説明

物品預入払出機

【課題】機内に生体情報を記憶することなく、顧客を適正に認証して適切な物品収容器を払出すことを課題とする。
【解決手段】顧客の生体情報と、顧客から受け付けるICキャッシュカード500を所有する顧客を特定する情報である顧客情報とを記憶するICキャッシュカード500をカード挿入口150から受け付けて、カード挿入口150により受け付けられたICキャッシュカード500に記憶される生体情報と、顧客から入力された生体情報とが、ICキャッシュカード500によって一致していると判定されると、それぞれ媒体特定情報を記憶する複数のカセット200から、カード挿入口150による受け付けられたICキャッシュカード500に記憶される顧客情報によって特定されるカセット200を払出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、顧客の物品を内在した物品収容器を受け入れて収納するとともに、顧客からの取り出し要求に応じて収納される物品収容器を機内より払出す物品預入払出機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、銀行などの金融機関では、各顧客が自らの通帳やキャッシュカードを用いて預金や引き出しを行う。また、最近では、このような金融機関などで使用される自動貨幣取引機において、顧客の生体情報を記憶したICキャッシュカードを用いて本人認証を行うことが一般的に行われている。このため、本来は、通帳、ICキャッシュカードおよび印鑑などの重要物は、顧客の自己責任の下に管理されるのが原則である。
【0003】
顧客の重要物を管理するものとして、金融機関などでは、貸金庫サービスなどを提供している。そして、かかるサービスの管理コストを低減し、利便性を向上させる重要物を収容する重要物預かり機が特許文献1(特開2007−2571号公報)に開示されている。
【0004】
具体的には、特許文献1では、契約時に予め重要物を内在させるカセットに契約者である顧客の生体情報を記憶させ、契約後の使用においては、重要物預かり機が、顧客の生体情報を読み取り、収納済みの各カセット内に記憶させている生体情報との比較を行い、適正な顧客であるか否かを認証している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−2571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来の技術は、顧客を適正に認証して適切な物品収容器を払出すのに際して、機内に生体情報を記憶している必要があるという課題があった。言い換えれば、従来技術である重要物を収容する重要物預かり機である物品預入払出機は、個人情報のうち特に近年重要視されている生体情報を機内に収納する物品収容器に記憶させているので、特に、膨大な人数の顧客が利用しており、機内に膨大な数の生体情報を保持している場合など、生体情報が外部に漏れることを防止する強固なセキュリティを確保する必要があった。
【0007】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、機内に生体情報を記憶することなく、顧客を適正に認証して適切な物品収容器を払出すことが可能である物品預入払出機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明は、顧客の物品を内在した物品収容器を受け入れて収納するとともに、前記顧客からの取り出し要求に応じて収納される前記物品収容器を機内より払出す物品預入払出機であって、前記顧客の生体情報である登録生体情報と、前記顧客から受け付ける記憶媒体を特定する情報である媒体特定情報とを記憶する記憶媒体を前記顧客から受け付ける記憶媒体受付手段と、前記記憶媒体受付手段により受け付けられた記憶媒体に記憶される登録生体情報と、前記顧客から入力された生体情報である入力生体情報とが一致していることを条件に、それぞれ媒体特定情報を記憶する複数の物品収容器から、前記記憶媒体受付手段による受け付けられた媒体特定情報によって特定される物品収容器を払出す収容器払出手段と、前記記憶媒体受付手段により受け付けられた記憶媒体に記憶される媒体特定情報によって特定された前記物品収容器が複数ある場合に、前記複数の物品収容器に対応付けられたそれぞれの識別番号を所定の表示部に出力して、当該識別番号の選択を顧客から受け付ける識別番号受付手段とを備え、前記収容器払出手段は、前記識別番号受付手段によって受け付けられた識別番号によって特定された当該物品収容器を払出すことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、上記の発明において、前記物品収容器は、前記媒体特定情報に加え、当該物品収容器を一意に特定する識別番号をさらに記憶することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、上記の発明において、少なくとも、前記媒体特定情報を記憶する記憶手段を備え、前記物品収容器の払出し時に、前記物品収容器に記憶された媒体特定情報を読み取り、前記記憶手段に記憶された媒体特定情報と一致するかを精査することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、顧客の生体情報である登録生体情報と、顧客から受け付ける記憶媒体を特定する情報である媒体特定情報とを記憶する記憶媒体を前記顧客から受け付け、受け付けられた記憶媒体に記憶される登録生体情報と、顧客から入力された生体情報である入力生体情報とが一致していることを条件に、それぞれ媒体特定情報を記憶する複数の物品収容器から、受け付けられた媒体特定情報によって特定される物品収容器を払出すので、機内に生体情報を記憶することなく、顧客を適正に認証して適切な物品収容器を払出すことが可能である。特に、記憶媒体に記憶される媒体特定情報によって特定された物品収容器が複数ある場合に、複数の物品収容器に対応付けられたそれぞれの識別番号を所定の表示部に出力して、当該識別番号の選択を顧客から受け付け、受け付けられた識別番号によって特定された当該物品収容器を払出すよう構成したので、顧客が複数の物品収容器を利用することができる結果、顧客の利便性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1に係る物品預入払出機の全体構成を示すシステム構成図である。
【図2】カセット200の蓋を閉めた状態を示す斜視図である。
【図3】カセット200の蓋を開けた状態を示す斜視図である。
【図4】カセット200に付設されるIDタグ230に記憶される情報の例を示す図である。
【図5】ICキャッシュカード500の全体構成を示す図である。
【図6】ICキャッシュカード500付設されたICタグ510に記憶される情報の例を示す図である。
【図7】実施例1に係る物品預入払出機100の外観を示す図である。
【図8】実施例1に係る物品預入払出機100の内部構成を示すブロック図である。
【図9】顧客情報登録テーブル351に記憶される情報の例を示す図である。
【図10】カセット収納テーブル352に記憶される情報の例を示す図である。
【図11】係員情報テーブル353に記憶される情報の例を示す図である。
【図12】実施例1に係る物品預入払出機100による全体的な処理の流れを示すフローチャートである。
【図13−1】表示操作部130に表示される画面例を示す図である。
【図13−2】表示操作部130に表示される画面例を示す図である。
【図13−3】表示操作部130に表示される画面例を示す図である。
【図13−4】表示操作部130に表示される画面例を示す図である。
【図14】実施例1に係る物品預入払出機100による契約処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】実施例1に係る物品預入払出機100による解約処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】実施例1に係る物品預入払出機100による預入処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】実施例1に係る物品預入払出機100による払出処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る物品預入払出機の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本実施例で用いる主要な用語、本実施例に係る物品預入払出機の概要および特徴、物品預入払出機の構成および処理の流れを順に説明し、最後に本実施例に対する種々の変形例を説明する。
