説明

物品収納設備

【課題】昇降体を、それが備える移載装置の物品載置面が物品収納棚の最上段収納部の物品載置面よりも高い位置となるまで上昇移動させる場合であっても、物品収納棚の高さをその昇降体の昇降高さに合わせて高くする必要が無い物品収納設備。
【解決手段】上部レール6が、物品収納棚1とは別に設けられた上部支持体に支持される状態で、物品収納棚1の上端よりも上方に配置され、昇降体11が、移載装置12の物品載置面が物品収納棚1における最上段の物品収納部4である最上段収納部4uの物品載置面よりも高い位置まで上昇移動可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を載置支持自在な物品収納部を上下方向及び左右方向に複数並べて構成された物品収納棚と、前記物品載置部の物品出し入れ方向前面側に形成される作業通路に長手方向を前記物品収納棚の左右方向に沿う状態で設けられる走行レールと、その走行レールに沿って走行移動自在な移動体とを備え、前記走行レールが、下部レールと上部レールとを備えて構成され、前記移動体が、前記下部レール上を走行可能な走行輪を備えた走行台車と、前記走行台車上に立設された昇降マストと、前記昇降マストに沿って昇降移動可能な昇降体と、物品を載置支持自在でかつ前記昇降体に設けられて前記物品収納部と自己との間で物品を移載する移載装置と、前記昇降マストの上端部に設けられて前記上部レールと係合する案内輪を備える上部枠体とを備えて構成された物品収納設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品収納設備における物品収納棚として、従来、図5に示すように、物品収納棚1を物品出し入れ方向前面側を対向させてその間に作業通路2を形成する状態で並べて設け、且つ、対向する物品収納棚1の上端部同士を水平材Zにて接続して、その水平材の下面側に走行レールRの上部レール6を固定する状態で支持させるように構成されたものがあった。したがって、上部レール6は、物品収納棚1の上端と略同じ高さに位置する状態で設けられるものであった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−197113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような物品収納設備においては、上下の走行レールRのうち下部レール5が、物品収納棚1が設置される床面Fに支持される状態で設けられ、その下部レール5上を、走行車輪を備えた走行台車9が走行するように構成されている。そして、走行台車9上に昇降マスト10が立設され、その昇降マスト10の上端に、上部レール6と係合する案内輪14を備える上部枠体13が設けられている。
すなわち、昇降マスト10は走行台車9と上部枠体13との間に位置することとなり、昇降体11は、昇降マスト10に案内される状態で、走行台車9と上部枠体13との間を昇降可能範囲として昇降移動することになる。したがって、昇降体の昇降可能範囲における最高位置は、昇降マストの上端である上部枠体の存在位置によって制限される。
【0005】
上部レール6は、上述のように対向する物品収納棚1の上端同士を接続する水平材Zにて、物品収納棚1の上端と略同じ高さで支持されるように構成されるものであるから、上部枠体13はその物品収納棚1の上端の高さよりも低い位置に位置することになる。つまり、昇降体11の昇降可能範囲における最高位置は、物品収納棚1の上端と略同じ高さに設けられる上部レールよりも、上部枠体13の上下幅分だけ低い位置となる。したがって、昇降体11の昇降可能範囲における最高位置をより高い位置とするためには、上部レール6をより高所に位置させるようにする必要があるが、上述のように上部レール6は物品収納棚1の上端と略同じ高さに支持されるものであるから、そのように上部レール6をより高所に位置させるためには、物品収納棚1の上端の高さ(つまり物品収納棚1の高さ)を高くする必要がある。
【0006】
ところで、物品収納棚は、一般に、収納効率を向上させるために、その上下方向の全体に亘って、昇降体に設けられる移載装置によって移載が可能となる領域の略全てを物品収納部とするように構成されている。したがって、物品収納棚における最上段の物品収納部である最上段収納部は、昇降体がその昇降可能範囲の最高位置に位置するときに昇降体に備える移載装置によって移載が実行される高さを物品載置面とするように構成されている。
