説明

物品搬送用トレー

【課題】簡易な構造であるとともに円筒状の搬送物品を安定して収容し、円滑に搬入、搬送および搬出する物品搬送用トレーを提供すること。
【解決手段】搬送物品を搭載する物品搭載部110を有する物品搬送用トレー100であって、物品搭載部110が中央に向かって下り勾配をなして対向配置される一対の溝状傾斜面131より形成される円筒状物品載置部130を備えている物品搬送用トレー100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ライン上を移動する搬送台車に装着されて搬送ラインに沿って搭載された搬送物品を搬送する物品搬送用トレーに関するものであって、特に、搬送物品を搭載する物品搭載部の形状について、搬送物品が移動したり落下したりすることがなく安定して載置されるような形状とした物品搬送用トレーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬入ラインなどから搬送ラインへ搬入された搬送物品を搭載して搬出ラインへ搬送する物品搬送用トレーとして、搬送物品、搬入搬出方式、搬送システムのレイアウトなどに応じた種々なトレー形態を備えた物品搬送用トレーが知られている。
【0003】
このような従来の物品搬送用トレーとして、例えば、図7に示されるように、搬送ラインTL上で搬送物品を搭載して搬送する物品搬送用トレー500とこの物品搬送用トレー500を支持して搬送ラインTLに沿って相互に連結した搬送台車TVとを備えるとともに、物品搬送用トレー500上に搭載された搬送物品の前後方向への落下を阻止するための落下防止用前壁541および落下防止用後壁542を物品搬送用トレー500のセンターラインを跨ぐ前方部位と後方部位に設けて、一対のレールRを張設した搬送ラインTLの側方域に直交配置もしくは斜交配置されたベルトコンベヤなどからなる搬入ラインから搬送ラインTLへ向けて搬入された搬送物品を、同じく搬送ラインTLの側方域に直交配置もしくは斜交配置したベルトコンベヤ、シュートなどからなる搬出ラインに搬出するまで、物品搭載部510に搭載して搬送する物品搬送用トレー500が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−326712号公報(特許請求の範囲、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような従来の物品搬送用トレー500では、搬送物品を搭載する物品搭載部510の底面が両側から中央に向けてなだらかに下る斜面状に形成されている。また、搭載した搬送部品の落下を阻止する落下防止用前壁541および落下防止用後壁542が、物品搬送用トレー500の前後方向端部にセンターラインを跨ぐ前方部位と後方部位に設けられている。
このような物品搬送用トレー500では、通常、搬入側では搬送方向と直行する側方から搬送物品を滑りこませて物品搭載部に搭載し、搬出側では物品搬送用トレー500を搬出側に傾倒して搭載していた搬送物品を搬出するものであり、搬送物品を搬入、搬出する際の搬送物品の角度や搬送ラインにおける左右への屈曲部の曲率などの条件から、物品搭載部510は水辺面に対してせいぜい5°乃至10°程度に中央に向かってなだらかに下り傾斜として形成されていて、また、前後方向についてはほぼ水平な物品搭載部510とされていた。
このような物品搭載部510は、搬送物品が角形などの転がるようなことのない形状である場合には、物品搭載部510への搬送物品の搬入、搬出がスムーズに行われて、物品搬送用トレー500上に搭載されて搬送される途上では物品搭載部510に搬送物品が載置されて移送され、搬送過程において時折発生する搬送台車TVの始動、停止などの際に発生する前後方向の加速度に対しては、物品搬送用トレー500の前後に設けた落下防止用前壁541または落下防止用後壁542により搭載された搬送物品の落下を阻止するので、搬送物品が落下することなく安定して搬送することができるものであった。
【0006】
ところが、搬送物品が円筒状であったり、また部分的に円筒状の表面を有していて、それ自身転動する属性を有するものである場合には、円筒状の搬送物品を、移送方向を軸方向として搬送物品を転動させて物品搬送用トレー500に搬入すると、搬入した搬送物品が物品搬送用トレー500の反対側に飛び出してしまい危険であるという問題があった。
