説明

物品搬入用ポート

【課題】 ラージポートなどのポート本体に付着する汚染物質の量を低減する。
【解決手段】
グローブボックス1に形成された開口に取り付けられた円筒内面を有する筒状体11と、筒状体11に挿入された袋体101と、袋体101を筒状体11の内周面に押圧する円環状の第1弾性部材105と、筒状体11の端部で折り返された袋体101の基端部を筒状体11の外周面に密着固定する円環状の第2弾性部材103と、筒状体11の端部に脱着可能に設けられ第1弾性部材105を筒状体に押圧する円環状の固定環109を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器類等を密閉した状態で取り扱うグローブボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、放射性物質などの汚染物質を取り扱う場合、作業員の安全性を確保するため、密閉された負圧のグローブボックス内で汚染物質を取り扱うようにしている。このグローブボックスは、例えばステンレス製の筐体の一側面に透明のアクリル製パネルを取り付け、このパネルに形成された円形の貫通孔に円筒内面を有するグローブポート本体を取り付け、このグローブポート本体にグローブを気密に装着して構成される。
【0003】
従来、グローブボックス内の機器類等を操作するグローブは、グローブポート本体に挿入される筒状のリングにグローブの基端部を装着して用いられる。グローブが装着されたリングの外周面には、オーリングなどが装着され、リングの外周面とグローブポート本体の内周面との隙間が気密にシールされている。
【0004】
ところで、グローブやオーリングなどは、弾性材料で形成されていることから、経時劣化により汚染物質が漏洩するおそれがある。そのため、これらはリングごと定期的に交換する必要がある。リングを交換する方法としては、既設のリングの後方から新規のグローブが装着されたリングをグローブポート本体に挿入し、既設のリングを前方に押し込んでグローブボックス内に落下させることにより、グローブを交換する方法が行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
一方、グローブボックスには、グローブポート本体とは別に、筒径が大きく形成されたラージポート本体やミドルポート本体などが取り付けられ、例えば、グローブボックス内に機器類などを搬入する際の搬入経路として使用されている。これらのポートは、ポート本体に柔軟性を有する袋状のビニールバッグの基端部が装着され、例えば、二枚のビニールバッグの間に機器類を収納し、ボックス内に搬送してから内側のビニールバッグを破いて機器類を取り出すことが行われている。この場合、ポート本体の開口部は、外側のビニールバッグにより塞がれているため、汚染物質が外部に漏洩することがない。
【0006】
これらのポート本体にビニールバッグを装着する方法としては、例えば、ポート本体に挿入されたビニールバッグの基端部をポートの端部で折り返し、オーリングなどでポート外周面に密着固定する方法が行われている。すなわち、これらのポート類は、グローブポートと比べて筒径がかなり大きく形成され、用途も異なることから、グローブポート本体に用いられるリングは適用されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平6−57585号公報(第1−4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ラージポート本体やミドルポート本体などのポート類に用いるビニールバッグは、折り畳んでポート本体に収納されるが、使用のため、ビニールバッグを外側に引き出す際、グローブボックス内の汚染物質がポート本体の内周面に付着することがある。また、この汚染物質は、ビニールバッグが固定されたポート本体の外周面付近まで達するおそれがある。これらの汚染物質は、付着が多くなると取り除く必要があるが、気密を保ちながらポート本体の表面を清掃するのは困難である。
【0009】
本発明は、ラージポートなどのポート本体に付着する汚染物質の量を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の物品搬入用ポートは、グローブボックスに形成された開口に取り付けられた円筒内面を有する筒状体と、筒状体に挿入された袋体と、袋体を筒状体の内周面に押圧する円環状の第1弾性部材と、筒状体の端部で折り返された袋体の基端部を筒状体の外周面に密着固定する円環状の第2弾性部材と、筒状体の端部に脱着可能に設けられ第1弾性部材を筒状体に押圧する円環状の固定環を備えたことを特徴とする。
【0011】
これによれば、第1弾性部材で袋体を筒状体の内周面に密着できることから、汚染物質による汚染範囲を少なくでき、筒状体に付着する汚染物質の付着量を低減できる。つまり、第1弾性部材の位置の外側の筒状のポート本体の内周面や端部に汚染物質が付着することを防止できることから、ポート本体に付着する汚染物質の量を低減できる。
【0012】