【0007】
このように構成された物品収納設備において、移載装置の移載対象箇所として、物品収納部以外であって物品収納棚における最上段の物品収納部の物品載置面よりも高いものが設けられる場合には、移載対象箇所と移載装置との間で物品を移載すべく昇降体を上昇移動させることを可能とするために移載装置が当該移載対象箇所についての移載用高さとなるまで昇降体が上昇移動できるように、上部レールの設置高さを高くする必要がある。ところが、上部レールの設置高さを高くするには、上述のように物品収納棚の上端の高さ(つまり物品収納棚の高さ)を、昇降体を上昇移動させるべき最高位置の高さに合わせて高くする必要があった。
【0008】
しかしながら、そのように物品収納棚の高さを高くすると、物品収納棚を構成する支柱の長さを長くする必要があり、材料コストの上昇を招くものとなる。また、物品収納棚の高さを高くすると、支柱の軸方向における負荷が大きくなり、その負荷に対する耐力を向上させるために物品収納棚を強固に構成する必要があるため、物品収納棚の製造コストの上昇を招くものとなる。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、昇降体を物品収納棚の最上段収納部についての移載用高さよりも高い位置まで上昇移動させる場合であっても、物品収納棚の高さが高くなることを回避できる物品収納設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る物品収納設備の第1特徴構成は、物品を載置支持自在な物品収納部を上下方向及び左右方向に複数並べて構成された物品収納棚と、前記物品載置部の物品出し入れ方向前面側に形成される作業通路に長手方向を前記物品収納棚の左右方向に沿う状態で設けられる走行レールと、その走行レールに沿って走行移動自在な移動体とを備え、前記走行レールが、下部レールと上部レールとを備えて構成され、前記移動体が、前記下部レール上を走行可能な走行輪を備えた走行台車と、前記走行台車上に立設された昇降マストと、前記昇降マストに沿って昇降移動可能な昇降体と、物品を載置支持自在でかつ前記昇降体に設けられて前記物品収納部と自己との間で物品を移載する移載装置と、前記昇降マストの上端部に設けられて前記上部レールと係合する案内輪を備える上部枠体とを備えて構成されたものであって、
前記上部レールが、前記物品収納棚に対して非接続状態で設けられた上部支持体に支持される状態で、前記物品収納棚の上端よりも上方に配置され、
前記昇降体が、前記移載装置を前記物品収納棚における最上段の物品収納部である最上段収納部についての移載用高さよりも高い位置に位置させるべく上昇移動可能に構成されている点にある。
【0011】
すなわち、上部レールは、物品収納棚に対して非接続状態で設けられた上部支持体に支持される状態で、物品収納棚の上端よりも上方に配置されることになるから、昇降体を、移載装置を前記物品収納棚における最上段の物品収納部である最上段収納部についての移載用高さよりも高い位置に位置させるべく上昇移動させることができる。
【0012】
説明を加えると、昇降体は、昇降マストに案内される状態で、走行台車と上部フレームとの間を昇降可能範囲として昇降移動するものであるから、昇降体の昇降可能範囲における最高位置は、昇降マストの上端である上部枠体の存在位置によって制限されることになる。
このように構成される場合において、水平材にて物品収納棚の上端同士を接続し、上部レールを、その水平材の下面側に支持させる状態で物品収納棚の上端と略同じ高さで支持させるように構成すると、昇降体の昇降可能範囲における最高位置は、物品収納棚の上端と略同じ高さに設けられる上部レールよりも、上部枠体の上下幅分だけ低い位置となる。
【0013】
これに対して、上部レールを物品収納棚とは別に設けられた上部支持体、例えば物品収納棚が設置される建築空間の天井梁等に支持させるように構成すると、上部レールは、物品収納棚の上端の高さに制限されることなく、物品収納棚の上端より高い位置にて支持することが可能となるため、昇降体は、物品収納棚の上端の高さに制限されずに、移載装置を前記物品収納棚における最上段の物品収納部である最上段収納部についての移載用高さよりも高い位置に位置させるべく上昇移動させることができることになる。
