説明

特にモバイル装置の通信信号受信機の搬送波周波数シフトを推定するための方法

【課題】ダイレクトシーケンススペクトラム拡散方式において、消費電力を抑えて通信信号受信機の搬送波周波数オフセットを推定する。
【解決手段】基準バイナリシーケンスの複数の連続した部分に関する部分相関を算出するステップと、各部分相関は、前記搬送波周波数で該受信機によって受信されかつ前記基準バイナリシーケンスを備える信号の部分と、該受信機によって記憶されおよび/または発生する前記基準バイナリシーケンスの所定部分との間で、該受信信号と該所定部分との間の複数の可能な相対位置において算出され、該算出された部分相関から該搬送波周波数オフセットを決定するステップとを備える。また、上記方法は、同期位置を選択するステップをさらに備え、前記決定ステップは、該選択された同期位置での算出された部分相関間の位相シフトを推定することを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信信号受信機の搬送波周波数オフセットを推定するための方法に関する。また、本発明は、携帯通信装置および同方法を適用することができるコンピュータプログラムに関す。
【背景技術】
【0002】
通常、送信機と受信機との間は、信号を変調するために送信時に使われる搬送波周波数と、この信号を復調するために受信時に使われる周波数とは、厳密に言えば、同じでない。よって、搬送波周波数オフセットという現象が、送信機と受信機との間で必ず観察される。さらに、送信機と受信機とに使われる発振器の精度によって、このオフセットが大きくなったり小さくなったりする可能性があり、もし何も修正を加えないのであれば、信号の受信性能が落ちることになる。
【0003】
本発明は、特に、受信機がエネルギー消費を制限する必要があるモバイル装置である、低エネルギー消費通信に適用される。つまり、最小の動作だけを含む、可能な限り単純なデジタルアルゴリズムを実施する必要がある、低エネルギー消費通信に適用される。さらに、このようなエネルギー消費上の理由からだけではなく、負担面の問題から、これらの受信機に使われる発振器の精度が低くなる可能性がある。従って、搬送波周波数オフセットの正確な推定および効果的な修正が必要不可欠である。
【0004】
また、本発明は、搬送波周波数オフセットに結果的に直接つながってしまう、送信された符号化シンボルの周波数オフセットに適用される。具体的には、送信/受信装置では、搬送波周波数およびサンプリング周波数は、1つの(同じ)発振器に基づいて発生する。従って、送信機と受信機との間では、搬送波周波数の相対オフセットと符号化されたシンボルの周波数の相対オフセットとが等しい。従って、これらのオフセットの片方のみ(まず搬送波周波数オフセット)を推定すれば十分である。
【0005】
ただし、問題は、例えば、ダイレクトシーケンススペクトラム拡散(通常、DSSSと称す)を使った、低エネルギー消費通信である。本原理に従えば、情報シンボルが「チップ(chip)」と呼ばれる、Lビットのバイナリ拡散シーケンスと関連する。これらのチップは、その後、定包絡線信号の搬送周波数を、位相的または周波数的に、変調する。通信は、パケット送信モードで行われる。各パケットは、DSSS符号化シンボルの所定のシーケンスであるプレアンブルを備える。なお、この所定のシーケンスは、受信機に知らされる。従って、本プレアンブルによって受信機が同期化されるが、これは、受信したパケットを復調するためである。
【0006】
従って、本発明は、特に、送信機と受信機と間のワイヤレス通信の特定分野に適用される。なお、該機器の物理層は、2.4〜2.48GHzの、ISM(「工業、科学、医療」)バンド用のスタンダードIEEE802.15.4に記載される通りであり、O-QPSK型の変調を使う。
【0007】
信号がパケットによって受信されるこの特定分野において(なお、各パケットが32チップ上にDSSSによって符号化された8つのシンボル#0を備えるプレアンブルを含む)、搬送波周波数オフセットを推定および修正するための方法が特許文献1に記載される。本方法によると、受信された拡散シーケンスは、差動検知のために、差動される。
【0008】
特許文献1では、搬送波周波数オフセットの推定が同期ステップにおいて、より正確に実施されたが、同ステップは、どのパケットのプレアンブルに対しても実施される。受信信号は、1つのサンプルと1チップ期間(シンボル#0の拡散シーケンスの2つのチップを受け取る間の時間)遅延されたもう1つのサンプルとの間の共役複素数の積を算出することによって差動され、受信機によって記憶および/または発生され、かつシンボル#0の拡散シーケンスに対応する基準バイナリシーケンスに関連付けられる。なお、任意で、本過程は、プレアンブルのシンボル#0の8つの拡散シーケンスに関係する結果の蓄積の前に行ってもよい。このようにして得られた信号は、搬送波周波数オフセットの同期および推定のために使われる。
【0009】
実際のところ、同期を行う際は、得られた信号の実数部Reと虚数部Imとは、搬送波周波数オフセット関数Δfを用いて以下のように表わすことができる。
Re=Acos(2πΔfT)およびIm=Asin(2πΔfT)、なお、Aは、得られた信号の振幅、Tは、前記のチップ期間を示す。
【0010】
搬送波周波数オフセットは、その後、各差動受信拡散シーケンスと全ての可能な差動拡散シーケンスとの相関に複素数(Acos(2πΔfT)−jAsin(2πΔfT))を掛けることにより修正される。なお、O−QPSK変調を含むスタンダードIEEE802.15.4の場合、32チップごとに、16の異なった可能な疑似直交拡散シーケンスが存在する。
