説明

物品陳列構造

【課題】予め陳列用什器や壁面の陳列棚に照明装置を組み込んでおかなくても、全体の陳列構成をみながら、バランスよく照明効果を演出することのできる物品陳列構造を提供する。
【解決手段】陳列用什器の背面部に棚板14が多段に取り付けられ、各棚板14に物品を陳列して陳列面が構成された陳列構造において、上記棚板14の正面板40aに照明装置80が着脱自在に取り付けられ、同じく棚板14の下面に照明装置81が着脱自在に取り付けられている。そして、上記照明装置80、81は互いに電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品等の各種物品を店頭に陳列するための物品陳列構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、化粧品販売店等において、多種多様な化粧品、テスター等の物品を店頭に効率よく陳列するために、多段に棚板を設けた専用の陳列用什器が多く用いられている。このような陳列用什器の場合、各棚板上の物品を明るく照らすために、例えば、各棚板を透明アクリル板で形成し、その最上段から下向きに照明を照らすとともに、その最下段から上向きに照明を照らすことが行われている(特許文献1を参照)。
【0003】
また、このような照明方法では、上段部や下段部の陳列品は明るく照らされても、中段部の陳列品まで充分に照明の光が届きにくいことから、各棚板の下面にも、照明装置を組み込んで、その下の棚板上の陳列品を照らすようにした陳列用什器も提案されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−103351号公報
【特許文献1】特開2001−299522公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、陳列用什器のどの部分に照明装置を配置するにしても、従来の方法では、物品の陳列に先立って什器のフレームや棚板に照明装置を組み込んでおく必要があるため、実際に物品を陳列した後、いざ照明を点灯してみると、陳列された物品への照明効果が不充分に感じられる場合や、逆にそこまで明るくなくてもよいと思われる場合があり、問題となっている。
【0006】
また、照明装置の光源を交換する等のメンテナンス作業を行う場合、その都度、作業の邪魔になる陳列物品を取り除く必要があり、煩雑な手間を要するという問題もある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、予め陳列用什器や壁面の陳列棚に照明装置を組み込んでおかなくても、全体の陳列構成をみながら、バランスよく照明効果を演出することのできる物品陳列構造の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は、壁面もしくは陳列用什器の背面部に、陳列用棚板もしくは陳列用専用トレイが多段に取り付けられ、各棚板もしくは専用トレイに物品を陳列して陳列面が構成された陳列構造において、上記棚板もしくは専用トレイの正面部、下面部および左右の側面部の少なくとも二面部に、下記の照明装置(A)が、各面ごとに着脱自在に取り付けられ、取り付けられた各照明装置(A)が互いに、その接続コードを介して電気的に接続されている物品陳列構造を第1の要旨とする。
(A)略棒状の本体部と、その長手方向に沿って帯状に延びる発光部と、上記本体部の両端部からそれぞれ外側に延びる通電用の接続コードとを備え、上記本体部が、上記発光部を外向きにして、上記棚板もしくは専用トレイの所定の部位に着脱自在に取り付けられるようになっている照明装置。
【0009】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記陳列用棚板もしくは陳列用専用トレイの、少なくとも上記照明装置(A)を取り付ける部分が金属材料で形成されており、上記照明装置(A)の、上記取り付け部分への当接部に磁石が設けられている物品陳列構造を第2の要旨とし、上記陳列用棚板もしくは陳列用専用トレイの、上記照明装置(A)を取り付ける部分に、照明装置(A)の下部を上向きに支受する支受縁が延設されている物品陳列構造を第3の要旨とする。
【0010】
さらに、本発明は、それらのなかでも、特に、上記照明装置(A)の発光部が、長手方向に所定間隔で並ぶLEDを発光源とするものである物品陳列構造を第4の要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の物品陳列構造によれば、略棒状の本体部の長手方向に沿って帯状に延びる発光部を備えた照明装置(A)が、陳列用棚板や陳列用専用トレイの正面部、下面部、左右側面部の少なくとも二面部に、それぞれ着脱自在に取り付けられ、かつ取り付けられた各照明装置が、その両端部から延びる接続コードを介して互いに電気的に接続されているため、陳列構造を正面からみた場合に、各段の仕切りとなる棚板や専用トレイの所定の面に沿って、照明装置(A)の発光部が帯状に光るようになっている。したがって、この物品陳列構造によれば、上記照明の光によって陳列にめりはりがでてアイキャッチ効果が高いものとなる。しかも、上記照明装置(A)は、棚板や専用トレイに物品を陳列した後に、物品の陳列に供していない面を利用して取り付けることができるため、その陳列物品の種類や陳列形態に応じた、バランスのよい照明を実現することができる。
