため、ベース部材を活用して基準座面を形成できるうえ、ベース部材と対象物体間に隙間がない状態にして切粉の侵入を防止可能に形成できる。
【0018】
請求項6の発明によれば、第1,第2基準部材のフランジ部が、ベース部材に形成した取り付け穴に収容して複数の取り付け用ボルトで固定され、環状係合部材は対象物体に凹設された取り付け凹部に圧入にて固定されたので、ベース部材の上面の大部分を平坦にし、対象物体の下面を平坦にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1のパレット位置決め固定装置の分解斜視図である。
【図2】ベース部材の平面図である。
【図3】パレットの底面図である。
【図4】図2のIV−IV線で分断したパレット位置決め固定装置の縦断面図である。
【図5】第1基準部材の斜視図である。
【図6】第2基準部材の斜視図である。
【図7】環状係合部材の斜視図である。
【図8】第1基準部材と環状係合部材などの要部断面図である。
【図9】実施例2のパレット位置決め固定装置の分解斜視図である。
【図10】ベース部材の平面図である。
【図11】図10XI−XI線で分断したパレット位置決め固定装置の縦断面図である。
【図12】実施例3のパレット位置決め固定装置のベース部材の平面図である。
【図13】パレット位置決め固定装置の縦断面図である。
【図14】実施例4のパレット位置決め固定装置のベース部材の平面図である。
【図15】パレット位置決め固定装置の縦断面図である。
【図16】実施例5のバイス装置の縦断面図である。
【図17】図16のバイス装置の平面図である。
【図18】実施例6のチャック装置の縦断面図である。
【図19】図18のチャック装置の正面図である。
【図20】実施例7のパレット位置決め固定装置のベース部材の平面図である。
【図21】実施例7の第1基準部材の斜視図である。
【図22】実施例7の第2基準部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
なお、以下の実施例において、水平方向へ位置決めするとは、水平方向の位置を決めることを意味し、鉛直方向へ位置決めするとは、鉛直方向の位置を決めることを意味する。
【実施例1】
【0021】
図1に示すように、実施例1のパレット位置決め固定装置1(これが、「物体位置決め固定装置」に相当する。以下、位置決め固定装置という)は、ベース部材2の上に機械加工に供するワークを保持する為のパレット3(これが、「対象物体」に相当する。以下、ワークパレットという)を水平方向と鉛直方向に位置決めし、クランプ用ボルト4により固定するものである。
【0022】
ベース部材2は、工作機械のテーブル等の上に固定した状態にセットしておく。ワークパレット3には、図示外のクランプ装置やボルトにより1又は複数のワーク(図示略)を固定し、そのワークパレット3をベース部材2上に搬送し、水平方向と鉛直方向に位置決めし且つ固定してから、ワークパレット3上の1又は複数のワークに対して機械加工が施される。
【0023】
この位置決め固定装置1は、ベース部材2と、ワークパレット3と、4つのクランプ用ボルト4とを備えている。ベース部材2とワークパレット3は、夫々、長方形の厚手の鋼製の平板部材で構成されている。ベース部材2の上面のほぼ全域は、ワークパレット3を載置し、ワークパレット3の下面を着座させてワークパレット3を鉛直方向に位置決めする為の水平な基準座面5に形成されている。
【0024】
図1、図2、図4〜図8に示すように、ベース部材2は、水平方向位置決めの為の第1基準部材10と、この第1基準部材10から離隔した位置に配設され且つ第1基準部材10を中心とする水平面内における回転規制の為の第2基準部材20と、前記の基準座面5と、1対のボルト孔6とを備えている。第1,第2基準部材10,20は、ベース部材2の対角関係にある1対の隅部の近傍部位に配設されている。1対のボルト孔6は、ベース部材2の対角関係にある1対の隅部(上記1対の隅部とは異なる1対の隅部)の近傍部位に配設されている。
【0025】
第1基準部材10は、円板状のフランジ部11と、このフランジ部11の中央部から上方へ突出する係合凸部12と、第1基準部材10の中央部に形成された鉛直のボルト孔13と、フランジ部11をベース部材2に固定する鉛直の4つの取付け用ボルト14及び4つのボルト穴15を備えている。4つのボルト穴15は周方向4等分位置に配置されている。第1基準部材10の係合凸部12の外周に上方程小径化する第1テーパ係合面18が形成されている。但し、第1テーパ係合面18は、周方向に間欠的に形成した複数のテーパ係合面で構成してもよい。
【0026】
第1基準部材10のフランジ部11をベース部材2に形成した取付け穴16に収容した状態で、4つの取付け用ボルト14を夫々ボルト穴15に挿通してベース部材2側のボルト穴17に螺合させることにより、上記のフランジ部11が固定されている。フランジ部11の上面は基準座面5より微小距離低い水平面になっている(図4参照)。
各ボルト穴15の上半部はボルト頭部収容穴15aに形成され、各ボルト穴15の下半部はボルト挿通孔に形成されている。ボルト頭部収容穴15aとフランジ部11の外周面間の壁部の厚さは非常に小さい。
【0027】
図1、図2、図4〜図8に示すように、第2基準部材20は、円板状のフランジ部21と、このフランジ部21の中央部から上方へ突出する係合凸部22と、第2基準部材20の中央部に形成された鉛直のボルト孔23と、フランジ部21をベース部材2に固定する鉛直の4つの取付け用ボルト24及び4つのボルト穴25を備えている。4つのボルト穴25は周方向4等分位置に配置されている。
【0028】
第2基準部材20のフランジ部21を、ベース部材2に形成した取付け穴26に収容した状態で、4つの取付け用ボルト24を夫々ボルト穴25に挿通してベース部材2側のボルト穴27に螺合させることにより、上記のフランジ部21が固定されている。フランジ部21の上面が基準座面5より微小距離低い水平面になっている(図4参照)。各ボルト穴25の上半部はボルト頭部収容穴25aに形成され、各ボルト穴25の下半部はボルト挿通孔に形成されている。ボルト頭部収容穴25aとフランジ部21の外周面間の壁部の厚さは非常に小さい。
【0029】
