説明

特に鋼ブルーム連続鋳造装置用のストランドガイド

【課題】ロールによるストランド支持のより改良された分配が可能とされて、改良された支持、曲げ或いは方向状況を達成させるストランドガイドを提供することである。
【解決手段】この発明は、一つのストランド(3)を二つの互いに対向位置する側面(4、5)に支持要素(6、7)により支持する多数のセグメント(2)を備えて、支持要素(6、7)が下フレーム(8)と上フレーム(9)内に配置されていて、それによりストランド(3)を案内するフレーム(8、9)が搬送方向(F)に形成されている、特に鋼ブルーム連続鋳造装置用のストランドガイド(1)に関する。ストランド支持を最適に調整できて、セグメントフレームの交換を容易化するために、この発明は、上下フレーム(8、9)相対的に互いに搬送方向(F)に調整され得る手段(10)が存在することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一つのストランドを二つの互いに対向位置する側面で支持要素により支持する多数のセグメントを備えて、支持要素が下フレームと上フレーム内に配置されていて、それによりストランドを案内するフレームが搬送方向に形成されている、特に鋼ブルーム連続鋳造装置用のストランドガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の連続鋳造装置用のストランドガイドは、欧州特許第0963263号明細書(特許文献1)から知られている。ストランドガイドは、対向位置する列のガイドロールと駆動ロールを有する鋳造アークを形成する多数の支持要素を有する。この場合には、ロールは上下フレームに支承されている。フレームの一端には、同じ間隔で二つのリンクが配置されている。セグメントのこの結合リンク着想が連続鋳造装置にストランドを案内するように使用される。結合リンクは一つのセグメントの内部の上フレームの案内手段としてセグメントの各側面に配置されている。
【0003】
そのような解決手段は、ストランドガイドのセグメントを平面図に或いは側面図に示す図2と3で見るべきである。ストランドガイドのセグメント2は下フレーム8と上フレーム9を有し、それらはそれぞれにロール6と7の形態の支持要素を備えている。下フレーム8に配置されたロール6は鋳造ストランド3の下面4を案内し、上フレーム9に配置されたロール7が鋳造ストランドがストランド3の上面に一致して案内する。上フレーム9は下フレーム8に対して上フレーム9を案内する二つのリンク11と12によって下フレーム8と連結されている。
【0004】
同様な解決手段はドイツ特許第10225924号明細書(特許文献2)を示す。フレームは、ここでバネベルトとして形成され得る結合手段を介して互いに結合されている。他の解決手段は、ドイツ特許出願公開第1171119号明細書(特許文献3)を開示する。
【0005】
結合リンクの使用の際の予め知られた解決手段では、ストランドの支持はロールによってセグメントの組立て後に変更せずに固定し、それはロールによってストランド支持の分配、即ち屈曲点或いは方向点に見て鋳造厚さフォーマットに依存して不都合であることが欠点である。さらに、容易に所謂鋳造鏡伸びにおけるバルジング(Bulging)- 効果が生じ得て、この効果は所定のストランドガイド帰還によって上フレームのしっかりと設定されたロール間隔とロール位置の際に可能である。
【0006】
予め知られた装置における更なるマイナス的事情は、空間関係に基づいてフレームの取出し或いは供給用の僅かな場所しか存在しないので、ストランドガイドのセグメントの取付けと取出しが時々問題であることである。
【0007】
最終的に、セグメントの組立て後に上フレームと下フレームの間の正確な整合が確定することが欠点である。この整合の変更は、時々に望ましいことであるように、達成することが難しいだけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第0963263号明細書
【特許文献2】ドイツ特許第10225924号明細書
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第1171119号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故に、この発明の課題は、上記欠点が取り除かれるか、減少されることを前記種類のストランドガイドを提供することである。ロールによるストランド支持のより改良された分配が可能とされて、改良された支持、曲げ或いは方向状況を達成させる。さらに、バルジング- 効果が減少される。セグメントの取外しと据付けが同様に改良され得る。最終的に簡単な形式で上下フレーム間の正確な整合に影響を取り得る可能性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明によるこの課題の解決手段は、上下フレームが互いに対して搬送方向に調整され得る手段が存在することを特徴としている。