【実施例1】
【0014】
[用語の説明]
まず、本実施例で用いる主要な用語を説明する。本実施例で用いる「物品預入払出機(特許請求の範囲に記載の「物品預入払出機」に対応する。)」とは、顧客が、通帳、ICキャッシュカードおよび印鑑などの重要物をカセット(特許請求の範囲に記載の「物品収容器」に対応する)に入れて預ける金融機関などにより提供される貸金庫サービスなどの重要物預かり機のことである。この「物品預入払出機」は、主として銀行、郵便局などの金融機関のATM(Automated Teller Machine)などが設置されている場所に設置することができる。
【0015】
また、本実施例では、顧客の生体情報として静脈情報を用いる場合について説明するが、静脈情報以外にも個人を特定できる情報として、指紋、掌紋、網膜、虹彩、音声、顔画像などの生体情報を用いることもできる。さらには、生体情報として、顧客を特定することができる身体的特徴(生体的特徴)や行動的特徴(癖)などの情報を用いるようにしてもよい。
【0016】
また、顧客から受け付ける記憶媒体を特定する情報としてICキャッシュカードを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、生体情報を記憶する記憶媒体であればいずれの記憶媒体であってもよい。具体的には、このICキャッシュカードは、生体情報と顧客を一意に特定する顧客情報として『顧客が契約する取引銀行の「銀行番号」、この取引銀行のうちの顧客がカセット200を買取契約又はリース契約を行った支店を特定する「支店番号」、顧客がこの取引銀行に開いた口座の種類を示す「科目」、顧客がこの取引銀行に開いた口座の「口座番号」』を記憶する銀行などにより発行されるICキャッシュカードを用いて認証を行い、この「銀行番号、支店番号、科目、口座番号」でカセットを特定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、顧客から受け付ける媒体を特定する情報や顧客を特定できる顧客情報であれば、例えば、生体情報を記憶する医療カード、住民カードなど様々なカードを用いることができる。
【0017】
[物品預入払出機の概要および特徴]
次に、図1を用いて、実施例1に係る物品預入払出機の概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係る物品預入払出機の全体構成を示すシステム構成図である。
【0018】
図1に示すように、この物品預入払出機100は、顧客が所有して重要物を入れるカセット200の受け入れまたは払い出しを行うカセット受渡口120と、カセット200を収納する複数のカセット収納部300と、顧客の生体情報と顧客を特定する「銀行番号、支店番号、科目、口座番号」とを記憶し、生体情報を用いて生体認証を実施するICキャッシュカード500を受け入れまたは払い出しを行うカード挿入口150と、顧客の生体情報を取得してICキャッシュカード500に送信する生体情報取得部140と、顧客に対する処理ガイダンスの表示およびカセット番号の受付などを行う後述する表示操作部130(図7参照)とから構成される。
【0019】
また、物品預入払出機100は、顧客が所有するカセット200を特定する情報を記憶する顧客情報登録テーブル351と、カセット200の収納位置を記憶するカセット収納テーブル352とを備える。具体的には、顧客情報登録テーブル351は、契約している顧客を示す「顧客名」に対応付けて「銀行番号、支店番号、科目、口座番号」と、顧客が所有するカセットを一意に識別する「カセット番号」とを記憶し、例えば、「桑田○○男、ABSXXX、H20XXX、普通、000111、0123」などと記憶する。
【0020】
また、カセット収納テーブル352は、「カセット番号」に対応付けて、カセット200の位置を示す「アドレス番号」と当該カセット200の状態を示す「フラグ」とを記憶し、例えば、「0123、000X001、01」などと記憶する。なお、この「フラグ」は、当該カセット200が契約中であれば「01」、未契約であれば「00」となる。
【0021】
このような構成において、この物品預入払出機100は、顧客の物品を内在したカセット200を受け入れて収納するとともに、顧客からの取り出し要求に応じて収納されるカセット200を機内より払出すことを概要とするものであり、特に、機内に生体情報を記憶することなく、顧客を適正に認証して適切なカセット200を払出すことが可能である点に主たる特徴がある。
【0022】
この主たる特徴を具体的に説明するために、顧客がこの物品預入払出機100から重要物を取出す場合(顧客がカセット200を受け取る場合)について説明する。物品預入払出機100は、カード挿入口150により受け付けられたICキャッシュカード500に記憶される生体情報と、顧客から入力された生体情報とが一致していることを条件に、それぞれ顧客情報を記憶する複数のカセット200から、カード挿入口150による受け付けられた顧客情報によって特定されるカセット200を払出す。
【0023】
具体的には、顧客によってICキャッシュカード500がカード挿入部150に挿入されると、表示操作部130上に表示された「払出」「預入」「契約」「解約」などの各種処理を選択させる画面を表示させる。すると、物品預入払出機100は、挿入されたICキャッシュカード500に記憶される「銀行番号、支店番号、科目、口座番号」を取得する。
【0024】
続いて、表示操作部130上に表示された「取出ボタン」が顧客によって選択され、生体情報取得部140に掌が置かれると、物品預入払出機100の生体情報取得部140は、置かれた顧客の掌から生体情報(静脈情報)を取得して、カード挿入部150に挿入されているICキャッシュカード500に当該生体情報を送信する。顧客の生体情報を受信したICキャッシュカード500は、記憶している生体情報と受信した生体情報とが一致するか否かを判定する生体認証を実施する。
【0025】
そして、ICキャッシュカード500により両者の生体情報が一致しており正当な顧客であると認証されると、物品預入払出機100は、カード挿入部150に挿入されているICキャッシュカード500から取得した顧客情報「銀行番号、支店番号、科目、口座番号」に対応するカセット番号を、顧客情報登録テーブル351より特定して取得する。続いて、物品預入払出機100は、顧客情報登録テーブル351より取得したカセット番号に対応するアドレス番号をカセット収納テーブル352より取得して、当該顧客の契約下にあるカセット200が格納されているカセット収納部300を特定する。そして、物品預入払出機100は、特定したカセット収納部300に収納されるカセット200を、カセット搬送装置400より搬送してカセット受渡口120に排出する。そうすることで、顧客は、自分が契約しているカセット200を受け取ることができる。
【0026】
一方、顧客がこの物品預入払出機100から重要物を預け入れる場合(顧客がカセット200を預け入れる場合)について説明すると、上記した場合と同様に、物品預入払出機100は、表示操作部130上に表示された「払出」「預入」「契約」「解約」などの各種処理を選択させる画面を表示させる。
【0027】
そして、表示操作部130上に表示された「預入ボタン」が顧客によって選択され、カセット受渡口120にカセット200が挿入されると、物品預入払出機100は、カード挿入部150に投入されているICキャッシュカード500から取得した顧客情報「銀行番号、支店番号、科目、口座番号」に対応するカセット番号を、顧客情報登録テーブル351より特定して取得する。続いて、物品預入払出機100は、顧客情報登録テーブル351より取得したカセット番号に対応するアドレス番号をカセット収納テーブル352より取得して、当該顧客の契約下にあるカセット200が収納されるべきカセット収納部300を特定する。そして、物品預入払出機100は、カセット受渡口120に投入されたカセット200を、特定したカセット収納部300にカセット搬送装置400を用いて搬送し、当該カセットが収納されるべきアドレス番号に収納する。そうすることで、顧客は、カセット200を物品預入払出機100に預け入れることができる。
【0028】
このように、実施例1に係る物品預入払出機100は、顧客より取得した生体情報をICキャッシュカードに送信して、ICキャッシュカードによって生体認証が実施され、顧客が正当であるかが認証される結果、上記した主たる特徴のごとく、機内に生体情報を記憶することなく、顧客を適正に認証して適切なカセットを払出すことが可能である。
