説明

物品へのマイクロドットおよび他の識別子の適用方法

接着剤基礎流体内に混合された識別マイクロドットを適用するための携帯ユニットは、混合物のための容器および推進剤ガスのキャニスターを取り付けるハウジングを含む。混合物が識別目的で物品に、例えば自動車に適用されるために、キャニスターの出口弁を押し下げると、ノズルを通って放出されるために、推進剤ガスがキャニスターからそのノズルに流れ込み、これにより、混合物が容器から引き出される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば窃盗時に、物品が識別されるようにするための、マイクロドットおよび他の識別子の物品への適用に関する。
【背景技術】
【0002】
識別目的のために、自動車に識別マイクロドットを適用することは公知である。その特別な自動車に対する目立たない同一の識別データで符号化され、拡大するとそれぞれ目で読み取ることができる、1バッチのマイクロドット、典型的には10,000またはそれ以上が強力な接着剤を用いて、多くの異なる場所で自動車に適用される。窃盗時に、識別マイクロドットを除去しようと試みられる可能性があるが、それらのサイズが非常に小さく、数が多いため、全てのマイクロドットが除去できる可能性はなく、そのため、その後の識別のために自動車の異なる部分にいくらかのマイクロドットが常に残る可能性がある。
【0003】
コンプレッサから導かれた送気管により供給される加圧空気を用いてノズルからマイクロドット/接着剤混合物を適用するためのシステムが開発されている。このシステムが多くの状況において効果的に動作している間、送気管の存在により分配システムの限られた空間へのアクセスが妨げられる。さらに、送気管がシステムに動力を供給する必要があることから、適用可能範囲が制限され、特に、例えば窃盗を受けやすい貴重な電子機器を製造するための家庭内状況における使用が除外される。
【発明の開示】
【0004】
本発明はマイクロドット/接着剤混合物および他の識別子混合物を分配するための内蔵型ユニットを提供する。
【0005】
本発明によれば、識別子を物品に適用するための携帯ユニットが提供され、このユニットは、基礎流体とその中の識別子との混合物を含むための容器、混合物内まで延在する管を介して容器内の混合物と連絡する内部チャンバを有する放出ノズル、出口弁を有する加圧推進剤ガスのキャニスター、およびキャニスターの出口とノズルの内部チャンバとの間に延在する経路を規定する手段を含み、これにより、出口弁が開くと、ノズルを通して放出させるために、推進剤流体が内部チャンバを通って流れ、混合物を管を通して内部チャンバ内に引き込む。
【0006】
識別子混合物は、非常に多数の同様に符号化された識別マイクロドット、典型的には何万ものそのようなマイクロドットがその中に混合された接着剤基礎流体からなってもよい。ユニットはそのようなマイクロドット混合物と共に使用するために特別に設計されているが、それにもかかわらず、他の識別子混合物、例えば適した基礎流体内のDNAトレーサーの混合物と共に使用するのにも適している。
【0007】
本発明の好ましい態様では、ユニットは、一方を他方に並んで位置するように加圧キャニスターおよび容器が取り付けられたハウジングを含む。キャニスターの出口弁は、ユニットを手で保持しながら同じ手の指により動作させるためにハウジング内でアクセスすることができるように弁の幹部に据え付けられたボタンを押し下げることにより開くバネで定位置に止められた弁である。放出ノズルがハウジングに、または、容器の着脱可能なクロージャ(closure)に据え付けられ、出口とノズルの間に延在する経路は好ましくは、キャニスターの出口から延在する可撓性管を含む。
【0008】
特に好ましい形態では、キャニスターはハウジングに据え付けられ、そのため、それはハウジングからぶら下がり、ユニットはキャニスターの本体を把持することにより保持され、放出ボタンは、手の指によるかみ合いのためのハウジング上部の開口を介してアクセス可能である。好ましくは、ハウジングは、放出弁ゾーンにおけるキャニスターの上縁とのスナップ留め具手段により、キャニスターと係合する。
【0009】
好ましくは、推進剤ガスは、放出ノズルに隣接して存在し、内部チャンバの壁を規定するノズルを介して放出ノズルの内部チャンバ内に放出される。
【0010】
好ましくは、混合物のための容器もまた、例えば、ねじ込み継ぎ手により、およびキャニスターが使用者の手により保持され、容器がキャニスターの前方に位置する使用位置において、ハウジングの下側に取り付けられる。
【0011】
好都合なことに、ハウジングは一体型プラスチック成形品として形成され、これにより、ハウジングはかなり安価に作製することができ、そのため、混合物が容器から放出されると、ハウジング、容器、および推進剤キャニスターからなるユニット全体を廃棄することができる。これは、キャニスター内の推進剤の量が容器内の混合物の量に適合されることを意味する。ユニットは、容器内の混合物バッチの放出後廃棄されることになっているので、ユニットは連続する混合物バッチ間での汚染を避けるように設計する必要がなく、これは、各連続バッチの混合物が、そのバッチに対して目立たたず、そのため、互いのバッチで異なるマイクロドットまたは他の識別子を含む場合、繰り返し使用のために設計されたシステムにおいては必要である。