【0012】
そして、この物品陳列構造によれば、照明装置(A)を、簡単に棚板や専用トレイから外すことができるため、メンテナンス作業を容易に行うことができる他、陳列物品の種類や陳列形態の変化に応じて、その都度、簡単に照明の配置替えをすることができる。
【0013】
そして、本発明のなかでも、特に、上記陳列用棚板もしくは陳列用専用トレイの、少なくとも上記照明装置(A)を取り付ける部分が金属材料で形成されており、上記照明装置(A)の、上記取り付け部分への当接部に磁石が設けられているものは、照明装置(A)を着脱自在に取り付けるための部材を、上記棚板やトレイ側に設けたり、照明装置(A)側に設けたりする必要がなく、手軽に照明装置(A)の着脱を行うことができて好適である。
【0014】
また、そのなかでも、特に、上記陳列用棚板もしくは陳列用専用トレイの、上記照明装置(A)を取り付ける部分に、照明装置(A)の下部を上向きに支受する支受縁が延設されているものは、陳列物品を顧客が手にとる場合等に、照明装置(A)に手が触れたり、棚板等が揺れたりしても、照明装置(A)がずれたり落下したりすることがなく、好適である。
【0015】
さらに、本発明のなかでも、特に、上記照明装置(A)の発光部が、長手方向に所定間隔で並ぶLEDを発光源とするものは、照明による発熱が少ないため、熱に敏感な物品を陳列しても、物品への熱的な影響がなく好ましい。しかも、LEDは、光の色や強さを調整しやすいため、印象的な照明効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態である物品陳列構造を適用した陳列用什器を示す外観斜視図である。
【図2】上記陳列用什器の分解斜視図である。
【図3】上記陳列用什器のベース部を示す正面図である。
【図4】上記陳列用什器に用いられる物品陳列用棚板の分解斜視図である。
【図5】上記物品陳列用棚板に照明装置を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】(a)は図5のA−A′断面図、(b)はその変形例を示す断面図である。
【図7】上記実施の形態に用いられる照明装置の説明図である。
【図8】(a)、(b)は、ともに照明装置の他の取り付け方を示す説明図である。
【図9】照明装置のさらに他の取り付け方の説明図である。
【図10】本発明の他の実施の形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
つぎに、本発明を実施するための実施の形態について説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明を、化粧品とそのテスターの陳列に適用するために用いられる陳列用什器の一実施の形態を示している。
【0019】
この陳列用什器は、図2に示すように、箱状の基台部11とその奥端から垂立する背面部12とを備えたベース部13に、大きさの異なる3種類の物品陳列用棚板14、15、16を各2枚ずつと、略箱状の物品情報ユニット17と、蛍光灯が内蔵された照明ユニット18とを、着脱自在に取り付けることによって構成されている。
【0020】
より詳しく説明すると、上記ベース部13の基台部11には、化粧品の商品やテスターをストックするための引き出し10が左右2個設けられており、その正面開口が、蝶番19(図3参照)を介して開閉自在に取り付けられた扉20によって隠されるようになっている。
【0021】
また、上記基台部11の奥端から垂立する背面部12には、棚板取り付け用のレール22〜25が、左右に4本、所定間隔で並んだ状態で、背面部12を構成するパネル12aの間に挟持されている。レール22〜25は、それぞれ四角筒状で、その正面を向いた面に、棚板を係合させるための係合部として、縦長の切欠き穴21が上下方向に所定ピッチで形成されている。ただし、これらのレール22〜25のうち、左右両端に設けられるレール22、25は、上下に並ぶ切欠き穴21の列が1本の単レールであり、内側の2本のレール23、24は、上下に並ぶ切欠き穴21の列が2本の複レールである。したがって、向かって右端のレール22と、内側のレール23の右半分が、「左右一対のレール」として、背面部12の向かって右側に取り付けられる物品陳列用棚板14、15との係合に用いられるようになっている。また、内側のレール23の左半分と、その左側のレール24の右半分が、同じく「左右一対のレール」として、背面部12の中央に取り付けられる物品情報ユニット17との係合に用いられるようになっている。さらに、上記レール24の左半分と、左端のレール25とが、「左右一対のレール」として、背面部12の向かって左側に取り付けられる物品陳列用棚板14、15との係合に用いられるようになっている。なお、幅広の物品陳列用棚板16は、左右両端のレール22、25の切欠き穴21に係合して取り付けられるようになっている。