【0014】
したがって、昇降体における移載装置の物品載置面が物品収納棚における最上段の物品収納部である最上段収納部の物品載置面よりも高い位置まで昇降させる必要がある場合であっても、物品収納棚の高さをその昇降体の昇降高さに合わせて高くする必要がないものとなって、材料コストの上昇を回避することができるものとなる。また、物品収納棚の高さを高くすると、支柱の軸方向における負荷が大きくなり、その負荷に対する耐力を向上させるために物品収納棚を強固に構成する必要があるが、第1特徴構成によれば、物品収納棚の高さをその昇降体の昇降高さに合わせて高くする必要がないため、物品収納棚を強固に構成する必要がなく、物品収納棚の製造コストの上昇を回避することが可能となる。
【0015】
要するに、上記第1特徴構成によれば、昇降体を物品収納棚の最上段収納部についての移載用高さよりも高い位置まで上昇移動させる場合であっても、物品収納棚の高さが高くなることを回避できる物品収納設備を提供することができるものとなる。
【0016】
本発明に係る物品収納設備の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、物品を載置支持自在な上部移載対象箇所が、その上部移載対象箇所における物品載置面が前記物品収納棚における最上段の物品収納部である最上段収納部の物品載置面よりも高い位置となる状態で設けられ、前記昇降体が、前記上部移載対象箇所との間で物品を移載可能とすべく上昇移動可能に構成されている点にある。
【0017】
すなわち、物品を載置支持自在な上部移載対象箇所が、その上部移載対象箇所における物品載置面が物品収納棚における最上段の物品収納部である最上段収納部の物品載置面よりも高い位置となる状態で設けられている場合には、移載装置の物品載置面が上部移載対象箇所における物品載置面と略同じ高さとなるまで昇降体を上昇移動させる必要がある。
このような場合においても、上部レールが物品収納棚とは別に設けられた上部支持体に支持される状態で、物品収納棚の上端よりも上方に配置されるものであるから、上部移載対象箇所との間で物品を移載可能とすべく、昇降体を上昇移動させることができるものとなる。なお、上部移載対象箇所としては、例えば、物品収納設備が設置される倉庫空間の天井近傍に備えられる天井側コンベヤ等が考えられる。
【0018】
このように、第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成の好適な実施形態を得ることができる。
【0019】
本発明に係る物品収納設備の第3特徴構成は、上記第2特徴構成による作用効果に加えて、前記上部移載対象箇所として、物品を載置支持自在な棚上端載置部が、前記物品収納棚の上端を物品載置面とする状態で設けられ、前記昇降体が、前記棚上端載置部との間で物品を移載可能とすべく上昇移動可能に構成されている点にある。
【0020】
すなわち、物品を載置支持自在な棚上端載置部が、前記物品収納棚の上端を物品載置面とする状態で設けられる場合には、移載装置の物品載置面が棚上端載置部における物品載置面と略同じ高さとなるまで昇降体を上昇移動させる必要がある。
このような場合においても、上部レールが物品収納棚とは別に設けられた上部支持体に支持される状態で、物品収納棚の上端よりも上方に配置されるものであるから、棚上端載置部との間で物品を移載可能とすべく、昇降体を上昇移動させることができるものとなる。
【0021】
そして、棚上端載置部は、従来の物品収納棚において利用されていなかった物品収納棚の上端に設けられるものであるから、物品収納棚の高さを高くすることなく、その物品収納棚における物品の収納数を増加させることができる。したがって、従来の同じ高さの物品収納棚に較べて、多くの物品を載置支持可能な物品収納棚を提供することができることとなる。
【0022】
要するに、第3特徴構成によれば、上記第2特徴構成による作用効果に加えて、従来の同じ高さの物品収納棚に較べて、多くの物品を載置支持可能な物品収納棚を提供することができる。