【0011】
1チップ期間分オフセットされた、サンプル間の各差動は複素乗算(つまり、4回の実数乗算と2回の実数加算)が必要であることと、31回の差動がシーケンスごとに算出されることと、記号を変更するだけで済むのでシーケンスと基準シーケンスとの積の負担は無視できるほどであることと、相関用の算出された和が30の複素加算(つまり60の実数加算)を含むことと、搬送波周波数オフセットの修正には複素乗算を要することと、が知られている。受信した各拡散シーケンスのデコードするために要する全体的な負担は、以下の通りである。
(31×4+4)×16=128×16の実数乗算,および
(31×2+60+2)×16=124×16の実数加算
【0012】
性能の点では、差動検知の本方法では、20バイトのパケットに対して、パケットエラー率(PER)が1%であり(2.4GHz帯のスタンダードIEEE802.15.4によれば)、相対搬送波周波数オフセットが80ppm(つまり、100万分の80)であり、信号‐雑音比が12.5dBであることが示される。パケットの最大の大きさを127バイトに設定し、かつ同相対搬送波周波数オフセットを80ppmに設定すれば、14.5dBの信号‐雑音比に対して、パケットエラー率(PER)は1%になる。
【0013】
その他の解決方法は、拡散シーケンスを複数の連続した部分に切断し、各部分に対して部分相関を施し、その算出された部分相関の絶対値を合計することである。こうすれば、性能が上がる。なぜなら、完全相関を算出する場合よりも搬送波周波数オフセットに対して良好な抵抗になるからである。算出された部分相関に基づいて、後者が大きくなりすぎて無視できなくなったとき、搬送波周波数オフセットを推定もできる。
【0014】
本発明は、より正確には、通信信号受信機の搬送波周波数オフセットを推定するためのこの種の方法に関し、
基準バイナリシーケンスの複数の連続した部分に関する部分相関を算出するステップであって、なお各部分相関は、前記搬送波周波数で受信機によって受信されかつ前記基準バイナリシーケンスを備える信号の部分と、該受信機によって記憶されおよび/または発生した前記基準バイナリシーケンスの所定部分との間で、前該受信信号と該所定部分との間の複数の可能な相対位置において算出され、
該算出された部分相関から該搬送波周波数オフセットを決定するステップと、を備えることを特徴とする。
【0015】
例えば、そのような方法が特許文献2に開示される。特許文献2では、搬送波周波数オフセットの推定は、部分相関から派生した各複素数の引数を抽出することによって算出される部分相関に基づく。しかし、この方法は、算出という点で非常に負担がかかり、従って、低エネルギー消費を要する応用には、不利である。
【0016】
従って、上記問題および制約を回避することが可能な、搬送波周波数オフセットを推定するための強力な方法を提供することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許出願番号2007/0002937
【特許文献2】国際公開第01/61880号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、本発明の主題は、通信信号受信機の搬送波周波数オフセットを推定するための方法であって、
基準バイナリシーケンスの複数の連続した部分に関する部分相関を算出するステップであって、なお各部分相関は、前記搬送波周波数で受信機によって受信されかつかつ前記基準バイナリシーケンスを備える信号の部分と、該受信機によって記憶されおよび/または発生した前記基準バイナリシーケンスの所定部分との間で、該受信信号と該所定部分との間の複数の可能な相対位置において算出され、
該算出された部分相関から該搬送波周波数オフセットを決定するステップと、を備え、
前記方法は、該受信信号と該受信機によって記憶されおよび/または発生した該基準バイナリシーケンスとの間の可能な相対位置から同期位置を選択するステップを備え、かつ前記決定ステップは、該選択された同期位置で算出された部分相関間の位相シフトを推定することを備えることを特徴とする方法。
【0019】
従って、差動による解決方法よりもすぐれた性能を発揮しつつ、本方法は簡単に適用できる。なぜなら算出された部分相関間の位相シフトの推定に基づき、該搬送波周波数オフセットが推定されるからである。
【0020】
適宜、前記決定ステップは、特に、該選択された同期位置で算出されたいずれか2つの連続した部分相関間の積の数学的期待値を推定することによる、該選択された同期位置で算出された連続した部分相関間の平均位相シフトを推定することを備える。
【0021】
さらに適宜、該搬送波周波数オフセットが関数式であるΔf=N/2πPL・Δφに従って決定される。なお、Δfは、該受信信号のサンプリング周波数によって標準化された該搬送波周波数オフセットを示し、Δφは、推定された平均位相シフトを示し、Nは、連続した部分相関の数を示し、Lは、基準バイナリシーケンスのビット数を示し、L/Nは、部分相関が実施される各部のビット数を示し、Pは、基準バイナリシーケンスのビット当たりのサンプル数を示す。
【0022】
さらに適宜、本発明による搬送波周波数オフセットを推定するための方法は、該搬送波周波数オフセットの決定値を用いて、該受信信号上のこのオフセットを補償させることによって、該搬送波周波数オフセットを修正するステップをさらに備える。