また、搬送物品の搬入時に物品搬送用トレー500から搬送物品が転がり落ちないように、円筒状の搬送物品を移送方向と直行する方向を軸方向として長手方向に滑り込ませるようにすると、搬送物品の搬入時には落下することなく搬入して物品搭載部510に搭載することはできるものの、物品搬送用トレー500の物品搭載部510において搬送物品が転動しながら搬送されることとなるため、搬送台車TVの始動、停止時などに前後方向の加速度が発生すると、物品搭載部510に搭載された搬送物品が相互に、あるいは物品搬送用トレー500の側面や前壁、後壁とぶつかり、搬送物品を損傷する虞があるという問題があった。
【0007】
さらに、搬送物品が物品搬送用トレー500上において搭載される位置が固定されず不安定なため、搬出時において搬送物品が物品搬送用トレー500から搬出される位置が一定せず、搬出側で搬送部品の受け入れ位置を再調整する等の付帯的作業が生じ円滑な搬出作業に支障をきたす、という問題があった。
以上のように、従来の物品搬送用トレー500は、本来円筒状の物品の搬送には不向きなものであり、あえて円筒状の物品を搬送しようとする場合には、物品搬送用トレー500上に円筒状物品専用トレーを載置した上で当該円筒状物品専用トレー上に円筒状の搬送物品を載置する、あるいは、円筒状物品を収容した直方体状の円筒状物品ユニットを一つの搬送物品のようにして取り扱って搬送するというように、円筒状物品専用トレーの着脱作業あるいは円筒状物品ユニットを形成する作業などが必要となった。
したがって、円筒状物品を搬送する場合には、円滑に搬送物品を搬入、搬送および搬出するというトレー型搬送ラインを導入した本来の目的に反して煩雑な作業が必要となってしまう、という問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、
簡易な構造であるとともに円筒状の搬送物品を安定して収容し、円滑に搬入、搬送および搬出する物品搬送用トレーを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本請求項1に係る発明は、搬送物品を搭載する物品搭載部を有する物品搬送用トレーであって、前記物品搭載部が中央に向かって下り勾配をなして対向配置される一対の溝状傾斜面より形成される円筒状物品載置部を備えていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0010】
本請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記物品搬送用トレーが搬送ラインを移動する搬送台車に装着されて前記物品搭載部に搭載した搬送物品を搬送ラインに沿って搬送するものであって、前記搬送ラインが搬送方向の側方から搬送物品を搬入する搬入ラインおよび/または搬送方向の側方に搬送物品を搬出する搬出ラインを備え、前記円筒状物品載置部の溝状傾斜面が搬送方向と直交する方向に配設されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0011】
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の構成に加えて、前記物品搭載部の後方に前記円筒状物品載置部が配設されて、該円筒状物品載置部の後端に落下防止用後壁が設けられていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0012】
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに係る発明の構成に加えて、前記物品搬送用トレーが板状材料を一体に成形したものであることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0013】
本請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに係る発明の構成に加えて、前記円筒状物品載置部が前記物品搭載部に対し着脱自在であって、それぞれ異なる形状または寸法の円筒状搬送物品を載置する複数種の円筒状物品載置部が物品搭載部に選択的に装着されることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0014】
そこで、本請求項1に係る発明によれば、搬送物品を搭載する物品搭載部を有する物品搬送用トレーであって、物品搭載部が中央に向かって下り勾配をなして対向配置される一対の溝状傾斜面より形成される円筒状物品載置部を備えていることにより、搬入された円筒状の搬送物品が物品搭載部の円筒状物品載置部を形成する互いに向き合う一対の溝状傾斜面の上で4点において安定して支持されて搬送中に物品搭載部において転動移動することがないため、物品搬送用トレーに載置された搬送部品が物品搬送用トレーの側壁部や他の搬送物品などと衝突したり搬送中に物品搭載部中を転動して落下したりする虞が大幅に減殺されて搬送部品の損傷をほとんど無として安定した状態で搬送することができるとともに、物品搬送用トレーの中で固定した位置に円筒状の搬送物品を位置させるため、搬入または搬出位置がばらつくことなく安定して搬送物品を移載することができる。
