説明

物質作用配合解析機構

【課題】特性や材料といった複数の項目を扱え、かつ計算をより容易に行える、物質作用配合解析機構を提供する。
【解決手段】それぞれが多要素・多成分の性質を持つ物質を組み合わせ配合して新しい物質を生成する場合において、多要素・多成分である物質から任意の種類・量を組み合わせ、新たに生成される物質の各特性において、生成者が求める物質の特性の候補および満足する組み合わせを見いだす手法を具備し、それにより配合された物質が検索できる物質作用配合解析機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料設計等を支援する物質作用配合解析機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料開発には、数年から数十年にもわたる多くの時間を必要とした。一方、半導体産業はドックイヤーとも言われる速さで進化しており、材料も極めて短期間に開発することを求められている。
【0003】
例えば、半導体パッケージの分野では、小型、薄型の表面実装型パッケージの比率が高くなってきており、チップを多段に積み重ねたスタックドMCP(Multi−Chip Package)が急増している。このように半導体チップを多段積層することで、パッケージの外形は同じでも記憶容量を数倍にも増やすことができるため、フラッシュメモリーなどの用途で多用されている。また、種々の機能を持つ半導体チップを積層することでシステムとしての機能を持たせたシステムインパッケージなども注目されている。これらのチップ多段積層構造では、チップ/基板間、チップ/チップ間、ワイヤ充填など多様なダイボンディングフィルムのラインナップが求められており、各フィルムへの要求特性もそれぞれ異なる。また、半導体パッケージの製造工程はダイシング、ピックアップ、ダイボンド、封止などの多くの工程から成り立っており、各工程でのフィルムへの要求項目も多岐にわたる。特に新規パッケージの開発当初は材料の必要特性が不明確であることが多く、実際には、異なる特性の材料を試しながら、摺り合わせを行うことが多い。しかしながら、必要特性は多岐にわたり、熱硬化性材料の場合は特に硬化前、硬化後それぞれに必要特性があるので、より材料設計、開発を難しくしている。
【0004】
以上のように、材料への要求特性は多岐にわたるので、短時間の材料設計、開発は極めて困難であり、半導体実装、ひいては電子機器産業の発展のネックになりつつある。上記では一例を挙げたが、半導体だけでなく、自動車、通信、電力、衣料、食品等々様々な業界で材料開発がネックになりつつある。
【0005】
材料設計を行う場合、試行を繰り返し、十分なデータを得た上で、それらデータを利用して行うのが望ましいが、時間や人手といったコストがかかるため、実験には相応の費用、時間及びそれらを費やした結果、求める材料が得られないというリスクを伴う。また、見当を立てて計算式を導きだす方法では、扱う材料等の項目が増えた際に、計算がより複雑になり、十分な解を求める事ができない。
【0006】
また、従来の経験や勘に頼る方法や、試行錯誤の実験に頼る方法では対処が困難になっている。人海戦術をもって多数の実験を行い、最適な配合を得ることも考えられるが、配合の可能性は無限にあるため、効率的とは言えず、また、コスト高の要因となるため、好ましくない。
【0007】
特に、失敗例を示すと、例えば、特性A、B、Cがあるとき、Aのみが不足でB、Cはちょうど良い場合がある。この場合Aを大きくすることですべての特性を目標値範囲にすることができる。特性Aを変更することは難しい場合、容易な場合、いずれの場合もあるが、配合技術により調整が可能である場合が多い。検討の結果、特性Aを大きくできた場合でも、B、Cまで連動して変化してしまい、今度は、そちらを調整する必要がでる場合が多い。そこで、Bを変更すると今度はAが変化して目標値からはずれてしまうというように、堂々巡りになってしまい、配合調整ができなくなることが往々にしてある。
【0008】
このように、機械の設計において図面を修正する場合は、Aのみが変更でB、Cはそのままということであれば、容易に図面修正が可能であるが、配合材料の場合には、Aのみが変更でB、Cはそのままということが最も難しい場合が得てしてあるのである。むしろ、A,B,Cいずれも変更する場合のほうが、容易な場合が多い。
【0009】
また、このような課題に対して、定量的な計算手法が提案されているおり、最適解の探索が困難な最適化問題に関する手法及びシステムとして、飛行経路を対象にしたものが特開2005−316614号公報にある。これは、飛行経路を対象としたものであり、材料設計を対象としたものではない。また、パラメータ間におけるトレード・オフの関係を保持しつつ、最適解を求める手法及びシステムとして、遺伝的アルゴリズムを用いたものが特開2003−85526号公報にある。いずれも、最適値を効率よく計算するアルゴリズムに関するものである。