【0023】
さらに適宜、前記修正ステップは、
該搬送波周波数オフセットの決定値の関数として定義された連続位相シフト係数を算出するステップと、
これらの連続位相シフト係数を該受信信号のサンプルへ適用するステップと、を備える。
【0024】
さらに適宜、該連続位相シフト係数は、事前算出されたデータのテーブルを用いて関連付けることによって算出される。
【0025】
さらに適宜、該基準バイナリシーケンスは、パケットによるシンボルの送信を行うスタンダードIEEE802.15.4に準拠した送信という意味で特に、基準シンボルのダイレクトシーケンススペクトラム拡散によって得られる。なお、該基準バイナリシーケンスは、各受信されたパケットのプレアンブルに含まれる。
【0026】
さらに適宜、該搬送波周波数オフセットが、送信されたシンボルの周波数オフセットを伴うので、該受信機によって取り上げられたサンプル中に発生したシフトが、半サンプリングピッチの前または後で、該シフトが大きくなる度に、サンプルを追加または削除することによって補償される。
【0027】
本発明の他の目的は、通信ネットワークからダウンロードされたおよび/またはコンピュータ読み取り可能媒体に保存されたおよび/またはプロセッサによって実行されたコンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータ上で実行されたときに、上記に記載の搬送波周波数オフセットを推定するための方法の前記ステップを実行するためのプログラムコード指示を備える。
【0028】
本発明の他の目的は、搬送波周波数オフセットを推定するための手段を備える携帯通信装置であって、前記手段が、
基準バイナリシーケンスを記憶および/または発生するための手段と、
該基準バイナリシーケンスの複数の連続した部分に関する部分相関を算出するための手段と、なお各部分相関は、前記搬送波周波数で該受信機によって受信されかつ該基準バイナリシーケンスを備える信号の部分と、前記モバイル装置によって記憶されおよび/または発生された前記基準バイナリシーケンスの所定部分との間で、該受信信号と該所定部分との間の複数の可能な相対位置に従って算出され、
算出された部分相関から前記搬送波周波数オフセットを決定するための手段と、を備え、
前記装置が、該受信信号と該モバイル装置によって記憶および/または発生した該基準バイナリシーケンスとの間の可能な相対位置から同期位置を選択するための手段を備え、かつ前記決定手段が該選択された同期位置で算出された部分相関間の位相シフトを推定するための手段を備える。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明は、例としてのみ示され、かつ、添付の図面を参照して説明される以下の説明により、よりよく理解されるだろう。なお、同図の詳細は以下の通りである。
【図1】本発明の一実施形態による、搬送波周波数オフセットを推定するための方法の連続ステップを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による、携帯通信装置の一般的な構造を概略的に示す図である。
【図3】図2のモバイル装置の部分相関を算出するための手段を詳細に示す図である。
【図4】図2のモバイル装置の部分相関を算出するための手段を詳細に示す図である。
【図5】図2のモバイル装置の搬送波周波数オフセットを決定するための手段を詳細に示す図である。
【図6】平均二次誤差に関して、図5の決定手段の性能を示すグラフである。
【図7】図2のモバイル装置のデコード手段と修正手段とを詳細に示す図である。
【図8】図2のモバイル装置のデコード手段と修正手段とを詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1に示す、搬送波周波数オフセットを推定するための方法は、通信信号の受信機によって実行されるN個の部分相関を算出する第1ステップ10を備える。該N個の部分相関は、Lビットの基準バイナリシーケンスの、N個の連続した部分に関する。例えば、連続した部分は全てが異なり、大きさは等しく、重なりあうことはなく、かつ各連続した部分は、L/Nビットを備える。
【0031】
本発明は、どのようなタイプの基準バイナリシーケンスを含む、どのようなタイプの通信にも適用可能である。しかし、以下の説明には、純粋に図示例として、基準バイナリシーケンスは、基準シンボル(特に、スタンダードIEEE802.15.4に従うパケットモードで送信される信号の各パケットのプレアンブルに8回繰り返される、O−QPSK変調シンボル#0)のダイレクトシーケンススペクトラム拡散DSSSによって得られる、と仮定する。上記のように、シンボル#0の拡散シーケンスは、L=32ビット(チップと称す)を備える。なお、sまたは(s)では、nがサンプリング指数を示す。好ましくは、サンプリングピッチは、チップ期間の分数である。Pをチップ毎のサンプル数とすれば、拡散シーケンス(s)の指数nは、0〜PL−1の間で変化する。
【0032】
rまたは(r)は、受信後、基準帯域に転置され、かつチップごとにPサンプルでサンプリングされた信号を示し、特に、信号(r)と(s)とを同期させるために、基準拡散シーケンスを備える。
【0033】
各部分相関は、ステップ10で、受信信号と所定部分との間の、複数の可能な相対位置に従って、受信信号rの部分と基準拡散シーケンスsの所定部分との間で算出される。このときの関係は、以下の通りである。
【0034】
【数1】