【0022】
また、前記照明ユニット18には、その下面の左右両端から下向きに、連結軸30が突出形成されており、この連結軸30を、背面部12の左右両端のレール22、25の上端開口に差し込むことによって、照明ユニット18が、背面部12の上端部に固形されている。
【0023】
一方、3種類の物品陳列用棚板(以下「棚板」と略す)14、15、16は、寸法に違いはあるものの、いずれも基本的な構成は同じであることから、その構成を、背面部12の左右の最上段に取り付けられる棚板14を例にとって説明する。
【0024】
すなわち、上記棚板14は、その分解斜視図である図4に示すように、平面視略四角枠状の枠体40と、上記枠体40上に、前後2個所でねじ留めされることによって、交換可能に取り付けられる物品載置板41とで構成されている。
【0025】
上記枠体40は、全体が、黒色に塗装された金属板からなり、具体的には、左右の枠辺42、43が、打ち抜き成形された厚み2mmのステンレス板で構成され、前後の枠辺44、45が、厚み1mmのステンレス製角パイプで構成されている。そして、上記左右の枠辺42、43の後端部には、上記背面部12のレール22等の切欠き穴21(図3参照)と係合して枠体40を固定するための、独特の凹凸形状を有する被係合部50が、それぞれ後方に突出形成されている。
【0026】
そして、上記枠体40の、前側の枠辺44の前端面には、横長帯状の正面板40aが設けられており、この部分に、後述する略棒状の照明装置80が取り付けられるようになっている。また、この部分を利用して、陳列物品に関するPOP等を取り付けることもできるようになっている。
【0027】
また、上記枠体40の上に取り付けられる物品載置板41は、厚み1mmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)シートからなり、上記枠体40の開口を上から塞ぐ水平面部51と、その前端部、後端部のそれぞれにおいて幅方向に延びる立ち上がり部52、53とを備えている。
【0028】
なお、54は、枠体40側に設けられるねじ穴であり、55は、物品載置板41側に設けられるねじ固定用の貫通穴である。
【0029】
したがって、上記枠体40に、物品載置板41をねじ固定した状態で、枠体40の左右の後端部に設けられた被係合部50を、前記背面部12側の切欠き穴21と係合させることにより、背面部12に対し水平に棚板14を取り付けることができる(図1参照)。
【0030】
また、上記棚板14の下に取り付けられる棚板15は、図2に示すように、左右の枠辺(棚板14の42、43に相当)の長さが棚板14より長く設定されており、その下の、上下二段に取り付けられる棚板16は、ともに、左右の枠辺の長さが上記棚板15よりさらに長くなっている。しかも、上記棚板16は、その左右の枠辺の間隔、すなわち棚板16の左右の幅が大幅に広くなっており、この陳列用什器の背面部12の左右両端のレール22と25に係合することにより、背面部12に取り付けられるようになっている。
【0031】
さらに、背面部12の中央に取り付けられる物品情報ユニット17は、図2に示すように、傾斜した前面を有する略箱形状の本体部60と、その内側に組み込まれる画像表示手段とを備え、本体部60の前面中央に位置決めされた、上記画像表示手段の画像表示部62によって、陳列商品に関する情報を画像として顧客に提供するようになっている。そして、上記画像表示部62の下には、物品情報が表示されたリーフレット63を保持するホルダー部64が設けられており、上端部には、三面鏡65が取り付けられている。
【0032】
なお、上記本体部60の奥端面は、取り外し自在な背板61によって構成されており、その左右両端に、陳列用什器の背面部12側の切欠き穴21(図3参照)と係合しうる被係合部70(棚板14の被係合部50の先端部と同一形状、図4参照)が、上下2個ずつ突出形成されている。
【0033】
したがって、上記背板61を、本体部60の奥端面として取り付けた状態で、その被係合部70を、上記背面部12側の切欠き穴21と係合させることにより、背面部12の中央に、物品情報ユニット17を安定した状態で取り付けることができる(図1参照)。
【0034】