【0029】
[カセット200の構成]
次に、図2〜図4を用いて、図1に示した物品預入払出機100におけるカセット200の構成を説明する。図2は、カセット200の蓋を閉めた状態を示す斜視図であり、図3は、カセット200の蓋を開けた状態を示す斜視図であり、図4は、カセット200に付設されるIDタグ230に記憶される情報の例を示す図である。
【0030】
図2及び図3に示すように、カセット200は、上部ケース210の一側縁と下部ケース220の一側縁とを開閉自在に接合して、薄厚状のカバン型に形成したものである。このため、このカセット200の内部には、顧客が物品預入払出機100に預ける物品を収納することができる。
【0031】
ここでは、顧客の預金通帳(○△銀行)と印鑑をカセット200の内部に収納した場合を示しているが、このカセット200には、銀行の預金通帳や印鑑以外にも顧客が重要物としている物品(他の銀行の通帳、有価証券、証書類、パスポート、キャッシュカード、鍵など)を適宜収納することができる。
【0032】
図2及び図3に示すように、カセット200の下部ケース220には、非接触型のRFID(Radio Frequency Identification)タグ230(以下、単に「IDタグ230」と言う)が取り付けられている。このIDタグ230は、データを記憶するメモリ231を内在するICチップとアンテナ部により形成されており、このメモリ231内には、図4に示すように、カセット番号、銀行番号、支店番号、科目、口座番号及び機体番号が格納されている。なお、このIDタグ230の配設位置は、図示した位置に限定されるものではなく、下部ケース220の他の位置や上部ケース210に配設することもできる。
【0033】
ここで、このカセット番号は、各カセットを一意に識別可能なユニークな番号(0000〜9999で表される4桁の番号)であり、装置内部に設けられた各カセット収納部300と一対一に対応付けられている。また、顧客が新たにカセット200を取得する場合には、係員の操作の下で顧客が空きカセット200の中から所望のカセット番号を選択し、該カセット番号を有するカセット200を装置内部のカセット収納部300から排出するようにしてもよい。なお、カセット収納テーブル352では、カセット番号、カセット収納部300のアドレス番号及びフラグを対応付けて記憶しており、新たにカセットを顧客に貸し出す場合には、該当するカセット番号に対応するフラグを未使用フラグ「00」から登録済みフラグ「01」に変更することになる。
【0034】
銀行番号は、顧客が契約する取引銀行の銀行番号であり、支店番号は、この取引銀行のうちの顧客がカセット200を買取契約又はリース契約を行った支店を特定する支店番号であり、科目は、顧客がこの取引銀行に開いた口座の種類を示しており、口座番号は、顧客がこの取引銀行に開いた口座の口座番号である。具体的にここでは、銀行番号が「ABSXXX」であり、支店番号が「H20XXX」であり、科目が「普通」であり、口座番号が「000111」である場合を示している。機体番号は、物品預入払出機100が複数台配設された場合の各装置の号機番号であり、ここでは「1」である場合を示している。なお、この号機番号の代わりに物品預入払出機100の製造番号(ロット番号等)を用いることもできる。
【0035】
なお、本実施例では、カセット番号及び登録生体情報等を記憶したIDタグ230をカセット200に付設することとしたが、このIDタグ230の代わりにバーコードをカセット200に貼付することもできる。ただし、バーコードは、保持できる情報量に制約があるため、情報の一部のみをバーコードに持たせ、生体情報を除く残部を装置内部に保持させることもできる。
【0036】
また、図2及び図3に示すように、下部ケース220の側面の2箇所には、一対のピン240が設けられており、このピン240は、カセット搬送装置400と係合自在の形状に構成されている。顧客がカセット200を預け入れる場合には、この一対のピン240とカセット搬送装置400とが互いに係合し把持することで、カセット200を本体部110内に引き込むことができる。
【0037】
また、図3に示すように、カセット200の上部ケース210のほぼ中央位置にはロック爪211が設けられている。このロック爪211は、カセット200の上部ケース210を閉じた際に施錠を行なう施錠機構であり、施錠ロック250の番号(4桁の暗証番号)を組み合わせることにより、適宜、カセット200の施錠/解錠が行われる。したがって、このカセット200内に入れた預金通帳などの重要物は、この施錠機構により厳重に保管される。
【0038】
[ICキャッシュカード500の構成]
次に、図5と図6とを用いて、図1に示した物品預入払出機100におけるICキャッシュカード500の構成を説明する。図5は、ICキャッシュカード500の全体構成を示す図であり、図6は、ICキャッシュカード500に付設されたICタグ510に記憶される情報の例を示す図である。
【0039】
図5に示すように、ICキャッシュカード500は、生体情報を記憶し生体認証を実行するICタグ510と、このICキャッシュカード500を一意に識別するために、一般的には銀行の支店番号と口座番号から構成される識別番号520とから構成される。上記した例で具体的に説明すると、識別番号520は、H20XXX―000111などと表示される。
【0040】
そして、ICタグ510は、生体情報と顧客情報「銀行番号、支店番号、科目、口座番号」とを記憶する記憶部と、物品預入払出機100の生体情報取得部140から顧客の生体情報を受信して生体認証を実行する生体認証部とを備える。記憶部は、図6に示すように『顧客の生体情報を示す「生体情報」に加え、上記した「銀行番号、支店番号、科目、口座番号」』を記憶する。例を挙げれば、記憶部は、「生体情報、銀行番号、支店番号、科目、口座番号」として「静脈情報A、ABSXXX、H20XXX、普通、000111」などと記憶する。
【0041】
また、生体認証部は、物品預入払出機100の生体情報取得部140から顧客の生体情報を受信し、受信した生体情報と記憶部に記憶される生体情報とが一致しているか否かを判定する生体認証を実施する。そして、生体認証部は、一致しているまたは一致していないなどの認証した結果を、後述する物品預入払出機100の統括制御部610に出力する。
【0042】
[物品預入収容器100の構成]
次に、図7〜図11を用いて、図1に示した物品預入払出機100の外観および内部構成を説明する。図7は、実施例1に係る物品預入払出機100の外観を示す図であり、図8は、実施例1に係る物品預入払出機100の内部構成を示すブロック図であり、図9は、顧客情報登録テーブル351に記憶される情報の例を示す図であり、図10は、カセット収納テーブル352に記憶される情報の例を示す図であり、図11は、係員情報テーブル353に記憶される情報の例を示す図である。
【0043】
(物品預入払出機100の外観)
図7に示すように、この物品預入払出機100は、銀行などに配設されるATMとほぼ同様のコンソール型の外観を有し、この物品預入払出機100を構成する本体部110(筐体)の前面には、カセット200の受け入れ及び排出を行うカセット受渡口120と、顧客へのガイダンス表示及びカセット番号等の入力の受け付けを行うタッチパネル式の表示操作部130と、顧客からICキャッシュカード500を受け付けるカード挿入口150と、顧客の生体情報を取得してカード挿入口150に挿入されたICキャッシュカード500に送信する生体情報取得部140とがそれぞれ配設されている。また、本体部110の内部には、カセット200を収納するための複数のカセット収納部300が設けられている。なお、それぞれの機能部の詳細な説明は、物品預入払出機100の内部構成において説明するので、ここでは省略する。
【0044】
(物品預入払出機100の内部構成)
次に、図8を用いて、物品預入払出機100の内部構成についてさらに詳細に説明する。図8に示すように、物品預入払出機100は、扉開閉検知センサ111と、顧客検知センサ112と、表示操作部130と、生体情報取得部140と、カード挿入部150と、記憶部350と、カセット搬送装置400と、搬送駆動制御部444と、駆動モータ部445と、主制御部600に接続された構成となる。
【0045】
扉開閉検知センサ111は、物品預入払出機100の本体部110の一部をなす扉の開閉を検知するセンサであり、顧客検知センサ112は、物品預入払出機100に接近する顧客(人体)を検知するセンサである。本実施例では、この顧客検知センサ112により顧客が検知された場合に、表示操作部130が点灯し、ICキャッシュカード500の挿入、カセット200の預入操作又は取出操作を可能としている。