【0011】
この手段は、この発明の好ましい構成によると、それぞれに下フレームと上フレームに固定されている少なくとも二つのロッド状リンクを包含し、リンクがそれぞれにリンクの有効な長さを変更させる一つのアクチェエータを有する。この場合には、アクチェエータがリンクの両端間にリンク内に一体化されて配置され得る。しかし、選択的に、アクチェエータがリンクの固定箇所の領域でフレームに配置されることが可能である。
【0012】
この発明の構成によると、アクチェエータが油圧ピストン−シリンダ−システムとして形成されている。これに選択的に、アクチェエータが長さ調整要素として形成されていることが可能である。この場合には、とりわけ、アクチェエータが電動モータにより駆動されたねじスピンドルシステムを有することを考慮されている。
【0013】
少なくとも二つのリンクの少なくとも二つのアクチェエータが一つのアクチェエータの無関係に始動する制御手段或いは調整手段と接続され得る。それで、アクチェエータの好ましい対称的作動の他に、非対称的作動も可能であり、その非対称的作動により下フレームに対する上フレームの特殊調整が行われ得る。
【0014】
支持要素は利点を備えてフレーム内で回転自在に支承されて駆動される、或いは駆動されないロールとして形成されている。しかし、支持要素は垂直或いは水平ストランドガイド領域に挿入され得る。
【0015】
この発明の提案により、上フレームの下フレームに対するリンクの所定長さに渡る所定位置が可変に互いに移動できることが達成される。これによって、ストランドガイドセグメントにおける影響力の行使の次の簡単に実現可能な可能性が生じる;
【0016】
上フレームの下フレームに対する可変移動が可能である。これは、例えば鋳造厚さフォーマットに依存してロールのストランド支持、即ち曲げ点或いは方向点の所望分配或いは移動を奏する。それにより改良された支持、曲げ或いは方向状況が達成され得る。
【0017】
鋳造鏡伸び内の所謂バルジング- 効果が減少され得て、上ロールのそのほかにしっかりと調整されたロール間隔とロール位置による所定ストランドガイド戻し作用によって行われ得る。リンクの長さとそれにより変更可能なストランドガイド幾何学の調整性によって、ロール間隔或いはロール位置が調整され得る。これは適切な調整や鋳造鏡内のブルギング- 効果のそれと接続する減少の際に安定な鋳造稼働を生じる。
【0018】
セグメント或いはフレームの据付け状況や取外しが実質的に改良され得る。据付けるべき或いは取外すべきセグメントの前或いは後の隣接セグメントの上フレーム、即ちセグメントの上フレームはこれらセグメントのリンク長さの変更によって移動されて、しかも、両隣接セグメント間に位置するセグメントのフレームの取出し或いは供給のために、多くの場所があるそのような状態に移動される。これは、特に曲げ、アークと方向セグメントの際に非常に好ましく人目を引く。
【0019】
最終的に、一つのセグメントの個々のリンク長さの変更、即ち横に配置された両リンクが均一に調整されず、むしろ、およそ異なったリンクが長さで調整されることが可能である。それにより上フレームの下フレームに対する基本整合がリンクの長さにわたり変更され得る。それによりフレームの整合欠陥が簡単な形式で且つ完全に組立てたセグメントに除去され得る。しかし、これによりフレームの狙った所望不同調整を互いに行う、例えば上フレームの芯合せない所望回転を行うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面において、この発明の実施例が図示されている。
【図1】側面図で連続鋳造機のストランドガイドの鋳造アークを概略的に示す。
【図2】先行技術によるストランドガイドのセグメントを平面図で示す。
【図3】図2による、即ち先行技術によるストランドガイドのセグメントを側面図で示す。
【図4】本発明の一つの実施態様によるストランドガイドのセグメントを図3による表示で示す。
【図5a】図4によるセグメントを上フレームの下フレームに対する基本状態で示し、セグメントが同じ高さに一致して互いに図示されている。
【図5b】図4によるセグメントを上フレームの下フレームに対する移動した状態で示し、セグメントが同じ高さに一致して互いに図示されている。
【図6a】ストランドガイドの隣接したセグメントを互いにセグメントフレームの基本状態で示し、セグメントが同じ高さに一致して互いに図示されている。