そして、上記陳列用什器を用いて各棚板14〜16に化粧品やテスター等の物品を陳列した後、各棚板14〜16を利用して、その正面部と下面部に、各段の陳列物品を照らす照明装置80、81を取り付けることにより、目的とする物品陳列構造を得ることができる。
【0035】
上記照明装置80、81の取り付け方を、図4、図5を用いて説明する。すなわち、棚板14の正面板40aに、棒状(具体的にはやや平たい四角柱状)の第1の照明装置80が、その長手方向に沿って取り付けられるようになっている。また、上記枠辺44の下面にも、同一形状の第2の照明装置81が、やはり長手方向に沿って取り付けられるようになっている(図5のA−A′断面図である図6〔a〕参照)。
【0036】
上記照明装置80、81は、図7に示すように、左右方向に細長く延びる、レール状の金属製の本体部88内に、多数のLED84が長手方向に所定間隔で並んで搭載された帯状基板83を取り付け、そのレール状開口部を、同じくレール状の透明プラスチック製カバー82で覆った構成になっている。
【0037】
なお、85は、上記帯状基板83の左右両端部からそれぞれ外側に延びる接続コードで、その先端に連結用のコネクタ86、86′(図4参照)が一体的に取り付けられている。上記コネクタ86、86′は、互いに対になっており、両者を嵌合させることによって、接続コード85同士を電気的に接続することができるようになっている。この例では、照明装置80の一端側の接続コード85と、照明装置81の他端側の接続コード85とを接続することにより、照明装置80、81を直列的に連結している。
【0038】
また、上記照明装置80、81の各本体部88の背面には、その背面と略同形状の帯状磁石90が取り付けられており、この帯状磁石90の磁力によって、各照明装置80、81が、棚板14の枠体40に、着脱自在に取り付けられるようになっている。
【0039】
なお、棚板15にも、同様の照明装置80、81が、棚板14の場合と同様にして取り付けられるようになっている。また、棚板16にも、棚板16の幅に合わせて寸法が長く設定された照明装置が、同様にして取り付けられるようになっている(これらの図示を省略)。そして、各棚板14〜16に取り付けられた各照明装置80等は、互いの接続コード85を直接、もしくは他の接続コードを介在させることにより、互いに電気的に接続されており、全体のうちの一端を電源スイッチに接続し、その電源スイッチをオン、オフすることにより、全照明装置80、81等による照明を、一括して点灯もしくは消灯することができるようになっている。また、各照明装置80等を互いに接続する接続コード85等は、棚板14〜16の下面や側面、陳列物品の奥側の隙間等を利用して、陳列用什器の正面から見えにくいように処理される。
【0040】
したがって、上記陳列用什器に照明装置80等を取り付けた物品陳列構造によれば、まず、この物品陳列構造に用いられる陳列用什器が、棚板14〜16上に陳列される物品(化粧品やテスター、あるいはその関連物等)の高さ寸法に応じて、棚板14〜16の互いの間隔を適宜に設定することができるようになっているため、陳列スペースに無駄が生じることがなく、多種多様な物品を高い密度で陳列することができる、という効果を奏する。もちろん、意図的に各棚板14〜16の間隔をあけて、印象的な陳列空間をつくることもでき、さまざまなバリエーションの陳列形態を実現することができる。
【0041】
しかも、上記棚板14〜16が、それぞれ平面視略四角枠状の枠体40と、これに交換可能な形で取り付けられる物品載置板41とで構成されているため、適宜の材質や色合いの物品載置板41を取り付けることができ、陳列する物品の種類に応じた印象の陳列形態を実現することができる。そして、上記物品載置板41として、陳列する物品の重量に応じた強度を確保しながら、より軽い材質のものを選択的に使用することができるため、全体として、陳列用什器の軽量化を図ることができる。一方、枠体40自体は、頑丈な材質のもの(上記の例では金属板)で形成し、長期にわたって繰り返し使用することができる。
【0042】
そして、上記物品載置板41が、その前端部および後端部に、幅方向に延びる立ち上がり部52、53を有しているため、棚板14〜16上に、物品を載置した状態のまま配置替えを行う場合、前後方向に物品がずれても、上記立ち上がり部52、53によって物品の落下を防止することができ、作業性がよいという利点を有する。なお、左右方向のずれは、棚板14〜16を持つ作業員の左右の腕で防止されるため、特に問題にならない。
【0043】
さらに、上記陳列用什器の各棚板14〜16のそれぞれに、照明装置80等が取り付けられているため、その電源スイッチをオンにして通電すると、棚板14を例にとれば、図5に示すように、照明装置80からの照明Pが、矢印で示すように、棚板14の前方を照らし、照明装置81からの照明Qが、矢印で示すように、棚板14の下方を照らすようになっている。したがって、前方への照明Pは、棚板14の端面に沿う帯状の光として視認されるため、上下の陳列が光の帯によって仕切られたかのような印象を与え、高いアイキャッチ効果を奏する。また、下方への照明Qは、上段の影になって暗くなりがちな下段の陳列を明るく照らし、やはり高いアイキャッチ効果を奏する。棚板15、16においても、同様の照明効果が得られる。