【0015】
次に、本請求項2に係る発明の物品搬送用トレーによれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、物品搬送用トレーが搬送ラインを移動する搬送台車に装着されて物品搭載部に搭載した搬送物品を搬送ラインに沿って搬送するものであって、搬送ラインが搬送方向の側方から搬送物品を搬入する搬入ラインおよび/または搬送方向の側方に搬送物品を搬出する搬出ラインを備え、円筒状物品載置部の溝状傾斜面が搬送方向と直交する方向に配設されていることにより、円筒状物品載置部を構成する溝状傾斜面に案内される円筒状の搬送物品が搬送方向と直交する方向を軸とする姿勢で当該軸方向に滑り移動して搬入または搬出されて搬送物品が搬送過程において転がり移動することないので、搬入時に搬送物品が勝手に転動移動して側方に落下してしまうことがなく、また搬出時にも軸方向に滑り出て行き勝手に転がり出してしまうこともないため、搬出、搬入において搬送物品の移動位置および移動方向が安定して搬出・搬入動作を円滑に遂行することができる。
【0016】
本請求項3に係る本発明の物品搬送用トレーによれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、物品搭載部の後方に円筒状物品載置部が配設されて、円筒状物品載置部の後端に落下防止用後壁が設けられていることにより、物品搬送用トレーの前方部分には別の搬送物品を載置して搬送して物品搬送用トレーを円筒状の搬送物品のみの専用とせずに他の搬送物品の搬送をもあわせて搬送する汎用のものとしたため、例えば、搬送ラインにおいて搬送物品を変更する度に物品搬送用トレーを交換する必要がなく、一つの物品搬送用トレーを共用して多様な搬送物品を搬送するというように、物品搬送用トレーまたは当該物品搬送用トレーを装着した搬送ラインを柔軟に作業性よく運用することができる。
また、後方に配設された円筒状物品載置部に搭載された円筒状の搬送物品が、搬送中に何らかの後方への加速度を受けたとしても、当該加速度により移動しようとする円筒状の搬送物品を後端に設けられた落下防止用後壁に当接して確実に落下を阻止するため、円筒状の搬送部品が落下することなく安全に物品搬送用トレーに保持することができる。
【0017】
本請求項4に係る発明の物品搬送用トレーによれば、請求項1乃至請求項3のいずれかに係る発明が奏する効果に加えて、物品搬送用トレーが板状材料を一体成形して形成されたものであることにより、物品搬送用トレーを板状体のプレス成形などにより安価で大量生産に好適なものとなるため、円筒状の搬送物品を搭載できるという付加機能を備える物品搬送用トレーを低コストで効率よく生産することができる。
【0018】
本請求項5に係る発明の物品搬送用トレーによれば、請求項1乃至請求項4のいずれかに係る発明が奏する効果に加えて、円筒状物品載置部が物品搭載部に着脱自在であり、それぞれ異なる寸法または形状の円筒状の搬送物品を載置する複数種の円筒状物品載置部が物品搭載部に選択的に装着されることにより、円筒状の搬送物品の形状または大きさに応じた寸法の円筒状物品載置部を適宜交換して使用することでいっそう幅広い形態の円筒状物品を載置して搬送するため、物品搬送用トレーまたは当該物品搬送用トレーを装着した搬送ラインをより多様な搬送物品を搭載、移送可能なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施例である物品搬送用トレー100の斜視図。
【図2】図1に示す物品搬送用トレー100の平面図。
【図3】図1に示す物品搬送用トレー100の(a)側面図、および(b)A−A断面図。
【図4】図1に示す物品搬送用トレー100の(a)前方側面図、および(b)B−B断面図。
【図5】図1に示す物品搬送用トレー100の(a)後方側面図、および(b)C−C断面図。
【図6】本発明の第2実施例である物品搬送用トレー200の斜視図。
【図7】従来の物品搬送用トレー500を使用した搬送ラインTLの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の物品搬送用トレーは、搬送物品を搭載する物品搭載部を有する物品搬送用トレーであって、物品搭載部が中央に向かって下り勾配をなして対向配置される一対の溝状傾斜面より形成される円筒状物品載置部を備えていて、簡易な構造であるとともに円筒状の搬送物品を安定して収容し、円滑に搬入、搬送および搬出するものであれば、その具体的な態様はいかなるものであっても構わない。