この場合において、断面コ字状に形成した固定環の筒状体の外周面に対向する部位に形成した孔に、ボルトを螺合させて締め付けることで、固定環から第1弾性部材に加わる押圧力を強化でき、ポート本体に付着する汚染物質の量をより確実に低減できる。
【0013】
また、第1弾性部材は、パッキンや、内部に空気が供給されるチューブにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ラージポートなどのポート本体に付着する汚染物質の量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の参考例に係るグローブポート本体にグローブ装着具を挿入した状態を示す径方向の断面図である。
【図2】図1のA部の拡大図である。
【図3】本発明の参考例に係るパッキンの自由状態における径方向の断面図である。
【図4】本発明の参考例に係るグローブポート本体に封止栓を挿入した 状態を示す径方向の断面図である。
【図5】図4のB部の拡大図である。
【図6】本発明の一実施形態の物品搬入用ポートの固定具を示す部分断面図である。
【図7】本発明の一実施形態の物品搬入用ポートの固定具を示す部分断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る物品搬入用ポートの固定具の部分断面図である。
【図9】本発明の参考例に係るグローブボックスの概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、参考例を説明した後、本発明を実施の形態に基づいて説明する。
(参考例)
まず、グローブボックスの全体構成について図9を用いて説明する。グローブボックス1は、内部が負圧に調整され、外部と気密に隔離された筐体である。グローブボックス1の一側面には、例えばアクリル製の透明なパネル3が形成され、パネル3の貫通孔に筒状のグローブポート本体5が装着されている。グローブボックス1内の作業に必要な位置のグローブポート本体5には、ゴム製のグローブ7が取り付けられている。これに対し、グローブ7が取り付けられていないグローブポート本体5には、グローブポート用栓9が取り付けられ、気密に閉塞されている。グローブ7は、通常、グローブボックス1の外側に引き出された状態で両手を結束させて固定され、使用するときは、グローブポート本体5からグローブボックス1内に挿入され、作業者がグローブポート本体5から腕を入れてグローブボックス1内で作業が行われるようになっている。
【0017】
一方、グローブボックス1の側壁10には、筒状のラージポート本体11およびスモールポート本体12が取り付けられ、これらのポートには、例えば、図示しない柔軟性を有する袋状のビニールバッグが取り付けられている。ラージポート本体11は、グローブボックス1内に機器類などを搬入するのに必要な大きさの開口部を備え、図示しない内蓋と外蓋13との間の空間に、ビニールバッグが折り畳んで収納されている。
【0018】
次に、グローブポート4の構成について説明する。図1は、グローブポート本体5にグローブ装着具を挿入した状態を示す径方向の断面図である。図に示すように、グローブポート4は、グローブポート本体5と、グローブ装着具とを備えて構成される。グローブポート本体5は、基端部に形成される鍔状の取付部15をパネル3の内側に当接させ、挿入口17を有する円筒部19をパネル3の貫通孔から外側に突き出して装着されている。グローブポート本体5は、第1の段部21を貫通孔にほぼ内接させ、貫通孔の周縁のパネル3を挟持させるように、外側から雌ネジとなる円環状の締付リング23を嵌め込み、雄ネジとなる第2の段部25の外周部に締付け固定するようになっている。第1の段部21がパネル3と当接する隙間にはシール材27が挟持されている。締付リング23の上面には、周方向に複数(例えば、4箇所)のボルト孔が形成され、このボルト孔は、後述する押し込み治具の固定孔として利用される。なお、ボルト孔には、通常、治具固定用のボルト26がリング23面と隙間を設けて螺合されている。
【0019】
グローブポート本体5の内部には、挿入口17から円筒状のリング28が挿入されている。リング28の外周面には2条のパッキン溝が形成され、リング28の軸方向の前方側(図の左側)から順に、グローブ7の基端部をパッキン溝に挟持させて固定するオーリング30、グローブポート本体5の内周面との隙間を気密にシールするパッキン32が、それぞれ装着されている。
【0020】
リング28の後端部の内周面には、環状の係止溝34が形成され、この係止溝34に、断面コ字状の環状治具36の一端が係止される一方、グローブポート本体5の外周面の係止溝38には、環状治具36の他端が係止されている。
【0021】
図2は、図1のA部の拡大図である。図に示すように、パッキン32は、例えば、弾性材料のEDPM(エチレン−プロピレンゴム)からなり、径方向の断面が矩形に形成され、グローブポート本体5の内周面に形成される環状溝40に嵌合可能な環状の突起部42と、軸方向の前方の側面部に全周に渡って形成される凹溝44とを備えて構成される。
【0022】