係合凸部22の外周に、上方程小径化する2つの第2テーパ係合面28が周方向2等分位置に形成されている。2つの第2テーパ係合面28は、平面視において第1,第2基準部材10,20の軸心同士を結ぶ中心線L(図2参照)に直交する方向に対向している。 各第2テーパ係合面28の周方向長さは、約1/8〜1/10円周であるため、後述する環状係合部41が弾性変形するときの弾性変形を促進し、第2テーパ係合面28と環状係合部41の密着性を高めることができる。
【0030】
図1、図3、図7、図8に示すように、ワークパレット3は、第1基準部材10に係合する第1環状係合部材30と、第2基準部材20に係合する第2環状係合部材40と、第1,第2基準部材10,20のボルト孔13,23に対応する2つのボルト挿通孔7と、2つのボルト孔6に対応する2つのボルト挿通孔8とを備えている。
第1,第2環状係合部材30,40は、パレット3に形成された円形の取付け凹部9に圧入により嵌合固定されている。ボルト挿通孔7,8は、パレット3を板厚方向に貫通させて第1,第2基準部材10,20の軸心と平行に形成され、ボルト挿通孔7,8の上部にはクランプ用ボルト4の頭部を収容可能な頭部収容穴7a,8aが形成されている。クランプ用ボルト4の頭部の上面は、パレット3の上面から微小距離低い位置に設定されているため、パレット3の上面にワークをセットするのに有利である。尚、第1環状係合部材30と第2環状係合部材40は同じ構造のものである。
【0031】
図3、図4、図7、図8に示すように、第1環状係合部材30は、それを第1基準部材10の係合凸部12に外嵌させ且つボルト4の締結力を作用させるとき外径拡大方向に弾性変形可能で且つ係合凸部12の第1テーパ係合面18に密着状に係合可能な環状係合部31を備えている。
【0032】
図3、図4、図7に示すように、第2環状係合部材40は、それを第2基準部材20の係合凸部22に外嵌させ且つボルト4の締結力を作用させるとき外径拡大方向に弾性変形可能で且つ係合凸部22の2つの第2テーパ係合面28に密着状に係合可能な環状係合部41を備えている。第1,第2環状係合部材30,40は、ワークパレット3にその下面から凹設された取付け凹部9に圧入にて固定されている。第1,第2環状係合部材30,40の下面は、ワークパレット3の下面より微小距離高い水平面になっている。
【0033】
第1,第2環状係合部材30,40において、環状係合部31,41の外周側には下端開放の環状溝32,42が形成され、環状係合部31,41は、水平方向へ適度な剛性を付与するのに適した厚さの環状壁部であって、前記環状溝32,42を介して外径拡大側へ弾性変形可能な環状壁部に構成されている。第2基準部材20の2つの第2テーパ係合面28の間における外面部分には1対の平面視円弧状の浅溝28aが形成され、これらの浅溝28aの壁面に環状係合部41が密着しないように構成されている。尚、前記環状溝32,42は、この形状に限定する必要はなく、第1,第2環状係合部材30,40とワークパレット3との間に下端開放状の環状凹部を形成するように構成しても良い。この場合、環状係合部31,41は、水平方向へ適度な剛性を付与するのに適した厚さの環状壁部であって、前記環状凹部を介して外径拡大側へ弾性変形可能な環状壁部に構成される。
【0034】
ベース部材2の基準座面5の上にワークパレット3を載置し、クランプ用ボルト4を1対のボルト挿通孔7から第1,第2基準部材10,20のボルト孔13,23に夫々締結してワークパレット3を基準座面5に押圧することで、ワークパレット3を鉛直方向へ位置決めすると共に、環状係合部31,41の径拡大側への弾性変形を介して、環状係合部31,41を第1,第2テーパ係合面18,28に密着させることにより、ワークパレット3を水平方向へ高精度に位置決めして固定する。
【0035】
尚、補助的に、クランプ用ボルト4をボルト挿通孔8からベース部材2のボルト孔6に夫々締結してワークパレット3を基準座面5に押圧することで、ワークパレット3のうちの第1,第2基準部材10,20から離隔した1対の隅部の近傍部をベース部材2に固定する。尚、第1基準部材10と環状係合部材30とクランプ用ボルト4などにより、水平方向へ位置決めして固定する第1位置決め固定機構10Pが構成され、第2基準部材20と環状係合部材40とクランプ用ボルト4などにより、水平方向へ位置決めして固定する第2位置決め固定機構20Pが構成されている。
【0036】
次に、上記の位置決め固定装置1の作用、効果について説明する。
ベース部材2は工作機械のテーブル上に予めセットして固定されている。ワーク準備ステージにおいてワークパレット3に1又は複数のワークを取り付けた状態において、ワークパレット3をベース部材2の上方へ搬送して、ベース部材2の上面の基準座面5に載置する。
【0037】
このとき、ワークパレット3側の環状係合部材30,40の環状係合部31,41が第1,第2基準部材10,20の係合凸部12,22に軽く係合している。この状態で、2つのクランプ用ボルト4をボルト挿通孔7から挿入して、第1,第2基準部材10,20の係合凸部12,22のボルト孔13,23に螺合することにより、環状係合部31,41を外径拡大側へ弾性変形させて、第1,第2テーパ係合面18,28に密着状に係合させて固定する。次に、2つのクランプ用ボルト4をボルト挿通孔8から挿入して、ベース部材2のボルト孔6に螺合することにより、ワークパレット3の1対の隅部の近傍部をベース部材2に固定する。
【0038】
ワークパレット3の環状係合部材30の環状係合部31が第1基準部材10の係合凸部12の第1テーパ係合面18に密着して水平方向に位置決めされ、環状係合部材40の環状係合部41が、係合凸部22の1対の第2テーパ係合面28に密着して第1基準部材10の軸心を中心として水平面内で回転しないように規制される。
【0039】
こうして、ワークパレット3をベース部材2に対して水平方向と鉛直方向に位置決めして固定することができる。しかも、ベース部材2に対するワークパレット3側の製作誤差により、環状係合部材30,40の軸心間の距離と、第1,第2基準部材10,20の軸心間距離が等しくない場合にも、環状係合部材40の中心線Lの方向への位置ズレは許容されるため、ワークパレット3の位置決め固定が可能である。尚、ボルト4をボルト孔13に締結してから、ボルト4をボルト孔23に締結することが望ましい。
【0040】