なお、nは、信号r、s間のサンプルの数としてオフセットを表す指数を示し、0〜N−1まで変化するkは、N個の部分相関を特定する指数を示し、シンボル「」は、共役複素数を示す。
【0035】
ここで、nを信号r、sが同期されるためのnの値とすれば、いかなるn(ただし、n≦n<n+PL)に対しても、以下の式が成り立つ。
【0036】
【数2】

なお、Aは、受信信号の定振幅を示し、Δfは、受信機のサンプリング周波数によって標準化された搬送波周波数オフセットを示し、θは、一定位相シフトを示し、bは、中央白色ガウス雑音のサンプルを示し、受信信号は、中央加法的白色ガウス雑音によって欠陥があると仮定される。
【0037】
指数kの各部分相関は、このとき、以下のようn表わされる。
【0038】
【数3】

【0039】
次の選択ステップ12において、nの値を従来の方法で求める。例えば、nは、次の方法で選択される。
【0040】
【数4】

【0041】
∀k,|s|=1なので、その結果、nに指数kの各部分相関ごとに特定値を与える。
【0042】
【数5】

上記数式より、以下の数式が得られる。
【0043】
【数6】

および
【0044】
【数7】

【0045】
そして、ステップ14、16に進み、部分相関の特定値から搬送波周波数オフセットを決める。
【0046】
特に、ステップ14では、選択された同期位置nで算出された部分相関間の位相シフトが推定される。正確には、推定されるのは、例えば、選択された同期位置nで算出された連続した部分相関間の平均位相シフトΔφである。この平均位相シフトは、次の数学的期待値の引数として表すことが可能である。
【0047】
【数8】

【0048】
での部分相関の最後の数式により、上記の数学的期待値のために次の数式が導き出される。
【0049】
【数9】

【0050】
上記数式より、以下の数式が得られる。
【0051】
【数10】

【0052】
なお、選択された同期位置n0で算出された連続した部分相関間の平均位相シフトは、サンプリング周波数によって標準化された搬送波周波数オフセットの一次関数である。
【0053】
上記数学的期待値は、それ自身が、nでの事前算出された部分相関の値を使って、積の合計を用いれば、簡単に推定可能である。従って、平均位相シフトΔφの推定Δφが次のように導き出される。
【0054】
【数11】

なお、以下の説明において、次の数式を注意されたい。
【0055】
【数12】

【0056】
次のステップ16において、サンプリング周波数によって標準化された搬送波周波数オフセットΔfは、次の数式を用いて推定される。
【0057】
【数13】

【0058】
をサンプリング周波数として表記し、Δfを絶対値としての表わされる搬送波周波数オフセットとして表記し、かつ上記数学的期待値の推定の引数に対する2πの不確定さを防ぐために、|Δφ|≦πが成り立つ必要があると注記することによって、そこからΔfに対する制約条件が導き出される。
【0059】
【数14】

なお、Dは、チップ(D=f/P)のビットレートである。
【0060】
サンプリング周波数によって標準化された搬送波周波数オフセットが推定されると、受信機に知らされる16シンボル(O−QPSK変調での)のバージョンと関連付けて受信した各データパケットに含まれるシンボルをデコードすることができる。デコード中、それ自体が周知である方法で、各可能なシンボルに関する、1つの完全相関または複数の部分相関が適用され得る。いかなる場合でも、修正を、推定された搬送波周波数オフセットを考慮に入れて受信された拡散シーケンスのチップに対して行う必要がある。さらに、このデコード原則を選べば、この修正を想定される部分相関の数に限定することができる。
【0061】
従って、ステップ18で、連続位相シフト係数αは、ステップ16で推定された値Δfの関数として算出され、搬送波周波数オフセットを修正するために、受信した拡散シーケンスrの連続チップに対して(複素乗算によって)適用されるためのものである。これらの係数は、次の形式を取る。
【0062】
【数15】

【0063】
現在の受信拡散シーケンスrがnから始まると仮定して、同シーケンスが基準拡散シーケンスと同期したその瞬間、次のように修正が行われる。
【0064】
【数16】

なお、N’は、シーケンスrをデコードするために選ばれた部分相関または全相関の大きさを示し、修正された拡散シーケンスvのサンプルvは、基準拡散シーケンスと相関された値である。
【0065】
連続位相シフト係数は、直接算出によっても得られるが、過剰に複雑な三角関数の算出を回避するために、事前算出されたデータテーブルを用いても得ることがきる。例えば、第1テーブルは、ステップ14で推定された数学的期待値の位相に関連付けることができ、第2テーブルは、そこから、係数αの連続値を導くことができる。
【0066】
具体的に説明すると、O−QPSK変調通信(2.48GHzの搬送波周波数に対して、チップレートDが2Mchips/s、Lが32チップ、Pがチップ当り2サンプル、Nが搬送波周波数オフセットを推定するための16の部分相関、N’がデコードのための4つの部分相関)という上記の特定の場合において、62,500Hzの搬送波周波数オフセットを修正するための周波数ピッチを選ぶことができる。なお、これは、チップレートの1/32に対応し、かつ25ppmのオフセットピッチに対応する。
【0067】
その結果、得られるのが、
【0068】
【数17】

および
【0069】
【数18】

【0070】
第1データテーブルCは、以下のように定義される。
【0071】
【数19】

【0072】
第2データテーブルTabは、以下のように定義される。
【0073】
【数20】

【0074】
32値の第2テーブルの要素の三角関数的な対称性のために、角度間隔[0;π/2]内のサインおよびコサイン関数間の対称性を使えば、8つの値のみ、または4つの値のみを記憶すれば十分であろう。
【0075】
ステップ14で得られたSestの値に基づいて、Re(Sest)とIm(Sest)との値が算出される。指数kは、
【0076】
【数21】