【0012】
これらのおよび他の局面を以下、添付の図面を参照して、実施例としてのみ、さらに説明する。
【0013】
本発明の好ましい態様では、ユニットは図示した形態では、加圧推進剤ガスを含むキャニスター4の上端部上でスナップ式となるように設計されたキャップ2である、一体型プラスチックハウジングである。スナップ式は、キャップ2の下側のラグ6により達成することができ、これは、キャニスターの上端の巻き縁内に係合し、しっかりとキャップ2をキャニスターに固定する。キャニスターは上端にバネで定位置に止められた放出弁8を含み、弁が使用者により押し下げられることにより開くと、内容物が放出される。キャニスターは液化推進剤ガスが充填され、基本的には標準のエアロゾル型容器であるが、弁からキャニスターの液体内容物内へ延在する浸漬管が存在しないという点で、標準エアロゾル容器とは異なる。したがって、弁が押し下げられると、推進剤ガスのみが放出される。本発明者らは、この目的のために特に適した推進剤ガスがLPGであることを決定した。推進剤ガスが通って放出される弁幹部の上端はキャップ2の上部からアクセス可能なボタン10内に収容される。ボタン10はまた、可撓性放出管12を据え付けられ、これは弁幹部と連絡しており、ボタン10が押し下げられ弁が開くと、推進剤ガスが放出ノズルアセンブリ14まで誘導される。
【0014】
キャップ2はまた、接着剤および同様に符号化されたマイクロドットの混合物のための容器16を備える。例として、容器16は10,000を超える、同様に符号化されたマイクロドットを備えてもよい。容器16はキャップ2の下側に、例えば、ねじ込み継ぎ手により適用され、そのため、キャップ2からつるされ、圧力キャニスター4と並んで、実質的に平行に延在する。キャップ2の上部は放出ノズルアセンブリ14を備え、これは容器16上方に存在し、容器16の内部に引き込み管18により連結され、引き込み管の下端は容器内の混合物内に浸漬される。
【0015】
放出ノズルアセンブリ14は図5においてより詳細に示されており、内部チャンバ24から通じる放出オリフィス22を有する放出ノズル20を含む。引き込み管18の上端が接続されている供給経路26は、そのチャンバ内に至る。可撓性管12の放出端が接続されている推進剤ガス放出ノズル28もまた、チャンバ24内に至り、ノズル28は放出ノズル20の放出オリフィス22にごく接近していることがわかる。
【0016】
ボタン10が押し下げられ推進剤ガスが加圧下でノズル28を通して放出されると、チャンバ24を通って高速で流れる推進剤ガスは、チャンバ内24で圧力降下を引き起こし、これにより、放出オリフィス22を通って噴霧形態で放出されるためにマイクロドット/接着剤混合物は管18を通ってチャンバ24内に引き込まれる。
【0017】
ノズル28と放出オリフィス22との間の空間は非常に重要であることが決定されている。ノズル28が放出オリフィス22の裏面から遠く離されすぎると、放出ノズルの内部チャンバ内で圧力が蓄積する傾向があり、これにより、急速に移動する推進剤ガスにより生成する吸引効果が無効になる。他方、ノズル28は、マイクロドット/接着剤混合物が流れることができ、マイクロドットにより遮断されない経路を規定するのに十分な距離だけ放出オリフィスの後に離して配置されなければならない。送気管を用いてマイクロドットを分配するための従来のシステムでは、約1mmまでの直径のマイクロドットを使用することができ、本発明のユニットを使用すると、本発明者らは、マイクロドットのサイズが約0.5mmに限定されると、推進剤ガス放出ノズル28と放出オリフィス22との間の間隔に対する機能的要求が、マイクロドットにより遮断なしに達成することができることを決定する。最適結果を得るための実際の間隔は経験的に決定されると思われる。わずか0.5mm直径のマイクロドットサイズでは、約1mmの直径の放出オリフィスは、正確に標的させることができる混合物の制限噴霧を提供すると決定された。0.5mmまたはわずかにそれより小さな直径のマイクロドットでさえも、光学倍率下、依然としてヒトの目により読み取ることができ、特別な拡大機器を使用する必要はないことは理解されると思われる。
【0018】
使用に際しては、ユニットは使用者の手に保持され、手は加圧キャニスター4を把持し、手の指は、押しボタン10を作動させ弁を開かせ、マイクロドット/接着剤混合物の分配が実行される。
【0019】
ユニットが加圧キャニスターにより提供される推進剤ガス供給源を内蔵するので、遠隔圧縮空気供給源から導かれる送気管により動力供給されるシステムに容易にアクセスできない限られた空間にアクセスすることができる。さらに、圧縮空気供給源に容易にアクセスできない状況、例えば家庭内状況において使用することができる。
【0020】
実際には、加圧キャニスターの中身は単一容器16の中身を放出するためだけに十分なものであり、推進剤ガスが実質的に使い果たされると、ユニット全体が廃棄されると予想される。
【0021】