このパレット位置決め固定装置1においては、4つのクランプ用ボルト4をボルト孔13,23,6,6に螺合し、そのクランプ力でワークパレット3を固定する構造であるため、クランプ用の油圧シリンダ等を設ける必要がなく、クランプする為の機構が簡単な構造になるから、製作コストを大幅に低減することができる。しかも、第1,第2基準部材10,20の中心部分に、クランプ用ボルト4からクランプ力を作用させることができるため、位置決め精度を高めることができる。しかも、クランプ用ボルト4をワークパレット3側から挿入して操作することができるため、ワークパレット3より下方においてクランプ用ボルト4を操作する構成と比較して、クランプする為の機構が簡単化し、クランプ用ボルト4を操作(締結、締結解除)する操作性が向上する。
【0041】
ベース部材2の上面の全域を基準座面5に形成したため、ベース部材2の上面とワークパレット3の下面間に隙間がないから、切粉等が侵入しない。ベース部材2の上面に、ワークパレット3の下面を着座させる基準座面5を形成したため、ベース部材2を活用して基準座面5を形成できる。
【0042】
環状係合部材30,40の環状係合部31,41の肉厚を適正な大きさに設定し、クランプ用ボルト4の締結力によって外径拡大側へ微小に弾性変形するように構成した。そのため、クランプ用ボルト4の比較的弱いクランプ力でもって、環状係合部31を弾性変形させて第1,第2テーパ係合面18,28に密着させることができ、水平方向位置決め精度を確保することができる。
【0043】
第1,第2基準部材10,20のフランジ部11,21が、ベース部材2に形成した取付け穴16に収容して固定され、環状係合部材30,40はワークパレット3に凹設された取付け凹部9に圧入にて固定されたので、ベース部材2の上面のうち係合凸部12,22を除く部分を平坦に形成し、ワークパレット3の下面を平坦に形成できる。
【0044】
ベース部材2に鉛直向きの2つのボルト孔6を形成し、2つのボルト孔6に対応する2つのボルト挿通孔8をワークパレット3に形成したため、これらボルト挿通孔8に夫々クランプ用ボルト4を挿通させてボルト孔6に螺合することにより、ワークパレット3の固定個所を増やすことができる。
【0045】
しかも、第1,第2基準部材10,20の中央部にボルト孔13,23を形成し、ボルト孔13,23に対応するワークパレット3の部分にボルト挿通孔7を形成し、ベース部材2の基準座面5の上にワークパレット3を載置し、クランプ用ボルト4をボルト挿通孔7から第1,第2基準部材10,20のボルト孔13,23に夫々締結する。従って、第1,第2基準部材10,20と環状係合部材30,40とを係合させる際に、クランプ用ボルト4を第1,第2基準部材10,20に直接締結可能なので、第1,第2基準部材10,20の中心部分にクランプ力を効率的に作用させて、環状係合部31,41を第1,第2テーパ係合面18,28に強力に密着状に係合させ、位置決め精度を高めることができる。また、第1,第2基準部材10,20をクランプ力発生の為に有効活用することができる。
【0046】
ここで、後述する図13に図示の構造と同様に、第1,第2基準部材10,20のボルト孔13,23の代わりにボルト挿通孔(中央部ボルト挿通孔)を形成し、これら中央部ボルト挿通孔の直下に対応するベース部材2の部分にボルト孔を形成し、クランプ用ボルト4を第1,第2基準部材10,20の中央部ボルト挿通孔を挿通してからベース部材2ののボルト孔に螺合させるように構成してもよい。
尚、本実施例のワークパレット3は、ワークを取り付けるパレットを例にして説明したが、ワークに限らず工具や金型や種々の装置を取り付けるパレットも適用できる。
【実施例2】
【0047】
次に、図9〜図11に基づいて、実施例2のパレット位置決め固定装置1A(これが、「物体位置決め固定装置」に相当する。以下、位置決め固定装置という)について説明する。但し、この位置決め固定装置1Aは、実施例1の位置決め固定装置1と同様に、機械加工に供するワークを保持する為のワークパレット(これが、「対象物体」に相当する)を位置決め固定する装置であり、実施例1と同様のものには同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0048】
この位置決め固定装置1Aは、ベース部材2Aと、ワークパレット3Aと、4つのクランプ用ボルト4と、ベース部材2に付設された2つのボルト孔形成部材50と、2つの座面形成部材60とを備えている。
ベース部材2Aは、第1,第2基準部材10A,20Aを備えている。第1,第2基準部材10A,20Aは、それらのフランジ部11,21の下端部分のみがベース部材2Aの取付け穴16Aに嵌入され、下端部分以外の部分はベース部材2Aの上面よりも上方へ突出する状態に取り付けられている。第1,第2基準部材10A,20Aは、夫々、前記の第1,第2基準部材10,20と同様のものであり、ワークパレット3Aは、前記のワークパレット3と同様のものである。
【0049】
ボルト孔形成部材50は、基準座面54を形成し且つボルト孔53を形成する為のものである。1対のボルト孔形成部材50は、ベース部材2Aの対角関係にある1対の隅部に配置されている。ボルト孔形成部材50はほぼ長円形状に形成され、ボルト孔形成部材50の中央部に着座凸部51が突出しており、1対のボルト52によりベース部材2Aの上面に固定されている。着座凸部51の中央部には、クランプ用ボルト4を螺合する為の鉛直のボルト孔53が形成され、着座凸部51の上端面にはボルト孔53を囲む環状の基準座面54が形成されている。ボルト孔53は、ワークパレット3Aのボルト挿通孔8に対応する位置に設けられている。基準座面54は、第1,第2基準部材10A,20Aのフランジ部11,21の上面よりも微小距離高い位置に設定されている。
【0050】
座面形成部材60は、基準座面63を形成する為のものである。1対の座面形成部材60は、ベース部材2Aの対角関係にある1対の隅部(上記のボルト孔形成部材50を設けた1対の隅部とは異なる1対の隅部)に配置されている。1つの座面形成部材60は、第1基準部材10Aの近傍位置に配設され、他の1つの座面形成部材60は、第2基準部材20Aの近傍位置に配設されている。
【0051】