の関係が成り立つように決定され、そして、求められた指数kと、Re(Sest)とIm(Sest)とを用いて、指数nは、Tab[2n]が角度値でSestの近似値であるように導き出される。
【0077】
が8以下の場合、つまり、サンプリング周波数によって標準化された搬送波周波数オフセットが正の場合、デコードのために算出された4つの部分相関の各々の受信された拡散シーケンスの8つのチップに適用される8つの連続位相シフト係数が、以下の関係に従ってそこから導き出される。
【0078】
【数22】

なお、シンボル「」は、共役複素数を表す。
【0079】
が厳密に8を越える場合、つまり、サンプリング周波数によって標準化された搬送波周波数オフセットが負の場合、8つの連続位相シフト係数が以下の関係に従ってそこから導き出される。
【0080】
【数23】

【0081】
その後、相関ステップ20において、一方では、受信された現在の拡散シーケンスrが係数αを用いて修正され、修正された拡散シーケンスvが得られる。その一方、部分相関または全相関からデコードする、選ばれた方法に従って、修正された拡散シーケンスvが各可能基準拡散シーケンスと相関される。O−QPSK変調通信という特定の場合、16の異なった相関値が得られるが、各値は、基準拡散シーケンスの1つに対応する。これらの16の相関値のおのおのの絶対値が、その後、算出される。
【0082】
最後に、最終選択ステップ22において、先行ステップにおいて得られた絶対値の中から、最大値を採用し、対応する基準拡散シーケンスが選択される。このように、対応するシンボルSが導き出される。
【0083】
デコードのために算出された部分相関の数に関して、N’=4の関係が成り立つのであれば、以下の理由により(係数αを介した部分相関の各修正には、7つの複素乗算(すなわち28の実数乗算および14の実数加算)が必要であることと、各部分相関用の絶対値の各算出には、2つの実数乗算および1つの実数加算が必要であることと、全部分相関のための全体絶対値の算出には、あと3つ追加で実数加算が加わることと、記号の変更だけで済むので、シーケンスと基準シーケンスとの積の負担が無視できるほどであることと、各部分相関のために算出された合計が7つの実数加算を備えることと)受信した各拡散シーケンスをデコードするために要する全体的な負担は、以下の通りである。
(28+2)×4=120×16の実数乗算、および
(14+1+7)×4+3=91×16の実数加算
【0084】
以上から、この解決方法では、8×16の実数乗算および33×16の実数加算が必要であるということが分かる。つまり、特許文献1に記載されている推奨方法よりも少ない。従って、初歩的な算出を実行するという点において、複雑さが緩和される。
【0085】
性能に関しては、シミュレーションでは、パケットが20バイトかつ相対搬送波周波数オフセットが80ppm(つまり、100万分の80)に対して、本解決方法では、11.5dBの信号‐雑音比に対して(特許文献1の差動検知の解決方法では、12.5dB)、パケットエラー率PERが1%である。パケットの最大サイズを127バイトに設定し、同相対搬送波周波数オフセットを80ppmにすると、13.7dBの信号‐雑音比(特許文献1の差動検知の解決方法では、14.5dB)に対して、1%のパケットエラー率を達成した。従って、差動検知の解決方法に対して、約1dBのゲインを得ることができる。
【0086】
なお、搬送波周波数オフセットを推定するための、上記した方法は、例えば、通信ネットワークからダウンロード可能なおよび/またはコンピュータによって読み出し可能な媒体に記憶されたおよび/またはプロセッサによって実行可能なコンピュータプログラムによって実施されてもよい。
【0087】
図2は、通信信号の受信機30の一般的な機能的構造を概略的に示す。なお、同図では、搬送波周波数オフセットを推定するための本方法を、例えば、スタンダードIEEE802.15.4に従って通信可能な携帯通信装置に適用するために設計されている。
【0088】
この目的のためのモバイル装置30は、スタンダードIEEE802.15.4に従って信号を送受信するためのインターフェース32を備える。モバイル装置30によってO−QPSK変調されて受信された信号は、図示しない発振器のおかげで、基準帯域に転置される。
【0089】
発振器によって発生された搬送波周波数オフセットを推定するために、受信されたパケットプレアンブルは、部分相関を算出するための手段34に送信される。これらの部分相関は、シンボル#0の基準拡散シーケンスの複数の連続した部分に関する。なお、各部分相関は、受信されたプレアンブルと所定部分との間の複数の可能な相対位置において、基準帯域のプレアンブルの部分(なお、このプレアンブルは、シンボル#0の8つの基準拡散シーケンスの連続した部分を備える)と、モバイル装置30によって記憶および/または発生された同基準バイナリシーケンスの所定部分との間で算出さる。
【0090】
スタンダードIEEE802.15.4に従って、搬送波周波数オフセットは、送信時、40ppm未満である必要がある。こうすれば、送信機と受信機との間で、最大オフセットが80ppmになる。さらに、感度は、−85dBmよりも良好である必要がある。この値を20バイトのパケットにて1%未満のパケットエラー率を得るために受信時に必要な最小パワーとして、定義する。
【0091】