【0023】
本発明に係る物品収納設備の第4特徴構成は、上記物品搬送車の第1〜第3特徴構成のいずれかに加えて、前記上部レールと前記上部支持体との間に、前記上部レールの下部レールからの高さを調節可能な位置調節機構が備えられている点にある。
【0024】
すなわち、上部レールと上部支持体との間に備えられる位置調節機構によって、上部レールの下部レールからの高さが調節できることになる。
つまり、上部支持体は物品収納設備が備えられる倉庫空間の天井等、物品収納棚に対して非接続状態で設けられた、物品収納棚とは別の構造物にて構成され、上部レールはその上部支持体に、長手方向の複数箇所にて支持される状態で設けられるように構成されている。
【0025】
しかしながら、例えば天井の高さが一部異なっており、上部支持体の下部レールからの高さが走行レールの長手方向の全体に亘って同じ高さでない場合や、上部支持体の高さが高く、移動体の高さに対して上部レールを適切な高さに支持でない場合等においては、上部支持体と上部レールとの間の距離の調整が必要となる場合がある。
そこで、上部レールと上部支持体との間に位置調節機構を備えることで、上部レールを、その下部レールからの高さが適切な高さとなるように支持することが可能となる。
【0026】
要するに、第4特徴構成によれば、上記第1〜第3特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、上部レールを、その下部レールからの高さが適切な高さとなるように支持することが可能な物品収納設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】物品収納設備の一部斜視図
【図2】移動体の側面図
【図3】物品収納設備の棚左右方向視立面図
【図4】物品収納設備の棚前後方向視立面図
【図5】従来の物品収納設備を表す棚左右方向視立面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る物品収納設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の物品収納設備は、物品を載置支持自在な物品収納部4を上下方向及び左右方向に複数並べて構成された物品収納棚1と、物品収納部4の物品出し入れ方向前面側に形成される作業通路2に長手方向を物品収納棚1の左右方向に沿う状態で設けられる走行レールRと、その走行レールRに沿って走行移動自在な移動体としてのスタッカークレーン3とを備えて構成され、建築構造物としての倉庫空間内に設置されている。走行レールRは、下部レール5と上部レール6とを備えて構成されている。そして、スタッカークレーン3にて物品Bを物品収納棚1とその物品収納棚1の横側方に設けられた荷受台8、若しくは、後に説明する上部移載対象箇所としての天井側コンベヤT又は棚上端載置部1uとの間で搬送するように構成されている。
また、作業通路2の一端側には、制御手段Hとしての地上側コントローラ7が備えられ、スタッカークレーン3に供えられる図示しない制御手段Hとしての移動体側コントローラと相互に通信するように構成されている。そして、地上側コントローラ7と移動体側コントローラとによって、スタッカークレーン3の走行移動、後述する昇降体11の昇降移動、及び、後述する移載装置としてのスライドフォーク12の移載作動が制御されるようになっている。
【0029】
スタッカークレーン3は、図2に示すように、下部レール5上を走行可能な走行輪21を備えた走行台車9と、その走行台車9上に立設された前後一対の昇降マスト10と、昇降マスト10に沿って 昇降移動可能な昇降体11と、物品Bを載置支持自在でかつ昇降体11に設けられて物品収納部4と自己との間で物品を移載する移載装置としてのスライドフォーク12と、昇降マスト10の上端部に設けられて上部レール6と係合する案内輪14を備える上部枠体13とを備えて構成されている。なお、詳細な説明は省略するが、昇降体11は上部枠体13近傍に備えられる上部巻回体としてのプーリ16に巻き掛けられたワイヤ15の一端側に接続されており、このワイヤ15の他端側が昇降モータ19の回転に伴って回転される昇降ドラム18に接続されている。そして、昇降ドラム18の正逆転によって、ワイヤ15の繰り出し及び巻取りを行うことにより、昇降体11の昇降移動が実現される。