座面形成部材60は細長いほぼ長方形状に形成され、座面形成部材60の中央部には着座凸部61が突出しており、1対のボルト62によりベース部材2Aの上面に固定されている。着座凸部61の上端面には、前記の基準座面54と同じ高さ位置に位置する円形の基準座面63が形成されている。
前記の1対の基準座面54と、1対の基準座面63が、ワークパレット3Aを鉛直方向へ位置決めする為の基準座面に相当する。
【0052】
以上説明したパレット位置決め固定装置1Aは、実施例1のパレット位置決め固定装置1と基本的に同様の作用、効果を奏する。しかも、ベース部材2Aの上面に固定したボルト孔形成部材50及び座面形成部材60に基準座面54,63を形成するため、ベース部材2Aの上面の平面精度を高める必要がないから、ベース部材2Aの製作費を節減できる。しかも、基準座面54,63の全体の面積が小さいため、基準座面54,63をエアブローしてクリーニングする面積が小さく、エアブローが容易になる。
【0053】
ここで、後述する図13に図示の構造と同様に、第1,第2基準部材10A,20Aのボルト孔13,23の代わりにボルト挿通孔(中央部ボルト挿通孔)を形成し、これら中央部ボルト挿通孔の直下に対応するベース部材2Aの部分にボルト孔を形成し、クランプ用ボルト4を第1,第2基準部材10A,20Aの中央部ボルト挿通孔を挿通してからベース部材2のボルト孔に螺合させるように構成してもよい。
尚、本実施例のワークパレット3は、ワークを取り付けるパレットを例にして説明したが、ワークに限らず工具や金型や種々の装置を取り付けるパレットも適用できる。
【実施例3】
【0054】
次に、図12,図13に基づいて、実施例3のパレット位置決め固定装置1B(これが、「物体位置決め固定装置」に相当する。以下、位置決め固定装置という)について説明する。この位置決め固定装置1Bは、旋盤などの工作機械における切削用工具等を保持する切削刃支持台、或いはその他の工具や物品やワークを取り付けたりする為の支持台などとしてのパレット3B(これが、「対象物体」に相当する)をベース部材2Bに位置決めして固定する装置である。但し、実施例1の装置と同様のものには同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0055】
この位置決め固定装置1Bは、ベース部材2Bと、パレット3Bと、2つのクランプ用ボルト4Bとを備えている。ベース部材2Bとパレット3Bは、夫々、細長い長方形の厚手の鋼製の平板部材で構成されている。ベース部材2Bの上面の全域は、パレット3Bを配置し、パレット3Bの下面を着座させてパレット3Bを鉛直方向に位置決めする為の水平な基準座面5Bに形成されている。
【0056】
図12,図13に示すように、ベース部材2Bは、水平方向位置決めの為の第1基準部材10Bと、この第1基準部材10Bから離隔した位置に配設され且つ第1基準部材10Bを中心とする水平面内における回転規制の為の第2基準部材20Bと、前記の基準座面5Bと、1対のボルト孔70とを備えている。第1,第2基準部材10B,20Bは、ベース部材2Bの両端部の近傍部位に夫々配設されている。1対のボルト孔70は、後述する第1,第2基準部材10B,20Bの中央部ボルト挿通孔13B,23Bに対応するベース部材2Bの部分に形成されている。尚、ベース部材2Bが実施例1のベース部材2のような長方形の形状、又は正方形の形状の場合は、実施例1の位置決め固定装置1と同様に配置する。
【0057】
第1基準部材10Bは、実施例1のボルト孔13の代わりに、第1基準部材10Bの中心部分に形成された鉛直の中央部ボルト挿通孔13Bが形成されている以外は、実施例1の第1基準部材10と同様の構成なので、他の構成についての説明は省略する。第1基準部材10Bのフランジ部11が収容された取り付け穴16の中央部分に対応するパレット3Bの下壁部に、鉛直のボルト孔70が形成されている。係合凸部12の外周には、第1テーパ係合面18が形成されている。
【0058】
第2基準部材20Bは、実施例1のボルト孔23の代わりに、第2基準部材20Bの中心部分に形成された鉛直の中央部ボルト挿通孔23Bが形成されている以外は、実施例1の第2基準部材20と同様の構成なので、他の構成についての説明は省略する。第2基準部材20Bのフランジ部21が収容された取り付け穴26の中心部分に対応するパレット3Bの下壁部に、ボルト孔70が形成されている。係合凸部22の外周の2つの第2テーパ係合面28は、平面視において第1,第2基準部材10B,20Bの軸心同士を結ぶ中心線L(図12参照)に直交する方向に対向している。
【0059】
パレット3Bは、第1基準部材10Bに係合する第1環状係合部材30と、第2基準部材20Bに係合する第2環状係合部材40と、第1,第2基準部材10B,20Bの第1のボルト挿通孔13B,23Bに対応する2つのボルト挿通孔7とを備えている。尚、ボルト挿通孔7の上部には、クランプ用ボルト4Bのボルト頭部を収容する頭部収容穴7aが形成され、クランプ用ボルト4Bを締結した状態において、ボルト頭部の上面はパレット3Bの上面より微小距離低く設定されている。尚、第1環状係合部材30と第2環状係合部材40は同じ構造のものである。
【0060】
ベース部材2Bの基準座面5Bの上にパレット3Bを載置し、クランプ用ボルト4Bをボルト挿通孔7から中央部ボルト挿通孔13B,23Bに挿通させてベース部材2Bのボルト孔70に夫々締結してパレット3Bを基準座面5Bに押圧することで、環状係合部31,41の弾性変形を介して、環状係合部31,41を第1,第2テーパ係合面18,28に密着させることにより、パレット3Bを位置決めして固定する。
【0061】
環状係合部31,41を第1,第2テーパ係合面18,28に密着させたとき、ベース部材2Bに対してパレット3Bの第2環状係合部材40は、1対の浅溝28aを介して図12の左右方向へは僅かに移動可能であるが、1対の第2テーパ係合面28を介して図12の上下方向へは移動不能である。そのため、ベース部材2Bの第1,第2基準部材10B,20Bの軸心間の距離と、パレット3Bの第1,第2環状係合部材30,40の軸心間の距離とに誤差がある場合にも、第1,第2基準部材10B,20Bを介して、ベース部材2Bに対してパレット3Bを位置決めして固定することができる。
【0062】