最大搬送波周波数が2.48GHzのとき、80ppmの搬送波周波数オフセットは200kHzに相当する。上記から分かるように、|Δf|≦ND/2Lが成り立つが、このためには、ND/2L>200kHzが必要である。つまり、D=2Mchips/sかつL=32のとき、N>6.4が成り立つ。
【0092】
32のチップを有する拡散シーケンス用に、8または16または32の部分相関が想定できる。搬送波周波数オフセットが存在する場合、N=16がエラー率という面で有益な選択だということを示すことができる。
【0093】
図3、4を参照して、算出手段34を詳細に説明する。なお、この図で、N=16のとき、P=2が成り立つようにサンプリングされる。
【0094】
基準拡散シーケンスは、モバイル装置30の記憶および/または発生手段36に記憶および/または発生される。従って、シンボル#0に対応する基準拡散シーケンスは、特に、記憶および/または発生手段36によって、算出手段34に提供される。
【0095】
また、モバイル装置30は、受信信号とモバイル装置によって記憶および/または発生する基準バイナリシーケンスとの間の可能な相対位置から同期位置nを選択するための手段38を備える。これらの選択手段38は、上記ステップ12を適用するために設計される。従って、同手段38は、各可能な相対位置にて部分相関の値を抽出するために、算出手段34に接続される。
【0096】
さらに、モバイル装置30は、選択された同期位置で算出された部分相関間の位相シフトを推定することによって搬送波周波数オフセットを決定するための手段40を備える。従って、同手段40は、同期位置を手段40に提供する選択手段38に接続される。同手段40は、上記ステップ14を適用するために設計される。
【0097】
図5を参照して、決定手段40を詳細に説明する。この図で、N=16のとき、P=2が成り立つようにサンプリングされる。
【0098】
また、モバイル装置30は、受信され、複調された基準帯域の信号をデコード化し修正するための手段42を備える。なお、同信号は、インターフェース32によって提供される。同手段42は、上記のステップ18、20を適用するために設計された。つまり、同手段42は、
手段40によって決定された搬送波周波数オフセット値の関数として定義される、連続位相シフト係数を算出し、
これらの連続位相シフト係数を用いて基準帯域で受信され復調された信号を修正し、
修正された受信信号と、手段36によって記憶および/または発生した、基準シンボル#0〜#15に対応する各基準拡散シーケンスと、相互に関連付け、および
これらの各相関の絶対値を計算することを備える。
【0099】
図7、8を参照して、デコードおよび修正手段42を詳細に説明する。この図で、N’=4のとき、P=2が成り立つようにサンプリングされる。
【0100】
最後に、モバイル装置30は、デコードおよび修正手段42によって提供される絶対値から、最大値および対応シンボルSを選択するための手段44を備える。同手段44は、上記ステップ22を適用するために設計される。
【0101】
図3は、算出手段34を詳細に示し、この図で、N=16のとき、P=2が成り立つようにサンプリングされる。この場合、各部分相関は、2つのチップを包括する4つのサンプルに関する。N=16の部分相関(Corr0〜Corr15と記す)の算出は、2つの算出モジュールに分割される。
【0102】
第1モジュール34’は、4つのサンプルからなる、図3のウインドウに渡って、受信信号rに対してフィルタリングを実行する。なお、このフィルタリングは、各チップの半正弦曲線形状に対応している。第1モジュール34’は、算出手段34の第2モジュール34’’へ信号eを提供する。
【0103】
第2モジュール34’’は、2つのサンプルを有する32の遅延要素を備える。該各2つのサンプルは、連続して配置され、32のサンプルを16の部分相関器Corr(c31−2k、c31−2k−1)(なお、0≦k≦15)に提供する。各部分相関器Corrは、シンボル#0に連結する基準拡散シーケンスの、2つの連続するチップに関連させる。図3では、この基準拡散シーケンスは、(c31、…、c)と記される。
【0104】
第2モジュール34’’のランダム部分相関器Corr(c31−2k、c31−2k−1)が図4に詳細に示される。信号eの2つのサンプルen−4k、en−4k−2(1チップ期間分シフトした)が部分相関器の入力の際に供給される。該サンプルは、基準拡散シーケンスの部分を形成する2つの連続したチップの、共役複素数値c31−2k、c31−2k−1を、互いに乗算される。該2つの得られた値は、その後、足し合わさる。その結果、受信信号と当該基準部分との間の可能な相対位置での、部分相関の結果Corrkが得られる。次のサンプリング時に、信号eの次の2つのサンプルen−4k+1、en−4k−1(1チップ期間分シフトした)が部分相関器の入力の際に供給されるが、この供給は、受信信号と当該基準部分との間の次の可能な相対位置での、部分相関の結果Corrkを得るためである。部分相関のこの算出は、受信信号と、当該基準部分との間の、全ての可能な相対位置に対して、繰り返し行われる。つまり、PLは、64の異なった相対位置を示す。
【0105】
図1のステップ12を参照して示したように、PL=64の異なった相対位置に対して実行される部分相関の算出によって、同期位置nが選択される。図5で繰り返された部分相関Corr0〜Corr15の16の特定値はこの同期位置に対応する。前記の表記法を使えば、決定手段40に提供される該特定値は、以下のように表記できる。
【0106】
【数24】