【0046】
表示操作部130は、タッチパネル式の液晶表示器により形成される表示デバイス及び入力デバイスであり、後述するカセット200の預け入れ又は取り出しを行う際の顧客に対するガイダンス表示を行うとともに、契約ボタン、解約ボタン、預入ボタン、取出ボタンの選択操作並びにテンキーよるカセット番号や暗証番号の入力操作などを顧客や保守員より受け付ける。
【0047】
また、ここではその詳細な説明を省略するが、係員がこの表示操作部130に対して所定の操作を行って「カセット番号検索モード」に移行すれば、かかる表示操作部130の操作によって顧客がカセット200のカセット番号を忘れた場合にカセット番号を検索することもできる。なお、この表示操作部130の制御等は、主制御部600に組み込まれた図示しないドライバソフトウェアにより行なわれる。
【0048】
搬送駆動制御部444は、カセット搬送装置400の搬送を制御する制御部であり、駆動機構をなす駆動モータ部445が接続されている。この搬送駆動制御部444では、駆動モータ部445の駆動を制御することにより、カセット搬送装置400の移動方向を制御している。
【0049】
駆動モータ部445は、ステッピングモータなどを使用することができ、搬送駆動制御部444により駆動制御され、カセット収納部300からカセットを取出したり、格納したりする。
【0050】
カード挿入部150は、顧客を一意に認証するための認証情報である生体情報と、顧客情報とを記憶するICキャッシュカード500を顧客から受け付ける。具体的には、カード挿入部150は、ICキャッシュカード500などの生体情報を記憶し生体認証を実行することができる記憶媒体を顧客より受け付け、受け付けた旨の信号を後述する主制御部600に出力したり、顧客によって挿入されたICキャッシュカード500が抜き出されたことを示す信号を主制御部600に出力したり、また、挿入されたICキャッシュカード500を排出する指示を後述する統括制御部610から受け付けたりする。
【0051】
生体情報取得部140は、顧客の生体情報を取得して、カード挿入部150に挿入されたICキャッシュカード500に出力する。具体的に例を挙げると、顧客によって、カード挿入部150にICキャッシュカード500が挿入され、表示操作部130上に表示された「契約ボタン」「解約ボタン」「預入ボタン」「払出ボタン」のいずれかが選択されると、生体情報取得部140は、置かれた顧客の掌から静脈情報を取得して、物品預入払出機100の機内に一切記憶することなく、カード挿入部150に挿入されたICキャッシュカード500に後述する統括制御部610を介してICキャッシュカード500に出力する。また、取得した生体情報は、ICキャッシュカード500によって生体認証が実行されると破棄される。
【0052】
記憶部350は、表示操作部130に表示出力する各種の画面と、主制御部600による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納するとともに、特に本発明に密接に関連するものとしては、顧客情報登録テーブル351と、カセット収納テーブル352と、係員情報テーブル353とを備える。
【0053】
顧客情報登録テーブル351は、顧客が所有するカセット200を特定する情報を記憶する。具体的に例を挙げれば、図9に示すように、顧客情報登録テーブル351は、契約している顧客を示す「顧客名」に対応付けて、『顧客が所有するカセットを一意に識別する「カセット番号」、顧客が契約する取引銀行の銀行番号「銀行番号」、この取引銀行のうちの顧客がカセット200を買取契約又はリース契約を行った支店を特定する「支店番号」、顧客がこの取引銀行に開いた口座の種類を示す「科目」、顧客がこの取引銀行に開いた口座の「口座番号」、利用した日時を示す「利用ログ」』を記憶し、例えば、「桑田○○男、0123、ABSXXX、H20XXX、普通、000111、2007年.○月×日」などと記憶する。この例では、「桑田○○男」がカセット番号「0123」のカセット200と契約しており、最後に利用した日時が「2007年○月×日」であることを示している。また、利用ログの欄には、物品預入払出機100を利用した日付や利用回数などが記憶される。
【0054】
カセット収納テーブル352は、カセット200の格納位置を特定する情報を記憶する。具体的に例を挙げて説明すると、図10に示すように、カセット収納テーブル352は、「カセット番号」に対応付けて、カセットの収納位置を示す「アドレス番号」と当該カセットの状態を示す「フラグ」とを記憶し、例えば、「0123、000X001、01」などと記憶する。この例では、カセット番号「0123」が契約済み「01」であり、アドレス番号「000X001」に収納されていることを示している。
【0055】
また、ここで示すフラグは、未使用のカセット200がカセット収納部300に収納されている場合には「00」となり、登録済みのカセット200がカセット収納部300に収納されている場合には「01」となり、カセット200の取り出し中である場合には「02」となり、登録外のカセット200がカセット収納部300に収納されている場合には「FF」となり、登録されたカセット200が行方不明である場合には「FE」となる。なお、ここでは説明の便宜上図示省略したが、上記以外に顧客の氏名、登録日時、前回の利用日時、利用回数等を記憶することもできる。
【0056】
係員情報テーブル353は、物品預入払出機100に対して各種保守作業を実行する保守員に関する情報を記憶する。具体的に例を挙げれば、図11に示すように、係員情報テーブル353は、保守員を示す「係員名」に対応付けて、係員を一意に識別する暗証番号を示す「暗証番号」として「保守太郎、0123」などとを記憶する。
【0057】
次に、主制御部600について説明する。主制御部600は、物品預入払出機100を全体制御する制御部であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、統括制御部610と、契約処理部620と、解約処理部630と、預入処理部640と、払出処理部650と、精査判定部660と、保守運用部670とを有する。
【0058】
統括制御部610は、契約、解約、預入、払出などの各種処理を統括的に制御する。具体的に例を挙げれば、統括制御部610は、生体情報取得部140により取得された顧客の生体情報をICキャッシュカード500に送信して認証結果を受信し、受信した認証結果に応じて後続の処理を実行するために各制御部に指示したりする。
【0059】
具体的には、ICキャッシュカード500によって、記憶される生体情報と取得した生体情報とが一致していると判定された旨の信号を受信すると、統括制御部610は、表示操作部130上に表示された「契約ボタン」「解約ボタン」「預入ボタン」「払出ボタン」の選択に応じて、後述する契約処理を実行する指示を契約処理部620に送信したり、解約処理を実行する指示を解約処理部630に出力したり、預入処理を実行する指示を預入処理部640に出力したり、払出処理を実行する指示を払出処理部650に出力したりする。一方、ICキャッシュカード500によって、記憶される生体情報と取得した生体情報とが一致していないと判定された旨の信号を受信すると、統括制御部610は、処理を終了して挿入されたカードを排出するようにカード挿入部150に指示する。
【0060】
また、保守員によって、カード挿入部150に保守用ICキャッシュカードが挿入され、表示操作部130上に表示された「保守運用ボタン」が選択されて、生体情報取得部140に掌が置かれると、統括制御部610は、表示操作部130から暗証番号の入力を受け付ける。そして、統括制御部610は、係員情報テーブル353に記憶される暗証番号と取得した暗証番号とが一致していると判定すると、保守運用処理を実行する指示を保守運用部670に出力する。一方、一致していない旨の信号を受信した統括制御部610は、処理を終了して挿入されたカードを排出するようにカード挿入部150に指示する。
【0061】