以上説明したパレット位置決め固定装置1Bは、実施例1のパレット位置決め固定装置1と基本的に同様の作用、効果を奏する。しかも、第1,第2基準部材10B,20Bの中心部分に鉛直の中央部ボルト挿通孔13B,23Bを夫々形成し、中央部ボルト挿通孔13B,23Bに対応するベース部材2Bの部分に複数のボルト孔70を形成し、中央部ボルト挿通孔13B,23Bに対応するパレット3Bの部分に複数のボルト挿通孔7を形成し、ベース部材2Bの基準座面5Bの上にパレット3Bを載置し、複数のクランプ用ボルト4Bをボルト挿通孔7から中央部ボルト挿通孔13B,23Bに挿通させてベース部材2Bのボルト孔70に夫々締結する。
【0063】
尚、第1基準部材10Bと環状係合部材30とボルト4Bとにより、水平方向へ位置決め固定する第1位置決め固定機構10Qが構成され、第2基準部材20Bと環状係合部材40とボルト4Bとにより、水平方向へ位置決めして固定する第2位置決め固定機構20Qが構成されている。
【0064】
従って、クランプ用ボルト4Bを第1,第2基準部材10B,20Bの中央部ボルト挿通孔13B,23Bを挿通させてベース部材2Bに直接締結して、パレット3Bをベース部材2Bに位置決めして固定するので、第1,第2基準部材10B,20Bをベース部材2Bに強固に固定しておく必要がなく、複数の取り付け用ボルト14,24の本数を減らすことが可能であり、取り付け用ボルトを細くしてフランジ部を小径化し、製作コストを節減することも可能である。
【0065】
但し、実施例1,2と同様に、第1,第2基準部材10B,20Bの中心部分にボルト孔を形成し、そのボルト孔にクランプ用ボルトを螺合させる構成を採用してもよい。
尚、パレット3Bに所定間隔Aあけて1対の環状係合部材30を装備し、ベース部材2B側に、3つ以上の第1基準部材10Bを上記所定間隔Aおきに直列状に装備しておき、パレット3B側の1対の環状係合部材30をベース部材2B側の任意の隣接する2つの第1基準部材10Bに係合させて、位置決め固定する構成を採用することも可能であり、この場合、パレット3Bの位置を複数の位置に切換えることが可能になる。
パレット3Bは、厚板状以外に、直方体状に構成する場合もある。また、パレット3Bに切削工具などを着脱する機構、その他種々の機構を組み込む場合もある。
【実施例4】
【0066】
次に、図14,図15に基づいて、実施例4のパレット位置決め固定装置1C(これが、「物体位置決め固定装置」に相当する。以下、位置決め固定装置という)について説明する。この位置決め固定装置1Cは、実施例3のパレット3Bと同様の用途に供するパレット3C(これが、「対象物体」に相当する)をベース部材2Cに位置決めして固定する装置である。但し、実施例1の装置と同様のものには同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0067】
この位置決め固定装置1Cは、ベース部材2Cと、パレット3Cと、2つのクランプ用ボルト4Cとを備えている。ベース部材2Cとパレット3Cは、夫々、細長い長方形の厚手の平板部材で構成されている。ベース部材2Cの上面の全域は、パレット3Cを配置し、パレット3Cの下面を着座させてパレット3Cを鉛直方向に位置決めする為の水平な基準座面5Cに形成されている。
【0068】
図14,図15に示すように、ベース部材2Cは、水平方向位置決めの為の第1基準部材10Cと、この第1基準部材10Cから離隔した位置に配設され且つ第1基準部材10Cを中心とする水平面内における回転規制の為の第2基準部材20Cと、前記の基準座面5Cと、1対のボルト孔71とを備えている。第1,第2基準部材10C,20Cは、ベース部材2Cの両端部の近傍部位に夫々配設されている。1対のボルト孔71は、ベース部材2Cの両端部の第1,第2基準部材10C,20Cの外側に形成されている。尚、ベース部材2Cが実施例1のベース部材2のような長方形の形状、又は正方形の形状の場合は、実施例1の位置決め固定装置1と同様に配置する。
【0069】
第1基準部材10Cは、実施例1のボルト孔13の代わりに、第1基準部材10Cの中心部分に形成された鉛直の孔13Cを有する以外は、実施例1の第1基準部材10と同様の構成なので、他の構成についての説明は省略する。尚、孔13Cは省略してもよい。
【0070】
第2基準部材20Cは、実施例1のボルト孔23の代わりに、第2基準部材20Cの中心部分に形成された鉛直の孔23Cを有する以外は、実施例1の第2基準部材20と同様の構成なので、他の構成についての説明は省略する。尚、孔23Cは省略してもよい。
【0071】
パレット3Cは、第1基準部材10Cに係合する第1環状係合部材30と、第2基準部材20Cに係合する第2環状係合部材40と、ベース部材2Cのボルト孔71に対応する2つのボルト挿通孔72とを備えている。ボルト挿通孔72の上部には、クランプ用ボルト4Cのボルト頭部を収容する頭部収容穴72aが形成され、クランプ用ボルト4Cを締結した状態において、ボルト頭部の上面はパレット3Cの上面より微小距離低く設定されている。尚、第1環状係合部材30と第2環状係合部材40は同じ構造のものである。
【0072】
ベース部材2Cの基準座面5Cの上にパレット3Cを載置し、1対のクランプ用ボルト4Cをボルト挿通孔72からベース部材2Cのボルト孔71に夫々締結してパレット3Cを基準座面5Cに押圧することで、環状係合部31,41の弾性変形を介して、環状係合部31,41を第1,第2テーパ係合面18,28に密着させることにより、パレット3Cを位置決めして固定する。
【0073】
環状係合部31,41を第1,第2テーパ係合面18,28に密着させたとき、ベース部材2Cに対して環状係合部材40は、1対の浅溝28aを介して図14の左右方向へは僅かに移動可能であるが、1対の第2テーパ係合面28を介して図14の上下方向へは移動不能である。そのため、ベース部材2Cの第1,第2基準部材10C,20Cの軸心間距離と、パレット3Cの第1,第2環状係合部材30,40の軸心間距離とに誤差がある場合にも、第1,第2基準部材10C,20Cを介して、ベース部材2Cに対してパレット3Cを位置決めして固定することができる。
【0074】
なお、第1基準部材10Cと環状係合部材30とボルト4Cとボルト孔71などにより、水平方向へ位置決めして固定する第1位置決め固定機構10Rが構成され、第2基準部材20Cと環状係合部材40とボルト4Cとボルト孔71などにより、水平方向へ位置決めして固定する第2位置決め固定機構20Rが構成されている。