【0010】
多要素・多成分である物質から任意の種類・量を組み合わせ、新たに生成される物質の各特性において、生成者が求める物質の特性の候補および満足する組み合わせを見いだす手法を具備し、それにより配合された物質が検索できる物質配合解析に用いるには、アルゴリズムが複雑であり、材料設計者等が容易に、かつある程度直感的に使用するに適していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−316614号公報
【特許文献2】特開2003−85526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特に扱う項目の増加に伴い、計算式が複雑化することを考慮すれば、より容易に計算が行え、また、情報が不足していた場合でも、ある程度の動向が予測可能な、材料設計計算シミュレーションの導入が望ましい。すなわち本発明の目的は、特性や材料といった複数の項目を扱え、かつ計算をより容易に行える、物質作用配合解析機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は以下の通りである。
(1) それぞれが多要素・多成分の性質を持つ物質を組み合わせ配合して新しい物質を生成する場合において、多要素・多成分である物質から任意の種類・量を組み合わせ、新たに生成される物質の各特性において、生成者が求める物質の特性の候補および満足する組み合わせを見いだす手法を具備し、それにより配合された物質が検索できる物質作用配合解析機構。
(2) それぞれが多要素・多成分の性質を持つ作用を組み合わせ新しい作用を生成する場合において、多要素・多成分である作用から任意の種類・量を組み合わせ、新たに生成される作用の各特性において、生成者が求める作用の特性の候補および満足する組み合わせを見いだす手法を具備し、それにより配合された作用が検索できる物質作用配合解析機構。
(3) それぞれの物質、作用の特性値を数値化して入力し、生成される物質、作用の目標値および目標範囲を与え、生成される物質、作用の目標範囲を満たす物質、作用の配合量の組み合わせおよびその際に生成される物質、作用の各特性値を出力する事により、組み合わせ実験を仮想的に行うためのプログラム群とそれを実現するための機械装置から構成される前記の物質作用配合解析機構。
(4) 使用または考慮する物質、作用について、上限値および下限値を与え、不要な計算を省略する事により、計算時間を短縮することが可能で、また曖昧な要素が含まれる場合に、過去のデータより変化を推察する解析プログラム群を具備する前記の物質作用配合解析機構。
(5) 複数の物質、作用から構成され、複数の特性を持つ化合物の生成における、目標特性値を満足する目標となる物質、作用の設計を効率的に行う計算装置を具備する前記の物質作用配合解析機構。
(6) 与えられた目標特性値に対して、逆計算を行うことで配合前のそれぞれの物質、作用の配合割合および配合量を計算し、計算結果がすべての可能性のある組合せとして提供されるとともに、生成者が計算の結果に対して与えた制限や制約に応じて、リアルタイムに計算結果を更新することができる前記の物質作用配合解析機構。
(7) 配合される物質、作用の配合量や配合割合と配合された物質、作用から生成された物質、作用の特性の両方において、それぞれに値が不明な場合でも実験でき、配合される物質、作用と生成される物質、作用の両面から総合的に配合量および配合割合ならびに生成される物質、作用特性を把握できる前記の物質作用配合解析機構。
(8) 実験結果に関して初期値および計算結果ならびにすべての計算に用いるデータについて保存や出力ができ、保存されたデータを呼び出すことができ、新たな実験と比較し、差分を明示することができるとともに、すべての分析結果を出力および保存ができる前記の物質作用配合解析機構。
【発明の効果】
【0014】
本発明の物質作用配合解析機構(装置)を用いることにより、複数の特性を持つ事柄の目標特性値を満足する組み合わせ選択において、各特性値を数値化し、目標範囲を満たす場合における適当な組み合わせを導きだすことにより、効率的な組み合わせ選択の指標とすることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る物質配合解析装置(解析機構)を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る物質配合解析装置(解析機構)の計算部のシステムフローを示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る物質配合解析装置(解析機構)の判断部のシステムフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の物質作用配合解析機構は、物質配合解析装置、作用配合解析装置、物質配合解析機構あるいは作用配合解析機構と表すこともできる。