【0030】
図3及び図4に示すように、物品収納棚1は、棚前後方向及び棚左右方向に離間して立設された支柱1aにラチス1L並びに前後水平材1h1及び左右水平材1h2が接続されて構成されている。前後一対の支柱1aには物品支持用の腕木1bが、棚左右方向に張り出す状態で上下に間隔を隔てて複数設けられている。そして棚左右方向に隣接する支柱1aの対向する一対の腕木1bにて物品Bを載置支持するようになっている。また、物品収納棚1は、作業通路2を挟んで対向する一対の物品収納棚1の上端を互いに接続しない状態で、且つ、床面に立設される脚部以外では建築構造物等の支持体に接続しない状態で構成されている。
【0031】
倉庫空間の上方である天井Cの近傍であって、物品収納棚1の上端付近に、棚前後方向において、棚背面側から棚前面側に向けて物品を搬送する天井側コンベヤTが、天井Cから吊り下げられる状態で設けられている。なお、そのような天井側コンベヤTが設けられる場合として、例えば、倉庫空間がステップフロアとなっており、上方側のフロアと下方側のフロアとに亘って物品載置面の高さを変えない状態で物品Bを移送するコンベヤが設けられる場合等が考えられる。この場合、上方側のフロアにおいては倉庫空間の下方に位置していたコンベヤが、下方側のフロアにおいては倉庫空間の上方に位置することになる。
【0032】
本実施形態において、天井側コンベヤTの物品載置面は、物品収納棚1における最上段の物品収納部4である最上段収納部4uの物品載置面よりも高い位置となる状態となっている。そして、物品収納棚1の最上段収納部4uのうちの1つ又は複数の物品収納部4に対して、その前端部を物品収納棚1の前後方向前端と面一とする状態で物品収納棚1の棚前後方向後方側から物品収納棚1に貫入する状態で設けられている。天井側コンベヤTにて搬送される物品Bは、図示しない物品位置検出センサの検出情報に基づいて、その前端部にて停止されるように構成されている。
【0033】
図4に示すように、物品収納棚1の正面視において、天井側コンベヤTの搬送用ベルトの棚左右方向の幅は、棚左右方向における腕木1bの突出幅と略同じ幅に構成されている。したがって、スライドフォーク12は、天井側コンベヤTとの間で物品を移載することが可能となる。
【0034】
また、図1、図3、及び図4に示すように、物品収納棚1の上端に、物品収納部4と同様の腕木1bが設けられ、この腕木1bの上面を物品載置面とする棚上端載置部1uが形成されている。つまり、物品Bを載置支持自在な棚上端載置部1uが、物品収納棚1の上端を物品載置面とする状態で(したがって、その物品載置面が最上段収納部4uの物品載置面よりも高い位置となる状態で)設けられている。
本実施形態では、天井側コンベヤT及び棚上端載置部1uが上部移載対象箇所に相当する。
【0035】
倉庫空間は、図示しない建築支柱や天井梁を備えて構成され、物品収納棚1の上端よりも上方に、天井Cが設けられている。図3及び図4に示すように、天井Cにおける下部レール5の上方に相当する部分には、下部レール5の長手方向に沿って離間する状態で且つ天井Cから下方に突出する状態で位置調節機構としてのアジャスタAが取付けられている。そして、そのアジャスタAの下端部分であるレール取付部に上部レール6が取付けられている。本実施形態においては、天井Cが物品収納棚1とは別に設けられた上部支持体に相当する。アジャスタAは、詳細は図示しないが、螺合するボルトとナットとの回転によって、ボルトの軸方向の位置を変更するアジャストボルトを使用し、レール取付部の下部レール5からの高さを調節するようになっている。
【0036】
つまり、上部レール6が、物品収納棚1に対して非接続状態で設けられた天井Cに支持される状態で、物品収納棚1の上端よりも上方に配置され、上部レール6と天井Cとの間に、上部レール6の下部レール5からの高さを調節可能なアジャスタAが備えられている。
【0037】
上部レール6は、物品収納棚1に対して非接続状態で設けられた天井Cに支持される状態で、物品収納棚1の上端よりも上方に配置されるものであるから、昇降体11は、スライドフォーク12を物品収納棚1における最上段の物品収納部である最上段収納部4uについての移載用高さよりも高い位置に位置させるべく上昇移動可能となる。つまり、昇降体11は、上部移載対象箇所としての天井側コンベヤT又は棚上端載置部1uとの間で物品を移載可能とすべく上昇移動可能となる。