【0075】
以上説明したパレット位置決め固定装置1Cは、実施例1のパレット位置決め固定装置1と基本的に同様の作用、効果を奏する。しかも、ベース部材2Cの第1,第2基準部材10C,20Cの外側部分に1対のボルト孔71を形成し、この1対のボルト孔71に対応するパレット3Cの部分に1対のボルト挿通孔72を形成したので、第1,第2基準部材10C,20Cの構造を簡単化することができる。
【0076】
尚、パレット3Cに所定間隔Aあけて1対の環状係合部材30を装備し、ベース部材2C側に、3つ以上の第1基準部材10Cを上記所定間隔Aおきに直列状に装備しておき、パレット3C側の1対の環状係合部材30をベース部材2C側の任意の隣接する2つの第1基準部材10Cに係合させて、位置決め固定する構成を採用することも可能であり、この場合、パレット3Cの位置を複数の位置に切換えることが可能になる。
パレット3Cは、厚板状以外に、直方体状に構成する場合もある。また、パレット3Cに切削工具などを着脱する機構、その他種々の機構を組み込む場合もある。
【実施例5】
【0077】
次に、図16、図17に基づいて、実施例5のバイス装置80(これが、「物体位置決め固定装置」に相当する。以下、位置決め固定装置という)について説明する。このバイス装置80は、機械加工に供するワークを固定保持する為の装置である。なお、実施例1と同様の構成要素には、同様の符号を付して説明を省略する。
【0078】
このバイス装置80は、バイス本体81と、1 対の可動部材82(これが「ベース部材」に相当する)と、各可動部材82に位置決め固定された爪部材83(これが「対象物体」に相当する)と、バイス本体81の内部に設けられた油圧シリンダ84と、この油圧シリンダ84のピストン部材86の出力ロッド86bの先端側部分に取り付けられた駆動部材85などを備えている。
【0079】
このバイス装置80は、一般的なバイス装置と同様に、油圧シリンダ84により、1対の爪部材83を相接近方向へ駆動してワークWをクランプするものである。
バイス本体81の上端側部分には、駆動部材85の両側に位置する1対のT溝81aが形成されている。可動部材82の脚部82aは、前記T溝81aに摺動自在に係合された断面十字形の脚部に形成されている。
【0080】
駆動部材85は、図示のような正面視台形に形成され、左右の側面部分は上方程相接近するように鉛直面に対して約20〜30度傾斜した1対の傾斜部に形成されている。各傾斜部の先端部には断面T形のT溝85aが形成されている。各可動部材82の内端部分は、対向するT溝85aと平行な傾斜部に形成され、この傾斜部には対応するT溝85aに摺動自在に係合するT形係合部82bが形成されている。
【0081】
前記油圧シリンダ84は、縦向きのシリンダ孔84aと、このシリンダ孔84aに装着されたピストン部86aと出力ロッド86bを含むピストン部材86と、シリンダ孔84aの下端を塞ぐ閉塞部材87と、シリンダ孔84a内でピストン部86aの上側に形成されたクランプ油室88及び下側に形成されたクランプ解除油室89と、バイス本体81内に形成されてクランプ油室88に連通した油路88a及びクランプ解除油室89に連通した油路89aを備えている。
【0082】
油路88a,89aは油圧供給装置(図示略)に接続され、油圧供給装置からクランプ油室88とクランプ解除油室89の一方に選択的に油圧を供給でき、クランプ油室88とクランプ解除油室89の他方から選択的に油圧を抜くことができる。ピストン部材86の中心部分にはボルト90を挿通させるボルト挿通孔91が形成され、駆動部材85はボルト挿通孔91に挿通させたボルト90でピストン部材86に固定されている。
【0083】
以上の構成により、クランプ油室88に油圧を供給し且つクランプ解除油室89から油圧を抜くと、駆動部材85が下降し、1対の可動部材82がT溝85aとT形係合部82bを介して相接近方向へクランプ駆動され、1対の爪部材83でワークWをクランプすることができる。上記とは反対に、クランプ解除油室89に油圧を供給し且つクランプ油室88から油圧を抜くと、駆動部材85が上昇し、1対の可動部材82がT溝85aとT形係合部82bを介して相離隔方向へクランプ解除駆動される。
【0084】
次に、可動部材82に爪部材83を位置決めして固定する機構について説明する。
1 対の爪部材83は、油圧シリンダ84の軸線Cに対して対称に構成されている。そこで、右側の爪部材83を可動部材82に対して位置決め固定する機構について説明する。 可動部材82は、爪部材83を鉛直方向に位置決めする為に形成された水平な基準座面5Dと、爪部材83を可動部材82に対して水平方向に位置決めする為の第1基準部材10Dと、この第1基準部材10Dを中心として爪部材83が水平面内で回転するのを規制する為の第2基準部材20Dとを有する。
【0085】
第1,第2基準部材10D, 20Dは、可動部材82の取付凹部に収容されたフランジ部11,21と、これらフランジ部11,21に一体形成され且つ可動部材82の上面よりも上方へ突出する係合凸部12,22を備え、これら係合凸部12,22は、上方程小径化する第1,第2テーパ係合面(符号省略)を有する。フランジ部11,21は、係合凸部12,22の両側に張り出した台形に近い形の1対の張出片からなり、これら1対の張出片が1対のボルト14,24により可動部材82に固定されている。前記係合凸部12,22の中心部分には、クランプ用ボルト4Dを螺合させるボルト孔13,23が形成されている。尚、第1,第2テーパ係合面は、実施例1の第1,第2テーパ係合面18,28と同様のものである。
【0086】
爪部材83には、第1,第2基準部材10D,20Dの係合凸部12,22に対応する環状係合部材30,40が圧入にて固定されている。環状係合部材30,40は、ボルト4Dにより締結するとき、外径拡大方向へ弾性変形可能で且つ第1,第2基準部材10D,20Dの第1,第2テーパ係合面に夫々密着状に係合可能な環状係合部31,41とその外周側を囲繞する環状溝32,42を有する。爪部材83には、ボルト孔13,23に対応するボルト挿通孔7D,7Dが形成され、ボルト挿通孔7D,7Dの上部約2/3部分は、クランプ用ボルト4Dの頭部を収容可能に形成されている。