【0107】
図5に示すように、決定手段40は、15の乗算器を備えるが、これは、各部分相関Corr0〜Corr14を次の部分相関Corr1〜Corr15の共役複素数値で乗算するためである。これらの乗算での15の結果は、足し合わされ、上記した信号Sestの出力の際に提供される。
【0108】
決定手段40によって提供された信号Sestの引数を取りだすことによって得られた精度(搬送波周波数オフセットの推定量として)が図6に示される。同図の3本の曲線は、様々な信号‐雑音比(12dB、15dB、20dB)での値に対する、白色ガウス雑音が存在する場合のシミュレーションから得られた。当然、推定の精度は、信号‐雑音比が高ければ高い。特に興味深い曲線は、信号‐雑音比が15dBの曲線である。なぜなら、受信機の目標感度に対応するからである。この場合、搬送波周波数オフセットの推定上の平均二次誤差は、この搬送波周波数オフセットが−80ppm〜+80ppm間の範囲では、5ppmを下回る。
【0109】
図7は、デコードおよび修正手段42を詳細に示す。同図で、N’=4のとき、P=2が成り立つようにサンプリングされる。この場合、デコードの各部分相関は、8つのチップを包括する16のサンプルに関する。デコードのN’=4の部分相関の算出は、2つの算出モジュールに分割される。
【0110】
前記モジュール34’と等しい、第1モジュール42’は、各チップの半正弦曲線形状に適用される信号rのフィルタリングを実行する。その結果、デコードおよび修正手段42の第2モジュール42’’に信号eが提供される。
【0111】
第2モジュール42’’は、おのおの連続して配置され、32のサンプルを4つの部分相関器Corr(c31−8k、31−8k−1、31−8k−2、31−8k−3、31−8k−4、31−8k−5、31−8k−6、31−8k−7)(但し、0≦k<4)に提供する2つのサンプルの32の遅延要素を備える。またシンボル#0〜#15に接続される16の基準拡散シーケンスの1つの8つの連続チップに関連付けられる。4つの部分相関が算出される、このランダム拡散シーケンスは、同図および後続の図では単純化(c31、…、c)して記載される。
【0112】
第2モジュール42’’のランダム部分相関器Corr(c31−8k、31−8k−1、31−8k−2、31−8k−3、31−8k−4、31−8k−5、31−8k−6、31−8k−7)の詳細が図8に示される。1チップ期間分だけ、2つずつシフトした、信号の8つのサンプル(en−16k、n−16k−2、n−16k−4、n−16k−6、n−16k−8、n−16k−10、n−16k−12、en−16k−14)がこの部分相関器の入力の際に提供される。8つの連続位相シフト係数α〜α(ただし、α=1より、乗算のうち1つは除かれる)によって、互いに乗算される。これは、搬送波周波数オフセットの修正を実行し、その後、当該基準拡散シーケンスの部分を形成する、8つの連続チップ(c31−8k、31−8k−1、31−8k−2、31−8k−3、31−8k−4、31−8k−5、31−8k−6、31−8k−7)と関連付けるためである。得られた8つの値は、当該部分相関結果を提供するために、その後、足し合わされる。
【0113】
図7に示されるように、モジュール42’’は、その後、各部分相関器に対するこの結果の絶対値の二乗値の算出を実行し、その後、4つの部分の絶対値を合計する。この結果、当該シンボルの決定変数Dが得られる。
【0114】
デコードおよび修正手段42によって実行される上記算出は、各シンボル#0〜#15に対して繰り返される。
【0115】
搬送波周波数オフセットのその他の効果は、シンボルの周波数オフセットを等しく発生できることである。これらの2つの周波数オフセットは、以下の関係によって、直接接続される。
【0116】
【数25】

なお、δfは、シンボルの周波数の相対オフセットと搬送波周波数の相対オフセットとの両方を示し、Δfは、搬送波周波数の絶対オフセットを示し、fは、搬送波周波数を示す。
【0117】
シンボルの周波数の相対オフセットは、受信機において、シンボルの同期の規則的なシフトを発生させる。tがシンボルのレベルにおいて同期が完全だと仮定される初期モーメントであるとしたら、時間tの関数としてのシンボルのシフトは、以下のように表わされる。
−(t−t)δ f(なおδ fは1よりはるかに小さい数値だと仮定する)
【0118】
この数式が示す事実は以下の通りである。つまり、δ fが正の場合、受信機が送信機に対してあまりにも早くサンプリングしてしまうことを示す。その結果、受信信号に対して遅延が発生する。その後、シフトが半サンプリングピッチよりも大きい場合、そのサンプルを除去する必要がある。これより導かれるのは、1/2δ fサンプル後、1/δ fサンプル毎に、このシフトを補償させるためにサンプルを除去する必要がある、ということである。
【0119】
δ fがマイナスの場合、受信機は送信機に対してそれほど早すぎるようなサンプリングはしない。その結果、受信信号より進むことになる。その後、シフトが半サンプリングピッチよりも大きくなった場合、サンプルを加える必要がある。これより導かれるのは、1/2δ fサンプルの後、1/δ fサンプル毎に、このシフトを補償させるためにサンプルを加える必要がある。
【0120】
事前算出された値のテーブルを用いて、サンプルの除去および追加の循環を決定することが望ましい場合、上記のテーブルTabと関連付けるだけで十分である。この場合、テーブルTabSymbは、以下の関係が成り立つようなテーブルである。
TabSymb[0]=無限大かつ
【0121】
【数26】