契約処理部620は、保守員などの係員が顧客とカセット200との契約を認めた上で、係員立会いのもと係員の指示操作により、カセット200の契約(登録)に関する処理を実行する。具体的に例を挙げれば、契約処理を実行する指示を統括制御部610から受信した契約処理部620は、カード挿入部150に挿入されたICキャッシュカード500に記憶される顧客情報「銀行番号、支店番号、科目、口座番号」を取得するとともに、カセット収納テーブル352を参照し、フラグが「00(未使用)」のカセット200を選択してカセット番号を取得する。続いて、契約処理部620は、取得した顧客情報「銀行番号、支店番号、科目、口座番号」と「カセット番号」と、保守員によって表示操作部130から入力された「顧客名」とを対応付けて顧客情報登録テーブル351に格納し、カセット収納テーブル352において当該カセット番号に対応するフラグを「01(登録済み)」に書き換える。
【0062】
そして、契約処理部620は、取得した顧客情報「銀行番号、支店番号、科目、口座番号」を登録したカセットのIDタグに書き込むように、リーダライタ401に指示し、指示されたリーダライタ401は、当該顧客情報を登録されたカセット200の収納位置までカセット搬送装置400によって移動されて、当該カセットのIDタグに書き込む。以降、顧客は、カセットを契約したことになり、重要物の預入を行うことができる。
【0063】
解約処理部630は、保守員などの係員が顧客とカセット200との解約を認めた上で、係員立会いのもと係員の指示操作により、カセット200の解約に関する処理を実行する。具体的に例を挙げれば、解約処理を実行する指示を統括制御部610から受信した解約処理部630は、ICキャッシュカード500から顧客情報を取得するとともに、顧客がカセット200を利用した料金を表示操作部130に表示させる。そして、解約処理部630は、取得した顧客情報に対応するカセット番号を顧客情報登録テーブル351から取得し、カセット収納テーブル352に記憶される取得したカセット番号に対応するフラグを参照する。
【0064】
続いて、解約処理部630は、フラグが「02(取出中)」であれば、カセット受渡口120に当該カセット200が挿入されるまで待機する。そして、解約処理部630は、カセット200が挿入されるか、フラグが「01(収納中)」であれば、表示操作部130により受け付けられた保守員の指示操作により、カセット200のIDタグ230に記憶される顧客情報を削除するようにリーダライタ401に指示し、また、顧客情報登録テーブル351に記憶される顧客情報を削除するとともに、カセット収納テーブル352に記憶されるカセット200に対応するフラグを「00(未登録)」に書き換える。なお、料金については、記憶されていた口座番号より自動的に引き落とすようにしてもよい。
【0065】
預入処理部640は、カセット200を当該物品預入払出機100に預け入れる処理を実行する。具体的に例を挙げれば、預入処理を実行する指示を統括制御部610から受信した預入処理部640は、ICキャッシュカード500から顧客情報を取得するとともに、カセット受渡口120のシャッタ121を開口して、カセット200が挿入されるまで待機する。そして、カセット200が挿入されると、預入処理部640は、取得した顧客情報に対応するカセット番号を顧客情報登録テーブル351から取得して、さらに当該カセットの収納位置を示すアドレス番号をカセット収納テーブル352から取得する。その後、預入処理部640は、搬送駆動制御部444に対して、取得したアドレス番号にカセット200を収納するように指示を出力する。指示を受信した搬送駆動制御部444は、カセット搬送装置400を用いてカセット200を収納位置まで移動させて格納する。
【0066】
なお、ここでは、挿入されたICキャッシュカード500に記憶される顧客情報から顧客情報登録テーブル351とカセット収納テーブル352とを参照してカセット200の位置を特定する場合について説明したが、顧客によって挿入されたカセット200のIDタグ230からカセット番号を取得し、取得したカセット番号とカセット収納テーブル352とから当該カセットの収納位置を特定するようにしてもよい。
【0067】
具体的に、顧客によって挿入されたカセット200のIDタグ230から当該カセットの収納位置を特定する場合について説明する。カセット受渡口120にカセット200が挿入されると、預入処理部640は、カセット搬送装置400のリーダライタ401に対して、カセット200に付設されたIDタグ230からカセット番号を読み出すように指示する。そして、預入処理部640は、読み出されたカセット番号に対応するカセット収納部300を、カセット収納テーブル352から特定し、カセット搬送装置400に対して特定されたカセット収納部300に挿入されたカセット200を搬送して収納するように指示を出力する。
【0068】
払出処理部650は、カード挿入口150により受け付けられたICキャッシュカード500に記憶される生体情報と、顧客から入力された生体情報とが一致していることを条件に、それぞれ顧客情報を記憶する複数のカセット200から、カード挿入口150による受け付けられた顧客情報によって特定されるカセット200を払出す。具体的に例を挙げれば、払出処理を実行する指示を統括制御部610から受信した払出処理部650は、カード挿入部150に挿入されたICキャッシュカード500に記憶される顧客情報「銀行番号、支店番号、科目、口座番号」を取得し、取得した顧客情報に対応するカセット番号を顧客情報登録テーブル351から取得する。なお、顧客が複数のカセットを契約している場合は、表示操作部130により顧客から払出を希望するカセット番号を受け付ける。
【0069】
続いて、払出処理部650は、取得したカセット番号に対応するカセット200のアドレス番号をカセット収納テーブル352から取得する。そして、払出処理部650は、取得したアドレス番号からカセット200を取得して、カセット受渡口120に排出するように搬送駆動制御部444に指示する。その後、搬送駆動制御部444は、当該顧客に契約されている正当なカセット200であるか否かが、後述する精査判定部660によって指示通り取得したカセット200のIDタグ230に記憶される情報を用いて精査されると、カセット受渡口120に排出する。
【0070】
なお、取得された生体情報は、ICキャッシュカード500によって生体認証が実行されると、破棄されるために、物品預入払出機100には一切記憶されない。また、本実施例では、払出処理部650は、カード挿入部150に挿入されたICキャッシュカード500から取得した顧客情報に対応するカセット番号とアドレス番号とを、顧客情報登録テーブル351とカセット収納テーブル352とから特定する場合について説明しているが、ICキャッシュカード500から取得した顧客情報を記憶するカセットを、カセット収納部300に記憶されるカセット200のIDタグ230を参照して特定するようにしてもよい。
【0071】
精査判定部660は、払い出されるカセット200が払い出させられるべき正しいカセット200であるか否かを精査する。具体的に例を挙げれば、搬送駆動制御部444によって払出されるカセット200の収納位置に到達すると、精査判定部660は、当該カセット200のIDタグ230に記憶される「カセット番号」と「顧客情報」(銀行番号、支店番号、科目、口座番号)を取得し、取得した情報(「カセット番号」と「顧客情報」)と顧客情報登録テーブル351に記憶される「カセット番号、銀行番号、支店番号、科目、口座番号」と一致するか否かを精査する。
【0072】
そして、精査判定部660は、一致する場合にのみ、当該カセット200が払い出されることを許可し、一致しない場合には、払い出されることを拒否して払出処理を終了する。また、カセット200に記憶される「カセット番号」と「顧客情報」(銀行番号、支店番号、科目、口座番号)とが暗号化されていた場合、当該暗号化される「カセット番号」と「顧客情報」とを復号化して当該情報を精査する。
【0073】
保守運用部670は、保守係員を認証して物品預入払出機100に対する保守作業を提供する保守処理を実施する。具体的に例を挙げれば、保守運用処理を実行する指示を統括制御部610から受信した保守運用部670は、各種保守内容(例えば、各種障害対応、カセット入れ替え、メモリ増加、HDD増加など)の処理内容を表示操作部130に表示出力して、保守員からの操作を受け付け、受け付けた処理内容に応じた処理を実行する。また、ここでは、保守運用部670は、表示操作部130から暗証番号を受け付けて、当該暗証番号が係員情報テーブル353に記憶されている暗証番号と一致すると、保守処理を実行する場合について説明したが、保守用ICキャッシュカードによって、保守用ICキャッシュカードが記憶する生体情報と取得した生体情報とが一致すると、保守処理を実行するようにしてもよい。
【0074】
[物品預入払出機100による処理]