【0087】
1対のクランプ用ボルト4Dを、ボルト挿通孔7D,7Dに挿通してボルト孔13,23に夫々締結することで、爪部材83の底面を着座面5Dに押圧して密着させると共に、環状係合部31,41の径拡大方向への弾性変形を介して爪部材83を高精度に位置決めして固定することができる。
【0088】
なお、第1基準部材10Dと環状係合部材30とクランプ用ボルト4Dなどにより、水平方向に位置決めして固定する第1位置決め固定機構10Pが構成され、第2基準部材20Dと環状係合部材40とクランプ用ボルト4Dなどにより、第1位置決め固定機構10Pを中心とする水平面内における回転を規制して水平方向に位置決めする第2位置決め固定機構20Pが構成されている。これら第1,第2位置決め固定機構10P, 20Pは、実施例1の第1,第2位置決め固定機構10P, 20Pと同様のものである。
【0089】
以上説明したバイス装置80においては、ワークWのサイズや形状に応じて、1対の爪部材83をワークWに適したものに交換してワークWをクランプする。このとき、可動部材82に対する爪部材83の位置決め誤差が大きくなると、ワークWに作用するクランプ力が過大になったり、クランプ力がワークWの局部に作用したりする。そのため、ワークWの機械加工精度が低下する虞がある。しかし、このバイス装置80においては、爪部材83を可動部材82に高精度に位置決めして固定できるため、ワークに作用するクランプ力を安定させ、ワークWの機械加工精度を確保することができる。
【実施例6】
【0090】
次に、図18、図19に基づいて、実施例6のチャック装置100(これが、「物体位置決め固定装置」に相当する。以下、位置決め固定装置という)について説明する。
このチャック装置100は、旋盤の主軸の先端に装備されて機械加工に供するワークを固定保持する為の装置である。このチャック装置100は、旋盤の主軸の先端部を構成する軸先端部材101と、この軸先端部材101の先端側部分に径方向へ摺動自在に装備された3つの可動部材102(これが、「ベース部材」に相当する)と、3つの可動部材102に夫々位置決め固定された3つの爪部材103(これが、「対象物体」に相当する)と、ロッド部材106の先端に固定された駆動部材104と、この駆動部材104に螺合にて外嵌された環状部材105と、ロッド部材106を進退駆動する駆動手段(図示略)などを有する。環状部材105の外周部には、3つの可動部材102に対応する傾斜T溝105aが形成され、各可動部材102の内端部には傾斜T溝105aに摺動自在に係合するT形係合部102aが形成されている。駆動手段によりロッド部材106を介して駆動部材104を軸心と平行方向へ進退駆動することにより、3つの可動部材102を径方向へ移動駆動可能に構成してある。
【0091】
尚、各可動部材102は、軸先端部材101に形成されたアリ溝101aを含むアリ溝係合を介して径方向へ移動可能に構成されている。各可動部材102の外面(爪部材103側の面)は、爪部材103の内面(可動部材102側の面)を当接させて爪部材103の水平方向に位置決めする基準座面に形成されている。
各爪部材103を可動部材102に位置決め固定する位置決め固定機構以外の構成は、一般的なチャック装置と同様であるので詳しい説明は省略する。そして、可動部材102に爪部材103を位置決めして固定する第1,第2位置決め固定機構10P,20Pは、実施例5の第1,第2位置決め固定機構10P,20Pと同様の構造であるので、実施例5と同様の符号を付して説明を省略する。このチャック装置100は、実施例5のバイス装置80と同様の効果を奏するので、その説明は省略する。
尚、本実施例における、可動部材102の外面と平行な鉛直面が、特許請求の範囲における「水平方向」に相当し、可動部材102の外面と直交する方向が、特許請求の範囲における「鉛直方向」に相当する。
【実施例7】
【0092】
実施例1のパレット位置決め固定装置1を部分的に変更した実施例7のパレット位置決め固定装置1X(これが、「物体位置決め固定装置」に相当する)について、図20〜図22に基づいて説明する。但し、実施例1と同じ構成については同じ符号を付し、実施例1から変更された構成についてのみ説明する。図20は図2に相当する図であり、図21は図5に相当する図であり、図22は図6に相当する図である。
【0093】
このパレット位置決め固定装置1Xにおいては、第1基準部材10Xのフランジ部11は、4つのボルト14によりベース部材2Xに固定される。各ボルト14が装着されるボルト穴15のボルト頭部収容穴15aがテーパ係合凸部12の外周部分に部分的に食い込んだ状態に形成されている(図20、図21参照)。
ボルト頭部収容穴15aのうちの直径の約1/3の部分がテーパ係合凸部12の外周部分に食い込んでいる。ボルト頭部収容穴15aとフランジ部11の外周面間の壁部の厚さは非常に小さい。これにより、フランジ部11を極力小径化し、第1基準部材10Xを小型化し、製作費を節減することができる。
【0094】
テーパ係合凸部12の外周に、隣接するボルト頭部収容穴15a同士の間に形成された上方程小径化する4つのテーパ係合面18が周方向4当分位置に形成されている。各テーパ係合面18の周方向長さは約1/8円周である。これにより、環状係合部(31)が径拡大側へ弾性変形するときの弾性変形を促進し、テーパ係合面18と第1環状係合部材(30)の環状係合部(31)との密着性を高めることができる。
【0095】
第2基準部材20Xのフランジ部21は、4つのボルト24によりベース部材2Xに固定される。前記ボルト24を装着するボルト穴25のボルト頭部収容穴25aがテーパ係合凸部22の外周部分に部分的に食い込んだ状態に形成されている。ボルト頭部収容穴25aのうちの直径の約1/3の部分がテーパ係合凸部22の外周部分に食い込んでいる。ボルト頭部収容穴25aとフランジ部21の外周面間の壁部の厚さは非常に小さい。これにより、フランジ部21を小径化し、第2基準部材20を小型化し、製作費を節減することができる。
【0096】
テーパ係合凸部22の外周に、隣接するボルト頭部収容穴25a同士の間に形成された上方程小径化する2つのテーパ係合面28が周方向2当分位置に形成されている。