よって、本発明において、物質配合解析機構は、それぞれが多要素・多成分の性質を持つ物質を組み合わせ配合して新しい物質を生成する場合において、多要素・多成分である物質から任意の種類・量を組み合わせ、新たに生成される物質の各特性において、生成者が求める物質の特性の候補および満足する組み合わせを見いだす手法を具備し、それにより配合された物質が検索できる。
また、作用配合解析機構は、それぞれが多要素・多成分の性質を持つ作用を組み合わせ新しい作用を生成する場合において、多要素・多成分である作用から任意の種類・量を組み合わせ、新たに生成される作用の各特性において、生成者が求める作用の特性の候補および満足する組み合わせを見いだす手法を具備し、それにより配合された作用が検索できる。
【0017】
また、物質、作用配合解析機構は、それぞれの物質、作用の特性値を数値化して入力し、生成される物質、作用の目標値および目標範囲を与え、生成される物質、作用の目標範囲を満たす物質、作用の配合量の組み合わせおよびその際に生成される物質、作用の各特性値を出力する事により、組み合わせ実験を仮想的に行うためのプログラム群とそれを実現するための機械装置から構成される。
さらには、物質、作用配合解析装置は、使用または考慮する物質、作用について、上限値および下限値を与え、不要な計算を省略する事により、計算時間を短縮することが可能で、また曖昧な要素が含まれる場合に、過去のデータより変化を推察する事を特徴とする解析プログラム群を具備する。
【0018】
また、物質、作用配合解析装置は、複数の物質、作用から構成され、複数の特性を持つ化合物の生成等における、目標特性値を満足する目標となる物質、作用の設計を効率的に行うことを特徴とする前記の計算装置を具備する。
また、物質、作用配合解析装置は、与えられた目標特性値に対して、逆計算を行うことで配合前のそれぞれの物質、作用の配合割合および配合量を計算し、計算結果がすべての可能性のある組合せとして提供されるとともに、生成者が計算の結果に対して与えた制限や制約に応じて、リアルタイムに計算結果を更新することができる。
【0019】
また、物質、作用配合解析装置は、配合される物質、作用の配合量や配合割合と配合された物質、作用から生成された物質、作用の特性の両方において、それぞれに値が不明な場合でも実験でき、配合される物質、作用と生成される物質、作用の両面から総合的に配合量および配合割合ならびに生成される物質、作用特性を把握できる。
また、物質、作用配合解析装置は、実験結果に関して初期値および計算結果ならびにすべての計算に用いるデータについて保存や出力ができ、保存されたデータを呼び出すことができ、新たな実験と比較し、差分を明示することができるとともに、すべての分析結果を出力および保存ができる。
【0020】
なお、本発明の物質配合解析機構(解析装置)は、工業材料など、求められる目標値が客観的で明確である場合に極めて有効であるが、一方、求められる目標値が主観的であっても、また、数値等で表すことが難しい、やや不明確である場合にも有効である。そのような適用例としては、料理、香水の調合、ウイスキーの調合、香辛料の調合、衣料などのファッション分野、インテリアなどの配色、漢方薬や合成薬品などの医薬品などにも適用可能である。
【0021】
また、対象とするものは物質だけでなく、製造条件、例えば、温度、湿度、速度等、または、色、光、音、振動、感触、臭いなど、多要素・多成分の性質を持つのであれば、物質以外のものであってもよい。なお、本発明では、これらを表す用語として、作用という言葉と用いている。物質、作用は切り分けることは難しく、物質と作用を組み合わせて使用してすることが応用範囲を広げるために必要である。
【0022】
例えば、自動車の運転中のいすの使用感、エンジン音、車体の振動、ハンドルの感触等をすべて統合して運転者の満足度を高めるための解析などを行うことができる。また、同じく自動車を例にとると、環境適合性に関わる燃費、加速性などの客観的数値と音、振動、感触などの主観的数値を同時に解析し、満足度を高めることができる。
【0023】
物質の具体的な例としては、半導体用ダイボンドフィルムの場合、以下のような物質が挙げられる。