次に、図12〜図17を用いて、実施例1に係る物品預入払出機100による処理を説明する。なお、ここでは、全体的な処理の流れ、契約処理の流れ、解約処理の流れ、預入処理の流れ、払出処理の流れについて順に説明する。
【0075】
(全体的な処理の流れ)
まず、図12と図13とを用いて、実施例1に係る物品預入払出機100による全体的な処理の流れについて説明する。図12は、実施例1に係る物品預入払出機100による全体的な処理の流れを示すフローチャートであり、図13は、表示操作部130に表示される画面例を示す図である。ここで用いる画面表示例は、あくまで一例であり、これに限定されるものではない。
【0076】
図12に示すように、顧客が物品預入払出機100に近付き、顧客検知センサ112が当該顧客を検知すると(ステップS1201肯定)、物品預入払出機100の統括制御部610は、図13−1に示したICキャッシュカード500の挿入を促す画面とカード挿入口150の位置を示す画面を表示操作部130に表示させて、顧客からICキャッシュカード500が挿入されるのを待つ(ステップS1202)。
【0077】
続いて、顧客によってICキャッシュカード500がカード挿入口150に挿入されると(ステップS1202肯定)、統括制御部610は、当該顧客の生体情報を取得するために、図13−2に示したような掌を生体情報取得部140に置くことを促す画面を表示操作部130に表示させて、顧客の「生体情報」を取得し、カード挿入口150に挿入されたICキャッシュカード500に取得した「生体情報」を送信する(ステップS1203)。
【0078】
そして、生体情報取得部140によって取得された「生体情報」を統括制御部610から受信したICキャッシュカード500は、記憶する「生体情報」と受信した「生体情報」とが一致しているか否か、つまり、当該顧客が正当な顧客であるか否かを判定する(ステップS1204)。
【0079】
その後、統括制御部610は、ICキャッシュカード500によって一致している旨の信号を受信すると(ステップS1204肯定)、カード挿入口150に挿入されたICキャッシュカード500から顧客情報を取得し、顧客情報登録テーブル351を参照して取得した「顧客情報」に対応する「カセット番号」が存在するか、つまり、カセット200が契約済みであるか否かを判定する(ステップS1205)。
【0080】
そして、カセット200が契約済みである場合(ステップS1205肯定)、統括制御部610は、図13−3に示したような、「契約」「解約」「預入」「払出」の各種処理を受け付けるボタンを表示した画面を表示操作部130に表示させて、取引内容を受け付ける(ステップS1206)。
【0081】
その後、統括制御部610は、図13−3に示した「契約ボタン」が顧客によって選択されると(ステップS1207肯定)、契約処理を実行するように契約処理部620に指示し、契約処理部620は、契約処理を実行する(ステップS1208)。
【0082】
同様に、統括制御部610は、図13−3に示した「解約ボタン」が顧客によって選択されると(ステップS1209肯定)、解約処理を実行するように解約処理部630に指示し、解約処理部630は、解約処理を実行する(ステップS1210)。
【0083】
また、統括制御部610は、図13−3に示した「預入ボタン」が顧客によって選択されると(ステップS1211肯定)、預入処理を実行するように預入処理部640に指示し、預入処理部640は、預入処理を実行する(ステップS1212)。
【0084】
また、統括制御部610は、図13−3に示した「取出ボタン」が顧客によって選択されると(ステップS1213肯定)、払出処理を実行するように払出処理部650に指示し、払出処理部650は、払出処理を実行する(ステップS1214)。
【0085】
そして、統括制御部610は、図13−3に示した「終了ボタン」が顧客によって選択されると(ステップS1215肯定)、カード挿入口150に対して挿入されたICキャッシュカード500を排出するように指示し(ステップS1216)、排出されたICキャッシュカード500が顧客によって抜き取られたことを確認すると(ステップS1217肯定)、当該処理を終了する。
【0086】
一方、ステップS1204に戻り、ICキャッシュカード500によって、正当な顧客でないと判定されると(ステップS1204否定)、統括制御部610は、カード挿入口150に対して挿入されたICキャッシュカード500を排出するように指示して、図13−4の示すようなICキャッシュカード500の抜き取りを顧客に促す画面を表示させ(ステップS1216)、排出されたICキャッシュカード500が顧客によって抜き取られたことを確認すると(ステップS1217肯定)、当該処理を終了する。
【0087】
また、ステップS1205に戻り、カセット200が契約済みでない場合(ステップS1205否定)、統括制御部610は、契約処理を実行するように契約処理部620に指示し、契約処理部620は、契約処理を実行する(ステップS1208)。
【0088】
(契約処理の流れ)
次に、図14を用いて、実施例1に係る物品預入払出機100による契約処理の流れについて説明する。図14は、実施例1に係る物品預入払出機100による契約処理の流れを示すフローチャートである。なお、この契約処理は、保守員などの係員が、顧客とカセットとの契約を認めた上で、係員立会いのもとに係員の指示により実行される。
【0089】
図14に示すように、契約処理を実行する指示を統括制御部610から受信した契約処理部620は、カセット収納部300に収納される複数のカセット200において、未使用のカセット200が存在するか否かを、カセット収納テーブル352を参照して判定する(ステップS1401)。
【0090】
未使用のカセット200が存在する場合(ステップS1401肯定)、契約処理部620は、カード挿入部150に挿入されたICキャッシュカード500に記憶される顧客情報「銀行番号、支店番号、科目、口座番号」を取得し、また、カセット収納テーブル352を参照してフラグが「00(未使用)」のカセット200を選択して「カセット番号」を取得し、これらの取得した情報を関連付けて顧客情報登録テーブル351に格納するとともに、カセット収納テーブル352において当該カセット番号に対応するフラグを「01(登録済み)」に書き換える。(ステップS1402)。
【0091】
続いて、契約処理部620は、取得した顧客情報「銀行番号、支店番号、科目、口座番号」を、取得したカセット番号のカセット200に付設されるIDタグ230に暗号化して書き込むようにリーダライタ401に指示し、指示を受けたリーダライタ401は、当該顧客情報を暗号化してIDタグ230に書き込む(ステップS1403)。
【0092】
そして、契約処理部620は、挿入されたICキャッシュカード500を排出するようにカード挿入部150に指示し(ステップS1404)、ICキャッシュカード500が顧客によって抜き取られたことを確認すると(ステップS1405)、「顧客情報」を格納したカセット200を排出するように搬送駆動制御部444に指示する(ステップS1406)。指示を受けた搬送駆動制御部444は、カセット搬送装置400を用いて当該カセットを取得してカセット受渡口120にカセットを排出する。そして、契約処理部620は、排出されたカセット200が顧客によって受け取られたことを確認すると(ステップS1407)、当該処理を終了する。
【0093】
一方、ステップS1401に戻り、未使用のカセット200が存在しない場合(ステップS1401否定)、契約処理部620は、処理を終了する。
【0094】
(解約処理の流れ)
次に、図15を用いて、実施例1に係る物品預入払出機100による解約処理の流れについて説明する。図15は、実施例1に係る物品預入払出機100による解約処理の流れを示すフローチャートである。なお、この解約処理は、保守員などの係員が、顧客とカセットとの解約を認めた上で、係員立会いのもとに係員の指示により実行される。
【0095】
図15に示すように、解約処理を実行する指示を統括制御部610から受信した解約処理部630は、顧客が利用した料金を表示操作部130に表示する(ステップS1501)。
【0096】
そして、解約処理部630は、カード挿入部150にICキャッシュカード500から「顧客情報」を取得し、取得した「顧客情報」に対応する「カセット番号」を顧客情報登録テーブル351から取得し、カセット収納テーブル352に記憶される取得した「カセット番号」に対応する「フラグ」を参照して、契約下にあるカセット200が預かり中か否かを判定する(ステップS1502)。