【0021】
例えば、本発明の物品搬送用トレーは、物品搭載部を水平に維持して搬送物品を搬送ラインに沿って搬送するものであれば、水平な搬送域にレイアウトされた水平回り搬送ライン、上り搬送状態や下り搬送状態を呈するようにレイアウトされた三次元搬送ラインなどのいずれの搬送ラインに用いても何ら構わない。
【0022】
本発明の物品搬送用トレーに形成される落下防止用の壁部は、物品搬送用トレー本体の前端部または後端部において幅方向で中央部を跨って設けるものであり、物品搬送用トレーを移動させる搬送台車が搬送ラインにおいて適宜に起動若しくは停止することがある場合、または上り勾配若しくは下り勾配の搬送路が存在する場合などで前後何れにも落下する可能性もあるときに、物品搬送用トレーの前端部および後端部の双方に設けて落下に備えるのが相当であるが、例えば、水平な搬送エリアにレイアウトされた水平回り搬送ラインなどででは、トレー本体の前方部位あるいは後方部位の円筒状物品載置部側のように搭載物品が落下しやすい側に設けるだけでも足り、また、搬送速度が充分遅い場合には、前後とも落下防止用壁を設けなくとも構わない。
また、搬送ラインTLにおける物品搬送用トレーの搬送方向は、搬送ラインの前方、後方いずれであっても何ら構わない。
【0023】
さらに、本発明の物品搬送用トレーは、基本的に一枚の板状材料からプレス成形などの方法により一体に成形されているが、その材料としては、金属材料のみならずエンジニアリングプラスチックのような合成樹脂材料であっても構わず、合成樹脂材料の場合にはプレス成形のみならず、熱成形、射出成形などの方法で一体に製造してもよい。
また、円筒状物品載置部のような特定の搬送物品載置部分についてのみ別部材として搬送物品の寸法、形状に応じて異なる複数種類の搬送物品載置部を準備しておき、これを適宜に選択して装着するようにして、共通の物品搬送用トレーにより搬送可能な搬送物品の種類をさらに多様なものとしてもよい。
【0024】
本発明の物品搬送用トレーを装着する搬送台車の具体的形態については、物品搬送用トレーを支持した状態で搬送ラインに沿って搬送させるものであれば良く、例えば、搬送台車を搬送トレー支持体とし、その支持体前方部と支持体後方部が搬送ラインに並列敷設された一対のレールを挟む2つのローラユニット間に跨がって取り付けられるもの、あるいは、物品搬送用トレーを支持して装着するリンクフレームで構成されて当該リンクフレームが関節ブロックを介して搬送方向に回動自在に相互に連結されて垂直曲がりと水平曲がりとでレイアウトされる三次元搬送ラインを左右のローラで走行するもののいずれであっても差し支えない。
【実施例】
【0025】
以下、本発明の第1実施例である物品搬送用トレー100を図1乃至図5に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の第1実施例である物品搬送用トレー100の斜視図であり、図2は、図1に示す物品搬送用トレー100の平面図であり、図3は、図1に示す物品搬送用トレー100の(a)側面図、およびA−A断面図であり、図4は、図1に示す物品搬送用トレー100の(b)前方側面図および(b)B−B断面図であり、図5は、図1に示す物品搬送用トレー100の(a)側面図および(b)C−C断面図であり、図6は、本発明の第2実施例である物品搬送用トレー200の斜視図である。
【0026】
図1に示すように、本発明の第1実施例である物品搬送用トレー100は、全体としてほぼ四角形の平板状の形状を呈するものであり、移送方向で前方側端部には落下防止用前壁141が、また、同後方側端部には落下防止用後壁142が、それぞれ設けられている。
落下防止用前壁141と落下防止用後壁142との間に、搬送物品を搭載する搬送物品搭載部110が設けられていて、当該搬送物品搭載部110は、物品載置部120と円筒状物品載置部130との2つの部分から構成されている。
【0027】
物品載置部120は、図1乃至図4に示されるように、主に直方体形状、立方体形状あるいは板状のような通常の搬送物品を載置して搬送する部分であり、物品載置部は120は、図4(b)に示されるように、中央軸線に沿って設けられた中央縦溝121の両側に、中央縦溝121に向かって緩やかに下り勾配に傾斜して形成された一対の物品載置面122を備えている。
また、物品載置面122には適宜に凹凸が形成されていて、載置された搬送物品が物品載置面122に貼りついて搬送物品の搬出に支障をきたすことがないようにしている。
なお、中央溝部121には、光反射テープなど照射された光線を反射する部材が貼着されていて、搬送ラインTL上の適宜箇所に設置されたレーザスキャナ等と協働して物品載置部110に搬送物品が存在するか否かを判別して、搬送ラインTL上での物品の移送状態を監視するようになっている。