高分子量成分として、具体的には、ポリイミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ブタジエンゴム、アクリルゴム、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート及びそれらの混合物等が挙げられる。官能性モノマを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分、例えば、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等の官能性モノマを含有し、かつ重量平均分子量が10万以上であるエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体等が挙げられる。エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、(メタ)アクリルエステル共重合体、アクリルゴム等が挙げられる。アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とし、主として、ブチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体や、エチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体等からなるゴムである。
【0024】
また、熱硬化性成分としてはエポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂及びその硬化剤等があるが、耐熱性が高い点で、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂は、硬化して接着作用を有するものであれば特に限定されない。ビスフェノールA型エポキシ等の二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂又は脂環式エポキシ樹脂等、一般に知られているものを適用することができる。
【0025】
さらに無機フィラーが挙げられる。無機フィラーとしては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミウイスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、アンチモン酸化物等が挙げられる。熱伝導性向上のためには、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が挙げられる。溶融粘度の調整やチクソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が挙げられる。また、耐湿性を向上させるためにはアルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、アンチモン酸化物が挙げられる。
このほかにも、硬化促進剤、触媒、添加剤、カップリング剤等が挙げられる。
【0026】
さらに作用としては、フィルム製造時の温度、湿度、速度等、硬化時の温度、時間、フィルムの厚さ、幅、厚さばらつき、色など種々のものがある。
また、特性としては、耐熱性、接着力、弾性率、粘度、熱膨張係数、破断強度などの物理的特性のほか、材料費、非石油系材料の比率、毒性、リサイクル率、リサイクル可能性、材料調達に関わる輸送距離、使用する熱量、製造に関わる炭酸ガス排出量などのコストなどがある。コスト、環境関連の特性が挙げられる。
【実施例】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る物質、作用配合解析装置(解析機構)の一実施例を示すブロック図である。まず、ユーザが端末より使用する素材、特性に関して条件を入力する。図1においてユーザが入力した情報は、端末11を介して条件設定部10へと送信される。ここで送信される素材、特性に関する情報は、材料の種類、特性の種類、使用する材料、使用する特性、各材料の特性値、各材料の最大使用量、各材料の最低使用量、生成される化合物の各特性の目標値、生成される化合物の最大目標値、最低目標値などである。
【0028】
図1においてユーザが入力した、各材料の特性値や使用量等の情報は、使用材料、使用特性等の条件により計算部12、または判断部13に送信される。計算部12で計算されたデータは判断部13に送信される。判断部13では条件設定部10、計算部12より送信されたデータから条件を満たす計算結果を抽出し、そのデータを表示部14に送信する。表示部14では判断部13より送信されたデータを順次表示をする。そして、データは、パソコン等の端末11を介してユーザに提供される。
【0029】
図2は計算部12の詳細を示したものである。計算条件格納部20では、使用する材料、考慮する特性、各材料の上限配合量、および下限配合量等の送信されたデータを格納する。組み合わせ作成部21では、計算条件格納部20に格納された各条件より、使用する材料とその配合量の組み合わせを計算し作成する。合計特性値計算部22では、組み合わせ作成部21で作成された各材料と配合量の組み合わせについて、各特性値の計算を行う。