【0097】
契約下にあるカセット200が預かり中である場合(ステップS1502肯定)、解約処理部630は、カセット200を排出するように搬送駆動制御部444に指示し、指示を受けた搬送駆動制御部444は、カセット搬送装置400を用いて当該カセット200を取得してカセット受渡口120にカセットを排出する(ステップS1503)。
【0098】
そして、解約処理部630は、排出されたカセット200が顧客によって受け取られたことを確認すると(ステップS1504肯定)、排出されたカセット200が顧客により投入されるまで待機する(ステップS1505)。
【0099】
その後、排出されたカセット200が顧客により投入されたことを確認すると(ステップS1506肯定)、解約処理部630は、当該カセット200をカセット収納部300に収納して、当該カセット200のIDタグ230に記憶される「顧客情報」を削除するように、リーダライタ401に指示し、指示を受けたリーダライタ401は、IDタグ230に記憶される「顧客情報」を削除する(ステップS1507)。
【0100】
続いて、解約処理部630は、顧客情報登録テーブル351に記憶される「顧客情報」を削除するとともに、カセット収納テーブル352に記憶されるカセット200に対応する「フラグ」を「00(未登録)」に書き換える(ステップS1508)。
【0101】
そして、解約処理部630は、挿入されたICキャッシュカード500を排出するようにカード挿入部150に指示し(ステップS1509)、ICキャッシュカード500が顧客によって抜き取られたことを確認すると(ステップS1510)、当該処理を終了する。
【0102】
一方、ステップS1502に戻り、契約下にあるカセット200が預かり中でない場合(ステップS1502否定)、解約処理部630は、ステップS1505以降の処理を行う。
【0103】
(預入処理の流れ)
次に、図16を用いて、実施例1に係る物品預入払出機100による預入処理の流れについて説明する。図16は、実施例1に係る物品預入払出機100による預入処理の流れを示すフローチャートである。
【0104】
図16に示すように、預入処理を実行する指示を統括制御部610から受信した預入処理部640は、カード挿入口150に挿入されたICキャッシュカード500から「顧客情報」を取得する(ステップS1601)。
【0105】
続いて、顧客によってカセット受渡口120にカセット200が投入されると(ステップS1602肯定)、預入処理部640は、ICキャッシュカード500から取得した「顧客情報」に対応する「カセット番号」を顧客情報登録テーブル351から取得して、さらに、当該カセット200の「アドレス番号(収納位置)」をカセット収納テーブル352から取得する(ステップS1603)。
【0106】
そして、預入処理部640は、搬送駆動制御部444に対して、当該カセット200を取得した「アドレス番号」に格納するように指示を出力し、指示を受信した搬送駆動制御部444は、カセット搬送装置400を用いてカセット200を収納位置まで移動させて格納する(ステップS1604)。
【0107】
その後、預入処理部640は、挿入されたICキャッシュカード500を排出するようにカード挿入部150に指示し(ステップS1605)、ICキャッシュカード500が顧客によって抜き取られたことを確認すると(ステップS1606)、当該処理を終了する。
【0108】
(払出処理の流れ)
次に、図17を用いて、実施例1に係る物品預入払出機100による払出処理の流れについて説明する。図17は、実施例1に係る物品預入払出機100による払出処理の流れを示すフローチャートである。
【0109】
図17に示すように、払出処理を実行する指示を統括制御部610から受信した払出処理部650は、カード挿入口150に挿入されたICキャッシュカード500から「顧客情報」を取得する(ステップS1701)。
【0110】
すると、払出処理部650は、取得した「顧客情報」に対応する「カセット番号」を顧客情報登録テーブル351から取得し、カセット収納テーブル352に記憶される取得した「カセット番号」に対応する「フラグ」を参照して、契約下にあるカセット200が預かり中か否かを判定する(ステップS1702)。
【0111】
契約下にあるカセット200が預かり中である場合(ステップS1702肯定)、払出処理部650は、取得した「顧客情報」に対応する「カセット番号」が複数あるか否かを顧客情報登録テーブル351を参照して判定する(ステップS1703)。
【0112】
取得した「顧客情報」に対応する「カセット番号」が複数ある場合(ステップS1703肯定)、払出処理部650は、当該顧客の契約下にある「カセット番号」を表示操作部130に表示して(ステップS1704)、払出しを希望する「カセット番号」の入力を顧客より受け付ける(ステップS1705)。
【0113】
払出しを希望する「カセット番号」の入力を顧客より受け付けると(ステップS1705肯定)、払出処理部650は、入力されたカセット番号の収納位置を示す「アドレス番号」をカセット収納テーブル352から取得して、取得した「アドレス番号」に収納される当該カセット200を払出すように搬送駆動制御部444に指示する(ステップS1706)。
【0114】
そして、搬送駆動制御部444によってカセット搬送装置400が当該カセット200の収納位置まで到達すると、精査判定部660は、リーダライタ401により復号して読み出された当該カセット200のIDタグ230に記憶される「カセット番号」と「顧客情報」とを読み出し(ステップS1707)、読み出された情報が顧客情報登録テーブル351に記憶される「カセット番号、銀行番号、支店番号、科目、口座番号」一致するか否かを精査する(ステップS1708)。
【0115】
精査した結果、カセット200のIDタグ230から読み出された情報が正しいと判定されると(ステップS1708肯定)、払出処理部650は、カセット200を排出するように搬送駆動制御部444に指示し、指示を受けた搬送駆動制御部444は、カセット搬送装置400を用いて当該カセットを取得してカセット受渡口120にカセットを排出する(ステップS1709)。そして、払出処理部650は、排出されたカセット200が顧客によって受け取られたことを確認する(ステップS1710)。
【0116】
その後、出されたカセット200が顧客によって受け取られたことを確認すると(ステップS1710肯定)、払出処理部650は、挿入されたICキャッシュカード500を排出するようにカード挿入部150に指示し(ステップS1711)、ICキャッシュカード500が顧客によって抜き取られたことを確認すると(ステップS1712肯定)、当該処理を終了する。
【0117】
[実施例1による効果]
このように、実施例1によれば、顧客の生体情報と、顧客から受け付けるICキャッシュカード500を特定する情報である媒体特定情報とを記憶するICキャッシュカード500を顧客から受け付け、受け付けられたICキャッシュカード500に記憶される生体情報と、顧客から入力された生体情報とが一致していることを条件に、それぞれ媒体特定情報を記憶する複数のカセット200から、カード挿入口150による受け付けられた媒体特定情報によって特定されるカセット200を払出すので、ICキャッシュカード500内において生体認証が実行され、媒体特定情報に基づいてカセット200が特定される結果、機内に生体情報を記憶することなく、顧客を適正に認証して適切な物品収容器を払出すことが可能である。
【0118】
また、実施例1によれば、生体情報と、顧客を一意に特定する顧客情報とを記憶するICキャッシュカード500を顧客から受け付けるので、顧客情報に基づいてカセット200が特定される結果、顧客を適正に認証して適切な物品収容器を払出すことが可能である。
【0119】
また、実施例1によれば、生体情報と、顧客情報として顧客の銀行番号、支店番号、科目、口座番号のうち、少なくとも口座番号を含む複数の情報を記憶し、自動貨幣取引機で使用されるICキャッシュカード500を顧客から受け付けるので、銀行などで利用できるICキャッシュカードを利用することができる結果、顧客の負担を軽減することが可能である。
【0120】
また、実施例1によれば、カード挿入口150によってICキャッシュカード500が受け付けられた場合に、ICキャッシュカード500に記憶される口座番号に対応する口座から、当該カセット200の使用料金を引き落とすので、顧客が使用料金を支払う手間を削減することが可能である。
【0121】