【0044】
しかも、上記照明装置80等は、棚板14〜16の上に物品を陳列した後に、物品の陳列に供していない部分を利用して、簡単に取り付けることができるため、その陳列物品の種類や陳列形態に応じた、バランスのよい照明を実現することができる。とりわけ、上記の例で用いる陳列用什器が、左右の棚板14、15の高さを、それぞれ別個に変えることができるとともに物品載置板41もいろいろな材質のものに交換することができ、様々なバリエーションの陳列を実現することができることから、そのバリエーションに応じて、左右で印象の異なる照明にしたり、全体のバランスを考慮しながら照明に強弱をつけたりすることができ、非常に優れたアイキャッチ効果を奏する陳列構造を提供することができる。
【0045】
そして、上記照明装置80等は、簡単に棚板14〜16から外すことができるため、メンテナンス作業を容易に行うことができる他、陳列物品の種類や陳列形態の変化に応じて、その都度、簡単に照明の配置替えをすることができるという利点を有する。
【0046】
なお、本発明に用いられる照明装置80等の形状は、略棒状の本体部と、その長手方向に沿って帯状に延びる発光部と、上記本体部の両端部からそれぞれ外側に延びる通電用の接続コードとを備えていれば、上記の例の構成に限るものではない。
【0047】
例えば、上記の例では、発光部が、長手方向に並ぶLED84と、その取り付け開口を透明プラスチック製カバー82で覆った構成になっているが、必ずしもLED84を用いる必要はなく、蛍光灯、白熱灯、ネオンランプ等を用いても差し支えない。ただし、発熱が少ない点、色の変化や光の強弱をつけやすい点において、LED84を用いることが好適である。また、そのカバー82も、例えば、光透過性の筒状フィルムで構成し、これを本体部88に被せて用いるようにしてもよい。
【0048】
また、照明装置80等の本体部88を、棚板14〜16に対して着脱自在に取り付ける方法も、上記の例では、レール状の本体部88の背面に帯状磁石90を取り付け、その磁力によって、棚板14等の金属製枠体40に取り付けるようにしているが、これに代えて、磁石製、もしくは磁石付のクリップを本体部88に取り付け、そのクリップを棚板14側に係止するという方法や、両面テープを用いて貼着する方法等を採用してもよい。
【0049】
そして、照明装置80等を接続するための接続コード85は、上記の例では、2本一対のコードであるが、導線が内蔵された帯状コードであってもよい。そして、その先端に設けられるコネクタ86,86′も、互いに嵌合するものであれば、その形状は、上記の例に限らない。
【0050】
なお、上記照明装置80等の取り付け手段が、磁石を用いた簡単なものである場合、陳列物品を顧客が手にとる場合や、これを元に戻す場合等に、照明装置(A)に手が当たったり棚板14等が揺れたりして、照明装置(A)がずれたり落下したりしやすい。そこで、例えば、図6(b)に示すように、枠体40に取り付ける正面板40bとして、T字状アングルを用い、そのT字状に張り出した水平面で、上記照明装置80等を下から支受することにより、そのずれや脱落を防止することができる。
【0051】
さらに、上記の例では、棚板14〜16を構成する枠体40を利用して、その正面部と下面部のそれぞれに、照明装置80等を取り付けるようにしたが、その取り付け態様は、これに限るものではない。例えば、図8(a)に示すように、棚板14等の正面部と下面部の他に、側面部にも、照明装置87を取り付けることができる(棚板の図示を省略)。このように、棚板14等の側面部にも照明装置87を取り付けると、前方、下方、側方の3方向に光を照射することができるため、陳列用什器の左右両端に配置される棚板に適用することが好適である。
【0052】
また、例えば図8(b)に示すように、上下の棚板の間にまたがって、あるいは棚板と棚板の間を利用して、垂直方向にも照明装置80′を取り付けるようにすることができる。そして、これら照明装置80、80′を組み合わせることにより、より印象的な照明効果を得ることができる。
【0053】
なお、上記垂直方向に延びる照明装置80′は、陳列用什器の左右両端のレール22、25(図1参照)や、物品情報ユニット17の左右の縦辺部に沿って配置させることもできる。
【0054】
そして、本発明の物品陳列構造は、必ずしも、上記の例のように、枠体40と物品載置板41とを組み合わせた陳列用什器を用いる必要はなく、壁面や陳列用什器の背面部に、棚板や陳列用専用トレイが多段に取り付けられ、その上に物品が陳列して陳列面が構成されるようになっているものであれば、どのような陳列構造に対しても適用することができる。