【0038】
スライドフォーク12は、物品Bの下面に当接して物品Bを載置支持するように構成されている。
そして、地上側コントローラ7によって物品Bの移載が指令されると、移動体側コントローラは、スタッカークレーン3を目的の位置まで走行させ、昇降体11を目的の高さまで昇降移動させるように制御する。
【0039】
スライドフォーク12は、設定範囲内での上下動、及び、棚前後方向の出退移動が自在に構成されている。そして、物品収納部4から物品Bを掬う場合には、スライドフォーク12をその物品収納部4における腕木1bよりも若干下方(つまり物品Bの下面よりも若干下方)に位置させる状態(移載用下位位置と称する)で棚前後方向に延出移動させて物品Bの下方に差込み、続いて、スライドフォーク12を上方移動させて物品Bの下面が腕木1bの上面から上方に離間する状態とし、続いて、スライドフォーク12を引退移動させる。また、物品収納部4に対して物品Bを卸す場合には、物品Bを載置した状態のスライドフォーク12を物品Bの下面が腕木1bの上面よりも若干高い位置(移載用上位位置と称する)となるように上方移動させ、続いてスライドフォークを延出移動させて物品Bを平面視にて物品収納部4における所定の載置位置に位置させ、続いてスライドフォーク12を下方移動させて物品Bが腕木1bに載置支持される状態とし、最後に、スライドフォーク12を昇降体11上の所定位置に引退移動させる。
つまり、物品収納部4の物品載置面に対して、上記移載用下位位置と移載用上位位置との間の範囲が、その物品収納部4の移載用高さとなる。
【0040】
本発明の物品収納設備は、上記のように構成されるものであるから、昇降体11を、スライドフォーク12を物品収納棚1における最上段の物品収納部4である最上段収納部4uについての移載用高さよりも高い位置に位置させるべく上昇移動させる場合であっても、物品収納棚1の高さがその昇降体11の昇降高さに合わせて高くなることを回避できるものとなる。
【0041】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態においては、上部レール6を、物品収納棚1に対して非接続状態で設けられた上部支持体としての倉庫空間の天井Cに支持させるように構成したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、倉庫空間が複数階に亘って構成される場合における上層階の床を支持する梁に支持させてもよい。また、上記天井Cや床を支持する梁のような建築構造ではなく、物品収納棚1とも建築構造とも独立した別体の支持構造に上部レール6を支持させてもよい。
【0042】
(2)上記実施形態においては、物品収納棚1を、作業通路2を挟んで対向する一対の物品収納棚1の上端を互いに接続しない状態で、且つ、床面に立設される脚部以外では建築構造物等の支持体に接続しない状態で構成し、上部レール6を、上部支持体としての倉庫空間の天井Cに支持させるように構成したが、このような構成に限定されるものではない。例えば、作業通路2を挟んで対向する一対の物品収納棚1の一方又は両方について、その物品収納棚1の高さ方向の一部が、倉庫空間を構成する建築構造物としての柱等に接続されて支持される構成としてもよい。
【0043】
(3)上記実施形態においては、上部移載対象箇所として、天井側コンベヤTと棚上端載置部1uとを例示したが、このような構成に限定されるものではなく、上部移載対象箇所は、物品収納棚1における最上段収納部4uの物品載置面よりも高い位置に物品載置面を有する移載対象箇所であればどのようなものであってもよい。例えば、最上段収納部4uの物品載置面よりも高い位置に天井側棚板を天井吊り状態で設け、その天井側棚板を上部移載対象箇所としてもよい。
【0044】
(4)上記実施形態においては、天井側コンベヤTを、物品収納棚1の最上段収納部4uのうちの1つ又は複数の物品収納部4に対して貫入する状態で設ける構成を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、天井側コンベヤTの物品載置面を、物品収納棚1の上端の棚上端載置部1uと略同じ高さ、又はそれよりも高い高さに位置させるように構成することも可能である。