図3は、パッキン32の自由状態を示す径方向の断面図である。図に示すように、パッキン32は、自由状態において、軸方向の前方の外周面に断面三角形のリップ46が全周に渡って形成されている。このリップ46は、パッキン32の外周角部に形成され、リング28の摺動時はグローブポート本体5の内周面に斜面部が当接するように柔軟性を備えている。
【0023】
次に、本参考例の動作を説明する。まず、リング28の前方側のパッキン溝にグローブ7の基端部を装着しオーリング30で挟持させて固定する。グローブ7が装着されたリング28をグローブポート本体5に挿入すると、パッキン32のリップ46および突起部42がグローブポート本体の内周面に当接して径方向に弾性変形し、これに伴いリング28の外周面とグローブポート本体5の内周面との隙間は気密にシールされる。特に、パッキン32の前方に形成されるリップ46は、リング28の前進に伴い、突起部42に先行してグローブポート本体5の内周面と当接し、グローブポート本体5の内周面に付着する汚染物質などを除去することができる。ここで、リップ46の下方には凹溝44が形成されるため、リップ46は弾性変形を生じやすく、グローブポート本体5の内周面に馴染みやすいという効果がある。
【0024】
次に、突起部42がグローブポート本体5の環状溝40に嵌合すると、リング28はこの位置に固定される。本参考例の場合、オーリング30はグローブポート本体5の内周面と当接されないため、リング28はパッキン32を介してグローブポート本体5に支持される。しかし、パッキン32は、突起部42が全周に渡って環状溝40に嵌合されるため、グローブポート本体5におけるリング28の固定力は大きく、取り付け位置において高い安定性を得ることができる。また、このような構成により、パッキン32とグローブポート本体5の内周面との密着性は向上されるから、パッキン32の装着数が少なくても気密性を十分に発揮することができる。
【0025】
ここで、リング28の軸方向の長さ(全長)は、グローブポート本体5との隙間の気密性を保持するとともに、グローブ7を固定できる最低の長さとするのがよい。すなわち、気密が保たれる範囲においてパッキン32の装着数を減らすことにより、リング28の長さを短くできるから、これに伴い、グローブ7の交換時に廃棄されるリング28の廃材を減容化し、かつ、製造コストを低く抑えることができる。
【0026】
また、リング28の短縮化に伴い、リング28を支持するグローブポート本体5の全長を短くすることができる。これによれば、グローブボックス1の内部において、作業者がグローブ7を装着して作業する領域が拡大されるから、作業効率を向上させることができる。この場合、グローブポート本体5の長さは、既設のリングを新規のリングで押し込んで交換できる最低の長さとするのがよい。
【0027】
上述した本参考例は、グローブボックス1に取り付けられた円筒内面を有するグローブポート本体5と、このグローブポート本体の内部に挿入して装着する円周外面を有するリング28と、このリング28の外周面の環状溝に装着されてグローブポート本体5の内周面との隙間をシールする弾性材料からなるパッキン32とを備え、このパッキン32は、グローブポート本体の内周面に形成された環状溝に嵌合する環状の突起部42を有している。
【0028】
すなわち、グローブポート本体5の環状溝にパッキン32の突起部42が嵌合することにより、グローブポート本体5の内周面に対するパッキン32の密着性が向上されるから、パッキン32の装着数を減少させても、気密性を維持することができる。このパッキン32の装着数の減少に伴い、リング28およびグローブポート本体5の軸方向の長さを短くすることができる。また、リング28は、パッキン32を介してポート本体の内周面に固定されるから、取り付け位置における安定性を高く維持することができる。
【0029】
この場合において、パッキン32は、グローブポート本体5の内周面と当接する断面三角形のリップ46が外周面の全周に渡って形成され、このリップ46は、環状の突起部42に対してリング28の軸方向の前方に配置されていることが好ましい。すなわち、パッキン32に形成されるリップ46は、グローブポート本体5の内周面に対しスクレーパとして機能するため、一つのパッキン32において、スクレーパと気密性の二つの機能を備えることができる。そのため、従来、機能ごとに装着されていたパッキンが一つになり、パッキン装着数の低減を図ることができる。
【0030】
さらに、パッキンは、少なくともリング28の軸方向の前方の側面に全周方向に渡って凹溝44が形成されていることが好ましい。これによれば、リップ46の弾力性が向上されるため、スクレーパの機能を効果的に発揮することができる。
【0031】
次に、第2の参考例について説明する。図4は、図1のリング28に代えて、グローブポート本体5の開口を封止する封止栓51をグローブポート本体5に挿入した状態を示す断面図である。また、図5は、図1のB部の拡大図である。なお、本図において、図1に示したものと同一の部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0032】