【0122】
=2.45GHzかつΔmin=62500Hzのとき、TabSymb[1]=19600、TabSymb[2]=9800等、が得られる。
【0123】
このテーブルによって与えられた値によって、加えるべきまたは除去するべき第1サンプルの位置が分かる。後続のサンプルは、この値を2倍した間隔を隔てて位置する。
【0124】
上記から明白に理解できるように、上記した方法および装置によって、既存の解決方法を向上することができるが、本発明および装置は、推定の精度および算出の単純化に対してより良い性能を発揮する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信信号受信機の搬送波周波数オフセットを推定するための方法であって、
基準バイナリシーケンスの複数の連続した部分に関する部分相関を算出するステップであって、なお各部分相関は、前記搬送波周波数で受信機によって受信されかつ前記基準バイナリシーケンスを備える信号の部分と、該受信機によって記憶されおよび/または発生した前記基準バイナリシーケンスの所定部分との間で、該受信信号と該所定部分との間の複数の可能な相対位置において算出され、
該算出された部分相関から該搬送波周波数オフセットを決定するステップと、を備え、
前記方法は、該受信信号と該受信機によって記憶および/または発生した該基準バイナリシーケンスとの間の可能な相対位置から同期位置を選択するステップを備え、かつ前記決定ステップは、該選択された同期位置で算出された部分相関間の位相シフトを推定することを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送波周波数オフセットを推定するための方法であって、
前記決定ステップが、特に、該選択された同期位置で算出され、いずれか2つの連続した部分相関間の積の数学的期待値を推定することによる、該選択された同期位置で算出された連続した部分相関間の平均位相シフトを推定することを備えることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の搬送波周波数オフセットを推定するための方法であって、
該搬送波周波数オフセットがΔf=N/2πPL・Δφという関係に従って決定され、なおΔfは、該受信信号のサンプリング周波数によって標準化された該搬送波周波数オフセットを示し、Δφは、推定された平均位相シフトを示し、Nは、連続した部分相関の数を示し、Lは、基準バイナリシーケンスのビット数を示し、L/Nは、部分相関が実行される各部のビット数を示し、Pは、基準バイナリシーケンスのビット当たりのサンプル数を示すことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか一項に記載の搬送波周波数オフセットを推定するための方法であって、
該搬送波周波数オフセットの決定値を用いて、該受信信号上のこのオフセットを補償させることによって、該搬送波周波数オフセットを修正するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の搬送波周波数オフセットを推定するための方法であって、
前記修正ステップは、
該搬送波周波数オフセットの決定値の関数として定義された連続位相シフト係数を算出するステップと、
これらの連続位相シフト係数を該受信信号のサンプルへ適用するステップと、を備えることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の搬送波周波数オフセットを推定するための方法であって、
該連続位相シフト係数は、事前算出されたデータのテーブルを用いて関連付けることによって算出されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の搬送波周波数オフセットを推定するための方法であって、
該基準バイナリシーケンスは、パケットのシンボルの送信を行うスタンダードIEEE802.15.4に準拠した送信という意味で特に、基準シンボルのダイレクトシーケンススペクトラム拡散によって得られ、なお、該基準バイナリシーケンスは、各受信されたパケットのプレアンブルに含まれる、ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の搬送波周波数オフセットを推定するための方法であって、
該搬送波周波数オフセットが送信されたシンボルの周波数オフセットを伴うので、該受信機によって取り上げられたサンプル中に発生したシフトが、半サンプリングピッチ前または後で、該シフトが大きくなる度に、サンプルを追加または削除することによって補償されることを特徴とする方法。
【請求項9】
通信ネットワークからダウンロードされたおよび/またはコンピュータ読み取り可能媒体に保存されたおよび/またはプロセッサによって実行されたコンピュータプログラムであって、
前記プログラムがコンピュータ上で実行されたときに、請求項1〜8のいずれか一項に記載の搬送波周波数オフセットを推定するための方法の前記ステップを実行するためのプログラムコード指示を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
搬送波周波数オフセットを推定するための手段を備える携帯通信装置であって、
前記手段が、
基準バイナリシーケンスを記憶および/または発生するための手段と、
該基準バイナリシーケンスの複数の連続した部分に関する部分相関を算出するための手段と、なお各部分相関は、前記搬送波周波数で該受信機によって受信されかつ該基準バイナリシーケンスを備える信号の部分と、前記モバイル装置によって記憶されおよび/または発生する前記基準バイナリシーケンスの所定部分との間で、該受信信号と該所定部分との間の複数の可能な相対位置に従って算出され、
算出された部分相関から前記搬送波周波数オフセットを決定するための手段と、を備え、
前記装置が、該受信信号と該モバイル装置によって記憶および/または発生した該基準バイナリシーケンスとの間の可能な相対位置から同期位置を選択するための手段を備え、かつ前記決定手段が該選択された同期位置で算出された部分相関間の位相シフトを推定するための手段を備えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−200319(P2010−200319A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33467(P2010−33467)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(500539103)コミッサリア ア レネルジ アトミック (29)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE
【住所又は居所原語表記】25,rue Leblanc Batiment (Le Ponant D),75015 PARIS,France
【Fターム(参考)】