また、物品収納棚1における最上段収納部4uの物品載置面よりも上方に物品載置面を有するものであれば、物品収納棚1とは独立して設けられ、且つ、スタッカークレーン3のスライドフォーク12により物品Bを移載可能な位置に配設されるコンベヤを天井側コンベヤTとしてもよい。
【0045】
(5)上記実施形態においては、上部レール6の下部レール5からの高さを調節するアジャスタAとして、螺合するボルトとナットとの回転によって、ボルトの軸方向の位置を変更するアジャストボルトを使用する構成を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、パンタグラフジャッキ式に構成し、そのパンタグラフジャッキのヒンジ部における開き角を調節することによって、上部レール6の支持部の高さを調節する構成としてもよく、上部レール6と天井Cとの間の距離を固定する状態で上部レール6の下部レールからの高さを調節できる機構であればどのようなものでもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 物品収納棚
1u 棚上端載置部
2 作業通路
3 移動体
4 物品収納部
4u 最上段収納部
5 下部レール
6 上部レール
9 走行台車
10 昇降マスト
11 昇降体
12 移載装置
13 上部枠体
A 位置調節機構
R 走行レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置支持自在な物品収納部を上下方向及び左右方向に複数並べて構成された物品収納棚と、
前記物品載置部の物品出し入れ方向前面側に形成される作業通路に長手方向を前記物品収納棚の左右方向に沿う状態で設けられる走行レールと、その走行レールに沿って走行移動自在な移動体とを備え、
前記走行レールが、下部レールと上部レールとを備えて構成され、
前記移動体が、前記下部レール上を走行可能な走行輪を備えた走行台車と、前記走行台車上に立設された昇降マストと、前記昇降マストに沿って昇降移動可能な昇降体と、物品を載置支持自在でかつ前記昇降体に設けられて前記物品収納部と自己との間で物品を移載する移載装置と、前記昇降マストの上端部に設けられて前記上部レールと係合する案内輪を備える上部枠体とを備えて構成された物品収納設備であって、
前記上部レールが、前記物品収納棚に対して非接続状態で設けられた上部支持体に支持される状態で、前記物品収納棚の上端よりも上方に配置され、
前記昇降体が、前記移載装置を前記物品収納棚における最上段の物品収納部である最上段収納部についての移載用高さよりも高い位置に位置させるべく上昇移動可能に構成されている物品収納設備。
【請求項2】
物品を載置支持自在な上部移載対象箇所が、その上部移載対象箇所における物品載置面が前記物品収納棚における最上段の物品収納部である最上段収納部の物品載置面よりも高い位置となる状態で設けられ、
前記昇降体が、前記上部移載対象箇所との間で物品を移載可能とすべく上昇移動可能に構成されている請求項1記載の物品収納設備。
【請求項3】
前記上部移載対象箇所として、物品を載置支持自在な棚上端載置部が、前記物品収納棚の上端を物品載置面とする状態で設けられ、
前記昇降体が、前記棚上端載置部との間で物品を移載可能とすべく上昇移動可能に構成されている請求項2に記載の物品収納設備。
【請求項4】
前記上部レールと前記上部支持体との間に、前記上部レールの下部レールからの高さを調節可能な位置調節機構が備えられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品収納設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−14416(P2013−14416A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149241(P2011−149241)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】