図に示すように、筒状の封止栓51は、パッキン32を装着するためのパッキン溝と、筒内を気密に閉塞する閉塞板53とを備えて構成される。図から明らかなように、封止栓51は、パッキン溝が1条しか形成されていないため、リング28と比べて全長が短くなっている。しかし、パッキン32は、突起部42がグローブポート本体5の環状溝40に嵌合されるため、封止栓51は、その取り付け位置において、高い安定性と気密性を得ることができる。そのため、パッキン32の装着数が少なくても気密性を十分に発揮できる。
【0033】
ここで、封止栓51は、グローブポート本体5との隙間の気密性が維持される最低の長さとするのが好ましい。すなわち、気密性が保たれる範囲においてパッキン32の装着数を減らすことにより、封止栓51の全長を短くできるから、これに伴い、封止栓51の廃材を減容化し、かつ、製造コストを低く抑えることができる。
【0034】
次に、上述した参考例において、リング28や封止栓51などの装着体を交換する作業について説明する。一般に、これらの装着体を交換する方法としては、まず、既設の装着体の後方から新規の装着体をグローブポート本体5に挿入し、既設の装着体を押し込み治具により前方に押し込んで、グローブボックス1内に落下させる方法が行われている。
【0035】
ここで、従来の押し込み治具によれば、まず、グローブポート本体5の外周側面に突出して形成される係止部に、押し込み治具の脚部を係止させ、この脚部に支持される治具本体に回転自在に取り付けられたハンドルを廻してねじ込むことにより、装着体を前方に押し込むことが行われていた。
【0036】
しかし、この方法によれば、グローブポート本体5は、軸方向において係止部の設置スペースを考慮した長さが必要になる。そこで、本参考例では、押し込み治具の脚部を、グローブポート本体5の側面に固定する方法に代えて、図1に示すように、締付リング23に形成される複数のボルト孔24を用いて固定するようにする。すなわち、備え付けボルト26を用いて、押し込み治具の脚部を締付リング23に締着させ、ここを押し込み治具の固定点とする。この方法によれば、グローブポート本体5に係止部を設置する必要がなくなるため、その分、グローブポート本体5の長さを短くできる。
【0037】
(実施形態1)
次に、本発明の第1の実施形態について説明する。以下の実施形態では、グローブボックス1に取り付けられるラージポート本体11を例として説明するが、これに限定されず、例えば、ミドルポート本体、スモールポート本体12、グローブポート本体19などにも適用することができる。なお参考例と同一の構成は同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
図6は、ラージポート本体11にビニールバッグ101を装着する固定具の部分断面図である。図に示すように、まず、ラージポート本体11の内部には、袋状のビニールバッグ101が挿入され、ビニールバッグ101の基端部はラージポート本体11の端部で折り返して、外側から2条のオーリング103で固定されている。そして、このビニールバッグ101をラージポート本体11との間に挟持させるようにして、断面コ字状の円環状のパッキン105が、ラージポート本体11の端部に冠着されている。パッキン105は、ラージポート本体11の内周面に対向する面に全周に渡って1条のリップ107が形成される一方、ラージポート本体11の外周面に当接する端部がラージポート本体11の係止溝と係止されている。さらに、パッキン105は、断面コ字状で円環状の固定環109により冠着されている。
【0039】
このような構成によれば、ビニールバッグ101は、例えば、弾性材料で形成されたパッキン105のリップ107により、ラージポート本体11の内周面に押圧され、内側から密着固定される。また、外周面の係止部においても同様にパッキン105の端部に押圧されて固定される。さらに、パッキン105は、外側から固定環109により全体を押圧されるため、ビニールバッグ101にかかる押圧力を一層強化させることができる。
【0040】
本実施形態によれば、ビニールバッグ101は、ラージポート本体11の内周面に密着固定されるため、ラージポート本体11における汚染物質の付着量および汚染範囲を最小限に留めることができる。なお、固定環109は、所定以上の強度を有する材質として、例えば金属製であることが好ましい。
【0041】
このような構成の固定具を用いる場合のビニールバッグ101の交換作業について図6を参照して説明する。まず、固定環109を取り外し、予めグローブボックス1内に用意された固定環110(点線)をビニールバッグ101(点線)とともに手前側に引き出してパッキン105の内周面を押圧するように固定する。続いて、ビニールバッグ101の端部をめくり、オーリング103までを除染する。除染後、外側から順にオーリング103を取り外すとともに、新規のビニールバッグ101の基端部をラージポート本体11の外周面に形成される溝104に装着する。さらに、新規のビニールバック101の筒部をオーリング103で固定する。次に、固定環110をパッキン105から取り外してグローブボックス1内に戻し、パッキン105をラージポート本体11から取り外す。続いて新規のビニールバッグ101を内側に折り曲げてラージポート本体11の端部に装着するとともに、新規のパッキン105および固定環109を順に冠着させる。なお、既設のビニールバッグ101および既設のパッキン105は、グローブボックス1内に廃棄される。