【図6b】ストランドガイドの隣接したセグメントを据付け状態或いは取外し状態で示し、セグメントが同じ高さに一致して互いに図示されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1では、連続鋳造機のストランドガイド1の鋳造アークを見るべきである。公知の形式で、鋳造アークは、(ここで図示されていない)鋳造ストランド用のアーク状経路が生じて、セグメントを金型の後で垂直から水平に転向させるように、相対的互いに位置決めされている多数のセグメント2から成る。各セグメント2は実質的構成部材として二つのフレーム8と9、即ち下フレーム8と上フレーム9を有し、そのフレームに支持要素6、7がロールの形態で組立てられる。この場合には、支持要素6、7が駆動され得るか、或いは駆動されずに、フレーム8と9が両種類のロールを有し得る。それにより鋳造ストランドのために、通路が搬送方向Fに形成されている。
【0022】
この発明の実施態様によるセグメント2の構成は図4から明らかになる。さらに、上フレーム9が下フレーム8に対して二つの横に配置されたリンク11と12によって案内されて、図2と3に対する上記実施態様が参照される。
【0023】
けれども、図3による予め知られた解決手段と相違して、今や、上下フレーム8、9が相対的に互いに搬送方向Fに調整され得る手段10が存在することが企図されている。これは実施例においてロッド状リンク11と12に一体化される一つのアクチュエータ13によって実現される。これはここではリンク11と12に存在するピストン−シリンダ−ユニットによって示されている。
【0024】
リンク11と12はリンク11と12の両端の間隔を定義する有効な長さLを有し、リンクには、これらリンクがフレーム8、9に関節的に配置されている。
【0025】
図5から明らかであるように、それにより狙った調整が行われ得る:図5aには、セグメントが基本状態で見るべきであり、即ち上フレーム9が下フレーム8に対して出口状態に存在し、即ち主としてフレーム8、9が同じ高さに一致して互いに上下に位置決められている。
【0026】
アクチュエータ13が作動されると、移動された位置が図5bから明らかなるように調整され得る。リンク11、12の有効な長さは図5aとの関係にここで増大された、それは、上フレーム9が下フレーム8に対して搬送方向F(ストランド3の同じままの厚さで)における変位xだけ移動される結果を生じる。搬送方向Fにおける上フレーム9の変位xが行われ(図5bで右に);確かに当然にリンク11、12の有効な長さの短縮によって搬送方向Fに対する上フレーム9の変位(図5bで左に)が行われることが図示されている。
【0027】
これらの効果の可能な利用は図6aと図6bに例示されている。ここでは、三つの隣接したセグメント2が基本状態(図6a)に描かれ、取外し或いは据付け状態(図6b)に描かれている。一つのセグメント或いはそれらの一部の据付け或いは取外しするために、前記(左)セグメント2の上フレーム9が搬送方向Fと反対に移動される、即ちこのセグメント2の上フレーム9が左へ変位xだけ移動され、リンク11、12がアクチュエータ13によって短縮される。適切に、次の(右)セグメント2の上フレーム9が搬送方向Fに移動される、即ちこのセグメント2の上フレーム9が右へ変位路xだけ移動され、リンク11、12がアクチュエータ13によって伸長される。したがって、左セグメント2の上フレーム9が移動16だけ左へ移動される一方、右セグメント2の上フレーム9が移動17だけ右へ移動される。左右セグメント2間には、中間セグメント2の中心に拡大された据付け或いは取外し空間(大きさ2x)が生じる。左右セグメントが行われた移動16、17の後に連続鋳造機に残留している一方、平均セグメントが簡単な形式で今まで取出され得るか、或いは据付けられ得る。
【0028】
それにより、リンク11、12の長さ調整性の積分は上記利点を創作する。この場合には、リンク11、12の長さLの調整がセグメント2の各側面に互いに無関係に行われ得る、即ち特に異なっているので、上フレーム9の下フレーム8に対する一つの側面特殊整合が行われ得る。
【0029】
アクチュエータ13の調整のために、任意のシステムが使用され得る。この発明の構成によると、油圧ピストン−シリンダ−システムが設けられている。しかし、正確に、電気システムを使用することが可能であり、即ち例えばねじスピンドル或いは他の機械的伝動装置とそれら駆動する電動モータを使用することが可能である。
【0030】
リンク11、12のアクチュエータ13の配列は、実施例に図示されるように、リンクの両端14と15の間に行われ得る。しかし、同様に、アクチュエータ13をリンク11、12の端側領域に、即ちそれぞれのフレーム8、9におけるリンク11、12の連結領域に設けることが可能である。
【0031】
リンク11、12の長さLの調整は上フレーム9のロール軌道の下フレーム8のロール軌道に対する(平行な)移動を奏する。この場合には、この移動は、既に述べたように、鋳造方向に或いはその反対に行われる。けれども、調整は、(両リンク11と12の両アクチュエータ13の非対称的作動の際にも)上フレーム9の下フレーム8に対する一つの側面特殊整合を利用され得る。
【0032】
アクチュエータ13によるリンク11、12の長さLの調整は、制御或いは調整によって行われ得る。アクチュエータ13の油圧構成の際に、油圧シリンダの位置調整部が内部或いは外部ストッパを備える油圧シリンダ、予め固定された油圧シリンダ(例えばさらばねを備える)或いは油圧プランジャ−シリンダの少なくとも一つを備えられ得る。