【0028】
円筒状物品載置部130は、図において矢印で示される搬送方向に対して直交する方向を軸とする左右一対のV字状を呈する溝状傾斜面131を備えていて、図1乃至図3、特に図3(b)に顕著に示されるように、左右の溝状傾斜面131は、それぞれ2つの支持傾斜面132を向かい合わせに配置して構成される。左右の溝状傾斜面131は、図5(b)に示されるように、左右両側から中央に向かって緩やかな下り勾配をとなるように設置されていて、溝状傾斜面131の中央部が最も深くなっている。
このような構造の円筒状物品載置部130において、収容される円筒状の搬送物品は、その軸方向の端部において各支持傾斜面132のそれぞれと点接触して都合4点により支持されるので、円筒状物品載置部130において転動することはない。
【0029】
なお、物品載置部120および円筒状物品載置部130には、ボルト等を挿通して固定するボルト留め部150が設けられていて、当該ボルト留め部150にボルト等の固着具を挿通して、下方に配置される搬送台車TVの支持アームに固定される。
また、物品載置部120または円筒状物品載置部130における中央部に向かう下り勾配の角度は、搬送ラインTLを運ばれる間に左右へカーブする際には搬送物品に遠心力が作用しても搬送物品が飛び出さない程度に、また、搬出時に搬送物品に適度な滑り出し速度が生ずるように、ほぼ5°乃至10°程度の浅い角度とされている。
【0030】
搬送台車TVに装着された物品搬送用トレー100は、図7に示されるような、従前と同様の搬送ラインTL上を移動し、搬送ラインTL側方の適宜箇所に設けられた搬入ラインから搬入される搬送物品を搬送物品載置部110に受け入れて搬送し、同様に搬送ラインTL側方の適宜箇所に設けられた搬出ラインへ搬送物品を搬出する。
通常は、搬出ラインが延出する位置において、搬送ラインTL上の物品搬送用トレー100が側方に傾動されて、物品搭載部110に搭載されていた搬送物品が滑り出して搬出ラインに移載される。
搬出動作時に、物品搬送用トレー100が傾動されると、円筒状物品載置部130に載置されていた搬送物品は溝状傾斜面131に沿って軸方向に搬出されるので、円筒状の搬送物品は転がることなく軸方向に滑りながら移動する。
したがって、搬送物品はいつでも溝状傾斜面131のV字谷部133の端部から搬出されるので、円筒状の搬送物品の搬出位置が前後にばらつくことはなく、一定の位置から軸方向に滑り出されるので、搬送物品が転がり出て搬出位置以外のところに落下する虞が著しく減殺される。
【0031】
以上のようにして得られた本第1実施例である物品搬送用トレー100は、物品搭載部110が、中央に向かって下り勾配をなして対向配置される一対の溝状傾斜面131より形成される円筒状物品載置部130を備えていることにより、簡便な構造であるとともに円筒状の搬送物品を安定して収容し、円滑に搬入、搬送および搬出することができるとともに、当該物品搬送用トレー100が搬送ラインTLを移動する搬送台車TVに装着されて物品搭載部110に搭載した搬送物品を、搬送方向の側方から搬送物品を搬入する搬入ラインおよび/または搬送方向の側方に搬送物品を搬出する搬出ラインを備えた搬送ラインTLに沿って搬送するものであって、円筒状物品載置部130の溝状傾斜面131が搬送方向と直交する方向に配設されることで物品搬送用トレー100への搬入時にも搬出時にも円筒状の搬送物品を転がり移動させることなく軸方向に滑り移動させて、安定した姿勢および状態で搬送物品を移載することができるなど、その効果は甚大である。
【0032】
次に、本発明の第2実施例である物品搬送用トレー200について、図6を参照して以下に説明する。
図6は、本発明の第2実施例である物品搬送用トレー200の斜視図である。
本第2実施例の物品搬送用トレー200は、前述した第1実施例の物品搬送用トレー100において、円筒状物品載置部230を着脱自在とし、円筒状物品載置部230として異なる形状または寸法に対応できる複数種のものを準備しておき、これら複数の円筒状物品載置部230を適宜に選択して装着するようにしたものであり、第1実施例の物品搬送用トレー100と共通する部分については下2桁を共通した200番代の符号を付して記載し、共通する部分についての詳細な説明は省略する。
【0033】
第2実施例の物品搬送用トレー200では、円筒状物品載置部230の部分が物品搬送用トレー200の本体と着脱自在に装着されるようになっている。