また、実施例1によれば、カセット200は、媒体特定情報に加え、当該カセット200を一意に特定する識別番号をさらに記憶し、カード挿入口150によってICキャッシュカード500に記憶される媒体特定情報によって特定されたカセット200が複数ある場合に、複数のカセット200に対応付けられたそれぞれの識別番号を所定の表示操作部130に出力して、当該識別番号の選択を顧客から受け付け、受け付けられた識別番号によって特定された当該カセット200を払出すので、顧客が複数のカセット200を利用することができる結果、顧客の利便性を向上させることが可能である。
【0122】
また、実施例1によれば、カセット200は、媒体特定情報を暗号化して記憶し、特定されたカセット200に記憶される暗号化された媒体特定情報を復号して、カード挿入口150により受け付けられたICキャッシュカード500に記憶される媒体特定情報と一致するか否かを精査し、特定されたカセット200に記憶される暗号化された媒体特定情報が、ICキャッシュカード500に記憶される媒体特定情報と一致すると判定された場合に、特定された当該カセット200を払出すので、払出す際の間違いを事前にチェックすることができる結果、セキュリティをさらに高くすることが可能である。
【0123】
また、実施例1によれば、物品預入払出機100の保守を行う係員の生体情報と、係員を一意に識別する暗証番号を示す暗証番号とを記憶し、カード挿入口150によって、生体情報と暗証番号とを記憶する保守用ICキャッシュカードを受け付けた場合に、前保守用ICキャッシュカードに記憶される生体情報と、係員から入力された生体情報とが一致している、または、保守用ICキャッシュカードに記憶される暗証番号と、係員から入力された暗証番号とが一致していることを条件に、係員に対して当該物品預入払出機100の各種保守作業を提供するので、保守員に対しても認証することができる結果、保守作業を行うのに際しても、セキュリティを高く保ちつつ、利便性を向上させることが可能である。
【実施例2】
【0124】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下に示すように、(1)認証手法、(2)ネットワークによる管理、(3)システム構成等、(4)プログラムにそれぞれ区分けして異なる実施例を説明する。
【0125】
(1)認証手法
例えば、実施例1では、顧客の生体情報を用いて認証する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、顧客により定められた暗証番号を用いるようにしてもよい。例えば、ICキャッシュカード500は、暗証番号を記憶しており、入力された暗証番号と記憶する暗証番号が一致するか否かを認証することもできる。また、生体情報を用いるか暗証番号を用いるかを、顧客に選択させることもできる。
【0126】
また、実施例1では、保守員を認証する際に保守員の暗証番号を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、保守員の生体情報を用いるようにしてもよい。保守用ICキャッシュカードに記憶される保守員の生体情報と、入力された保守員の生体情報とが一致している場合に、各種保守作業を提供するようにすることもできる。
【0127】
(2)ネットワークによる管理
また、実施例1では、ICキャッシュカード500によって生体認証が実施される場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、物品預入払出機100と生体認証を記憶する管理装置とをインターネットなどのネットワークで接続して、管理装置側で生体認証を実施するようにしてもよい。このようにすることで、物品預入払出機100の負担を軽減することができ、さらに、機内に生体情報を記憶することなく、顧客を適正に認証して適切なカセット200を払出すことが可能である。
【0128】
(3)システム構成等
また、本実施例において説明した上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報(例えば、図4、図6、図9〜図11など)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0129】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる(例えば、統括制御部610と精査判定部660とを統合するなど)。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0130】
(4)プログラム
また、本実施例で説明し物品預入払出機100は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
以上のように、本発明に係る物品預入払出機は、顧客の物品を内在した物品収容器を受け入れて収納するとともに、顧客からの取り出し要求に応じて収納される物品収容器を機内より払出すことに有用であり、特に、機内に生体情報を記憶することなく、顧客を適正に認証して適切な物品収容器を払出すことに適する。
【符号の説明】
【0132】
100 物品預入払出機
110 本体部
111 扉開閉検知センサ
112 顧客検知センサ
120 カセット受渡口
121 シャッタ
130 表示操作部
140 生体情報取得部
150 カード挿入部
200 カセット
210 上部ケース
220 下部ケース
230 IDタグ
240 ピン
250 施錠ロック
300 カセット収納部
350 記憶装置
351 顧客情報登録テーブル
352 カセット収納テーブル
353 係員情報テーブル
400 カセット搬送装置
401 リーダライタ
444 搬送駆動制御部
445 駆動モータ部
500 ICキャッシュカード
600 主制御部
610 統括制御部
620 契約処理部
630 解約処理部
640 預入処理部
650 払出処理部
660 精査判定部
670 保守運用部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の物品を内在した物品収容器を受け入れて収納するとともに、前記顧客からの取り出し要求に応じて収納される前記物品収容器を機内より払出す物品預入払出機であって、
前記顧客の生体情報である登録生体情報と、前記顧客から受け付ける記憶媒体を特定する情報である媒体特定情報とを記憶する記憶媒体を前記顧客から受け付ける記憶媒体受付手段と、
前記記憶媒体受付手段により受け付けられた記憶媒体に記憶される登録生体情報と、前記顧客から入力された生体情報である入力生体情報とが一致していることを条件に、それぞれ媒体特定情報を記憶する複数の物品収容器から、前記記憶媒体受付手段による受け付けられた媒体特定情報によって特定される物品収容器を払出す収容器払出手段と、
前記記憶媒体受付手段により受け付けられた記憶媒体に記憶される媒体特定情報によって特定された前記物品収容器が複数ある場合に、前記複数の物品収容器に対応付けられたそれぞれの識別番号を所定の表示部に出力して、当該識別番号の選択を顧客から受け付ける識別番号受付手段とを備え、
前記収容器払出手段は、前記識別番号受付手段によって受け付けられた識別番号によって特定された当該物品収容器を払出す
ことを特徴とする物品預入払出機。
【請求項2】
前記物品収容器は、前記媒体特定情報に加え、当該物品収容器を一意に特定する識別番号をさらに記憶することを特徴とする請求項1に記載の物品預入払出機。
【請求項3】
少なくとも、前記媒体特定情報を記憶する記憶手段を備え、
前記物品収容器の払出し時に、前記物品収容器に記憶された媒体特定情報を読み取り、前記記憶手段に記憶された媒体特定情報と一致するかを精査することを特徴とする請求項2に記載の物品預入払出機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図13−3】
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【図13−4】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−238334(P2012−238334A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181170(P2012−181170)
【出願日】平成24年8月17日(2012.8.17)
【分割の表示】特願2007−140520(P2007−140520)の分割
【原出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】