2つのテーパ係合面28は、図20において第1,第2基準部材10X,20Xの軸心同士を結ぶ中心線Lに直交する方向に対向している。各テーパ係合面28の周方向長さは約1/8円周である。これにより、第2環状係合部材(40)の環状係合部(41)が径拡大側へ弾性変形するときの弾性変形を促進し、テーパ係合面28と環状係合部(41)の密着性を高めることができる。
尚、この第1,第2基準部材10X,20Xは、実施例2〜7の第1,第2基準部材に同様に適用することができることは勿論である。
【0097】
次に、前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
[1]ワークパレット3,3Aとしては、種々の構造のものを適用可能であり、例えば、図示のワークパレット3,3Aと同様の平板部材と、この平板部材上に立設した角筒部材とを有し、角筒部材の側面にワークを固定する構造のワークパレットであってもよい。
【0098】
[2]第1基準部材10,10A〜10Cのフランジ部11を固定するボルト14の数は、4つに限らず、2つ、3つ、5つ以上の何れかにすることができる。第2基準部材20,20A〜20Cについても同様である。
【0099】
[3]その他、実施例5は、1対の爪部材を備えたバイス装置を例として説明したが、 3つの爪部材を周方向に等間隔に配置したチャック装置にも本発明を適用可能であり、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明に係る物体位置決め固定装置は、ワークパレット、バイス装置、チャック装置などの技術分野において、ベース側部材の上に対象物体を位置決めして固定する種々の機構に適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1,1A,1B,1C パレット位置決め固定装置
2,2A〜2C ベース部材
3,3A ワークパレット
3C,3D パレット
4,4B,4C,4D クランプ用ボルト
5,5B,5C,5D 基準座面
6 ボルト孔
7,8 ボルト挿通孔
10〜10D,10X 第1基準部材
20〜20D,20X 第2基準部材
11,21 フランジ部
12,22 係合凸部
13,23 ボルト孔
13B,23B ボルト挿通孔
14,24 取り付けボルト
15,25 ボルト穴
18,28 第1,第2テーパ係合面
30,40 環状係合部材
31,41 環状係合部
50 ボルト孔形成部材
60 座面形成部材
54,63 基準座面
70,71 ボルト孔
72 ボルト挿通孔
80 バイス装置
82 可動部材
83 爪部材
100 チャック装置
102 可動部材
103 爪部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材の上に位置決め固定の対象である対象物体を水平方向と鉛直方向に位置決めして固定する物体位置決め固定装置において、
前記ベース部材は、水平方向位置決めの為の第1基準部材と、この第1基準部材から離隔した位置に配設され且つ第1基準部材を中心とする水平面内回転の規制の為の第2基準部材と、鉛直方向位置決めの為の基準座面とを備え、
前記第1,第2基準部材は、夫々、フランジ部と、このフランジ部の中央部から上方へ突出する係合凸部を備える共に、前記第1,第2基準部材の係合凸部は上方程小径化する第1,第2テーパ係合面を夫々有し、
前記対象物体は、外径拡大方向に弾性変形可能で且つ第1,第2基準部材の第1,第2テーパ係合面に夫々密着状に係合可能な環状係合部を有する複数の環状係合部材を備え、 前記ベース部材の基準座面の上に前記対象物体を載置し、複数のクランプ用ボルトを前記対象物体に形成された複数のボルト挿通孔から前記ベース部材側の複数のボルト孔に締結して前記対象物体を前記基準座面に押圧することで、前記環状係合部の弾性変形を介して前記対象物体を位置決めして固定するように構成した、
ことを特徴とする物体位置決め固定装置。
【請求項2】
前記第1,第2基準部材の中央部に前記ベース部材側のボルト孔が夫々形成され、前記対象物体に形成された複数のボルト挿通孔は、前記ボルト孔に対応する前記対象物体の部分に夫々形成され、前記ベース部材の基準座面の上に前記対象物体を載置し、複数のクランプ用ボルトを前記ボルト挿通孔から第1,第2基準部材の前記ボルト孔に夫々締結することを特徴とする請求項1に記載の物体位置決め固定装置。
【請求項3】
前記第1,第2基準部材の中央部に鉛直の中央部ボルト挿通孔が夫々形成され、前記ベース部材側の複数のボルト孔は、前記中央部ボルト挿通孔に対応する前記ベース部材の部分に夫々形成され、前記対象物体に形成された複数のボルト挿通孔は、前記中央部ボルト挿通孔に対応する前記対象物体の部分に夫々形成され、
前記ベース部材の基準座面の上に前記パレットを載置し、複数のクランプ用ボルトを前記ボルト挿通孔から第1,第2基準部材の中央部ボルト挿通孔を介して前記ベース部材の前記ボルト孔に夫々締結することを特徴とする請求項1に記載の物体位置決め固定装置。
【請求項4】
前記第2基準部材は、平面視において第1,第2基準部材の軸心同士を結ぶ中心線に直交する方向に対向する1対のテーパ係合面を有することを特徴とする請求項1に記載の物体位置決め固定装置。
【請求項5】
前記ベース部材の上面に、前記対象物体の下面を着座させる基準座面を形成したことを特徴とする請求項1に記載の物体位置決め固定装置。
【請求項6】
前記第1,第2基準部材のフランジ部が、前記ベース部材に形成した取り付け穴に収容した状態で複数の取付け用ボルトで固定され、前記環状係合部材は、前記対象物体にその下面から凹設された取り付け凹部に圧入にて固定されたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1つに記載の物体位置決め固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−251376(P2011−251376A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127534(P2010−127534)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(596037194)パスカルエンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】