【0055】
ただし、上記の例のように、枠体40と物品載置板41を組み合わせたものは、その物品載置板41の材質を、透明アクリル板やガラス板にして上下方向から照明を透過させて明るい印象にしたり、鏡面仕上げされた金属板にしてメタリックな印象を付与したり、あるいは乳白色の樹脂板にして柔和な印象を付与することができるため、上記照明装置80等の配置の変化と相俟って、陳列物品の種類に応じて、非常に豊かなバリエーションの陳列構造を実現することができ、好適である。
【0056】
なお、本発明の物品陳列構造には、棚板の上に陳列用専用トレイを載せて用いることもできるが、上記「陳列用専用トレイ」とは、必ずしも陳列用什器のための「専用品」である必要はなく、物品を一まとまりで収納保持するトレイであって、そのトレイごと棚板上に陳列できるよう構成されたものであれば、どのようなものであってもよい。
【0057】
例えば、図9に示すように、物品を収納保持する凹部を有し、その前端面に、前方に張り出した、断面円弧状の透明な物品情報表示部100aを有する陳列用専用トレイ(以下「トレイ」と略す)100が、最近賞用されている。上記物品情報表示部100aには、直接物品情報を表示するシール等を貼付したり、この部分を二重にして、その隙間に表示シートを差し込んだりして用いられる。このようなトレイ100を用いた陳列構造によれば、照明装置80による前方への照明Pが、上記物品情報表示部100aを透過するため、この周囲が明るく光って印象的なものとなる。もちろん、照明装置81による下方への照明Qによって、このトレイ100の下の段の陳列物品も明るく照らされるようになっている。
【0058】
また、最近は、棚板の上にトレイを載せるのではなく、トレイ自身の後端部に、垂立するレールと係合しうる被係合部50を設け、レールにトレイを直接多段に取り付けて陳列面を形成する場合があるが、その場合は、例えば図10に示すように、トレイ100′を薄い金属板で形成し、その正面部と下面部に、それぞれ照明装置80、81を取り付けることにより、上記の例と同様の効果を得ることができる。
【0059】
さらに、本発明の物品陳列構造には、必ずしも陳列用什器を用いる必要はなく、例えば、店舗の壁面に、直接棚板やトレイを取り付けるためのレールを取り付けて、棚板やトレイを多段に取り付けることにより、本発明の物品陳列構造を実現するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、化粧品やそのテスター等、多種多様な物品が集約的に陳列された物品陳列構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
14 棚板
40a 正面板
80、81 照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面もしくは陳列用什器の背面部に、陳列用棚板もしくは陳列用専用トレイが多段に取り付けられ、各棚板もしくは専用トレイに物品を陳列して陳列面が構成された陳列構造において、上記棚板もしくは専用トレイの正面部、下面部および左右の側面部の少なくとも二面部に、下記の照明装置(A)が、各面ごとに着脱自在に取り付けられ、取り付けられた各照明装置(A)が互いに、その接続コードを介して電気的に接続されていることを特徴とする物品陳列構造。
(A)略棒状の本体部と、その長手方向に沿って帯状に延びる発光部と、上記本体部の両端部からそれぞれ外側に延びる通電用の接続コードとを備え、上記本体部が、上記発光部を外向きにして、上記棚板もしくは専用トレイの所定の部位に着脱自在に取り付けられるようになっている照明装置。
【請求項2】
上記陳列用棚板もしくは陳列用専用トレイの、少なくとも上記照明装置(A)を取り付ける部分が金属材料で形成されており、上記照明装置(A)の、上記取り付け部分への当接部に磁石が設けられている請求項1記載の物品陳列構造。
【請求項3】
上記陳列用棚板もしくは陳列用専用トレイの、上記照明装置(A)を取り付ける部分に、照明装置(A)の下部を上向きに支受する支受縁が延設されている請求項2記載の物品陳列構造。
【請求項4】
上記照明装置(A)の発光部が、長手方向に所定間隔で並ぶLEDを発光源とするものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品陳列構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−172806(P2011−172806A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40385(P2010−40385)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】