【0033】
この発明の提案は、特に好ましくはブルーム或いは薄いブルーム連続鋳造装置の垂直セグメント、曲げセグメント、アークセグメント、方向セグメントと水平セグメントに使用され得る。
【符号の説明】
【0034】
1.....ストランドガイド
2.....セグメント
3.....ストランド
4.....ストランドの側面
5.....ストランドの側面
6.....支持要素(ロール)
7.....支持要素(ロール)
8.....下フレーム
9.....上フレーム
10....調整手段
11....ロッド状リンク
12....ロッド状リンク
13....アクチュエータ
14....リンクの端部
15....リンクの端部
16....移動
17....移動

F.....搬送方向
L.....リンクの有効な長さ
x.....変位路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つのストランド(3)を二つの互いに対向位置する側面(4、5)に支持要素(6、7)により支持する多数のセグメント(2)を備えて、支持要素(6、7)が下フレーム(8)と上フレーム(9)内に配置されていて、それによりストランド(3)を案内するフレーム(8、9)が搬送方向(F)に形成されている、特に鋼ブルーム連続鋳造装置用のストランドガイド(1)において、上下フレーム(8、9)相対的に互いに搬送方向(F)に調整され得る手段(10)が存在することを特徴とするストランドガイド。
【請求項2】
セグメント(2)が一つの鋳造アークを形成することを特徴とする請求項1に記載のストランドガイド。
【請求項3】
手段(10)は、それぞれに下フレームと上フレーム(8、9)に固定されている少なくとも二つのロッド状リンク(11、12)を包含し、リンク(11、12)はリンク(11、12)の有効な長さ(L)を変更させるそれぞれ一つのアクチュエータ(13)を有することを特徴とする請求項1或いは2に記載のストランドガイド。
【請求項4】
両リンク(11、12)の両端(14、15)の間のアクチュエータ(13)がリンク(11、12)に一体化されて配置されていることを特徴とする請求項3に記載のストランドガイド。
【請求項5】
アクチュエータ(13)がリンク(11、12)の固定箇所の領域でフレーム(8、9)に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のストランドガイド。
【請求項6】
アクチュエータ(13)が油圧ピストン−シリンダ−システムとして形成されていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載のストランドガイド。
【請求項7】
アクチュエータ(13)が機械的長さ調整要素として形成されていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載のストランドガイド。
【請求項8】
アクチュエータ(13)が電動モータにより駆動されたねじスピンドルシステムを有することを特徴とする請求項7に記載のストランドガイド。
【請求項9】
少なくとも二つのリンク(11、12)の少なくとも二つのアクチュエータ(13)が一つのアクチュエータ(13)を独立に始動する制御或いは調整手段と接続していることを特徴とする請求項3乃至8のいずれか一項に記載のストランドガイド。
【請求項10】
支持要素(6、7)が、フレーム(8、9)内で回転可能に支承されていて、駆動されるか、或いは駆動されないロールとして形成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のストランドガイド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a−5b】
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【図6a−6b】
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【公表番号】特表2011−520622(P2011−520622A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510881(P2011−510881)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003711
【国際公開番号】WO2009/144001
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(390035426)エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト (320)