【0042】
以上述べたように、ビニールバッグ101の交換時において、固定環109に代えて固定環110を内側から装着し、パッキン105を押圧させることにより、パッキン109を取り外した後の気密性低下を抑制することができる。ここで、固定環110は、分割構造とし、組み立て可能な構成とすることが望ましい。
【0043】
(実施形態2)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図7は、本実施形態に係るグローブボックスの固定具の部分断面図である。本実施形態の固定具は、図6のパッキン105を簡単な形状にするとともに、外側から冠着させる固定環をより強固にした構造を有している。まず、ラージポート本体11の端部には、図6と同様、ポート本体11に挿入されたビニールバッグ101の基端部が外側に折り返されてオーリング103により固定されている。そして、ラージポート本体11は、内側からビニールバッグ101を挟持させて円環状のパッキン111が当接される一方、外側から円環状のパッキン115が当接されている。パッキン111は樹脂などからなり、外周面には2条のリップ113が全周に渡って形成されている。パッキン115は、例えば、樹脂製の当接面とこれに添着された支持板との2層構造となり、支持板の外周面には周方向に渡って等間隔でボルト孔が形成されている。さらに、ラージポート本体11の端部には、これらのパッキンが装着された状態で外側から断面コ字状で円環状の固定環117が冠着されている。固定環117の外周面には螺子孔が形成され、この孔からねじ込まれたボルト119がパッキン115のボルト孔に螺合されている。
【0044】
本実施形態においても図6の固定具と同様、ビニールバッグ101は、ラージポート本体11の外周面に加え、内周面からも押圧されて密着固定される。特に、固定環117の外側からボルト119を締め付けることにより、パッキン111および115は固定環117から押圧されるため、ビニールバッグ101にかかる押圧力を一層強化させることができる。
【0045】
(実施形態3)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図8は、本実施形態にかかるグローブボックスの固定具の部分断面図である。図に示すように、本実施形態では、ビニールバッグ101が装着されたラージポート本体11の内周端面に円環状のゴムチューブ121を内接させるようにする。これによれば、例えば、圧縮空気をゴムチューブ121に供給し、ゴムチューブ121の空気圧を適宜調整することにより、ビニールバッグ101をラージポート本体11の内周面に押し付けて密着固定することができる。なお、ゴムチューブ121は、本実施形態の構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0046】
1 グローブボックス
11 ラージポート本体
101 ビニールバッグ
103 オーリング
105 パッキン
109 固定環
121 ゴムチューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グローブボックスに形成された開口に取り付けられた円筒内面を有する筒状体と、該筒状体に挿入された袋体と、該袋体を前記筒状体の内周面に押圧する円環状の第1弾性部材と、前記筒状体の端部で折り返された前記袋体の基端部を前記筒状体の外周面に密着固定する円環状の第2弾性部材と、前記筒状体の端部に脱着可能に設けられ前記第1弾性部材を前記筒状体に押圧する円環状の固定環を備える物品搬入用ポート。
【請求項2】
請求項1に記載の物品搬入用ポートにおいて、
前記固定環は、前記筒状体の外周面に対向する部位を有する断面コ字状に形成され、前記部位に形成された孔に螺合されたボルトを締め付けて前記第1弾性部材を前記筒状体に押圧することを特徴とする物品搬入用ポート。
【請求項3】
請求項1に記載の物品搬入用ポートにおいて、
前記第1弾性部材は、パッキンであることを特徴とする物品搬入用ポート。
【請求項4】
請求項1に記載の物品搬入用ポートにおいて、
前記第1弾性部材は、内部に空気が供給される円環状のチューブであることを特徴とする物品搬入用ポート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−101511(P2009−101511A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27734(P2009−27734)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【分割の表示】特願2005−88041(P2005−88041)の分割
【原出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】(597006470)日本原燃株式会社 (21)
【Fターム(参考)】