【0030】
図3は判断部13の詳細を示したものである。判断条件格納部30では、上限目標値、目標値、下限目標値、および計算部12より作成された組み合わせ等の送信された条件データを格納する。組み合わせ抽出部31では、各組み合わせの合計特性値について上限目標値および下限目標値を満足するものを計算し抽出する。表示順判断部32では、組み合わせ抽出部31で抽出された組み合わせに対して目標値に近いものから順に、使用する材料とその配合量およびその場合に生成される化合物の各特性値について表示部に送信を行う。
【0031】
ここで送信される素材、特性に関する情報は、材料の種類、特性の種類、使用する材料、使用する特性、各材料の特性値、各材料の最大使用量、各材料の最低使用量、生成される化合物の各特性の目標値、生成される化合物の最大目標値、最低目標値などである。
【0032】
本発明は、複数の特性を持つ事柄の目標特性値を満足する組み合わせ選択において、各特性値を数値化し、目標範囲を満たす場合における適当な組み合わせを導きだすことにより、効率的な組み合わせ選択の指標とすることができる。
【符号の説明】
【0033】
10:条件設定部、11:端末、12:計算部、13:判断部、14:表示部、20:計算条件格納部、21:組み合わせ作成部、22:合計特性値計算部、30:判断条件格納部、31:組み合わせ抽出部、32:表示順判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが多要素・多成分の性質を持つ物質を組み合わせ配合して新しい物質を生成する場合において、多要素・多成分である物質から任意の種類・量を組み合わせ、新たに生成される物質の各特性において、生成者が求める物質の特性の候補および満足する組み合わせを見いだす手法を具備し、それにより配合された物質が検索できる物質作用配合解析機構。
【請求項2】
それぞれが多要素・多成分の性質を持つ作用を組み合わせ新しい作用を生成する場合において、多要素・多成分である作用から任意の種類・量を組み合わせ、新たに生成される作用の各特性において、生成者が求める作用の特性の候補および満足する組み合わせを見いだす手法を具備し、それにより配合された作用が検索できる物質作用配合解析機構。
【請求項3】
それぞれの物質、作用の特性値を数値化して入力し、生成される物質、作用の目標値および目標範囲を与え、生成される物質、作用の目標範囲を満たす物質、作用の配合量の組み合わせおよびその際に生成される物質、作用の各特性値を出力する事により、組み合わせ実験を仮想的に行うためのプログラム群とそれを実現するための機械装置から構成される請求項1または2に記載の物質作用配合解析機構。
【請求項4】
使用または考慮する物質、作用について、上限値および下限値を与え、不要な計算を省略する事により、計算時間を短縮することが可能で、また曖昧な要素が含まれる場合に、過去のデータより変化を推察する解析プログラム群を具備する請求項3に記載の物質作用配合解析機構。
【請求項5】
複数の物質、作用から構成され、複数の特性を持つ化合物の生成における、目標特性値を満足する目標となる物質、作用の設計を効率的に行う計算装置を具備する請求項1〜4いずれかに記載の物質作用配合解析機構。
【請求項6】
与えられた目標特性値に対して、逆計算を行うことで配合前のそれぞれの物質、作用の配合割合および配合量を計算し、計算結果がすべての可能性のある組合せとして提供されるとともに、生成者が計算の結果に対して与えた制限や制約に応じて、リアルタイムに計算結果を更新することができる請求項5に記載の物質作用配合解析機構。
【請求項7】
配合される物質、作用の配合量や配合割合と配合された物質、作用から生成された物質、作用の特性の両方において、それぞれに値が不明な場合でも実験でき、配合される物質、作用と生成される物質、作用の両面から総合的に配合量および配合割合ならびに生成される物質、作用特性を把握できる請求項1〜6いずれかに記載の物質作用配合解析機構。
【請求項8】
実験結果に関して初期値および計算結果ならびにすべての計算に用いるデータについて保存や出力ができ、保存されたデータを呼び出すことができ、新たな実験と比較し、差分を明示することができるとともに、すべての分析結果を出力および保存ができる請求項7に記載の物質作用配合解析機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−198561(P2010−198561A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45818(P2009−45818)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】