具体的には、物品搬送用トレー200の本体は、円筒状物品載置部230の箇所だけ開口部または凹部として、当該開口部または凹部に、別体として形成された円筒状物品載置部を、例えば上方から載せてボルト留め部250のみ共通に固定するというように、全体として一つの物品搬送用トレー200となるものである。
【0034】
このように円筒状物品載置部230を別の部材としたことにより、例えば搬送物品の径に応じて複数種類の円筒状物品載置部230を準備しておき、実際に搬送する搬送部物品の大きさに応じて、溝状傾斜面131の傾斜角を異にするか搬送方向の幅を異にする円筒状物品載置部230を装着して使用するようにすれば、物品搬送用トレー200により、より多様な寸法の搬送物品を載置して搬送することができる。
もちろん、円筒状の搬送物品の径だけではなく軸方向の長さに応じて、溝状傾斜面231の長さを変更したり、一方の溝状傾斜面231のみとして他方の半面を平板状の物品載置部としたりするなど、種々の変形が可能である。
【0035】
このようにして得られた本発明の第2実施例である物品搬送用トレー200は、円筒状物品載置部230が物品搭載部210に着脱自在であるとともに、それぞれ異なる形状または寸法の円筒状の搬送物品を載置する複数種の円筒状物品載置部230が物品搭載部210に選択的に装着されることにより、前述した第1実施例である物品搬送用トレー100の奏する効果に加えて、円筒状物品載置部230を搬送する搬送物品の形態に応じて適宜に選択して装着して円筒状物品載置部230に搭載する搬送物品をいっそう多様なものとするので、物品搬送用トレー200によりより一層多種多様な搬送物品を搬送することができて、物品搬送用トレー200または当該物品搬送用トレー200を装着した搬送ラインTLを柔軟に作業性よく運用することができるなど、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0036】
100、200 ・・・ 物品搬送用トレー
110、210 ・・・ 物品搭載部
120、220 ・・・ 物品載置部
121、221 ・・・ 中央溝部
122、222 ・・・ 物品載置面
130、230 ・・・ 円筒状物品載置部
131、231 ・・・ 溝状傾斜面
132、232 ・・・ 支持傾斜面
133、233 ・・・ V字谷部
141、241 ・・・ 落下防止用前壁
142、242 ・・・ 落下防止用後壁
150、250 ・・・ ボルト留め部
500 ・・・ 物品搬送用トレー
510 ・・・ 物品搭載部
541 ・・・ 落下防止用前壁
542 ・・・ 落下防止用後壁
TL ・・・ 搬送ライン
TV ・・・ 搬送台車
R ・・・ レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物品を搭載する物品搭載部を有する物品搬送用トレーであって、
前記物品搭載部が、中央に向かって下り勾配をなして対向配置される一対の溝状傾斜面より形成される円筒状物品載置部を備えていることを特徴とする物品搬送用トレー。
【請求項2】
前記物品搬送用トレーが搬送ラインを移動する搬送台車に装着されて前記物品搭載部に搭載した搬送物品を搬送ラインに沿って搬送するものであって、
前記搬送ラインが搬送方向の側方から搬送物品を搬入する搬入ラインおよび/または搬送方向の側方に搬送物品を搬出する搬出ラインを備え、
前記円筒状物品載置部の溝状傾斜面が搬送方向と直交する方向に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送用トレー。
【請求項3】
前記物品搭載部の後方に前記円筒状物品載置部が配設されて、該円筒状物品載置部の後端に落下防止用後壁が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品搬送用トレー。
【請求項4】
前記物品搬送用トレーが、板状材料を一体に成形したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の物品搬送用トレー。
【請求項5】
前記円筒状物品載置部が前記物品搭載部に着脱自在であって、それぞれ異なる形状または寸法の円筒状の搬送物品を載置する複数種の円筒状物品載置部が物品搭載部に選択的に装着されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の物品搬送用トレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−131618(P2012−131618A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285939(P2010−285939)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)