改良では、容器16は放出ノズルアセンブリ14を備える取り外し可能なクロージャを含む。キャップ2は、キャニスター4が取り付けられる後方部分の前方に、キャニスターの本体をはめ込むことができる概ね円筒形の台50(図5を参照されたい)を有し、本体は上端部分で提供され、環状フランジが台50上に位置する。好ましくは、台は2つの可撓性アーム52a、52bにより形成され、これらは、容器16の本体を摩擦により把持し、使用中に偶発的にはずれないようにし;アーム52a、52bの可撓性により、異なる直径の容器16の範囲のユニットでの使用も可能になる。
【0022】
システムは識別マイクロドットを様々な型の自動車に適用するのに役立つが、様々な物品、例えば、多くの家庭で見いだされる可能性のある電子機器に印をつけるのに使用することができる。
【0023】
ユニットは、マイクロドット/接着剤混合物を分配するために特別に設計されるが、ユニットは改良無しで、混合物が適用される物品に対する識別ラベルとして機能する識別子、例えばDNAトレーサーを含む他の流体混合物を分配することができることは理解されると思われる。
【0024】
本明細書および以下の特許請求の範囲全体において、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprise)」という用語、ならびに「含む(comprises)」または「含む(comprising)」などの変形は、示した整数または整数もしくは工程の群を含むが、いずれの他の整数または整数群も排除しないことを意味することは理解されると思われる。
【0025】
本態様は例として説明したにすぎず、本発明の範囲内で改変が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の好ましい態様によるユニットを示す概略断面図である。
【図2】ユニットの一体型プラスチックハウジングを示す斜視図である。
【図3】ハウジングの底面図である。
【図4】ユニットの放出ノズルアセンブリを通る断面図である。
【図5】ハウジングの改良型の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎流体とその中の識別子の混合物を含むための容器と、混合物内まで延在する管により容器内の混合物と連絡する内部チャンバを有する放出ノズルと、出口弁を有する、加圧推進剤ガスのキャニスターと、キャニスターの出口とノズルの内部チャンバの間に延在する経路を規定する手段とを含み、
これにより、出口弁が開くと、ノズルを通して放出させるために、推進剤流体が内部チャンバを通って流れ、混合物を管を通して内部チャンバ内に引き込む、
物品に識別子を適用するための携帯ユニット。
【請求項2】
識別子混合物が、多数の同様に符号化された識別マイクロドットが中で混合された接着剤基礎流体からなる、請求項1記載のユニット。
【請求項3】
ユニットが、一方を他方に並んで位置するように加圧キャニスターおよび容器が取り付けられるハウジングを含み、
キャニスターの出口弁が、ユニットを手で保持しながら同じ手の指により動作させるためにハウジング内でアクセスすることができるように弁の幹部に据え付けられたボタンを押し下げることにより開くバネで定位置に止められた弁である、
請求項1または2記載のユニット。
【請求項4】
キャニスターの出口とノズルの間に延在する経路が、ボタン内に形成される出口から延在する可撓性管を含む、請求項3記載のユニット。
【請求項5】
キャニスターがハウジングの下側に据え付けられ、そのため、それがハウジングからぶら下がり、
ユニットがキャニスターの本体を把持することにより保持され、放出ボタンが手の指によるかみ合いのためのハウジング上部の開口を介してアクセス可能である、
請求項3または4記載のユニット。
【請求項6】
ハウジングが、出口弁ゾーンにおいてキャニスターの上縁とのスナップ留め具手段により、キャニスターと係合する、請求項5記載のユニット。
【請求項7】
キャニスターが使用者の手により保持される使用位置において容器がキャニスターの前方に位置するような構造で、容器がハウジングにより備えられる、請求項3〜6のいずれか一項記載のユニット。
【請求項8】
放出ノズルがハウジングに据え付けられ、
容器が解放可能なようにハウジングに取り付けられそこから下方に延在する、
請求項3〜7のいずれか一項記載のユニット。
【請求項9】
放出ノズルが容器の着脱可能なクロージャ(closure)に据え付けられ、
クロージャを有する容器がハウジングに取り外し可能に据え付けられる、
請求項3〜7のいずれか一項記載のユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−518164(P2009−518164A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543610(P2008−543610)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001540
【国際公開番号】WO2007/065197
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(508168712)データドット テクノロジー リミティッド (1)
【Fターム(参考)】